成年後見人は死後事務を行ってはくれない?
成年後見人と死後事務について
認知症や障がい者の方などの権利を守りご本人のQOLの向上に努めていらっしゃるのが成年後見人の方々です。成年後見人発足当初は家族間での後見を行う「家族後見人」が多かったですが、最近は弁護士や司法書士の先生方が後見業務を行う「専門職後見人」というケースの方が一般的でしょう。
当初家族後見が多かった為か専門職後見人の場合でも葬儀や遺品整理などの死後事務まで後見人の方が行ってくれると思われている方が多数いらっしゃいます。
しかし、これは間違い!後見人の業務の範囲に葬儀等の「死後事務」は含まれておらず、被後見人の方(ご本人)が亡くなった段階で後見人の業務は終了となり、後はこれまでの経費を精算して相続人等へ引継ぎをして終了となります。
つまり、成年後見人が付いているから死後事務も自動的に行われるという訳ではありません。まして、自分の死後の手続きをしてもらう為に成年後見人を申請しようとするのは制度の目的から大きく外れることとなります。
成年後見人はどこまで行ってくれるの?
上でも述べている通り、成年後見人の業務は原則ご本人の生存期間中のみが対象となります。ですので、ご本人が亡くなった時点で成年後見人としては業務は終了しておりますので、ご本人死亡後の葬儀や遺品整理、家屋の明け渡しなどは行わなくてもよく、むしろ業務範囲外となりかってに行ってしまうと裁判所より叱られてしまいます。
ただ、身寄りがない方やご家族の協力が得られないようなケースでは遺体放置をしたりすることはできませんので裁判所の許可を得た上で火葬のみを執り行ったりはする事があります。
この場合でも故人の財産の減少行為となるような葬儀などを行うことはできませんので、あくまで必要最低限の範囲での対応とならざる負えません。ですので、「成年後見人が付いているから死後事務の心配はない」というのは大きな間違いということになります。
任意後見人と結ぶ死後事務委任契約
上で成年後見人は死後事務を行えないと書きましたが、これは「法定後見人」という制度のもとでの話しです。
後見人には後見人の申し立て時点で既に本人が認知症等で意思能力が無い場合に裁判所によって選任される「法定後見人」と、自分が元気な内に認知症等になった場合に予め後見人になってくれる方を決めておく「任意後見人」とがあります。
任意後見人の場合はご本人が元気な内に今後の予定を後見人の予定者の方と打ち合わせを行うこととなりますので、その際にご本人の要望によって「死後事務委任契約」も一緒に結ばれるケースがあります。
この場合は一般的には「見守り契約」→「任意後見期間」→「死後事務業務」と自動的に流れていきますので、法定後見人では出来ない死後事務を任意後見人の方は行うことができます。
ただし、この場合でも事前にどのような内容をどの程度の費用と報酬で行うのかは事前に打ち合わせを行い公正証書にした上で行われますので「死後事務委任契約」の重要性が分かりますよね。
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