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2025.02.07

ひとり身の兄弟姉妹の相続に両親の出生~死亡までの戸籍が必要な訳

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

またまた寒波襲来で日本海側は大変なことになっていますね。私も以前、福井市に住んでいた頃に4年に一度の大雪と言われる状況に遭遇し、朝起きたら車が雪山に変身してしまい愕然とした思い出があります。被害が広がらない事を願っています。

さて、本日は死後事務の執行において必要となる戸籍の範囲についての解説となります。実際には死後事務委任契約と一緒に作成することの多い、遺言書における遺言執行者が集めるべき戸籍の範囲となります。

死後事務委任契約を希望される方には「未婚」で「子供がいない」という方も多く、契約を希望される方の多くが70歳前後でもありますので、ご両親も既に亡くなっているケースがほとんどです。

そうした場合に、依頼者の方の相続人となるのは、依頼者の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥や姪)となります。

兄弟姉妹には、相続人に最低限保証される相続分としての「遺留分」はないため、遺言書を作成しておくことで、兄弟姉妹へは財産を残さないという事も可能です。

遺言執行者は、遺言執行者に就任する際に自身が遺言執行者となって相続手続を進めていくことを知らせる「就任通知」を遺言書の写しを添付して相続人や受遺者へと送る義務がありますが、この就任通知は遺言書を作成した結果、1円も財産を貰わない相続人に対しても発送しなければいけません。

つまり、遺言執行者としては遺言書の内容に関わらず、相続人の生死と現住所を戸籍や戸籍の附票にて確認を行い、相続人全員へと就任通知を送らなければいけないことになるわけです。

その相続人の調査において取り寄せる戸籍の範囲が今回のテーマとなります。

兄弟姉妹が相続人となる場合に必要となる戸籍は通常より多くなる

死後事務委任契約の委任者が未婚で子供もいない方の場合、相続人となる方は委任者の兄弟姉妹となります。

ですので、遺言執行者が手続を行うにあたり、まずは相続人が誰なのかを委任者からの聴き取りだけではなく公的な書面で確認する必要があります。

その際に確認するのが「戸籍」となります。

相続で一般的な、親が死亡して子供が相続人となる場合に必要となる戸籍は、「故人の出生~死亡までの戸籍」となります。

これは、故人の相続人が誰であるかを確認するにあたり、故人に子供がいるなら子供が第一順位の相続人となるため、故人が生まれてから死亡するまでの戸籍を取り寄せれば、故人と血縁関係(認知した子供や前妻との間の子供も含む)がある人は全て戸籍に記載されていることになるからです。

例え、亡くなった父親が母親との結婚前に付き合っていた女性との間に子供がいて認知している子供がいたとしても、「認知」したという事実が戸籍に記載されていますし、また、前妻との間に子供がいた場合であっても、前妻との婚姻や前妻との間に子供が生まれた事実は「婚姻」や「出生」として戸籍に記載されています。

ですので、故人の相続人に関して必要な情報は故人の出生~死亡までの戸籍を辿ることで、全て洗い出しができることになり、士業の方々が行う相続人調査とは戸籍を確認して故人と血縁関係がある人の洗い出しということになります。

では、今回の本題ともなる、相続人が兄弟姉妹となる方の相続の手続に必要となる戸籍はどうなるのかというと、上の例からいくと「委任者の出生~死亡までの戸籍」を取り寄せれば良いようにも感じますが実は違います。

まず、兄弟姉妹での相続関係を図で確認してみましょう。下の図をご覧ください。

死後事務委任契約の依頼者を次男のCとした場合の相続人関係図となります。

次男Cは未婚で配偶者も子供もいないため、遺言で自分の財産を子供の将来に使用してくれるよう公益財団法人へ自身の財産を全額遺贈するとしています。

依頼者である次男Cには、兄弟姉妹として長男A(存命)と長女B(死亡のため代襲相続あり)がいますが、両親及び直系の尊属は全員既に死亡しています。

こうした相続人関係において、仮に次男Cが死亡した場合に遺言執行者としては、相続人全員へと就任通知を送る必要があるため、次男Cの相続人を戸籍により確認する必要があります。

では、遺言執行者として故人である次男Cの出生~死亡までの戸籍を取り寄せれば相続人が全員確認できるのかというと、必ずしもそうとは言えません。

次男Cの出生~死亡までの戸籍を取り寄せたとしても、次男Cは両親である甲乙が結婚した後に生まれているため、次男Cの出生~死亡までの戸籍には、両親の婚姻~次男Cが死亡するまでの事情しか記載されていないことになります。

その為、例えば両親が結婚する前に父親甲が不倫相手との間に子供(丁)を作っており、それを認知していたとしてもその事実は婚姻後の戸籍には出てきません。

ただ、父親甲と血縁関係にある(丁)は次男Cと半分だけ血が繋がっている、いわゆる半血の兄妹となるため、次男Cの相続人となり、遺言執行者としては(丁)に対しても就任通知を送る必要があることになります。

別の図で戸籍の記載の流れを確認してみましょう。

上の図は、次男Cの両親である甲乙の出生~死亡までの流れを図示した物となります。

甲乙は、結婚する前はそれぞれの親の戸籍(次男Cから見て祖父母の戸籍)に入っており、結婚をする際に新に甲乙夫婦の戸籍を作ることになります。

一般的に男性の戸籍に女性が入る形を取ることが多いため、このケースで言うと、甲乙の結婚により、甲を筆頭者とする戸籍を新たに作成して、新規に出来た甲の戸籍に乙が入籍してくることになります。

その後、甲乙間に長男A、長女B、次男Cが生まれて、甲の戸籍に「出生」としてそれぞれ入籍することになります。

長男Aと長女Bは結婚をしており、結婚をすることで甲乙と同様に結婚相手との戸籍をそれぞれ新しく作ることになりますので、A及びBは甲の戸籍から出ていくことになります。(除籍)

ただ、次男Cは結婚をしなかったため、甲の戸籍にそのまま残ったままとなります。これは例え甲が死亡したとしても戸籍に生前している人が残っている限りは甲を筆頭者とした戸籍はそのまま残されることになるため、次男Cが生きている限りは甲乙が死亡したとしても次男Cは甲の戸籍に在籍したままとなります。

つまり、次男Cの出生~死亡までの戸籍とは次男Cが在籍している「父甲の婚姻~次男Cの死亡までの戸籍」と同じ意味となります。

ただ、上の図でもわかる通り、父甲の婚姻から次男Cの死亡までの戸籍を取り寄せても、父甲や母乙の婚姻前の事情については判明しません。

ですので、例えば父甲に婚姻前に認知した子がいる場合や母乙が再婚であり、母乙が前夫との間に子供をもうけていたような場合は、甲乙の婚姻前、つまり甲及び乙の出生まで遡って戸籍を確認しておかないと、相続人に漏れがでてしまう可能性があるということです。

ですので、死後事務委任契約において、兄弟姉妹が相続人となる場合に必要となる戸籍の範囲は、第三順位の相続人を全て調査する必要があることから、委任者の両親(父方、母方)それぞれの出生から死亡までの戸籍を取り寄せる必要があることになります。

この戸籍の取り寄せを遺言執行者が行う場合は、現行の制度では父方、母方の戸籍のある自治体へそれぞれ請求する必要があり、父及び母の本籍が遠隔地にあるような場合は郵送で申請することになり非常に時間が掛かることになります。

ただ、死後事務委任契約を行う前に依頼者が直接役場に赴いて「戸籍の広域交付制度」を利用して申請すれば、依頼者のお住まいの自治体の窓口で、父方、母方の直系尊属の戸籍は全て取り寄せることができるため、兄弟姉妹の相続が想定される場合は、事前に依頼者に取り寄せておいてもらい、執行の時までそれを受任者にて保管しておくといった方法を取ると、相続人調査の時間を大幅に短縮することができるようになります。

広域交付制度で取り寄せができるのは、直系血族の戸籍となるため、傍系血族である兄弟姉妹の戸籍までを事前に取り寄せをすることはできませんが、直系の血族の分の戸籍だけでも事前に揃っていれば、依頼者死亡後は依頼者死亡の記載のある戸籍と兄弟姉妹の戸籍を取り寄せをすれば良いだけとなりますので、非常に時間が短縮されることになります。

これから死後事務受任者としての活動を予定されている方は契約時にどこまで戸籍を集めておくべきか悩まれることもあるかと思いますが、戸籍自体には使用期限はないため事前に集められる物を集めておくというのがお勧めです。

相続・死後事務委任契約に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2025.02.03

賃貸物件における緊急連絡先と死後事務受任者の役割について

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

節分に恵方巻を食べるというのは最近では珍しくなくなってきましたが、私が最初に恵方巻を知ったのは20年近く前でしょうか。

当時はまだ恵方巻の由来も知らず、「縁起物の食べ物なのか」程度の認識で、当時勤めていた不動産会社に昼食代わりに買っていき、恵方巻を輪切りにして事務所のみんなで食べていました。

今なら恵方巻を切るなんて!となりそうですが、当時はその程度の認識の食べ物でしたが、いまでは節分の風物詩といっても良いくらい浸透していますよね。バレンタイン商戦に近い企業の戦略を感じます(笑)

さて、本日の話題は、賃貸契約における緊急連絡先と死後受任者の役割についてとなります。

近年は、民法の改正もあり賃貸契約における連帯保証人の役割は「保証会社」が担うことが多くなり、親族等は「緊急連絡先」として、賃貸契約書に記載されることがほとんどかと思います。

緊急連絡先としての役割は、基本的には本人に連絡がつかない際に代わりに連絡を受けてくれる人となります。緊急連絡先として登録されたとしても、連帯保証人のように延滞家賃を代わりに支払う義務などはありません。

ただ、事故や災害等が起きた際に入居者本人と連絡が取れない際に親などが緊急連絡先に指定されていれば本人の安否確認が取れるといったケースや、入居者の部屋から漏水が起きている場合に本人が仕事中で電話に出てくれない様な際に親元へ連絡して、管理会社が室内へ入る許可を貰ったり、場合によっては入居者本人が家賃を滞納している際などにも、本人と連絡を繋げてもらう意味で緊急連絡先に連絡が入るといったこともあります。

このように緊急連絡先は何かトラブルが生じた際にあくまで本人との連絡を繋いでもらうための役割を担うものとなりますが、では緊急連絡先には誰を指定すれば良いのか?となると、誰でも良いという訳にはいきません。

緊急連絡先の役割が本人との連絡の繋ぎ役ということでしたら、本人の連絡先を知っている方なら誰でも良いということになりますが、緊急連絡先に連絡が入るということは、何かしら「緊急の事態」が起きていることが前提となります。

つまり、その緊急事態、例えば「家賃の未納が続いているが本人と連絡が取れない」といった様な場合であれば、本人が今どういった状況に置かれているのかをある程度把握できている人でなければいけません。

家賃の滞納が続くケースとして考えられるのが、
① 本人の家賃引き落とし口座に残高が残っていなかった
② 入院している為、家賃の振込ができなかった
③ 長期出張や海外旅行に出ており、振込できなかった
④ 多重債務で夜逃げした
⑤ 室内で孤独死しており振込されなかった

等々、家賃滞納が発生する理由は色々ありますが、緊急連絡先となっている方が入居者の親御さんであれば、①~⑤のような事が起きれば、入居者本人へ連絡を取って家賃の振込を促したり、滞納になってしまった原因を管理会社に説明したり、入居者の安否確認のために室内の状況を確認してくれるといった対応を期待できます。

ただ、緊急連絡先となっている方が入居者本人の電話番号を知っているだけの友人のような場合でしたらどうでしょうか?

大家さんや管理会社が緊急連絡先として登録されている「友人」へと電話したとしても、その友人が本人の状況を何も把握していなければ管理会社等から連絡を受けても「はぁ、そうですか、でも私も何も知りません」で終わってしまう可能性もあります。

ですので、緊急連絡として登録される方には、連帯保証人のような義務を負わないまでも、ある程度本人の事に対して裁量権を持っている方が望ましいことになります。

そういった意味で、不動産会社や保証会社の担当者が緊急連絡先として親族の方しか認めないという可能性は出てきます。

ただ、高齢の入居者のような場合は、頼れる親族がいないという事も珍しくないため、親族しか緊急連絡先としては認めないとされてしまうと、ただでさえ単身高齢者の契約できる賃貸物件が少ない中、さらに選択肢が狭まってしまうことになります。

では、こうした状況下に置いて、死後事務受任者としてはどのような役割を担えるのでしょうか。

死後事務受任者の契約上の役割は、委任者(本人)が亡くなった場合における委任者の死後の手続について親族等に代わって行うことにあります。

また、死後事務委任契約の締結の際には、見守り契約、財産管理契約、任意後見契約、遺言執行者への就任等、おひとり様が抱える問題を解決するために、複数の契約をしていることも珍しくはありません。

ですので、ひとりの死後事務受任者が、任意後見受任者や遺言執行者をもまとめて兼任している事もあり、生前から死後の手続までを一括して受任していることもあります。

こうした複数の業務を兼任している場合はもちろん、死後事務受任者のみの業務であったとしても、死後事務委任契約の委任事項には、委任者(本人)の生前の債務の弁済(延滞家賃の清算等)や遺品整理等の家財整理が業務に含まれている事も多く、身寄りのない方が賃貸契約を結ぶ際の緊急連絡先としては適任者とも言えます。

また、死後事務受任者としても、死後事務に先立って見守り契約等を行う場合なら、契約者本人の異常にいちはやく気づけるきっかけにもなるため、緊急連絡先として登録しておいてもらえると、万が一の際に賃貸物件の管理会社との話(管理会社で保管している予備の鍵のでドアの開錠等)もスムーズに進むことになります。

委任者(本人)と死後事務受任者との契約内容によっては、賃貸物件における本人の生前の安否確認から万が一本人が死亡した際の遺品整理や物件の明け渡しについても、死後事務受任者にて対応が可能となるため、死後事務受任者を緊急連絡先として登録しておく意義は非常に高いものとなります。

もし、死後事務委任契約を結ばれている方で、賃貸契約における緊急連絡先で困っているような場合は死後事務受任者に「緊急連絡先」となってもらえるか確認のうえ、不動産会社にも死後事務受任者が緊急連絡先として登録できないか確認してみると良いのではないでしょうか。

相続・死後事務委任契約に関すご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2025.01.29

弔慰金の相続手続について

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おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

年が明けたと思いきやもう2月が目前となっていますね。例年に比べて比較的暖かい日が多いように感じますが寒いのは苦手なので早く春よこいと願わずにはいられません。

さて、本日の話題は「特別弔慰金」の相続手続についてです
特別弔慰金とは、

「戦没者等の遺族に対する特別弔慰金は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和40年法律第100号)(以下「特弔法」といいます。)に基づき支給されるものです。 

特別弔慰金は、先の大戦で公務等のため国に殉じたもとの軍人、軍属及び準軍属の方々に思いをいたし、その遺族に対して戦後20周年、30周年、40周年、50周年、60周年、70周年という節目の機会をとらえ、国として改めて弔慰の意を表すため、一定の日(以下「基準日」といいます。)において恩給法(大正11年法律第48号)による公務扶助料・特例扶助料、戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和27年法律第127号)(以下「援護法」といいます。)による遺族年金・遺族給与金等の受給権を有する遺族(以下「年金給付の受給権者」といいます。)がいない場合に、先順位の遺族1名に対して特別弔慰金を受ける権利の裁定がなされます。(その方と同順位の者がある場合は、その裁定をもって全員に対してしたものとみなされます。)」(第十一回特別弔慰金事務処理マニュアルより抜粋)

簡単に言えば、戦没者のご遺族に対して国から戦後の節目に併せて給付される弔慰金ということになります。

先日、相続人からのご依頼頂で故人が生活されていたご自宅内の財産調査を行いました。相続人の方は故人と離れて暮らしていたこともあり、財産として何が残っていて、大事な書類がどこにしまわれているのかもわからないので、遺品整理に併せて確認して欲しいというご依頼です。

さっそく、故人のご自宅へと赴き財産調査に取り掛かるのですが、戸建ての一軒家ということもあり部屋数も多く、また昔ながらの家ということもあり、タンス類が多くひとつひとつ書類や貴重品等を探していくのには非常に神経を使う作業となりました。

全ての部屋を確認するのに丸1日を要しましたが、そのかいあって預貯金関係や不動産関係の書類等を無事見つけることができました。ただ、そうした書類と一緒にしまわれていた書類の中に、ひとつ見慣れない書類があることに気づきました。

「第十一回特別弔慰金国庫債券」と題された書類でかなり古めかしい文体の書類ですが、紙質は新しく感じるといった書面です。

過去の恩給関係の書類かと思いきや、よくよく内容を確認してみると、償還金50,000円の下に「令和7年4月15日渡し」との記載があるではありませんか。

証券の状態から、額面が25万円で20万円分については既に受け取り済みで、5万円分だけが期日前のため故人の自宅に保管されていたと思われます。

弔慰金画像

過去に似たような書面を見たこともありますが、未償還の物は初めて見たため、最初は「あれ、これって相続手続しないといけない書類か?」と戸惑ったのも事実です。

いったん、事務所へと持ち帰って調べてみると、郵便局を窓口として相続手続きができるようで、相続手続に必要な書類自体は基本的にはゆうちょ銀行の相続手続と一緒ではあるのですが、申請手続がけっこうめんどくさい(笑)

てっきり、ゆうちょ銀行の相続手続と一緒に手続をすれば終わるものかと思いきや、実は手続的にはまったく別もので、債権の裏面に記載されている故人の氏名を相続人の氏名へ変更したり、償還金の受取りをする郵便局を変更したり、その手続のために日銀を経由したりと、郵便局の窓口で手続はできますが、裏ではあれやこれやと複雑な経路をたどるようです。

また、今回のような特別弔慰金の相続手続というのは、郵便局でもあまり取り扱っていないようで、相続手続きを確認するだけで、1時間近く待たされ、また実際に申請書を書いて持ち込んだら持ち込んだで、受取場所となる郵便局でも、再度いちから確認しているようで、非常に時間がかかる。

通常のゆうちょ銀行の相続手続だけなら、そうした相続手続に慣れている大きな郵便局で手続を行えばスムーズに行くことも多いのですが、今回は受取場所を相続人の自宅から一番近い郵便局へと変更する必要があり、どうしてもその変更先となる郵便局へと提出しないといけないようで、担当して頂いた職員も常に電話をしながら確認していた様子で、やはり、こうした手続はあまりないんだろうなと感じました。

相続手続自体は無事終わったので問題ないのですが、普段見慣れない書類で書面自体が古めかしい様式のため、これは普通の遺品整理業者では知らずに処分してしまう危険もあるのではと思い、今回は画像付きで紹介させて頂きました。

遺品整理に携わる方は見逃してしまわないようにご注意くださいね。

相続・死後事務に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2024.12.29

死後事務委任契約の勉強会講師を務めてまいりました。

コスモスあいち 愛知県支部 有志による毎月1回の勉強会の風景(今回は死後事務委任契約をテーマに行いました)

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

あっという間の年の瀬となり、今年の終わりももうすぐ目の前に迫ってきていますね。2025年も良い年になることを願っております。

さて、本年の終了も間近となって来ていますが、先日行った死後事務委任契約の勉強会の画像を頂いたので、取り組みも含めて紹介させて頂ければと思います。

上記の画像は、行政書士の会員によって構成される成年後見支援団体、公益社団法人コスモス成年後見サポートセンター愛知県支部(通称:コスモスあいち)の毎月1回の勉強会の風景となります。

コスモスあいちでは、有志のメンバーが集まり、会員の業務上での相談や貴重な体験等の情報を共有し、また成年後見業務に関する知識の拡充を目指して勉強会を行っております。

私も愛知県行政書士会及びコスモスあいちのメンバーとして、勉強会に参加しているのですが、今回は後見業務とも密接に関わってくる死後事務委任についての講師を務めてまいりました。

成年後見業務は基本的に被後見人(本人)の生前の身上監護や財産管理といった、ご本人の生前の支援をその目的としており、本人の死亡と同時に後見業務も終了となります。

その為、本人の葬儀や埋葬、遺品整理、各種解約清算業務といった内容は後見業務ではなく、遺言執行者や死後事務受任者の業務となってきます。

ただ、成年後見人となられる全ての方が遺言や死後事務に精通している訳ではなく、これは後見業務に詳しい士業等の専門職の後見人であっても同様です。

今回は、そうした専門職後見人となられる行政書士の先生方を対象に、下記の内容を中心に私の経験を基にお話しさせて頂きました。

・「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の策定の背景
・ 士業が死後事務委任契約を業務に取り入れるメリット・デメリット
・ 死後事務委任契約単独受任する場合の注意点
・ 死後事務委任契約は依頼者の問題解決方法の1選択肢に過ぎない
・ 死後事務委任契約の実務について
・ 死後事務委任契約の注意点
・ 死後事務委任契約の活用事例の紹介 等々

コロナの流行を機に勉強会の講師はしばらく行っていなかった為、久しぶりに人前で話すことになり、うまく伝えることができたか不安ではありますが、少しでも私の経験が行政書士の先生方の力になればと思っております。

最後になりましたが、本年も死後事務支援協会を応援してくださり誠にありがとうございます。
来年もより一層、利用者の皆様の不安を解消できるよう努めて参りますので引き続きご愛顧の程よろしくお願いいたします。

それでは!良いお年を~。

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2024.11.06

30代、40代といった若い方との死後事務委任契約の話し

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

今年は、秋はどこにいったのか?と思うくらい残暑が続いたような気がしますが、寒いのが苦手な私としては暖冬は歓迎だったりします。(笑)

コロナやインフルエンザといった流行り病に気をつけないといけない時期になりましたね。一時期のような規制はないものの、マスクや手洗いは引き続きしていきましょう。

さてさて、本日は30代や40代といった若年層の方との死後事務委任契約の話について簡単に触れておきたいと思います。

死後事務委任契約というと、身寄りの無い高齢者の方が自身の死後の手続を第三者に行ってもらうために結ぶ契約といったイメージがあるかと思います。

しかし、相談に来られる方は必ずしも高齢者ばかりとは言えず、中には30代や40代といった現役世代の方が契約を希望されるケースがあります。

30代や40代と言えば、人生で一番脂が乗っている時期とも言え、バリバリ働き(死語)、バリバリ遊んで(死語)と一番楽しんでいる時期とも言えるかもしれません。

そうした年代の方から自分が死んだ後のことについての相談を受けるというのは、実際に契約手続をしている私自身としても現実味が無く感じるところではあります。

若い年齢の方が相談に来られる事情としては様々ですが、相談者の中には注意をしなければいけない方も混じっていたりします。

実際に過去に受けた相談の中では、若い女性からの電話相談で死後事務について教えて欲しいという相談がありました。

電話相談ですので顔は見えないのですが、明らかに声が若く電話の周りでは子供の声も聞こえているといった様子で死後事務について相談するような年齢には思えない感じです。

死後事務の電話相談の中では、死後事務委任が必要なのかや他の手段の方が依頼者の希望に沿うのでは?といったことを確認するために個人の状況を色々と聞いていくことになりますが、そうした聴き取りを丁寧に行っていると、段々と死後事務に関する相談から将来への不安や家族間の問題といった相談者が抱えている「悩み」の部分が見えてきます。

場合によっては、生活苦や家族間の不和を原因とした「自殺の衝動」へと繋がっていることもあり、死後事務の相談が、実は自分死んだ後の後始末を頼みたいという相談だったということもあります。

当然、そうした状況下で契約を進めるということはありませんので、「いのちの電話」の番号等、関係する相談先へと誘導したりすることになります。

自殺の後始末の為の死後事務委任はもちろん論外なのですが、実際には若年層との契約を結ぶといった事もあります。

例えば、大病を患ってしまい余命宣告を受けているが親族とは絶縁しているので、死後事務委任契約をお願いしたいといったケース。

例えば、大きな手術をするため万が一に備えてや、海外出張に行く予定があるけれど万が一に備えておきたいといったケースなどもあります。

若い方の場合は当然、ご両親やご兄妹も健在ということも珍しくはないのですが、やはり死後事務の相談に来られる方は複雑な家庭環境が背景にあることもあり、一般の人から見たら不思議に思われるケースもあったりします。

ただ、こうした若い方との契約では、私たち事業者側としても無責任な対応を取ることができません。

健康状況に問題ない若い方との契約となれば、平均寿命から考えて当然契約から50年60年は死後事務委任は発効しないということも考えられます。(死後事務委任契約は依頼者の死亡後に初めて効力が出る契約のため)

そうした長期契約で一番心配なのは、そもそも死後事務受任者たる私たち事業者が存続しているかどうかということです。

一般的な身元保証を中心とした死後事務委任契約の場合は、病院への入院だったり、高齢者施設への入所を控えた高齢者との契約となることが多く、死後事務が発効するまでの契約期間はおおよそ2年から5年程度が平均的なようです。

ですので、5年や長くても10年程度でしたら事業者としても将来的な予測として事業を存続できるかどうかというのはある程度予測が付くかもしれませんが、50年や60年といった期間はもちろんのこと、20年30年といった期間でさえ、社会情勢によっては何が起きるかわからず、事業の継続性を確約することはできません。

そのため、健康な若年層の方から死後事務委任の相談を受けるようなケースでは、まず最初に「あなたの死後事務委任を執行するのは普通に行けな50年以上先のことであり、その時点で当協会はなんらかの事情で事業を停止している可能性も高く、今契約をしても無駄になってしまう可能性が高いですよ」と伝えています。

ただ、そうした懸念事項をお伝えしても契約の意思が固い方の場合は、手術や海外出張に備えての掛け捨ての保険として考えているので、契約費用が無駄になっても構わないので契約をお願いしたいと強く希望される方もいます。

こちらとしても、諸々の不利益を承知の上という事でしたら、契約は行わせて頂くのですが、先にも書いた通り30代や40代の健康な方との契約の場合は、契約内容を履行している将来に現実味を感じることができないのも正直な感想ではあります。

2025年問題や2040年問題といった、超高齢社会の問題はまだまだ続いていくことになりますし、LGBTを代表に家族の多様性が叫ばれる中、それに併せて複雑な家庭環境に悩まされる若い方も増えてくるのではないかと心配しております。

若年層の方が若い内から自分の死後の事で悩む必要のない社会になってもらいたいものですね。




相続・死後事務に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2024.10.04

名古屋市緑区の砦墓地の承継手続でのこと

おはようございます。名古屋市の死後事務支援協会代表の谷です。

8月、9月は保留になっていた案件が一気に爆発したような状態で非常に忙しくしていました。慌ただしくしているうちに既に10月で季節上は秋!でも暑い!はやく、丸々太ったサンマが食べたいと強く願っています。

さてさて、本日は地元ネタになってしまうのですが、名古屋市の緑区にある「砦墓地」についてです。

先日、ご兄妹を亡くされた方から故人の死後事務一式の依頼を頂き葬儀の手配から行政機関への届出、遺品整理と手続を進めてきました。

葬儀や行政機関への届出等の期間制限のあるものの手続が終わり依頼者の方と一息つきましたねと雑談していた折に、故人のご遺骨の供養についてのお話となりました。

故人のご遺骨については菩提寺のお墓に入れるとお聞きしていましたので、お墓はどこでお寺はどこですか?と聞いてみると「砦墓地」とおっしゃいます。

ただ、菩提寺はお寺で墓は名古屋市が管理しているはずだとのことで、正直「?」となりました。

菩提寺のお墓ならお寺の寺院墓地でお寺が管理しているのでは?と思ったのですが、依頼者の方も定期的に墓参りや掃除にはいくようなのですが、実際のお墓の管理者(祭祀承継者)という訳ではないようで実態がよくわかってはいないご様子です。

私自身も、「砦墓地」という名称を初めて聞いたものですから、名古屋市の管理している霊園に砦墓地なんてあったかな?と思っていました。

いづれにしても、故人の焼骨をお墓に納骨(埋蔵)するのでしたらお寺なり、名古屋市(八事霊園管理事務所)なりに届出が必要となりますので、依頼者の方には菩提寺の住職にお会いする際にでも詳細を確認してみてくださいとお伝えしていました。

後日、依頼者の方からお聞きした内容としては、砦墓地の一部は菩提寺の管轄だがそれ以外の部分は名古屋市が管理しているとのことで、墓石の場所によって管轄が異なっているようで、依頼者の方のお墓は名古屋市の管轄場所にあるとのことでした。

ただ、名古屋市の管理する場所にお墓があるのでしたら毎年の管理料が発生しているのでは?と思い聞いてみると、そんな物は払った覚えはないとのことです。

ただ、依頼者の方はお墓の承継者ではないとのことですから、もしかしたら連絡の取れない兄妹がお墓の承継者になっている可能性もあります。

そうであるなら、連絡の取れない親族がお墓の管理料を払っていることになるのですが、それも怪しいとのことで、こちらで現在の状況を調べてみることとなりました。

依頼者の方より、わかる範囲での情報をもらい名古屋市の八事霊園管理事務所に電話してみると、確かに砦墓地は名古屋市にて管理しているとのことでした。

ただ、砦墓地自体は地域の方が昔から使用されてきているお墓であり、名古屋市は管理はしているけれど管理料等は請求していなとのことです。

正直「へぇ~、そんな事あるんだ」といった感想なのですが、お墓の使用者の変更やお墓への納骨(埋蔵)の際などは管理事務所へ届出をする必要がありますので、砦墓地においてもそうした業務を八事霊園の管理事務所では行っているのですが、管理料は貰っていないということです。

そうした状況のため、依頼者の方でも「管理料なんて払った覚えないけどな~」ということになっていたのだと納得した次第です。

管理はすれど管理料は徴収せずというのは不思議な感じはありますが、何か昔からの経緯があるのでしょうね。

名古屋市緑区の砦墓地のお墓の承継手続や墓じまいのご相談にも今後乗っていきたいと思いますので、ご相談事がございましたら名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

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2024.07.23

遺言・死後事務・任意後見の3点セットで契約する際の注意点

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おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。名古屋も梅雨明けとなり天気予報は連日の猛暑予定となっております。熱中症予防には水分補給の他、適切な睡眠も大事となってきます。

エアコンを就寝から1~2時間で切れるようにタイマーセットしていると、夜中に暑さで頻繁に起きてしまい適切な睡眠時間を確保できないケースもあるとか。電気代も心配なところではありますが、日中に熱中症にならない為にも睡眠時も適切にエアコンを利用していきましょうね。

さて、前回のブログでは死後事務委任契約と任意後見契約をセットで契約しないといけないのか?について契約の必要性やメリット・デメリットについてお話させて頂きました。

今回はより、具体的にセット契約した場合の注意点についてお話したいと思います。

身元保証会社等では、よく身元保証契約の際に「遺言書」「死後事務委任契約」「任意後見契約」の3点セットで契約を勧められることがあります。

遺言書はご存じの通り、依頼者の方の財産の行先を決めるものであり、死後事務委任契約は遺言書に記載できない事項(葬儀や納骨、遺品整理等)を実現させる契約であり、任意後見契約は委任者が認知症等で意思能力が失われてしまったような状況に備えて、信頼できる方へ自身の後見人なってもらう契約を予めしておくというものとなります。

任意後見はもちろん、遺言や死後事務委任契約についても自分の死後に実現したい内容を叶える為に実際に手続きをしてもらう人を決めておくことになります。(遺言執行者、死後事務受任者)※遺言執行者は任意

遺言執行者、死後事務受任者、任意後見人はいずれも自分の死後又は自分の意思能力が失われた際に備えて信頼できる第三者に手続きを依頼するという性質のものとなります。

ですので、手続きを依頼する相手方とは高い信頼関係があることが前提となる物ですが、必ずしもその信頼関係が永続的なものとは限りません。

遺言書は遺言者に相続が発生して初めて効果を発揮する物であり、遺言書を作成したらすぐに効果が発揮される物ではありません。

死後事務委任契約も同様に、委任者が死亡して初めて死後事務受任者は委任事務の執行に入る為、死後事務委任契約書作成から委任者の死亡までには相当な期間が空くことが多い契約となります。

任意後見契約も基本的には委任者が元気なうちに契約を結び万が一に備えるという性質のものであり、委任者が認知症等にならないままに亡くなる事も多く、契約したけれど任意後見契約の発効はしなかったということも珍しくはありません。

いずれの契約も契約から相当な期間が経過した後に効果を発揮する物となるため、委任者と執行者・受任者との信頼関係が長い待機期間の間に失われてしまうこともあります。

いずれの契約もお互いに高い信頼関係があるからこそ契約が成り立っているのであって、信頼関係が崩れてしまった後においては、遺言執行や死後事務、任意後見を任せる訳にはいかなくなります。

例えば、遺言執行者をAさん、死後事務受任者をBさん、任意後見人をCさんに依頼していたとします。

この場合に例えば死後事務受任者のBさんとの関係がギクシャクしてしまったとしても、死後事務受任者のBさんを変更する手続きをすれば済みます。

しかし、身元保証会社等で良くある3点セットのような場合は、遺言執行者、死後事務受任者、任意後見受任者のいずれも同一法人となっているケースも多く、上の例でいくと遺言執行者Aさん、死後事務受任者Aさん、任意後見受任者もAさんといった具合です。

この場合に例えばAさんとの信頼関係が崩れてしまい、Aさんとの死後事務委任を解約したいと思った場合に、死後事務委任だけの解約ができるのでしょうか?

契約を単独で解約できるかどうかは契約書の記載によるところもありますが、例え単独で契約を解約できるとしても果たして、単独で契約の解約をするのかという問題があります。

上でも述べた通り、遺言執行、死後事務執行、任意後見業務と、いずれも委任者との高い信頼関係があるからこそ任せているのであって、その人との信頼関係が無くなった以上、死後事務の執行者からは外れてもらうが、遺言執行や任意後見はそのまま続けてもらうとはならないでしょう。

信頼関係が失われて死後事務受任者から外れてもらうのでしたら、遺言執行や任意後見人からも外れてもらうことになるのが普通ですので、全ての契約を作り直す必要が出てきます。

自筆証書遺言、一般契約書での死後事務委任契約でしたら比較的修正もしやすいでしょうが、任意後見契約は公正証書での作成が必須でありますし、遺言書や死後事務委任契約も公正証書で作成されているとなると、全ての契約を公正証書で作り直すケースも出てきます。

ですので、3点セットのように全ての契約を同一法人で作成するような場合は、解約時に上記のような不利益があることも頭に入れた上で契約をする必要があります。

もし、企業側で対応しているようでしたら、ご自身の年齢や健康に合わせて、まずは遺言書と死後事務委任だけ契約しておき、認知機能に自信が無くなる年齢になったら改めて任意後見契約を後から結ぶという方法を採ることも検討しても良いと思います。(一旦は、死後事務受任者として関係を持ち、信頼できると感じたら任意後見を任せる)

遺言、死後事務、任意後見契約ともに一度に全てを契約しなければいけない物ではありません。ご自身のライフステージに合わせて作成を検討してみてくださいね。

死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までお気軽にお問合せくださいね~。

2024.07.18

死後事務委任と任意後見契約はセットで契約しないといけないのか?

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おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。そろそろ名古屋も梅雨明けしそうな感じで夏本番という雰囲気がしてきました。

事務所が名古屋港に近いこともあり先日の「港まつり」の花火も良く見えましたが、歩いて行ける距離なのに実際に行ったのは何十年前だったかな、、、、、。すぐに行ける距離だと逆に足が遠のきますよね(笑)

さてさて、本日はここ最近増えてきた相談について。

当協会では、サービス提供エリア外の方からの相談も電話やメールでお答えしていますが、そうした相談の中に最近増えてきたと感じる相談内容があります。先日も60代の男性からの相談でこんな相談が寄せられました。

(相談内容)
「ひとりで生活しており、子供も兄妹もいません。万が一の時に備えて死後事務をやってくれる会社を探しているところです。私自身はまだ60代ということもあり、とりあえず死後事務委任と遺言だけ作ろうかと思っているのですが、いろんな会社から任意後見契約を一緒に結ぶように言われています。死後事務を頼む場合は任意後見契約もセットで結ばないといけないものなのでしょうか?」といったご相談です。

結論から言えば、死後事務委任と任意後見契約はセットで結ぶ必要はありません。ただ、依頼者の状況によっては任意後見契約を結んでおいた方がサービス提供業者としては死後事務に着手しやすいという事情はあります。

サービス提供事業者が任意後見契約を勧める理由はいくつかあります。
① 死後事務や身元保証契約は80代前後の高齢者が入院や施設入所の際に結ぶ事が多いため、任意後見契約を結ぶことで、依頼者が認知症になった場合でも財産管理や身上監護が行いやすい。

② 移行型と呼ばれる任意後見契約を結ぶことで、依頼者が認知症になる前から財産管理に着手することができるようになり、依頼者の意思が比較的はっきりしているうちから財産状況の整理がしやすくなる。

③ ②の財産管理契約を結ぶことで、依頼者が認知症の診断を受ける前でも財産管理の業務として事業者が報酬を受け取る事ができるようになり、事業者の利益に繋げやすい。

④ 依頼者に万が一の事があった場合に「死亡届」を任意後見人(任意後見受任者)名義で出せるようになる。

などです。

特に、④の死亡届については、死後事務を開始する一番最初に必要となる部分でもあり、この部分でつまずくと遺体の保管期間の延長などで葬儀業者へ支払うドライアイス費用代が上がってしまったりと面倒なことになります。

ご相談者の中、場合によっては士業の先生の中でも勘違いされている方がいますが、「死後事務委任契約」を結べば、家族の代わりに死後事務受任者が死亡届を出せると勘違いされている方がいますが、これは間違いです。

死亡届は戸籍法の87条で届出義務者が明確に定められています。

第八十七条 次の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。ただし、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、これをすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(戸籍法87条)

上記のように、死亡届が出せる人は決まっており、その中には「死後事務受任者」という文言はありません。つまり、死後事務委任契約を結んでいたとしても、死後事務受任者は死亡届が出せないということです。

もちろん、死後事務受任者が死亡届を出せなかった場合でも、親族や賃貸物件の管理人、病院長や施設長等も死亡届を出せますので、実務の現場では死後事務受任者が死亡当時の状況に応じて、死亡届を出せる人に依頼して死亡届をしているのが実情です。

ただ、死後事務委任契約を結ばれる方の多くが親族がいない方や親族に頼れない方ということも多く、契約時に病院や施設に既に入院、入所している状況なら、予め病院や施設側に万が一の時は死亡届の記載をお願いしますと頼んでおくこともできますが、比較的若い方が契約者となる場合は以前としておひとりで暮らしている状況もあります。

契約者の方が賃貸物件でひとり暮らしをしている状況でもし亡くなったようなケースですと、死亡時に関わりのない病院や施設では死亡届の記載について依頼はできませんし、公営住宅ではない一般の賃貸住宅の場合ですと管理会社や大家さんとして死亡届をすぐに書いてくれるかというなかなか難しいものがあります。(なんで入居者の家族でもなんでもないのに死亡届かかないといけないの?という反応は当然ですよね)

そうした孤独死のような状況や旅行中での不慮の事故等の場合にすぐに死亡届をださないといけない状況にあって、死亡届を出せる人を探すのは非常に手間な作業となります。

契約時に死亡届を出せる人がいない、又は死亡届を出せる人に協力を得るのが難しいような状況の方が依頼者の場合は、あらかじめ任意後見契約を結んでおくことで、万が一の際はすぐに死亡届を出せるというメリットが任意後見契約にはあります。

2019年の法改正前までは、死亡届は任意後見人しか出せず、任意後見受任者は死亡届は出すことができませんでした。

しかし、法改正により、いまだ認知症等が発症しておらず、任意後見監督人が付されていない場合(任意後見が始まっていない状況)であっても、任意後見を受けているだけの状況(任意後見受任者)の方でも死亡届を出せるようになりました。

これにより、士業等が任意後見契約を結ぶ際などは死後事務委任契約を同時に結ぶことが多いので死亡届が出しやすくなるというメリットがあります。

こうしたメリットは士業が任意後見契約を結ぶ場合だけでなく、身元保証会社のような高齢者等終身サポート事業のサービスを提供する事業者にとっても大きな意味をもっており、死後事務委任だけを結ぶよりも任意後見契約を一緒に結んで貰った方が業務をスムーズに進めることができるようになる訳です。

ですので、依頼者としては死後事務委任契約と遺言書だけ準備したいと考えていたとしても、サービス提供会社が万が一の事を考えてスムーズに業務に着手できるように任意後見契約を一緒に提案してくるということが良くおきます。

ただ、任意後見契約は必ず公正証書で作成しなければいけないため、契約時に作成費用が増加することもありますし、事業者によっては任意後見契約を結ぶ名目で契約書の作成費用とは別にかなり高額な契約料を請求してくるケースもありますので、その点には注意をして欲しいところですね。

高齢者等終身サポート事業については、先日「
高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が出されてもいます。

ガイドラインの最後には利用者が事業者を判断するためのチェックリストも付いていますので、こうしたチェックリスト等も活用しながら自分に合った事業者がどれなのかを検討してみてくださいね


最後に、高齢者等終身サポート事業者ガイドライン策定される際に高齢者等終身サポート事業者が戸籍法第87条第1項第3号の「家屋管理人等」として死亡届の届出資格者に含まれるのかが検討されることとなりました。

将来的には、死後事務受任者のような高齢者等終身サポート事業者が死亡届を出せるようになるかもしれませんね。

死後事務・相続・遺言等のご相談は名古屋の死後事務支援協会までお気軽にご相談くださいね。

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2024.07.12

先に死んだ者勝ち???

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の谷です。梅雨らしく連日の雨模様ですが皆様体調など崩されていませんでしょうか?

この時期は、食料品も腐りやすい時期でもありますので、ご注意くださいね。一晩寝かしたカレーが旨い!なんて言っておらずに、余った分はすぐに冷蔵庫に入れたり冷凍で保存に回しましょう。

さてさて、本日は死後事務委任のご相談で印象に残った話しをしておきたいと思います。死後事務や現在の世相を良く反映しているエピソードだと感じています。

先日、あるご兄妹の方から死後事務に関して話しを聞きたいとのことでお呼ばれしました。当日は、ご兄妹のおふたりとの面談であったのですが、相談内容としては死後事務や相続全般についてとのことです。

実際に何か具体的な問題が発生している訳でも緊急に契約を結ぶ必要があるといった状況ではなく、将来に備えて色々と情報を集めているといったご様子です。

当協会では、日程や時間を合わせて頂けるのでしたら契約とは関係ないご相談でもできる限り応じる体制をとっていますので、死後事務や相続についてちょっと聞いてみたいというご要望も大歓迎です。

今回のご相談者は、ご兄妹でのおふたり暮らし。どちらも未婚でお子様もおらず、親戚はいるけれ法定相続人に該当するような方はいないといった状況です。

おふたりとも70歳で今はそれほど大きな病気などはないけれど今後も健康でいられるか分からず、最近よく聞く終活についても考えねばと思い始めたとのこと。

そんな矢先に当協会のことを人伝に聞いて連絡をくださったという状況です。

相談自体は、現在のおふたりの状況と家族構成、親戚関係などをおうかがいして、遺言書を作る場合のアドバイスや死後事務委任や任意後見の制度などについて簡単にご説明させて頂きました。

特に死後事務委任については、関心が高かったようで何をどういった方法でどれくらいの費用でできるのかという風に熱心にこちらの説明を聞かれていました。

現在は兄妹でのおふたり暮らしで、仮に片方に万が一の事があってももう片方の方で葬儀や埋葬、その他の手続きについては行うことが出来るかと思います。

もちろん、おふたりとも元気に過ごされてかなりの高齢になってから、どちらかが亡くなったとなれば、体調や体力的な問題で自分では手続きができないかもしれませんが、その年齢でしたら地域の見守りや介護保険の利用などでなんらかの公的サービスを受けている可能性も高いでしょうから、誰かしらの手を借りることもできると思われます。

問題は、片方を見送った後に、では自分の番になったら誰がどうするのか?という部分。やはり、おひとり様になった段階で何も準備をしていないと高齢になってからは契約行為自体も難しくなるので早めに準備だけはしておいた方がいいことはおふたりとも理解されています。

その際にお兄様の方がポロっと言った一言「こりゃ、早く死んだもの勝ちだな。俺の葬儀は任せたぞ(笑)」がもの凄く頭に残るフレーズでした。

今回のように子供や死後事務をしてくれる親戚がいないようなご兄妹や夫婦ふたりで暮らしている方にとって、どちらかを看取った後に残されたおひとりには、ふたり分の負担を背負いこむことになります。

もちろん、片方が亡くなった際の葬儀や埋葬、行政機関への届出等はご自身で出来なければ専門家などに手を借りて終えることはできるでしょう。

しかし、死後すぐに行うべき手続きが終われば本当にひとり分の手続きが終わったと言えるのでしょうか?

ご自宅にはおふたりで暮らしてきた痕跡はもちろん、場合によっては両親と暮らしてきた時からの思い出の品も残っているのではないでしょうか。これらの家財や思い出の品をどのように整理していくのか考えていますか?

お墓はどうでしょうか?もし先祖代々のお墓があり今回亡くなった方をそのお墓に埋葬しているのでしたら、残された方が亡くなった場合にそのお墓はどうする予定ですか?

事前に墓じまいをして永代供養や合祀墓等へ改葬するのか?改葬するとしてお寺との話し合いはスムーズに行くのか?実際の改葬手続きは誰に頼めばいいのか?

おふたりで暮らしていた時には深く考えていなかった事もおひとりになったら、いろいろと頭を悩ませる問題が出てくることになります。

万が一の時は「自分の後始末の準備だけすればいいだろう」と考えている方は多くいますが、事はそう簡単にはいかないケースも多々あります。

特に今回のご相談者のようにおふたり暮らしの方の場合は、最後に残された方が先に逝った家族の分も含めて全ての後始末の準備をする必要が出てきますので、非常に大変な作業となります。

手続的な面は私たちのような専門家でもお手伝いはできますが、「お墓をどうするのか?」や「残った財産をどうするのか?」といった意思決定の部分についてはご本人に決めて頂くしかありません。

こうした苦労を考えると先の相談者のように、いろいろな面倒事で頭を悩ませるくらいなら「先に死んだ者勝ち」という表現の通り、後の事は残された家族に任せて先に逝ってしまった方が気が楽だというのはあながち間違っていないのかもと考えさせられる事となりました。

大家族で生活していた頃はこのような心配をする必要はなく、健康で長生きできることが幸せではありましたが、「小さな世帯」が増える現在では、「先に死んだ者勝ち」という価値観も普通になってきてしまうかもしれませんね。

そんな寂しい価値観が普通にならない為にも、残された方が安心して暮らしていけるお手伝いをしていきたいと考えていますので、相続や死後事務については名古屋の死後事務支援協会へお気軽にご相談くださいね。

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2024.06.21

健康は足から!

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

気温がが上がってくると食欲が落ちてしまう高齢者の方が多くいます。中には病院から貰った液体栄養剤でなんとか凌いでいるという方もいたりします。

食が細くなると如実に体力も落ちてきてしまいますので、無理のない範囲で食べられる物を食べていきましょうね。

さてさて、本日はあまり死後事務とは関係のない話しとなります。

先日、知り合いのお寺の住職様より、檀家の方の遺言書や死後事務委任契約の作成に関する相談に乗って欲しいとのご相談を頂きました。高齢の女性ですが、元気にお寺のお手伝いに来て下さる方とのことです。

さっそく面談をさせて頂き、現在の状況や将来的な希望をおうかがいします。

当初は死後事務委任契約を含んだ遺言書の作成かな?と考えていましたが、実際にお話しを聞いてみると依頼者の方はおひとり住まいではありますが、頻繁に訪ねてきてくれる姪の方がいらっしゃり、非常に仲も良く私たちの事務所へご相談にこられる方としては珍しく親族間の仲が良好の方でした。

そうした、日頃から様子を見に来てくれる親族もおり、相談者の方が亡くなった後のことについても、葬儀や納骨については菩提寺がありますし、死後事務として行う必要のある手続き関係も姪の方を中心に進めることで問題がないとのことです。

ですので、今回はシンプルに遺言書の作成と今後の財産管理等も含めた任意後見契約を姪の方と結ぶための遺言書及び任意後見契約に関する公正証書作成の支援という形でお手伝いさせて頂きました。

任意後見契約の場合はどうしても、受任者となられる方の意思もしっかり確認しておく必要があるため、依頼者との面談の際に姪の方にも同席頂き、今後のことについてお話させて頂きました。

姪の方も将来的には任意後見契約の必要性を感じていたらしく、非常に勉強もされており、こちらの説明もスルスルと話しを理解して頂けて過去に例を見ないほどスムーズな打ち合わせとなりました。

そんな訳で、打ち合わせはすぐに終わってしまいましたので、色々な雑談から健康談議へと話が移り楽しくお話をさせて頂いていたところ、私が最近始めたステッパーを使った運動の話しになりました。

ステッパーて何?となる方もいるかもしれませんが、下の写真のようなその場で足踏みをするような器具のことを一般的にステッパーと呼んでいるようで、テレビの通販番組等でもよく取り上げられているものとなります。

画像を見ると、あ!見たことあると思われる方もいるのではないでしょうか。

ここ数年健康診断の結果で中性脂肪の値が異常値を示していることもあり、一念発起して何か運動をと思い購入した次第です。

当初は、高齢者向けの運動器具だろうとあなどっていましたが、実際にやってみると20分もしてくると汗が滝のように流れ出てくる始末で、意外とあなどれない運動量となる器具でした。

ですので、打ち合わせの際の健康談議でも、「この器具が非常にいい運動になるんですよ~」話したところ、「私の家にも以前にプレゼントで貰った物があるわよ」とご相談者の家にも使われずにタンスの肥やしとなっているステッパーがあることが判明。

せっかくですから、転倒に気をつけてやってみるということになり、思わぬ健康談議に花が咲くことになりました。

上)ナイスデイ 下)オアシスツイストステッパー

後日、公証人より届いた遺言書と任意後見契約書案の最終確認でご自宅を訪問させて頂いた際には、実際にステッパーでの運動を続けているらしく、「これ、本当に先生の言ったとおり結構な運動になるわよね」と楽しんでいるご様子でした。

これから、梅雨の時期となり、日頃から散歩等で運動している方も外へ出ての運動がし辛い時期でもありますので、こうした室内で気軽に運動できる器具がひとつあるといいかもしれませんね。

仕事柄、高齢者の方と接する機会が多いですが、やはり寝たきりとなってしまうと体力の低下はもちろん、認知症の進行がはやまったりと悪いことずくめです。

体力を維持するとともに、第二の心臓ともいえるふくらはぎを健康に保つことで、体全体の健康にも繋がってきますので、運動不足かな?足腰が弱ってきたかな?と思われる方は筋トレという程大げさな物でなく簡単に取り掛かれる、ステッパーを利用した運動お勧めですよ。

※ ステッパーをご利用の際は、転倒に十分注意して壁などに手を付けて安定した姿勢で行ってくださいね。

相続・死後事務に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までお気軽のご相談くださいね。

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お問い合わせ

死後事務支援協会
名古屋市熱田区六番二丁目9-23-604

TEL 052-653-3117
FAX 052-653-3216

お知らせ

2025.02.03

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和7年3月2日

3月度無料相談会のお知らせ

2024.12.02

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和7年2月2日

2月度無料相談会のお知らせ

2024.12.02

毎月第一日曜日に開催している無料相談会ですが、2025年1月度の無料相談会はお正月のためお休みとなります。次回の相談会は2月2日の第一日曜日となります。

2024.11.06

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年12月1日

12月度無料相談会のお知らせ

2024.10.07

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年11月3日

11月度無料相談会のお知らせ
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