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2024.03.28

希望通りに死後事務をしてくれたかは誰がチェックしてくれるのか?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。ようやく桜の開花時期となりましたね、今年は例年よりも遅い感じですが、入学式にはちょうど満開になっている頃合いのようで、ある意味タイミングが良かったのかもしれませんね。

さてさて、本日の話題は「死後事務がちゃんと行われたどうかは誰が確認してくれるのか?」という内容となります。

先日、ある電話相談者の方より、ひとり暮らしの為、身元保証会社をいくつか検討しているけれど、各社それぞれの契約形態や料金形態があって迷っている。

遺言や死後事務委任契約を結んだとして、それが適切に行われたかどうかは自分が死んだ後のことなので確認しようもないけれど、誰かがチェックしてくれるのでしょうか?という相談がありました。同じような相談はけっこう頂いており、皆様心配されている部分ですよね。

今回は、この死後事務委任契約が委任者の希望通りに履行されたかどうかはどのように確認するのかについて考えてみたいと思います。

依頼相手が信用できないなら契約はしてはダメ

まず、大前提としてですが、遺言書や死後事務委任契約を結ぶ際は、その内容を実現してくれる人である「遺言執行者」や「死後事務受任者」という方を事前に決めておき遺言書や死後事務委任契約書に予め記載しておくこととなります。(遺言書は必須ではありませんが、死後事務委任契約書を作成する状況の方ならほぼ必須となります。)

誰かに何かを頼む場合に「この人に頼んで大丈夫かな?」「私の希望通りに進めてくれるのかな?」「なんか頼りないな」と思うような方に安心して仕事を任せられるでしょうか?

ましてや、自分で契約の履行状況を確認できない死後のことになる、遺言書や死後事務委任契約といった手続きを、そんな信用がおけない方に頼むことがあるでしょうか?

遺言執行者や死後事務受任者というのは、自分の死後の手続きを安心して任せられると思った人(または法人)だから
こそ、遺言執行者や死後事務受任者に任命すのであって、そもそも不安を覚えるような相手には依頼してはいけないのは大前提となります。

信用はしているけれどそれでも不安という場合

とは言え、死後事務委任契約を考えている方の場合、多くがおひとり暮らしで親しい親族が周りにはいないという方も多いかと思われます。

そうした場合に、頼りとするのが身元保証団体や死後事務を専門で行う士業等となる訳ですが、当然1回や2回の面談で強固な信頼関係が築ける訳もなく、入院や入所に迫られてなかば周りから押されるような形で契約をしてしまうこともあるかもしれません。

身元保証団体での説明や担当者の応対にも不満はなく、大きな心配はしてはいなけれども、今後何十年も続く契約において当然担当者は変わるでしょうし、場合によっては身元保証団体の方針が大きく変わることもある、そうした事は承知はしてはいるけれども契約の段階ではそんな事はわかるはずもないから何ともしようがないではないかという方もいると思われます。

契約の段階では何十年も先の事はわからないのだから仕方がない、遺言者や死後事務委任契約の内容が正しく行ってもらえると信じて契約をするしかないと思われている方もいると思います。

しかし、それでも遺言や死後事務の内容が正しく履行されているか、遺言執行者や死後事務受任者となる身元保証団体以外の第三者に確認をしてもらいたいと思う場合は事前に対策しておくことができない訳ではありません。

遺言書や死後事務委任契約書にひと手間加える

死後事務委任契約は、委任契約ですので業務が完了した時点で報告の義務があります。死後事務委任契約の委任者は契約の性質上既に死亡していますので、報告の対象者は委任者の権利義務を引き継いだ相続人となります。

ただ、委任者がおひとり様のように相続人が全くいないというケースでは報告先があいまいとなってしまい、報告がされないまま業務が終わってしまうことがあります。

そうした状況ですと、自身が希望した通りに依頼内容が遂行されたかどうかが不安になってしまうでしょうから、相続人の有無に関わらず、業務の報告先を決めておくというのも不安を解消するひとつの方法となり得ます。

死後事務委任契約書は、委任者と受任者との間で契約内容を自由に決められる契約でもありますので、「業務完了後の報告は〇〇に対してするものとする。」のように、報告先を契約内容に盛り込むことで、受任者にとっては契約書で指定された先へと報告する事が委任事務を遂行するうえでの「義務」となります。

この報告先を誰にするのかという問題はありますが、例えば知り合いの士業を報告先にしておいて、適正に死後事務が遂行されたかたをチェックしてもらってもいいですし、士業はちょっと頼み辛いならご友人でもいいでしょう。

しかし、ご友人も同じような年齢ならどちらが先に逝っているかわからないという問題もありますので、そうした場合は遺言書で財産を渡す先を指定しておくのもひとつの方法です。

もちろん、いきなり死後事務受任者から業務報告が来たら財産を受け取る側もびっくりしてしまうでしょうから、大きな団体等へ寄付するのでしたら遺言書を作成する前にそうした報告の指定先にしてもよいのかどうかを確認したうえでの対応とはなります。

財産をご友人やその親族等の比較的親しい関係に渡すような場合なら、事情を説明して死後事務がちゃんと行われてたかどうかの最終確認をだけをお願いしてもよいでしょう。

要は、遺言執行者や死後事務受任者が好き勝手にしないように対策をしておくことが大事になる訳で、遺言書や死後事務委任契約書に報告先の指定などで「義務」を発生させることで、受任者へ適正に業務を遂行させるよう働きかける効果が期待できるようになります。

※ 報告先から業務内容の報告を求められる可能性がある以上、死後事務委任契約書に記載されている内容に反した手続きをしにくくなりますし、依頼内容を遂行するうえで保管しておくべき契約書や領収証を適切に保管するようになります。

ただ、身元保証団体等では定型の契約書が用意されているケースもあるでしょうから、そうした追加条項を特約等で盛り込めるかは契約前に確認しておくと良いでしょう。

頑なにそうした条項の追加を拒むようなら、なにがしら業務の手を抜いていたり、良からぬ事を考えているかもしれないと思い契約自体を考え直した方が良いかもしれませんね。

今回はあくまでこうした方法も選択肢として取れるというご紹介ですので、実際の手続きは死後事務を専門に扱う士業等に個別にご相談くださいね。

2024.02.29

戒名を自分で決められた方の話し

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。今気づきましたが今年はうるう年なんですね。どちらにしても2月は短すぎる!

さてさて、本日の話題は「戒名」について。
死後事務委任契約の依頼を受けるにあたり菩提寺だったり宗旨宗派を確認したりしますが、当協会へ死後事務のご依頼をされる方はどちらかというと、宗旨宗派は気にされない方が多いかもしれません。

依頼者の方の多くがおひとり様ということもあり、ご自身の遺骨は無縁仏になるのを避けてお墓が不要な形で準備されることも多いですし、ご両親のお墓なども自分の代で墓じまいしておくといった方も多くいらっしゃいます。

そうしたご依頼者が多い中で、ある依頼者の方は非常に宗教に関して興味を持たれており、ご自宅はどこの研究室かと思われる位、宗教に関する書籍で溢れていた方がいっらしゃいました。

当然、死後事務のご依頼を頂く際も、事前にご自身が入られるお墓を用意されていました。葬儀時のお寺の指定やお墓を事前に準備しておくということでしたら良くある話しなのですが、この方はなんと「戒名」についてもご自身で決められていました。

死後事務のご依頼は基本的には公序良俗に反しないことでしたら委任者と受任者の取り決めて自由にその内容を決めることは可能ですが、契約したからなんでもかんでもOKとはなりません。

例えば、今回の「戒名」についても、一般的には菩提寺の僧侶より授かるものであるため、生前に戒名を受ける場合でも菩提寺の僧侶に相談することになります。

今回のご依頼者のように、自分が死んだら墓石に自分が決めた内容で戒名を彫って欲しいということになると、お墓を管理するお寺の意向も気になります。

お寺によっては、戒名をお寺の僧侶が付けたものでなければお墓への納骨は認めないといったことも聞くことがありますので、依頼者自身が考えた戒名で受付をしてくれるかは必ず確認しておく必要があります。

今回のご依頼者の方の場合はお墓は既に建てられていましたし、お墓を立てる際にそうした相談もされていたようで、契約時には私からも再度「依頼者の方が考えた戒名で納骨式等は問題ないか」「戒名の付け直しなどは発生しないか」など確認させて頂きました。

この時点では、具体的な戒名についてお伝えはしておらず、「依頼者が考えた戒名で大丈夫か?」との確認をしていました。

今回依頼者が用意されたお墓は宗旨宗派は関係なく受け付けてもらえるお墓でもあったため、戒名についても特に指定はなく、依頼者の方が考えた戒名でも問題ないとのことでしたので、その内容で死後事務委任契約を締結しました。

数年後にその方が亡くなり契約通りに葬儀等を終えて、いざ納骨となった際に納骨式やお墓への追加彫りを依頼する際にお寺側に依頼者指定の戒名を伝えたところ、住職が訝し気な顔をされます。

事前に確認した通り、依頼者指定の戒名での受付は問題ないのですが、戒名に使用されている字が一般的な物ではないとのことです。

私自身も戒名について詳しい訳ではないので、何がどう違うのかはわからないのですが、本来なら〇〇となるところの字が△△となっているという感じで、住職からは「〇〇にした方がよろしいのでは?」と提案されました。

しかし、死後事務委任契約の難しいところでもあるのですが、死後事務受任者の立場としては依頼者との契約を守る必要がありますので、「戒名はこの通りで進めてくれ」と言われたら、こちらの判断で勝手に変えることはできません。

たとえ、それが専門の住職からの提案であり一般的な戒名がそうであったとしても、依頼者が決めた戒名通りにしかこちらでは依頼ができないのです。

なぜなら依頼者が間違った解釈で戒名を付けてしまったのか、それともそうした事情を承知のうえでその戒名を指定していたのかはこちらでは分からないからです。

もしかして、協会側が作成した契約書の覚え書き等が間違っているのか?とも考えたのですが、今回のご依頼者からはメールで戒名の指示を送って頂いていましたので、依頼者から送信されたメールを印刷してそのままお寺へと持参しているため、依頼者の指定の戒名に間違いはありません。

こうなると、私たちとしてできることは依頼者の意思をそのまま伝えるだけですので、「メールに記載されている通りの戒名でお願いします」と住職に伝えるしかありません。

別段、お寺側としても何が何でも修正したいという訳でもないようでしたので、「そういうことでしたら」とそのまま受付をしてくださり、納骨式も無事完了となりました。

依頼者の方はかなりの勉強家であり戒名についてもしっかりと考えたうえで決められていたことと思います。しかし、お寺の住職から「一般的ではない」と伝えられると、受任者としては「このまま進めても大丈夫か?」と不安になってしまいます。

もちろん、死後事務受任者としては契約書に決められた通りに業務を果たしている以上はなんの責任もないのですが、依頼者の方の本来の希望通りになっているのかはどうしても気になってしまうところではあります。

最近は直葬などで戒名を付けずに終わるケースも増えていますが、もし生前にご自身で決めた戒名を付けたいと考えていらっしゃるのでしたら、事前にご住職等とも確認しておくとより確実かもしれませんね。

死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2024.02.23

死後事務委任契約の無い友人が身寄りのない故人の葬儀をあげられるのか?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。なんかいきなり真冬に戻ったかのような寒さですね。暖かくなるのか寒くなるのか分からないと灯油を買い足していいのか迷います。

さてさて本日の話題は、先日事務所に掛かってきた相談電話の話しとなります。こんな相談電話がありました。

「お友達の身寄りの無い高齢者が先日自宅で孤独死の形でみつかり、警察がきていたのだが、もし本当に身寄りが無く誰も葬儀をあげないのなら私が代わって葬儀をあげてあげたいのだがどうすればいいのでしょうか?」

といった、最近は親族でも遺体の引き取りを拒否することが珍しくはない高齢者の孤独死案件で、ご友人が親族に代わって葬儀をあげる方法についてのご相談です。

私たちは普段、ご友人や知人でも葬儀や死後事務は可能ですとお伝えしているところではありますが、これは事前にご本人との間で「死後事務委任契約」等を結んでおくといった準備をしっかりしたうえでの話しであり、今回のご相談はそうした準備がなにも無い状況で、友人が葬儀をあげるには?というご相談です。

電話相談を受けた時は「あれ?できるのか?」「いやでも、役場としては遺体や遺骨を保管しておくよりも誰かに引き渡せるのなら引き渡したいのか?」「いや、でもそれだと何かトラブルが起きたとき大変だしな」「あれでも、戸籍調査で身寄りがないことが確定していればいいのか?」など色んな考えが巡ったりしたのですが、どちらにしても当協会で「できる・できない」と言える内容ではなかったので、故人の住所地の役場の担当部署に確認してくださいと伝えるのみとなりました。

とはいえ、実際どうなのか私自身も疑問に思ったので、名古屋市の健康福祉局へと確認してみました。

質問内容としては、「身寄りの無い高齢者が死亡して、親族がいないケースや親族が遺体の引き取りを拒否したような場合に故人の友人が遺体の引き取りを行って、葬儀等をあげることができるのか?」という質問内容です。

結論から先に述べるのなら、あくまで名古屋市においての対応という形での回答となりますが、「ご友人等への遺体の引き渡しはできません」という回答でした。

ま~、そうですよね。という大方予想した通りの回答ではあるのですが、少し突っ込んで「遺体が引き渡せないのは何かそれを根拠付ける法律や通達があるのでしょうか?」と聞いてみたところ「親族以外に遺体を引き渡してはいけないという法律や通達がある訳ではない」というものでした。

親族以外に遺体の引き渡しを拒否する大きな理由は「トラブル防止」であり、万が一親族以外の方へ遺体の引き渡し等をした後に苦情やクレームが入ったら余計な労力を役所側が負うことになりますので、そうした危険を犯すくらいならはじめから親族以外には遺体の引き渡しをしないとした方がトラブル防止になるという考えですね。

一見お役所仕事のようにも見えますがこれが正しい方法ですよね。高齢者が自宅等で孤独死で発見されたようなケースでは、警察などで戸籍調査等をして親族と思われる方へ連絡をしていき、連絡の取れた親族へ遺体の引き取りやその後の手続きをお願いするといった流れとなります。

ただ、必ずしも相続順位や親等の近い順で連絡が入るわけではなく、賃貸契約書に記載されていた連帯保証人に名前と連絡先があったから相続人でもないのに連絡が掛かってきたということもあり、基本的に親族と連絡が取れた後のことは親族間で解決してくれというスタンスです。

また、連絡が取れた親族からは遺体の引き取りを拒否されたとしても他の親族も遺体の引き取りを拒否するとは限りませんし、親族が必ずしも日本にいるとも限りません。

加えて、以外と多いのが「親族がいるのは確かだが、所在不明だったり、生死不明の場合」。相続の相談でもよくあるご相談のひとつですが、相続人がいるのは間違いないが生きているのか死んでいるのかすら分からないという状況です。

戸籍上は相続人がいるはずなのだが、転出届や転入届をしておらず現住所が過去の記録のままとなってしまっていると警察や役所サイドでは連絡のつけようがありません。

相続人が海外にいて連絡が取れないケースも含めて、そうした一種行方不明者のような方でも親族として存在している以上は、友人等へ遺体を引き渡してしまったりすると、後から行方不明と思われていた親族が表れて「なんで赤の他人に家族の遺体を引き渡したんだ!(怒)」となってしまう可能性もゼロではありませんよね。

そうしたトラブルの可能性がある以上は、それを防ぐ一番の方法は最初から親族以外に遺体の引き渡しをしないというルールにしておくというのもうなずけます。

今回、親族以外への遺体の引き渡しの可否を確認したのは名古屋市だけですので、他の自治体での取り扱いは異なる可能性はありますので、気になるようでしたらお住まいの自治体へ確認してみてくださいね。

もちろん、ご友人等でも生前にご本人と死後事務委任契約等を結んでいるなど事前の準備をしている場合は、遺体の引き取りなども可能となりますので、こうした事前準備の大切さがわかる相談電話でしたね。

死後事務についてのご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2024.02.13

デジタル通帳は財産確認に時間がかかる?!

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。もう2月の中盤で世間はバレンタインで盛り上がっている頃でしょうか。今日から気温もグングンあがるようでもう春ですかね?

さてさて、本日の話題はデジタル通帳について。eco通帳や通帳レス口座などと呼ばれる通帳を発行しないケースの銀行口座のことです。

最近はインターネットバンキングの利用率も高まり、そもそも実店舗が存在しない銀行も増えてきましたが、今回の話題は大手銀行で街中に実店舗やATMがたくさんある銀行についての話題となります。

当協会ではご本人からの死後事務委任とは別に、相続人からご本人が亡くなった後に死後事務委任のご依頼を頂くケースも多くあります。

一般的に相続手続きと呼ばれる範囲がメインではありますが、遠方から来られる遺族に向けて、故人が生活されていた住居の遺品整理や行政機関への届出等も支援しています。

こうした、相続手続きで一番最初に行うのが相続人の確定と故人の財産調査となります。当協会にご依頼頂くケースではそのほとんどが、故人と離れて暮らしていたケースや疎遠な親族からのご依頼がほとんどで、遺族の方は故人の生活状況や財産状況等はまるでわからないといった状況でのご依頼となります。

こうした場合は、遺族が故人がどこの銀行に口座を持っているのかもわからないといったケースも珍しくはなく、故人の財産調査に時間が掛かることになります。

プラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産を持っているケースもありますので、こうした場合は相続放棄との兼ね合いから時間的な制限も加わり、かなりタイトなスケジュールになってしまうこともしばしばです。

こうした故人と遺族が疎遠だったようなケースでの相続財産の確認については、故人が孤独死されたようなケースでは警察が室内から貴重品として、故人の財布や携帯などともに通帳を引きあげているケースも多く、遺族がご遺体の返却を受ける際にこうした貴重品も返却されます。

通帳があった場合には、該当金融機関のATMで記帳をするとある程度の資産状況が判明するので、故人の財産がプラス方面なのかマイナス方面なのかの目安となりますので、通帳が見つかっていると資産確認も早くなります。

ただ、警察から銀行の通帳を返却されて、いざATMで記帳してみようとしても「この通帳はお取り扱いできません。営業時間内に窓口へお持ちください」と表示されて、記帳できずに終わってしまうことがあります。

ひと昔前は、通帳の読み取り磁気が弱まっており、ATMで読み込めなくなっているということが多かったのですが、近年多いのが、デジタル通帳へ口座を切り替えているケースです。

最近各金融機関では、「エコ通帳」「通帳レス口座」「WEB通帳」のようにスマホ等で入出金履歴を確認できる口座への切り替えを勧めています。

銀行によっては、現金のキャッシュバック等も利用してデジタル通帳への移行を強く勧めていたりもしますから銀行側としては通帳の発行費用等の経費削減に大きく貢献するのでしょうね。

そんなデジタル通帳ですが、ご本人が生前に利用する場合にはスマホの画面で入出金履歴を確認できて振込なども銀行へ行かなくて済むというメリットも大きくあります。

ですので、これまでは一般的な紙での通帳を利用していた方もデジタル通帳へと途中から切り替えられているという方が増えてきました。

そうした、これまでは紙の通帳を利用してきた方がデジタル通帳へと切り替えたようなケースですと、デジタル通帳に切り替えた後は紙の通帳は使用できなくなり、ATMで記帳しようとすると上記のようなメッセージが流れて窓口へと案内されてしまうという流れです。

例えば、デジタル通帳への切り替えを故人が令和4年にしており、令和6年に亡くなったとすると約2年分の通帳の履歴がわからないということになります。

相続手続きでは故人の通帳の履歴から、光熱費、NHKとの契約の有無、電話のキャリア、保険契約の有無、クレジットカードの利用の有無、その他各種契約の利用状況などを推察して、関係機関へと連絡をしていくことも多く、こうした故人の資産状況や故人の利用していたサービス状況を確認する上で通帳の履歴というのは非常に重要な情報の塊ともいえます。

デジタル通帳に切り替わっている場合は、こうした相続手続きでは欠かせない情報確認の初手でつまづく事となり、故人の資産状況の確認に時間がかかることになってしまいます。

もちろん、故人のスマホにロックが掛かっておらず、銀行のアプリの暗証番号もわかっているというケースならまだやりようがあるのでしょうが、疎遠だった親族がそうした情報を知っていることはないですので、遺品整理の時に故人が残したメモ等を見つけるしか手立てがなくなります。

では、銀行の口座が凍結する事を承知のうえで銀行に残高証明や入出金履歴の発行を依頼すればいいのでは?と思われるかもしれません。

もちろんそうした方法で確認を取ることはできるのですが、いかんせん時間が掛かります。故人が未婚で子供もいないというケースでは、兄弟や甥姪が相続人になっているケースがあります。

例えば、故人の甥や姪といった方々が銀行に故人の残高証明書や入出金履歴を請求しようと思った場合はどういった書類が必要になるのかというと、一般的には下記のような資料の提出を求められらます。
・故人の出生~死亡までの戸籍(故人が未婚なら父または母(筆頭者)の出生~死亡までの戸籍)
・甥姪の親(故人の兄妹)の死亡の記載のある戸籍
・甥姪の現在の戸籍
・甥姪の本人確認書類
・甥姪の印鑑証明書

一番時間が掛かるのが、「故人の出生~死亡までの戸籍」となるかと思われます。故人が遺族と同じ本籍地に住んでいるのでしたら、まだ手に入れやすいですが、本籍地が遠い他県となると郵送で戸籍を申請する必要があり郵便の往復で該当の戸籍が届くまでに2週間位かかることもありますし、一度の請求で全て揃うとも限りませんので、残高や入出金の状況を確認したいだけなのに、必要な資料が揃うまでに1ヶ月近く掛かってしまうということもあります。

「※令和6年3月1日から戸籍の広域交付がはじまりますので、ご家族が窓口で申請して戸籍を取り寄せる場合は大幅な時間の短縮が見込まれます。」

こうした事情から、ちょっと残高を確認したいや入出金の履歴を見て見たいと思った場合は紙の通帳に記帳できると非常に助かるということです。

デジタル通帳は便利ですしアプリとの連携で銀行へ行く手間もなくなります。しかし、利便性の反面いざという時は、遺族が口座の存在や財産状況を把握できないといったデメリットもあるということは知っておくべきですよね。

こうした事態を防ぐには、「死後事務委任契約や遺言書の準備を!」と言いたいところですが、そこまでは必要ありませんので、自分に万が一の事があった場合に遺族が困らないように分かりやすい場所にメモ等を残しておくことが大事となります。

何を書いたらいいのか分からないという方は、市販のエンディングノートで大丈夫ですので必要と思われ場所を記載して残しておきましょう。

エンディングノートを書くポイントは、「必要な箇所だけ書く」ということです。

市販のエンディングノートの多くは沢山の人を対象に作られていますので、「自分史」や「家族へ伝えたい事」など、人によっては不要な項目も多くありますので、そうした場所を最初から埋めていこうとすると、必ず途中でめんどくさくなってしまい挫折します。

ですので、所有している銀行や不動産の情報、自分が契約している公共料金や電話のキャリア会社、各種サブスク契約など、自分にもしもの事があった場合に必ず連絡しないといけないという部分を中心に記載しておき、余力があればその他の項目も埋めるようにしていきましょう。

今回は、デジタル通帳は相続発生時の財産確認に時間が掛かるケースがあるというお話でした。



死後事務に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までお気軽にご相談くださいね。

2023.12.30

今年1年ありがとうございました。

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

あっという間に年末ですね!今年の年末年始は非常に暖かくなるとの予想ですので、寒いのが苦手な私としては大歓迎です。ただ、その分気温の寒暖差も激しいでしょうから体調管理にはお気をつけくださいね。

さてさて、今年も終わりとなりますが皆様はいかがお過ごしでしょうか。私自身は年末まで仕事が詰まっており、大掃除をする暇がないと何故かクリスマスの日に前倒しで大掃除を片付けていました。(笑)

今年1年も多数の死後事務のご相談を頂きました。特に当協会のエリア外である関東や近畿圏からの相談を沢山頂いており、都市部を中心に今後も死後事務の必要性は高まってくると予想させる相談件数でした。

死後事務委任契約は、人生の終い方のひとつの方法でしかなく、また死後事務委任契約だけ結んでいれば万全というものでもありません。

しかし、おひとりで暮らしている方や身寄りのない方、親族はいても協力を得るのが難しい方、または親族に関わって欲しくないと考えている方等にとっては有効な手段のひとつであるのは確かです。

死後事務支援協会は、来年も死後事務を中心とした相談者の方の様々な要望に応えていけるように業務に邁進していく所存ですので、相続や死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までご連絡くださいね。

最後になりましたが、今年1年誠にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします!

良いお年をお過ごしくださ~い。

2023.12.19

意外と多かったテレビの反響

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。今年の冬は寒暖差が激しいですね。前日まで12月なのに記録的な夏日だったり、そうかと思えば10年に一度の寒波襲来などと、師走なのにさらに忙しない冬で慌ただしさMAXです!皆様も体調管理に気を付けて年末の大掃除や忘年会に臨みましょうね!

さてさて、本日の話題は先日放送された「東海ドまんなか!」のお話しです。

全体的な流れとしては、お墓に関する最近の傾向として樹木葬や永代供養などを考えている人が増加してきており、昔ながらの宗教観に捕らわれない自分らしいお墓を考えるというものでした。

当協会も一部取材に協力させて頂いており、主にゼロ葬の部分、特に火葬後の焼骨を「収骨しない」という選択を依頼者の希望に応じて死後事務委任契約等を利用して行っているというものでした。

ご契約者の方には取材に快く応じてくださり誠にありがとうございます。実際に収骨をしないという方法を選択された方の生の声が視聴者の方に届いたのではないかと思われます。

実際に放送後には何件か電話での相談を頂いたのですが、そのほとんどが「自分も収骨しない方法を検討しているのですが、どのように準備したらいいのでしょうか?」という問い合わせで、火葬後の遺骨を収骨しないという方法を考えている方が自分が思っている以上に多いのだと実感させられました。

火葬後の遺骨を収骨しない方法については、地域によって可能な地域と不可能な地域がありますので、テレビで紹介されたように公正証書で作成した死後事務委任契約に「自分の焼骨は収骨せずに斎場に処分を依頼する」と記載してあったとしても、お住まいの地域(火葬予定の地域)が収骨を義務付けている地域の場合は「収骨しない」という方法を選択することはできません。

ですので、まずはご自身のお住まいの地域の火葬場が「収骨なし」を選択できる地域かを確認して頂く必要があります。一般的に、名古屋を含む西日本地域は火葬後の収骨は「部分収骨」であり、もともと焼骨の一部しか骨壺に納めず、残りは斎場にて処理してもらうため、焼骨の一部の処理だけでなく焼骨の全てを斎場にて処分してもらうという方法が選択できたと言えます。

反対に東日本の多くが焼骨は「全収骨」となっており、大きな骨壺に火葬後の焼骨全てを納めて遺族が持ち帰るのが一般的でしたので、斎場にて焼骨を処分するということを想定しておらず、「収骨なし」を選択できないということになっているかと思われます。

このように、火葬後のお骨を「収骨する」「収骨しない」は多分に地域のこれまでの慣習によるところが大きいですので、収骨しない方法を希望される方は、まずはお住まいの地域の火葬場もしくは火葬場を管轄する市区町村の役場に確認してみてください。

その質問自体は特段失礼な質問という訳でもありませんので、問い合わせをすれば収骨なしを選択できるかどうかは普通に答えてくれます。

では、問い合わせした結果「収骨しない」が選択できない地域だった場合は。お墓や納骨堂、樹木葬等を選択するしか他に方法はないのかというと、必ずしもそうではありません。

ご自身のお住まいの地域が収骨を義務付けられていたとしても、隣接する自治体では収骨なしを選択できるケースもあります。そうした場合は、火葬費用が大きく跳ね上がることになってしまいますが、ご自身のお住まいの地域とは別の火葬場にて火葬して、収骨をしないという選択ができるケースがあります。

参考例として、名古屋市のHPに記載されている斎場の使用料金のページを載せておきます。御覧頂くとわかる通り、名古屋市民の場合とそれ以外の地域で火葬料金が大きく違うことがわかると思いますが、割増料金を支払えば他地域にお住まいだった方の火葬も引き受けてもらえます。

私自身は、まだこうした全収骨地域にお住まいの方を部分収骨地域で火葬して、収骨なしを選択するという依頼は受けたことはありませんが、電話相談などを受けていると収骨なしを選択するために引っ越しを検討するという方もいる位でしたから、わざわざ住み慣れた土地を離れて暮らすよりも、火葬時だけ他地域で火葬するという方法の方が経済的であり合理的でもありますよね。

部分収骨の自治体で近くにある方ならこうした方法も取れなくはないかと思いますが、お住まいの地域の周りが全収骨を義務付けられている地域しかないとなると、ご遺体の搬送の手間などを考えると、こうした方法も難しくなると思われますので、あくまで参考程度にしてください。

お墓については、墓石業者さんが墓じまいで売り上げを上げるといったあべこべな事象が起きているとも聞きます。今後ますます、子供世代にお墓の管理負担を負わせたくないと考える人は増えると予想されていますので、こうした収骨なしが選択できるかどうかは事前に確認しておくと終活の選択の幅が広がることになるかもしれませんね。

死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2023.12.05

相続放棄を考えていたのに、、、、

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。寒くなりましたね!お鍋が恋しくなる時期でもありますが、カセットコンロでの事故も増える時期ですのでお気をつけください。

さてさて、今回は孤独死という形で発見された故人の親族の方からのご相談の話しです。故人は名古屋に住んでいらした方なのですがお一人暮らしのため、一般的に言うところの孤独死の状況で発見されました。

ご相談頂いたご親族の方との関係は良好ではあったものの、お互いに遠方で生活していることもあり、日常的な行き来はなかったとのことです。

ご相談に来られた当初は、「本人がどういった生活をしていたかわからないし、財産状況も良くわからず、面倒な手続きをする位なら相続放棄も考えています」といった感じで、賃貸物件での孤独死対応やその後のもろもろの手続きを考えたら相続放棄をしてしまった方がスッキリしていいのではないかというお考えのようでした。

ただ、お話をよくよく聞いてみると、亡くなったお部屋は市営住宅であり、借金があるような話しは聞いたことはない。定年後もタクシーの運転手として働いていたようだ。と、いたって堅実な生活をされていたご様子。

相続放棄には3ヶ月の熟慮期間もあるので、一度一緒にお部屋を確認してみてからもう一度判断されてみてはいかがですか?と提案して、一緒に故人のお部屋の確認にいくことになりました。

今回は孤独死の状況での発見ではありますが、市営住宅の場合は一般の賃貸住宅のケースとは異なり高額な原状回復費を請求されることはありません。

ですので、故人の預貯金が遺品整理や死亡後の光熱費等を支払える程度に残っているのでしたらあえて相続放棄をする必要は無い状況とも言えます。

もちろん、長年離れて暮らしていたことから、誰かの連帯保証人になっている事なども考えられ、そうした情報は事前に本人から聞かされていないとご家族にはわかりようもありませんので、そうした万が一に備えて相続放棄をするという考え方はあります。

とにもかくにも、故人ののお部屋を見て見ないことには判断がつきませんので、ご家族と一緒に室内の調査に取り掛かりました。

まず、多重債務に陥っているような方の場合は玄関ポストや集合ポストに赤や黄色の目立つ封筒で弁護士事務所や債権回収会社からの通知が届いていたりします。裁判所から通知が来ていれば既に訴訟にまでなっていることもあるでしょう。

とりあえず、こうした債務の存在を示す通知等は全く届いていませんでした。せいぜいガスや電気の使用量を知らせる通知だけです。

室内も男性の一人暮らしと考えれば綺麗な状況で、多少散らかってはいますが、ゴミ屋敷などにはなっていませんし、ある程度、自炊をしていた痕跡もあります。

さっそく、ご家族の方と一緒に相続や今後の役場の手続きで必要になる書類などがないかを確認していきます。財布やスマホなどのある程度の貴重品は遺体発見時に警察の方で事前に回収してくれていますので、警察では探しきれなかった部分や警察が貴重品とは判断しなかったような箇所を重点的に探していきます。

机や押し入れ、タンスの中などを探していき、見つかったのが銀行の通帳と保険証書、クレジットカードやその他介護保険証などの今後役場に返却する必要のある物が多数といったところです。

その場で全ての内容を確認することはできませんので、必要と思われる資料はいったん当協会へ持ち帰らせて頂き、各機関へと問い合わせを行っていきます。

生命保険等は親族や受取人からの問い合わせにしか答えてくれませんので、そうした部分はご家族にもご協力を頂きながら、故人の財産状況を確認しつつ、役場等の行政機関への手続きも同時進行で進めていくことになります。

室内で見つかった銀行の通帳をATMで記帳をしてもらい、ある程度の預貯金の存在が確認できたので恐らく借金等はないだろうとの判断。

借金の有無について信用情報機関へ問い合わせをして消費者金融や銀行等から借り入れが無いかを確認するといった方法もありますが、室内の状況や通帳の記載情報などから、今回はそこまでの調査必要ないとのご家族の判断です。

遺品整理などを行う費用も故人の預貯金で賄えるとなった為、相続放棄ではなく通常の相続を行う方向で決めて、遺品整理やその後の相続手続きに舵を切ることに。

遺品整理も含めて相続手続きについても全て、当協会にご依頼頂けることとなったため、行政機関への届出やクレジットカードの解約、NTTやNHK等の故人が生前に利用していたサービスの解約手続きを進めていきます。

併せて、各金融機関に対して残高証明等の発行手続きを行い、財産目録の作成や遺産分割協議書の作成などを進めていき、無事全ての手続きを終えることができました。

結果的に言えば、故人はかなり堅実な性格だったようで、定期預金にかなりの額が積み立てられており、何も知らずに相続放棄を選択していたらとんでもないことになっていたところです。

しかし、仲が悪くなくても離れて暮らしているとどうしても故人の生活状況を事細かに知ることはできず、まして故人の財産状況などは親しく付き合っている家族ですら知らないことが多いのですから、面倒な事を避けるために相続放棄を選択してしまうということもありえる話しです。

死後事務支援協会では、ご本人からの生前の死後事務委任契約に限らず、相続人の方からのご依頼でも故人の生活状況の確認や財産調査などを通して、死後の手続きに関する支援を行っておりますので、「離れて暮らしていた親族が亡くなり、何から手を付けたらよいのかわからない」といった場合はご相談くださいね。

2023.11.03

高齢者泣かせの故人のカード解約手続き

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。この仕事をしているとカレンダー上の休日は銀行や役場が閉まっていて業務が進まないなと思うだけで、カレンダー上の祝日が嬉しくない事も多々あったりします。(笑)
絶好の行楽日和ですのでお楽しみくださいね。

さてさて、本日は死後事務の手続きでもよく関わることのあるクレジットカードの解約のお話しです。

死後事務のご依頼では、遺言書の内容と併せて故人の債権債務を整理する内容が盛り込まれていることが多いかと思われます。

債権債務の整理というと難しく聞こえるかもしれませんが、要は貰えるお金は貰って、光熱費や治療費などの支払うべきものは支払うということですね。

そうした業務の一環としてよくあるのがクレジットカードの解約手続きです。今回は死後事務委任契約でのご依頼ではなく、遠方に住む相続人の依頼で故人のクレジットカードの解約を行った際の話しを少し紹介しておきたいと思います。

今回のご依頼では銀行系のクレジットカードと携帯電話系のクレジットカードの2種類が対象となっていました。クレジットカード会社に連絡すると相続人本人から連絡させるように言われたり、本人同席の上で電話をして欲しいと言われることも多々あります。(携帯電話なんかでもよくある対応ですね)

ただ、そうは言っても相続人が遠方に住んでいる場合は同席は難しいですし、相続人が高齢者のような場合はそもそもそうした電話連絡での対応が難しいのでこちらに依頼があるわけで、はいわかりました。相続人本人から連絡させますとは言えません。

そもそも今回こちらにご相談頂いた経緯が、カード会社に連絡が取れないことが発端であったりします。最近はカード会社に限らず、電話のオペレーター要員を減らすため自動音声や企業のHP上での手続きを進めるアナウンスがまず流れて、希望する内容に沿って番号をプッシュしていく流れになっており、なかなか担当者と直接話すことができませんよね。

それでも、番号押していき、オペレーターに繋がれば問題ないのですが、中には希望する問い合わせに応じて、「契約者番号」「登録している電話番号」「登録ID」「パスワード」などを入力するように言われるケースがあります。

しかし、死後事務などの相続手続きを行っている場合は故人の電話番号くらしかわからないケースも多く、故人が契約書類を残していなかったり、パスワードなどをメモしていないような場合はこうした情報は相続人には一切わからなく、高齢の相続人の場合は、この段階で電話での手続きが止まってしまう事も多くあります。

実際には案内を最後まで聞けばオペレーターへ繋がる番号の案内が流れたりもするのですが、全部のアナウンスを聞かずに希望する内容の番号を押して先へ先へと進めてしまうと、こうした故人しか知らないような情報の入力を求められて手詰まりになってしまうケースが発生します。

それでも、根気強く確認していればオペレータに繋がるのでしたらまだましな方で、今回はもっと最悪なケース。そもそも電話がつながらないというケースでした。

銀行系のクレジットカードはこちらで手続きをしたら多少の問答はありましたが、比較的すんなりと終えることができました。

しかし、携帯電話系のカードの方はもう最悪の一言でしたね。携帯電話を契約する際に各キャリアで買い物や支払いをするとポイントが貯まってお得!という感じでクレジットカード付のカードの作成を進められる事があると思います。

テレビなんかでもよく宣伝されてポイント2倍や〇〇%の還元等で、「キャリア携帯使用しているのにカードを作っていないなんてもったいない!」みたいな感じで綺麗な女優と一緒にコミカルな人形が動いてたりしますが、ああしたカードの事です。

実際にポイント還元などをしっかりと活用できるのでしたらお得なカードにもなるのでしょうが、死後事務の一環として解約しようと考えた場合は、まぁー面倒で面倒で仕方がないといった感じです。

実際にはカードの解約自体はカード発行もとである携帯キャリアのホームページ上に記載されている連絡先に電話連絡で問題なく行えました。

しかし、解約と併せて実際にカードの引き落としが何の利用料であるのかを確認をしようとしたところ、「こちらは解約窓口であって、利用料の詳細は別の窓口になるのでそちらに問い合わせてもらいたい」と言われてしまいました。

一般的なカード会社の場合は、解約を受け付ける場合には解約に先立って、新たなカードでの引き落としが掛かっていないかを確認して、もし引き落としが掛かりそうな内容がある場合はそちらを先に解約してくださいといった案内があるのですが、携帯会社系のカードの場合は違うのか?と不思議に思った訳です。

ひとまず、担当の窓口の連絡先を聞き、士業の習いか電話番号から会社名を確認してみると「〇〇債権回収会社」と出てくるではないですか。

私自身は遺品整理も良く行いますので、この会社の名前は良く知っています。主に多重債務者であった方が孤独死や自殺したような部屋に良く届いている封筒に記載されている会社名で、債権回収会社とは、端的に言えば消費者金融等からお金を借りていた人に対して直接取り立てることができる会社です。

法務省の認可を受けて営業している債権回収会社であれば違法な取り立てなどはされませんので、悪質な違法業者というわけではありませんが、借金で首が回らなくなった末の孤独死や自殺現場を多数見てきた身としては良いイメージは無いですよね。

別段今回の依頼対象となっている故人も支払いを延滞している訳ではありませんので、債権回収会社のお世話になるような事はないのですが、窓口がそこに指定されているとなると電話を掛けるしかありません。

しかし、いざ電話をしてみるとまず案内された電話番号がナビダイヤル(0570番号)で高額な電話料金がこちらもちとなり、そこからプッシュ番号で希望の問い合わせ内容を押していく仕様です。

そしていざオペレータへー繋がるはずの番号を押しても「ただいま大変電話が込み合っております。後ほどおかけ直しください」の案内のあと呼び出し保留の時間もなく強制的に電話が切られます。

ナビダイヤルのため、待ち時間も電話料金が発生しますので、高額な電話料金が発生しないように敢えて呼び出し保留の状態にせずに強制的に切っているとも考えられますが、これではタイミングよくオペレーターが空いている時に掛けなければ電話が繋がらないことになります。

本当に馬鹿げた方法を採用しているとしか思えません。債権回収会社なのですから延滞者等からの連絡を受けて支払いを促すのが本筋と思うのですが、これでは延滞者からの連絡を自分達から断っているようにしか思えないような状況です。

結局その日は夕方から先方の営業終了間際まで電話をかけ続けていましたが一度も繋がらず電話代だけがかさむ結果となり、本当に腹正しいの一言ですね。

仕方なく次の日も何度もかけ続けてようやくオペレーターと話すことができたのですが、日頃から延滞者の対応ばかりしているからか非常に態度がふてぶてしい感じでこちらも印象最悪です。

あげく、委任状での対応を求めたら、相続人本人同席での連絡か、相続人本人からの直接連絡のふたつの方法しかないと言い出す始末。

再度、相続人からの委任状や印鑑証明の提出もできることを説明したら、裏で上役に確認したのか「それでは公正証書での委任状をFAXしてください」などと訳の分からないことを言い出して、もう頭が痛い、、、、。

委任状をひとつひとつを公正証書にしているわけないやろ、、、、ナビダイヤルで高額な電話料金が発生しているなかでこうした無駄なやり取りをされると、もう悪意でやってるのではと思いたくなりますよね。

改めて、委任状について説明してやっとのことで、手続きを進めることができましたが、本当に無駄な時間でした。携帯系のカード会社の解約は今回が初めてでしたので、全てのキャリアがこうではないと思いますが、ここまで利用者にとって悪意全開のシステムを採用しているところは他にはないことを祈るばかりです。

こう考えてみると、これまで解約手続きをしてきた有名所のクレジットカードの会社の対応は素晴らしかったですね。オペレータの方は内容をよく理解してくださいますし、故人の利用中のサービスがあれば一覧図をFAXしてくれたり、新たな引き落としが掛かったら逐一電話連絡をくれたりと、非常に親切な対応をしてくださっていたのだと改めて思います。。

今回のブログは少々愚痴が多めになってしまいましたが、生前には便利なカードであっても死後の手続きはこんなにも面倒になるという一面の紹介でした。

もちろん、私が経験した内容がたまたまそうだった、ということであり、どこの会社もこうした面倒な仕様になっている訳ではないことは申し添えておきますね。

東海地区の相続、死後事務に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2023.10.27

兄妹相続の手続きは時間がかかる?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。すっかり秋らしくなってきましたね。今年はサンマが豊漁とのことですので、久々に秋の味覚を堪能したいと思います。

さてさて、本日のお題は「兄弟姉妹間での相続手続きには時間がかかる」というものです。

先日、遠方に住んでいらっしゃる相続人の方より名古屋で亡くなられた方の相続手続きの依頼を頂きました。葬儀等はつつがなく終えられて、遺品整理や自動車の処分をしようとなった段階で、相続するのかしないのかを決めかねているというご相談です。

特に孤独死したとか自殺したとかという事故案件ではありませんので、普通に遺品整理をすれば問題ない状況なのですが、なにぶん離れて暮らしていた事もあり、故人の日頃の生活状況や資産状況がどうなっているのかが相続人の方々には全くわからないとのこと。

通常こうした、故人の資産状況が分からないときに一番大事なことが「遺品整理」です。故人の室内には故人のこれまでの生活の全てが残っていると言っても過言ではありません。

ですので、相続する、しないを決めるうえで一番大事なのが故人の生活されていた室内の調査が一番大事となる訳です。

日頃の付き合いが無かった相続人として一番助かるのが、エンディングノートのような形で故人の資産状況や負債状況、各種契約先と連絡先などがひとまとめてにされている物がすぐにわかる場所に置いてあることです。

故人が生前に万が一の事を考えてこうした物を準備しておいてくれると、後の死後事務を行う相続人としては非常に助かります。

しかし、体調の急な悪化や交通事故等で亡くなったようケースではこうした物が用意されている事は珍しく、相続人としては故人の室内から必要な書類を集めていくことになります。

主に見つけるべきものとしては下記のような物となります。
・預貯金の通帳やカード、スマホ内のアプリ
・株式取引などの資料
・生命保険関係の書類
・不動産の登記済証(権利証)
・督促状関係の書類
・携帯電話やサブスク等の定期購入物に関する資料
・保険証などの行政機関へ返却する物

もちろん、上記以外にも大事な物はあるのですが、死後にすぐに行うべき手続きと相続をするかしないかを決める場合には、ひとまずこれ位の資料を集めたいところです。

こうした資料が室内から出てきたら、銀行の通帳を記帳して残高を確認したり、生命保険の会社に電話をして契約状況を確認していくことで、故人の資産状況等が分かってきます。

しかし、こうした資料がすぐに見つかるとは限りません。私も何度も経験がありますが故人の室内調査に相続人に同行して向かったところ、室内がゴミ屋敷のようになってしまっており、大事な書類がゴミに埋もれてすぐには見付けられない。

またはゴミ屋敷にはなっていないが家が大きすぎてどこに大事な書類がしまわれているのかすぐにはわからない。場合によっては、遺品整理業者に貴重品の捜索を依頼していたのに全て処分されてしまい大事な手がかりが何も見つからなかったなんてこともあったりします。

では、こうした状況の場合にどうすればよいのかというと、故人宛ての郵便物や年金の通知書に記載されている年金の振込先銀行等をひとつひとつ確認していき、残高証明等を取り寄せて故人の資産状況を確認していくことになります。

上で書いた通り、室内から故人が日頃利用している銀行の通帳等が見つかれば暗証番号がわからなくても記帳はできますので、相続人である方がATMで記帳をして故人の銀行残高を確認することができます。(記帳行為は相続放棄には影響しませんので、記帳したからといって相続放棄ができなくなる訳ではありません)

しかし、通帳すらみつからないとなると、心当たりのある銀行や高齢者の利用の多いゆうちょ銀行やJAバンクなどに総当たりで確認をすることになります。

各金融機関への預貯金の有無を確認する照会行為は相続では一般的に行われている手続きですので、金融機関としても別段面倒な手続きではありませんからドンドンしていけば問題ありません。

ただ、同じ銀行の別の支店に口座があるようなケースなら同じ銀行間で口座の有無は判明しますが、違う銀行間では情報は共有されていませんし、生命保険のようにどこかに照会をかけたら一括で調べてくれるというサービスもないですので、口座を持っているかもしれないと思われる銀行に手あたり次第照会を掛けていく必要がありますのでかなりの労力を必要とします。

そしてここからが本題となるのですが、故人の預貯金の調査を行う方が誰であるかによって銀行等へ提出する資料が大きく異なるということです。

主に銀行等で残高証明を取ろうとした際には次のような資料を銀行に提出する必要があります。
①故人の出生~死亡までの戸籍
②相続人本人の戸籍
③手続きをされる相続人の印鑑証明書と実印

①で故人が生まれてから死亡するまでの間で、相続人となるべき人が誰になるのかを確認します。
②で故人の相続人が現在生存している相続人であるかどうかを確認します。
③で手続きをされる相続人の本人確認をします。

この中で役所で取得するのに時間が掛かるのが①の本人の出生から死亡までの戸籍となるのですが、一般的な相続(親が亡くなって子供が相続する)のケースでしたら、2~3ヶ所の役場で全ての資料が揃うかと思われます。

故人が生まれてから死亡するまで同じ地域で過ごされていたような方で相続人も未婚といったケースでしたら、ひとつの役場で全て必要な戸籍が揃うこともあるかと思われます。

親子間の相続のような一般的なケースでしたら必要な戸籍もすぐに集まるのですが、これから増々増えると予想される兄弟姉妹間での相続の場合は必要となる資料が大きく異なってきます。

兄弟姉妹での相続の条件としては、故人に子供(第一順位の相続人)がいない、故人の直系の存続(第二順位の相続人)がいないことが条件となります。

つまり、第一順位の相続人も第二順位の相続人もいない場合にはじめて第三順位の相続人である兄弟姉妹に相続権が移ってくることになります。

近年は生涯未婚率の増加や子供のいない夫婦の増加、平均寿命の高齢化などから、兄弟姉妹間での相続が増えてきています。

こうした兄弟姉妹間での相続の場合でも、銀行で残高証明を取ろうとすると先に説明した通り、故人の戸籍等を提出する必要があります。

いくら銀行で自分の身分証明を見せたり、自分の戸籍と故人の戸籍を見せて両親が一緒だから兄妹なのは間違いないと主張しても銀行はそれだけでは受け付けてくれません。

銀行に兄弟姉妹からの残高証明の申請を受け付けてもらうには、兄弟姉妹が相続人になっていることを証明する必要があるからです。

つまり、先述の通り兄弟姉妹が相続人となるのは、第一、第二順位の相続人がいないことが条件となりますから、銀行に提出する資料として、第一、第二の相続人がいないことを証明できる資料を提出しないといけない訳です。

そうなってくると、故人の出生~死亡までの戸籍だけでは資料が不足することになります。
故人の出生~死亡までの戸籍で証明されるのは、第一順位の相続人である子供の有無と故人が未婚の場合なら故人の両親の死亡の有無までとなります。

第二順位の相続人は故人の両親に留まらず直系の尊属とされていますので、故人の両親が亡くなっていたとしても祖父母やさらに上の直系尊属が生きている可能性はゼロではありません。

ですので、こうした直系尊属が既に死亡していることを証明するために、故人の両親の出生~死亡までの戸籍等を取り寄せて直系尊属全員が死亡していることを証明して初めて、兄弟姉妹が相続人になっていることを証明でき、銀行が受付をしてくれることになります。

この作業が一般の方にはなかなかに大変で、戸籍を集めている途中から誰の何の戸籍を集めたら良いのか分からなくなってしまい匙を投げられる方も多くいます。

また、故人及び故人の両親の戸籍を集めようとすると相続人が住んでいる地域だけでは集まらないことがほとんどで、その多くが郵送での戸籍請求となります。

私も数多く郵送での戸籍請求を行ってきていますが、近年は郵便の土曜配達が無くなった事もあり、遠方の役所へ戸籍の請求をする場合は返事が返ってくるまでに10日~14日間ほど時間がかかるようになってきました。

そして兄弟姉妹間での相続では故人の直系尊属の戸籍も必要となり父方、母方の戸籍をそれぞれ郵送で請求するとなると戸籍が集まるまでに2ヶ月近くかかることも珍しくはありません。

こちらがどれだけ最短で戸籍の発行請求をしたとしても郵便の往復時間と役所での処理期間はどうしても時間が掛かる訳で、こちらとしては待つしかない時間が多くなってしまう訳です。

こうした待ち時間をできるだけ短縮するためにも、相続人のお近くで取れる戸籍関係については葬儀の際に一緒に持ってきてもらうなどのお願いもするのですが、それでも短縮できる時間はわずかですので、やはりエンディングノートや銀行の通帳などを故人の室内から見つけるのが大事となってきます。

士業に依頼すれば手早く必要な戸籍集めて貰えると思われるかもしれません。もちろん戸籍の発効請求にも慣れていますし、士業だけが使用できる職務上請求書といった特別な用紙もありますので、一般の方よりは上手に手早く集めることは可能です。

しかし、士業の手続きとは別の郵便の往復時間や役所での処理時間は士業側ではなんともできない部分ですので、兄弟姉妹間の相続では時間を要することになります。

今回は兄弟姉妹間の相続では残高証明1通取るにもかなりの時間が必要となるというお話しでした。

兄弟姉妹に限らず相続手続きや死後事務をされる遺族が困らないように、日頃からの話し合いや親族が遠方に住んでいる場合はエンディングノート等の準備、おひとり様で死後事務を行う方が不在の場合は死後事務委任契約の準備など、それぞれに合った方法で準備をしておくと万が一の時に手続きをされる方が困らなくて済みます。

相続や死後事務のご相談は死後事務支援協会までお気軽にご相談くださいね。

2023.09.20

死亡届人の名前が違う?!

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。9月に入っても残暑が続いていますが、この暑さも今週末あたりでひと段落つきそうな様子ですね。もうひと頑張りしましょう!

さてさて、今回は死亡届の際にあったお話しです。

具体的には、遠方にお住まいのご家族の代わりに死亡後に必要な役場等への届け出を代行していた際の出来事なのですが、そこで滅多に遭遇しない出来事が発生しました。

死亡後に必要な届け出として、死亡届をはじめとして健康保険や介護保険等の資格喪失手続きが必要となります。また自治体によって金額等は変わりますが申請をすれば葬祭費(名古屋の場合は5万円)などの扶助を受けることも可能ですので、こうした届け出は忘れずに行う必要があります。

ただ、遠方にお住まいのご家族の場合は葬儀や遺品整理、金融機関の確認など慣れない地域で土地勘もなく右往左往してしまうことも珍しくはありませんので、そうした部分を当協会がサポートを行っております。

そうした遠方にお住まいのご家族からの依頼に基づいて、故人の死亡後の手続きを代行していた際の話しなのですが、これらの届け出については、一般的には「死亡診断書(死体検案書)」があれば可能です。

ただ、当協会のように死後事務に続いて相続手続きをも代行して行うケースでは故人の相続人調査の一環として故人の出生~死亡までの戸籍が必要になりますので、故人の除票や死亡の記載のある戸籍を取り寄せてから各種届出に入ることもあります。

今回のケースでは、故人が孤独死(孤立死)の状態で発見されたという経緯があった為、警察の方で事前に戸籍調査が行われており、故人の本籍地がお住まいの名古屋にあることが分かっておりました。

ですので、各種届出の前に死亡の記載のある戸籍も発行してもらおうと役場へ赴いたのですが、1時間経っても呼ばれない。係員の方に「まだ掛かりますか?」とたずねても現在確認中ですとの返事だけで一向に進む気配がありません。

待っている時間ももったいないですので、同じ役場でできる申請手続きを先に進めてしまおうと各窓口を廻って、健康保険の資格喪失手続きや敬老手帳や敬老パスの返還手続きを進めていきました。

同じ役場でできる手続きを全て終えて戻ってくると呼び出し番号が表示されていましたので、やっと発行されたかと窓口へ行ったのですが、結果としては発行できないという回答。

理由を確認すると、「死亡届に記載のある届け出人の名前と今回お持ち頂いた委任状との名前が違う」というものです。

当協会が持参した戸籍発行の代理請求に必要な委任状は、依頼者本人の直筆ですので間違いがある訳はなく、問題は死亡届に記載されていた届け出人の名前です。

例えば、名前の一字が「緑」と「縁」のようによく似た感じという物があると思うのですが、今回のケースでは読み方も同じだけれど、偏が違っているという理由でした。

故人の戸籍(除籍)には死亡届を誰が届け出を行ったかが記載されるため、届け出が間違っているとなると役場としても放置しておく訳にはいかず、訂正の届け出をしてくださいということになります。

ですので、届け出人の訂正が終わらない限り故人の死亡の記載のある戸籍の発行は受けれないことになってしまったのです。

しかし、幸いと言っていいのか相続人の方から依頼を受けたその足で役場で手続きをしていたため、間違いが発覚したのも依頼者の相続人と別れてすぐのことでしたので、慌てて相続人の方へと電話連絡を入れて役場への動向をお願いいたしました。

相続人の方も快く応じてくださって訂正の届け出もすぐに終わり、戸籍の発行自体は訂正の手続きをしてからとなるため後日の発行ということには変わりありませんが、最短での発行に漕ぎつけることができました。

行政機関への届け出は戸籍に拘る必要はありませんが、金融機関での手続きではどうしても戸籍が必要となってきますので、戸籍が揃わないと何も始められないといっても過言ではありません。

特に故人と相続人の関係が兄弟姉妹のような関係ですと銀行での残高証明を取るだけでも、「故人の出生~死亡までの戸籍」と「故人の両親の出生~死亡までの戸籍」の両方(本人と父方、母方の3人分)が必要となりますので、故人の子供が相続手続きをする倍以上の時間が掛かってしまうので、戸籍の調査はすぐに取り掛かる必要があります。

今回の原因について、役場の担当者の方は葬儀業者が届け出人の名前を書き間違えたのではないかとおっしゃっていましたが、葬儀業者の方に確認したところ、間違えてはおらず、役場の方が間違えたのではないかと言われ、全く正反対の主張となっていました。

死亡届は役場に保管されていますので、相続人が申請すればどちらが間違えていたかははっきりできるのですが、相続人としては名古屋にいる間に訂正もできているし、誰かの責任を問うようなこともしたくはないとのことで、平穏無事?に終えることとなりました。

手続きを担当していた私としても、滅多にあることではないですので「え?」となったのは正直なところではありますが貴重な体験をさせてもらったと思っています。

相続放棄案件で期限が迫っている時にこんな事態に遭遇したらと思うとゾッとしますけどね(汗)

遠方にお住まいだった故人の死後事務でお悩みの際は名古屋の死後事務支援協会までご相談くださいね。

2023.09.14

名古屋市の敬老パス返却での出来事

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。9月も中旬になろうというのになかなかに残暑が厳しいですね。今年は秋はあるのかな?

さてさて、死後事務支援協会では故人の死後事務を家族からの依頼で行うこともあります。一般的に死後事務委任契約は生前に依頼者本人と契約を結んでおき、依頼者に万が一の事が起きた際は受任者として依頼者(故人)と生前に結んだ死後事務委任契約に基づいて業務を遂行していきます。

ただ、死後事務委任契約を結んでいないと故人の死後事務を第三者ができないという訳ではなく、相続人である故人の親族から委任状等をもらって正式に依頼を受ければ故人の死後事務(葬儀手配、納骨手配、遺品整理等)は問題なく行うことできます。

ですので、私の個人事務所である「第八行政書士事務所」では孤独死された故人の親族からの依頼で故人の遺体引取り、死体検案書(死亡診断書)の取得代行、葬儀の手配や納骨、遺品整理、行政機関への届出等を親族に代行して行うことも良くあります。

真夏の孤独死のようなケースでは警察によってDNA鑑定が行われるケースも多く、警察から親族が連絡を受けてから数週間後に遺体の引取りとなるケースがありますので、事前に死後事務に関する依頼を受けておくことで、親族が名古屋に来られるタイミングで葬儀の手配をしておくことができるようになります。

極端な話し火葬日に名古屋にお越し頂き、火葬中の待ち時間の間に今後の打ち合わせを行い、ご家族は当日中に戻られて、後はこちらで手続きを全て代行するということも可能です。

もちろん、手続きの中には電話回線のように代行するよりもご家族から直接連絡を入れて頂いた方がスムーズに解約手続きが進むという物もありますので、そうした手続きは適宜ご案内させて頂いております。

ですので、当初は3日間程度名古屋に滞在して、役場や遺品整理、金融機関等の手続きをしなければと考えていたご家族の方が、死後事務に関しては全て代行を依頼されて、故人の勤務先やご友人に挨拶だけして1日だけで帰られるということもあったりします。

今回のご相談者の方も同様に遠方に住まわれているご親族の方であり、お仕事の関係でできるだけ手早く必要なことだけを済ませて戻りたいという方でしたので、基本的に全てこちらで代行する形でご依頼頂き手続きを進めて参りました。

遺体引取りの手配、葬儀手配、納骨手配、役場への届出、葬祭費の請求、健康保険等の資格喪失手続き、敬老手帳や敬老パスの返還、遺品整理の手配、公共料金の停止連絡、クレジットカード会社や生命保険協会への契約問い合わせ、NTTやNHKの解約手続き、そして金融機関への相続手続等々を依頼に基づいて一気に進めていきます。

そうした手続きの中で特に大事なのが故人の生活されていたお部屋の遺品整理。故人が孤独死されていた様なケースでは警察の方でもある程度の貴重品は遺体を引き上げる時に一緒に保管してくれますが、あくまですぐに見つかる範囲の貴重品だけですので、相続手続に必要な全ての物を見つけておいてもらえる訳ではありません。

ですので、死後事務や相続手続に必要となる各種書類関係を遺品整理の際に再度士業目線で確認しながら回収していきます。

今回のケースでは、役場の福祉課へ故人の死亡の届出を行った際に敬老パスの発行がされているとお聞きしたため、敬老パスがどこかに隠れていないかと探していたところ、なんとキッチンの台所に残されていました。

その他にも生命保険証券や合併前の銀行の通帳等、実際に契約が生きているのかどうか怪しい資料であっても一旦持ち帰って契約の有無を確認します。(保険関係は相続人から連絡してもらいます)

名古屋市では、65歳以上の方に対して市バスや地下鉄などを無料(発行時に負担金は有り)で乗車できる「敬老パス」を発行しているのですが、利用者が亡くなった際は敬老手帳等と共に福祉課へと返却する必要があります。

今回も敬老パスが見つかったので返却しようと福祉課へ持っていったところ、ICカードのチャージ金額が5,000円ほど残っているので、受け取ることができないと言われてしまったのです。

名古屋市「敬老パスについて」より

これは名古屋市のホーページなどには記載されていないのですが、敬老パスには2万円を上限に電子マネーをチャージでき、利用者が死亡した際などに返還する時にはチャージ残高を220円以下にしておかないと返還には応じてくれなかったりします。

ですので、窓口では「相続人の方でコンビニ等で利用して頂き、チャージ金額を220円以下にしてからお持ちください」と言われてしまうのですが、相続人が名古屋に住んでいる方でしたら問題ないのでしょうが、遠方に住んでいる相続人の場合は困ってしまいますよね。

チャージ金額が上限の2万円近く入っているのでしたらまだしも、500円程度の場合ですとわざわざ遠方に住む相続人に郵送して、相続人がコンビニ等で数百円だけの買い物をして改めて名古屋市の担当部署へ郵送で送るとなると、結構な手間です。

もともと敬老パス自体は返還しなかったとしても罰則等はなく、遺品整理等で見つからなかった場合は紛失したという形で処理されますので、仮に手元に残っていたとしても返還の手間を考えれば相続人によっては返還せずにそのままにしてしまうケースもあると思われます。

敬老パスについている交通系ICカード「manaca」はmanaca単体でも発行されおり、名古屋市及び近郊では定期券などの機能も含めて幅広く利用されています。

manacaにも電子マネーとして2万円を上限にチャージすることができるのですが、こちらは各地下鉄の駅長室などに持参すれば、現金で払戻しを受けることができます。

ですので、相続人や相続人から依頼を受けた士業等が委任状と戸籍関係の書類を持参すれば、その場でチャージ金額やデポジット料金などを精算して現金で返してもらうことができます。

名古屋市交通局「マナカ電子マネー

敬老パスにチャージされた金額は返金してもらえず、manacaにチャージされた金額はその場で即返金。相続や死後事務の手続きを行っているとなんでこんなにも対応が違うの?と思わされる事も多いですが、敬老パスの返還の場合も、後日、相続人の指定口座へ振込みで返還などの対応をして貰えないものでしょうかね。

コンビニや自動販売機でかざすだけで支払うことができる電子マネーは非常に便利で高齢者の利用も増えています。しかし、今回のケースのように返還手続きが面倒となればチャージ金額もろとも処分してしまっているケースも少なからずあると思われ、全体で見ればかなりの電子マネーが闇へと消えていってしまっているのではないでしょうか。

追記(令和5年10月20日)

上記の記事を読まれた方より貴重な情報のご提供を頂きましたので、参考に載せておきます。

上記の記事では、ICカード内のチャージ金額が220円以下でないと敬老パスの受け取りを拒否されることがあり、地下鉄等での対応とは異なり現金での返金は行われていないと実際の窓口で私が経験した対応を記載しています。

情報の提供をして頂いた方は、自分も同じ境遇であり、ICカードにもチャージ金額を入れていることから実際の対応がどのようにされるのかをご自身のお住まいの地区の担当部署へ確認にいきその結果をお知らせくださいました。

その際の回答としては、記事記載のように220円以下でなければ受け取らないという訳ではなく、220円の手数料が掛かってもよければ現金での払い戻しを行うというものだったそうです。

つまり、「相続人に0円にして持ってきてもらう」か「220円の手数料をかけて現金で払い戻す」かの選択肢があるとのことでした。

同じ名古屋市内で区役所によって対応が異なるのか?と疑問に思うところですが、こういった対応もあると知ることができれば次回からは「220円の手数料を支払えば現金での返金対応もありますよね?」と強気に行くことができますし、相続人の方への案内の仕方も変わってきます。

情報提供頂き誠にありがとうございます!

2023.07.22

サイレントコロナの影響

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。東海地方も梅雨明け宣言があり、いよいよ夏本番の到来といった感じでしょうか。

連日の猛暑てかなり体に堪える日々が続いていますが、適切なエアコンの使用などで体に負担を掛けないようにしていきましょうね。

学生は夏休みへと突入して、サマーバケーションの色が濃くなってきていますが、先日伺った病院では、コロナによる面会禁止が再び始まっていました。

病院から深刻な病状にある患者さんの死後事務の相談に乗って欲しいとの連絡を受けて駆け付けたのですが、少し前では面会制限等も緩和されて、公証人の先生も呼びやすいなと思っていたところ、コロナ患者の急速な増加に対応してなのか、一般面会が禁止となっていました。

今回のご相談者の方は病状や残っている時間も限られているということから、担当医の許可を特別に貰って聴き取り等を行わせて頂いていますが、体の状態もあり一度で全ての聴き取りを行うのも難しく実際の契約までには何回かに分けて聴き取りを行う必要があります。

ただでさえ、病院で治療中の患者さんとの打ち合わせは、担当医師とも調整をして行う必要もあり、どうしても日程的に厳しい状況になりやすいのに、コロナの影響でより調整が難しくなってきています。

5類に変更されてからはコロナのニュースは以前ほど頻繁にされてなくなってきており、世間ではコロナへの関心が薄まってきていますが、病院等の患者さんの命を預かる場所では依然として危機感に包まれているのを肌で感じるところです。

高齢者や患者さんと接する機会の多い、私たちのような仕事でも気を抜いてはいけないなと改めて実感したところであります。

コロナへの関心は薄まりつつある現在ですが、関心が薄まっているからこその危険もあります。サイレントコロナには十分お気をつけくださいね。

2023.06.15

遺言書の付言事項は第三者に見られることがある?!

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。6月はジューンブライドとして結婚式のイメージがありますが、この時期は乾季の海外なら別ですが日本では梅雨のシーズンで雨も多く結婚式には向かないと思うのは私だけでしょうかね?

さてさて、本日は遺言書の付言事項について死後事務委任にたずさわる者としての視点から少し注意喚起をしておこうと思います。

遺言書には遺言事項として記載する本文とは別に法的な拘束力のない遺言者の希望や想いを綴っておくことができます。この遺言書の本文とは別に記載される文書を「付言」と呼びます。

イメージ的には、一般の手紙の本文の後の「追伸(P.S)」みたいなものでしょうか、本文で重要な事や伝えたいことは記載したけれど、その本文を補完したり、本文とは別に伝えたい事を記載するようなイメージで合っているでしょう。

一般的に付言事項として書かれる内容としては、「家族へのメッセージ」「感謝の気持ち」「葬儀やお墓の希望」「相続財産の分け方についての理由」「遺留分を請求しないようにとするお願い」等があります。

相続財産の受取人や財産の分け方の指定等の遺言書として法的拘束力のある遺言事項については、遺言の本文に書くことになりますが、家族へのメッセージや葬儀の希望等については、遺言事項とならないため付言事項として扱われることになります。

家族へのメッセージなどの法的拘束力のない付言事項については、基本的には何を書いても問題ありません。士業等の専門家は、家業を継ぐ長男に事業資産を相続させるなどの偏った相続割合になってしまう遺言書を作成する際などに、付言で遺言者の想いを書いておいてもらうことで、たとえ不公平な内容の遺言であっても故人の想いを伝えることで他の相続人が納得しやすい雰囲気を作るための提案を良くしていたりします。

また、相続財産とは別に葬儀や納骨先の希望、可愛がっていたペットの飼育方法等を記載することで、家族に行ってもらいたいことや自分が死んだ後の希望を書いておくことで、遺された家族が判断で困らないようにメモを残すといった使い方もできます。

当協会でも、死後事務委任契約を結ばれる方には遺言書を作成してもらいますが、その都度「付言事項として何か書かれますか?」と確認しています。

死後事務委任契約を結ばれる方には、相続財産を遺しておくべき家族等がいらっしゃらない事も多く、相続財産を自治体や公益団体等に寄付するとして、付言事項は特になしとされている方も少なくありません。

それとは反対に、法定相続人として子どもや兄妹がいるのに、敢えてご自身の財産を相続人以外へと遺贈するという希望を持っていらっしゃる方も大勢います。

相続人がいる場合に、相続人以外へ財産を遺贈する事自体は、本人の財産を誰に渡すかは本人の自由ですので、「遺留分」について認識したうえでなら自己の財産を誰に渡すかは本人が決めれば良いものです。

ですので、自分の財産を動物愛護に使用してもらいたいとして、遺言書の本文に犬や猫の保護を目的とした団体に遺贈するという趣旨の事を記載して、付言には、自分がどれだけ動物愛護について考えているのか、またその想いを家族にも理解してもらい、遺留分の請求等はしないでもらいたいといった内容を付言事項に書くというのは、付言の正しい使い方といえるでしょう。

遺言書における付言事項をこのように使うのでしたら問題ないのですが、死後事務委任契約を利用される方の中にはこれとは違った形で付言の希望を述べられる方もおり、これには注意が必要となります。

死後事務委任契約を利用される方は必ずしも天涯孤独の方ばかりという訳ではなく、相続人として兄妹はいるけれど仲が悪い、だから兄妹の世話にはなりたくないし、自分の財産を渡すのも嫌だから第三者に自分の死後の手続きを依頼したいというケースがあります。

こうした依頼自体は良くある依頼なのですが、いざ遺言書の文案を考えるといった段階で「付言事項はなにか書きますか?」とお聞きすると、上で挙げた何故遺贈をするのか?といった理由を超えて家族への恨み言ともとれる内容を記載しようとされる方がいます。

もちろん、付言事項は自由に記載できますので、家族への恨み言を書いても問題ありませんし、人生の最後にこれだけは言ってやりたい!という強い希望ならそれも有りかと思います。

ただ、中には遺言書の内容は遺言執行者にしか知られないのだから、せっかくだから文句のひとつでも書いておこうと考えている方がいます。

遺言書は故人の最終の意思を表す書面であり、重要な個人情報の塊とも言える内容ですので、当然誰でも自由に見れる物ではありません。

ですので、遺言書を作成される方のなかには遺言執行者だけが遺言の内容を知っていると勘違いされている方がいます。しかし、これは大きな間違いで、遺言書は作成者が考えている以上に第三者の目に触れるものだと考えて作成する必要があります。

実は第三者に見られる事が多い遺言書

先にも書いた通り、遺言書は個人情報の塊とも言えますので関係のない第三者がその内容を知る事はありません。しかし、反対に言えば関係のある第三者は中身を知ることができるとも言えます。

遺言書の内容を実現するにあたって、遺言執行者が定められている場合、遺言執行者は相続人等へ就任承諾通知とともに遺言書のコピーや財産目録を送付しなければいけません。

これは、遺留分をもたない兄妹しか法定相続人がおらず、遺言で全財産を兄妹以外へ遺贈するといった内容のように、兄妹が1円も貰うことがないケースでも、遺言執行者は遺言書のコピー等を兄妹へ送らなければなりません。

遺言書を作成される方の中には、兄妹には遺産を一切渡さないのだから遺言執行者を決めておけば、遺言執行者が兄妹には秘密にしたまま財産を処理してくれるだろうと思われていることがありますが、これは大きな間違いです。

例え、財産を1円も貰わない場合であったとしても法定相続人がいる以上、遺言執行者は法の定めに基づいて遺言書のコピー等を郵送しますので、遺言書の内容は知られることになります。

ですので、いくら付言事項であっても恨みつらみのような過剰な内容を遺言書に遺しておくと余計なトラブルを引き起こす原因となってしまいます。

また、遺言書に記載する財産として「預貯金」「不動産」「株式」「車」等について、誰に渡すのかといったことを記載しますが、こうした内容を実現するにあたり遺言執行者は銀行や証券会社等の各関係機関へ遺言書を提出する必要があります。

例えば、遺言書で銀行に預けている預金を相続人以外の第三者へ遺贈するという内容を書いていた場合、相続発生後に銀行で遺言執行者が手続きをしようと思ったら、遺言書の内容を銀行に確認してもらう必要がでてきます。

銀行側としては、遺言執行者が本当に遺言書で定められた遺言執行者なのかどうか、また財産の遺贈先として本当に相続人以外が指定されているのかどうかを確認しないことには、解約手続きに応じられないため、当然遺言書の内容を確認する必要がでてきます。

これは、その対象財産が預貯金以外の株式や自動車等であっても同様で遺言書の内容というのは、遺言書に記載した財産の数だけ第三者の目に触れると考えてください。

ですので、遺言執行者から兄妹に通知されることを知ったうえで、恨み言を書いた遺言書を作成しようと思っていた場合であっても、その内容が金融機関等の第三者の目にも触れるということまでは想定していなかったということもあります。

私たちのような士業が遺言書の作成のお手伝いをするケースであれば、そうした事情も説明することが出来ますが、最近は法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言の利用も増えてきており、専門家のアドバイスのないまま遺言書を完成しているケースも珍しくはありません。

もし、上記のような内容で付言事項を書かれている方がいたら、遺言書の内容は意外と第三者の目に触れるということに気づいて頂ければと思います。

遺言書、死後事務のご相談は死後事務支援協会までどうぞ~。

2023.06.12

見守り・財産管理契約が命を救った。

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の谷です。連日の雨模様で気が滅入りますね。これからの時期は食中毒や熱中症に要注意となります。特に高齢者の方はちょっとした油断から大きな事故にも繋がってしまいますので、ご本人はもちろん周りの皆様も気を付けていきましょう。

さてさて、本日は死後事務委任契約を結ばれた方の見守り契約の中で起きた出来事についてです。

当協会は、死後事務委任契約を結んで頂いた方には定期的な安否確認をメールや電話にて行っていますが、必要に応じて有料のサービスとして財産管理のサービスも提供しています。

当協会を利用されている方は他の身元保証会社と異なり、万が一の保険的な意味合いで契約されている方も多く、比較的若い年齢層の方の契約が多くいらっしゃいます。

そのため、こうした財産管理契約のサービスを利用される方は少ないのですが、高齢者の中にはご利用頂いている方もみえられます。

そんな見守り・財産管理契約を結ばれている高齢者の方の中のおひとりの話しですが、ある日の晩に入所している施設の方より「散歩に出たきり戻ってこられない。自宅に戻られているかもしれないので一緒に室内の確認をしてもらえないか!?」という緊急の連絡が入りました。

なんでも、昼間に散歩に出たきり戻られてきていないとのことで、施設の方も必死に探されている様子でした。ご本人は別段認知症という訳でもなくどこかで迷子になったとしても周りに助けを求めることは出来るはずで、連絡もないのはどこか人の目のないところで倒れているのではないかということです。

急いでご本人からお預かりしている鍵を持って自宅に伺い、施設の方と一緒に室内の確認をしようとしたところ、玄関のバーロックが掛かっていて開くことができません。

バーロックが掛かっているということは室内に人がいるという事ですから、本人は中にいる!と大声で呼びかけてみると返事がありました。

聞こえる範囲で状況を聞いてみると、自宅に戻った時に転倒してしまい起き上がれなかった様子で、近くに携帯もなく助けが呼べなかったご様子。

とにかく室内に入らないと詳しい状況もわからないので、玄関のバーロックの解除を試みます。以前に勤めていた賃貸不動産の管理会社の経験がこんなところで生きるとは!と思いながらも手早くバーロックを外して中に入れる状況に。

ご本人は寝室の床にうずくまっていらっしゃる状況で、意識はありますが転倒の衝撃か起き上がる事ができません。万が一があってはいけませんので、救急車の手配をするのですが、電話を切って数分もしないうちに救急車のサイレンの音が聞こえてきて、「もう来た!」と日本の救急体制の凄さを実感しました。

救急隊員に引継ぎをして、ご本人はストレッチャーに乗せられて運ばれていきましたが、大きな事故に発展しなくて施設の方とほっと胸をなでおろしました。

今回のご利用者の方は、施設入所の際に自宅の管理も頼まれたため、鍵をお預かりしていましたが、鍵をこちらで保管していなかったら、本人は室内にいるかどうかの確認にも手こずり発見までにもっと時間が掛かったかもしれません。

当時はまだ季節的に涼しい時期でもあったのですが、これが真夏の暑い時期だったらと思うと発見までの数時間が命運を分けていたかもしれません。

そう思うと、施設の方が事前に緊急の連絡先や鍵の保管の有無などを確認しており、すぐにこちらに連絡を頂けたことが功を奏したとも言えますね。

死後事務についてのご相談は死後事務支援協会までどうぞ~。

2023.06.09

成年後見人の市町村申立ての相談が門前払い。親族以外の支援者は話しすら聞いてもらえないのか!?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。名古屋は梅雨らしい天気で、天気予報を見ても雨マークが続く毎日となっております。太陽のありがたみを実感しますね。

さてさて、本日は死後事務とは少し違うのですが死後事務とも切り離しては考えることができない成年後見人についてです。

成年後見人は、既に認知症になってしまっている方などに対して家庭裁判所が成年後見人を選任する「法定後見」と高齢者等が元気なうちに自分で自分の後見人を予め選んで契約しておく「任意後見人」の二種類があります。

法定後見人を選任する場合は、本人は既に認知症等で物事を判断する力が弱まっていることから親族等が申立てを行うのが一般的なのですが、死後事務委任を活用されている方のような場合はそうした身近な親族がいないケースが多くなります。

そうした本人のために成年後見人の申し立てをする人がいない場合は、市町村が親族に代わって成年後見人選任の申立てを行う制度があるのですが、今回はこの市町村申立ての選任についてのお話しとなります。

市町村申立ての具体的な方法等の解説ではなく、役場に相談したところ門前払いをくらってしまい、支援者からの相談では全く対応してくれなかったという話しになりますので、具体的な手続きについて探されている方はこの先をお読みなられても参考にはなならいことを予め書いておきます。

市町村申立て相談までの経緯

今回、市町村申立てで成年後見人の選任をしてもらう必要があるのではと考えた方とは、もともと私自身の個人事務所に入った相続手続きからお付き合いのある方です。

日頃お付き合いのある葬儀業者様より、葬儀を施行された親族の方が故人の相続手続きを行ってくれる先生を探しているとのことでご紹介頂き、亡くなったご主人様の相続手続きを進めていた方となります。

相続人には娘さんもいるのですが、ご病気のため遺産分割を無理に進めることもできず、病状が落ち着くのを待っている間に、奥様より色々と相談を受けて対応をしている間に付き合いも長くなり最近では心配事があれば最初に電話連絡を貰うような関係となっていました。

もともと娘さんとお母さまはお二人で生活されていたのですが、お母さまの身体的状況や娘さんの病状、そしてなによりご病気を抱えた娘さんの世話をしているお母さまの日常生活が私の目から見てかなり危険な状況に映っていました。

そうした危険な状況でもあるのに、高齢のお母さまもご病気を抱えている娘さんもどこからの支援も入っておらず、お住まいの自治体にこの危険な状況が把握されていない状況です。

ですので、まずはお母さまと娘さんの窮状を知ってもらい社会的支援に繋げるために、地域包括支援センター(いきいき支援センター)に状況説明に走りました。

いきいき支援センターにて高齢のお母さまの状況と娘さんのご病気について相談に乗ってもらい、お母さまについては支援実施に向けて要介護認定等必要な手続きを進めてもらい、娘さんについてはお母さまと一緒に保健センターに相談に伺って支援方針を決めていくことになりました。

併せて、娘さんの病状に応じた障害者手帳の交付申請や受け取っていなかった過去の障害者年金等の申請についても社労士の先生にも協力してもらい、無事受給することができました。

ここまでに約1年程掛かっていたりもするのですが、なんとかお母さまも娘さんも落ち着いた生活が出来る状況になってきていました。

お母さま、娘さんともに入院へ

しばらく落ち着いた生活が続いていたのですが、娘さんが病気のために入院をすることになりました。お母さまも高齢ではあったのですが、お会いした当初は娘さんの世話も含めてなんでもおひとりでこなされていたのですが、だんだんと体調を崩されることも多くなり、訪問看護や定期的な医師の診察、リハビリ等を自宅で受けて生活されていました。

この時点で、地域のいきいき支援センターとの繋がりや訪問看護の手配等も終わっていましたので、私としては、定期的な状況の確認やご自身では出せないゴミ出しの手伝いなどを行うといった感じで関わりを続けていました。

また、お母さまが足を悪くされてからは外出をすることができないため、娘さんの入院費用の支払いや日常の各種契約代行等もこの頃には、見守り契約を結び行っていました。

最初に述べた任意後見契約についてもこの時点でお勧めはしたのですが、公証人を自宅に呼んでの手続きについて難色を示されたため、任意後見契約については今後の検討してもらうこととなりました。

そうしている内に昨年の年末(2022年)頃にお母さまから何度が緊急の連絡が入るようになりました。連絡内容は、「ベットから降りたら戻れなくなったからベットに戻して欲しい」「ヘルパーが来たが玄関まで行って鍵を開けることができないので代わりに開けて欲しい(万が一に備えて鍵を預かっている)」といった内容で、体力的にひとり暮らしは危険なのではないかというものです。

時期的に年末ということもあり、このまま訪問看護や病院が休止となる年末年始に入ってしまうと万が一のことが起きた場合には対処が遅れてしまうのではないか?といった心配があり、ケアマネの方とも相談して緊急で受け入れてもらえる病院を探すことに。

幸いケアマネの方の尽力もあり、受け入れ先が見つかり年末は入院手続きや付き添いでバタバタしてはいましたが、おひとりのままにしておくといった事態は避けることができました。

娘さん死亡の連絡が警察より入る

このような形で相続手続きで関与した当初は考えてもいなかった長期のお付き合いとなっていたのですが、娘さんは入院後にグループホームに入って生活するなどして、定期的にお母さまとも電話でのやりとりをして過ごすなど落ち着いた生活が続いていました。

お母さまも入院先の病院で、これまでできなった足の治療等を本格的に行って、時期をみて高齢者施設へ入所といった形で支援方針が決まっていきました。

年が明けてからお母さまも特別養護老人ホームへと入所が決まり、入所契約等のお手伝いをしていたのですが、病院を退院したあたりからお母さまの言動にこれまでにはなかった発言が含まれるようになってきて認知機能が少し衰えているのでは?と感じるようになりました。ただ、私のことはしっかり認識してくれていましたし話しのキャッチボールも問題なくできてはおりました。

お母さまが施設へ入所された事で、自宅でお母さまが娘さんを無理に世話をするという状況が無くなったため、娘さんも自宅でひとり暮らしに向けて病院との調整が行われていました。

しかし、ある日警察より私の携帯へと電話が入り娘さんが亡くなったことを知らされます。もともと、お母さまの手伝いを通して娘さんの支援も行っていたことから娘さんが入院していた病院や市の職員等からは私がお母さまの代理人と思われていたようでこちらにも連絡が入ったようです。

警察からは娘さんのご遺体はどうすれば良いか?との連絡だったのですが、この時点では任意後見契約にまで至っていないため、当然私が決められることではなく、お母さまに判断して頂く必要が出てきます。

しかし、お母さまの認知機能に疑いがもたれている状況でもありましたので、事情説明に伺った警察官おふたりと施設の方にも立ち会ってもらった上で娘さんの死亡連絡と葬儀についての依頼を頂くことになりました。

娘さんの葬儀は無事に終わったのですが、問題は今後の手続きについてです。

娘さんの相続手続きとお母さまの財産管理について

お母さまの支援を行ってきてはいますが、以前に一度勧めた任意後見契約についてはご本人が公証人を自宅に呼ぶことに難色を示されたこともあり、契約の締結にまでは至っていません。

そうなってくると、娘さんの相続手続きや、娘さんの病状が回復した後に共同して行っていこうと考えていたお母さま自身の財産管理についても問題が出てきます。

任意後見契約を締結できていれば、後見監督人の選任の後、任意後見人として各種手続きに入ることもできますが、現状では一介の支援者という立場でしかありません。

支援者という立場であっても、ご本人から委任状を貰えれば金融機関等の手続きも問題なく行えますが、お母さまは退院してからはめっきり体力も落ちで今では自署することもできなくなっています。

つまり、委任状を貰うことができない状況でもあるため、委任状のない支援者の立場として出来る範囲は自ずと限られてきてしまいます。

つまり、このままでは娘さんの相続手続きはもちろんのこと、お母さまの財産管理についても問題が出てくることは明確な状況でもありました。

幸いと言っていいのか、施設入所の際に施設利用料等については全て引落しとなっており、年金についても問題ない額が入りますので、いますぐ問題となってしまうということはありません。

ただ、これまで生活してきた自宅の公共料金や電話回線、インターネット用のプロヴァイダ契約、固定資産税の支払い、娘さんが利用していた携帯電話の解約手続等と、放置しておくと利用してもいないのにどんどん引落しが掛かってしまう利用料や税金の未納問題が出てきてしまいます。

任意後見契約をもう少し強く勧めておけばと後悔するところではありますが、本人の意に沿わない任意後見契約は士業としても無理強いをする訳にはいきません。

上記のような問題が出てくるのは明白でしたので、各種手続きを行うためにも成年後見人の選任が必要となってきます。ご本人には身近な親族と呼べる方は、亡くなった娘さんだけであり、遠方に兄妹や姪等がいるらしいということは聞いてはいます。

しかし、これまでの経緯からそうした遠方の兄妹等に後見申し立てを行えるかと言えばすぐに対処するのは難しいでしょうし、戸籍調査等を行う権限がない状況では連絡の取りようがありません。

こうした親族からの申し立てができない場合に利用できるのが自治体が家族に代わって成年後見人の申し立てを行う市町村申立てです。

私も娘さんが亡くなったとの連絡を受けた次の日に、これまでお母さまの支援を行ってくれ、娘さんの状況もある程度把握している、いきいき支援センターへと市町村申立てについての相談に伺いました。

いきいき支援センターの担当の方より、区役所の担当部署へと繋いでもらい、その足で区役所へ事情の説明を行ってきたのですが、後日、事情説明に伺った区役所の支所がお母さまが特養に入る前の住所での対応地区担当であり、特養に入ってから住所変更をした事で担当区役所が違っていたとの連絡と担当区役所へ引き継ぎをしておきましたのでとの連絡を貰いました。

市町村申立てについての相談について門前払いにあう

引継ぎをしたとの連絡を貰っていたので連絡を待っていたのですが、一向に連絡が入らないためこちらから事情説明に行こうと思い担当区役所の福祉課へアポイントの連絡を入れることにしました。

私の考えとしては、現状のお母さまの状況や今後必要となる娘さんの相続手続き、お母さま自身の財産管理について説明をして、本人面談等を行ってもらい、必要であれば親族調査や親族が見つかった場合には親族からの後見申し立てに向けた意向調査等のハガキ連絡等に繋げていきたいというものでした。

しかし、アポイントの連絡をした際の担当者から回答は「区役所として何かする必要性を感じないため、現状としては区役所として動く予定はありません」というものです。

区役所へ伺って事情説明をしようとアポを取ろうとしたところ、区役所として何か対処する必要性を感じないので、そもそも来てもらう必要もないとの、まさに門前払い状態で、「話しすら聞いてもらえないのか!?」と正直言葉に詰まってしまいました。

だからと言って、この問題を放置しておく訳にもいきませんので、電話で再度状況の説明をしてみたのですが、回答は変わらず、現状では区役所として何か動く必要性は感じないとのことで、市町村申立てでの成年後見の申し立てには繋げることができませんでした。

市町村申したてについての区役所の考え

区役所から市町村申立てについての回答が納得できなかったため、名古屋市自体の考え方についても問い合わせを行いました。名古屋市からの回答は区役所の回答とは異なるのですが、区役所へ相談した際の当時のメモがありましたので、区役所からの回答について自身の備忘録の意味も込めて参考に書いておこうと思います。

娘さんの相続手続きについて成年後見人の選任が必要なのではないか?
相続手続きを行わないことでお母さまご自身の生活に支障が出ない限りは区役所としては成年後見人の必要性を感じない。成年後見人は相続手続きを行うために選任するものではない。
娘さんの相続手続きを放置していたとしても、本人の年金から施設料等の引き落としが掛かっており、問題なく生活できているのなら、成年後見人の必要性は感じず、区役所として本人面談も含めて何か対応をする必要性を感じないので現状で面談等を行う予定はない。

今後の財産管理について成年後見人が必要なのではないか?
今、現時点で生活に支障がでていないのであれば、将来の事についてはその時点になってみないとわからないので、今現時点では成年後見人の必要性は感じない。

将来的に財産管理の必要性が出た場合はどのように申立てに繋いだらいいのか?
身元保証人等の支援者からの申し出ではなく、入所している施設からの申し出があれば対応する。

固定資産税等の税金の滞納が生じた場合はどうするのか?
関係機関からそうした相談が入れば対応をする。

関係機関と連携して連絡が入るのか?
入らない。入所施設へ関係機関から連絡がはいり、施設から相談があれば対応する。

施設側としては年金等から利用料は問題なく引落しが掛かる以上、区役所へ連絡を入れるといった対応をせずに、身元保証人等の支援者に相談する可能性があるが、区役所として施設からの申し出しか受け付けないとしているが、どうするのか?
入所している施設を通して連絡を貰えれば対応する。

区役所としての回答まとめ
・成年後見人は相続手続きのために選任するものではない。
・現時点で本人の生活に支障が出ないのであれば今後の財産管理も含めて成年後見人の選任の必要性は感じず、区役所として何か対応する予定はない。
・将来的に税金の滞納等が発生する可能性があったとしても、実際に滞納等が発生して関係機関から問い合わせが来るまでは対応する予定はない。
・将来的に成年後見人の選任が必要となる状況になったのなら、支援者からではなく入所している施設を通して連絡するように。

現状できる範囲でのことを可能な限り実行

名古屋市に対して行った質問への回答は担当区役所とは異なっていましたが、担当区役所が動かない以上は、市町村申立ては進みませんので、支援者の立場として出来る範囲の事をするしかありません。

役場として重視しているのは、現状本人の生活に支障があるかどうかだけのようで、年金から入所施設の利用料が引き落とされており、本人が問題なく生活を送れていれば、利用していない公共料金等を解約せずに放置して本人の資産が目減りする事についてはなんら対処の必要性は感じないとのことでした。

しかし、利用していない公共料金や電話の基本料金だけでも合計すれば数万円になりますし、解約できるものなら解約して資産の目減りを防ぎたいと考えるのが普通です。

ただ、電気やガス、水道といった公共料金については事情を説明すれば解約に応じて貰えると思いますが、電話やインターネット回線については、恐らく無理だろうと考えていました。

死後事務委任に基づく手続きを行っている経験上、公正証書で死後事務委任契約書を作成していても回線契約の解約手続きは電話対応の時点で断られるケースも多く解約までに時間が掛かることがあります。

実際には受付のオペレーターが家族以外からの申し出方法があることを知らないだけで、家族以外からの解約手続きについて詳しくないだけで手続きは可能なことがほとんどです。

ただ、今回は相続人であるお母さまからの依頼はあっても、署名捺印のある委任状もなければ(委任状へ署名できない)娘さんとの死後事務委任契約もないため、回線契約の会社としても申し出をしてきた第三者が正当な権限を持っているかどうかの確認のしようがないですので、解約手続きを断るのが当然の対応となります。

断られるのは前提ですが、最悪利用者死亡の事実だけは伝えておこうと各所へ連絡を試みます。

電気、水道、ガスについてはこちらは事情を説明して問題なく解約完了。娘さんの利用していた携帯電話の解約については、案の定親族からの解約ができない場合は成年後見人から解約連絡をして欲しいと断られました。

ですので、事情を説明して娘さんの電話料金が引き落とされていた口座を凍結したうえでの、強制解約をしてもらう方向で決着。3ヶ月程、利用料は発生しますが成年後見人の選任の目途が立たない現状ではこれしかありません。

自宅で利用していたプロヴァイダ契約、こちらも恐らく断られるだろうと思っていたのですが、事情を説明したところ何度も担当者が代わりながらも検討してくださり、最終的にはイレギュラーな対応ではありますが、登録住所へ確認のための郵便を送って返信が無い場合は解約に応じるということになりました。

娘さんやお母さま本人が入院してからは自宅の電話もネット回線も使用しておらず、その反面利用料も高かったことから解約できることで資産の目減りをかなり抑える事ができるようになりました。

その他、娘さん自身の障害者資格の喪失や各種死亡に関する行政機関への届出を終えて、こちらで出来る範囲のことは終えましたが、税金だけはなんともできません。

今後、固定資産税の支払いが発生することになりますが、成年後見人がついていない以上、お母さまの預貯金を引き出せる人間がいませんので、区役所の担当者の指示通り税金を滞納して関係機関より問い合わせが入るのを待つしかありません。

今回は、後見人としての資格を持たない支援者の立場の限界と備忘録の目的で記事をあげさせて頂きました。

2023.06.05

子供がいる方の死後事務委任契約の利用方法について

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。

先日の大雨は酷かったですね。名古屋では交通機関に影響があった程度で済みましたが、近隣の豊橋や浜松あたりでは大変な状況になっているようで心配です。梅雨入りして今後も雨が多い日が続きますが、これ以上の被害が出ない事を祈っております。

さてさて、本日のテーマは「子供がいる方の死後事務委任契約の利用について」です。

一般的に死後事務委任契約を利用される方は、天涯孤独で親や兄妹を先に亡くされて身近な親族が誰もおらず自分の葬儀や遺品整理について心配されている方が利用するといったイメージが強いかと思います。

実際には必ずしも天涯孤独の方ばかりの利用ではなく、親や兄妹がいる方、親や兄妹はいないけれど頼れる親族がいる方、場合によってはお子様がいる方でも死後事務委任契約を結ばれる方もいます。

死後事務委任契約はもともと死後事務委任契約単体で契約することは少なく、死後事務委任契約が広まってきた背景には身元保証会社等が行ってきた身元保証契約と一緒に契約される事が多くありました。

身元保証契約と一緒に契約される場合には死後事務委任契約といった名称ではなく「葬送支援」等のように読み替えられていたりもします。

高齢者施設等への入所をする際に身元保証会社と契約する方は基本的には、自身の身元保証人になってくれる方がいない、またはいても過度な負担をかけたくないため身元保証会社へと自信の身元保証を行ってもらうのですが、身元保証人がいない方は、結局は自己の葬儀等を行う人もいないことがほとんどですので、葬送支援のように死後事務を身元保証会社のような第三者へと依頼することになります。

こうした背景から、死後事務委任契約を利用される方は、自己の死後事務を行ってくれる親族等がいないおひとり様のイメージが強くありますが、近年頂く相談の中には必ずしもおひとり様ではない方からの相談が含まれています。

以前から、親族間の仲が疎遠だったり、家族に迷惑を掛けたくないからという理由で、家族や親戚がいるのに死後事務委任契約を検討される方はいらっしゃいました。

理由は様々で、「過去の相続トラブルで兄妹と険悪な関係になってしまった」「甥や姪はいるけれど何十年も会っていないため、万が一の際に相続放棄をされて放置されてしまわないか心配」「立派な息子や娘はいるけれど海外で生活しており、負担をかけたくない」など、利用を検討する方の事情は様々です。

中でも最近良く寄せられる相談が「自分には子どもがいるが死後事務委任契約を結ぶことはできるでしょうか?」というものです。

こうした相談は、上で挙げたようにお子さんが海外で生活しているとか、子供との関係が断絶してしまっているといった事情ではなく、ごくごく普通の家族で仲も悪いわけではないというケースもあったりします。

一見死後事務を利用する必要のない方々のように思えるのに何故死後事務委任契約を検討しているのでしょうか?その理由も気になるところですが、そもそも相続人としてお子さんがいる方は死後事務委任契約を利用できるのか?というところから見ていきたいと思います。

お子さんがいる方でも死後事務委任契約を結ぶことはできる

結論から先に言うと、死後事務委任契約はお子さんがいる方でも契約することは可能です。法律で直系卑属(子、孫等)がいる人は死後事務委任契約をする事は出来ないなどの定めはありません。

しかし、直系卑属や尊属がいる方の場合は相続問題や死後のトラブルが発生する可能性も高くなるため、直系卑属等がいる方とは死後事務委任契約を結ばないとしている事業者もいます。

例えば、当協会がある名古屋市では社会福祉協議会にて下記のような死後事務委任契約のサービスを提供しています。

名古屋市あんしんエンディングサポート事業パンフレット
名古屋市あんしんエンディングサポート事業パンフレット

名古屋市あんしんエンディングサポート事業」とは、あらかじめ預託金をお預かりし、本事業の利用者が亡くなったときに、葬儀・納骨 及び家財処分、行政官公庁等への届出などを行う事業です。名古屋市からの委託により、 社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会(以下「本会」)が実施しています。(「名古屋市あんしんエンディングサポート事業パンフレットより抜粋)

上記の説明のとおり、一般的に死後事務委任契約と呼ばれる内容を名古屋市に居住する65歳以上のひとり暮らしの方に提供するサービスとなるのですが、「利用できる対象は?」を見て頂くとわかるとおり、原則直系卑属がいないことが条件となっています。

この他にも地域の信用金庫などが提供している死後事務委任契約などでは直系卑属がいる方とは契約ができないといったケースもあり、サービス提供事業者としては、直系卑属の有無は契約を結ぶ上で非常に重要な条件となっていたりします。

死後事務委任のサービス提供事業者が、直系卑属等の親族の有無を契約の条件にしている事情には、直系に限らず親族がいる場合は故人の葬儀等を第三者が行うことについて本人(故人)の意思とは別の考えを持たれていることもあり、直系卑属であるお子さんともなれば当然そうしたトラブルが増える可能性が高くなることが考えられるからです。

また、直系血族には「遺留分」といった法律上最低限度認められる相続財産についての取り分があることから、直系血族が遺留分の請求を行ってきた場合に遺言執行に支障をきたす恐れがあります。

遺留分の請求をする以上は、直系血族が本人(故人)の考え方とは違う考えをしているということでもありますから、当然死後事務の執行にも支障をきたす可能性が高くなってきます。

こうした事情があるため、公的機関等が行う死後事務サービスでは直系血族がいる方との契約をしないものと思われます。(直系ではなく、兄妹のような傍系血族には遺留分は認められていないため、有効な遺言書が作成されていれば、遺留分を心配する必要がなくなるため、傍系血族は契約の条件になっていないと思われる。)

お子さんがいる方の死後事務委任契約について考えて欲しいこと

上記のように、事業者の判断でお子さんがいる方との死後事務委任契約を結ばないとしているケースはありますが、死後事務委任契約を結ぶにあたり、お子さんがいる方との契約を禁止している法律がある訳ではありません。

当協会では、基本的にお子さんの有無を契約の条件にはしていないため、ご本人の意思がしっかりとした物であるならお子さんがいる方であったとしても、死後事務委任契約の受任者として活動をしております。

そうした事情から、お子さんがいる方からの相談も増えてきているのですが、最近多い相談の中に自分の子供達に迷惑をかけたくないからという相談があります。

私個人の考えとしては、何か過去のトラブルで親子間の関係が悪化しているといった事情がないのでしたら最後位は子供に迷惑をかけてもバチはあたらないと思っているのですが、親としてはやはり自分の事で子供に負担をかけたくないと思われている親御さんも多くいらっしゃいます。

ただ、死後事務委任契約を結ぶにあたって注意して欲しいことがあります。死後事務委任契約とは、依頼者と受任者との「契約」であり、依頼を受ける「受任者」は死後事務委任契約書の内容に縛られてしまうということ。

死後事務委任契約の基本的な契約条項として、「委任者が死亡しても契約は終わらない」「相続人は自由に契約の解除ができない」といった項目があります。

これは、当事者が死亡したことによって委任契約は当然には終了しないということを契約条項としても盛り込むとともに、相続人であっても委任者(故人)と受任者との契約は自由に解除することはできないということを定めています。

これは、委任者である故人の最後の意思を実現するために必要な項目であり、例えば故人が自分の葬儀や納骨方法について強い希望があったような場合に、家族が勝手にその葬儀の方法や納骨先を変更してしまうような事を許さないといった効果があります。

ただ、これは反対に言えば、たとえ家族であっても故人(委任者)と受任者との契約には口を挟むことはできないことを意味しており、また受任者側も契約書に記載されている内容と異なった方法での執行を許されないことを意味しています。

つまり、家族がいる方が死後事務委任契約を結ぶということは、依頼した死後事務の内容によっては家族の関わりを一切拒否してしまいかねない恐れがあるということです。

ですので、過去のトラブル等でお子さんとの関係が既に切れてしまっているような方なら問題にはならないかもしれませんが、親子間の関係が良好でなんのトラブルもない方が、お子さんの負担軽減だけを目的に死後事務委任契約を結んでしまうと、最後の最後でお子さんの関わりを拒否してしまい、親心から結んだ死後事務委任契約がお子さんとの関係にヒビを入れてしまう結果になってしまうかもしれません。

何が最悪かというと、そうしたお子さんとの関係にヒビを入れてしまったということについて本人は既に故人となっており、気付いてあげることができないということです。

死後事務委任契約はおひとり様がますます増えると予想される日本ではより利用が増えてくる非常に便利な契約ではありますが、必ずしも万人向けの契約ではありません。

死後事務委任契約は公序良俗に反しない限り自由に契約内容を決められる契約でもありますので、お子さんがいる方が死後事務委任契約の利用を検討する場合は、専門家とも相談したうえで上記のような最悪な結果を招かないような契約内容にするようにしておきましょう。

それ、死後事務委任契約でなくても大丈夫ですよ。

死後事務委任を検討されている方からの相談では、上でも書いたように家族に負担を掛けたくないからという理由が多いのですが、よくよく話しを聞いてみると敢えて死後事務委任契約を結ばなくても心配事は解決できるという事もたくさんあります。

例えば、お子さんが遠方に住んでいるので出来る限り自分達(親)で準備をしておきたい。といったケースでは、事前に死後事務委任契約を結んでおいて、お子さんの関与がなくても死後事務が進むように段取りをしておこうといった希望があります。

しかし、死後事務委任契約で実現する内容の多くが故人のお子さんからの依頼でも問題なく実行できるものであり、敢えて生前に死後事務委任契約といった形で契約をしておかなくても、遠方にお住まいのお子さんから士業等の専門家に電話やメールで死後事務に相当する依頼の代行依頼を貰えば、生前に死後事務委任契約を結んでいたのと同じ結果にすることも難しくはありません。

つまり、生前に本人の意思で死後事務を執行するのか、お子さんの意思で死後事務の執行をするかの違いでしかなく、むしろお子さんがいる方の場合でしたら、お子さんの意思も尊重できるように後者の方法で死後事務を実行した方が良い場合もあります。

相続手続きでお子さんが負担に感じるのは、財産として何があって、どんな手続きをする必要があり、またその手続きを誰に依頼したら良いのかが分からないのが負担に感じるのであって、事前にエンディングノート等で詳細をわかりやすくまとめておき、「万が一の手続きは〇〇先生に依頼すること」としておくだけで解決できることも少なくありません。

もちろん、そうした単純な案件ばかりではないでしょうから全部が全部簡単な解決方法は出てこないかもしれませんが、少なくとも死後事務委任契約しか手段が無いといったことはありませんので、相続手続きや終活といった内容に詳しい専門家等とも相談して沢山の選択肢の中ら自分に合った方法を見つけてみてください。

相続や死後事務に関する相談でしたら死後事務支援協会までご連絡くださいね。ご相談お待ちしておりま~す。

2023.05.23

ゼロ葬の相談について

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

5月も終わろうとしており、そろそろ本格的な夏が来る予感!がしていますね。体が暑さに慣れていないうちは急な気温の上昇に体がついていけず高齢者の方にとっては、それこそ命取りとなってしまいますので、適度な水分補給とエアコン等も利用して夏へ備えていきましょう。

さてさて、死後事務支援協会では毎月第一日曜日に士業事務所にて無料相談会を実施していますが、席数の関係から予約をお勧めしております。

前回の無料相談会でも予約で席が満席となってしまっていたのですが、そのご相談者の中に電話予約の際に「ゼロ葬についてお聞きしたい」という方がいらっしゃいました。

なんでも現在は夫婦ふたりで元気に楽しく過ごしているが、将来的にはおひとり様となるため、そろそろそうした情報も集めておかないといけないのではと感じてのご相談のようです。

なんでゼロ葬を?と聞くと、自分達の子供には仏壇や墓守などの負担をかけたくないので、ゼロ葬を考えているとのことでした。

ゼロ葬とは、宗教学者の島田巳氏の「0葬-あっさり死ぬ」(2014年出版)が元になった言葉で、火葬後に遺族が遺骨を引き取らない葬儀のことを指しています。

近年ではお墓を残さない、仏壇を必要としないなどの意味も含めて、自分の死後に家族の負担をゼロにしておく意味も含まれてきているなと感じているところです。

今回のご相談では、本来のゼロ葬でもある「遺骨を収骨せずに終わりたい」というご相談でした。なんでも当協会の過去のブログ「火葬後の遺骨を持ち帰らない(収骨しない)という選択」をご覧になっての相談のようです。

一般的には火葬後の焼骨は骨壺に入れて親族が持ち帰ったうえでお墓等へ埋葬したりしますが、名古屋市はもともと関東圏のように全収骨(全ての焼骨を骨壺に入れて持ち帰る)ではなく、部分収骨(焼骨の一部だけを持ち帰る)のため、もともと親族が持ち帰らない部分の焼骨は斎場にて処理されていました。

焼骨の一部を斎場にて処理してくれるのなら焼骨全部を斎場にて処理してもらうことも可能な訳で、おひとり様問題が顕在化してきた近年では斎場に依頼して焼骨を持ち帰らないとするゼロ葬の依頼も少しずつ増えてきているようです。

過去のブログでは名古屋市の斎場のひとつである「八事斎場」を例に紹介させて頂いておりましたが、ご相談者のお住まいの地域でもそうした焼骨を持ち帰らないとする「ゼロ葬」は可能なのか?というご相談です。

名古屋市近郊は基本的に部分収骨なため、ゼロ葬も可能かと思われるのですが、念のため確認しておこうと相談者のお住まいの地域の斎場を管轄する部署へと問い合わせをしてみました。

相談者のお住まいの地域には火葬場(斎場)はふたつあり、ひとつは自治体が運営する斎場で、もうひとつが外部に委託している斎場となっています。

自治体の斎場担当者に「ゼロ葬」は可能か?と聞いたところ、火葬前に申請してくれば可能という回答で名古屋市とやり方は同じようでした。

ついでに「火葬後の焼骨はどうなるのか?」と聞いてみたところ、何故か急に言葉を濁し始めてはっきりとは答えず、最終的には火葬後の焼骨は専門業者に引取りをしてもらうとのこと。

引き取られた後の焼骨がどうなるのかを聞いてみると、「引渡した後のことはわからない」とのことで、正直それで大丈夫なのか?と思いましたね。

一時期、遺灰から貴金属を抽出するために残骨を売却する自治体の話しが話題になったこともありましたので、もしかしたらそうした話題に発展してしまうのを恐れて明確な回答を避けられていたのかもしれません。

もうひとつの斎場も、ゼロ葬は同じく可能で、こちらは焼骨後の残骨を石川県の大本山總持寺祖院にて供養しているとのことでした。(全国残骨灰精霊供養

相談者の方が心配していたゼロ葬についてはどちらの斎場でも可能のようでしたが、担当者の反応を考えるとゼロ葬であっても遺骨をしっかりと供養してくれる斎場を勧めたくなりますよね。

実際の相談会でのお話しでもこうした話題に触れつつ、依頼者の方が心配されていた地元の斎場でのゼロ葬については問題なく可能であることをお伝えさせて頂きました。

しかし、ゼロ葬を利用するにあたって、親として子どもに負担をかけたくないと考えているのと同様に子供としても両親をしっかり供養したいと思っていることにも忘れないで欲しいと注意点も述べさせて頂きました。

海洋散骨などでは良く聞かれる話しではありますが、親心から遺骨を海に撒いてもらい子供のお墓の負担を減らしておこうと考え実行したところ、家族としてどこに手を合わせれば良いのかわからなくて困ったという話しもちらほらと聞いたりします。

ゼロ葬は、日本人として染みついたお墓や仏壇に手を合わせて亡くなった家族に想いを馳せるという機会を奪ってしまう可能性もありますので、ご家族の負担を減らしたいと考えてゼロ葬を検討されている方は遺されるご家族ともしっかりとお話しをしたうえで利用するかどうかを決めてくださいね。

死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ。

2023.01.23

相続人のいない遺産647億円が国庫入り。増える「おひとり様財産」の国庫帰属

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

明日からは10年に一度の大寒波襲来とのことで今年の冬将軍はかなり苛烈な様ですね。厳しい冷え込みが予想される地域では、水道管が破裂してしまう可能性もありますので、チョロチョロと水を出し続けたり、給湯器の水抜きをしておくなど対策が必要となります。

給湯器はコロナが始まった当初に比べれば商品の入荷は増えてきている傾向にありますが、機種によってはまだまだすぐに交換できるという状況でもないようですのでご注意ください。

さて、本日は相続人のいない方の財産が国庫に帰属するというお話しです。今日ののヤフーニュースで下記のような記事が出ておりました。

何も準備しないと財産は国庫へ帰属?

647億円!!金額の大きさにびっくりされた方も多いかもしれません。この金額は預貯金だけではなく不動産などの資産も含んだ金額となりますので、東京の一等地に不動産を持っていた方に相続人が誰もいないといったケースでは金額が大きくなるのも必然かもしれませんね。

こうした相続人が誰もいないとして国庫へ帰属する金額というのは多少の前後はありますが、右肩上がりで年々増加傾向となっています。記事にもあるように10年前と比べて倍近くの金額に増加しているとなるとこれはもはや社会問題とも言えます。

この問題の背景にあるのは、おひとり様やおふたり様と呼ばれる方の増加にあります。ご存知の通り、現在の日本は少子高齢化が極まり、年々出生率も低くなってきている状況です。

また、ライフスタイルの多様化から、おひとり様と呼ばれる方や結婚をしても子どもを作らないと決めている夫婦の増加などもあり、ますます相続人のいない財産が増えている状況でもあります。

相続財産は呼んで字の如く、相続される財産でもありますので、相続人となるべき人がいなければ相続財産は宙に浮いてしまうことになります。

誰も相続人がいないからといって、銀行や不動産を管理している不動産会社等が、勝手に自分達の資産として回収するなんてことは出来ませんので、宙に浮いてしまっている財産は最終的には国庫へ帰属するということになります。

当然、個人の財産を国のものとする為には相続財産管理人という専門家のもとで相続人の調査や相続人を受け取るべき特別縁故者などがいないかを時間をかけて調査したうえで、最終的に誰にも渡すことができなかった財産が国庫へと帰属することになりますので、手間も時間もお金も掛かる作業でもあります。

相続人勘違いしていませんか?

相続関係図

相続人関係図

相続人がいないこと以外にも相続財産が国庫へ帰属してしまう問題のひとつとして考えられるのが、相続人の勘違いがあります。

相続人となるべき人は左図の「相続人関係図」で示されている方々となり、相続順位に従って相続していくことになります。

ここで注意して欲しいのが、相続人の中に「おじ・おば」「いとこ」が入っていないということ。

甥や姪は相続人になる為、勘違いされている方も多いのですが、「おじ・おば」、「いとこ」の方は相続人とはなりません。

もし、こうした方へ財産を渡したい場合には遺言書を事前に作成しておく必要があります。

勘違いから発生する思わぬ負担

おじやおば、いとこの方が相続人になると勘違いしていて発生する問題もあります。以前のブログでも少しご紹介しましたが、故人に上図で示したような法定相続人と呼ばれる相続人となるべき人がいない場合でも、故人の死後の手続きを「おじ・おば・「いとこ」といった方々が行うというケースがあります。

例えば、今後ますます増加が予想される一人っ子の方が未婚でお子さんがいない状況で亡くなると、第一順位の相続人となるお子さんや孫などの直系卑属はいませんし、高齢で亡くなれば当然両親等の直系尊属もいないことでしょう。

また、一人っ子ということであれば兄弟姉妹もいないことになりますので、第3順位の相続人に該当する方もいないことになり、「相続人不存在」の状況となります。

こうした方々が残した財産が国庫へ帰属することになるのですが、ただ、法定相続人はいなくても「おじ・おば」「いとこ」といった方はいるかもしれません。

実際に私がお手伝いした案件でも、法定相続人はいないけれども近くに住んでいた「いとこ」の方が故人の生前の支援や亡くなった後の死後事務の手続きを担っており、自分達ではできない範囲の手続きのご依頼を頂いてお手伝いしたことがあります。

ただ、上でも述べたとおり、「いとこ」の方は相続人とはなりませんので、例え故人が銀行に預貯金を残していたとしても、それを「いとこ」の方が相続することはできません。

相続ができないのですから、故人が亡くなった後に必要となる、葬儀や納骨、未払いの医療費や各種光熱費の支払い、故人が生活していた賃貸物件の遺品整理や解約手続きなど、諸々に発生する費用は全て「いとこ」の方が自腹で負担しなくてはならなくなってしまいます。

もちろん、故人の方にまとまった財産があるようでしたら、相続財産が国庫へ帰属する前に手続きを行っている相続財産管理人へと「特別縁故者」として申し出を行い、掛かった経費を回収するということも出来ないことはありません。

ただ、相続財産管理人を家庭裁判所へ選任して貰う場合でも数十万~100万近くの予納金を納める必要がありますので、故人の預貯金がこれ以下となるとそもそも申請損になってしまう恐れもあります。

そうなってしまうと、「いとこ」の方としては、もはや故人の預貯金から立替て支払った費用を回収するということはできず、費用はすべて自腹で支払うということになってしまうかもしれません。

法定相続人ではないから、死後の手続きも一切行わないということはもちろん言えます。しかし、生前から親しく付き合っていた経緯もあれば、なかなか見て見ぬふりはできませんよね。

遺言や死後事務委任契約で不測の事態を回避する

こうした相続人のいない方が死後の手続きを予め相続人や相続人以外の方へ頼んでおくのが「死後事務委任契約」となります。

「死後事務委任契約」と聞くと、何か難しい法律用語のように感じて士業のような専門家でしか扱えない業務にも感じますが、実際には一般の方でも行うことができます。

むしろ、家族や親戚の方が日常的に行っている、葬儀や納骨、遺品整理、未払いの医療費や光熱費の支払いといった死後に必要な手続は全て死後事務です。

ですので、士業等が行っている死後事務委任契約というのは、死後事務を行う家族や親戚がいない方に対して家族等に代わって死後事務を行っているに過ぎません。

これまで誰かが亡くなったなら家族が当たり前の様に行ってきた手続きが「死後事務」である以上、家族や親戚が死後事務を行えないなんて事にはなりませんよね。(地理的要因や手続きの煩雑さ等はありますが、、、)

私たち士業が行う「死後事務委任契約」というのは、家族や親戚でもない第三者が故人の死後の手続きを行うにあたって後々トラブルが発生しないように体裁を整えるという意味合いが非常に強いものです。

ですので、こうした家族でも無い第三者が死後事務を行う為に準備する「死後事務委任契約書」というのは、「おじ・おば」「いとこ」といった本来相続人とはならない親戚の方でも予め本人(故人)と契約しておくことで利用することは可能です。

ただ、死後事務委任契約だけですと故人の預貯金等の財産は依然として払戻しを受けることはできませんので、故人の財産を使用して故人の死後事務を実行するには「遺言書」を準備しておく必要があります。

遺言書の活用で死後事務費用を賄う

遺言書はご存知の通り、自分の財産を誰に渡したいのかを書いておく書面であり、その指定方法に法的強制力が与えられるものです。(遺言書には財産以外の事も掛けますがここでは割愛)

ですので、上の事例のように「いとこ」の方が自分の死後に必要な手続きをしてくれるとわかっているのでしたら、遺言書で自分の財産をいとこの方へ遺贈するとしておけば、いとこの方は遺言書等をもって金融機関で故人の預貯金の払い戻しを受けることが可能となります。

ここで感のいい人は気づくかもしれません。「あれ、遺言書だけで預貯金の払い戻しを受けられるなら、死後事務委任契約書なんていらなくない?」と。

まさにその通りであり、遺言書だけで故人の財産を死後事務を執行する方へ渡すことは可能ですので、敢えて死後事務委任契約書なんて難しい書類を作る必要はありません。

死後事務委任契約書は親族でもない第三者の方へ死後の手続きを依頼するような際に、お金だけ持っていかれ、死後の手続きを行わないというケースを防ぐ意味で作成されるものとなります。

ただ、親族間の場合であっても死後事務委任契約書を作成することで、「何を」「どこまでの範囲で」「どういった方法」で行うのかという具体的な希望を整理できるようになりますので、そういった意味では作成する意義もあるかと思います。

親族間での死後事務委任の場合でしたら、死後事務委任契約書でなくとも「エンディングノート」などを活用して、本人の希望を整理するという方法もありますので依頼する側と依頼を受ける側の状況に応じて使い分ければ良いかと思われます。

いずれにしても、相続人のいない方が自分の財産を有効に活用して欲しいと願ったり、自分の死後の事で親戚などに迷惑を掛けたくないとお考えでしたら、事前に準備は必須となりますね。

遺言・死後事務のご相談は随時受け付けておりますので、依頼の有無に関わらず相談事があればお問い合わせフォームにてお送りください。

ご相談お待ちしております~。

2023.01.02

死後事務に対する興味深い意見を頂きました!

新しい年がはじまりましたね。皆様本年もよろしくお願いいたします。死後事務支援協会代表の谷です。

名古屋圏は年末年始も非常に天気に恵まれ穏やかな年始めとなりました。明日くらいからまた強い寒気が来るようですので雪が降る地域の皆様はお気をつけくださいね。

さて、死後事務支援協会の本年最初のブログの内容は、年始に頂いた死後事務に関する意見を紹介させていただこうかと思います。

内容的には死後事務委任なんて必要ない!というもので、私たちの存在意義を否定するものでもありますが、そうした考えを持っている方も当然いて然るべきだなと思い出させてくれるご意見でもありました。

近年はネットや週刊誌でも「終活」の話題で持ち切りで、ひと昔前のように人の死に強い忌避感を持つということは無くなったかもしれません。

いえ、無くなったというのは少々言い過ぎですね、「老い」や「死」「相続」という話題に対して忌避感が薄まった、または高齢者自らが積極的に関わっていこうという方が増えたというべきかもしれません。

もちろん、いまでも親の立場からしたら自分の死後の事を話されたら気分は悪いでしょうし、子供達としてもそうした話題については触れ辛いものなのは変わりません。

ただ、そうした中であっても、相続トラブルが起きないようにとご自身で準備される方や相続人等のいない方は、自分の死後に他人に迷惑をかけないように準備されている方が増えてきているのもまた事実です。

日本社会としても少子高齢化が極まり、単身世帯や子どものいない夫婦(最近ではおふたり様なんて呼ばれたりもしますが)も今後増加することでしょう。

そうした社会の状況や要請に応じて広まってきたのが各種終活関連業務であり「死後事務委任」という制度でもあります。

死後事務委任を利用するかどうかは当然、それを必要する方が決めればいいことであり誰かに強制されるものではありません。

しかし、死後事務委任に限らず葬儀や相続といった人の「死」に関連した仕事というのは、「困っている人の状況を利用したビジネス」と思われてしまう場面もございます。

終活ブームともいえる昨今において、どちらかというと家族や他人に迷惑をかけないように準備するという意味での終活は推奨されている雰囲気があります。

これは日本人の気質として「立つ鳥跡を濁さず」の精神が終活ともマッチした結果と思われ、当協会へご依頼頂く方の多くが同じような事を契約時にはお話しされます。

ただ、そうした考えとは真逆の事を考えている人がいるのも当然で、別にどちらが良い悪いというものではありません。近年の終活礼賛の雰囲気のなかで終活に対して批判的な意見というのはなかなか聴けないものでもあります。

以下に、死後事務や終活全体に対して反対の意見を新年に頂きましたので、過熱する終活ブームに対してもう一度、「終活って何?」「本当に依頼者のためになってるの?」「ビジネスとしてだけで考えていない?」と考えさせて頂くものとなりました。

死後事務をはじめとして終活関連業務に携わる方の年始めの話題には非常に良い内容かとも思いますのでご紹介いたします。

※下記の内容は率直な意見をお伝えするために、当協会へ届いた原文をそのまま掲載しております。個別の相談内容ではなく、また終活等の業務を行う人達全体へのメッセージと判断し掲載させて頂くことにいたしました。

(以下、本文)
死後の準備をしていないと多大な迷惑がかかる?
それがどうした?大いにかければいい。
死んだらいなくなる。ただそれだけ。死んだ自分には関係ない。
葬儀などただの慣習。何の意味もない。
好きに生きて好きに死ぬ。
他人に迷惑がかかる迷惑をかけるなとか言ってる奴らが
日本の陰湿で足を引っ張る社会を作ってると気付けよ。
(ここまでが本文)

こういった意見もあるんだなと思わせる内容ですよね。恐らく終活を考えて実際の準備をされている方にとっては全く反対の考えになっているのかと思われます。

先にも述べました通り、終活や死後事務委任というのは強制されるものではございません。必要に応じて、それぞれの方に適した方法を選択すれば良いと私は考えています。

一口に終活といっても、「遺言」「死後事務委任」「エンディングノート」「家族信託」「身元保証」「葬送支援」等と多岐に渡り、全部が全部必要となる訳でありません。

私たち死後事務支援協会としては、死後事務委任をはじめ依頼者の方の状況に合わせて必要と思われる方法を適切にご提案していくことを使命と考え今年も業務に邁進していく所存でございます。

改めて、本年も死後事務支援協会をどうぞよろしくお願いいたします。

2022.10.20

喰い(悔い)残しがない人生を

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

ドリフの仲本さんが交通事故亡くなられてしまいましたね。8時だよ全員集合をリアルタイムでみていた世代としては悲しい限りです。ご冥福を心よりお祈りいたします。

さて、仲本さんの例に限らず、人の人生何がおきるかはわかりません。そうした場合に備えて利用が進んでいるのが死後事務委任契約ではありますが、先日、当協会をご利用頂いている方が亡くなられました。

もともと病院からのご連絡でかなり慌てて死後事務委任契約を結んだ依頼者の方ではありましたが、当初病院側が予想していた状況とは異なり、お医者さんもびっくりする位、退院されてからは落ち着いた生活が続いており、定期的な安否確認で訪問するとヘルパーさんらと楽しくお話しされていたのを思い出します。

生前のある日のこと、家賃の振込の手伝いに伺った際に依頼者の方が「名古屋のプレミアム商品券」を購入したと嬉しそうに話されていました。

コロナ禍での消費活性化を目当てに名古屋市が発行していたお得な商品券(1万円の購入で1万3千円分の商品券)ですよね。

退院されてからは、おひとりでの外出は難しくほぼご自宅で療養されている状況でしたので、「何か欲しいものでもあるの?」と尋ねたところ「最後に喰い残しが無いようにこれで寿司やメロンを買って来てもらうんだ」と嬉しそうに話されていました。

正直なところ、病状も進んでおりましたのでご本人さんも年を越せるかどうかという感じでいつも生活されていましたので、食べたい物を食べるという楽しみを見つけてくれたことが嬉しかったです。

しかし、そんな話しをしていた矢先に訪問看護の方より緊急入院をされたという連絡が入りました。

病院に確認の電話をしたところ、かなり危ない状況とのことでしたが、幸いそこから持ち直して他の施設へ移るという話しが出る位までに回復されたので、施設入所の契約手続きをを行うために病院へ伺うと、先日のプレミアム商品券が手荷物のカバンから出てきました。

かなりの枚数を使用されていたので、「好きなもの食べれた?」と聞いてみると、「あと少し残ってる」とのことです。移転先の施設では施設のスタッフの方が希望するものを購入してきてくれるという話しでしたので、楽しみにしていると笑顔でおっしゃていました。

プレミアム商品券もまだまだ残っていましたので、使い切るくらい好きな物を食べようねと話して、その日はお別れしたのですが、入所施設へ移る直前になって体調が悪化して移転は中止。そのまま病院で看取りを行うことに決まりました。

ちょうどコロナの第7波が勢いを増してきていたこともあり、病棟へ入ることもできず状況を見守っていましたが、残念ながらお亡くなりになったとの連絡を受けることになりました。

病院から引き揚げてきた手荷物には未使用のプレミアム商品券が数冊残っていましたが、他に使い切る寸前の束もありましたので、ご依頼者の方が好きな物を食べて過ごしてくれていたことを願うばかりです。

私もこの方のように最後は美味しい物を食べて喰い(悔い)残しのない人生を歩めたらと思わずにはいられませんでした。

死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2022.10.19

相続人がいる場合の死後事務委任契約

おはようございます。死後事務支援協会の代表の谷です。もう10月も後半戦に入ろうとしていますね。秋も深まってきた感がありますが、この時期は気温の寒暖差が激しいので体調管理には気を付けましょう。

さてさて、本日は家族や相続人がいる場合の死後事務委任契約のご利用について少しご紹介したいと思います。

ご存知の方も多いかと思いますが、「死後事務委任契約」とは自分の死後の手続きを他の誰かに生前に(準)委任契約を結んで依頼しておくものとなります。

簡単な例を挙げて言えば、自分が死んだら葬儀は〇〇葬儀社で行って、遺骨は〇〇寺に永代供養してもらい、遺品整理や公共料金の停止連絡もお願いね~。

といった、本人の希望を契約書に記載しておき、依頼を受けた方がそれを本人が亡くなった後に契約書に基づいて実行していくということですね。

え?それって家族がやるんじゃないの?と思われるでしょうが、必ずしも家族がいるとは限りませんよね。少子高齢化が増々進む日本では、自分の死後の手続きをしてくれるお子様やご兄妹がいない方というのは珍しくなくなってきています。

そうした、様々な事情により、自分の死後の手続きを第三者に依頼して誰にも迷惑をかけないように予め準備しておきたいという方が利用し始めているのが「死後事務委任契約」となります。

では、反対に相続人や親族がいると「死後事務委任契約」は結ぶことはできないのでしょうか?

結論から言うと、相続人やその他の親族がいる場合であっても「死後事務委任契約」は結ぶことは可能です。

しかし、本来、相続人や親族が行う故人の死後の手続きを第三者が行う上での注意点やトラブルの発生については、充分理解したうえで利用する必要があります。

例えば、自分の死後の葬儀や納骨を死後事務委任契約によって依頼しておきたいと考えた場合、葬儀業者や納骨先のお寺等を契約で決めておけばそれで準備万端とはいきません。

葬儀を挙げる場合は基本的にお近くの葬儀業者を利用するケースが一般的かと思われます。病院や施設で亡くなった際に、葬儀社に依頼して遺体を搬送して頂き、24時間保管後に葬儀の実施となります。

では、葬儀業者側として親族以外の第三者が故人の葬儀の依頼をしてきた場合に、葬儀を受けてくれるのでしょうか?

これは、葬儀社毎の判断によりますが、親族以外の第三者からの依頼は受けないとするところもあれば、公正証書で死後事務委任契約等の権限を証明する書類があれば受けるという葬儀社もあります。

一番確実なのは、死後事務委任契約を締結する前に葬儀社に依頼者と共に生前見積りを取りにいき、「私に万が一の事があればこの人から連絡がくるからよろしく!」と伝えておいてもらうことですね。

そうすれば、葬儀社側でも生前のご本人の意思確認が取れていますので、いざというときは非常にスムーズにご本人の希望通りの葬儀を挙げることができます。

反対に、そうした準備をしていない場合だと、葬儀を挙げた後に故人の親族から「なんで赤の他人が勝手に葬儀を挙げているんだ!(怒)」というクレームが葬儀業者に入る可能性もありますので葬儀業者としても慎重になる部分ではあります。

これ以外にも、相続人がいるが為にトラブルの原因となるケースがあります。一般的に死後事務委任契約を締結するようなケースですと、死後事務委任契約以外にも「遺言書」を作成しているケースが多いかと思われます。

まったくの天涯孤独の方の場合は、身近な友人や友人の子ども、お世話になった施設や公益財団や自治体等へ寄付するというケースがあるかと思います。

では、相続人がいる場合は上記のような寄付をすることはできないのか?というと、そういう訳ではなく、自分の財産を最終的にどのように処分するかどうかは本人の自由ですので、遺言書には自由に寄付先を指定しおくことはできます。

ただ、実の子ども等には「遺留分」という、法律上最低限保証される相続分という物がありますので、そちらを主張されれば、遺留分については取り戻される可能性があるというだけです。

故人の兄妹や甥姪には上記の「遺留分」は発生しませんので、相続人が兄妹や甥姪しかいないという方の場合は、遺言書で自由に財産処分が可能です。

しかし、実のお子さんがいる場合に、全部の財産をお世話になった施設や公益団体に寄付するというケースでは、寄付を実行した後にお子様方より「遺留分侵害額請求」として、遺留分を取り戻す請求がなされると、寄付された側が返還手続きなどを行うこととなりますので、よかれと思った寄付が却って迷惑をかけてしまうということもゼロではありません。

もし、遺留分を有する相続人がいる場合に遺留分を侵害するような遺贈寄付を考えているようなケースは、事前に寄付先とも相談した上で、遺言書の内容を考えておく方より安全かと思われます。

実際に先月に亡くなったご依頼者のケースでも、遺留分を有するお子様方へ当協会より遺言書の写しと現時点での財産目録を郵送したところ、お子様方へ一切財産を残さないという遺言の内容だったため、問い合わせの連絡が入りました。

「生前に本人には相当な迷惑を掛けられたから、ある程度の金銭は相続人へと渡して欲しい!」というご相談です。

もちろん事情はわかります。しかし、遺言執行者や死後事務受任者として出来るのは、遺言書と死後事務委任契約書に書かれていることだけのため、権限外の事はできません。

ですので、遺言書に相続人以外の公益財団等へ全財産を寄付するという記載があれば、遺言執行者としてはそれを忠実に実行するのが職務となるため、「それはできません」とお答えすることしかできないことになります。

今回のご依頼のケースでは、もともと清算型遺言という形をとっており、「自分が死んだら、葬儀費用や遺品整理、未払いの治療費や公共料金等、死後の手続きも含めて全ての債務を支払ったうえで、残額があれば、〇〇財団へ寄付して欲しい」という遺言の内容でした。

このケースですと、死後の手続きも含めて、故人が負っている全ての債務を清算した上で、余りがあれば希望の寄付先へ遺贈するという内容になります。

もともと葬儀や遺品整理等を含めた費用を清算するとギリギリの預貯金しか残っていなかったこともあり、財産目録で死亡時の財産とこれから発生する費用等をご説明して、残金の概算をご説明したところ、敢えて法的手続きしてまでも取り戻すほどの物ではないという判断に至ったようです。

しかし、今回のケースとは異なり多少面倒であっても取り戻すだけの資産があるようなケースでは、遺留分の請求を行うことも当然予想されます。

遺言、死後事務を利用する場合は、相続人が誰もいない場合よりも、相続人がいるケースの方がより注意が必要となることを知っておいてください。そうでないと思わぬ形で遺贈先などへ迷惑を掛けてしまうことになってしまうかもしれません。

遺言・死後事務のご相談は死後事務支援協会までお気軽にお問合せくださいね。

2022.08.30

増える相続人からの死後事務依頼

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。8月も終わろうしておりだいぶ涼しくなった感じでしょうか?急に涼しくなったりすると夏バテならぬ秋バテになる方もいるようですのでご注意を。

さてさて,本日は死後事務のお話しであっても純然たる死後事務委任契約のお話しではなく,相続人の方からの死後事務のご相談が増えているというお話しです。

死後事務委任契約とは,生前にご本人から自分の死後に頼みたいことを予め契約で取りまとめておき,依頼を受けた方(死後事務受任者)は,依頼者が亡くなった後に契約書に従って故人の希望を叶えていくという内容の契約を指します。

これに対して,相続人からの死後事務依頼とは,故人の死後に発生する諸々の手続きを第三者に依頼することを言い,一般の方の感覚からするとそれって「相続手続きのことでは?」と思われるかもしれませんね。

大きく括ると,「相続人からの死後事務依頼」は「相続手続き」に含まれていると考えられます。ただ,今回は「ああ,こんな事も依頼することができるんだ!」ということを知って頂きたく,あえて分けて考えてみました。

事例をひとつ挙げてみましょう。

疎遠な親族が遠方で亡くなったが,故人の生活状況がまったく不明で何をしたらいいかわからない。

最近増えている相談が主にこういった状況のケースです。

少子高齢化が極まり,おひとり様と呼ばれる方も珍しくなくなりましたよね。そうした方々増えると必然的におひとり世帯の方が亡くなるケースが増える訳です。

おひとり世帯の方が亡くなった場合は配偶者やお子様もいないことから,身近な親族が相続手続きに駆り出される訳ですが,必ずしも付き合いの濃い方ばかりではありませんし,付き合いがあった場合であっても居住地域が離れていると物理的,経済的になかなかそうした手続きを行うことが難しいということもありますよね。

ただ,そうは言ってもご遺体を放置をしておく訳にはいきませんし,警察や自治体からは遺体の引取りの打診が来たりしますので,さてどうしたものか?となる訳です。

一般的に相続発生後に必要となる主な手続きとしては下記のような物があります。
➀遺体の引取り
②葬儀・納骨
③役場への各種届け出(死亡届・介護保険・年金・免許証等の返却)
④遺品整理
⑤賃貸物件の解約・原状回復等の明渡し
⑥NHK・NTT他各種公共料金の清算・解約
⑦携帯・ネット等の各種契約の清算・解約
⑧相続人・相続財産の調査
⑨相続手続き(預貯金の解約・遺族年金等の支給申請・相続税の申告等)

実際には,項目毎にそれぞれ細かな手続き等がありますので,費やす労力や費用は結構大変なものとなります。ここらへんは一度でも相続手続きを経験したことがある方でしたらよりお分かりになるのではないでしょうか。

これまでは,➀~⑦くらいまでを親族で行い,専門的な知識が必要となる⑧~⑨を専門の士業に依頼するというケースが多かったと思われます。これが一般的な「相続手続き」と呼ばれるケースですね。

これに対して,➀~⑦の部分も親族以外の士業などの専門家に依頼するのが「相続人からの死後事務依頼」となります。

最初に挙げた例題のように,親族と疎遠だったおひとり様が亡くなるケースでは,例え親族に連絡がいったとしても,故人がどのような生活をしていたかが全くわからないということも珍しくはありません。

これは別段,誰が悪いという訳でもなく時代的にそうなってきてしまっているというだけの話しで今後こうしたケースはますます増加していくことが予想されます。

当然,親族とはいえ故人とは疎遠だった場合では,連絡をもらった親族としても何をどうしたらいいのか?と困惑する訳ですよね。

そうした事を見込んで,故人が生前に親族に迷惑を掛けないようにと準備するのが「死後事務委任契約」ですが,まだまだ利用者は少なく全てのおひとり様が自分の死後の事を見据えて準備万端としているケースは少なく,予期せぬ形で親族にお鉢が回ってきてしまうケースの方が多いでしょう。

こうしたケースでは,ある日突然,警察や役場より故人の死亡を告げられますので,心の準備や手続きの予習などもできず,いきなり故人の手続き全部を丸投げされてしまうことになります。

故人が比較的近くに住んでいるのでしたらまだしも,離れた地域の場合でしたら,手続きのために仕事を休んだり,休日を潰して高い交通費や宿泊費を負担して手続きに奔走しなければいけなくなります。

行政手続きなどは郵送でのやりとも可能ですが,遺体の引取りや遺品整理は必ず誰かが物理的に行動をしないといけません。

もちろん,家族の代わりに動いてくれる葬儀業者や遺品整理業者もいますが,それであっても基本的にはそれぞれ別個に契約を依頼して手続きの代行を依頼することになります。

近年は情報過多の時代でもありネットで葬儀や遺品整理を代行してくれる業者を検索すると膨大な数の業者が検索にヒットして,その中から信頼できる業者を選定し,打ち合わせをそれぞれで行うだけで一苦労ですよね。

そうした状況下で増えてきているのが,今回のテーマでもある「相続人からの死後事務依頼」という訳です。

当協会では,本人からの死後事務委任契約以外でも相続人からの死後事務のご相談もお受けしております。多くのご相談が上記のような,「疎遠な親族」「遠方に住んでいる」「手続きが分からない」「故人の財産状況がわからず不安」「まとめて依頼したい」などでお困りのケースです。

相続や死後事務専門の士業が上記で挙げた➀~⑨までの業務を一括で受任して手続きを行いますので,親族としては,沢山の業者と何度も打ち合わせをする必要もなければ,遠方まで足を運ぶ必要もありません。

特に高齢者のおひとり様が亡くなったケースではご兄妹に連絡が入るケースが多いですが,当然連絡を受けたご兄妹も似たような年齢となっていますので,行きたくても行けないという状況で無理に高齢の身に鞭打って出かける必要もなくなります。

こうした利便性から,これまでの相続手続きとは異なり,死亡直後からの手続きを全てご依頼頂くというケースの需要が増えてきているのだと思われます。

もちろん,上記で挙げたような➀~⑨までの手続き全ての内容のご依頼ではなく,葬儀や納骨は親族で行うから,遺品整理と行政手続きだけやって欲しいといった依頼もあります。

要は家族や親族で出来ない部分を依頼するという事なのですが,相続手続き以外の葬儀や納骨といったこれまで親族が行うことが当たり前とされてきた部分も親族以外が行えるのだということを知って頂きたく今回ご紹介させて頂きました。

財産的な相続手続きはもちろん,葬儀や納骨,遺品整理といったこれまで親族が行ってきた内容であっても士業などの専門家に依頼できるんだということを知って頂ければと思います。

相続や死後事務にお困りの際は死後事務支援協会へご相談くださいね~。

2022.05.23

名古屋市の市営住宅の遺品整理から退去立ち合いまで全て代行したお話し。

おはようございます。名古屋市の死後事務支援協会代表の谷です。

5月も後半戦に入り夏日もちらほらと出てきましたね。そろそろ熱中症対策として暑さに体を慣らしていかないといけない時期にもなりました。

今回は,私の個人事務所で行った遺品整理から死後事務代行までしてきたお話しをご紹介したいと思います。

主に名古屋市の市営住宅で亡くなった方向けの情報になりますが,真夏の時期になると高齢者の方を中心に市営住宅では孤独死で亡くなる方が増加します。

そんな時に家族や親戚が市営住宅の退去手続きをどのように行い,どれくらいの費用が掛かるのかの参考になるかと思い掲載させて頂きます。(この内容は第八ブログで紹介済みの物となります)

今回のご依頼者の方は当初は葬儀をあげた地元でも有名な葬儀業者さんへと遺品整理や相続に関するご相談をされていました。

しかし,葬儀業者や葬儀業者から紹介されたはずの遺品整理業者等からの電話連絡はいっこうに来ず,故人が生活されていた名古屋市の市営住宅の退去を急ぎたかった事情もありインターネットで当事務所を見つけてご連絡頂いた次第です。

当事務所を見つけて頂いたきっかけが「
入居者の死亡に優しい?市営住宅」という同じく私が過去に掲載しましたブログを見てとのことで,今回の一連の経緯も他の方の参考になればと思い書かせて頂くことにいたしました。

ご依頼者の状況としては次のような形です。
・故人は未婚で配偶者やお子様はいない
・兄弟姉妹もいない
・近くにお住まいの親戚のみが手続できる状況

故人は,おひとり暮らしで持病もあったため,死後事務や葬送支援も行ってくれる身元保証会社と契約を進めていたところ,急な体調の悪化により,十分な準備もできないまま亡くなられてしまったとのことです。

仮に生前に身元保証会社などの死後事務を行ってくれる会社と契約できていれば,亡くなった後の対応は「死後事務委任契約書」や「遺言書」といった書面に従って依頼先の会社が行ってくれたはずなのですが,今回は契約が間に合いませんでした。

今回のご依頼者でもあるご親戚の方としては,本人が生前にそうした準備を整えて,本人の意思に基づいて依頼先の会社が万が一の際は対応してくれると考えていたため,まさか自分達がこの後の対応をしなくてはならないとは考えてもおらず,降って沸いた死後事務や相続手続きにどうしたらいいのか?と困惑する一方だったとのことです。

私が初回相談で訪問させて頂いた時が葬儀を終えてすぐの段階で,これから役場への手続き等を進めていかなければいけないという状況でした。

亡くなった際にする届け出には期限制限付きの届け出もある

誰かが亡くなった場合に行わないといけない行政機関への届け出のいくつかには,亡くなってから7日以内や14日以内に届出をしなければいけないという「期間制限」が存在します。

代表的な物で言えば
・死亡届(7日以内)
・健康保険の資格喪失手続き(14日以内)
・年金の受給停止手続き(14日以内)

などでしょうか。

他にも葬祭費や未支給年金の申請などは2年以内などにしなければいけないなどもありますので,こつこつ支払ってきた年金や葬祭費などの給付金は忘れずに申請して受取りをしておきたいところですね。

こうした期限付きのある届出などを優先的に行い,その他の時間的に余裕のある届出や申請などは相続手続きなどと併せて行っていくと,失敗は少なくなります。

今回は初回面談ではありましたが,手続きの期限もありましたので行政機関への届け出や相続手続きに必要となる委任状をその場で書いて頂き,さっそく手続きを開始することにいたしました。

行政機関への届け出では介護保険証や名古屋では敬老パスなどいくつか返却しなければいけない物もありますが,全てが揃っているということは稀ですので,まずは届出を行い,遺品整理の際にそうした返却物を見つけて後日改めて持っていくという方法でも大丈夫です。

ただ,何を返却したらいいのかは何度も手続きをしている私たちのような専門家でもなければ難しく,事前に役場に聞いておかなかれば分からないと思いますので,もしご家族で手続きを進める場合は,遺品整理を行う前に一度確認にいくことをお勧めします。


行政機関への届け出の後は遺品整理を開始!

行政機関への届け出が終わったら次は遺品整理です。

今回のご依頼では,故人は名古屋市の市営住宅にお住まいでしたので,市営住宅を管轄する住宅供給公社へと退去の連絡を入れる必要があります。

本来は親族や相続人の方が行うところではありますが,お仕事の関係もあり今回は私の方で全て代行することになります。

当然,住宅供給公社側としても,まったくの第三者からの申し出を安易に受付はしてくれませんが,死亡診断書や退去に関する内容をまとめた委任状等を揃えて申し出をすれば問題なく代理人でも手続きは可能です。

なぜ最初に住宅供給公社へ連絡を入れるのか?遺品整理が終わった後に退去の連絡してもいいのでは?と思われるかもしれませんが,それにはちゃんとした理由があります。

市営住宅に限らず一般的な賃貸物件でもそうですが,賃貸借契約の解除は退去の申し出をして即日退去とはなりません。

一般的には,退去の連絡から1ヶ月後などが最短の退去日となり,それまでは日割り家賃が発生するケースがほとんどでしょう。

ですので,市営住宅の場合でもまずは「退去連絡」を行い,退去日が確定したらそれまでの間に部屋の整理(遺品整理)を行うという流れの方が,遺品整理を先にしてしまってから退去連絡をする場合に比べて無駄な家賃や光熱費を支払わなくてすむので経済的な訳ですね。

また,市営住宅の場合は一般の賃貸物件とは異なり,退去の際に取り外さないといけない設備があったりしますので,これを事前に確認しておくという意味でも先に退去連絡をしておくということに大きな意味が出てきます。

特に市営住宅では,
・お風呂の浴槽や風呂釜(バランス釜)
・カーテンレール
・網戸
・ガスコンロ

などは,入居時に入居者が設置しているケースも多く,退去の際に「お風呂は設備でしょ~」と残しておくと,実は取り外しておかないといけなかったとなり,無駄な原状回復費用を支払うことになってしまうので要注意ですね。

ここまで,準備してから実際の遺品整理開始といきたいところですが,実はもう一点大事なポイントがあります。

名古屋市の市営住宅の管理は住宅供給公社が行っていますが,実際の現地の運営は自治会に委ねられているケースが多くあります。

これが何を意味するかというと,実際の遺品整理を行う際に,「エレベーターの使用許可」「共有部分への作業車両の乗り入れ許可」「車止めの開錠依頼」「その他の住民への掲示案内の必要の有無」「作業にあたっての注意点(養生箇所等)」などは,住宅供給公社ではなく,現地の自治会長さんに確認しなければいけないということです。

以前は,住宅供給公社に自治会長の名前と連絡先を聞いたら電話番号を教えてくれましたが,最近は個人情報の観点からも教えてもらえない事も多く,自治会長の名前とお住まいの部屋番号のみ教えてもらい,後は実際に訪問して確認するという事も多くなりました。

中には日中働きに出ていらっしゃる自治会長さんもいたりしますので,なかなかお会いすることができず難儀することもあります。(´;ω;`)

こうして,退去の申し出から事前確認,自治会長の許可・確認等を経て,実際の遺品整理の実施となります。

遺品整理の際も最初に記載した通り,役場への返却物を探したり,その他の財産,保険,契約関係を示す書類など貴重品の捜索を行いながら遺品整理を進めていきます。

私がいつも口をすっぱくして言っていることでもありますが,おひとり暮らしの方の遺品整理など,どのような生活をしてどういった資産や負債をお持ちだったかを確認するのは遺品整理の時が一番のチャンスです。

むしろ,遺品整理のタイミングを逃してしまうと確認したいと思った時には既に部屋はもぬけの殻であり,必要な書類などは全て処分されてしまった後ということになりかねません。

ですので,おひとり暮らしの方や離れて暮らしていた家族の遺品整理などをする際は,部屋から荷物を出す前に全て確認して,貴重品や財産関係を示す書類を探しだしておくようにしましょう。(家族で捜索が難しい場合は私たちのような専門家へご依頼ください)

遺品整理の際に知っていると後から助かるワンポイント!

遺品整理の際に注意して頂きたいのが,銀行の通帳や保険証券,株式関係の書類などは一般の方でも大事そうな書類と思い扱いは慎重になるかと思います。

それ以外にも次のような事にも注意を払ってください。

公共料金の明細を確保しておく
遺品整理後は電気やガス,水道といったライフラインの停止連絡をすることになります。その連絡の際に契約者情報を確認されるのですが,この時に公共料金の明細が手元にあると,「お客様番号」や「契約者番号」などを明細から確認することができて,契約者情報の確認が非常にスムーズに行えます。

万が一こうした書類が手元になくても,故人の住所や電話番号などからも検索はできますが,少し待たされることになりますので,他にも解約の連絡を入れないといけないところが沢山あるようば場合は結構やきもきとするものです。

電話(NTT)・インターネット回線の確認
最近は固定電話を契約されている方も減ってきてはいますが,まだまだお部屋に固定電話がある方も多いかと思われます。

当然,固定電話があるということはNTTやその他の電話事業者と契約していることになりますので,こちらも解約手続きが必要となります。

また,室内にインターネットを行う機器(モデム)などがある場合,そうした機器はレンタル扱いになっているケースもあり解約時に返却しないといけないことがありますので,間違って遺品整理の際に捨ててしまわないように注意しましょう。

通常レンタル機器には「レンタル機器」「解約時返却要」などレンタル品とわかるように目立つシールが貼ってあることも多いですが,今回のご依頼者のお部屋のように何も貼っていないケースもあります。

そうした場合は解約の連絡とともに返却物の確認をした上で,処分するのか返却するのかを決めるのが良いですね。

さっきも言った通り,一度遺品整理で処分してしまうと取り戻すことはまずできませんのでご注意ください。

隠れ金融資産に注意
今回のケースではそうした事はありませんでしたが,遺品整理の際には隠れ金融資産にもご注意ください。

生命保険や医療保険などは基本的に証書が発効されてご自宅で保管されているケースも多く,遺品整理の際に見つけることは容易です。

しかし,最近はネットバンクやネット証券などのネットの中でしか確認できない銀行やFXや仮想通貨などパソコンやスマホで決済している金融商品などが多数あります。

こうしたデジタル遺品・デジタル資産に分類される品は,室内の遺品整理をしただけでは見つけることが非常に難しく,パソコンやスマホ,それらのメールの内容などを確認してはじめて気づくということもあります。

ただ最近はパソコンやスマホに暗証番号や生態認証などのロックを掛けておくのが普通でもあり,室内に遺されていたパソコンやスマホから情報を確認しようとしてもロックが外せなく断念したということも珍しくはありません。

高齢者の方などは暗証番号などを忘れた際の予備として鉛筆書きのメモとして残しているケースも多く,そうしたメモはパソコンやスマホの箱や取扱説明書などに書かれているケースも多くありますので,スマホの空き箱などを見つけた際は必ず説明書なども確認するようにしてくださいね。

名古屋市営住宅は入居者死亡の際は敷金内清算のルールあり!

本題から外れて長くなってしまいましたが,上記の点などにも注意を払って頂き遺品整理を進めてください。こうした一連の流れをクリアして最終的に行うのが,大家や管理会社などとの退去立ち合いですね。

今回は貸主が名古屋市住宅供給公社となりますので,公社の担当者の方との退去立ち合いとなります。

ただ,名古屋市の市営住宅の場合は,入居者が亡くなった場合は敷金内で清算するということになっており,敷金の返金もありませんが追い金もありませんので予想外な支出という心配はしなくて済みます。

これって非常にありがたいことでもあるのですが,市営住宅には高齢者の方も多く生活されており,高齢者がお部屋で亡くなることも珍しくはありません。

私も過去に数百件と市営住宅で遺品整理を行っていますが,中には夏場の孤独死(孤立死)で室内が大変な状況になっているケースも沢山ありました。

そうした孤独死(孤立死)で発見が遅れたようなケースでは,一般的な賃貸物件では高額な原状回復費用を家主側から請求されて相続人が相続放棄に追い込まれてしまうことも珍しくはなく,家族や相続人とっては非常に負担の大きい問題となります。

その点,名古屋市の市営住宅では上でも書いた通り,入居者死亡の場合は敷金内での清算となります。

これは,一般的な賃貸物件でトラブルとなる孤独死(孤立死)で発見が遅れたようなケースも同様で,入居者側の親族としては室内の残置物を撤去して鍵を返せば退去手続きとしては終了となります。(名古屋市営住宅の退去明細の実例の一部)

遺品整理の現場で高額な原状回復費用を請求されている遺族の方を沢山みてきた私からすると,超高齢社会の日本では,これは本当に大切なことと実感するところですね。

事前確認もしっかりしてあったことから退去立ち合いも無事終了となりました。唯一,公社の人が退去立ち合いの日程をど忘れてしていたようで30分程待ちぼうけしたことがあれと言えばあれですが,,,,

名古屋市営住宅での退去手続きや遺品整理の際の注意点を少しだけご紹介させて頂きました。

実際の遺品整理では,現場毎に注意点や作業方法も変わってきますので,もし家族での遺品整理や財産調査に不安を感じましたらご相談くださいね。

遺品整理・死後事務専門の行政書士がお手伝いに参ります!

2022.05.05

今後増加が予想される遠方のご家族より葬儀と死後の手続きの全てを依頼されるケース

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。久々のブログとなりますが,既にG・Wも終わろうとしていますね。今年はコロナの圧力が和らいで観光に出かける方も多いでしょうが,事故やケガには十分お気をつけください。

そんな中,私の方は2月の後半から集中した個人事務所の「第八行政書士事務所」への依頼や死後事務支援協会への依頼をせっせとこなし,連休前にやっとこひと段落ついたところです。久々に休みが取れましたのでこの機会にブログの更新をと思った次第です。(けっして更新をサボっていた訳ではありません💦)

今回ご依頼頂いた案件でこんなケースがありました。

遠方にお住まいのご家族の方より,ひとり暮らしをされていた親族の死後事務をお願いしたいというものです。

ひと口に死後事務の代行といっても
・葬儀~納骨までの代行
・行政機期間への手続き代行
・公共料金等の未払い債務の清算代行
・遺品整理・家財整理・財産調査の代行
・一般的な相続手続きの代行

等々,いろいろとやらないといけない事が多くあります。

詳しくご事情をおうかがいしてみると,故人様とご依頼者との関係は次のような形です。
・故人は未婚で子どもや配偶者はいない
・相続人は故人の兄弟姉妹となるが全員高齢で直接動けない。
・依頼者は故人の姪にあたるが,高齢の両親の傍を離れるわけにはいかない
・依頼者の住所と故人の住所とではかなり離れており,手続きの為に何泊も家をあけられない
・故人は賃貸物件で生活していたが,部屋の明渡しや車の処分など自分達だけでは到底無理
・故人と相続人は疎遠だった訳ではないが,財産状況までは把握しておらず借金がないか不安

といったような状況です。

少子高齢化が極まっている日本では今後も増えそうな状況ですよね。

今回のご依頼,ご相談は葬儀のために2日程,現地へ行くのでその間に可能な限りの手続きと今後の予定を立てたいという内容です。

なかなかに大変なミッションにも見えますが,やることはいつも通りです。

まずは,依頼者の方がお越しになられた際にすぐに葬儀へと移れるように葬儀業者の手配をして,遺体の引取りと火葬の日程決めをしておきます。

もちろん,事前に葬儀費用などはお伝えしてご了解を取ったうえで,葬儀業者さんがいろいろと手を尽くしてくれました。

依頼者の方が滞在できる時間には限りがありますので,葬儀は朝一番で行って頂き,午後は役場への手続きに同行します。(基本的に死後の手続きは代行でも可能ですが,依頼者の希望で滞在時にできなかった部分のみ代行で行うこととなりました)

行政機関への手続きが終われば次は,故人のお住まいだった賃貸物件の状況確認と遺品整理にかかる見積りの作成です。

こちらは,遺品整理専門の行政書士である私の得意分野でもありますので,私自身が見積りを作成し同時に室内の貴重品関係も捜索していきます。

本格的な捜索は遺品整理当日に行いますが,とりあえずの貴重品として
・金融機関の通帳
・保険関係の書類
・賃貸物件の契約書
・遺留金
・借金関係の手紙など
・その他の貴金属や契約書類

などを見つけられる範囲で依頼者立ち合いのもとで捜索します。

仲の良い兄弟姉妹であっても,離れて暮らしていると相手の資産状況などは分からないのが普通です。今回は幸いなことに借金などを示す資料もなく,見つけた預貯金の通帳にもそれなりの額が残っていたことから借金の心配はしなくて済みそうです。

保険関係の書類なども同時に引き上げて,初日は終了。次の日は携帯電話の解約や保険の申請手続きなど親族でなければ手続きが難しい手続きの同行などで2日目はサポート業務となります。

なんとか依頼者の滞在する二日間で期限制限のある手続きは全て行い,後は一般的な相続手続きと併せて行っていく死後事務だけとすることができました。

依頼者の方はご自宅へ帰らないとなりませんが,賃貸物件の鍵や預貯金の通帳などはそのままこちらで預からせて頂き,士業として相続手続きを進めていきます。

遺品整理の見積りの際には借金も心配していましたが,実際に遺品整理を行った際に詳しく室内に遺されていた資料などを確認するに預貯金や保険なども併せるとそれなりの資産があることが判明しました。

遺品整理や退去に伴う原状回復費用など,葬儀以外にも出費がかさむ状況でもありますので,なんとか故人の資産だけで死後事務や相続に必要な費用を賄えそうだと,これには相続人の方々もほっと一安心といったご様子でした。

私が良く言っていることでもありますが,離れて暮らしている家族にとっては「遺品整理」の時が故人の財産状況を把握する一番のタイミングでもあります。

遺品整理を疎かにしてしまうと,見つけられるはずの資産を見落としてしまったり,気づけたはずの借金に気づけなかったりと,その後の相続人の生活にも大きな影響が出てきてしまいます。

プラスの財産を見落としてしまうのも問題ですが,借金の方が大きい場合には,相続発生から3ヶ月以内に「相続放棄」の検討もしなければならず,こちらの方がより大きな問題となります。

こうした部分は日頃から相続手続きを行っている士業が得意とするところでもあり,死後事務支援協会では遺品整理,相続専門の士業が遺品整理や財産調査も行いますので,安心してお任せいただけます。

室内の財産調査後に遺品整理を実施して,家主(管理会社)への引き渡しも無事完了。事前に合意書を取り交わすことで,原状回復でのトラブルや未払い家賃等で揉めることもなく,すんなり終了となりました。

後は金融機関の相続手続きとなりますが,今回は遺言書がありませんでしたので相続人間での遺産分割協議を作成して,金融機関への解約払戻しはこちらで全て代行申請して終わりとなります。

相続人同士が仲が良いと遺産分割協議もすんなりと終了しますので,銀行関係の手続きもスムーズに終了させることができます。

今回のご依頼は,一般的に「死後事務委任契約」と言われる,依頼者(故人)が生前に自分に万が一の事が起きた場合に信頼できる第三者に予め死後事務を託しておくという「死後事務委任契約」とはちょっと事情が異なります。

依頼者が亡くなられたご本人からの生前の依頼ではなく,故人の親族からの手続き代行であり,どちらかというと「相続手続き」に近いかもしれません。

死後事務,相続手続きと明確な区分けがある訳でありませんが,これまでは葬儀や納骨,遺品整理といった財産以外の部分の手続きは家族や親族が行い,銀行や株式,不動産の名義変更などの財産的な部分は士業などの専門家が対応するというイメージがあるかと思われます。

しかし,これからの時代は最初にも書きましたが,未婚のおひとり暮らしの方がますます増加して,相続人が兄弟姉妹となるケースが各段に増えてきます。

当然,兄弟姉妹の誰かが亡くなった場合は兄妹も似たような年齢になっており,必ずしも死後事務や相続手続きが行えるとは限りません。

死後事務委任契約は,ご本人が亡くなる前に依頼するものではありますが,同じ業務を相続人からのご依頼で行うことももちろん可能です。

遠方に住んでいて土地勘がなく葬儀や遺品整理などの全ての死後事務を誰かに行ってもらいたいという場合は,死後事務支援協会へご連絡くださいね。

相続・死後事務専門の士業が全力でサポートいたします!

2022.02.18

名古屋市が身寄りない13人火葬せず 遺体を最長3年超保管していた件について

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の谷です。2月も中旬だというのに寒い!外で現場作業をしている身を切る寒さに震えます。皆さんも外出時は暖かい恰好でマスクを忘れずに!

さてさて、昨日のニュースを見ていたらこんな記事がありました。一般の方からすると、かなりショッキングな事件かもしれません。(令和4年2月18日(金)ヤフーニュースより抜粋)

身寄りない13人火葬せず 遺体を最長3年超保管も 名古屋市

名古屋市が身寄りのない遺体13人分を火葬せずにずっと葬儀業者の保冷施設で保管していたという内容ですね。

この件に関しては、私も知り合いの葬儀業者の方から以前にそうした長期保管されている遺体があるということは聞いていたので知っていました。

身寄りのないご遺体は本来は墓地埋葬法に従って市町村側にて民生葬などで火葬がされ、市と提携している合葬墓等にて供養されるのが一般的です。

しかし、中には今回の件のように長期間火葬もされずにずっと葬儀業者さんの保冷施設で安置されたままになっているご遺体もあったりします。

なんでこんな事が起きてしまうのかというと、市町村側ではこうした身寄りのないご遺体がでた場合は、戸籍調査などを行い親族関係を調査し、親族が見つかった場合は遺体の引取りを打診します。

しかし、親族がいたとしても故人と親族との仲が悪かったりしたり、叔父と甥姪の関係のように疎遠な関係ということもあります。

私が行う遺品整理の孤独死のようなケースでもそうですが、あるひ突然「あなたの叔父さんが孤独死されていたので、遺体を引き取り、大家さんと遺品整理の話し合いをしてください」と電話が掛かってきたらどうでしょうか?

正直なところ、何十年も会ったこともないような叔父が亡くなったと言われても、「はぁ~、そうですか、、、え!私が引き取らないといけないんですか!しかも大家さんと原状回復の話し合いをしてお金を支払えって嘘でしょ!?」となるのではないでしょうか。

遺品整理のご相談を受けているとこうした相談は珍しくなく孤独死が増加する夏場では特にこうした相談が増えることとなります。

そうした案件の中には、「会ったこともない叔父のために私たちが大金を払うなんて、とてもじゃないができません。相続放棄します!」となり、せっかく市町村側で親族が見つけたとしても、遺体の引取りを断られてしまうこともあります。

このように遺体の引取りをしてくれる親族を調査したり、引取りを打診した後に断られたり、いったんは引取りを了承したけど、親族間でトラブルになってしまい遺体の引取りが保留になってしまったりすると、今回のように長期間遺体を安置することに繋がるのかもしれませんね。

今回も名古屋市の担当職員の方が処分を受けてしまったようですが、遺体を火葬してしまうのは結構重い判断かと思われます。

私たちが死後事務委任契約を結んで依頼者の葬儀を実施する際でも、各種契約書にてしっかりと取り決めを行い、本人の意思であることを明確にしているから安心して行えるわけです。

そうした事前の準備もない孤独死や突然死のようなケースでの身寄りのないご遺体を火葬するとなるとやはり、「後から親族が出てきてクレームを付けられるんじゃないか?」と心配になりますよね。

遺体を火葬すれば当然生前の状況は確認できませんし、合葬墓に入れられてしまえば故人の遺骨だけを後から選り分けて回収することもできなくなるわけで、親族から「せめて遺骨だけでも還して欲しい!」と言われてもできないのですから。

人は死ぬ時はひとりで死んでいきます。しかし死んだ後の手続きはひとりではできません。必ず誰かの手を借りることになります。

当協会にご相談に来られる方の中にも家族や親族との仲は良好だか、自分の死後の手続きで負担をかけたくないと考えて死後事務委任契約を結ばれる方もいます。

超高齢者社会の日本では、身寄りのない方はもちろん、家族や親戚がいても第三者に敢えて自分の死後の手続きを依頼することを考える時代になったのだと感じます。

自分の死後の手続きで不安を感じている方はまずはご相談ください。死後事務支援協会では死後事務専門の士業がご相談に応じております。

2022.02.08

葬儀の生前契約と死後事務委任

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。寒い日が続きますね。名古屋でも久々の雪が降り、今年の冬は寒さが長引いている気がします。コロナに混じって花粉症のシーズンも始まりマスクが手放せなくなりますね。

さて、先日下のようなニュースが報道されました。

引き取り手がない死者 県内で200人超 令和元年度以降

身よりのない状態で死亡された方が誰にも引き取られず、葬儀等を自治体が行った件数が増加しているというニュースですね。

身よりがないといってもその状況は様々で、独身でお子さんもおらず、親や兄妹も先に亡くなってしまっているという方から、兄妹や親戚はいるが、仲が悪く絶縁してしまっているといった方などもいます。

こうした方々のケースでは、生前にきちんと準備をしていないと上記のニュースのように身寄りがなく遺体の引取りもされない方となってしまうわけです。

もちろん、身寄りがない方が亡くなった場合であっても、遺体が放置されるということはなく、自治体などで火葬を行い、提携の合葬墓等に入れられることになりますが、果たしてそれが故人の望んだ最後だったのか?といわれるとそれは亡くなった本人にしかわからないことです。

ただ、ひとつ確実に言えることは、もし自分の最後について叶えたい希望があるなら、それは自分自身で準備をしっかりとしておかないと叶えられないということです。

また、敢えて叶えたい希望はなくても、「他人に迷惑をかけない最後にしたい」と考えている方も多くいますが、これも同じ事です。

「自治体が火葬を行い、合葬墓に入れてくれるならそれでいい」と考えていたとしても、自治体としても、火葬~納骨までの間に、故人の親族調査などを行い、親族がいる場合は遺体の引取りの有無を確認し、その間の遺体の保管などもしている訳ですから大変な手間と労力が掛かっている訳です。

こうした実情から、近年は葬儀業者さんにおいても「生前予約」「事前契約」など本人が生前に希望する葬儀の方法やプランを指定しておき、万が一の際には葬儀業者さんが契約に基づき葬儀を実施するというおひとり様に寄り添ったプランも出てきています。

当協会でもおひとり様の方や葬儀業者さんより「葬儀の生前契約をするから喪主になってくれないか?」という相談を受けます。

葬儀の生前契約では、葬儀業者さんにおいて支払いまで生前に終えてしまうケースと、契約だけ事前に行っておき、支払いについては家族やその他の方に行ってもらうというケースなど、葬儀社独自のサービスがあります。

当協会では死後事務支援として「喪主の代行」はもちろん行っております。しかし、相談者の多く、特に葬儀業者さんにおいてはどうしても「葬儀」だけに目がいってしまっているケースがあります。

葬儀の生前契約を考えている方の多くが、ニュースのような身寄りのない方となります。なにも準備しておかなければ、ニュースのように自治体によって火葬が行われてしまうため、そうならない為に自分の意思で葬儀業者さんへと相談に来られた方でしょう。

葬儀の生前契約を検討されている方の多くが身寄りのない方や家族や親戚がいても疎遠な関係、または家族や親戚間の仲は良好だが、お互いに高齢で離れて暮らしているため自分の葬儀の為に負担をかけたくないといった方も最近は増えています。

こうした方々にとっての死後の手続きは果たして「葬儀」だけなのでしょうか?葬儀については葬儀業者さんと生前契約を済ませてあるから問題ないかもしれません。

では、葬儀以外の手続きの準備はされていますか?人が亡くなった場合に行わないといけない手続きは想像以上にあります。

火葬にあたっての「死亡届」はもちろん、
健康保険や年金の死亡届
各種保険証や敬老パスの返却などを含む行政手続き
住んでいた自宅が賃貸なら、遺品整理と賃貸契約の終了手続き
自宅が持ち家なら、自宅をどうするのか?誰かに譲るのか?解体や売却するのか?
公共料金や医療費の清算や解約は誰がおこなうのか?
自分の財産はどうするのか?
相続税等の申告が必要な場合は誰に頼むのか?等々

その方の生活状況や財産状況によって、亡くなった後の手続きは大きく変わってきます。

こうした手続きはどうしても事前の準備から外れてしまいがちです。

もし自分に何かあった場合は葬儀は誰が行ってくれるのだろう?という心配はおひとり様なら誰しも抱える悩みです。

ただ、そうした悩みについては「葬儀業者」さんという心強い相談先があるので、葬儀については比較的相談しやすい状況になっています。

しかし、葬儀以外の手続きについては、「そもそもどういった手続きが必要なのかがわからない」「いろんな手続きが必要なことは知っているが誰に相談したらいいのかがわからない」と相談先や事前の準備の方法が明確ではないためどうしても意識から外れてしまいがちです。

もし、葬儀業者さんにてこうした相談者の方が見えられましたら一言「葬儀以外の準備は大丈夫ですか?」と声を掛けて頂けると、「実はそれも相談したかったんだよ!」とご相談者の方の隠れた悩みを聞き出すことができるかもしれません。

死後事務支援協会では、専門士業のもと喪主の代行をはじめとした死後に必要となる手続きの支援を行っております。

葬儀の生前契約のご相談者の中にそうした心配事をお持ちの方がいらっしゃいましたら、当協会へご連絡ください。

ご相談者の方の生活状況に合わせた死後事務支援についてご提案させて頂きます。

2022.01.28

自筆証書遺言+死後事務委任契約で万が一に備える

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

オミクロン株の勢いが止まらないですね。私が担当している高齢者の中には持病のためにコロナワクチンを接種できない方もおり、感染力の強いオミクロン株に非常に強い危機感を持たれています。

そのため本来受診しないといけない定期の診察にも感染を恐れて病院へいけないということが続いており、非常に憂慮すべき事態となっています。感染は今週から来週位がピークのようですのでより一層の感染対策を心掛けていきましょうね。

さて、今回は死後事務委任の契約形態についてのお話しです。

先日こういったご質問を頂きました。

「自分はひとり身のため、遺言や死後事務委任契約で万が一に備えておきたいと考えているが、公正証書で遺言や死後事務委任契約を作成したら、内容を気軽に書き換えられないのではないか?」というご質問です。

どうしてこういう心配をされるのかというと、遺言や死後事務委任契約というものは相続が発生してはじめて効果が発生する性質があるからです。

もっと端的に言うなら「死んだら効果が出る書面(契約)」、「生きてる間はなんらの効果もない書面(契約)」ということです。

ですので、最近は終活などで身近になってきた「遺言書」、これも遺言を書かれた方が死なない限りはあくまで希望を書いてある書面でしかなく、なんらの効果も発揮しないものです。

反対に言うなら、なんらの効果も発揮していない書面であるので、生きてる間は何度でも自由につく直しができるということでもあります。

死後事務委任契約も基本的には契約当事者間で合意するなら何度でも作り直しは可能となります。

ただ、何度でも作り直しは可能といっても、どういった形態で遺言書や死後事務委任契約書を作成したかによって、作り直しやすさが変わります。

どういうことかと言うと、一般的に利用される遺言書としては、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類があります。

公正証書遺言は、公証人役場というところで、公証人の面前で証人2人とともに自分の遺言の希望を述べて、それを聞き取った公証人が公正証書遺言という形で遺言書を作成するというものです。

公正証書遺言は、「公証人が作成する」「証人2人がいる」などの要件から、公証人や証人への報酬や作成に関する時間がかかるため、一度作ると何度も気軽に作り直しができるというものではありません。

もちろん、費用と手間を考えなければ何度でも作り直しは可能ですが、頻繁につくり直すということは、まだ遺言に関する内容が固まっていないということでもありますので、そうした場合は別の形態で準備しておいた方が良いこともあります。

それが2つ目の「自筆証書遺言」です。自筆証書遺言の特徴は「自分ひとりだけで作成できる」「証人はいらない」「掛かる費用もなし」と非常にリーズナブルにしかも思い立ったその日にでも作成できるというお手軽さが特徴です。

極端な話し、紙と鉛筆、印鑑と遺言を作成する方の「やる気」さえあればすぐに作成できます。

これまで私たち士業は遺言書と言えば「公正証書遺言」と言ってきました。これは、自筆証書遺言は作成の容易さの反面、無効な遺言も多いという問題を抱えていたからです。

公正証書遺言は公証人というプロが作成し、かつ証人2人を伴って作成しますので、基本的には遺言が無効になることはありません。(遺言者が認知症だったということで裁判で争われるケースはありますが)

しかし、自筆証書遺言は、誰の関与も必要としないことから、有効な遺言とされるには厳格な要件が法律で定められています。

遺言書の原案(下書き)を弁護士や行政書士などの専門家に依頼した上で作成するならいいのですが、ご自身だけで作成しようとすると、「あいまいな内容」「日付や印鑑といった要件の不備」「保管場所の問題」といった、公正証書遺言では発生しないトラブルが出てきます。

ですので、こうしたトラブルを避けるためにも士業の先生方は「遺言は公正証書」でと口を酸っぱくしていってきたのですが、この点については一部制度が改正され、法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度が始まりました。(公証人役場と法務局は別物です)

法務局での自筆証書保管制度については下の法務省のページをご覧ください。
自筆証書遺言書保管制度(法務省)

自筆証書保管制度によって何が変わるのかというと、まず、自筆証書遺言が方式違背で無効になることがなくなります。

保管制度を利用する際はご自身が法務局に赴いて、自分の遺言書であることを伝えて保管の申請を行いますが、その際に自筆証遺言が有効となる形式的な確認をしてもらうことができます。

例えば、印鑑が押されていなかったり、日付の記載が無かったり、記載方法(自書してないなど)が間違っているような場合は教えてもらえるということですね。つまり、第三者のチェックが入るということです。

注意点としては、第三者がチェックしてくれるといっても、チェック内容は自筆証書遺言として有効であるかどうかの形式面のチェックであって、記載されている遺言の具体的な内容や文言の使い方まではチェックされないということです。

ですので、専門家から見るこの遺言だと後々親族間でトラブルになりそうな内容であっても、自筆証書遺言としての体裁が整っていれば、保管制度の利用に問題はなく敢えて指摘はされないということです。

次に、「検認手続きがいらない」。これまでは自筆証書遺言を遺族等が見つけた場合は、見つけた遺言書はまず「家庭裁判所」で「検認」という手続きを行う必要がありました。

この検認手続きを経ていないと預貯金の解約手続きなどが行えないのですが、検認は申請してから実際に完了するまでに各種書類を整えた上で1ヶ月程時間がかかりますので、結構面倒なものです。

こうした遺言を執行する上でも検認手続きがいらない「公正証書遺言」が便利ではあったのですが、この点についても法務局での保管制度を利用することで、検認手続きは不要となります。

また、これまで自筆証書遺言は自宅などで保管されているケースが多かったのですが、自宅保管などの場合は、「遺言書を見つけてもらえない」「誰かが遺言書を破棄したり、改ざん、隠匿する恐れがある」など、保管の方法にも問題がありました。

しかし、法務局での保管制度を利用することでこの心配もなくなります。

最後に保管制度の利用料金が安い!

遺言書1通の保管手数料は3,900円という安さで公正証書遺言に比べて非常に使いやすい値段設定です。

長くなってしまいましたが、公正証書遺言、自筆証書遺言の保管制度、これはどちらが優れているというものではなく、遺言書を作成される方の状況に応じて作成しやすくなった(選択肢が増えた)ということです。

例えば、高齢の寝たきりの方であっても意思表示さえできれば、公証人が病院まで出張して遺言書を作成してくれます。

こうした制度は、自筆証書の保管制度ではありませんので、この点をみれば寝たきりの方や自書できない方にとっては、公正証書遺言が選択肢となります。

しかし、まだまだ元気で、いますぐどうこうなる心配はないけれど、万が一に備えて遺言書を作っておきたいという方にとっては、今後何十年と続く人生の中で、遺言書の内容を書き換えたいと思うこともあるはずです。

そうした場合は、費用も手間もかかる公正証書遺言よりも、自分で作成できて利用料も安い保管制度の方が、作り直しが気軽にできるという面では利便性が高くなります。

同じことが「死後事務委任契約書」にも言えます。

残念ながら死後事務委任契約書には遺言書の保管制度のような、契約書を公的機関で預かってくれるという制度はありません。

しかし、死後事務委任契約書は必ず「公正証書」で作成しないといけないというものではなく、一般的な契約書であっても有効に成立するものです。

つまり、死後事務委任契約書においても、公正証書遺言と保管制度の関係と同じで、高齢になり生活様式も大きく変わることはないという段階であれば、公正証書で死後事務委任契約書を作成し、まだまだ元気だけど、突発的な事故や病気などは予測できないから、万が一の備えだけはしておきたいというなら、一般契約書で死後事務委任契約書を作成すればよいということになります。

一般契約書での死後事務委任契約書であれば、死後事務を依頼される委任者と、死後事務を頼まれる受任者の合意があればいつでも作り直しが可能ですので、公正証書で作成する場合に比べて作り直しは容易となります。

最初のご相談内容に戻りますが、遺言や死後事務委任を検討されている方が50代、60代と若い方で、念のために準備だけしておきたいとい場合なら、公正証書で作成するのではなく、自筆証書遺言(法務局保管制度)+一般契約書での死後事務委任契約書にしておくと、作り直しや解約などはしやすいでしょうね。

公正証書遺言、自筆証書遺言、公正証書での死後事務委任契約書、一般契約書での死後事務委任契約書では、内容が正確で有効に成立している限りは効果に違いはありません。(実務面では、公正証書での死後事務委任契約書の方が一般契約書での死後事務委任契約書よりも信頼度は高いように感じますが、、、)

公正証書や保管制度はあくまで選択肢です。利用される方の希望や状況に応じて上手に使い分けることが大事ですね。

当協会のご契約者にも持病の無い健康な40代や50代といったご依頼者の方もいます。そうした若い方々の中には、最初から全て公正証書で作成する方もいれば、最初は自筆証書遺言+一般契約書の死後事務委任契約書で備えて、一定年齢になったら公正証書で作成し直すという考えの方もいます。

万が一に備えて準備はしておきたいけれど、どんな方法が自分に合っているのかわからない。そんな場合は是非ご相談ください。一緒に考えていきましょう!

死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ。ご連絡お待ちしておりま~す。

2022.01.21

配偶者の相続手続き~自身の死後事務委任契約へ

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

気づいたら1月ももう後半戦ですね。今年は新年から忙しく動いていたためブログを書いている余裕がありませんでした。(💦)改めまして、本年もよろしくお願いいたします。

終息したかと思われるコロナもオミクロン株の急拡大で余談をゆるさない状況です。蔓延防止措置も発令されていますが、まずは自己防衛が大切ですね。

さて、今回は障がいのあるお子さんを抱えていらっしゃるご両親と死後事務委任契約についてとなります。

一般的に死後事務委任契約を検討される方は、おひとり暮らしの方が多いのですが、中にはこういった障がい者を抱えているご両親というケースもあるよということを知ってもらいたいと思います。

私がが最初にその方を訪問したきっかけは、奥様の相続手続きと死後事務のサポートで伺いました。死後事務委任契約は生前にご本人様から依頼を頂いて、死後事務を行う家族がいなくても手続きが進むように準備しておく方法です。

反対に言えば、死後事務を行うご家族がいらっしゃるなら死後務委任契約を結ぶ必要はないとも言えるのですが、近年の超高齢社会では、死後事務を行いたくても年齢や病気、体力的な問題など様々な事情から家族が行えないケースもあります。

そうした死後事務、主に役場への届け出や年金手続き、公共料金の契約関係の切り替え、名義変更などを相続手続きとまとめてサポートするのは死後事務を専門に扱う士業の得意とするところでもあります。

ですので、今回の方もそうしたサポートを含めて相続手続きを進めていく予定だったのですが、訪問した際にご家庭には障がいを抱えているお子様がいっらしゃるとお聞きしました。

障がいといっても重度のものではなく、以前は普通に日常生活を送っていた方ではありますので生まれながらの障がい者という訳ではありません。

ただ、病気になられてからはご自宅から出かけることもなく、日常の生活もご両親に頼る形となっていました。これまでは奥さんと一緒に介護をされていたようですが、その奥様も亡くなりご主人に掛かる負担が一気に増加してしまったのが現状です。

そうした中で相続手続きや死後事務の件で頻繁にご自宅へ伺い、ご本人の体調などもお聴きするのですが、ご主人も80歳を超える高齢でもあり、決して体調が良いとは言えない状況。

お会いする度に疲労が濃くなっているのが分かります。普通なら地域の社会福祉協議会なども参加してその方のサポートをするところなのですが、お話しを聞くとお子さんの介護で手がいっぱいで、ご自身の介護保険の申請などは一切行っていないとのこと。

つまり、地域高齢者のセーフティーネットとも言える社会福祉協議会(名古屋では、いきいき支援センターとも言います)が現状を正確に把握していない可能性もあります。

このままでは、ご主人の命も危ぶまれる状況でしたので、社会福祉協議や保健センターなどへも連絡を行い、ご主人とお子様の現状の把握と対策を依頼しました。

とりあえずの危機は脱したかと思われますが、奥様の相続手続きを通して家族関係や親戚関係を確認したところ、ご主人に万が一の事があった場合に、死後事務を行ってくれる方がいないことが判明します。

本来ならお子さんがその役を担うところですが、お子様も障がいを抱えており、到底そうした手続きが出来る状況ではありません。

しかし、この状況で奥様の相続手続きが終わったので、はい、お終い。とする訳にはいきません。

なぜななら、この状況でご主人に何かあった場合、ご主人の死後事務を行う人がいないのはもちろんのことですが、残されるお子さんも放置されてしまうことになります。

もちろん社会福祉協議会をはじめ行政も動いてくれていますが、ご主人が亡くなってしまった後に障がいを抱えているお子さんがひとりで生活するのは難しく、やはりどこかの施設等へ入所することが予想されます。

そうした場合に問題となるのが「費用(お金)」です。

幸いご両親にはそれなりの蓄えもありますので、ご主人に万が一の事があった場合でもその財産をお子さんへ適切に相続させることができれば、より良い環境でお子さんに過ごしてもらうことができます。

しかし、現状のままではそうした対策が何もなされていないため、ご本人のこと、残されるお子さんのこと、どちらも心配が尽きない状況でした。

では、どのように対策するのか?今回の方は非常に家族関係がシンプルであり、ご主人に万が一のことがあった場合でも相続人はお子さんしかいない状況です。

極端な話し、何も対策しておかなくても財産はお子さんへと相続されます。しかし、法律上はお子さんが相続することとなっても、実態上は、誰かが銀行の払い戻しや自宅の名義変更などをしないといけません。

これに関してはご本人に遺言書の中で遺言執行者を指定してもらえば解決できます。

また、本題のご主人様自身の死後事務についても、死後事務委任契約を締結することで、お子様に何か判断させることもなく、ご本人の意思に基づいて事前に、葬儀の方法や納骨の場所、その他各種手続きについて決めておくことができます。

このように、お子様への財産移転は「遺言」で、ご自身の死後事務については「死後事務委任契約」によって準備しておくことで、障がいをお持ちのお子さんの負担を大きく減らすことができます。

この方の場合は、これ以外にも日常生活のサポートをするために見守り契約なども締結させて頂き、お子さんの入院手続きやご本人の介護保険申請のサポートなどを行っております。

障がいをお持ちの方の親なき後の問題は深刻ではありますが、事前の準備を通して対策できる部分もあります。悩まれた場合は地域の社会福祉協議会や保健センターなどへ相談してください。おひとりで悩まれるよりきっといい解決策が見つかるはずです。

もちろん、私たちでお手伝いできることがあれば、お気軽にご相談ください。

死後事務委任契約は、契約して即発動する契約ではありません。5年、10年と長い付き合いとなることを予定した契約となりますので、日常生活のちょっとしたことから相談できる体制を作っておくことで、信頼関係の構築にも繋がります。

長い付き合いとなる死後事務委任契約ではなにより信頼関係が一番大事な部分となります。

最後になりましたが、本年も死後事務支援協会では、ご依頼者の方に安心して任せて頂ける対応を心掛けてまいります。

死後事務のご相談がございましたらお気軽にご連絡くださいね。

2021.12.11

死後事務委任契約のトラブルについて

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。外に出てみると街はクリスマス雰囲気で年末の足音がヒタヒタと聞こえてくるようです。(嘘だっ!と叫びたい)大掃除の予定を立てないとですね。

さてさて、本日は死後事務委任契約とトラブルについてです。2、3年前に比べれば「死後事務委任契約」という言葉をよく耳にするようになったと感じます。

少し前までは「死後事務委任契約」と言っても士業の間でも「?」という方は珍しくありませんでした。しかし、最近は相続を扱う先生なら大抵の方が知ってるという位まで認知度が上がってきているのではないでしょうか。

近年は社会福祉協議会なども高齢のひとり暮らしの方を対象として死後事務委任のサービスを提供するなど、これまでは民間でしか行われていなかった部分にも公的なサービスが広がる兆しを見せてきています。

公的なサービスが提供される背景には、おひとり暮らしの高齢者の増加や今後より一層増加すると見込まれる単身者の方々の増加があると言えるでしょう。

つまり、これまで身元保証をはじめとしておひとり様への対策を民間に任せていたけれど、いよいよ行政側としても無視できないレベルになってきているのではないかともとらえられます。

また、これまで身元保証をはじめとして死後事務委任契約などを民間が主導して行ってきたことから生じるトラブルの増加もその背景にあるかもしれません。

今回は、死後事務委任契約で生じるトラブルとその原因について解説してみたいと思います。

死後事務委任契約と主なトラブル

死後事務委任契約で発生するトラブルの主な内容は下記となります。
運営会社の破産や倒産、事業中断
預託金の返還トラブル
本人が望まない寄付をさせられる
親族からの苦情

これらのトラブルが発生する原因としては、死後事務委任契約が抱える根本的な法的性質が挙げられます。

そもそも死後事務委任契約ってどんな契約なの?

死後事務委任契約と発生するトラブルを理解する上でまず知っておかなければいけないのが、「死後事務委任契約ってどういう契約なの?」ということです。

死後事務委任契約を簡単に表現すると
「自分が死んだ後に必要となる手続き(葬儀、行政への届け出、遺品整理、各種契約の清算と解約など)を生前に自分が信頼する第三者へ依頼しておく契約」となります。

もっと簡潔に表現すると、「死後(に必要となる)事務(を予め)委任(する)契約」ですかね。

この手続きを依頼する「信頼する第三者」とは、家族もその対象となりますが、一般的には家族以外の第三者が指定されるケースが多いでしょう。

なぜなら、死後事務委任契約を利用される方というのは、自分の死後の手続きを任せられる家族がいない方が利用される事がほとんどだからです。

近年は死後事務委任契約の広まりとともに死後事務を扱う専門家も増えてきており、利用範囲としては、天涯孤独の方ばかりではなく、「遠方に住む高齢の親族に負担をかけたくない」や「疎遠な親族の世話になりたくない(迷惑をかけたくない)」など、本来なら死後の手続きを行ってくれる親族がいる方でも利用を検討される方が増えてきています。

つまり、死後事務委任契約とは、おひとり暮らしの方などが自分の死後に発生する手続きを、自分の意思と自分の財産を利用して予め準備をしておく契約といえます。

自分自身の死後の手続きを本人が予め準備することで、親族がいない方はもちろん、例え親族がいる場合であっても、葬儀や相続手続きなどで大変な思いをする必要はなくなりますので、超高齢者社会の日本では非常に使い勝手の良い終活方法のひとつとも言えるでしょう。

死後事務委任契約のトラブルが発生するメカニズム

一見使いやすそうに見える死後事務委任契約ですが、実際の現場では沢山のトラブルが発生しています。その主なトラブルが上で挙げたような項目なのですが、ではなぜトラブルが発生するのか?

トラブル発生の最大の要因は「契約と開始までの期間の長さ」です。

死後事務委任契約は上でも述べたように、本人が自分の死後に備えて予め契約しておくものとなります。しかし、この契約はお店でなんらからのサービスを受けるような場合とは時間的な間隔が大きく異なります。

例えば、レストランで食事をする場合、食事の提供や各種サービスは注文した後すぐに行われますよね。そして、食事後にすぐに支払いも行いますので、サービスの提供と支払いはほぼ同時になされていることとなります。

しかし、死後事務委任契約は自分が死んだ後の事を予め決めておく契約ですので、契約したからといってすぐに手続きが始まるわけではありません。

もちろん、緊急の手術に備えて契約するケースもありますので、絶対に無いわけではありませんが、基本的には自分が元気な内に将来に備えて契約するケースがほとんどですので、死後事務委任の契約と死後事務委任契約が執行されるまでの間には数年~数十年のタイムラグがあるのが普通でしょう。

契約から執行までの期間が長期間に及ぶと何が起きるかというと
・依頼者の希望の変化
・依頼者の生活状況の変化
・受任者の経営状況の変化

などが起きるケースがあります。

例えば、当初は死後事務を依頼する先として最善と思っていた依頼先が長年付き合っていくうちに関係が悪化したり、または、より良いサービスを提供する会社が現れたりします。

また、契約時は将来に渡って依頼者の生活は安定していると予想していたけれども、病気などで支出が嵩み、死後事務に必要となる費用を確保できなくなる可能性もあります。

これは、依頼者側だけではなく、死後事務の依頼を受けた受任者側でも生じることで、場合によっては受任者側の経営状態が悪化して倒産や事業中止といったことも発生する可能性があります。

つまり、死後事務委任契約を結んでからその契約が履行されるまでの期間が長ければ長い程、不確定要素が増大することとなり、契約時には予想していなかったようなトラブルが発生する可能性が高くなるということですね。

ですので、死後事務委任契約とその主なトラブルの要因は「契約と開始までの期間の長さ」にあると言えるわけです。

実際のトラブル事例

でが、もう少し詳しく実際のトラブル事例を見てみましょう。

トラブル1
死後事務受任者側の破産や事業中止


死後事務委任契約で起きるトラブルで依頼者にとって被害が大きくなりやすいのが、死後事務の依頼を受けた受任者側の倒産や事業の中止です。

過去には身元保証や葬祭支援として死後事務を行っていた「公益財団法人日本ライフ協会」が倒産したことは有名な事件です。

このケースでは、公益財団という信用力の高さから全国規模で利用者がおり、利用者が受けた損害は甚大なものとなりました。

利用者は契約時に身元保証や葬祭支援(死後事務)に必要な費用を「預託金」という形で財団へと先払いしていましたが、財団が破産してしまったことで、当初予定していた死後事務はおろか生前の身元保証も受けられず、あげく預託金も返還されないという最悪のケースとなった事例でもあります。

ここで学ぶべきことは、たとえ国から認可された公益財団法人であっても将来に渡って絶対安全ではないということです。

神ならぬ人の身で運営を行っているのですから、運営する人が悪い事を考えてしまえば、当然こういった事態が発生することは依頼する側でも十分検討しておかないといけないということですね。

トラブル2
預託金返還トラブル


次の事例として多いのが預託金返還トラブルです。

これは何かというと、先ほどから述べているように死後事務委任契約とその履行までには相当な期間が空くこととなります。ですので、その期間の間に新たなサービスが出てきたり、契約者間での関係の悪化ということは当然起こり得ることです。

預託金返還トラブルで多いのは、身元保証会社が身元保証に併せて葬祭支援(死後事務)を行っているケースです。身元保証会社では、高齢者の身元保証を行い、万が一の際は葬儀などの葬祭支援もまとめて行うという形で、契約時に一括して契約するケースが多くあります。

そうした場合に、身元保証や葬祭支援に必要となる費用を予め身元保証会社へと「預託金」として預けるケースがこれまでは主流でした。

ただ、こうした身元保証に関するサービスは近年ん爆発的に伸びてきており、各社特色を出したサービスを各種提供してきています。

そうしたサービスの中には、自分が今利用している身元保証サービスよりサービスの内容や利用料が魅力的な物もあったりすると、消費者側の心理としては「今の身元保証会社をやめて、こっちのサービスに切り替えたい」と思うのは自然のことですよね。

そうなった場合に発生するのが、「預託金返還トラブル」です。

現在利用している身元保証会社をやめて、次の身元保証会社へ切り替える場合は当然、現在利用している身元保証会社へ預けているお金は返してもらい、返してもらったお金を次の身元保証会社との契約費用や預託金に充てたいと考えるのが普通です。

利用者側としてはあくまで、必要になった際に備えて預けているだけのお金(預託金)ですから、使用していないなら返してもらって当然な訳です。

しかし、身元保証会社の中には、この預託金を契約時の事務手数料などど併せて売上としてカウントしている会社もあるようで、一度預かった預託金の返還に難色を示したり、預託金の一部しか返還してくれない会社があったりします。

本来なら、預託金はあくまで預かっているだけのお金ですので、会社の経費とは分別して保管すべきものです。

しかし経営状態の悪い身元保証会社では、預託金を会社の操業費用に回して運営しているケースもあるそうで、そうした身元保証会社にとって、預託金の返還は死活問題にもなりかねず、返還には頑なに応じないというケースも出てくるわけです。

この点に関しては国民生活センターからも「身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意」として注意喚起が出ていますので身元保証会社との契約を考えている方は一度目を通されることをお勧めします。

ここで学ぶべきことは、一度預けたお金は簡単には帰ってこない。預けるならしっかりと確認してから支払うようにしましょうということです。

トラブル事例3
本人が望まない寄付をさせられる


次に指摘されるトラブルとしては「本人が望まない寄付をさせられる」ということです。

なぜこんな事が起きるのかというと、身元保証契約を結ぶ際には併せて「遺言書」を作成するケースが多いからです。

私たちが「死後事務委任契約」を結ぶ際にもこうした遺言書を作成してもらいますが、なぜ身元保証や死後事務委任契約をする際に遺言書を作成するのか?

身元保証や死後事務委任契約を必要とされている方の多くは、そもそも身元保証や死後事務をお願いできる親しい親族がいないため、第三者に身元保証や死後事務を依頼している方々がほとんどです。

そうした利用者にとって自分の死後に遺産を積極的に渡したい親族がいないケースも多く、依頼を受ける側としては、死後の手続きの一環として依頼者の財産整理も含めて整理する必要があるため、身元保証や死後事務を契約する際に予め「遺言書」という形で、財産整理の準備をしているということです。

遺言書の効果は非常に強力で、遺言書を適切に準備しておくことで、依頼者に本来相続人となるべき兄弟姉妹がいたとしても、その方たちの干渉を排して手続きを進めることも可能となります。

ただ、こうした強力な効果を発揮する遺言書ですが、作成自体は簡単にできてしまうこともあり、場合によっては悪用されるケースもあります。

遺言書には、一般的に使用されるものとして「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。)法務局で自筆証書遺言を預かってくれるサービスも始まりましたが今回は省力)

公正証書遺言の場合は、公証人の面前で遺言内容を確認し、証人2名の立ち合いのもとで遺言書を作成しますので、本人の遺言意思を第三者が確認することになります。

遺言書の内容が極端に偏っているような場合は公証人の方でも「本当にこの遺言で大丈夫?」という確認もしてもらえますので、本人が望まない内容での遺言書というのは基本的には作成されません。

しかし、「自筆証書遺言」の場合は、紙とペンと印鑑があれば作成できてしまい、その内容を第三者に確認してもらう必要もなく、遺言者がひとりで作成することも可能です。

自筆証書遺言でも公正証書遺言でもその効力に上下はなく、有効な自筆証書が遺言があれば公正証書遺言と同じ結果を出すこととなります。

つまり、身元保証を行う際などに悪いことを考える一部の人間は、相手が高齢者で判断能力が弱く、また身元保証を必要としているという弱みに付け込んで、「亡くなった後の面倒は全て私たちが行うから、財産はその費用に充てられるように全額会社に寄付すると自筆証書遺言に書いてください」と唆すわけですね。

そうすると、誰も内容を確認していない遺言書で利用者から悪徳な事業者へ利用者の全財産が誰にも知られないうちにこっそりと移ってしまうことも起きうるわけです。

もちろん、利用者の中には「世話になるんだから代わりに財産は寄付する」と自発的に寄付を検討される方もいるでしょう。

本人の意思に基づて寄付するならそれは寄付をされる方が自分の財産をどのように処分するかは自由に決めればいいことです。

しかし、こうした寄付を巡っておきる遺言書のトラブルのほとんどが「自筆証書遺言」であり、本当に遺言書の内容が本人の意思に基づいてなされたものなのかが怪しいケースがあります。

寄付を受ける団体、特に故人の生前に密接に関わることとなる身元保証会社などは寄付を受ける場合は、積極的に公正証書遺言の利用を勧めて、なんら後ろ暗いことはないことを証明しておくべきですね。

利用者側としても、身元保証会社や関連団体へと寄付する内容の遺言を自筆証書遺言での作成を勧めてくるような会社とは契約しないようにしましょう。必ずトラブルとなります。

ここで学ぶべき内容は、遺言書を作成する場合は自分の意思を貫く。身元保証会社等への寄付を勧める会社とは契約しないということです。

死後事務トラブル4
親族からの苦情


最後に紹介しておきたい死後事務とトラブル事例としては、「親族からの苦情」です。

死後事務委任契約の利用としては、親族がいなかったり疎遠な関係な方が多いと書きました。しかし、それらの内容はあくまでご本人から契約時に聞き取った事情でしかありません。

わざわざ疎遠な関係と言われている親族へ、「依頼者とあなたは疎遠な関係なんですね?」などと契約時に確認したりはしませんので、場合によっては依頼者本人の思い込みということだってありえます。

また、「確かに疎遠な関係ではあったが、葬儀まで他人任せにするほどの関係ではなかった」「亡くなったのなら、遺骨は実家の墓に入れてやりたいと思う」など、親しくはないけれど、関係が断絶しているとまでは言えないケースもあります。

近年は「家族に迷惑や負担をかけたくない」との理由から、死後事務委任契約を利用される方もいますので、そうした場合は疎遠なケースよりももっと慎重に契約手続きをしておかないと、万が一の際に大きなトラブルへと発展します。

過去に私が聞いた実際のトラブルとしては、身元保証会社から依頼を受けて葬儀をあげたら、親族から葬儀業者へと「なんで他人がかってに葬儀をあげているんだ!(怒)」と強いクレームが入ったとのことです。

つまり、身元保証会社が身元保証とともに葬送支援(死後事務)を受けていたケースで、依頼者が亡くなり契約に従って葬儀をあげたら、葬儀業者がとばっちりを受けたということです。

本来なら身元保証会社が責任を負うべきところなのですが、葬儀の依頼を受ける側としては強く出れなかったのかもしれませんね。

ここで問題となるのが、「他人の葬儀をあげることができるのか?」という根本的な疑問があります。一般的に葬儀などの手配は親族が行っているもので、あまり第三者が葬儀をあげるというのはピンとこないかもしれません。

しかし、法律上は身元保証会社などが葬送支援として行っているように第三者が葬儀をあげること自体は問題ありません。

ただし、当然のこととして葬儀を主宰する(喪主となる)ということは、親族が行うことが一般的であり、天涯孤独のような方の場合はともかく、親族がいるケースで第三者が葬儀を主宰する際はしっかりとした準備をしておかないと上記のようなクレームへと発展してしまいます。

死後事務委任契約のように、葬儀の希望を予め信頼する第三者へと伝えておき、万が一の際はその人に葬儀をあげてもらうという方法があります。

ただ、死後事務委任契約は極端な話し「口頭での依頼」でも成立するもので、必ずしも書面にしなければいけないというものでもありません。

しかし、葬儀という親族関係と密接に関わる内容を口頭だけで第三者が受任するのは論外ですし、できればしっかりとした契約書にまとめておくべきものです。一般の契約書ではなく、公正証書によって作成しておけばなお良いでしょう。

トラブルとなるのは、葬儀の方法や費用などがしっかりと契約書に明記されておらず、予想外に費用が掛かった場合や本人が望まない形での葬儀の方法だったなど、後から親族等が契約書を確認した際に不審な点があるようなケースがトラブルとなります。

ここで学ぶべきは、誰が見ても本人の意思が一目瞭然となる形で契約書を準備しておくことです。これは依頼者本人が注意するべきことではなく、むしろ死後事務を受ける側が後々トラブルに発展しないためにも注意するべきことですね。

死後事務委任でトラブルを発生させない対策と方針

死後事務委任契約でトラブルを発生させない為の対策としては上記のような問題があることを念頭に準備していくことです。

例えは受任者側の破産や事業中止などについては、なるべく公共性の高いところを中心に探していいくことになります。

近年は自治体や社会福祉協議会なども身元保証や死後事務の分野へとサービスの幅を広げてきていますので、民間事業者で身元保証をしてもらうよりも、利用料が安くまた破産などの心配もしなくてすむケースもあります。

ただ、必ずしも全ての自治体や社会福祉協議会でそうしたサービスを提供しているわけではありませんので、お住まいの地域でこうしたサービスが利用できない場合は、民間業者で探す必要がでてきます。

そうした場合は、より安全に身元保証や死後事務委任のサービスを利用するうえで次のことに注意しながら利用業者を探してみてください。

1、預託金の有無
身元保証や死後事務のトラブルの多くが預託金について発生しています。

事業者としては、依頼者の経済状況の悪化に備えて事前に必要な費用を預託金として預かっておきたいという要望があります。

しかし、依頼者側としては多額の現金を預けておくのは心配だということも当然ですので、預託金を預ける場合は、事業者に預けるのではなく、信託銀行などを利用して預託金と事業者の運営資金を分別し管理が徹底されている事業者を選ぶようにしましょう。

また、私たちの協会のようにそもそも預託金を預からずに、掛かる費用は遺産から清算するという方法を採っているところもあります。

この場合は多額の現金を事前にどこかに預ける必要はありませんので、万が一事業者が倒産したとしても現金としての被害は被らずに済むことになります。

預託金を預けるからトラブルが発生しやすくなるのであって、もともと預けなければトラブルに発展しようがないということですね。

2、専門家の有無
身元保証や死後事務は本人の権利擁護も含めて、死亡後の相続手続きといった高度に専門的な知識を必要とする分野です。

当然、遺言書や死後事務委任契約書の作成といった場合は、正しい知識を基に作成していかないと、後々トラブルへと発展する危険性含んでいます。

身元保証に限らず、遺言書や死後事務委任契約書は専門の士業が在籍して、直接手続きに関与してくれる事業者を選ぶことをお勧めします。

3、作成書類の種類
遺言書や死後事務委任契約書は、本人の意思確認の最終手段となります。

遺言書や死後事務委任契約書の効果が発揮される時点では、本人は既に亡くなっていますので、後から確認するということはできません。

相続開始後は遺言書と死後事務委任契約書に書かれていることが全てであり、それ以上でもそれ以下の手続きもありません。

遺言執行者や死後事務受任者は遺言書と死後事務委任契約書に書かれている通りに責任を果たす必要がありますので、その遺言書と死後事務委任契約書はなるべく信用性の高い書類が望まれす。

緊急な手術や病気などで公正証書を作成する時間もないという場合は別として、はじめから公正証書での作成を否定するような事業者とは契約しないほうが良いでしょう。

信用性の高い書類で作成することで本人の意思が明確となり、それによって親族からの苦情やトラブルの発生も抑えることに繋がります。

4、解約時のしやすさ
何度も書いているように、死後事務委任契約は契約してから発効するまでの間に何年もの期間が空くのが普通です。

当然、その間に新たなサービスの開始や利用している事業者のサービスが自分に合わないと感じることもあるでしょう。

そうした場合に備えて、もし解約するとなった場合はどのような手続きになるのかを契約を始める前に確認しておくことが大切です。

契約する前から契約を終えることを考えるのはいささか慎重すぎるかもしれませんが、それくらいの慎重さをもっていれば預託金の返還トラブル等で無駄な時間と労力を費やさなくて済むようになります。

死後事務委任契約のご相談は死後事務支援協会へ

最後は宣伝となりますが、死後事務支援協会では上記のようなトラブルが発生しないように対策したうえで死後事務支援を行っております。

死後事務委任契約を中心に身元保証サービスも行っておりますが、死後事務や身元保証契約でトラブルの中心となる預託金を不要していることから、事業者の破産や事業中止、預託金の返還トラブル、サービス団体の切り替えの際の解約トラブル等は発生しない仕組みとなっております。

また、遺言書や死後事務委任契約書の作成は相続や死後事務を専門に扱う国家資格者が行っておりますので、安心してお任せいただけます。

死後事務委任契約に興味がある方はお気軽にご相談くださいね。

ご連絡お待ちしておりま~す。

2021.11.27

自宅保管の遺骨を火葬場(斎場)に引き取って貰う方法

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。北海道などでは既に豪雪になっているとか。名古屋は雪に弱いですので、なるべく降らないことを祈っています。

さてさて、本日の話題は「自宅保管されている遺骨(骨壺)」のお話しです。

死後事務のご相談者のご自宅を伺ったりすると、仏壇などに骨壺がそのまま安置されているケースがままあります。

相続手続きのお手伝いなどでは、お墓や納骨堂に入れる前に一時的に安置しているだけということもありますが、そうしたケースではなく、もう何年もご自宅で供養を続けていると方々です。

事情は様々で、
・お墓や納骨堂に入れるつもりだったが自宅での供養を続けてしまった。
・兄妹や配偶者の親族の遺骨で入れる墓がなく仕方なく自宅で保管していた。
・経済的な事情でお墓や納骨堂を用意できず自宅で保管している。
・お墓の管理で子供達に迷惑をかけたくないので、墓じまいを考えていた。

などなど、ご自宅で遺骨を保管されている理由は様々です。

そもそも自宅で遺骨を保管しているのは問題ないのか?というと別段法律でいついつまでにお墓に入れなければいけないといった決まりはありませんので大丈夫です。

最近は住宅事情に合わせた手元供養のセットなども販売されており、自宅で遺骨を供養される方は年々増えてきているようですね。

ただ、注意しておかないといけないのは、「遺骨を自宅で保管するのは問題ないけれど、最終的にどうするのかは決めておかないといけない」ということです。

なぜなら、自宅保管されていた遺骨について家族が困ってしまうことになるからです。

遺品整理などを行っていると、ご自宅の仏壇や祭壇に骨壺が安置されていることがあります。当然こうしたご遺骨に関しては、遺品整理の家財などと一緒に処分することはできません。

故人と疎遠な関係だった依頼者の中には、「遺品と一緒に処分してくださって大丈夫です!」と言われる方もいますが、さすがにそれは法に触れてしまいます。

では、どうすればいいのかというと、次のような方法となります。
・お墓や納骨堂にいれる。
・散骨や樹木葬などを行う
・本山納骨のように「送骨」に対応するお寺へ送る
・民間の合葬墓などに埋葬する

つまり、遺骨を自宅で保管されていた方のご家族が改めてご遺骨をどうするのかを決めて、対処するということですね。

ただ、自宅で保管されている遺骨には、上であげたケースのように、故人の兄弟姉妹の遺骨だったり、故人の配偶者の親族の遺骨だったりと、相続手続きをしている遺族で勝手に処遇を決めてしまってもいいのかと悩むケースもあったりします。

相続手続きはただでさえ煩雑で親族の負担になっているのに、「このお骨はどうすればいいんだ!!」と、家族を困らせないためにも、自宅で保管や供養をしている遺骨については、保管者がいなくなった後のことも決めておかなければいけません。

別段難しく考えることはなく、もし自宅で保管している方に万が一の事があった場合の希望を死後の手続きをされる親族などに伝えておく。これだけでもいいでしょう。

エンディングノートや遺言書の付言事項として記載しておくとより安全。また、ご遺骨をお墓や納骨堂などへ入れる際に費用が発生するなら、そうした費用を手続きする人にちゃんと渡るように準備しておくと完璧です。

また、一部の地域では自宅で保管している遺骨を火葬場で引き受けてくれる地域もあります。

死後事務支援協会のある名古屋では、八事斎場という火葬場があります。この八事斎場ではいくつか条件と手続きはありますが、自宅で保管している遺骨を引き受けてくれます。

西日本ではもともと火葬時の収骨は「部分収骨」の地域が多く、火葬時に申請をすれば遺骨を骨壺に入れて持ち帰らない「収骨なし(焼き切り)」を選択することも可能な場合があります。

最近では0(ゼロ)葬とも呼ばれている方式ですね。自宅で保管している遺骨を火葬場に引き受けて貰うのは、この0葬をやり直すようなイメージです。

ただ、自宅保管していた遺骨を再度火葬場にて引受けてもらう方法は、火葬時に収骨なしを申し出る場合より条件が厳しくなりますので、希望する場合は必ず事前に自分が保管している遺骨でも可能かどうかを担当部署に確認するようにしてください。

ご依頼を頂ければ、当協会で八事斎場に引き受けてもらう手配も行いますのでご相談ください。詳しくは、「直葬・ゼロ葬の上手な利用方法」をご確認ください。

いずれにしても、ご自宅で保管しているご遺骨は行き先を決めておかないとその後にご家族を困らせてしまうこととなります。

ご自宅で保管しているご遺骨がある場合は可能な限り保管者にて行き先の決定や生前での対応をしておきたいものですね。

ご自宅で保管しているご遺骨についてお困りでしたらいつでもご相談ください。

2021.10.03

不動産を市町村に寄付する代わりに解体や遺品整理を任せることはできるのか?

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。眞子様のご結婚正式に発表されましたね。おめでとうございます。末永くお幸せに。

さて、結婚とは正反対の死後の手続きの話題ばかりで恐縮ですが、今回も同じく死後の話題です。(笑)

死後事務に限らず、遺品整理のご相談でも良くある話しなのですが、相続した不動産を市町村へ寄付したいというご相談。

不動産を寄付したいというだけなら、土地の利用状況や換金した上での寄付といったご提案は可能なのですが、ここである相談というのが、家屋の解体や遺品整理を行う費用がないので、市町村に不動産を寄付する代わりに、そうした家屋の解体や遺品整理を市町村にお願いすることはできないのか?という相談です。

これが個人間の話しで、例えばお隣同士のお話しなら、「ま~、自宅の敷地も広がるし、それ位は負担してもいいかな」ということはあるかもしれません。

しかし、相手が市町村などの場合にはなかなかそうはうまくいかないのが実情です。

こうした相談の多くは、一人暮らしの高齢者が住んでいた古い家屋で、家財やゴミがぎっしりというケースが多く、遺品整理や家屋の解体に相当な金額が必要と見込まれるような状況です。

当然、相続人としては、自分達の持ち出しはなるべく少なくしたいと考えるわけで、親族で誰も利用しないなら市町村へ寄付して、遺品整理や家屋の解体はそっちに任せてしまおうと考えている場合ですね。

では、そうした希望は叶うのか?というと、まず無理です。

不動産というと高い資産価値を有しているようにも思えますが、本当に価値のある不動産でしたら、親族だって遺品整理や家屋解体の負担をした上で売却手続きをすれば、利益が見込めるはずです。

しかし、そうせずに市町村に任せようと考えるということは、遺品整理や家屋を解体した上で売却したとしても、利益や労力に見合わないと考えているからに他ならないわけです。(立地や土地の形状など資産価値が低い)

最近良く耳にする言葉でいうなら資産価値の少ない、むしろマイナスにもなりうる「負動産」というわけですね。(資産価値や利用価値の高い不動産なら、市町村でも建物などが残っていても寄付を受け付けてくれる可能性はあります。)

当然こうした負動産ともいえる物件は、市町村側でもノーサンキューな訳で、あげると言われてもいらないわけですね。

もちろん、寄付自体はウェルカムな訳ですから、相続人が不動産の遺品整理や家屋解体を行った上で、売却してお金に代えた上でなら、喜んで受け取ってくれるでしょう。

もちろん、そこまでするなら敢えて市町村に寄付なんて考えには至らないのでしょうけれども(笑)

結論をいうなら、利用価値の低い不動産を市町村が遺品整理や家屋の解体の費用負担をしてまで、寄付を受ける可能性は限りなく低いということになります。

もちろん一律に不可ではありませんので、一縷の望みを掛けて役場の窓口に相談するのは問題ありません。

相続等により取得した土地所有権の国庫に帰属に関する法律

上の相続した土地を市町村に寄付できるかという話題と似ていますが、今年(令和3年)の4月に「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」なるものが成立いたしました。

これは、端的に言えば、いらない土地を国へ渡す制度です。

近年、相続によって、望まぬ土地を取得してしまい、その管理や税金などで相続人の負担が増加して、結果的に管理不全の土地が問題となっています。この管理不全の土地問題の解決策のひとつとして成立したのがこの法律な訳です。

「なんだ、土地を手放す方法ができたんじゃないか!それなら、じーちゃんが住んでいた家ごと国へ渡してしまおう!」とは、いきません。

詳しくは、法務省の「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫貴族法)」をご確認頂くとして

この法律は、相続した不動産の税金や家屋の解体費用に困っている相続人を救済するために制定された法律ではありません。

どちらかというと、所有者不明の土地や管理不全の土地が増えるくらいなら、費用を相続人に負担させた上で、しかたがないから国へ帰属させるか、というものです。

ですので、相続した土地を国庫へ帰属させることができるといっても、なんでもかんでも国が受け入れてくれる訳ではなく、国庫へ帰属させるための要件が厳しく決められています。

相続人として、一番身近な理由でいうなら、「土地を持ってても固定資産税や家屋の管理費で出費が痛いから国へ渡してしまいたい」という理由は基本的にアウトです。

市町村への寄付の際もそうですが、国庫へ帰属させるにあたり、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地に関しては、国庫へ帰属させることはできません。

具体的にあげられている却下要件としては、次のようなものとなります。
1、建物の存する土地
2、担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
3、通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
4、土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地
5、境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

上記の「却下要件」以外にも「不承認要件」もあり、国庫へ帰属させるための要件はかなり厳しく決められています。

そもそも、遺品整理の現場では「建物」があるのが当然ですから、最初から国庫へ帰属させる要件からは外れてしまっていることになりますね。

では、建物が無くて、土壌汚染やその他の権利関係も綺麗なら国庫へ帰属させられるのか?「土地を持っていても、管理や固定資産税が出るだけで、手放せるなら手放してしまいたい!」と考えている方も多いと思います。

却下要件や不承認要件に該当しなかれば、国庫へ帰属させる可能性は出てきますが、もうひとつクリアしないといけない壁「負担金」の問題があります。

要件審査を経て法務大臣の承認を受けた者は、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費用相当額の負担金を納付しなければなりません。

つまり、土地を国へ差し出すのにさらにお金も支払わないといけないということですね。

こうなると、もう「お金を払って引き取ってもらう」負動産そのものともいえますが、民間ではタダでも買い手がつかない土地というケースもありますので、そうしたケースでは、国へお金を払ってでも帰属させることができるということには意味が出てくるのかもしれません。

いずれにしても、資産価値の低い土地を手放すことはなかなか簡単にはいかないということですね。

2021.10.01

成年後見人は死後事務を行ってはくれない?

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。

緊急事態宣言も全面解除され、コロナ患者も減少してきて、やっとコロナ迷宮の出口に光が差してきた感じですね。ここで落とし穴に落ちないようにする為にも基本的な感染対策は続けていきましょう!

さてさて、死後事務委任契約についてですが。死後事務のご相談を受けている際にこんな質問を受けることがあります。「将来、認知症になって成年後見人がついたら死後の手続きはその人が全部やってくれるんですよね?」

さて、どうなんでしょう?

最近よく耳にする「成年後見人」、判断能力の衰えてきた高齢者の方の財産管理や身上監護を行う方となります。これは、家族がなる場合や士業のような専門家がなることも多いですが、成年後見人の選ばれ方によって大きく変わることとなります。

既に、認知症等で判断能力が失われてしまっている方の場合は、家庭裁判所によって「法定後見人」という方が選ばれます。

これは、親族などから申し出によって、家庭裁判所にて、ご本人にとって最適な方を後見人として選任するタイプですね。後見人には家族がなることもあれば第三者の専門家がなることもあります。

もうひとつが、「任意後見人」。こちらは、ご本人が元気なうちに、自分が判断能力を失った時に備えて予め、自分で自分の事を託せる方を選んでおく方法です。

ですので、任意後見人も家族がなる場合や専門家がなる場合、どちらもあることは法定後見人と一緒ですが、自分が信頼する方を事前に決めておくことができる部分が法定後見人とは大きく違うところとなります。

では、本題に戻って成年後見人はご本人(成年被後見人)が亡くなった場合に、葬儀や遺品整理、行政機関への届出などはできるのでしょうか?

これは、法定後見人、任意後見人ともに死亡届のように一部できる業務はありますが、一般的に死後事務として望まれる大部分については、「出来ない」という答えとなります。

正確に言うなら、「死後事務は成年後見人の業務ではない」というのが正しい表現となるでしょうか。

成年後見人の業務は、ご本人の身上監護や財産管理が業務範囲です。端的に言えば、成年後見人が成年後見人として活動できる期間は、本人が存命中の間だけです。

つまり、ご本人が亡くなった段階で、成年後見人としての基本的な業務は終了してしまうため、成年後見人としては死後の手続きを行うことはできないこととなります。

成年後見人の一般的なイメージとしては、高齢者の方のお困りごとを幅広くサポートするというイメージがあるかと思います。

そうしたイメージの中には、高齢者が亡くなった後の葬儀や埋納骨、遺品整理といった、亡くなった後に行わないといけない手続き全般もサポートしてもらえるんだと思われている方がけっこういます。

どうして、こうしたイメージがついてしまっているかというと、成年後見人に家族がなっている場合は当然、家族が家族として、死後の手続きをおこなったりしますし、専門家がなった場合でも、家族がいない方の死後の手続きを放置しておくわけにはいかないとして、業務範囲外であっても、関係機関と連絡しあってなんとか手続きをしてきたという部分もあったりするからと思われます。

しかし、先ほども述べたように、死後の手続きは基本的には成年後見人の業務ではないため、家族以外で死後の手続きまでやってくれている成年後見人はあくまで例外的な対処となります。

では、成年後見人は一切、死後事務はできないのか?というとそうとも言えません。先ほどあげた、ふたつの成年後見人のうち、自分で将来成年後見人になってもらう方を事前に決めておく「任意後見人」のケースでしたら、任意後見契約を結ぶ際に、「死後事務委任契約」も一緒に結んでおけば、任意後見人として活動していた方が、死後の手続きも引き続き行ってくれることとなります。

これは、任意後見人が死後事務を行うことができるというわけではなく、任意後見人の方もご本人が亡くなった段階で任意後見人の業務が終了することは、法定後見人と変わりありません。

ただ、事前に「死後事務委任契約」を任意後見人の方と結んでいることで、任意後見人の方が、任意後見終了後、新たに「死後事務受任者」に就任して、死後事務受任者として活動することができるようになるということです。

なんで、いちいちそんなメンドクサイことをするんだろう?と思われるかもしれませんが、ご家族が死後の手続きを行う分には、何か問題があってもご家族間の問題ということになります。

しかし、第三者が就任することの多い「死後事務委任契約」では、権利関係を曖昧にしたまま行ってしまうと大きなトラブルへと発展してしまいます。

例えば、親戚が亡くなったと聞いて尋ねてみたら、縁もゆかりもない第三者が勝手に葬儀をあげて、遺骨を菩提寺とは関係ないお寺に埋葬していた、なんて聞いたらどう思われますでしょうか?

普通に考えれば「赤の他人が、なんで勝手な事をしているんだ!!」と、関係者の方々は当然、激怒することでしょう。たとえ、それが裁判所で選任された法定後見人であったとしてでもです。

しかし、そうした死後の手続きがご本人の意思に基づいて行われていたというなら、話しは変わってきます。もちろん、ご家族やご親戚の想いをないがしろにしていい訳ではありませんが、大事なのはあくまで「本人がどうしたいか」です。

自分の死後にこうして欲しいというのは、言ってみれば本人の最後の希望でもあります。皆さんご良くご存じの「遺言書」もそうですよね。

遺言書は主に財産関係に関する本人の最後の希望であり、これは法律で定められている「法定相続分」などよりも優先して、その意思の実現が図られるよう法律で保護されたものでもあります。

これと同じように、遺言書では書けない死後の希望を記載しておくのが「死後事務委任契約」であり、こちらも本人の最後の希望を叶える強い効力を持つ書面となります。

こうした本人の意思を確認することができる書面としては、最近は「エンディングノート」のような、死後の手続きに必要なことをまとめておく書籍や冊子も多数販売されています。

もちろん、こうした書籍等を利用するのも有効な方法ではありますが、エンディングノートはご自身が記載するだけの物でもありますから、あくまで「メモ」以上の効果はありません。(法的な拘束力などは生じない)

死後事務委任契約は、事前に選んだ信頼できる方と結ぶ「委任契約(準委任)」であり、契約である以上はそこに法律的な効果が発生します。

つまり、死後事務受任者となった方は、勝手には契約を放棄することはできないこととなり、エンディングノート等より、はるかに強い実現効果が望めることとなります。

当然、そうした法的効果を発揮させるために、誰が何をどういった方法でと、細かに依頼内容や報酬が決められることとなりますので、依頼した側、依頼を受ける側の権利義務が明確となります。

そうした、本人の意思を実現するための、正式な書面があることで、たとえ第三者であっても本人から正式な依頼を受けたという事で、たとえご親族との考えと異なっていたとしても、何憚ることなく業務を遂行することが可能となるわけです。

話しが長くなりましたが、まとめると

死後の手続きは、基本的に成年後見人は行うことはできない。
ただし、事前に死後事務委任契約を結んでおくことで、その意思を実現してもうらうことは可能となる。

※法定後見人の場合は、本人の判断能力が失われた後で裁判所にて後見人を選任するため、法定後見人と事前に死後事務委任契約を結んでおくということは難しいこととなります。

そうした場合は、死後事務委任契約だけを信頼できる方へとお願いしておくことで、法定後見人の業務が終了した段階で、死後の手続きからは、事前にお願いしておいた方が、死後事務準者として手続きを進めていくということも可能となります。

いずれにしても、死後の手続きで不安や心配がある場合は、一度ご相談くださいね。

2021.09.06

死後事務を依頼していた姉としていなかった弟、遺された家族の苦悩

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。9月に入っていっきに涼しくなった感がありますね。食欲の秋が来る~って感じですが、この時期の楽しみのサンマが高い!いつからサンマは高級魚になってしまったのか、、、。

さてさて、本日は死後の手続きのご相談について。当協会で行っている死後事務委任契約は、ご本人様より依頼を頂いて、「自分に万が一の事があったら打ち合わせ通り、後のことはよろしく頼む!」という感じで、ご本人様より生前に依頼を受けて行うものとなります。

これとは別に、故人の死後事務を家族から依頼を受けて行うという手続きも当協会ではサポートしています。何が違うかと言えば、依頼者が「亡くなった本人」か「家族」かの違いがあります。

確かに死後事務委任契約は亡くなったご本人と事前に結んでおくものですが、事前に死後事務委任契約を結んでいなかったからといって、死後事務の手続きを第三者ができないわけではありません。

故人の権利義務や故人の死後の手続きを行うべき家族から委任を受ければ、私たちのような士業は家族の代理人として活動することができますので、ご本人から生前に依頼を受けて行う死後事務委任契約となんら変わらないサポートが可能です。

もともと、死後事務や相続手続きは家族や相続人が行ってきたものですが、近年の超高齢社会の影響などから身近な人に迷惑をかけないようにと、注目を集めてきたのが死後事務委任契約となります。

ですので、本来、手続きを行うご家族や相続人の方の協力があれば、私たちのような士業は通常の相続業務と同様に死後事務のサポートも行うことが可能なわけですね。

今回のご相談は、そうした家族の方からの死後事務のサポートに関するご相談です。

故人は名古屋市内に在住していた方ですが、相続人となられるご兄妹は遠方に住んでおり、年齢などの関係からも気軽に名古屋へ来られる状況ではありません。そうした中でインターネットで当協会の情報をご覧になり、相談のお電話を頂いたという経緯です。

葬儀の関連で名古屋に来られるタイミングで、面談を行うことになり、ご相談者以外の相続人がいる待ち合わせ場所で打ち合わせをすることとなりました。

その際に聞いた話しなのですが、今回亡くなった弟さんとは別に数年前にお姉さまが亡くなったそうです。お姉さまもお一人身の方だったようですが、事前に死後事務に関する手続きを第三者へと依頼してあったとのこと。

ですので、お姉さまが亡くなった時は、葬儀から相続手続きまで全ての死後事務を相続人以外の第三者が行ってくれていたため、ご相談者の方達は必要な書類を提出したり、署名捺印する程度くらいの関与しかしていません。

そうしたちょっとした手続きへの協力だけで、預貯金の払戻し金が指定の口座へ入金され、お姉さまが所有していた不動産の名義は相続人名義へと変更され、当然役場関係の手続きも全て終えられており、非常に手間いらずの状態でお姉さまの死後事務と相続手続きを終えたそうです。

そんな経緯から、今回の相続人の中には「相続手続き何するものぞ」とばかりに、相続や死後事務の手続きは非常に簡単なものといったイメージを持たれている方もいらっしゃいました。

しかし、それはお姉さまが事前に死後事務を信頼できる方へと依頼してあったからこそであり、一般的に死後事務や相続手続きは難解でメンドクサイものです。でなければ、週刊誌などで相続や死後事務関連の特集があんなにも組まれたりしませんよね。

そして今回直面した弟さんの相続と死後事務の手続き。ご相談者の方はわざわざ相談の電話を入れてきている訳ですから、相続や死後事務手続きが簡単にはすまないだろうと思っていらっしいます。

しかし、相続人の方の中には上で述べたお姉さまの時のイメージが残っているのか、私が伺った際に「何を依頼するの~、自分達でやれるでしょう~、お姉さんの時はすぐ終わったじゃないの~」と、楽観的に考えている方が何名かいらっしゃいます。

もちろん、ご家族の方々で手続きできるのなら問題ありませんし、私たちが出る幕ではないのですが、電話相談を受けた際に何点か気になる点がありましたので、依頼をされるかどうかは別に、「とりあえず、今後の手続きと流れを確認してみませんか?」とご提案。

葬儀以降に発生する手続き、役場での手続き、葬祭費の請求、未支給年金の受け取りの可否、公共料金の支払いや各種契約の解約、遺品整理に賃貸物件の明渡しと、ひとつひとつ確認していきます。

そうした中、打ち合わせ前に事前に故人の室内の状況を確認していたご相談者の方からカメラに収めた室内の状況を見せてもらうと、悪い予感が的中です。

室内の状況はいわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれる状況で、天井に届きそうなくらいのゴミの山。トイレやお風呂なども使用できない状況で汚物も散乱し、明らかに通常の退去費用では収まらないケースです。

もちろん、部屋がゴミ屋敷で原状回復費用が高額になると予想される場合であっても、それを上回る相続財産があれば問題ありません。

しかし、室内から探し出した通帳を見ると残高はそれほど多くはありません。記帳するか残高証明を取得してみないと正確なことはいえませんが、遺品整理と原状回復の費用にはまったく足りない状況と予想されます。

亡くなった弟さんの日頃の生活状況を聞いてみると、最近はあまり親交は無かったようですが、昔は消費者金融からの借入も頻繁に繰り返していたようで、場合によっては借金についても心配しないといけない状況です。

その他、賃貸物件の契約状況やお姉さまが亡くなった際の相続状況なども確認していくうちに、「本当に相続されますか?」という根本的な問題へと立ち戻ることとなりました。

私が訪問した段階では、相続もするし、死後事務もやらないといけない、難しい部分は専門家に依頼しようという感じでしたが、状況を整理していき、今後の必要となる手続きや予算、そして残った遺産の状況を確認していったところ、相続人の方々の考えは「これは相続したら大変なことになるのでは?」という認識へと変わっていきました。

幸い相談の電話も早かったため、故人の財産には遺品整理も含めて何も手を付けていない状況ですので、相続放棄を選択肢に入れることも可能です。

ご家族が実際に相続放棄するのか、敢えて相続して手続きを進めていくのかはご家族の判断に任せることになりますが、ただ単に相続して死後事務を行っていくというだけでは、予想外の債務を負う危険性を知って頂けたことは今後の大きな判断材料にして頂けるかと思います。

本来は死後事務を受任していく立場ではありますが、相続人のことを考えれば依頼内容と正反対とも言える「相続放棄」を提案させて頂くこともあります。

今回のケースは、同じ家族の相続で死後の準備をしっかりしていたお姉さまと、まったく準備しておらず突然に亡くなってしまった弟様のケースで、死後の準備の大切さをまざまざと見せつけるものとなりました。

今回のケースでもわかる通り、離れて暮らす家族にとっては、本人がどういった生活をしており、どのような財産や負債を持っているのかは全くわからないのが普通です。

今回のお姉さまのようにしっかりと死後事務委任契約を第三者と契約しておくのが理想ではありますが、そうでなくても、最低限、銀行の口座や負債の有無など相続人となられる方が判断に迷わないようにメモを残しておくと死後の手続きをする方にとっては大きな手助けとなります。

最近は本屋さんへいけば、エンディングノートのように死後の手続きに必要な事項をまとめた冊子も沢山売っていますので、そうした物を活用すると、何を書いておけば死後の手続きに役立つのかを簡単に整理することができます。

相続や死後の手続き、死後事務委任のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2021.08.23

家族や親戚に知らせずに葬儀をあげることは可能か?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

早い地域だと今週から新学期が開始する学校もあるのですね。8月いっぱいは夏休みかと思っていましたが、この感染が拡大する中での新学期開始は少々心配になります。

小児への感染も増加しているようですので、まずは自己防衛の徹底で家族を守る行動をとっていきましょう。

さてさて、本日も死後事務委任に関するお話しです。先日、所属する士業の団体の勉強会に葬儀業者の代表を招いての勉強会が行われましたので参加してきました。

いろいろと興味深いお話しもあり大変参考になったのですが、その中のお話しで近年の葬儀の際の会葬者の人数のお話しがありました。

もう何年も前から「家族葬」という言葉を聞くようになり、コロナ禍で会葬者の多い葬儀が出来ない状況も合わさって、ここ数年の葬儀の様相はガラッと変わっているそうです。

2017年データーでも3割弱は会葬者20人未満の葬儀だったようで、コロナ禍の状況を考えると今の葬儀は本当に身近な親族だけになっていると思われます。

こうした葬儀の会葬者が減る中で、では反対にどこまで会葬者を減らすことができるのか?と考えたことはありますでしょうか?

最近はゼロ葬という言葉もあるくらいで、もともとの遺骨を持ち帰らないという意味から、葬儀へかける費用や負担を限りなく少なくするという意味にも使用されてきています。

死後事務委任契約のご依頼者の中には、家族や親族がいたとしても「葬儀には誰も呼ばないで欲しい」「家族には知らせずに葬儀を行って欲しい」「家族や親戚には葬儀や納骨が終わってから知らせて欲しい」という希望を持たれている方がけっこういます。

上でいう「葬儀」とは、宗教的儀式の葬儀だけではなく、宗教的儀式を行わない「直葬」なども含んでいるのですが、直葬のような場合であっても、火葬場へ親族が来ることは別段問題はありませんので、そうした火葬場へも来ないようにする為にあえて、死亡通知を葬儀や納骨後に指定される方もいらっしゃいます。

これには様々な理由があり、
①親族や親戚との折り合いが悪い
②相続人として甥や姪がいるが、疎遠なため葬儀に呼ばれても困るだろうと考えてあえて知らせない
③親族や親戚とは良好な関係だが、遠方に住んでおり高齢の体に負担を掛けてまで来てもらわなくてよい

など、親族間の不仲から相手の事を思いやってあえて葬儀には来なくてよいとする内容まで様々です。

では、実際のところ家族や親戚に内緒で葬儀から火葬、埋納骨まで行うことは可能なのでしょうか?結論から言うと「可能」です。

実際に私たちのような死後事務を支援する団体では、依頼者と結んだ「死後事務委任契約」に基づいて、葬儀や納骨などを行っていきますが、契約にあたって、葬儀のプランや誰に通知して誰を呼ぶのか、または誰も呼ばずに葬儀を実施するのかなどを細かく打ち合わせを行い、それを契約書としてまとめます。

そうした契約書の内容に「葬儀は直葬」「親族や知人へは納骨後に通知」などの要望が盛り込まれている場合は、死後事務受任者としては、契約書に記載された通りに死後事務を執行していきますので、依頼者に万が一の事があった場合は親族や親戚には知らせずに葬儀から埋納骨まで終わらせることもあります。

いや、そうは言っても依頼者が死んだらまずは家族へ連絡が入るでしょ!?」と思われる方も多いのではないでしょうか。

どのような形で亡くなったかにもよりますが、一般的な病気で入院、その後に死亡という流れの場合では、家族へ死亡連絡がいかないということは珍しくありません。

そもそも病院が連絡する相手は誰なのか?というと、依頼者本人が入院する際に入院申込書などに記載した連絡先に病院は連絡します。

病院が患者の家族や親戚の連絡先を当然に知っている訳でありませんので、患者本人が申込書へ記載した連絡先しか病院は知り得ない訳です。

そうした場合に、その連絡先に私たちのような死後事務支援を行う団体の名前が記載されている場合は、病院は家族以外であってもそこしか連絡先がありませんので、患者が死亡した事、患者の遺体の引取り、未払いの治療費の請求などは、入院申込書へ記載されている「身元保証人」や「身元引受人」「入院治療費の支払い者」等へなされることとなります。

つまり、患者本人が亡くなった場合であっても、入院申込書への記載内容によっては、たとえ家族であっても本人の死亡を知らないまま、患者が希望した身元引受人等へ遺体が引渡されることとなります。

そのようなケースですと、そのまま葬儀や火葬、埋納骨と死後事務委任契約書の内容に従って粛々と進められていきますので、依頼者からどのタイミングで家族や親戚に通知をして欲しいという希望がなされているかによって、家族や親戚が依頼者の死亡を知るタイミングは前後することとなります。

依頼者によっては、「誰にも一切通知しないで欲しい」という希望を持たれている方もいますので、そうした場合は、死後事務受任者としては誰にも通知を行うことなく死後事務の執行を終わることもあります。

ただし、依頼者の方に相続人がいる場合は、例え遺言書で「相続人へは一切財産を渡さない」としていた場合であっても、遺言執行者としては相続人へ財産目録等を整えて通知する義務がありますので、死後事務受任者としては通知しなくても、遺言執行者としては通知するということはあります。

この場合であっても、遺言執行者が通知するタイミングは故人の財産をある程度調査した後になるのが普通ですので、依頼者の方が誰にも通知しなくて良いとしていた場合は、葬儀や埋納骨が終了した後に通知がなされるケースがほとんどでしょう。

では、本題に戻って「会葬者はどこまで減らせるのか」というと、実際には喪主だけで十分という結論となります。この喪主も必ずしも親族である必要はありませんので、第三者の死後事務受任者が喪主を務めるのでしたら、親族、親戚等は誰も参加せずに葬儀、火葬、埋納骨まで終えることは可能となります。

死後事務委任契約は基本的には家族や親戚の意向ではなく、本人の希望を大前提で進めていく契約となり、家族や親戚が例え反対の考えを持っていたとしても、契約書の効力によって本人の希望が優先されるのが「死後事務委任契約」となります。

死後事務委任契約は契約書の名前の通り、死後の事務を委任する契約である為、契約の効力が発効した段階では、依頼者本人は死亡しています。

つまり、何か問題が起きた場合であっても後からその内容を本人に確認するということはできませんので、死後事務委任契約書を作る際は事前の打ち合わせが非常に重要となってきます。

トラブルなく死後事務を第三者へ依頼したい場合は死後事務を専門に扱う士業へご相談くださいね。

自分の死後についての強い希望があるようでしたら、死後事務委任契約をご検討ください。ご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2021.08.22

死後事務委任契約と米寿のお祝い?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

オリンピックも終わり再び世間はコロナの話題一色となってきましたね。私のところにもワクチン接種の案内が届き幸い掛かりつけの病院で接種が可能でしたので来週にも一回目を接収を行ってきます。

この仕事はどうしても高齢者の方々との打ち合わせが多くなりますので、まずは2回の接種を無事に終えたいと思います。

さてさて、本日は死後事務委任契約の依頼者の方へ行っている安否確認とその際のちょっとした小話についてです。

死後事務支援協会にて死後事務のご依頼を頂いている方へは定期的に安否確認を行っており、依頼者の希望する方法での安否確認を行っております。

今月契約された方は皆さんお若くそのうち3人は全て50代の現役で働かれている方々です。別段持病があるわけでもなく、死後事務を考えなければいけないような差し迫った事情がある方々ではないのですが、コロナ禍ということと、ワクチン接種を予定していることから万が一に備えてという方々です。

そうした若い方々でしたら、死後事務のご依頼を頂いている期間の安否確認は携帯やスマホなどからSMSを利用したメッセージのやりとりで行うことも簡単にできます。

ただ、高齢者の方の中には、そうした機器の操作に不慣れな方は当然おおくいらっしゃいますので、そうした方々へは電話などでの安否確認を実施しているところです。

そうした安否確認を実施している高齢者の方の中に県外にお住まいの方で、今年88歳の米寿を迎えられた方がおり、せっかくでしたので安否確認の電話を誕生日に合わせて入れさせて頂きました。

その方には毎月安否確認の電話入れていますので、日頃からあれやこれや世間話しに花を咲かせているところではありますが、「米寿ですね!」とお祝いを伝えたところ、「よくま~ここまで生きたものだわ」とおっしゃいます。

その方は子供の頃から原因不明の体調不良に悩まされていたのですが、現在は原因も判明し対処も行ったことから日常生活には支障がない状況にまで回復しています。

ただ、原因が判明した際に病院のドクターから言われたのが「あんたこれまで良く生きてたな!」との一言。なかなか辛辣な言葉にも聞こえますが、実際にそれくらい危険な状況を綱渡りで過ごしてきたようなもので、そうした過去の出来事を思い出して漏れ出た言葉が、先の「よくま~ここまで生きたものだわ」に滲み出ていたかに思います。

体調不良の原因は解消しても、それでも88歳の米寿を迎えた方でもありますので、コロナに限らずこの真夏の暑さも大変危険でもありますので、「熱中症などにも気を付けて」と伝えると「あんたも若いからっていって注意を怠ったらあかんよ!今のご時世なにがあるかわからんに」と反対に心配されてしまいました(笑)

医者の不養生ではありませんが、コロナでは若い方も亡くなっていますので、ちょっとした気の緩みでどうなってしまうか分からないご時世でもありますから、死後事務を担う者として、まずは自分の健康を第一に仕事を進めていかないといけないなと、改めて考えさせられる先達からのお言葉です。

8月も終わろうとしていますが、まだまだ暑い時期が続きます。コロナもそうですが、高齢者の方は熱中症も大敵となりますので、無理せずエアコン等の空調を利用して体に負担のないようにお過ごしくださいね。

死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

2021.08.05

コロナワクチン接種に備えて死後事務委任契約?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。オリンピックも折り返しとなり、日本人選手の活躍に心が躍りますね。全力を出し切れる競技になってもらいたいと願っています。

さてさて、オリンピックの裏で暗躍するコロナウイルス。関東では第5波と緊急事態宣言の再発出といまだ予断をゆるさない状況が続いています。

医療機関及び医療従事者の皆様もおかげでワクチン接種も進んでいるところですが、長年の積み重ねのあるインフルエンザのワクチンと違って、緊急対応的に使用が認められたワクチンでもあるため、副反応が怖いといった反応もありますよね。

副反応の症状は様々ですが、発熱や腕が腫れるといった軽い症状なら問題はありませんが、ワクチンとの因果関係は不明なものの、接種した後に亡くなった人がいるという情報を聞くとどうしても「万が一があったら、、、」と不安になるのは仕方ありません。

私自身も先週のワクチン接種の案内が名古屋市より郵送で届きましたので、予約開始時期がきましたら予約をしてワクチン接種に臨みたいと思ってはいます。

しかし、私はこれまでインフルエンザにも罹ったことがなく、インフルエンザの予防接種も受けたことがありません。そうした予防接種未経験者の為、コロナワクチンの予防接種ではどういった副反応が起きるのかや、または初めての予防接種で激しい副反応が出たりするのではないかと心配をしていたりします。

こうした心配は私だけではなく、実際に死後事務委任契約の準備を進めている方との面談の中でもチラホラと同じような心配を耳にすることがあります。

死後事務委任契約の依頼者の多くは、緊急時にすぐに動ける親族がいないケースがほとんどです。これは、家族仲が悪いといったケースだけではなく、単に親族が誰もいなかったり、または親族が遠方に住んでいてすぐには駆け付けられないといった様々なケースがございます。

そうした状況下で、コロナワクチンを接種し、もし万が一があったらどうしよう?という心配から始まり、ワクチン接収に限らず、病気や事故で突然死んでしまったら、私の死後の手続きはいったい誰が行ってくれるの?という、これまであまり考えなかった、または無意識に避けてきた問題にコロナワクチンの接種という問題を機会に改めて考え直される方々がいます。

少し前まではコロナワクチンの接種対象が高齢者となっていましたので、死後事務委任契約が完了した高齢者の方などは、「これでワクチン接種で何か起きても安心だわ」と冗談めかしておっしゃっていました。

しかし、最近はワクチン接種の対象も40代~50代位の方へも対象が拡がってきており、比較的若い方の死後事務委任契約では、これからワクチン接収を受けるという方もいらっしゃいます。

死後事務支援協会で行っている死後事務委任契約では、遺言書と死後事務委任契約を公正証書で作成するのを基本としています。

ですので、死後事務支援協会での聴き取りや遺言者や死後事務委任契約書の原案の作成を行った後には、公証人へと文案を渡し、公正証書の下書きを行って頂いた上で、公証役場へと赴き実際に公正証書の作成となります。

そうした公正証書が出来上がる一連の流れの中で、死後事務支援協会との打ち合わせが終わった後に、実際に公証役場へ赴くまでに1週間~2週間程、空きの時間ができます。(公証人の下書きと、日程調整のため)

では、この1週間~2週間程の空き時間の間に「万が一の事」が起きたらどうなるのでしょうか。例えば、この空き時間の間にちょうどコロナワクチンの接種の予定がある方などです。

実際に現在死後事務委任契約の準備を進めている方の中には、この空き時間の間にコロナワクチンの接種を予定している方がいらっしゃいます。

依頼者の方はコロナワクチン接収に備えて死後事務委任契約の準備を始めた訳ではありませんが、コロナワクチンの接種を目前に控えた状態で、「もし、公正証書が出来上がる前にワクチンの副反応で万が一があったら、、、」と考えてしまう訳ですね。

せっかくここまで準備してきたのに、1週間程のタイミングのズレで、遺言書と死後事務委任契約書を公正証書で作り上げることができなかったとしたら。

仮定の問題として、公正証書で遺言書や死後事務委任契約書を作成する前に、万が一コロナワクチンの副反応等で依頼者が亡くなってしまったとしたら、どうなるのでしょうか。

基本的に、遺言書や死後事務委任契約書は作成された段階で効果を発揮します。反対に言うなら、作成されない限りはいくら「私はこうしたい!」と周りに伝えてあったとしても、それはあくまで本人の希望であり、確実な法的効果が及ぶものではありません。(死後事務委任は口頭で成立する可能性はありますが、、)

つまり、遺言書で遺言執行者に指定されている方も、死後事務委任契約書で死後事務受任者として指定されている方も、遺言書と死後事務委任契約書が作成されない限りはあくまで「候補者」や「予定者」であり、作成されてはじめて、遺言書や死後事務を執行する権限を手にいれることとなります。

簡潔に言うなら、遺言書や死後事務委任契約書が作成される前においては、遺言執行者や死後事務受任者になる予定の者は何もできない。ということになります。

当然それでは困る!というケースもあるでしょうから、これの対処としては公正証書以外での書面で準備しておくということです。

遺言書も死後事務委任契約書も公正証書でなければダメというものではありません。ですので、「自筆証書遺言」と「一般契約書での死後事務委任契約書」でしたら、即日でも作成は可能ですので、コロナワクチンで万が一の事があったら心配という方は、この方法で準備しておくと良いかもしれません。

つまり、公正証書ができるまでは、自筆証書遺言と一般契約書の死後事務委任契約書で対処し、公正証書が出来上がったら、そちらに差し替えるという流れですね。

自筆証書遺言も一般契約書での死後事務委任契約書も正式な書類ですので、当然その書類に書かれている「遺言執行者」や「死後事務受任者」は、公正証書で作成した場合と変わらない手続きをすることができます。

ただし、自筆証書遺言の為、家庭裁判所の検認手続きを経る必要があったり、公正証書程の信用力がないという面はあります。

この方法は、何も公正証書を作成する前提での話しではなく、これからコロナワクチンを接種する方で同じような心配をされている方にも有効な方法です。

公正証書遺言を作成するほどの事はないが、万が一に備えておきたいといった場合でも、とりあえず、「自筆証書遺言」と「一般契約書の死後事務委任契約書」のこの2点だけを準備しておけば、私たちのような士業は依頼者の為に活動ができるようになりますので、ご心配をされているような場合はご相談くださいね。

急な手術や入院の万が一に備えたい方へ

コロナワクチンに限らず、急な手術や入院の際の万が一に備えておきたいとは誰しもが考えることです。

そうした緊急時に財産だけではなく、自分の死後の手続きについても併せて準備しておきたいとお考えの場合は、死後事務支援協会にて対応いたしますのでご相談ください。費用等は「
実例3」をご参照ください。

2021.07.29

死後事務費用の払い方(死後事務受任者は預貯金を解約できる!?)

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。梅雨明け後は連日の猛暑日で体が溶けそうですね。オリンピックの選手たちもこの暑い中大変かと思いますが、熱中症にはお気をつけください。

さてさて、今回は死後事務委任契約を執行する際のお金の話し。先日、死後事務委任契約のご依頼を受けた方からこんな素朴な疑問を投げかけられました。

ご依頼者「銀行に金は残しておくから、そこから死後事務に掛かる経費や報酬を支払ってもらうのはええんだけれども、キャッシュカードを預けて暗証番号を伝えておけばええのか?」

私「いえいえい、キャッシュカードも暗証番号も預けて頂く必要はなく、万が一の際は私たちが〇〇さんの預貯金の払戻し手続きを取りますので、払い戻されたお金から費用や報酬の支払いに充てさせて頂きます」

ご依頼者「そうはいっても、家族でもない人間が他人の預貯金の解約なんてできへんだろ?」

といった、死後事務委任契約に掛かる費用を依頼者の所有する預貯金の口座を解約し、払戻しのされた金額より経費等を支払うという、士業にとっては一般的な金融機関の相続手続きに関する疑問です。

士業にとっては日常業務であったとしても、一般の方からしたら「他人の口座を家族でもない人間がどうして解約できるの?」という疑問は当然にありますよね。

もともと、死後事務委任契約を執行する場合の費用の支払い方法としては、

①預託金から支払う方法
葬儀費用や納骨、遺品整理といった費用を死後事務を実行する人(死後事務受任者)へと事前に預けておき、その中から掛かった経費を支払ってもうら方法

②相続人に清算してもらう方法
死後事務に掛かった費用を最終的に依頼者の相続人に支払ってもらう方法

③信託銀行を利用する方法
信託銀行に予めお金を預けておき、死後事務受任者が領収証等の支払いを証明する書類等を提出して、掛かった費用を清算する方法

④依頼者の預貯金口座より支払いを行う方法
依頼者の方の預貯金口座を解約し残っているお金から支払う方法

細かく上げればその他の方法もありますが、死後事務委任契約を執行した場合の費用の支払い方法として上の方法が主な物になるかと思われます。

①~④の方法はそれぞれメリットデメリットがありますが、私たち死後事務支援協会では基本的には④の依頼者の預貯金口座から清算させて頂く「遺産清算方式」にて行っております。

遺産清算方式の場合は、当然、上のご相談者のように「親族でもない他人(死後事務受任者)が、故人の預貯金を解約できるのか?」といった疑問を持たれることなります。

では、死後事務受任者は死後事務委任契約を受けている事を理由に故人の預貯金を解約できるのか?と言えば、答えは「出来ません」となります。

死後事務受任者が預貯金を解約できないのに、どうやって故人の預貯金から死後事務に掛かった費用を支払うのか?というと、実はここで「遺言執行者」というもうひとつ立場がでてきます。

言葉を整理してみると、
死後事務受任者・・・死後事務委任契約によって依頼者より死後の手続きの依頼を受けた者

遺言執行者・・・遺言書にて遺言の内容を実現する者として遺言者から遺言書中に指定された者

つまり、死後事務受任者と遺言執行者は別々の立場で別々の権限を持っている者となります。

別々の立場と別々の権限を持っているからといって、別々の人間が行わないといけないという訳ではありませんから、
実際には遺言執行者兼死後事務受任者となることも問題ありません。

私たち死後事務支援協会で死後事務委任契約を結んで頂く場合も「遺言書」を作成して頂き、その遺言の遺言執行者として死後事務支援協会を指定して頂いております。

恐らく、ここでまた混乱してくると思いますので、「遺言書」と「死後事務委任契約書」の違いを簡単におさらいしておきます。

「遺言書」は主に自分が亡くなった場合の財産の行方を決めておく書面となります。財産以外の身分事項等についても決めておくことはできますが、法律で定められた「遺言事項」以外には遺言書としての法的保護は及びません。

つまり、葬儀の方法や散骨の希望などを書いておいたとしても、それは遺言事項にはなっていないため、法的な保護は及ばず、あくまで故人の「お願い」となってしまうわけです。

極端な話し、遺言書に葬儀の方法等の希望が書いてあったとしても、それを見た家族がその希望を叶えるかどうかは、家族次第ということになります。

では、そうした遺言書に記載しても確実な効果が見込めない希望を実現するにはどうしたらいいのか?そこで効果を発揮するのが「死後事務委任契約書」というわけですね。

死後事務委任契約は、死後事務を実行する死後事務受任者の承諾を得て締結される契約ですので、死後事務受任者となった者は、勝手に死後事務委任契約に反す行為を行ったり、死後事務受任者に就任することを正当な理由なく拒否することはできません。

ですので、葬儀の方法や散骨の希望など、遺言書に記載しても法的な保護が及ばない内容も、死後事務委任契約書に記載することで、死後事務受任者となった者は「契約内容」を実現する義務が発生することになり、遺言書に記載しておくよりも強い実現性があることになります。

まとめると、死後事務委任契約書を作成された際に死後事務を実現する者が「死後事務受任者」であり、遺言書を作成した際に遺言書の内容を実現する者が「遺言執行者」となるわけです。

これで、死後事務委任契約書と遺言書のふたつの書面とそれぞれの内容を実現する受任者、執行者のふたつの立場があることがお分かりいただけるかと思います。

本題に戻って、故人の預貯金は「死後事務受任者」には解約払戻しはできないことに対する解決策は、「遺言執行者」が遺言執行者の立場で故人の預貯金の払い戻し手続きを行えばいいということになります。

死後事務受任者は故人の預貯金の解約はできないのに、遺言執行者はなんでできるの?という疑問は当然ありますが、答えは簡単明瞭。法律で遺言執行者は預貯金の解約の申し入れをすることができると定められているからです!

無駄に長くなってしまいましたが、結論を書くと死後事務委任契約に掛かる費用の支払いを故人の預貯金から行おうと考えた場合、死後事務委任契約だけでは不可能だが、死後事務委任契約と併せて遺言書を作成して、遺言執行者を定めておくことで、遺言執行者から死後事務に掛かった経費を支払ってもらうように準備することができるようになるということです。

反対に死後事務委任契約書だけの場合は、故人の預貯金口座を死後事務受任者が解約することはできませんので、「預託金」等で予め死後事務に掛かる費用を預かっておかないと、死後事務に掛かる費用を支払えなくなってしまうことになるということです。

こうした部分は多分に相続や法律知識の必要となるところでもありますので、死後事務委任契約をお考えの場合は専門の士業または死後事務支援協会へご相談くださいね。

2021.07.12

遠方に住んでいる相続人からの死後事務代行のご依頼

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。梅雨明けも近いとあって夜中の気温も高いままですね。

高齢者の方は夜間のトイレを嫌がって寝る前に水分を摂ることを控えてしまう傾向にありますが、寝る前の一杯の水が熱中症を防ぐことに繋がることもありますので、冷房も効果的に活用して熱中症にならないよう対策していってください。

特にひとり暮らしの高齢者は熱中症になっても誰にも気づいてもらえず亡くなってしまうケースがこの季節は急増しますので厳重注意です!

さて、先日そんなおひとり暮らしの方が孤独死したご家族からご相談頂いた案件があります。九州地区にお住まいの方から愛知県で暮らしていたおひとり暮らしの兄弟が孤独死状態で見つかったとのこと。

現在は警察にてDNA鑑定中だが、鑑定が出た後の死後事務を丸っと任せることはできないか?というご相談です。依頼内容としては、

・DNA鑑定が終了した遺体の警察または葬儀業者からの引取り
・死体検案書の取得
・葬儀の代行(喪主の代行)
・遺骨の郵送手配
・各種行政手続き
・遺品整理
・財産整理と財産目録の作成
・遺産整理業務 等々

もちろん大丈夫です。

死後事務支援協会では通常依頼者本人との「死後事務委任契約書」に基づいて、依頼者の死後の発生する上記の内容のような死後事務を家族に代わって代行しておりますが、家族からの依頼でももちろん手続きは可能です。

本来、死後事務というものは家族が行うべきものを、近年の単身者や未婚者の増加を背景に疎遠な親族関係から、死後の手続きを行ってくれる家族がいない方が増えてきた為、家族に代わって死後事務を行う死後事務委任契約の需要が増えてきました。

そうした方々の死後に発生する手続きを親族以外の方が故人の遺志を尊重した形で行えるように整えたのが「死後事務委任契約書」であります。

ですので、死後事務を行う意思のあるご家族がいるなら、当然ご家族が行えば良く、第三者が手を出す必要はありません。

ただ、このコロナ禍で県を跨いでの移動が憚られる中、高齢の親族が慣れない土地で死後事務を何週間にも渡って行うのは体力的にも精神的にも非常にハードなのは間違いありません。

場合によっては、死後事務を行っている親族が倒れてしまうということにもなりかねませんので、そうした場合は私たちのような死後事務の専門家にご依頼頂ければ、ご家族に代わって必要な死後事務を全てご家族に代わって行うことが可能です。

私たちからすれば、もともと相続人がいない場合を想定した上で、依頼者本人が亡くなった後の手続きを法律上瑕疵の無い形で進めていくのが普段の業務となりますから、むしろ正式な権限を持っている相続人からご依頼頂けるのでしたら、普段の業務よりもトラブルなくかつスピーディーに手続きを進めることが可能となりますので、仕事としてはやりやすいくらいです。

コロナで長距離の移動が難しい、高齢で体力的に手続きが不安だ、疎遠な親族だったからなるべく簡便に手続きをすませてしまいたい。

といった、なるべく親族に負担の少ない形で死後事務を行っていきたいとお考えでしたらいつでもご相談ください。

死後事務、相続、遺品整理専門の士業がご相談に応じております。

2021.07.10

自筆証書遺言の検認と銀行での手続き

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

今日の名古屋は久々の快晴です。来週は梅雨明けも期待できるとのことで、待ち遠しい限りです。しかし、梅雨が明けたら明けたで今度は熱中症の危険も一気に高まってきますので、おひとり暮らしの方は特に注意してくださいね。

さて、先日来より死後事務を進めてきました緊急依頼で受任した案件についてです。依頼者の方は受任してから1月程で亡くなった為、事前の準備は完璧とまではいかなかった案件です。

しかし、そうしたケースは死後事務委任を行っていく中では珍しくはないもので、出来うる限りの対応を求められるのもまた事実です。

この案件は依頼者の方から連絡をもらった段階では既に依頼者にて大半の整理を進めていたこともあり、死後事務についてはそれほど煩雑な手続きはなく、通常のご依頼と同じ流れで進めることができました。

ですので、葬儀や遺品整理、行政手続きといった内容は数週間で全て終わっていました。(携帯料金や介護費用の還付金等はもう少し時間が掛かりますが、、、)

そうなってくると、後は費用の清算ということになります。清算にあてる費用は基本的に故人の遺産からとなります。死後事務委任契約では「預託金」として予め清算等に必要な金銭を預かるという方法を採られている事務所もありますが、当社団では原則預託金は預かりませんので、清算に必要な金銭は遺言執行者として故人の預貯金の払戻し手続きをした上で支払うこととなります。

しかし、金融機関での預貯金の払戻し手続きは通帳と印鑑を持っていけば応じてもらえるような簡単なものではなく、銀行所定の用紙に必要事項を記入し、故人と相続人の戸籍を集め、かつ手続きする人間が解約する権限を持っているのかどうかの審査を経て初めて解約に応じてもらえるものとなり、実際に解約金の払戻しを受けるまでにはけっこうな時間が必要となります。

特に今回のご依頼のような「自筆証書遺言」のケースでは、公正証書遺言や自筆証書遺言の保管制度を使用しているケースとは異なり、「家庭裁判所の検認手続き」という段階を踏まないと、銀行での受付はしてもらえません。

家庭裁判所での検認手続きとは、遺言書を発見した人や保管していた人などが、自筆証書遺言を家庭裁判所へと持っていき、家庭裁判所にて遺言書がどのような形で保管されて、どういった経緯で発見され、そして発見された遺言書はどういった物だったかを記録しておき、後々の遺言書の改ざんなどに備えておく手続きとなります。

この検認手続きを終えると、遺言書に「検認済み」の用紙を合綴されて返却されますので、これでようやく銀行などで手続きが可能となるわけですね。

ただ、この検認手続きを家庭裁判所に申請するのにも故人や相続人の戸籍を集めないといけませんし、特に死後事務委任契約を依頼される方の場合は、直系の相続人がおらず、相続人が兄妹姉妹となるケースも多く、戸籍を集めるのも一番時間が掛かる場合がほとんどです。

今回のご依頼でもそうした戸籍を集めて、家庭裁判所の検認も無事終わり、後は金融機関で預貯金の払戻しを行うという段階になったのですが、ここでひとつ不安があります。

今回の緊急依頼では、依頼者の方の体力的な面から公正証書作成が間に合わないかもしれないと危惧して自筆証書遺言を作成して頂きました。

結果的にはこれが功を奏した形ではあったのですが、心配なのは自筆証書遺言に訂正が入っていることです。自筆証書遺言は文字通り、全文を自筆で書いて頂くことが基本となりますが、その分手軽に作成することが可能となります。

ただ、専門の公証人等が作成する公正証書遺言とは異なり、書き方を間違えたり、自筆証書遺言の要件を欠いていたりすると遺言自体が無効となってしまう危険もあるため、自筆証書遺言の作成にはそうした危険もあることを認識した上で作成する必要があります。

この自筆証書遺言を作成する上での危険のひとつが、書き間違えた際の訂正の方法です。自筆証書遺言を作成するケースでは、当然遺言の内容を書き間違えるということもあります。

書き間違えたなら書き直せばいいのですが、基本的に遺言書は鉛筆などの訂正の容易な筆記用具ではなぐ、訂正の難しいボールペンなどで作成されますので、消しゴムで消して書き直しということができません。

ですので、書き間違えがあった場合に一番良いのが、遺言書を最初から作り直すということです。つまり、書き間違えたなら、訂正するのではなく、最初から新しい用紙に書き直すということです。

なぜそのような手間をかけるのかというと、自筆証書遺言のケースではその訂正の仕方も全て法律で規定されており、訂正の方法を間違えてしまうと、その訂正は無かった物(書き間違えた内容が正規の内容になる)として扱われてしまうからです。

訂正箇所が軽微な間違いならいいのですが、遺贈する金額だったり、遺贈する相手の名前だったりを間違てしまうと大きなトラブルのもととなってしまう訳ですね。

そして今回のご依頼の際に作成して頂いた自筆証書遺言には訂正が入っています。ここまで散々言ってきたのに書き直ししなかったの?と思われるかもしれませんが、重篤な病の方の場合は一度書いた遺言書の内容を再度書き直し頂く体力が無いケースもあるのです。

認知機能には全く問題がなくても、体力的な面で自筆証書遺言を何度も書き直すことはできない、そういったケースがあります。

本来こうしたケースでは公証人の先生に病院へ出張してもらい公正証書遺言を作成してもらうのですが、コロナ禍で公証人が病院に入る許可がでなかったため、公正証書遺言を作成することができず、自筆証書遺言を作成するしかなかった訳です。

なんとか書いてもらった自筆証書遺言。できるだけ負担が無いように、事前の希望の聴き取りを行いなるべく簡潔で文章量を少なくした遺言書の原案を作成してはあったのですが、依頼者にとっては初めて作成する遺言書でもありましたので、一部書き間違えがありました。

しかし、書き直しをする程の体力的な余裕もないため、書き間違えた場所を訂正する方法で対応したのですが、震える手で訂正を行うため、文言を記載する場所が微妙にズレてしまっていたりします。

厳密に見たら訂正方法が間違っているとも取れますが、本人の意思はしっかりとわかるという内容でもあり、また、これ以上、訂正に訂正を重ねてしまうと余計に遺言書の内容が分からなくなってしまうため、訂正はそれ以上行わないことにしました。

実際問題として、訂正箇所は遺言執行者に関する部分でしたので、訂正が無効となっても家庭裁判所で遺言執行者の選任申請を改めてすれば良い部分でもあったという理由もあります。

そうはいっても、金融機関で「訂正無効!」とされてしまうと、再度遺言執行者の選任手続きなどで時間が掛かってしまうことになりますので、なるべく訂正した箇所を問題視されないように資料を整えて金融機関に持ち込みをいたしました。

結果、手続きを申請した金融機関は特に問い合わせをされる事もなく、全ての金融機関で問題なく解約に応じてくれてましたのでほっと一安心です。

ここで大事なのは家庭裁判所での検認手続きが無事終わったとしても、検認自体に遺言書の有効、無効を判定する機能は無いということです。

簡単に言えば、家庭裁判所で検認手続きが終わったからといって「この自筆証書遺言は有効な遺言書!」と認められる訳ではないということですね。

最終的にこの遺言書を有効な遺言書として扱うかどうかは金融機関毎の判断に任せられるわけで、場合によっては、この金融機関では解約に応じてくれたけど、あっちの金融機関では応じてくれなかったという事態にもなったわけです。

こうした心配をしない為にも公正証書遺言での作成をお勧めするところではありますが、緊急依頼ではそうもいってはいられません。

死後事務支援協会では、病気や手術で急いで死後事務の準備を整えておかなければいけないといった「緊急依頼」にも応じておりますので、万が一の時はご相談くださいね。専門士業が駆けつけて対応いたします。

2021.06.01

ギリギリ間に合った遺言と死後事務委任契約

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の代表の谷です。6月に入り衣替えのシーズンとなりましたね。

普段から遺品整理の現場で作業着を着ていることも多い私ですが、やはり暑い時期にネクタイを締めるのは辛いものがありますので、今月からはノーネクタイでいきたいと思います。

さてさて、本日は死後事務委任契約書作成のお話しですが、コロナ禍においてこれまでは出来たのに、コロナ禍では出来なくなってしまった手続きというものがいくつかあります。その中で私たちの業務に関係してくるのが「遺言書」と「死後事務委任契約書」の作成です。

もちろん、遺言書や死後事務委任契約書が作成できなくなった訳ではなく、コロナ前とコロナ禍で出来なくなった、またはし辛くなった業務があるということです。

それはなにかというと、病院内での公正証書遺言や死後事務委任契約書の作成です。ご存知の通り、現在病院では病院内でのコロナ感染を防ぐために、多くの病院で面会禁止となっています。

ですので、重度の症状の方などでは一度入院してしまったら次に家族と会えるのは「お骨」になってからと言われるほど、感染対策としては徹底されている部分があります。

これは、多数の入院患者を抱える病院内でクラスターでも発生しようものならその被害は甚大な物となってしまうため、仕方のないことでもあります。

しかし、私たちのような遺言書や死後事務委任に携わる者からすると、この対策は依頼者にとって非常に難しい選択を迫ることになりかねないケースだとも考えています。

何故か?というと、遺言書や死後事務委任契約書という物は生前にご本人の最後の希望を記しておく非常に重要な書類となります。

遺言書で言えば、遺言者の方の財産を誰にどのように渡すのかという意思表示が含まれますし、死後事務委任契約書で言えば、万が一自分に何かあった場合には、葬儀や遺骨をどうして欲しい、または遺品整理や自宅の処分をこのようにして欲しいといった、依頼者の最後の希望が書かれている書類となる訳です。

極端な話し、遺言書にしても死後事務委任契約書にしても、本人の「最後の意思表示」と言えるものであり、特に遺言書は法律で定められた通りの要件に従って作成しなければ、「無効」(遺言は無かったものとされる)となってしまう大変重要な書類でもあります。

ですので、多くの専門家が遺言書は無効になる危険性が少ない「公正証書」で作成しましょうと口をすっぱくして言うところではあるのですが、これが現在病院内で作成できなくなっています。

コロナ前であれば、例え重篤の方であっても自分の意思を表明できる程度の能力が残っていれば、公証人の先生が病室まで出張して「公正証書遺言」を作成してくれました。

これは例え、手が動かない、言葉が離せないといった症状がある方でも、公証人の代筆や筆談といった方法でもって作成することができましたので、ある意味最後の意思表示をする機会が平等に与えられているとも言えます。

しかし、この最後の意思表示をする機会がコロナ禍での病院では失われてしまっているのが実情でもあります。

先日ある、肝臓がんを患っている方から緊急のご連絡を頂きました。年齢はまだ60代の方で本来なら第二人生をこれから謳歌していてもおかしくないような方です。

ご相談内容としては、死後事務を託したいという内容ですので、それだけなら普段のご依頼内容と変わりありません。しかし、この方には残された時間が少ない。

ご相談者いわく、医者も既に手の打ちようがない状態で、もって1ヶ月位だろうという病状らしく、実際に面談させて頂い際はお腹には腹水がかなり溜まっているような状況でした。

通常、死後事務委任契約を結ぶ際はご本人様から希望内容の聴き取りや費用の概算、実際の契約書の下書き等を確認して頂く為に何回か面談をさせて頂きながら作成を進めていきます。

しかし、お電話で最初のご相談を頂いた段階で、この方は緊急性が高いことが分かっていましたので、通常通りの手続きでは、間に合わない可能性があります。

そうした場合は、公証人役場に相談すると可能な限り早く公正証書の作成の準備に入って頂けるのですが、この方の場合は既に入院が目前に迫っている状況でもありました。

上でも述べた通り、コロナ前でしたらそうした場合でも入院病棟に公証人の先生が来て頂けて手続きを進めることができたのですが、今回は入院予定先の病院に確認したところ「病棟への入室は一切禁止」とされてしまい、公証人の先生に来て頂くことができません。

病棟に入る前のロビーなどでの作成も検討したのですが、こちらも特別な許可がなければ不可とされてしまい、実質病院内での公正証書の作成は出来ないこととなってしまいました。

では、どうするのか?というと、まずは本人の意思を公正証書以外の書面で残すことが必要です。遺言や死後事務委任契約書という書面は、公正証書でなければ効果がでないという訳ではありません。

むしろ、自筆で書かれる「自筆証書遺言」や一般契約書で作成される死後事務委任契約書の方がその利用率は高いかと思われます。(ただし、遺言書が無効になったり、不明確な死後事務内容になったりする恐れ有り)

公正証書を作成する予定であっても、公正証書を作るまでには印鑑証明書や戸籍の取得、証人2人の確保、公証人の先生との日程調整と、作ろうと思っても即日作成できる物ではありません。

しかし、そうした準備をしている間に体調が悪化して亡くなってしまっては、せっかくのご本人の意思を実現することができなくなってしまうため、公正証書の作成が間に合わなかった場合の保険として自筆証書遺言と一般契約書での死後事務委任契約書を作成しておくことが非常に大事となります。

今回の方も入院は腹水を抜く為の一時的な物であったので退院してから、または入院中でも外出許可を取っての公正証書遺言の作成を目指し、万が一に備えて面談させて頂いた際に自筆証書遺言と死後事務委任契約書の作成を行うという方法で対応しました。

幸いご本人様の遺言や依頼したい死後事務の内容は明確に決まっていましたので、自筆証書遺言と死後事務委任契約書の作成は無事終わりました。

しかし、後はご本人さんの体調の良い日に公正証書の作成をと段取りをしていたのですが、入院先の病院から死亡の連絡が入るという結果に。

残念ながら公正証書での作成には至りませんでしが、念の為にと作成しておいた遺言書と死後事務委任契約書が保険としての効果を発揮する形になった事例となります。

今回の方は自分の病状を正確に把握しており、それに向けてご自身がどうしたいのかをかなり明確にされていましたので、公正証書にする事は叶いませんでしたが、自筆証書遺言や死後事務委任契約書はすぐに準備することができました。

もし、これが入院した後に病院からのご相談の連絡となっていたら、コロナ禍では対応できなかったかもしれません。

ワクチン接収が進めば、こうした病院の厳格な感染対策も緩和されると思われますが、まだまだ予断を許さない状況でもありますので、心配な事があれば専門家の方へなるべく早い段階で相談するようにして頂ければと思います。

死後事務委任のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ。

2021.05.31

火葬後の遺骨を持ち帰らない(収骨しない)という選択

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の代表の谷です。

私の周りでもコロナのワクチン接収が始まっていますが、私の身近な方ではコロナに罹る人がいなかったのに、ワクチン接収が始まるのと機を同じくするように私の周りでもコロナに罹る人が増えてきています。

ワクチン接収という人類の反抗作成にコロナウイルスが徹底抗戦しているようで、まさに人類とウイルスの戦いみたくなってきていますね。

まずは自分がコロナに罹らないようにする。結果的にそれが感染の拡大を防ぐことに繋がりますますので、あと一息がんばりましょう!

さてさて、本日の話題は収骨についてです。

日本では基本的にご遺体は火葬されますので、当然火葬後に「焼骨」が残ります。焼骨を喉仏の説明などを聞きながら骨壺に収めるのが「収骨」(骨上げ)となり、これまではごく当たり前のように行われてきていました。

東日本と西日本では、「全収骨」か「部分収骨」かで地域によって、火葬後の焼骨を全て骨壺に収めるか、喉仏のように主要な骨だけを骨壺に収めるかで収骨の方法に違いがあります。

主に東日本では「全収骨」の地域が多く、西日本は「部分収骨」の地域が多いとされています。私が住んでいる名古屋なんかは「部分収骨」となります。

全収骨の場合は、骨壺に全ての焼骨を入れて遺族がお墓に埋葬したり、納骨堂などへ納めたり、最近では海や山への散骨なんて方法もあったりしますが、基本的には遺族がお骨の全てをどうするかを決めることになります。

しかし、部分収骨の地域では初めから一部のお骨は火葬場(斎場)にて処理することが前提となっていますので、遺族が持ち帰るお骨は全体の一部だけとなります。

では、遺族が持ち帰るお骨以外はどうなるの?というと、各自治体にて最終埋葬地にての供養に回されることになりますが、では最初から全ての遺骨を持ち帰らないという選択は可能なのでしょうか?

これに関しては各自治体の条例によって決められていますので、お住まいの地域によって収骨をしないといけない地域もあれば、最初から収骨をしないという選択ができる地域もあるということになります。

西日本はもともと部分収骨が多い地域ですので、収骨をせずに焼骨は全て火葬場(斎場)にて処理をしてもらうという方法も取りやすいということになります。

実際、今回私が死後事務委任契約にて担当させて頂いた依頼者の方も「収骨なし」を希望されており、そのように執り行ってきましたので、ちょっとだけ紹介しておこうかと思います。

私たちが死後事務委任契約を結ぶ際に特に重点的に確認するのが、「葬儀の方法」「遺骨の行方」「それらに掛ける費用」という部分です。

ここを曖昧にしておくと後々遺族が現れた場合にトラブルの元となりますので、私たちも依頼者の希望を確認しながら、予算や依頼者の希望などを確認していきます。

遺骨の扱いについても、「生前に建てておいたお墓へ入れる」「先祖代々の墓へいれる」「納骨堂へ入れる」「散骨する」等と、依頼者によって当然希望も変わってきますので、それに合せて契約書を作成するのですが、今回のご依頼者の方はそもそも「収骨をしない」という選択をされました。

お墓や納骨堂、散骨など今ではいろんな供養の方法がありますが、必ずしも遺骨をそうした場所へ納めて供養に回さなければいけないという訳ではありません。

無宗教の方で長期間に渡って供養することに疑問に感じている方、遺骨を残すことで管理の手間や親族への負担を心配される方、経済的な面からそうした手段を取り辛いという方など、以前まではお墓に入れるのが当然と思われてきたお骨の扱いも近年はだいぶ考え方が変わってきています。

そうした中、「収骨をしない」という選択肢も検討されてきているということですね。今回ご依頼頂いた方は親族が残っておらず、ご遺骨を残してもお墓参りに来られる方もおらず、また先祖代々のお墓というのもない状態で、今から自分のためだけのお墓や納骨堂を購入するという状況ではなかった方でもあります。

そうした場合でも、私たちがお付き合いのあるお寺などの合祀墓などへ入れるという提案もさせて頂くのですが、それもピンとこなかったのか、最終的なご依頼は「収骨なし」でのご依頼となりました。

私たちとしては、依頼者の方の生前の要望を契約書に記載されている通りに進めていくのが死後事務受任者の義務でもありますので、依頼者の方の希望がはっきりとしているのならそれに従うまでです。

では、実際に「収骨なし」とはどのように行うのかというと。まずは、利用する火葬場(斎場)が「収骨なし」に対応しているのかの確認をします。これは斎場を管理する役場の部署などに確認すれば教えてくれますので、電話などで簡単に確認できます。

次に費用が掛かるのかどうか。「収骨なし」に対応している火葬場でも、焼骨の処理に費用が掛かる地域と無料で行ってくれる地域とがありますので、念のため「収骨なし」ができるかどうかの確認と一緒に費用も確認しておくとよいでしょう。

実際の手続きについては、各自治体によって変わると思いますが、名古屋の八事斎場では葬儀を依頼する葬儀業者に事前に「収骨しない」旨を伝えておけば、後は葬儀業者の方が手続きを行ってくれました。

私も念の為、役場の担当部署へ「収骨なし」の可否、「費用」の有無、「事前の手続き」の方法などを電話で確認したのですが、その際は火葬前に火葬場にて事前に書類を提出するようにと言われました。

ただ、実際にはその書類も葬儀業者さんにて手配してくださっていたようで、私自身は火葬炉への立ち合いを行うだけで書類への記入等は行いませんでした。

後は、ご遺体を火葬した後に焼骨を「確認するかしないか」を決めておくと良いでしょう。名古屋の八事斎場では「収骨なし」を依頼することは可能で費用も掛かりません。

ですので、葬儀業者の方がご遺体を搬送し、正面玄関から火葬炉へと移動、最後のお見送りをした後は、その後の手続き(遺骨の処理)は全て火葬場(斎場)にお願いすることも可能です。

また、「収骨なし」を選択したとしても、火葬が終わった後に焼骨を確認することも可能ですので、火葬している間、待合室で通常の火葬と同じように待機して、焼骨を確認して、それから収骨はせずに、後の処理を火葬場に依頼するという流れも八事斎場では可能でした。

今回のご依頼者の方の火葬にあたり、斎場の方に「収骨なし」を選択される方は増えているのか?と聞いてみたところ、コロナの影響かはわかりませんが、「増えている」とのことでした。

月に「収骨なし」は何件くらいあるのか?と聞いてみたところ、だいたい2桁にいかないくらいということでした。火葬されるご遺体の数に比べればまだまだ少ない割合ですが、斎場の担当者の感覚ですと増えてきているという感想のようでしたね。

「ゼロ葬」などの言葉が注目されるあたり、死後事務委任を考える方以外の一般の方であっても、今後はこうした「収骨をしない」という方法を選ばれる方が増えてくるかもしれませんね。

死後事務支援協会では、ご家族の葬送支援として収骨をしないシンプルな葬儀プランを提携葬儀社の協力のもとご提供しています。

お墓や納骨堂などを用意せずに、シンプルな葬儀を執り行いたいという方はご利用ください。

死後事務支援協会のゼロ葬プラン

死後事務支援協会では、葬儀業者提携のもとゼロ葬プランをご用意しております。葬儀だけでなく行政手続きや相続人調査などもセットになっていますので、葬儀後の相続手続きをスムーズに開始したい方に最適なプランとなります。

収骨を必要としないシンプルな葬儀プラン
ゼロ葬プラン お墓不要のシンプルな葬儀
内 容 ・直葬
・収骨なし(収骨も可)
・行政機関への届け出
・葬祭費申請
・相続人確定手続
(故人の出生~死亡までの戸籍収集)
・相続相談
費 用 253,000円 (税込み)
国民健康保険加入者は葬祭費から5万円の支給有り
葬祭費の代行請求はプランに含まれています。
対応エリア 名古屋市及び名古屋市近郊
備 考 直葬は提携葬儀社の直葬プランとなります。
必要に応じて喪主の代行も行います。

※ゼロ葬プランご利用希望の方は事前連絡をお願いいたします。
※行政機関への届け出は、死亡届の提出代行、14日以内に手続が必要な健康・介護保険・年金の受給停止等の死亡手続き及び必要書類の返却手続きとなります。
※県外などでご利用希望の方でもご相談に応じます。

2021.05.10

夫婦や兄妹で死後事務委任契約を結び、片方が存命の場合は死後事務を発効させない契約形態について

お久しぶりです。死後事務支援協会代表の谷です。コロナが依然として猛威を振るっておりなかなか前のようなノーマスクでの生活やみんなで楽しく会食といったことが難しい状況で今年のG・Wも終わりましたね。

海外に比べればまだマシともいえる日本の状況ではありますが、ワクチン接種までなんとか罹らない、うつさないように徹底した感染対策をしていきましょう。これは国や市町村の対策だけではなく、もう自衛するしかないことですので、まずは自分の感染対策を徹底的にですね!

さて、そんなコロナの心配が続く中ではありますが、先日ご契約した死後事務委任契約の事例が今後は増えてくるかもしれないと考えてちょっとご紹介をしておこうかと思います。

一般的に死後事務委任契約というと、「身寄りの無い方が信頼できる第三者に自分の死後の手続きをあらかじめ委任しておく」というイメージです。

そうした場合にすぐに思いつくのが、「単身者」「独身者」「おひとり様」といった、おひとり暮らしをされており、身近な親族が近くにいないといった方々かと思われます。

しかし、実際の死後事務委任契約では、「天涯孤独」という方は稀で、親族はいるけれど疎遠だったり、仲が悪かったり、音信不通だったりと、事情は様々ですが本来死後事務を執り行うべき方がいるけれど、頼りにすることができないので、第三者に死後事務を託すというケースが多くあります。

さらに今回ご紹介するのが、ご夫婦で死後事務委任契約を結んでおくケースです。

ご夫婦で死後事務委任契約を結んでおくと聞くと、夫婦の一方がもう一方の死後事務委任を行うようにも聞こえますが、実際には夫婦がそれぞれ、第三者と死後事務委任契約を結ぶということです。

少し分かり辛いと思いますので、下の図を参照してください。

夫婦で死後事務委任契約

上の図のように、まずは夫婦で死後事務委任契約をそれぞれ、信頼する第三者と結びます。

その後、ご主人様が亡くなったとすると、いまだ奥さんはご健在ですのでわざわざ第三者が手続きを行わなくても、奥さんが葬儀の手配やその後の手続きご自身の判断で行うことが可能です。

その奥さんも亡くなった場合には、死後事務を行うご親戚等がいないということで、ここではじめて最初に結んだ死後事務委任契約が効力を発揮して、信頼する第三者が死後事務に着手するという流れです。

上のようなケースはどういった場合に利用するのか?
例えば、夫婦ふたりで生活されているけれどお子様もなく、死後事務を託せるような親戚もいないといったような場合です。

なぜ、夫婦ふたりが揃って死後事務委任契約を結ぶのか?
夫婦ふたりで生活している段階では、片方が亡くなっても、生存配偶者にて死後の手続きは可能です。だったら、配偶者が亡くなった段階で死後事務委任契約を結べは、契約するのは1契約だけで、費用も抑えられるんじゃないの?という疑問が出てきます。

もちろん、その通りなのですが、わざわざ夫婦ふたりが事前に死後事務委任契約を結んでおくには訳があります。例えば、配偶者が亡くなった段階で生存配偶者が新たな契約を結べる状況とは限らないということ。

つまり、片方の配偶者が亡くなった段階で死後事務委任契約を結ぼうと考えていたとしても、その段階では生存配偶者も認知症等で新たに契約を結ぶことができる状況ではなくなってしまっていることもあるということです。

昨今は平均寿命も延びて元気な高齢者も沢山いらっしゃいますが、将来の事はやはりわかりません。ですので、万が一に備えて元気なうちに死後事務委任契約を夫婦がそれぞれ結んでおき、例え配偶者が亡くなった段階で認知症等で自分の意思能力が無くなってしまっていたような場合でも安心して過ごせるように準備しておくということですね。

どういった契約形態になるの?
先にも述べた通り、夫婦ふたりでまずは死後事務委任契約を結んで頂き、どちらが先に亡くなっても大丈夫な状況を準備します。

その際に、死後事務委任契約書に、生存配偶者にて死後事務が執り行える場合は先に亡くなった方の死後事務委任契約は無効となる文言を入れておきます。

そうすることによって、先に亡くなった方の死後事務委任契約書は無効となりますので、作成費用等は無駄になってしまいますが、故人と第三者の間で結んだ死後事務委任契約書は効力を発揮せず、生存配偶者の判断で葬儀などを実施することができ、また、契約をたてに第三者が無理やり死後事務を執行するといったことも防ぐことができます。(当然第三者に報酬等を支払う必要もありません)

無効になる死後事務委任契約はあくまで、故人と第三者で結んだ死後事務委任契約ですので、生存配偶者の死後事務委任契約まで無効になるわけではありません。

ですので、その後、生存配偶者が亡くなった段階では依然として有効な死後事務委任契約書となりますので、最後に亡くなった方の死後事務委任契約は信頼する第三者の手によって問題なく執行してもらえるということになります。

少し迂遠な方法にも思えますが、夫婦そろって80歳を超えるような高齢のご夫婦のような場合では、どちらが先に亡くなるかわからないし、ひとりになってからでは対策を考えられるほど、元気ではないかもしれないといった心配があります。

そうした場合には保険という意味でもこうした方法を元気なうちに準備しておくというのも有効な選択肢のひとつとなり得ます。長生きできる社会になったからこそ必要となる備えかもしれませんね。

死後事務に関するご相談は死後事務支援協会までどうぞ~。

2021.01.20

死後事務委任契約からの不動産管理、売却までのお話し

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

緊急事態宣言が発令されていますが、コロナは終息の気配が見えませんね。感染者の増加に伴い入院やホテル等の療養施設への入所も難しいようですので、やはり一番の対策は「自分がコロナに感染しないこと」これに限りますね。皆さんもうひと踏ん張り頑張りましょう!

さてさて、今回は死後事務委任とそれに伴う不動産売却についてのお話しです。死後事務委任契約を結ばれる方の多くが基本的には全ての死後の手続きをご依頼されることになります。

もちろん、死後事務委任契約を結ぶからといって1から10まで全てを依頼しないといけないわけではありません。死後事務委任契約は委任契約ですので、依頼者と受任者で話し合って必要とする内容だけ依頼すればいい契約です。

しかしながら、死後事務委任契約を依頼される方の多くが、死後の手続きをしてくれる親族がいない、親族がいたとしても疎遠な関係、親族とは仲はいいけど遠方に住んでいるので迷惑をかけたくないなどの事情を抱えていらっしゃいます。

ですので、死後事務の依頼内容は遺体の引取りから、葬儀、納骨、未払いの治療費や家賃、公共料金の支払い、役場への届け出、遺品整理と基本的な内容は全て依頼した上で、後はご依頼者の個別の希望で、ペットの引取り先や山や海への散骨、菩提寺や福祉団体への寄付といった追加の内容を行っていくことになります。

そうした依頼の中でも比較的多くなるのがご自宅の売却です。賃貸物件でしたら遺品整理と原状回復を行った上で貸主と退去立ち合いを行って返却すれば完了となりますが、持ち家の戸建てやマンションとなるとすぐには解決できません。

もちろん、生前から自分が亡くなった後に不動産を相続させる相手が決まっているのでしたら、遺言執行者として遺言執行の一環としてサクサクと名義変更を行っていきます。

しかし、清算型遺言のように、自分の財産を全て売却した上で負債を全て支払い、残った財産を希望する先へと寄付したいといった要望の場合は、まずは買主を探さないといけないことになりますのでやはり時間はかかることとなります。

今回は死後事務委任契約のご依頼者が生前住んでいたご自宅のマンションを依頼者の相続人へと相続させる遺言であり、私が遺言執行者として指定されていましたので、相続人への名義変更は滞りなく完了しました。(実際に名義変更を行ったのは司法書士の先生ですが)

その後、全ての死後事務が完了して報告資料一式を持参して他県にお住まいの相続人のもとへ伺ったところ、相続した不動産を売却したいということとなり、また売却が終わるまでの間のマンション管理もお願いしたいとのことでした。もちろん大丈夫です!

不動産の売却については不動産会社に依頼をして、売却までの不動産の管理をこちらで行っていくことになります。

とは言っても、室内は既に死後事務の一環として既に遺品整理は終わっていますので、定期的な空気の入れ替えや、マンションですので定時総会や各戸の水道の高圧洗浄、火災報知器の点検といった立ち合いの必要な作業への協力、そして管理費、共益費、修繕積立金といった費用の支払いが主な内容となります。

管理内容としては複雑な物はありませんが、遠方にお住まいのご家族が行おうと思うとどうしても長距離の移動や交通費の問題もありますし、ご依頼頂いた時はちょうど1回目の緊急事態宣言が出るかどうかという時分で県を跨いでの移動という問題もありましたので、ご依頼頂くことで負担を軽減できたかと思います。

ご依頼頂いた後の管理と売却については、立地は名古屋でも非常に良い場所であり、繁華街に近い割にはお寺の傍で静かな環境、内装も数年前に入居する際に大きくリフォームしたばかりでしたので非常に綺麗な状況です。

普段ならすぐに買い手もみつかりそうな状況ではあったのですが、コロナ禍ということも影響したのか内見も少なく出だしはあまり良くなかった印象です。

ただ、そこは頼りになる不動産会社が独自のルートで買い手を探してくださり、当初予想していた金額よりもかなりの高額での売却が決まりました。これには依頼者である相続人の方にも喜んで頂けてこちらとしても一安心です。

そして昨日、最後の水道代の支払いを終え、管理業務も終わりとなり、お預かりしていた管理費用も相続人の方へとご返却してすべての業務が完了となりました。

死後事務のご依頼者が亡くなったのが昨年の1月ですので、不動産売却まで含めれば死後事務に着手してからちょうど1年掛かったことになります。ご依頼頂いた死後事務の内容自体は4ヶ月ほどで完了していましたが、不動産の売却が入ってくるとやはり長期間の業務になりますよね。

つくづく死後事務委任のお仕事はひとりでは遂行できず、今回お手伝い頂いた司法書士や不動産会社をはじめ、税理士や弁護士の先生、その他専門家の皆様といったチームでの遂行が欠かせない業務と実感するところです。

死後事務委任契約は、ご依頼者が亡くなった後に実行する契約ですのでご依頼者の希望通りに手続きを進めていくこと、また相続人はもちろんご近所の方やお世話になった病院、介護施設の方々へ迷惑をかけないようにしなければいけません。

今回もご依頼者の死後事務を無事終えることができ、相続人の方にも喜んでもらえたことで故人の想いを叶えることができたのかなと安堵しております。

死後事務委任契約のご相談でしたらいつでもお気軽にご相談くださいね。

2021.01.01

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます!

令和も3年目となり、平成から変わった当時はよく書き間違えましたがさすがに書き慣れてきましたね。昨年はコロナで終わったような一年ではありましたが、今年はオリンピックが開催できるくらいに終息そしてアフターコロナでの経済の復活を期待したいものです。

死後事務支援協会では今年は新規のサービスとして短期身元保証を開始し、入院や手術の際の身元保証で困っている方や成年後見人としてこれまで仕方なく身元保証にサインしてきた士業の先生方のお力になれればと考えております。

本年も死後事務支援協会をよろしくお願いいたします。

2020.12.30

来年も良き年になることを願って

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

あっという間に年末になりましたね。毎年恒例の今年の漢字は「密」になったみたいですが、私は絶対に感染の「染」になると思っていただけに、世間との考えのギャップに愕然としました。「染」はランキングにも入っていなかったような、、、、。

ともあれ、今年はなんとか自分や周りの人にコロナに罹った人はおらずほっと胸をなでおろしているところではあります。しかしながら感染者自体は依然として増加しているわけであり、医療従事者の方々には頭の下がる思いです。本当にありがとうございます。

医療従事者の方々への負担を減らす一番の方法は、まずは自分がコロナに罹らないことですよね。自分がコロナに罹らなければ、当然他の人へ感染を広げることもありません。そうすることで結果的にコロナ患者が減っていくことで医療従事者の方々への負担も減らせることになります。

年末年始でお酒も入り気が緩むのも仕方のないことではありますが、今一度自分の身の回りから感染対策を徹底していきましょうね。

さてさて、今年も残すところ後わずかとなりました。今年は元旦の早朝から死後事務のご依頼を頂いている方が危ないという連絡を入所されている施設より頂き、夕方に様子を確認にいった後の夜間にお亡くなりになりました。

正月ということもあり、火葬場の手配など心配しましたが、葬儀業者さんの手助けもあり無事お送りすることができました。

また、その方の死後事務が大方片付いた頃には別の死後事務をご依頼頂いている方との連絡が取れなくなり、安否確認で様子を確認しに伺ってみると回覧板が複数溜まっているなど不審な点があったことから、急遽消防や警察へと連絡して室内を確認してもらったところご遺体を発見することになりました。

心臓の持病を心配されて死後事務に関するご依頼を頂いてはいましたが、まだまだ60代というお若い方でもありましたので、残念でなりません。

依頼者の方とはよく喫茶店でコーヒを飲みながら世間話や仕事に関しての話しをお互いにするなどとても良くして頂いていたので、その方のご自宅の近くを通る度につい癖でお茶でも誘ってみようかという思いが今でも沸いてきます。

私が遺体を発見する端緒とはなりましたが、実際にご遺体を発見したのは消防の方でもあるので形式的には「孤立死」という形になります。ですので、その後に事件性の確認などで鑑識の方がご自宅を調査しご遺体は警察にてまず回収されていきました。

ご遺体発見時に死後事務受任者であることを伝えてはありましが、警察としてもまずはご家族や親族へと確認した上でないと遺体を死後事務受任者に引渡しができないということで、ご遺体の発見から2週間ほど経ってからではありますが無事、事前にご指定頂いていました葬儀業者にて葬儀をあげてご遺骨は菩提寺へと納めることができました。

今年はお二人の方の死後事務ならびに遺言を執行することとなりましたが、新規の方との死後事務委任契約もありました。

コロナ禍でステイホームが叫ばれる中、高齢者に限らず持病を持った方々が家に引きこもっていたとしても「感染対策」と思われて異常に気付かれにくいということも起きています。

そうした結果、天涯孤独の方や親族と疎遠になっていたりと「死後事務委任」を必要とされているような方は、自分で積極的に外出したり、SNS等で発信したりしないと「自分は大丈夫です!」ということを周りに知ってもらう方法がありません。

ただ、高齢者の方は体調だったり、SNSの使い方がわからなかったりと、誰でも気軽にとはいきませんよね。

ですので、私たちのような国家資格を有する士業が「成年後見」や「見守り契約」、「死後事務委任契約」といった制度を使用しつつ積極的に安否確認を行ったり、不安や困り事への相談に応じることには大きな意義があると考えています。

「もし自分に万が一のことがあったら、いったい誰が自分の葬儀や納骨をしてくれるのだろうか?」という、これまでは漠然としか考えてこなかった事柄がコロナ禍において現実的な身近な問題として認識されてきています。

「自分にもしもの事があったらどうなるの?」という疑問に対しての答えは、その方の生活状況や家族構成、そしてなにより、ご自身としては「どうありたいのか」という考え方によって千差万別となります。

ここで挙げている「死後事務委任契約」もそうした疑問に対する答えのひとつでしかありません。場合によっては、遺言や家族信託なども併せて考える必要があったり、生前に税務対策などを考えておかないと相続人への負担が大きくなってしまうという方も見えられるでしょう。

今年のまとめとして思うところは、死後事務委任契約を結ばれていた方は手続きが非常にスムーズであり、やはり生前にどれだけ準備していたかで、家族や遺族へ掛かる負担を大きく減らすことができるようになるということです。

特に自分の死後の手続き(葬儀や納骨、遺品整理など)を疎遠な親族が行うと予想されるようなケースでは重要となります。

こうした疎遠な関係の場合は、自分にもしもの事があったとしても、本来葬儀などの死後の手続きをするはずだった親族が「相続放棄」をしてしまうことも考えられます。

実際に遺品整理の相談を受けている中でも「疎遠な叔父(叔母)が亡くなったのですが、遺品整理は私たちがやらないといけないのでしょうか?」というご相談を良く頂きます。

同じような相談でも「何十年もあってないので関わり合いたくない」「なんとかしてあげたいが先立つものがない」「賃貸物件で亡くなったので、大家さんから賠償請求が怖い」と抱えている事情は様々です。

いずれにしても、こうした疎遠な親族の場合はある日突然警察や役所より「○○さんが亡くなったので遺体の引取りをお願いします」と突然連絡が入ることとなりますので、まさに寝耳に水状態となり大変混乱することとなります。

こうした状況での相談者の中には「なんで私がこんな苦労をしないといけないのでしょうか!(怒))」と、憤懣やるかたないといった様子の方もいらっしゃいます。

そうした場合は専門家としては「相続放棄」という手段について説明することになりますが、親族が相続放棄をしてしまうと、今度は病院や施設、賃貸物件の大家さんなどが、未払いの医療費や施設利用料、未納家賃や遺品整理などで誰も支払いや片付けをしてくれないと困ることとなってしまいます。

こうした問題を解決する方法のひとつが「遺言」だったり「死後事務委任」であります。たとえ親しい家族がいなかったとしても、信頼できる第三者に事前に依頼しておくことで、自分の希望する通りに葬儀や納骨(散骨)を行い、その他の遺品整理や未払いの医療費や家賃などの支払いも専門家に依頼しておくことが可能となります。

そうすることで、仲の良い家族では死後の手続きで掛かる負担を減らすこともできますし、疎遠な親族しかいない場合は、一切の手続きを専門家に任せてしまい疎遠だった親族には迷惑を掛けないように準備しておくことができます。

こうした事前の準備はなかなか自分だけでは考えがまとまらないものですので、気になることがあればいつでもご相談ください。

死後事務支援協会は令和三年も死後事務短期身元保証を中心として、おひとり暮らしの高齢者のサポートを頑張ってまいります。

最後となりましたが、今年一年誠にありごとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

一般社団法人 死後事務支援協会 代表理事 谷 茂

2020.08.21

ダイヤモンドZAI10月号にて掲載

 おはうようございます。死後事務支援協会代表の谷です。先日、孤独死に関連して、遺品整理や相続放棄、そしておひとり様の事前対策として死後事務に関する取材を受けました。

その際の内容を基に本日(令和2年8月21日)発売の「ダイヤモンドZAI10月号」にて、漫画となって紹介されております。

取材は私の個人事務所の「第八行政書士事務所」にて行いましたので、死後事務支援協会とはなっておりませんが、せっかくですのでこちらでもご紹介させて頂くことといたしました。

以下、私の事務所での情報発信となる「第八ブログ」の内容を転記させて頂いております。

名古屋は連日の猛暑日でまさに溶けそうな暑さです。日中の太陽熱が建物に蓄積されているのか、夜になっても暑いままでエアコンの効きが悪く感じます。

ニュースを見ていると毎日たくさんの方が熱中症で救急搬送されています。今は、コロナウイルスの関係で病院側の受け入れも熱がある場合はコロナも疑って掛からないといけないとあって、例年なら助けられた命が助けられないなんてことも起きているようです。

コロナウイルスは目に見えなくて防ぐのも難しいですが、熱中症は自分で十分対策が可能です。

コロナで大変な医療従事者の方々を手助けする意味でも、熱中症対策はしっかりとして、病院の負担を軽くして、ひとりでも多くの方が適切な治療を受けられる環境をみんなで作っていきましょう!

さてさて、そうは言っても賃貸物件で発生する孤独死は年々増加する一方です。夏の熱中症、冬のヒートショックが、孤独死の大きな原因となっていますが、これからは一年中コロナウイルスでの孤独死の危険も考えなくてはならないかもしれません。

孤独死と聞くとごく限られた範囲での出来事のように考えていらっしゃる方も多いかと思われます。確かに、大家や管理会社、そして遺族の方々と孤独死で影響を受ける方はごく限られた範囲であったともいえるかもしれません。

でも、このブログを読んでいる方の中にも独り暮らしという方も多いかと思われます。今はは若くても、10年、20年先に独り暮らしになんの不安も抱えずに生活できているでしょうか?

また、あなた自身はご家族やお子さんに恵まれて孤独死とは無縁の生活を送られているかもしれませんが、兄妹やご親戚、場合によっては叔父や叔母さんまでは、相続の対象となってきますので、自分は全く心配ないと思っていても、予想外な親族の相続人としてこの問題に直面するかもしれません。

今は他人事でも将来的には誰もが直面するかもしれない問題というのが、「孤独死」という問題でもあります。

今回はそんな、誰もが遭遇するかもしれない「孤独死」の問題について、ダイヤモンドZAI様の紙面にて「ただでは死ねない孤独死のその後は?」という題名で漫画形式でご紹介させて頂く機会を得ることになりました。

過去にいろいろと取材を受けたことはありますが、漫画になったのは初めてです(笑)イラストになるとちょっと老けて50代くらいに見えますが実物はもうちょっと若いですよ!(多分)

コロナ禍ということもあり、取材はネットでのZOOMを使用しての、担当者、漫画家、私の三者会議での形式で行いました。

ZAIの担当者の方の質問に答えて、過去の事案や実際の現場での対応の方法などをご紹介させて頂くという形で取材は進んでいきましたが、その時点では孤独死や相続の話しはもちろん、実際の遺族や家主の対応、判例上の考えなど専門的な内容についても多岐に渡って話しをしていましたので、漫画がどのような内容になるのかはわかっていませんでした。

その後に、粗ラフがメールで送られてきて、文言の修正やコメントの追加などいくつかお願いして出来上がったのが今回の漫画となっています。

漫画は7ページとかなりページ数に制限がありますので、微に入り細に入りとまではいきませんでしたが、孤独死の現場で起きる問題と相続放棄、おひとり様の対策としての死後事務について紹介する内容となっています。

ストーリーとしても、編集部の方の叔父が孤独死して、、、、という、遺品整理の現場では非常に多くある状況から始まり、専門家への相談、孤独死でおきる問題、相続人として出来る事、もし自分に万一の事があった場合に事前に準備できることとは?という形の流れとなっており読みやすくなっていると思います。

ご興味のある方は是非ご一読くださいね!編集部の回し者ではありませんが、せっかくですので、掲載誌面の紹介と購入先(アマゾン)のリンクを下記に載せておきますので、よければご利用ください。

まだまだ暑い日が続きますが、漫画の内容みたく家族を困らせないように体調管理には気をつけてお過ごしくださいね!

掲載誌購入はこちらから
ダイヤモンドZAI 10月号

2020.06.26

介護事業者向け死後事務支援研修

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。6月も終わりが見えてきて夏本番が近づいてきていますね。この時期は高齢者の方の熱中症による体調不良や最悪の場合は孤独死へと繋がってしまうケースもありますので十分にご注意ください。

さて、先日私が所属する相続専門の「安心相続専門チーム協議会」にて、介護事業所様よりご依頼を頂き勉強会を行ってまいりました。内容としては、空き家問題と第三者へ死後事務を依頼するには?の二本立てで、セミナー終了後は参加者全員での発表と質疑応答という形です。

どちらかといういうと、普段なかなか専門家には聞けないことを質疑応答で答える部分がメインとも言え、セミナー自体は各30分ほどのミニ講座という形です。私としては、この短い持ち時間で何をどれだけ伝えたらいいのかと、情報の選択に非常に悩むところでしたが、今回は一般の方がまず目にすることはないだろう「公正証書遺言」や「死後事務委任契約書」の実物を見てもらいながら、そしてそれらを作成するのかかる実際の費用などをご紹介させて頂きました。

前半の空き家問題にも関わってきますが、高齢者の方の死後事務を誰が担うのかという問題が今後増加してきます。何も対策をせずに、お一人暮らしの方が亡くなってしまうと、故人が所有していた住居は空き家として誰にも管理されずに朽ちていってしまい、最終的には火事や倒壊といった問題を引き起こして近隣へと多大な迷惑をかけてしまうことになります。

こうした問題は、事前に遺言書や死後事務委任契約書などを活用することで、自分が死んだ後でもあっても信頼する第三者の方へ自分の希望通りの方法で財産の処分や管理をお願いすることができますので、こうした方法があるのだということを少しでも知って頂けたらと思います。

自分の死後、これってどうなるんだろう?と疑問に思うことがあればいつでもご相談くださいね。

2020.06.02

死後事務と死体検案書の話し

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。

毎朝毎朝、コロナ、コロナのニュースばかりでうんざりしますね。やっとこ緊急事態宣言も解除されたと思いきや九州では小学校でクラスター発生となかなかいっきに解決までいってくれません。やはり、特効薬が出来るまでは安心できそうにないですね。

さてさて、本日はちょっと死後事務に関するこぼれ話し的なことを書いてみようかと思います。それは「死体検案書」のお話し。

葬儀の喪主等をされた事がある方はおわかりかと思いますが、日本では誰かが無くなると「死亡届」を役場に提出しますよね。

ただ、この「死亡届」は死亡届だけではなく、下の画像のように「死亡診断書」も兼ねたA3サイズの用紙となっています。

(左が死亡届で右が死亡診断書)

そして、画像右側の死亡診断書にはカッコ書きで(死体検案書)とも記載されているのにお気づきでしょうか。

死亡診断書と死体検案書ってどう使い分けるの?と思われる方もいるかもしれませんが、死亡届はご家族が記入することになりますが、「死亡診断書」や「死体検案書」はお医者さんにて記入するものですので、あまり深く考なくても問題ありません。

それでも知りたいという方向けに一般的な内容として、
※ 医師は、「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡し たと認める場合」には「死亡診断書」を、それ以外の場合には「死体検案書」を交付してくだい。(厚生労働省死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルより抜粋)

となっています。 

つまり、ガン患者のように入院していたり、自宅治療でお医者さんの訪問治療を受けているなど、お医者さん自身が管理している方が亡くなった場合などは「死亡診断書」となり。

そうではなくて、孤独死や自殺のような状況で発見されて、これまでの経緯などが分からない方の死亡の場合は「死体検案書」をお医者さんは作成するということですね。

へー、そうなんだ~程度の知識で普段の生活には全く役にもたたないのですが、死後事務を今後取り扱われる方や孤独死、自殺といった状況で遺体が発見されたご家族の方にはちょっとだけ注意が必要な点があります。

それは、死体検案書を作成して発行してもらうには結構な費用が掛かるということです。一般的に「死亡診断書」の場合は入院費用などと一緒に支払っているので、あまりそれ単体では気にはしないかもしれませんが、だいたい3,000円~10,000円位かと思われます。

しかし、死体検案書の場合は一般的に30,000円~70,000円、高いところでは10万円も掛かるなんてケースもあるようです。(自治体によっては無料になっているところもあり)

私も、先日私自身でご遺体を発見したケースで警察に故人の貴重品を受取にいった際に警察の方から「死体検案書を受け取ったら写しを警察署にもってきて欲しい」と言われて指定の病院へ死体検案書を受取にいきました。

私も死体検案書を受取に行くのは初めてでしたので、警察の方に「指定の病院へ行けば発行してもらえるのでしょうか?」と確認すると。

警察の方から事前に連絡して伺えば死体検案書は渡してくれるよう手配しておくと言われたのですが、「ただ、結構高額な費用がかかります」とも言われました。

病院で書類の発行をお願いすれば費用が掛かるのは当たりまですよね。でも警察の方がわざわざ「高額」という位ですから、念のため「おいくらくらいなのでしょう?」と聞いてみると。

「前回、別の方で発行してもらった時は4万円前後だったかと、、、、」、え!?高っ!

死体検案書ってそんなにするの!?と正直びっくりしました。だって、その検案書を出してもらう病院は別にこちらで選んでいる訳でもなく、警察が地域のお医者さんに検死を依頼しているわけで、ご家族はその点においてはノータッチのはずです。

なのに、いざ連絡を受けて遺体を引き取ろうとしたら死体検案書を病院で決めている金額で支払ってね。というのは、家族側では勝手に進んでいる話しで費用まで事前に承諾のないまま進んでいるということになります。

でも、死体検案書はそこのお医者さんで既に作成されているわけで、そんな高い費用は払いたくない!と言うわけにもいかず、遺体を引き取る段階では黙って支払うしかないという状況なわけです。(一部の自治体で検案書が無料になっているのはこうした問題があるからなのでしょうね)

とは言え、死体検案書がなければ死亡届も出せませんので死後事務受任者としては黙って支払うしかないのですが、なんかもやもやする部分ではありますね。

独居の高齢者が増えるなか、自宅で孤独死という方は今後もますます増加すると思われます。ただでさえ無縁社会と呼ばれて希薄な親族関係により「相続放棄」が増加しているなか、こうした予想外の金銭的支出が出てくると、誰も遺体を引取ってくれなくなってしまうのではとちょっと心配になりますね。

今回は死後事務にまつわる「死体検案書」についてのこぼれ話しでした。

相続、遺品整理、死後事務のご相談は死後事務支援協会までお気軽にどうぞ~。

2020.05.29

入居者の死亡に優しい?市営住宅

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。いい天気が続いている名古屋です。緊急事態宣言も解除されて普段の生活が戻りつつあるような気がしますが、コロナの影響で長期で学校の開始が遅れていることに心配をしております。

学力の低下という心配ももちろんありますが、遺品整理を専門に扱う事務所としては、今の状況はゴールデンウイークや夏休み明けの状況に非常に近く、長期休暇明けは体調不良を起こしたり、場合によっては自殺が増加するケースがあることから、急な学校再開によってそうした事態が発生するのではないかと心配でなりません。

学校が閉鎖されて家族と一緒にいる間は元気だったお子さんが学校開始とともに様子が変わったという場合は要注意ですので、親御さんも大変かと思われますがお子さんのメンタルケアには十分注意してあげてくださいね。

さてさて、本日は先日完了した死後事務に関連して、住宅退去のお話し。死後事務委任契約の大きな仕事のひとつに、遺品整理と賃貸物件の解約、退去手続きというものがあります。

これはもちろん、故人が生活していた住居の遺品整理を行い、綺麗に清掃して大家さんへ返却し、また、返却時に必要な未払いの家賃や原状回復費用の清算などを行うという内容の仕事となります。

もともと、遺品整理を専門で行っていますし、遺品整理業に携わる前は不動産会社の社員でもありましたので、ここらへんの業務は非常に慣れたものです。

ただ、通常の遺品整理のケースなら特に問題はないのですが、一般的に事故物件と呼ばれるような孤独死や自殺が起きたようなケースですと、貸主側とのトラブルに発展することもありますので、こうしたケースはやはりいろいろと注意をして進めていかなければいけなくなります。

先日少しだけ書かせて頂いた私が安否確認を強行してご遺体を発見したケースでも入居者の方が孤独死という形で発見され、警察や消防などが着てけっこう物々しい状況ともなり、一般的には事故物件と呼ばれる形となります。

ただ、不幸中の幸いと言っていいのか故人の生活されていたのは市営住宅でした。何が幸いかというと市営住宅のような市町村管轄の住宅は賃貸物件とはいえ、一般の賃貸住宅(個人のオーナや不動産会社管轄)と異なり、事故物件(入居者の死亡)に非常に寛容な取り扱いをされることが多いということです。

通常、一般の賃貸住宅で孤独死や自殺いったケースで発見されてしまうと、その後遺族に対して大家側より「原状回復費用」や家賃減額分の「逸失利益に対する賠償」という形で高額な請求が来ることがしばしばあります。

こうした事故物件に対する対応については現在国土交通省がガイドラインを作成しているところであり、年末をめどに概要をまとめるとのことでしたが、コロナの影響もありもしかしたら遅れるかもしれません。

つまり、こうした事故物件に関する指針というものが現在公的機関で発行されたものがいまだなく、過去の事例や判例などに基づいて判断している状況の為、貸主と遺族との間でもけっこう揉めてしまうケースがあるということです。

ここで市営住宅の話しに戻るのですが、今回死後事務のご依頼を頂いていた方は名古屋の市営住宅で生活されていました。

ご遺体を発見する際には管理事務所や自治会長へと確認した上で警察や消防を呼んでいますので、孤独死で発見されたということは周知の事実となっています。

したがって、解約や遺品整理の相談で管理事務所を訪れた際も遺品整理後にすぐに入居者を募集することはないとも言われていました。(つまり今後その部屋は事故物件として取り扱うということ)

一般的な賃貸住宅の場合ですと、ここから損害賠償等の話しになるのですが、市営住宅のケースですと意外と入居者の死亡に関しては優しく、無茶な請求はされません。これは入居者に過失があるとされる自殺のケースであっても同じ扱いだったりします。

先日、その方の遺品整理が無事終わりましたので管理事務所に最後の退去立ち合いをお願いしたところ、「原状回復費用の清算は敷金を超える部分は請求しません」という規定になっているらしく、つまり遺族側(今回は死後事務受任者)が追加で支払う金額はゼロということです。

入居期間は長かったですので、そもそも高額な原状回復の請求はされないとはいえ、私の判断で窓ガラスを割っていますので、その部分はさすがに支払う必要はあるよね?と思っていたのですが、どうやら市の規定でそうした場合であっても入居者死亡での解約の場合は敷金の範囲で収めるとなっているらしく、結局遺族側としては支払いはゼロで決着して非常にありがたい限りでした。

ガイドラインが策定された後もこうした遺族側に優しい規定は残ってくれることを切に願っております。

今回は市営住宅で孤独死や自殺が起きた場合の死後事務事務対応のお話しでした。

名古屋市の市営住宅の遺品整理から退去立ち合いまで全て代行したケース」では,名古屋市営住宅で亡くなった方の退去方法をより詳しく解説しておりますので,そちらもご確認くださいね。

相続、遺品整理、死後事務のご相談は死後事務支援協会までお気軽にご連絡ください~♪

2020.05.23

死後事務で病院の領収書は後から必要になる?

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。なんか肌寒い気がするのですが、気のせいでしょうか?

気温の乱高下で体調を崩される方もいますのでコロナ対策も兼ねて体調管理には気をつけていきましょう!

さてさて、本日は遺品整理でやりがちな失敗と死後事務を絡めてのお話しなのですが、故人が賃貸物件で生活されていた場合などは部屋の明渡しまでの期日に追われて慌てて遺品整理を行ってしまいがちですよね。

そうした場合に大事な書類を間違って捨ててしまった!なんてことも起こりやすいのですが、今回は病院の医療費の領収書についてです。

私たちが遺品整理で故人のお宅にお邪魔する際は亡くなられていた方が高齢の場合のケースも多く、室内にはお薬とともに、掛かりつけの病院の診療明細などが置かれていることがよくあります。

年を取れば病院にいくのは珍しくはないですから、遺族の方もそれほど気にされてはいません。

しかし、亡くなられた方の中にはガンなどで高額の医療費を支払っているケースも多く、後から高額医療費の支給申請をすると支払ったお金の一部が戻る場合があります。

ただ、先ほどもいったように慌てて遺品整理などを行ってしまうと、もう入院費用も支払ったから、病院の領収書はいらないよね!と遺品整理の際に捨ててしまう方が結構います。

基本的に高額医療費の支給申請をする場合は明細に載っている病院や介護施設、薬局などから発行された領収書が必要となります。

それらの領収書を担当の窓口に持っていき、確認を受けた上で後日指定の口座へ振込まれるという手続きになるのですが、慌てて遺品整理をしたものだから領収書を捨ててしまった!なんてことが起きる訳ですね。

入院期間が長いとその間に支払った医療費もかなりの高額になり、高額医療費の支給申請をすれば結構な額が戻ってきたのに!!とならない為にも、高額医療費の支給対象となる可能性がある場合は領収書は遺品整理後もしばらく残しておくことをお勧めします。

もし、間違って「領収書捨てちゃった!」というような場合は領収書に代わる書類を病院などに請求すれば、それをもって領収書に代えられることもありますので、間違って捨ててしまったような場合でも役所や病院の窓口で確認するようにしてください。

領収書の代わりとなる領収証明書

簡単にまとめると「医療費の領収書は大事!」ということです。(笑)

遺品整理や死後事務で大事なのは慌てないこと。書類関係は大きな家具と違って処分するのはいつでも可能ですので、一旦持ち帰って内容を精査してから処分の可否を決めましょう。

高額医療費の申請請求のお知らせなどは「え、いまさらそんな事言われても領収書捨てちゃったよ、、、、」というタイミングで来たりしますので、領収書などは1年位保管しておくくらいでちょうどいいかもしれませんね。

遺品整理や死後事務のご相談は気軽に。ご連絡お待ちしておりま~す♪

2020.05.16

遺品整理時にはレンタル機器にご注意を!

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。なんか既に台風が発生しているみたいですね。

名古屋に影響する前に温帯低気圧に変わるみたいですけど、どうせならコロナウイルスをスカッと吹き飛ばしてもらいたいものです。

さてさて、前回のブログではデジタル遺品についてちょっとだけ触れましたが、今回はもう少し分かりやすいデジタル機器の遺品整理の際の注意点をお伝えいたします。

遺品整理は引っ越しのように人生において何度も経験するものでもないですし、また基本的に最近の遺品整理は室内の家財を全て「撤去」という形が多く、引っ越しのように荷物を「移動」するのとは違い、遺品整理が終わった後に「あれ?あの荷物どこやったっけ?」と思っても既に処分されてしまっている可能性が非常に高い作業となっています。

ですので、遺品整理の際には貴重品捜索や大事な書類、思い出の品などの事前チェックが大切になってくるのですが、私たちのような専門家なら気づく事でも一般の方ではなかなか気づかない部分という箇所があります。

もちろん、私の事務所が得意とする法律的な部分で大事な個所というのはもちろあるのですが、そうした専門知識が必要な個所以外でも注意して欲しいところがあります。

それは「遺品整理の際にレンタル機器を間違って処分してしまわないように!」ということです。これは、遺品整理の作業自体を専門の業者に依頼していたとしても、依頼者本人が注意していないと失敗してしまうケースもありますのでご注意ください。

よくあるケースとしては、NTTのフレッツ光などインターネットを利用するためのモデム機器だったり、スカパーなどの衛生やケーブルテレビを視聴するためのチューナーなどが室内にレンタル機器として置かれているケースがあります。

レンタル機器によっては、「これはレンタル機器です、解約時に返却が必要となります。詳しくは〇〇までご連絡ください」みたいに、でかでかとシールが貼ってあり、返却しないといけないもののなんだと気づくケースもありますが、下のようなNTTのモデムのような形だと、故人が家電量販店で買ってきたものと勘違いしてしまうこともあります。

実際にはNTTへ返却しないといけないモデムであり、遺品整理後にNTTへ連絡すると上のような返却用の封筒を送ってきますので、それに入れて返却するというのが正しい流れとなります。

ただ、このモデムにはNTTのロゴが入っているだけで一見レンタル機器という風には見えませんので、慣れていない遺品整理業者や質が悪い遺品整理業者は他の処分品と一緒にっポイ!としてしまうケースがあります。

また、ちゃんとこうしたレンタル機器に気づく遺品整理業者が作業を行っていた場合でも、依頼者本人が返却しないといけないものだと知らないと故人が購入したものと勘違いして「あ~もう処分してください」と遺品整理業者に指示してしまうこともあります。

親切な遺品整理業者なら、「レンタル機器の可能性がありますので、回線解約の際まで手元に置いておき、返却の必要のない機器と確認がとれてから処分されたらどうですか?」と案内はしてくれるのですが、、、こればかりは遺品整理業者と実際に現場を担当した担当者次第となりますね。

通常室内に電話機があるご自宅のような場合、NTT回線の解約手続きなどは何か大事な電話が掛かってくるかも?と用心して遺品整理が終わるまでは電話が繋がる状態にされているケースも多いです。

そうすると必然的に回線の解約手続きは遺品整理の後ということになり、いざ解約手続きをしてみたら「レンタル機器を返却してください」と言われてしまった。でも、もう遺品整理の際に家財と一緒に処分してしまった!ということが起きてしまう訳ですね。

私たちのように故人の契約関係をまとめて清算するような死後事務業務を行っている場合はこうした機器の取り扱いにも慣れていますので、遺品整理の際にレンタル機器をみつければ「あ、返却手続きしなくっちゃ」となります。

ただ、そうでない一般のゴミ処分業者などの場合ですと、機械本体に「レンタル機器」と書かれていないと気づかなかったり、または大きく書かれているのに、いちいち依頼者に確認するのがメンドクサイとしてそのまま処分してしまうケースもありますので注意が必要です。

可能であれば、レンタル機器なども間違って処分されてしまわないように、家族での事前の貴重品捜索を行った際に回収しておくか、遺品整理を依頼する際に担当者に直接、捨てないように指示をしておくのが安全ですね。

今回は遺品整理の際に失敗しがちな「レンタル機器の処分」についてのお話しでした。

遺品整理、死後事務委任、相続に関するご相談はお気軽にご連絡ください。

2020.05.14

死後事務とパソコンのログイン解除の話し

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。しばらくはいい天気が続きそうな名古屋です。今日も頑張って死後事務手続きを進めてまいりますよ!

さてさて、前回の続きでもある死後事務委任契約の実際の執行状況の様子についてです。前回は遺品整理の際に届いた定期購買の配達物に注意しましょう!という内容でしたが、今回は死後事務手続きでも結構難しいデジタル遺品のお話し。

デジタル遺品というと一般的にはデジカメで撮影した写真やパソコン、スマホに保存されているデーターのことを指しています。

つまり、以前はアナログな紙媒体で保存されていた写真や財産に関する資料などが最近のIT活用で電子データーに置き換わったことから発生する問題です。

デジタル遺品で一番問題となるのが、PCとスマホのロックですね。OSがウィンドウズXP位の頃はまだ解除する方法もありましたが、最近は事前に準備しておかないと難しいケースもあります。

ただ、PCはシステム上の操作や記憶媒体であるHDDやSSDを抜いて別のPCに繋いだりして、データーを確認する方法があったりしますが、スマホはそうはいきません。

一般の方のイメージとしては、そうはいっても購入店舗やメーカーに持ち込めばなんとかなるんでしょ?と思われているかもしれませんが、実際にはなんともならないケースがほとんどです。

先日来より行っている死後事務でも室内にノートPCが残されていました。ただ、依頼者の方はまだ若かったということと、PCで資産運用もしていたのでログインパスワード等は敢えて聞かないようにしていました。

依頼者の方には万が一の事もありますので、直接教えて頂かなくても大丈夫ですから、丁寧に遺品整理したらわかるような形で残しておいてくださいねと頼んでいた状況です。

依頼者の方も「ちゃんとわかるようにしておきます」と快諾されてくれていたのですが、実際に遺品整理を実施してみると貴重品関係や重要な書類は結構バラバラに保管されていました。

おそらく本人も予想していなかった状況で亡くなってしまい、そうした準備を行うことができなかったのでしょう。こうなると貴重品捜索はそれこそ紙きれやチラシの裏まで1枚1枚を確認していかないといけなくなったりします。

実際に室内に残されたいたPCを起動してみますが、当然ログインパスワードを要求されます。一般的なところで生年月日や電話番号などを入力してみますが、結果はNG。う~困った(苦笑)と思いつつもやることは決まっています。

普段通り丁寧に遺品整理を進めていくだけですね。丁寧に事細かに確認していったとしても本人がログインパスワードを頭の中だけで記憶しており、メモとして残していなければ結局は無駄になってしまうのですが、確認せずに作業を進めてしまえば発見できる可能性はゼロなのですから、当然どこかにメモが残っているものとして遺品整理を進めていきます。

依頼者の方はパソコンやインターネットをご自分で設定されている方でしたので、色々なところに設定時のメモは残っています。

メールアドレスの設定やプロバイダの会員登録時のメモなど、そうした何かしら手書きされているメモは全て残していき遺品整理を進めていき、最後に総当たりでそうしたメモをパスワードにかけていきます。

室内に残されていたメモ、今回はプリンターの説明書に走り書きされていたメモがログインアパスワードでログインできた時は正直、え、これなの?と思ってしまいしたね。(笑)

なんとかログインすることができましたので、あとはパソコン内のメールやブラウザの履歴からまだ判明していない財産や先の定期購入以外に定期的に購入しているものがないかなどを確認していくこととなります。

今回はものすごく人力な方法で遺品の中からあるかないかわからないメモを総当たりで探すというかなり手間も時間も掛かる方法の紹介ですが、パソコンの操作に慣れている方にはOSに備えられているシステムを利用してパスワードを解除したり、またはそうしたデジタル遺品を専門に扱っている業者に依頼するなど、ご自分にあった方法を選択することにしましょうね。

2020.05.13

亡くなって1月も経ってから届くamazon

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。非常に天気の良い名古屋です。まっさに絶好の洗濯日和!コタツを片づけるついでに色々と洗濯しようと画策していたりします。(笑)

さてさて、先日から行っている死後事務の続きのお話しです。インターネットやサブスクなどが定着してきたからこそ注意が必要と思われる部分でもあるのでご紹介しておきたいと思います。

その方のご自宅はそこそこの荷物があるご自宅でしたので、遺品整理を3日間ほど日程を確保し最初の2日間で仕分けや梱包、そして財産調査や貴重品捜索を行う予定でいました。

1日目はなんの問題もなく終わり、二日目の作業を開始しようと現地へ到着した時にamazonの箱が玄関前に置かれていました。

え?なにこれ?と昨日まではこんな物なかったよね。と不思議に思い宛名を確認すると確かに故人の名前宛てで配送された郵便物です。

最近はコロナウイルスの影響か「置配」指定していなくても、勝手に置配されてることもありますので、それかなとも思います。

ただ、問題なのはこの死後事務に伴う遺品整理は警察からの許可待ちであったことから故人が亡くなってから既に1ヶ月程経過しています。

本人は1ヶ月も前に亡くなっているのになんでアマゾンから荷物が届くの?と疑問でした。再配達かとも思いましたが、伝票を見ると日時指定で購入日は配達の2日前です。

当然、亡くなった人がネットショッピングなんてできる訳ありませんので、別の誰かからの郵便か?とも思いましたが、伝票に記載されている購入者もご本人です。

遺言執行者、死後事務受任者の権限で開梱して内容物を確認してみると、結構色々な物が詰めあわされていますが、中に入っていた多くの物が室内にも沢山箱買されている健康食品の類いです。

そこで気づきました!これアマゾンの定期配送だと。私もアマゾンでは良く買い物をしますが、人によっては同じ物を何度も買う方もいますよね。

特に食料品などはだいたい消費する日数も決まっていますから。2ヶ月毎や3ケ月毎に自動で購入して、配送するようにしておくことができます。

この方も持病の関係から健康食品を定期購入されていたらしく、それがたまたま遺品整理の日に重なったということですね。死後事務手続きを進める上では非常に運が良かったと言えます。

なぜなら、ご本人からはアマゾンプライムを利用しているということは聞いていなかった為、もし、この配達がされていなければアマゾンプライムの契約に気づくのはだいぶ後になっていたからです。

死後事務委任契約は契約してから何年も経ってから依頼が実行されるケースがほとんどですから、その間に新しい契約を結ばれることは当然あります。

そうした場合に大きな契約ならご本人さんも教えて下さるのですが、月500円程度のアマゾンプライムのような契約ですと、金額が小さいことからご本人もそれほど重要だとは認識されていなかったりします。

アマゾンプライムの利用料金の支払い方法にもよると思いますが、銀行やアマゾンのギフト券などで支払いを都度しているなら会費が支払わなければ自動的に権利は失効するでしょうが、アマゾンを良く利用される方はクレジットカード払いにされている方も多いかと思います。

そうすると、クレジットカード払いで会員資格も自動更新としていると定期購入も設定を解除しなければいつまで経っても無人の家屋へと郵便物が届くこととなってしまいます。

まさに今回はこの状態でしたので、もしかしたら遺言執行と死後事務手続きの過程でクレジットカードの解約をする段階になるまで、アマゾンプライムの会員だったことに気づけなかったかもしれなかったということです。

今回のアマゾンプライムに限らず、コロナウイルスで在宅で気軽に映画を楽しめるVOD(ビデオオンデマンド)などは各家庭に一気に浸透してきたのではないでしょうか。

こうした定期で支払いが発生するサービスは支払い方法をクレジットカードで自動更新のようにしておくと、家族にはまったくその存在が分からない状況のまま放置され、誰も使用していないサービス料だけがどんどん請求されてしまうことになりますので注意が必要ですね。

電子的なサービスの普及で私たちの生活はより便利で快適になっていきますが、その反面非常に秘匿性が高く、周りには気づかれにくい側面も持っていますので、相続手続きを行う際には今後は目に見えない部分についてより注意を払っていく必要がありますね。

相続、遺品整理、死後事務でのご相談はいつでもお受けしております。

2020.05.12

死後事務委任手続きにも影響するコロナウイルス

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。気温が一気に上がって熱中症に注意しないといけないくらいになっていますね。

体が暑さになれる前に急上昇されると熱中症の危険も増大してきますので、コロナウイルスで大変な時期ではありますが、体調管理にはより注意していきましょう。

さてさて、気温が上がってくればインフルエンザみたくコロナウイルスも収束してくるのでは?と期待していたりするのですが、専門家の意見では気温は関係ないとか。

でも、紫外線の殺菌効果はあるようで、やっぱり日差しが増えてくれば(夏に向かえば)コロナウイルス自然消滅?と期待していたりします。

今のところは国民全員が外出を控えることでコロナウイルスの影響も下がってきていますが、環境的要因がプラスに働いてコロナ撲滅してくれませんかね?と切に願っています。

新型コロナウイルスによって様々な職種に影響が出ていますが、死後事務委任の手続きでも結構しわ寄せがきていたりします。今回はコロナウイルスで死後事務がこんなに面倒になったという話しです。

現在、執行手続きを進めている死後事務委任契約。先月の頭に亡くなった方ですが、ちょうど手続きがコロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出た頃にぶつかりました。

とりあえず、なにはなくとも期間が決まっている手続きは期限内に行わないといけませんので、区役所や年金事務所へと駆け込むのですが、そこで目にした透明カーテン。

いまでは当たり前になっているコンビニや各種窓口に貼られている飛沫防止の為のビニールカーテンですね。

仕事以外では真面目に外出自粛(普段から引きこもり体質でもありますが(笑))していた私、始めてこのカーテンを見てちょっとびっくり。

でも、すぐに感染予防の為とわかりましたので、普段通り手続きをしようとするのですが、なんか人が多い!外出自粛で役場は空いてるかなと思っていたのですが、全然そんなことはなく、普段より待たされた感じがします。

役場にいった後に銀行系の手続きの為に各金融機関にも伺ってみたのですが、ここも人が多い!なぜか銀行も普段より人が多く、こちらも結構な時間待たされることに。

ちょうど感染爆発!みたいなニュースが流れていた時期でもありましたので、長時間待たされることに周りにいる方もちょっとピリピリしている感じがします。

そうした期限が決まっている手続きを終えた後に室内の貴重品捜索や遺品整理などを進めていくのですが、こちらは基本、私がもくもくと一人でまたはもうひとりのスタッフと時間を掛けて丁寧に行うので感染の心配もなく安心して進められます。

そうした貴重品の捜索などで見つかった故人の各種契約書、基本的には死後事務委任契約の際に聴き取りは行っているのですが、本人も忘れていたり、当たり前すぎて伝え忘れていた契約などもありますので、そうした手続きに必要な書類を遺品整理で回収していきます。

そして話しはコロナウイルスに戻るのですが、コロナウイルスで外出、営業自粛と各企業が感染予防に全力で当たっている結果、各種窓口が縮小されていることはご存知かと思います。

特に携帯電話会社などはTVCMなんかでも宣伝して、「ご理解ご協力をお願いいたします~」みたいに放送していますよね。

もともと携帯電話の解約は家族以外の第三者が行うような場合は本人確認なんかで非常に手間が掛かったりすることもあるのですが、今回のコロナウイルスはまさにこの携帯電話の解約業務に直撃しました。

今回お亡くなりなった方が利用していたのはドコモ携帯電話です。ドコモはコロナウイルスの影響で店舗での取り扱い業務を新規契約や修理といった一部の内容に限定しており、解約手続きについては「電話」だけでしか対応していません。

そしてこの電話が全く繋がらない。ドコモホームページに記載のある電話番号にかけると自動音声で問い合わせ内容を絞って「オペレーターにお繋ぎします」という段階までは進みます。

当然、すぐには繋がらず「ただいま電話が大変混みあっており~」のお決まりの文句が流れてきます。ここまでは、別に普通ですよね。私だってコロナウイルスの影響で大変なんやろうな~と思いながら担当に繋がるのを待っていました。

しかし16分位その状況が続いたと思ったら、「お電話ありがとうございました~」のメッセージとともに電話が一方的に切断されます。

「え!?切れるの?」とびっくりです。ドコモへの問い合わせ電話は一定時間繋がらないと勝手に切断されてしまうようで、オペレーターに繋がるまで何度も掛けなおして、何度も音声入力等をしないといけないのです。

電話代はフリーダイヤルですから掛かりませんが、当然オペレータに繋がるまではずっと掛けっぱなし状態で別の電話を受けることができません。

しかし、今のコロナウイルスの状況ではいたしかたないかと、掛けなおしますが、何度かけても繋がらず。結局その日のドコモの営業時間内には一度も繋がりませんでした。(昼過ぎからずっと掛け続けてですよ!)

まじか、、、、こんなに繋がらないなんて異常やない?と思わなくもありません。仕方がないので次の日はコールセンターの開始直前からスタンバって一番で掛けるつもりで準備してコール開始!これなら繋がるでしょうと思っていましたが、全く繋がらず結局、昨日と同じ再ダイヤルのループ状態です。

ただ、この日も全く繋がらず解約手続きは進みません。同じように3日目も無駄に終わりました。こうなってくると、ドコモが意図的に解約手続きを絞ってんじゃないの?と穿った見方も出てくるというもので、埒があかないとメールでの問い合わせを行うことに。

電話が繋がらないことや解約手続きを急いでいること、そちらから電話を掛けて欲しいなど要望などを記載して問い合わせフォームより送信。

1週間ほどしてからやっと返信が来たのですが、結果は解約は「電話」でしか受け付けしておらず、メール問い合わせの部署から他の部署へと引き継ぎなどしたりはしないので電話を掛けてくれとの塩対応。

いや、丸々3日掛け続けても繋がらないじゃん!と少し怒りが沸いてきました。これが私自身の携帯の解約なら急ぎはしませんが、なんせ扱っているのは故人の携帯。解約までに時間が経てば経つほど利用料として故人の財産が減っていくことになります。

ですので、再度メールで事情説明してとりあえず手続きは後でもいいので利用料が発生しないようにして欲しい旨を記載してメール送信。今度は3日ほどで返信がきましたが、回答は「電話でしか受け付けできません」という前回と同じ内容です。

正直ふざけるなーーー!と叫びたい気分です。コロナウイルスで大変なのはもちろんわかってるし、人が少ないのも理解できます。

でも、解約しないと利用料金はそのまま請求されるってことは、企業側としては解約は抑えられるし、利用料も引き続き入るしで、全ての負担を利用者に負わせてるだけやないか!と。

実際の解約手続きはコロナウイルスが収まった後で構わないから、これ以上利用料が発生しないようにして欲しい、故人の携帯番号の情報や代理人としての資格証明、故人の死亡がわかる戸籍等も郵送やFAXもすると、利用者側が出来ることは全て協力すると言っているにも関わらず、ドコモ側は「電話受付のみ」「利用料の停止は解約手続きが終了後」という、なんの企業側としての努力がみえない対応だけで正直呆れました。

もともとドコモは使用したことはありませんが、今後も二度と契約しないだろうと心に決めた瞬間でもあります。(怒!)といっても、こうなってしまっては、電話で解約手続きを進めるしかありません。

メールの問い合わせの際にも記載しておきましたが、こちら側の解約の意思表示は既に行っていますので、電話が今後も繋がらず一方的に利用料が搾取される状況が続くようでしたら法的手続きも視野に入れて対応を検討しないといけなくなりますね。

新規契約などは店舗で受け付けして、解約は繋がらない電話のみとされてしまうと、どうしても自分たちの利益に繋がることはすぐに対応して、不利益になることは後回しにしているイメージがして仕方ありません。

携帯の新規契約などはそれこそインターネットで申込すればできるのですから、利用者の不利益に繋がる解約手続きこそ店舗などで迅速に対応すべきじゃないの?と思うのは私だけですかね?

皆さまの周りにも同じような出来事があれば教えてくださるとと助かります。

2020.05.10

遺品整理はゴミ処分でなく重要な財産調査の一環です

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。大きな遺品整理の現場が二件程片付き、少し余裕がでてきたのでブログもちょこちょこ更新していきます。今回は遺品整理と財産調査について最近思うことを書いてみます。

死後事務の一環として行う遺品整理は非常に重要な財産調査の一面をもっています。一般的に遺品整理というと故人が住んでいた室内の残置物をまとめて処分というイメージがあるかと思います。

実際そうなのですが、遺品整理の難しいところはその室内で生活していたご本人は既に亡くなっており、家族や第三者が室内の整理を代わって行うということです。

当たり前じゃないの?と思うかもしれません。そうですね、亡くなった方が自分の部屋を整理をすることなんてできませんから、当たり前のことです。

でも、その当たり前の事についていったいどれだけの人が事前に準備しているのでしょうか?もし、自分がいま突然交通事故で死んでしまったら、果たしてあなたのご家族は何も迷わずにあなたの部屋を整理していけるのでしょうか?ということです。

これが、同居しているご家族ならある程度は大事な物や貴重品、故人の思い入れのある品々などは予測できるでしょう。

また、交通事故などでの予期せぬ突発的な出来事でなく、病気や加齢などでの老衰ならいろいろ伝える準備もできることでしょう。

でも、突発的な事故やそれこそ今問題となっているコロナウイルスなどで容態が急変なんてことになってしまったらそんな準備はできませんよね。

また、そうした突発的な事故や病気でなくても、今後ますます増加する単身者や独居の高齢者などひとり暮らしをしている方の生活というのは非常に外部には分かり辛いものです。

ですので、例え親族であってもいざ遺品整理を進めていこうとしても、何が大事で何が貴重品で、どういった手続きにどういう書類を見つけなければいけないのかが皆目見当がつかないという事態になったりします。

そうした故人の死後事務や財産整理と非常に密着しているのが「遺品整理」なわけです。遺品整理という言葉が世間に浸透するにつれて、遺品整理自体が一般的な物となり、それを取り扱う業者が増加しました。

しかし遺品整理が身近な出来事になる反面、遺品整理が本来有していた財産調査という重要性が非常に軽く考えられてしまうようになったのではないかと思えます。それこそ単なるごみ処分として扱われているケースが増えていることに危機感を感じています。

先日行った遺品整理の現場のことですが、室内はある程度整理されている戸建ての物件でした。依頼者の方でも自分たちでできる範囲の整理をされており非常に作業のしやすい現場でもありました。

そんなご自宅の整理の最後のまとめを当事務所にご依頼頂いて作業に取り掛かった時のことです。あるごみ袋の中から一通の封筒がでてきました。

遺品整理をゴミ処分として考えている業者のケースですと、そのまま可燃ごみ、良くて紙資源として、ッポイ!とされてしまうことでしょうが、士業が関わている遺品整理では事細かに封筒の中に入っている書類の内容を確認していきます。

封筒それ自体はどこにでも売っている茶封筒です。特に「〇〇銀行」や「〇〇証券会社」などの記載もありません。

そういった意味でもぱっと見は重要性ゼロの封筒ですが、中を確認してみると「〇〇銀行遺言信託」のパンフレットが入っていました。

これだけでは、単に遺言の作成でも考えてパンフレットを取り寄せたのかな?程度で終わってしまうのですが、遺品整理を財産調査や死後事務の一環として考えている場合はより、この一瞬に注目して細かく確認作業を行います。

パンフレットの中身を確認して契約書書類が挟まっていたりしないか、何か遺言を実際に作成した証拠になる物が残っていないかなどを確認するわけですね。

遺言信託のケースなら銀行が関わていますから、担当者の名刺が入っていたり、または実際に公正証書遺言を作成したのなら、公証人の名刺や公正証書作成後に渡される領収書などがないかなどを確認します。

遺言書は作成したからといって必ずしも本人が保管しているとは限りません。むしろ、ご本人は亡くなってしまうのですから、遺言執行者だったり、相続財産を受け取る相続人に預けているケースもあったりしますので、遺言書本体がなくても、遺言書を作っている可能性を示す手がかりを探すのが遺品整理では非常に大事な仕事となります。

今回のケースも遺言信託のパンフの他にメモで「〇〇銀行遺言信託、〇〇さんを通して~」とメモが残っており、かなりの高い確率で遺言書を作成されている可能性がありました。

遺言に限らず、故人がどのような財産を持って、どういう生活をしていたかが分からないようなケースではこうしたちょっとした手がかりから大きな財産の発見に繋がるケースも多くあります。

最近は様々な契約がインターネット上で完結してしまうことも多く、契約書類が紙媒体で残っていないことも普通ですよね。

「契約書」という形で紙媒体で残っていれば発見もしやすいのですが、契約書ではなく、パンフレットだったり、領収書だったり、見積書、担当者の名刺、報告書などと間接的な資料から「何かある!?」と気づかないといけないケースが増えています。

こうした意味からも遺品整理の現場というのは、財産調査、死後事務手続きに必要な書類な回収という面で密接に関わってきていますので、ご家族だけでも重要な書類を見落としてしまうかも?とご心配な場合ご相談くださいね。

遺品整理、死後事務のご相談はいつでもメールやお電話で受け付けしておりますので、お気軽ご相談ください。

2020.01.16

生前の意思に従った補聴器寄付のお話し

おはようございます。死後事務支援協会の谷です。1月も折り返しとなって書くのが今年最初のブログとなってしまいました(笑)

決してサボっていた訳ではなく、今年の初めに死後事務のご依頼を頂いている利用者の方が亡くなられてしまい、その手続きで奔走していてやっとひと段落したところなのです。

実際にはまだ遺品整理や預貯金の相続手続き等、いろいろと残ってはいるのですが、緊急で行うことは終わったかなというところです。

そのお話しはまた今度紹介させて頂くとして、今回はその死後事務をご依頼頂いていた方の生前の希望にそって「補聴器」を寄付してきたお話しです。

ご依頼頂いた当時はご利用者の方も病気と闘いながらもテレビドラマを楽しむ余裕もあり、補聴器を購入され、毎月の訪問の際に「もし自分が死んだらこの補聴器を必要な方へ寄付したい」と、私にその想いを伝えてくださりました。

既に遺言書も死後事務委任契約書も作成が終わっていますので、死後事務委任契約書を補聴器の為に作り直すのは現実的ではありませんの、寄付先などは私に一任して頂き、依頼者のご希望に沿う形で寄付することをお約束していました。

そして、今年の初めに利用者の方が亡くなり、遺体の引取りや葬儀の施工、期間制限のある役場への届け出などを行い、その他の契約関係の停止を行う為に利用者の方のご自宅へ伺って書類を探していると見つかったのが、以前購入された補聴器です。

入院や施設へ入所されてからは使用されていなかったのか、施設から引き揚げてきたお荷物の中ではなく、ご自宅のキッチンに置いたままとなっていました。

この補聴器を必要書類などと一緒に事務所へと持ち帰り、寄付先を探してみたのですが、寄付先を探してみて思ったのですが、意外と補聴器の寄付先って少ない?という印象をもったことです。

寄付先を探す前のイメージですと、高齢者施設などへの寄付や又はそうした施設へ橋渡しをするNPOなどがあるイメージを漠然と持っていたのですが、実際に探してみるとそうした団体はほぼ皆無。

皆無といっても、補聴器の寄付の受付や取次をしている団体が無い訳ではなく、日本国内で補聴器を再利用する流れがないという感じでした。

補聴器の寄付の受付をしている多くが補聴器を取り扱っているお店で、その補聴器店やメーカーも日本国内での再利用ではなく、海外の「Stakeyきこえの財団」等へさらに寄付を行い、主に海外の耳の不自由な子供達へと再調整を行った後に寄付している形のようです。

補聴器も良いものなら片耳で50万円くらいしますので、日本国内で再利用するよりも海外の子供達も含めてより必要とされる方へ寄付されるなら無理に日本国内で再利用するよりもいいのかもしれませんね。

今回、私が寄付先として訪れたのは「愛知補聴器センター小牧店」です。自分の目で寄付先を確認してからお渡ししたかったので、事務所から伺えるお店を探しました。それでも車で1時間30分ほど掛かる距離でしたが、、、名古屋市内にはないんですよね。

寄付にあたっては特段難しいことはなく、事前に利用者の方の生前の意向を伝えて、手続きが可能かどうかを電話で確認して持ち込んだだけです。

寄付ですので特段買取金額うんぬんもありませんので、お店で用意してもらった「譲渡証明書」に死後事務受任者として署名捺印して、補聴器をお渡しして終わりです。

後はお店からメーカーへお渡しして頂き、そこで再調整などを行って必要とされる方へ寄付されるそうです。

参考までにお店の担当者の方へ聞いてみたところ、多少古くても寄付するには問題なく、壊れていても修理できる範囲なら修理して再利用するので、年式やメーカー、故障の有無、付属品(充電器等)の有無などは気にせずに相談して頂けれな大丈夫とのことでした。

ご依頼頂いている死後事務はまだまだありますが、それでもご本人の想いをひとつ叶えてあげることができた事を素直に嬉しく思っています。

死後事務についてのご相談がございましたらお気軽にご連絡くださいね。

2019.11.21

南生涯学習センターで講師を務めてまいりました。

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。

寒くなってきましたね。日中は暖かくても夜の冷え込みや風の冷たさが冬の到来を感じさせる今日このごろ。
皆さんフライングで風邪などひかれていませんか?季節の変わり目は体調を崩しやすいので気を付けてくださいね。

さてさて、今回は名古屋市の南生涯学習センター様より、講師のご依頼を頂き、頑張って話してまいりました。

テーマーは下の画像のように人権に関する全6回の講座のうちの1講座の担当となります

メインのテーマとしては「知らず知らずのうちに差別をしていないか?」という部分について、様々な視点から、考えてみようというもので、1回目の講座から6回目の講座に進むにつれて段々と難しい話題になってくる感じです。

私は2回目の講座の担当ということで、比較的身近な問題から、差別について話してほ欲しいということで、私の行政書士としての事務所の「第八ブログ」を読んで、今回のテーマに合致するということでお声を掛けて頂いた次第です。

当初、お話しを頂いた際は遺品整理と人権問題?と思ったのですが、認知症の方や高齢者の孤独死やゴミ屋敷問題が頻繁に話題に上がるようになり、そうした高齢者の中でも、単にだらしない性格で孤独死やゴミ屋敷の住人になっている訳ではない、ゴミ屋敷住人や孤独死してしまった高齢者の中にも事情がわかると決して、その人だけの問題ではなく、社会の問題として捉えないといけない部分も多分にあるという事を遺品整理を専門に扱う士業の観点から解説して欲しいというご依頼です。

そういうことでしたらお任せください!人権問題では詳しく話せなくても遺品整理に関してでしたらどれだけでも話せますと請け負ったのはいいのですが、これが意外と難しかった(笑)

遺品整理については話せますが、人権問題と遺品整理の現場で起きる孤独死や孤立死、ゴミ屋敷の問題などをどのように組み合わせれば、聞いて頂くかたに分かりやすくなるだろうかと、四苦八苦しながら資料を作成し、勉強会に臨みました。

講義の流れとしては、まずは数字から原状を把握してもらおうと、高齢者白書等の資料を使用して、高齢者の孤立死に関す認識や家庭内事故に関するデーターの紹介をし、高齢者の方が孤立死を身近な問題と捉えている人がどれだけいるのか?などを確認。

(後半は解説に熱が入り暑くなってきたので上着を脱がせて頂きました)

その後、実際に孤独死や孤立死が起きた場合はどのように警察や役場が処理していくのかなど、普段はあまり見聞きすることの無い内容を実際の現場の雰囲気も含めてご紹介させて頂きました。

前半の最後は、勉強会という事もあり少し難しい判例などもご紹介させて頂き、実際に孤独死や孤立死が起きた場合には家族や近隣に多大な損害を発生させる可能性があるという内容を紹介して前半は終了です。

講座は2時間の講座でしたので、後半1時間を使用して、今回のメインテーマでもある。「差別」についても触れていくことに。

孤独死や孤立死と聞くと、「身の回りの事もできないだらしない生活を送っている人」というイメージがありますが、実際の遺品整理の現場で、ご家族やご近所の方から話しを聞くと、決してその人の責任とばかりは言えないケースも多々あるという事が分かってきます。

なんで、高齢者の住まいがゴミ屋敷化してしまうのか?どうして高齢の男性は女性と比べて社会と断絶してしまいがちで孤独死してしまうのか?そのきっかけは何なのか?という部分を遺品整理の観点からご紹介させて頂きました。

もちろん、高齢者の方が孤立死していってしまう事情は他にも多数ありますが、今回は遺品整理業者の観点からのご紹介となります。

様々なケースやそれに付随して発生する問題をご紹介させて頂い後は、少々気分が重くなってくる頃でしたので、遺品整理の現場は決して暗い雰囲気ばかりでなく、故人の生前の地域社会との繋がりによっては、こんなにも明るい遺品整理になるという、実際に私が経験したご近所の方々と和気あいあいと行った遺品整理の現場をご紹介。

最後に今後増加することが確実な単身高齢者の方にとって、自分の死後事務(葬儀や遺品整理等の手続き)を誰に託し、それにはどのような準備をしておけば良いのかを「死後事務委任契約」を例にご紹介させて頂き、講座は終了となりました。

普段は遺品整理の事ばかり話していますが、人権や高齢者問題の観点から考えるとまた違った難しさがあるのだと気づかせて頂ける貴重な体験となりました。

ご参加いただきました皆様、また、講座開催にご尽力頂きましたセンター職員の皆様、本当にありがとうございました。

2019.05.14

負動産の上手な処分の仕方?

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。梅雨前ですがなにやら梅雨の雰囲気をひしひしと感じる名古屋です。洗濯物が乾きません。(泣)

さてさて、先日毎月恒例の民法の勉強会へと参加してきた際の話しです。テーマーは遺言書に関する遺留分の取り扱いで、民法の改正で大きく変わる部分でもあります。ただ、そうしたテーマーとは別にいろいろと脱線しながらそれぞれの先生方の過去の取り扱った事件の詳細を聞けるのがこの勉強会の醍醐味であり、私もいつも参考にさせて頂いているところです。

その脱線話しの中で「負動産」の上手な処分の仕方という話題が出てきました。「負動産」とは本来財産である「不動産」が僻地や郊外などにあり、相続しても活用できなかったり、売りたくても売れない、ただただ、税金だけを発生させる財産の不動産が転じて負動産と昨今では呼ばれるようになってきています。

そうした負動産は相続の際にも問題になるが、何か良い方法がないか?という話しになった際に、勉強会に参加されている行政書士であり、山岳会の重鎮でもある方が過去の事例を紹介してくださいました。

その相続では山林が相続の対象となっており、場所的には負動産となってしまう土地とのことです。あるとき相続人の方からこの負動産をどうしたものかと相談を受けたとのことです。相続人としては、管理もできない税金しか生まない負動産をどうにか処分できないかと悩んでいたのですが、その解決方法として「日本山岳会」へ寄付するという方法がとられました。

それの何がいい方法なの?と思われるかもしれません。実は不動産を寄付するといっても税金の問題が発生して、本来ならいくから寄付といっても税金の負担を考えるなら寄付すら受け付けたくないというのが実情のはずです。

しかし、日本山岳会は公益社団法人であり、税金は免除されています。つまり、負動産の処分で困っている相続人も山岳会側も税金の面では困ることがないため、相続人は晴れて問題の不動産の管理から外れることができたというわけです。

もちろん、こうした状況は相続の対象の不動産が山岳会の近隣の土地であったことが一番大きく影響していますので、なんでもかんでも寄付できるというものではありません。ただ、今後増えていくと予想される負動産の管理、処分を考えた上で公益社団法人や宗教法人など税金が免除されている団体に相談を持っていくのは有効な方法のひとつと思われます。

どこでどんな知識に触れるかわからないのが勉強会の楽しみですね。

今回は死後事務とはちょっと離れた話しかもしれませんが、不動産トラブルは相続でも大きなウエイトを占めることになりますので、こうした方法の検討は必要かと思いご紹介させていただきました。

2019.02.23

盲導犬育成協会への寄付

死後事務支援協会のブログへお越し頂きありがとうございます。死後事務支援協会代表の谷です。本日は先日受けた相談から少しだけ抜粋してのご紹介となります。

ご相談者は90歳を超える高齢の女性の方ですが、自分の意見をはっきりと言われる非常に聡明な方です。ご相談内容としては遺言の作成についてであり、自分の財産を兄妹ではなく、盲導犬に関する施設に寄付したいと考えているが、どのように遺言書に書いておけばいいだろうか?というものでした。

自筆証書遺言を念頭にしてのご相談でしたので、公正証書遺言のご紹介とともに遺言書に記載する希望を確認してみると、ご相談者はお子様がおらず、相続人としては兄妹がいるとのこと。

ただ、そのご兄妹からは「あなたの財産はいらないから、代わりにうちの子たちにあなたの相続で面倒をかけないでもらいたい」と言われたいるらしく、そうした言葉を受けてのご相談でもあるようでした。

実際問題として、ご兄妹には遺留分はありませんので、遺言書を用意しておくことでご相談者の希望として、全部の財産を盲導犬を育成する機関等へ寄付するということは可能です。

後日、中部盲導犬協会へと確認してみたところ遺言で寄付されるという方は相当数みえられるようで、中部盲導犬協会側としても遺言での寄付の受付も問題ないとのことでした。

であるならば、後は自筆証書遺言なり、公正証書遺言で有効な遺言を用意しておけば問題ないようにも思えますが、死後事務の支援を行っている私としては一点心配な点が残っています。

盲導犬協会への寄付の内容を記載した遺言書を準備しておいたとして、その遺言書の内容を誰が実行してくれるのか?ということです。

相談内で確認したように、ご相談者の方とご兄妹はあまり良好な関係とは言えませんし、既に「相続で面倒をかけるな」と言われている位ですから、たとえ遺言書を残していたとしても、ご兄妹やその甥子さんや姪子さんが遺言書の内容を実行してくれるとは考え辛いところです。

ご相談者本人としても、遺言内容の実現にご兄妹側にお願いしたいとは考えてはいないようでしたので、そうすると、ただ盲導犬協会へと寄付するという内容を記載した遺言書を用意しておくだけでは準備不足となり、必ず「遺言執行者」を定めておく必要があるでしょう。

遺言執行者とは「遺言」の内容を「執行」する「者」であり、簡単に言えば、遺言に記載した希望を遺言者の死亡後に実現してくれる人となります。

これは、家族でもご友人でも、専門の士業でも、遺言を遺される方が信頼される方ならだれでも執行者と指名することが可能です。

ただし、遺言執行には法律的な手続きの側面が非常に強い部分がありますので、ご家族以外に頼む場合は私たちのような相続を専門に扱う士業に依頼しておくほうが良いでしょう。

そうした遺言執行者の指名を盲導犬協会への寄付の内容と一緒に遺言書に記載しておくことで、盲導犬協会への寄付は遺言執行者が行ってくれますので、今回のご相談者のようにご兄妹と疎遠だったとしてもご兄妹に迷惑をかけることなく、相談者の希望は実現されることとなります。

死後事務支援協会では、葬儀や入院費の清算、遺品整理や家屋の引き渡しなどの死後事務の他、遺言書の内容を実現する遺言執行者もお受けしております。死後事務支援協会は相続を専門で扱う士業の団体ですので、遺言書や死後事務でお困りの際はいつでもご相談くださいね。

ご相談は問い合わせフォームまたは052-653-3117へ

2019.02.15

死後事務と墓じまい

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。はやぶさ2が偉業を成し遂げたようですね!はやぶさの頃からどんな苦境でも諦めない姿勢とそれまでの徹底して行っていた準備は我々士業の世界でも予防法務という面で見習うべきところですね。無事帰還することを願ってやみません。

さてさて、死後事務の世界では基本的には全てが「事後」となっているわけで、それこそ元気な内にいかに準備していたかが相続問題を発生させるかどうかに繋がってきます。そんな、事前準備をしておくべきものの中のひとつに「お墓」の承継の問題がありますよね。

先日、あるご相談者の方から「墓じまい」についてのご相談を受けました。現在はお父様がおひとりで墓守をされている寺院墓地のお墓を今後どうしたらいいのだろうかというものです。

今回のご相談内容としては、高齢の父親が亡くなったら今後その墓を守する人間がいなくなること、自分達とは信仰も異なり承継していくことは難しい。だから父親が元気な内に墓じまいをしてもらいたいと考えているというものです。

お墓の問題は信仰とも強く結びついている問題でもありますので、慎重に進めるべきものではありますが、今回のご相談者のように「今後墓守をする人間が不在」「現在、墓守をされている方が健在」という状況でしたら、墓じまいの準備をしておくことは大事です。

特に寺院墓地のように地域と密接に関わってきているお墓にあっては、「公営墓地」や「民間墓地」とは異なり、お金さえ払えば済むという問題でもありません。これまで檀家としてお付き合いしてきた関係をどのように終了させるのかという問題でもありますので、あまり不義理な事はしたくはありませんよね。

最近は「終活」という言葉が浸透してきて、終活に関連して「墓じまい」の話題も良く週刊誌などで取り上げられています。また、雑誌やTVなどのニュースでは注目を引く為か、墓じまいのトラブルとして「高額な離壇を請求された!」という話しが紹介されていることも多くあり、実際に墓じまいを考えている方にとっては気になる部分でもあるかと思います。

ただ、ニュースや雑誌などではどうしても話題性を一番に考えていますので、多少大げさに報道されている部分もあるかと思いますが、どちらかというとこれまでどのようにお寺とお付き合いしてきたかが重要で、ごく普通に壇信徒としての役割を果たされてきているのでしたらそれほど心配することはないかと思われます。

私自身は遺品整理専門の行政書士として、遺品整理を10年以上行ってきていますので色々なお宅を拝見する機会がございます。そうした遺品整理の現場で良く見かけるのがお寺から届いている寄付や寄進のお願いのお手紙のほか護持会費のお知らせなどです。

護持会費は一般的には菩提寺を運営する費用に利用され、お墓の管理料も含まれることになります。ですので、寄付などとは別に檀家として支払うべき護持会費などの支払いをしていないような場合は墓じまいをする際に、これまで未納だった護持会費をまとめて請求されることはあるかもしれません。

ですので、墓じまいを検討するならば、まずは話し合いです。親族と墓じまいについて話しあうのはもちろん、お寺にも早い段階で(むしろなによりも早く)墓じまいの意向を伝えて、現在のお墓がどういう状況なのかを確認することが大事です。

普段からお墓詣りなどで頻繁に通っているような状況なら問題ありませんが、そうでないような場合は何かお寺に不義理をしていないかを事前に確認するようにしましょう。

また、墓じまいをする際に考えなければいけないのが、「改葬」なのか「永代供養」にするのかということです。改葬とは簡単に言えばお墓のお引越しで、永代供養は、跡継ぎがいない方のように今後、お墓を承継する人がいない場合に以降の供養の全てをお寺にお任せする方法となります。

改葬などでは実家のお墓を自分のご自宅の近くのお墓へという形で移すことになりますので、改葬にあたり事前に受け入れ先のお墓などを探すことになります。そうした受け入れ証明などをもって役場に改葬許可を申請することになりますが、改葬先を決めてしまってから菩提寺に挨拶いくのはやめましょう。

これまでお墓を守ってくださっていたお寺にまず挨拶をして、どうして改葬するのかや現在の家族の状況や今後の承継者がいないことなどの事情を説明した上で、墓じまいをしたい意向を伝えた上で、手続きについてお寺と相談するのが良いでしょう。

状況によっては、改葬についてお寺からご自宅近くの同じ宗派のお寺を紹介してもらえたり、または33回忌や50回忌が目前という状況なら改葬ではなく、これまでお世話になってきた菩提寺で永代供養にされた方が良いかもしれません。

そうした相談も菩提寺に相談する前に改葬先のお墓や永代供養としての納骨堂などを先に契約してから相談に行ったのでは、先方としても親身に相談に乗ろうという気は起きないものです。ある程度の改葬先の目安や今後の供養の方法の目算をつけるのは構いませんが、決定する前に菩提寺に相談に行くことをお勧めします。

墓じまいに関するご相談やお墓の原状回復に関する見積りの作成なども当協会にてお手伝いしておりますので、お困り事があればいつでもご相談くださいね。

2019.02.04

思わぬ効果

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。まだまだ寒さが続きますが、暦上は立春を迎えましたね。はやく暖かくなってくれることを切に望んでいます。寒いのは苦手で寒いよりは暑い方がまだいいですね。真夏になったら正反対の事を言っているのですが(笑)

さてさて、先日死後事務のご依頼を頂いている方とお話ししていた際に「こんな出来事があってね」というお話しを聞きました。そのご依頼者の方は男性の方で、死後の事務としては葬儀、納骨、遺品整理、財産整理、遺言執行、市営の団地の返却とごく一般的な死後事務のご依頼を頂いている方です。お歳はまだお若く50代後半の方なのですが、心臓を悪くされている為、念のために準備をしておきたいと当社団へご依頼を頂いている方です。

その方は男性で日頃は自活して生活されている事もあり、定期的に訪問させて頂く「見守り契約」は行っておらず、3ヶ月に一度の電話やメールなどでの安否確認だけをさせて頂いています。もちろん、ご相談などがあれば見守り契約などはなくても随時訪問させて頂いてお話しを伺っているのですが、今回は墓参りへと一緒に行ってもらいたいというものでした。

死後事務のご依頼内容の中に「納骨」のご依頼あり、また納骨先も家墓が事前に用意されており、既にご両親、ご兄妹が納骨されている場所でもありましたので、場所の確認の意味も込めて同行させて頂きました。

お墓詣りも無事完了した後に喫茶店でお茶を飲みながら近況をお聞きしていたところ、当社団がご契約者の方へお渡ししている下のような掲示物の事が話題にあがりました。

死後事務委任契約のご依頼をされる方の多くが単身者の方で普段はおひとりで生活されている方がほとんどです。ですので、万が一室内で倒れていたような場合に発見された方や救急隊員の方などがどこに連絡すればいいのかがすぐにわかるようにと玄関や冷蔵庫など、室内に入った方が気づきやすい場所へ掲示していもらうためにお渡ししている掲示物です。

今回の男性の方にもお渡ししてあった同様の掲示物ですが、私の説明不足もあったのか、本来は玄関の内側に貼っておいて頂く予定の物を玄関扉の外側にずっと掲示されていたとのこと。

「それが風で良く飛んでいってしまってね~」という話しだったものですから、説明不足を謝罪した後に再度室内での掲示を勧めたのですが、ご依頼者の男性の方は「いや~、私もそう思って室内にしようと思ったんだけど、これを貼っておくと不要な訪問販売や勧誘なども来なくなって助かるんだわ~」と、「今後も玄関扉の外側に貼っておくから、なんか連絡あったらよろしく!」と本来とは別の効果に喜んでいらっしゃいました。

ただ、無用な訪問販売が無くなったのはいいのですが、宅配便など郵便物を持ってこられた方がその掲示を見て、入居者が亡くなったものと勘違いするケースもあるようですので、私としては室内掲示を勧めたいかな(汗)。

今回は万が一の際の時の掲示物が意外な効果を発揮していたというお話しでした。

2019.01.28

元気になられてほっと一息

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。はやくも1月が終わろうとしていますが、今年の名古屋は比較的暖かったイメージがあります。日本海側は大変な状況になっている地域もあるようですが、去年みたいな大渋滞は起きないことを願うばかりですね。

さてさて、当協会で死後事務を受任させて頂いている方にガンのステージ4の方がいらっしゃいます。受任から既に1年以上経過している方ですが、ガンと闘いながらも日々穏やかに過ごされています。

死後事務を当協会にご依頼頂いてからは心配事がなくなったと治療に専念されていたのですが、昨年末に放射線治療を実施されて定期訪問の連絡をした際には入院中で、ちょうど訪問日に退院されるとのことでした。

当協会では希望者の方には毎月訪問してお体の調子などを確認させて頂いているのですが、(といっても世間話で最近の話題で盛り上がっているだけですが)バスやタクシーでは入院時の荷物が大変と思い、私が病院へお迎えにあがることにいたしました。ちょうど、入院関係の書類へ私の署名も必要でしたので、送迎のついでにこちらも手続きを終えることに。

当日、病室へ訪問した際は比較的元気なご様子でしたが、ガンの症状で食が細くなっていたこともあり、体力がかなり落ちており歩くのがやっとの状況。私の車へ乗って頂く際にも自力ではあがることができない様子で、退院後のひとり暮らしが心配でした。

しかし、先日の定期訪問で伺った際は見違える位に元気になられており足取りもしっかりされ、いつも通り私のくだらない話しに大笑いして頂けて、ほっといたしました。前回の入院時はおひとりでは立ち上がることができない状況でご近所の方が救急車を手配され、入院中もご近所の方が心配されて、あれやこれやと世話をして頂けたとのことです。

私達、死後事務支援協会でも最大限サポートはしていきますが、やはりご近所の方のお力添へは、心強いものですね。ガンのステージ4と厳しい状況ではありますが、ご本人さんの叶えたい夢に向けて協会としても頑張りたいと思う定期訪問でした。

2018.11.30

死後事務研修会forケアマネジャー

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。11月も今日で終わりとなり、明日からは2018年最後の月、そして平成最後の12月ともなるわけで、今年もあっという間に過ぎ去ったなという感じです。意外と12月にも入ろうという時期にしては暖かな日が続いていますが、寒暖差はやはりありますので、ヒートショックなどで倒れてしまわないように注意してくださいね。

さてさて、この時期はどうしても高齢者の方がトイレや浴槽などで倒れられる事故が増加してきます。これは上でも書いたように寒暖差による血圧の乱高下などが原因で起こるものであり、高齢者の方、特におひとりで生活されている方にとっては孤独死の要因ともなりますので、くれぐれもご注意ください。

こうしたおひとり暮らしの高齢者の孤独死は増加する一途を辿っており、先日こうした状況に危機感を抱かれている、あしたば訪問看護ステーション様より、ケアマネジャー向けに何か注意喚起できるような勉強会の講師をして欲しいとのご依頼を受け、拙い話しではありますが講師を務めてまいりました。

今回のテーマーは今後増加が予想されるおひとり暮らしの高齢者、そしてその訪問看護にあたられる方が、もし、訪問先で孤独死現場に遭遇したら、何に注意して行動しなければいけないのかについて、遺品整理専門の行政書士の立場からお話しさせて頂きました。

内容としては、孤独死の実際の現場の様子の紹介、高齢者が孤独死している場合の兆候の種類、孤独死が発生した場合の家主とのトラブルの実例、おひとり様が抱える死後の手続きの心配についての死後事務委任契約を中心にした準備のお話しなどをさせて頂きました。

セミナー終了後の座談会では在宅医療をされているお医者様などから、遺言の要件や死後事務委任契約の費用などの質問も多数頂き、おひとり暮らしの高齢者や家族がいても医療費の滞納などで困っている実情を知ることができ、こちらとしても非常に勉強させて頂いた一日となりました。

2018.11.19

納骨堂の利用が増加する訳と死後事務委任契約

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。11月も後半戦へと突入し冬将軍の足音が聞こえてくるようですね。気温が低くなってくると高齢者の方ではトイレや浴室でのヒートショックによる突然死が増加してきますので、浴室暖房、暖房便座などを利用して急な温度変化で体がビックリしないようなお部屋造りをしてくださいね。

さてさて、本日は納骨についてのお話し。最近は昔ながらの「家」という考えが若い方の間では薄まっているように感じますよね。これは時代と社会の変化でもありますので、仕方のないことかと思われます。昔は一族郎党、一致団結していなけれは生き残れない時代でしたが、昨今の世の中はそうした家族や家同士の繋がりが強固でなくても生きていくだけなら個人の頑張りだけで十分生活できていけますので、「家」という考えが廃れてきても仕方がない時代と考えています。

そうした「家」という考えが廃れるにつれて見直されたのが「お墓」です。ひと昔前は「自分が死んだら家の墓に入る」となんの疑問も持たずに思っていたものですが、ここ最近は「お墓」以外の選択肢も非常に増えてきており、そもそもお墓なんていらない、自分の遺骨は海や山へ散骨してくれればいいという自然回帰の考え方も増えてきています。

そうしたお墓以外の選択肢のひとつとしてここ数年で爆発的に契約者の数を増やしているのが納骨堂です。納骨堂の一般的なイメージとしては、骨壷をお寺などが所有するコインロッカーのような場所に収めておくというものでしょうが、最近は機械によって搬送されてくる物やロッカータイプであっても煌びやかな装飾が施されているものなど多種多様な納骨堂が存在します。

なぜ、納骨堂の人気がこんなにも上がってきているのかと言えば、端的に言えば「費用」と「手間」と「宗教観の違い」となるでしょうか。納骨堂が選ばれる一番の理由はやはりそのお手ごろなお値段とも言えます。お墓ですと一基で何百万もするのが普通ですが、納骨堂の場合は家族構成などを考慮して契約するタイプを選ぶこともできることが多く、そうした場合は数万円~数十万円で契約することも可能です。

また、少子高齢化と宗教的な考えの違いから若い世代には自分の家の宗派が何なのかを知らない方も多く、当然宗教には関心が無いという方が増えてきています。そうした状況が続くことによって、先祖供養をお墓で敢て行うことに意味を見出せずに、親世代としても無縁仏になるくらいならお墓に拘らず、近くて便利な場所にある納骨堂の方が子供達もお参りしやすく、負担も少なくてすむのではと考えて納骨堂の人気が上がって来ているというわけですね。(家のお墓が遠方だと子供達がお参りするのに時間や費用が掛かり、結果として足が遠のいてしまい、無縁仏、無縁墓になってしまうのは寂しいですしね)

私達、死後事務支援協会でも名古屋の大須にあります、織田信長の菩提寺でもある萬松寺様と提携して納骨堂の代理店を勤めています。死後事務委任契約で皆様が心配される死後事務の内容のひとつとして、自分の死後の供養を誰が行ってくれるのか?というものですが、これについては死後事務委任の契約内容にて自由に決めることができますので、お墓や散骨、納骨堂など、ご自身の希望を契約内容に盛り込むことよって、受任者たる当協会がご依頼者の方の死後、その契約に従って実現していきますので心配はございません。(特にご希望がないという場合でも萬松寺様との納骨堂契約によって33回忌まで納骨堂で供養の後、平和公園にて永代供養を行います)

当協会では死後事務委任契約の締結時にご依頼者の方のご希望を確認して葬儀のプランや火葬後のご遺骨の埋葬先などを決めさせて頂いております。お墓や納骨堂に限らず、散骨の場合などでもご希望のプランがあれば一緒にそのプランについて検討し、見積りを取り、生前の契約などのお手伝いをさせて頂いた上で死後事務委任契約書へとその内容を盛り込んでいきますので、自分の最後をどのように彩っていきたいのかを一緒に考えさせて頂ければと思います。

死後事務や納骨堂の事でご相談があればいつでもご連絡くださいね。


(萬松寺 水晶殿 合祀プラン 納骨式の様子)

2018.11.01

あったかあつた福祉フェスタにて

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。
朝晩の風の冷たさが身に染みますね。そろそろコタツを出さねば!

さてさて、先日死後事務支援協会とは別に自身の行政書士の業務の一環として「あったかあつた福祉フェスタ」にて成年後見に関する相談員を務めてまいりました。当日は障がい者支援施設の出し物として、白状体験や車椅子体験などいろいろな催しがされており、天気も良く大変盛況だったかと思われます。

今回は自身も会員である、行政書士が運営する成年後見の支援団体「コスモス成年後見サポートセンター」からの要請を受けて相談員を務めてまいりました。

とはいえ、普段は遺品整理等の死後事務ばかりをやっている為、死後事務委任契約や遺言執行者の受任はしていても、成年後見人の受任はしてはいませんので、大先輩の力を借りながらの相談業務でした(笑)

死後事務委任契約はそれ単体で結ばれるケースは珍しく、一般的には遺言書と組み合わせたり、任意後見契約を結ぶ際に一緒に死後事務委任契約も結んでおくというのが多いかと思われます。

成年後見という制度には「法定後見」と「任意後見」の二種類があり、簡単に言えば、「法定後見」は既に認知症等になってしまい本人の意思では成年後見人を選べないよう方の為に家庭裁判所が後見人を選任する制度であり、「任意後見」は本人が元気な内に自分自身で信頼できる方を「任意後見人」として選んでおくという制度になります。

ですので、「法定後見」は家庭裁判所が「法定後見人」を選び、「任意後見」は自分で「任意後見人」を選ぶというところに一番の違いがあるとも言えます。したがって、法定後見では士業の先生や社会福祉の方などが選任されるケースが多いですから、全く見ず知らずの方が法定後見人として就任することも珍しくはありません。

そうした、見ず知らずの方が自分の後見人になるのは心配だわ、という場合は万が一ご自身が認知症等になった場合に誰に自分の財産管理や身上看護を任せたいのかを事前にしっかりと考えて、この人にお願いしたい!という方が決まれば、任意後見契約(公正証書)を結んでおくと安心ですね。

ただ、後見人の業務はご本人が亡くなった時点で終了します。これが何を意味するかと言うと成年後見人の業務には、葬儀や遺品整理、納骨などの「死後事務」は含まれていないことを意味します。

ですので、もし葬儀や遺品整理なども成年後見人に行ってもらいたい場合は「任意後見契約」と一緒に「死後事務委任契約」を結んでおく必要があります。

この二つの契約を行っておくことで、認知症等になった際は「任意後見人」が成年後見業務として財産管理や身上看護を行い、ご本人が亡くなった後は任意後見人だった方が「死後事務受任者」として途切れなく葬儀や遺品整理などの「死後事務」を行うことが可能となります。

また、認知症になる前であっても、財産管理のサポートをしてもらいたいという場合は、さらに別の契約として「財産管理契約」や各市町村が行っている日常家事支援業務等を利用するとより安心した生活を送ることが可能となります。

こうした、財産管理契約、任意後見契約、死後事務委任契約は認知症になった後では結ぶことができませんので、もし、近くに頼れるご家族やご親戚の方がいないような場合は元気なうちに専門家に相談をしておきましょうね。

死後事務支援協会でもご相談には応じておりますので、ご心配なことがあればなんでもご相談くださいね。

2018.10.31

納骨堂への代行納骨

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。

あっという間に10月も最終日となり、今年も残すところ2ヶ月となりましたね。季節の変わり目は体調を崩しやすいものですので、体調管理にはお気をつけください。

先日、あるご遺族の方からのご依頼でご遺骨を八事霊園まで受取りに行ってまいりました。もともとは、死後事務の一環としての遺品整理のご相談を受けたのがきっかけではあったのですが、故人のご遺骨についてご相談に乗らせていただき、今あるお墓を今後は改葬の予定があり、故人のご遺骨をここに納めたとしてもすぐに改葬となってしまっては故人も落ち着かないだろうからどうしたらいいものか?というご相談です。

最近は昔ほど「家」と「お墓」には強い結びつきはなくなってきていますよね。もちろん、先祖から受け継いできているお墓を今でも大事に守られているお家が多いことは事実ですが、時代が変わるにつれて、「家」という考えや個人の宗教観も変わってきており、自分が死んだら○○家の「墓」に入るという考えも薄まってきています。

むしろ、子供がいない世帯の増加や将来子供達に負担を強いることになるだろう「お墓」については、ご両親が健在のうちに改葬して墓参りやしやすい場所や納骨堂に移したり、墓じまいをしてしまうご家庭も増えてきています。

そんな状況ですので、今回ご相談を頂いたご遺族の方も故人のご遺骨をこのまま「お墓」に入れてしまっていいものかと悩まれてのご相談です。

こうした場合は非常に悩ましい問題でもありますが、納骨堂を利用するという方法で解決できる場合があります。私が代理店を務めている名古屋大須にあります万松寺様納骨堂では、各種納骨堂を扱われていますが、一般的に納骨堂というと「お墓の代わりに遺骨を納める場所」というイメージがあるかと思います。

もちろん、その考えてで間違いではないのですが、今回は納骨堂の従来とは違った利用方法をご紹介したいと思います。今回のご相談のように一時的に故人の遺骨をどこかに預けておきたいと考える方は少なくありません。

例えば、今は日本に住んでいる外国の方のような場合ですと、家族の方が亡くなっても生まれ故郷のお墓にすぐには入れてあげられないような場合は一時的に納骨堂と契約をして遺骨を納めて将来、故郷の地に埋葬できるようになった際に遺骨を再度引取っていくということが可能です。

実際に万松寺様ではこういった事情の方の納骨を何件か扱っているそうで、何年、何十年後になるかはわかりませんが、それまでは手厚く供養してくれますので預けている家族としても安心ですよね。納骨堂というと、お墓の代わりというイメージがありますので、一度入れたらそれを再度引き出そうとは普通は思わないことでしょう。

しかし、納骨堂はお墓と違い重たい墓石をどけたりする必要もなく遺骨を取り出すこともでき、また風雨に晒されることもありませんので、骨壷が汚れるようなこともありません。そう考えるなら、実家のお墓は改装の予定があるので、遺骨を埋葬するわけにはもいかず、かといって遺骨をずっと自宅に安置しておくのもどうなんだろうと思われるような方には納骨堂に預けておくという方法は選択肢のひとつになるのではないでしょうか。

今回のご相談者の方も遠方に押すまいで手続きが難しいということでしたので、こちらで委任状を頂き、代わりに納骨を行う代行納骨を行ってまいりました。上記のような納骨堂の利用法でひとつ注意して欲しいのが、合祀をするような納骨堂のプランですと後日、個別に故人の遺骨だけを引き出すことはできませんので、ご注意ください。

死後事務や遺品整理、納骨堂などのご相談も死後事務支援協会では受け付けておりますので、なんでもご相談くださいね。

2018.09.03

万松寺終活講座で講師を務めてまいりました。

おはようございます。名古屋のおひとり様の味方、死後事務支援協会の谷です。今年最大級の台風が明日にも上陸か!という感じで大型台風が名古屋の傍にも来そうで戦々恐々としております。大きな被害が出ない事を祈っています。

さてさて、そんな台風が接近してきている中、9月2日の日曜日に名古屋大須の万松寺様で終活講座が開催されました。万松寺様の終活講座は毎月一回第一日曜日に定期開催されている講座で、毎回住職の法話と終活に関する異なる専門家が終活セミナーという形でお話しをして頂けると人気の講座です。

今回は当協会が終活講座のセミナーでの講師を務めさせて頂きました。人前で話すのがあまり得意な方ではありませんが、せっかくの機会ですので「死後事務とは何か?」「死後事務委任契約で何ができるのか?」「実際の利用者の契約の経緯や現在の状況はどうなのか?」について、お話しさせて頂きました。

そもそも、ほとんどの方が「死後事務委任契約って何?」という状況かと思われます。恐らく「死後事務」という言葉を自体聞いたことが無いことでしょう。死後事務とは、一般的にはどなたかが亡くなった後に発生するもろもろの手続き全般を指しており、これとこれが「死後事務」という感じに定義されている物ではありません。

ですので、遺品整理や葬儀、未払いの治療費等の支払いなど、本来はご家族や親戚の方々が行うこと全般が死後事務と呼ばれるものであり、死後事務委任契約とは、そうした本来はご家族や親戚の方々が行うべき手続きを、家族以外の信頼できる第三者に依頼する際に作成される契約書のことを指し、それが「死後事務委任契約書」となります。

家族がいない方、またはいても家族や親戚と疎遠になっており、自分の死後の手続きをお願いすることが出来ないといった方々が自分の希望通りの死後事務を実現するには、どうしたらいいのか?また、どのような準備をしておけば自分の死後の手続きを希望通りに叶えることができるのか?そうした内容のお話しを中心にさせて頂きました。

最後に万松寺様にて行った終活講座全体のアンケートにも、「そうした手続きがあることを初めて知った」や「手続きがあることで安心した」という感想が頂けましたので、ご参加していただいた皆様に多少なりとも参考にして頂けたかと思います。

死後事務って何?死後事務委任契約について教えて欲しいという要望がございましたら、個人、団体問わず相談やセミナー等受け付けておりますので、お気軽にご相談くださいね。

2018.08.13

生前整理の見積りが本人の意識を変えることもある。

おはようございます。愛知県名古屋市にあります、死後事務支援協会代表の谷です。世間はお盆休み真っ只中ですが、死後事務支援協会は本日も通常営業です。

さてさて、先日、いつもお世話になっている生協の方にお会いした際のことです。その方の実家について以前相談を受けて、生前整理の見積りに伺ったことがありました。その際のご相談内容としては、お父様が実家の整理に反対しておりなかなか整理が進まないので、一度現実的な費用を出してもらいたいというご相談でした。

もう何年も前のお話しではあるのですが、今でもその時の様子は鮮明に思い出せる見積り現場です。名古屋の閑静な住宅街にある古くても丁寧に整備されているお家とお庭。いまどきこんな立派な池付きの庭を持っているお宅も少ないだろうと思い見積りをしていたものです。

最初はお父様が家屋の整理に全く協力的ではなく、第三者としての意見を聞いたら少しは整理に協力してくれるのではないかといったご相談でしたので、訪問したらいきなり怒鳴られたりしないかと小心者の私はビクビクしながら伺いました(笑)

伺ってみればなんのこともなく、家族や他のご親戚の方も揃っていたからか、お父様も嬉しそうにしており見積りは思いの他順調に進みました。最後に見積りの金額やご自宅の今後のことなど、色々と私の知る範囲でのアドバイスをさせて頂き、その日は終了となりました。

もともと、実家の整理についてはお父様が強く反対されていたので、整理まではいかないだろうと家族の誰もが思っており、実際に依頼が来ることはありませんでした。

ただ、先日ご家族の方とお会いし際にお父様が亡くなったとお聞きしました。その際に見積りに来て頂いた後にこんな事があったんですよというお話し。

なんでも、あの見積りに来て頂いた日からお父様が実家の整理にもの凄く前向きになったとのことで、以前は家族が整理をしようと手を出すと文句を言ってきたのに、あの後は率先して片付けを始めたそうです。

実家の整理の為に家族や親戚が揃うのも嬉しかったのかもしれませんが、とにかく、色々と整理を初め、物置となっていた屋根裏を片付けた際に思い出の「絵」が出てきた事を非常に喜んでいたそうです。

そうして、実家の整理に一番反対していたお父様が俄然やる気になったことで、室内にあった「これどうしよう?」というものがどんどん整理されていき、今ではほぼ不要な物はなにも無いというところまでご家族皆様で整理をされたそうです。

実家の整理には家族や親戚が暑い中、寒い中、何度も何度も足を運び、大変な思いをしながら整理をしていったそうです。そうして整理が進みひと段落した際にお父様が亡くなられたそうですが、あの時見積りに来て頂いたおかげでお父様が自分で整理をする意識を持ってくれたと非常に喜んで頂けました。

遺品整理の際に家族が困るのが故人のどのような想いが遺品に込められているのかが判らないということです。故人が大切にしていた物なら粗末には扱いたくはないし、場合によっては形見分けで持ち帰ることも考えるけど、それが判らない。ということが遺品整理の現場では良くおこります。

そうした問題も、故人が生前元気な内に自分で整理しておいてくれる事で、また、今回のように家族や親戚と一緒に整理を進めることで故人が何を大切にして、どのような想いを持っていたのかも知ることができます。

そうして、最後に残った物だけを故人の意思を尊重しつつ整理することができれば、家族も困らないし、なにより故人にとっても自分の想いを引き継いでもらえる、最高の遺品整理になるのではないかと私は考えています。

死後事務支援協会では、死後の手続きをどのような事でもサポートしていますが、その支援範囲は生前整理のように、死後の手続きをいかにスムーズに進めるかといった範囲までお手伝いしております。

死後の手続きは亡くなってから始めるものではありません。家族や自分の死後の手続きを行ってくれる方々が困らないように生前からしっかりした計画に基づいて準備を進めていくことが大事ですね。

死後の手続きのご相談は愛知名古屋の死後事務支援協会まで是非ご相談ください。

2018.08.06

死後事務セミナー開催します。

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。暑くて暑くて大変な夏になりましたね。高校野球も熱戦が繰りひげられているようですが、選手達の体調管理には十分気をつけて貰いたいものです。

さてさて、昨日の8月5日の日曜日ですが、名古屋大須万松寺様で終活講座が開催されました。この終活講座は毎月1回開催される物で、全3部構成で時間は10時~12時で行われています。

今回の講座内容は

1部 お坊さん終活法話 「父母恩重経」から学ぶ、十の恩
2部 最後に送るメッセージ 想いを伝える遺言状
3部 知っておきたいお墓のイロハ 後悔しない墓しまい

でした。

まず、第一部 万松寺 矢倉僧侶による法話。

終活を考える際にどのような事を考えれば良いのかを、僧侶の視点から「父母恩重経」の経典を題材に法話という形でお話しされていました。

子供を想う親の気持ちが綴られた10の恩

  • 懐胎守護の恩
  • 臨生受苦の恩
  • 生子忘憂の恩
  • 乳哺養育の恩
  • 廻乾就湿の恩
  • 洗濯不浄の恩
  • 嚥苦吐甘の恩
  • 為造悪業の恩
  • 遠行憶念の恩
  • 究竟隣愍の恩

母親の懐胎の頃から子供が巣立った後まで親はいつまでも子のことを想い、子供の為ならどのような苦難も乗り越え、そして子供の笑顔が見られれば全ての苦労が報われるという親の心のありようを説いた10のお話し。

仕事柄、僧侶の方の説法も良く拝聴させて頂きますが、矢倉僧侶のお話しはご自身の息子さんの実話も混ぜてお話しされていましたので、非常に情感のこもった語り口で身に染みる思いでした。

「廻乾就湿の恩」や「嚥苦吐甘の恩」など、子供がおねしょをした時は子供にはそれまで親が寝ていた暖かい布団へ寝かせ、親は代わりに湿った布団で寝る。美味しい物は子供に譲り、親は粗末な食べ物でも子供の笑顔が見られればなんの苦労もないなど、母親の子に対する思いが綴られた部分では女性の参加者の方がしきりにうなずていたのが印象的でした。

こうした親が子に持つ思いはどの世代でも一緒であり、今自分の終活を考える上でまずは自分の両親の事を考え、これまで親から受けたきた恩をどのように子供達へと引き継いでいくのかを考えてみるのもいいのではないかというお話しでした。

義務教育ではどうしても宗教的中立が求められるので難しいところはあるかもしれませんが、こうした話しを若い頃に絵本や童話などでもいいですので聞かせてあげることで、昨今問題となった、子供の餓死や虐待事件などを減らせるのではないかと思わずにはいられない、そんな心にくる法話でした。

第二部は 司法書士の 水野先生による「想いを伝える遺言状」について

水野先生による遺言状講座では、

  • 遺言状があったほうが良いことを何となく理解してもらう。
  • 遺言書があっても書き方が良くないと意味がなかったり、トラブルのもとになりかねないことを知ってもらう。
  • 想いを伝えることの大切さを知ってもらう。
  • 相続法の改正点について、ポイントを把握してもらう。

の四点を軸にお話しされていました。

士業の遺言状セミナーなどでは、どうしても遺言状の種類や書き方が中心になってしまい、どこで聞いても似たよりよったりとなりがちですが、実務経験豊富な先生ですので、実際の体験談を多く交えてお話しされており、「遺言書がないとそんな大変なんだ」というイメージが参加者の方には伝わったのではないでしょうか。

また、近いうちに改正される相続法の改正におけるポイントについても、一般の方は今はまだなかなか聞ける話しではなかったと思いますので、非常に参考になったかと想われます。

第三部は 万松寺の職員の方による「後悔しない墓しまい」について

最近依頼件数が増加しているお墓の墓しまい(改葬)についてのお話しを万松寺の職員の方が丁寧に解説されていました。お墓の改葬に必要な手続きの流れから、どのような書類が必要なのか。また、墓しまい時のトラブルとして良く聞く「離壇料」の実態や実際の相場がいくらくらいなのかといった、お寺さんだからこそ聞けるという話題が多く面白かったです。

今回は参加者のほとんどがリピーターの方ばかりでしたので、省略されたようですが、普段はこの後に納骨堂の見学会なども実施されるとのことで、非常に有意義な終活講座でした。

そして、最後に宣伝となりますが、次回の大須万松寺終活講座では死後事務支援協会としてお話しさせて頂くこととなりました。詳細は下記チラシをご確認ください。

万松寺終活講座チラシ(9/2分)

開催期日は 平成30年9月2日(日)
開催時間は 午前10時~12時30分頃まで
開催場所は 大須万松寺白龍館
受講料   無料

となっていますので、お時間のある方は是非ご参加ください。また、おひとり様の死後事務に関する手続きの説明となっていますので、周りにご自分の葬儀などで悩んでいる方がいらっしゃいましたならお誘い上、ご参加していただければ、何かしらの解決策を見つけて頂けるかと想います。

もちろん、僧侶の法話や散骨になどについて聞いてみたい、納骨堂がどんな物が見てみたいという方も大歓迎ですので、皆様のご参加お待ちしておりま~す。

2018.08.03

医療機関で生じる保証人問題と取り組みについて

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。酷暑というのも生ぬるい感じの熱波で肌がジリジリと焼けていきますね。名古屋では観測史上初の40℃超えを記録し、まだまだ暑い日が続きそうですので、熱中症などにはお気をつけください。

さてさて、先日愛知県の司法書士会館で開催された身元保証に関する勉強会に参会してまいりました。主催はAMSWA 保証人問題委員会によるものです。

この勉強会の案内は私が所属しています、行政書士会による成年後見サポートを行う「コスモス成年後見サポートセンター」を通して届きましたので、高齢者の身元保証問題は病院や介護職関係以外にも様々なところで問題になっていることがうかがえますね。

勉強会の始めは医療ソーシャルワーカーの方からの発表というかたちで、医療機関で生じている保証人問題の現状と、愛知県医療ソーシャルワーカー協会の保証人問題に対する取り組みについての話しを発表者の方の実体験をもとに話されていました。

当協会としては、死後事務委任契約をどのように保証人問題の解決に結びつけ、また、医療関係者の方に使いやすいサービスとするにはどのような方法があるかを知りたく参加してきたのですが、まずびっくりしたのが、NPO等が行っている身元保証が全く信用されていないという事実でした。

信用できる身元保証会社かどうかがわかない、大きなお金を事前を預けても大丈夫?といった身元保証会社に関する心配や不安といった声は良く聞くところですが、身元保証会社を良く利用しているだろうと考えていた医療ソーシャルワーカーの方がそもそも身元保証会社をそれほどあてにはしていないという実態を知り少し意外でした。

もちろん、必要に応じて患者や利用者の方には身元保証会社の利用を勧めることはあるそうですが、それはあくまで最終手段であり、できる限りそれ以外の手段で解決をする姿勢で今は活動されているそうです。

なんでも、以前に患者さんに利用を勧めた身元保証会社が非常に雑な会社だったらしく、利用を勧めた患者さんが転院後に様子を見にいった際に「なんていい加減なところを紹介してくれたんだ!」と酷くお叱りを受けたそうです。

しかも、その身元保証会社の対応で患者さんだけではなく転院先の病院にも迷惑を掛けていたようで、それ以来、身元保証会社の利用は極力しないようにしているとのことでした。

そもそも身元保証問題が出てくる背景には医療機関や介護施設への入院や入所といった際に身元保証人を求めてくることが原因です。しかし、医師法19条1項や厚労省から出されている通知などでは身元保証人がいないことは入院や入所を断る正当な理由にはならないとしています。

ただ、長年慣習として身元保証人を求めていたことから、患者や利用者の方に万が一の事があった際は治療費の支払いや遺品などの整理をする身元保証人がいるのはあたりまえという意識が医療関係者の中では根強く残っているとのことで、発表者の所属する病院ではこれらの意識改革をはじめとして身元保証問題に取り組んでいるとのことでした。

医療ソーシャルワーカーの方の発表の後は弁護士の先生による法律面からみた身元保証問題についてです。身元保証を法律的にとらえた場合の位置づけやどうして身元保証問題が起きるのか、また、身元保証人は医療同意が行えるのかどうかなどは非常に分かりやすい内容でした。

一般的に弁護士の先生の話しはよく本筋から外れて法律論に流れていくきらいがありますが、今回発表された先生は非常に聞きやすく、内容もわかりやすかったです。

特に、成年後見人としての医療同意問題については非常に考えさせられるところでした。医療同意については、私の所属するコスモス成年後見サポートセンターの研修でも「成年後見人は医療同意はできない」とまず最初に習うところです。

ただ、「成年後見人は医療同意はできない」だけで終わっていいのか?というのが今回の弁護士の先生の話しの根幹であり、確かに成年後見人は医療同意はできない、だからといって、医療同意を求めてきたお医者さんに対して「成年後見人には医療同意見はありません」という主張だけをして、あとは全て医者まかせにするのはいかがなものか?という問いかけです。

成年後見人には医療同意権はないけれども、これまで被後見人と接してきた期間からの本人の希望や家族の様子といったことについてはお医者さんより情報を持っているはずです。

だったら、そうした成年後見人として協力できる範囲での情報を提供することなどで、被後見人の方がより良い医療を受けられる環境つくりに参加するのが成年後見人としての役割ではないかということです。

そうですよね、「成年後見人には医療同意見はありませんので、後は先生にお任せします」という一種の思考停止の状態に陥っていたのではないかと考えさせられました。

これともうひとつ。同じく医療同意について、医療同意権者の問題についてもおおいに参考となりました。一般的に医療同意権は本人にしかなく、本人の意思を確認できない場合は家族が同意をするという認識です。

もともと医療同意権は本人にしかない一身専属権ではありますが、事故や病気などで本人の意思が確認できないときは一緒に生活されている家族なら本人の意思を推測できるだろうということから家族までは医療同意権があるとして実際の現場では扱われています。

家族まで医療同意見が及ぶのは、「家族」だからではなく、「家族なら」本人の具体的な意思を推測できるだろうと考えられるからです。ですので、何十年も離れて暮らしていて音信不通だった息子や娘を見つけだして医療同意してくれ!といったところで、その息子や娘は長年本人とは接していないのですから、そんな人物が本人の具体的な意思を推測できるわけもなく、家族であっても医療同意はできない家族となるということです。

そうなると、上のように家族であっても医療同意できないケースがあるのですから、身元保証会社に医療同意権があるはずもなく、たまに見かける「医療同意も行います」としている身元保証会社は何を根拠に医療同意できると宣伝しているのか疑問がつきません。

死後事務支援協会では医療同意権がないことを前提にご本人の医療同意に関する事前指示書や尊厳死宣言書などで対応していますが、これに関しても死後事務委任契約の締結時に公正証書で尊厳死宣言書を作っただけで本当にいいのか?という問題点が浮かび上がってきました。

死後事務委任の依頼を受けた場合は一般的には実際にその死後事務を実施に行うまでには相当な期間が空くことになります。元気な内に準備している訳ですから、死後事務委任の申込をしてからも長生きされる方は珍しくありません。

そうした、契約時と実際の死後事務の執行までに長い期間が空く場合に、契約時に一緒に作成して尊厳死宣言書に示された本人の意思は実際に死期が迫った時点での本人の意思を本当に表しているのか?ということです。

元気な内に示した医療に対する意思と死期が迫り入院している段階での本人の意思は本当に同一なのか、尊厳死宣言書を作成してあったとしても、依頼者の方のステージに合わせて意思の再確認をしたりする必要があるのではないか?と考えさせられる部分が多い発表でした。

こうした、現場の生の声を聞ける機会というのは非常に貴重でこれからも参加していきたいと思う勉強会でした。

2018.07.12

障害年金受給手続き

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。名古屋でも猛暑日が今後続く予想とのことで皆様体調管理にはお気をつけください。さて、先日、死後事務委任契約のご依頼を頂いているお客様より体調が悪化したとのご連絡を頂きました。

もともと、心臓を悪くされていた方で、死後事務委任のご依頼も心臓の件があったのでご依頼を頂いていた経緯がございます。お医者様からは大きな発作があれば次はないといわれている状況で死後事務委任契約を締結した時点で既にお医者様からの余命宣告されていた日は過ぎていましたが、死後事務委任契約を結んだあとは心配後事がなくなった為か比較的安定した生活を送られていました。

ただ、先日、病院で検査した結果、心臓とは別の疾患も表れているとのことで、お医者様からは入院を勧められている状況でした。これに併せて以前から相談を受けていました「障害年金」の手続きについて社会保険労務士の先生と打ち合わせを行い手続きを進めるべくご依頼者との面談を行うことになり、本日社会保険労務士の先生にご同行頂き、手続きの説明をしてきます。

障害年金は仕事や事故などで四肢を欠損した場合などにもらえるイメージがあるかと思われますが、そのような誰の目からみても判る障害ではなくても傷病により日常生活に支障をきたしている状況なら受給の可能性はあります。また、以前から障害を抱えていたのに障害年金の支給をしていなかったという場合でも過去5年分まで遡って請求できるケースもありますので、これまで納めてきた年金が無駄にならないように受給できる物は正しく申請して受給するようにしていきましょう。

今回のご依頼者の方は心臓と別の疾患から障害年金の受給要件には該当していると思われ、また過去に受診してた際のカルテが残っているとのことでしたので、遡及しての請求の可能性もあります、この点は専門家である社会保険労務士の先生にお任せすることになりますが、死後事務支援協会としてもご依頼者の不安を少しでも解消できるように努めてまいります。

死後事務に関する不安やご相談があればいつでもご連絡くださいね。

お問い合わせ

死後事務支援協会
名古屋市熱田区六番二丁目9-23-604

TEL 052-653-3117
FAX 052-653-3216

お知らせ

2024.04.11

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年5月5日

5月度無料相談会のお知らせ

2024.03.18

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年4月7日

4月度 無料相談会のお知らせ

2024.03.18

当協会にて提供しておりました、「短期身元保証」サービスにつきましてサービスの提供を終了いたしましたのでお知らせいたします。たくさんのご利用ありがとうございました。

2024.02.14

当協会代表で遺品整理・死後事務を専門に扱う行政書士谷茂が「遺品整理・特殊清掃開業・運営ガイドブック」を日本法令様より出版することとなりました。一般消費者の方にはなじみの無い遺品整理業者の開業に向けての書籍となりますが、遺品整理業においてどんな問題があり、死後事務の際の遺品整理はどのような考えに基づいて行われているのかご興味のある方はご購読頂ければと思います。 これから死後事務を受任しようと考えている士業や専門職の方にもお勧めです。

書籍のご案内

2024.02.08

昨年、12月に「東海ドまんなか!」にて放送された「お墓は“それぞれ”へ あなたの選択は?」が好評のようで、YouTube等で全国で視聴できるようになったとの報告をNHKより頂きましたので、視聴用のアドレスを掲載しておきます。

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