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2020.05.10
遺品整理はゴミ処分でなく重要な財産調査の一環です
おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。大きな遺品整理の現場が二件程片付き、少し余裕がでてきたのでブログもちょこちょこ更新していきます。今回は遺品整理と財産調査について最近思うことを書いてみます。
死後事務の一環として行う遺品整理は非常に重要な財産調査の一面をもっています。一般的に遺品整理というと故人が住んでいた室内の残置物をまとめて処分というイメージがあるかと思います。
実際そうなのですが、遺品整理の難しいところはその室内で生活していたご本人は既に亡くなっており、家族や第三者が室内の整理を代わって行うということです。
当たり前じゃないの?と思うかもしれません。そうですね、亡くなった方が自分の部屋を整理をすることなんてできませんから、当たり前のことです。
でも、その当たり前の事についていったいどれだけの人が事前に準備しているのでしょうか?もし、自分がいま突然交通事故で死んでしまったら、果たしてあなたのご家族は何も迷わずにあなたの部屋を整理していけるのでしょうか?ということです。
これが、同居しているご家族ならある程度は大事な物や貴重品、故人の思い入れのある品々などは予測できるでしょう。
また、交通事故などでの予期せぬ突発的な出来事でなく、病気や加齢などでの老衰ならいろいろ伝える準備もできることでしょう。
でも、突発的な事故やそれこそ今問題となっているコロナウイルスなどで容態が急変なんてことになってしまったらそんな準備はできませんよね。
また、そうした突発的な事故や病気でなくても、今後ますます増加する単身者や独居の高齢者などひとり暮らしをしている方の生活というのは非常に外部には分かり辛いものです。
ですので、例え親族であってもいざ遺品整理を進めていこうとしても、何が大事で何が貴重品で、どういった手続きにどういう書類を見つけなければいけないのかが皆目見当がつかないという事態になったりします。
そうした故人の死後事務や財産整理と非常に密着しているのが「遺品整理」なわけです。遺品整理という言葉が世間に浸透するにつれて、遺品整理自体が一般的な物となり、それを取り扱う業者が増加しました。
しかし遺品整理が身近な出来事になる反面、遺品整理が本来有していた財産調査という重要性が非常に軽く考えられてしまうようになったのではないかと思えます。それこそ単なるごみ処分として扱われているケースが増えていることに危機感を感じています。
先日行った遺品整理の現場のことですが、室内はある程度整理されている戸建ての物件でした。依頼者の方でも自分たちでできる範囲の整理をされており非常に作業のしやすい現場でもありました。
そんなご自宅の整理の最後のまとめを当事務所にご依頼頂いて作業に取り掛かった時のことです。あるごみ袋の中から一通の封筒がでてきました。
遺品整理をゴミ処分として考えている業者のケースですと、そのまま可燃ごみ、良くて紙資源として、ッポイ!とされてしまうことでしょうが、士業が関わている遺品整理では事細かに封筒の中に入っている書類の内容を確認していきます。
封筒それ自体はどこにでも売っている茶封筒です。特に「〇〇銀行」や「〇〇証券会社」などの記載もありません。
そういった意味でもぱっと見は重要性ゼロの封筒ですが、中を確認してみると「〇〇銀行遺言信託」のパンフレットが入っていました。
これだけでは、単に遺言の作成でも考えてパンフレットを取り寄せたのかな?程度で終わってしまうのですが、遺品整理を財産調査や死後事務の一環として考えている場合はより、この一瞬に注目して細かく確認作業を行います。
パンフレットの中身を確認して契約書書類が挟まっていたりしないか、何か遺言を実際に作成した証拠になる物が残っていないかなどを確認するわけですね。
遺言信託のケースなら銀行が関わていますから、担当者の名刺が入っていたり、または実際に公正証書遺言を作成したのなら、公証人の名刺や公正証書作成後に渡される領収書などがないかなどを確認します。
遺言書は作成したからといって必ずしも本人が保管しているとは限りません。むしろ、ご本人は亡くなってしまうのですから、遺言執行者だったり、相続財産を受け取る相続人に預けているケースもあったりしますので、遺言書本体がなくても、遺言書を作っている可能性を示す手がかりを探すのが遺品整理では非常に大事な仕事となります。
今回のケースも遺言信託のパンフの他にメモで「〇〇銀行遺言信託、〇〇さんを通して~」とメモが残っており、かなりの高い確率で遺言書を作成されている可能性がありました。
遺言に限らず、故人がどのような財産を持って、どういう生活をしていたかが分からないようなケースではこうしたちょっとした手がかりから大きな財産の発見に繋がるケースも多くあります。
最近は様々な契約がインターネット上で完結してしまうことも多く、契約書類が紙媒体で残っていないことも普通ですよね。
「契約書」という形で紙媒体で残っていれば発見もしやすいのですが、契約書ではなく、パンフレットだったり、領収書だったり、見積書、担当者の名刺、報告書などと間接的な資料から「何かある!?」と気づかないといけないケースが増えています。
こうした意味からも遺品整理の現場というのは、財産調査、死後事務手続きに必要な書類な回収という面で密接に関わってきていますので、ご家族だけでも重要な書類を見落としてしまうかも?とご心配な場合ご相談くださいね。
遺品整理、死後事務のご相談はいつでもメールやお電話で受け付けしておりますので、お気軽ご相談ください。