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2021.07.10

自筆証書遺言の検認と銀行での手続き

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

今日の名古屋は久々の快晴です。来週は梅雨明けも期待できるとのことで、待ち遠しい限りです。しかし、梅雨が明けたら明けたで今度は熱中症の危険も一気に高まってきますので、おひとり暮らしの方は特に注意してくださいね。

さて、先日来より死後事務を進めてきました緊急依頼で受任した案件についてです。依頼者の方は受任してから1月程で亡くなった為、事前の準備は完璧とまではいかなかった案件です。

しかし、そうしたケースは死後事務委任を行っていく中では珍しくはないもので、出来うる限りの対応を求められるのもまた事実です。

この案件は依頼者の方から連絡をもらった段階では既に依頼者にて大半の整理を進めていたこともあり、死後事務についてはそれほど煩雑な手続きはなく、通常のご依頼と同じ流れで進めることができました。

ですので、葬儀や遺品整理、行政手続きといった内容は数週間で全て終わっていました。(携帯料金や介護費用の還付金等はもう少し時間が掛かりますが、、、)

そうなってくると、後は費用の清算ということになります。清算にあてる費用は基本的に故人の遺産からとなります。死後事務委任契約では「預託金」として予め清算等に必要な金銭を預かるという方法を採られている事務所もありますが、当社団では原則預託金は預かりませんので、清算に必要な金銭は遺言執行者として故人の預貯金の払戻し手続きをした上で支払うこととなります。

しかし、金融機関での預貯金の払戻し手続きは通帳と印鑑を持っていけば応じてもらえるような簡単なものではなく、銀行所定の用紙に必要事項を記入し、故人と相続人の戸籍を集め、かつ手続きする人間が解約する権限を持っているのかどうかの審査を経て初めて解約に応じてもらえるものとなり、実際に解約金の払戻しを受けるまでにはけっこうな時間が必要となります。

特に今回のご依頼のような「自筆証書遺言」のケースでは、公正証書遺言や自筆証書遺言の保管制度を使用しているケースとは異なり、「家庭裁判所の検認手続き」という段階を踏まないと、銀行での受付はしてもらえません。

家庭裁判所での検認手続きとは、遺言書を発見した人や保管していた人などが、自筆証書遺言を家庭裁判所へと持っていき、家庭裁判所にて遺言書がどのような形で保管されて、どういった経緯で発見され、そして発見された遺言書はどういった物だったかを記録しておき、後々の遺言書の改ざんなどに備えておく手続きとなります。

この検認手続きを終えると、遺言書に「検認済み」の用紙を合綴されて返却されますので、これでようやく銀行などで手続きが可能となるわけですね。

ただ、この検認手続きを家庭裁判所に申請するのにも故人や相続人の戸籍を集めないといけませんし、特に死後事務委任契約を依頼される方の場合は、直系の相続人がおらず、相続人が兄妹姉妹となるケースも多く、戸籍を集めるのも一番時間が掛かる場合がほとんどです。

今回のご依頼でもそうした戸籍を集めて、家庭裁判所の検認も無事終わり、後は金融機関で預貯金の払戻しを行うという段階になったのですが、ここでひとつ不安があります。

今回の緊急依頼では、依頼者の方の体力的な面から公正証書作成が間に合わないかもしれないと危惧して自筆証書遺言を作成して頂きました。

結果的にはこれが功を奏した形ではあったのですが、心配なのは自筆証書遺言に訂正が入っていることです。自筆証書遺言は文字通り、全文を自筆で書いて頂くことが基本となりますが、その分手軽に作成することが可能となります。

ただ、専門の公証人等が作成する公正証書遺言とは異なり、書き方を間違えたり、自筆証書遺言の要件を欠いていたりすると遺言自体が無効となってしまう危険もあるため、自筆証書遺言の作成にはそうした危険もあることを認識した上で作成する必要があります。

この自筆証書遺言を作成する上での危険のひとつが、書き間違えた際の訂正の方法です。自筆証書遺言を作成するケースでは、当然遺言の内容を書き間違えるということもあります。

書き間違えたなら書き直せばいいのですが、基本的に遺言書は鉛筆などの訂正の容易な筆記用具ではなぐ、訂正の難しいボールペンなどで作成されますので、消しゴムで消して書き直しということができません。

ですので、書き間違えがあった場合に一番良いのが、遺言書を最初から作り直すということです。つまり、書き間違えたなら、訂正するのではなく、最初から新しい用紙に書き直すということです。

なぜそのような手間をかけるのかというと、自筆証書遺言のケースではその訂正の仕方も全て法律で規定されており、訂正の方法を間違えてしまうと、その訂正は無かった物(書き間違えた内容が正規の内容になる)として扱われてしまうからです。

訂正箇所が軽微な間違いならいいのですが、遺贈する金額だったり、遺贈する相手の名前だったりを間違てしまうと大きなトラブルのもととなってしまう訳ですね。

そして今回のご依頼の際に作成して頂いた自筆証書遺言には訂正が入っています。ここまで散々言ってきたのに書き直ししなかったの?と思われるかもしれませんが、重篤な病の方の場合は一度書いた遺言書の内容を再度書き直し頂く体力が無いケースもあるのです。

認知機能には全く問題がなくても、体力的な面で自筆証書遺言を何度も書き直すことはできない、そういったケースがあります。

本来こうしたケースでは公証人の先生に病院へ出張してもらい公正証書遺言を作成してもらうのですが、コロナ禍で公証人が病院に入る許可がでなかったため、公正証書遺言を作成することができず、自筆証書遺言を作成するしかなかった訳です。

なんとか書いてもらった自筆証書遺言。できるだけ負担が無いように、事前の希望の聴き取りを行いなるべく簡潔で文章量を少なくした遺言書の原案を作成してはあったのですが、依頼者にとっては初めて作成する遺言書でもありましたので、一部書き間違えがありました。

しかし、書き直しをする程の体力的な余裕もないため、書き間違えた場所を訂正する方法で対応したのですが、震える手で訂正を行うため、文言を記載する場所が微妙にズレてしまっていたりします。

厳密に見たら訂正方法が間違っているとも取れますが、本人の意思はしっかりとわかるという内容でもあり、また、これ以上、訂正に訂正を重ねてしまうと余計に遺言書の内容が分からなくなってしまうため、訂正はそれ以上行わないことにしました。

実際問題として、訂正箇所は遺言執行者に関する部分でしたので、訂正が無効となっても家庭裁判所で遺言執行者の選任申請を改めてすれば良い部分でもあったという理由もあります。

そうはいっても、金融機関で「訂正無効!」とされてしまうと、再度遺言執行者の選任手続きなどで時間が掛かってしまうことになりますので、なるべく訂正した箇所を問題視されないように資料を整えて金融機関に持ち込みをいたしました。

結果、手続きを申請した金融機関は特に問い合わせをされる事もなく、全ての金融機関で問題なく解約に応じてくれてましたのでほっと一安心です。

ここで大事なのは家庭裁判所での検認手続きが無事終わったとしても、検認自体に遺言書の有効、無効を判定する機能は無いということです。

簡単に言えば、家庭裁判所で検認手続きが終わったからといって「この自筆証書遺言は有効な遺言書!」と認められる訳ではないということですね。

最終的にこの遺言書を有効な遺言書として扱うかどうかは金融機関毎の判断に任せられるわけで、場合によっては、この金融機関では解約に応じてくれたけど、あっちの金融機関では応じてくれなかったという事態にもなったわけです。

こうした心配をしない為にも公正証書遺言での作成をお勧めするところではありますが、緊急依頼ではそうもいってはいられません。

死後事務支援協会では、病気や手術で急いで死後事務の準備を整えておかなければいけないといった「緊急依頼」にも応じておりますので、万が一の時はご相談くださいね。専門士業が駆けつけて対応いたします。

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