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2024.03.28

希望通りに死後事務をしてくれたかは誰がチェックしてくれるのか?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。ようやく桜の開花時期となりましたね、今年は例年よりも遅い感じですが、入学式にはちょうど満開になっている頃合いのようで、ある意味タイミングが良かったのかもしれませんね。

さてさて、本日の話題は「死後事務がちゃんと行われたどうかは誰が確認してくれるのか?」という内容となります。

先日、ある電話相談者の方より、ひとり暮らしの為、身元保証会社をいくつか検討しているけれど、各社それぞれの契約形態や料金形態があって迷っている。

遺言や死後事務委任契約を結んだとして、それが適切に行われたかどうかは自分が死んだ後のことなので確認しようもないけれど、誰かがチェックしてくれるのでしょうか?という相談がありました。同じような相談はけっこう頂いており、皆様心配されている部分ですよね。

今回は、この死後事務委任契約が委任者の希望通りに履行されたかどうかはどのように確認するのかについて考えてみたいと思います。

依頼相手が信用できないなら契約はしてはダメ

まず、大前提としてですが、遺言書や死後事務委任契約を結ぶ際は、その内容を実現してくれる人である「遺言執行者」や「死後事務受任者」という方を事前に決めておき遺言書や死後事務委任契約書に予め記載しておくこととなります。(遺言書は必須ではありませんが、死後事務委任契約書を作成する状況の方ならほぼ必須となります。)

誰かに何かを頼む場合に「この人に頼んで大丈夫かな?」「私の希望通りに進めてくれるのかな?」「なんか頼りないな」と思うような方に安心して仕事を任せられるでしょうか?

ましてや、自分で契約の履行状況を確認できない死後のことになる、遺言書や死後事務委任契約といった手続きを、そんな信用がおけない方に頼むことがあるでしょうか?

遺言執行者や死後事務受任者というのは、自分の死後の手続きを安心して任せられると思った人(または法人)だから
こそ、遺言執行者や死後事務受任者に任命すのであって、そもそも不安を覚えるような相手には依頼してはいけないのは大前提となります。

信用はしているけれどそれでも不安という場合

とは言え、死後事務委任契約を考えている方の場合、多くがおひとり暮らしで親しい親族が周りにはいないという方も多いかと思われます。

そうした場合に、頼りとするのが身元保証団体や死後事務を専門で行う士業等となる訳ですが、当然1回や2回の面談で強固な信頼関係が築ける訳もなく、入院や入所に迫られてなかば周りから押されるような形で契約をしてしまうこともあるかもしれません。

身元保証団体での説明や担当者の応対にも不満はなく、大きな心配はしてはいなけれども、今後何十年も続く契約において当然担当者は変わるでしょうし、場合によっては身元保証団体の方針が大きく変わることもある、そうした事は承知はしてはいるけれども契約の段階ではそんな事はわかるはずもないから何ともしようがないではないかという方もいると思われます。

契約の段階では何十年も先の事はわからないのだから仕方がない、遺言者や死後事務委任契約の内容が正しく行ってもらえると信じて契約をするしかないと思われている方もいると思います。

しかし、それでも遺言や死後事務の内容が正しく履行されているか、遺言執行者や死後事務受任者となる身元保証団体以外の第三者に確認をしてもらいたいと思う場合は事前に対策しておくことができない訳ではありません。

遺言書や死後事務委任契約書にひと手間加える

死後事務委任契約は、委任契約ですので業務が完了した時点で報告の義務があります。死後事務委任契約の委任者は契約の性質上既に死亡していますので、報告の対象者は委任者の権利義務を引き継いだ相続人となります。

ただ、委任者がおひとり様のように相続人が全くいないというケースでは報告先があいまいとなってしまい、報告がされないまま業務が終わってしまうことがあります。

そうした状況ですと、自身が希望した通りに依頼内容が遂行されたかどうかが不安になってしまうでしょうから、相続人の有無に関わらず、業務の報告先を決めておくというのも不安を解消するひとつの方法となり得ます。

死後事務委任契約書は、委任者と受任者との間で契約内容を自由に決められる契約でもありますので、「業務完了後の報告は〇〇に対してするものとする。」のように、報告先を契約内容に盛り込むことで、受任者にとっては契約書で指定された先へと報告する事が委任事務を遂行するうえでの「義務」となります。

この報告先を誰にするのかという問題はありますが、例えば知り合いの士業を報告先にしておいて、適正に死後事務が遂行されたかたをチェックしてもらってもいいですし、士業はちょっと頼み辛いならご友人でもいいでしょう。

しかし、ご友人も同じような年齢ならどちらが先に逝っているかわからないという問題もありますので、そうした場合は遺言書で財産を渡す先を指定しておくのもひとつの方法です。

もちろん、いきなり死後事務受任者から業務報告が来たら財産を受け取る側もびっくりしてしまうでしょうから、大きな団体等へ寄付するのでしたら遺言書を作成する前にそうした報告の指定先にしてもよいのかどうかを確認したうえでの対応とはなります。

財産をご友人やその親族等の比較的親しい関係に渡すような場合なら、事情を説明して死後事務がちゃんと行われてたかどうかの最終確認をだけをお願いしてもよいでしょう。

要は、遺言執行者や死後事務受任者が好き勝手にしないように対策をしておくことが大事になる訳で、遺言書や死後事務委任契約書に報告先の指定などで「義務」を発生させることで、受任者へ適正に業務を遂行させるよう働きかける効果が期待できるようになります。

※ 報告先から業務内容の報告を求められる可能性がある以上、死後事務委任契約書に記載されている内容に反した手続きをしにくくなりますし、依頼内容を遂行するうえで保管しておくべき契約書や領収証を適切に保管するようになります。

ただ、身元保証団体等では定型の契約書が用意されているケースもあるでしょうから、そうした追加条項を特約等で盛り込めるかは契約前に確認しておくと良いでしょう。

頑なにそうした条項の追加を拒むようなら、なにがしら業務の手を抜いていたり、良からぬ事を考えているかもしれないと思い契約自体を考え直した方が良いかもしれませんね。

今回はあくまでこうした方法も選択肢として取れるというご紹介ですので、実際の手続きは死後事務を専門に扱う士業等に個別にご相談くださいね。

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