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2024.06.15
収骨されなかった遺骨はどうなるの?
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。今年の梅雨はどこに行ってしまったのでしょうかね?
例年は梅雨が明けていよいよ夏本番か!?という雰囲気になってきますが、今年は梅雨らしい梅雨もないまま、猛暑日を記録する地域も出てきています。
雨ばかりの梅雨も嫌ですが、梅雨がないと水不足の心配も出てきますので、なければないで困るものですよね。日本の四季は良くできていると感心するばかりです。
さてさて、最近よくテレビで引き取り手の無い遺体について取り上げられていますが、名古屋市でも過去に葬儀会社に預けた遺体が何年も放置されていたという事案がありました。
一般の方には「なんでそんな事になるの!」と驚かれることもあるかもしれませんが、相続手続きにおいて戸籍調査や相続人の住所調査等を行う士業にとっては、その大変さが良くわかります。
京都市内で親族が近くに住んでいたのに火葬されてしまったという事案では、役場の親族調査が現在の戸籍しかみていないという杜撰なものでしたので、正直あれは論外で、恐らく親族調査の仕方を知らない職員が担当していたのではないかと疑わざる負えない状況ではあります。
京都の事案は例外ですが、親族調査を適切に行い、自治体から親族へと遺体の引き取りを打診したとしても、故人と親族の関係性によっては遺体の引き取りを拒否されてしまうことも珍しくはありません。
では、自治体としてはどこまで親族に確認を取る必要があるのか?という部分が問題となります。
例えば、故人の子供に連絡は取れたが遺体の引き取りを拒否されたら、遺体の引き取りてはいないものとして扱っていいのか?
それとも、故人の子供に拒否された場合は、故人の兄妹や甥姪、いとこ等にも確認する必要があるのかといった具合です。
こうした部分は法律では細かく定められていないため国においての統一的なルール作りが叫ばれている訳ですね。
ルールーがない中で、あれこれと手を尽くして対応する自治体職員は本当に大変な立場に立たされていると思いますので、早期にルール作りに着手してもらいたいところです。
少し前置きが長くなってしまいましたが、こうした無縁遺体が増える背景には少子高齢社会と家族関係の希薄化があります。
当協会に死後事務のご依頼を頂く方の多くが親族がいない、または親族に頼ることができないという事情で、死後事務委任契約を結ばれます。
死後事務委任契約を結ぶにあたって必ず確認する事項のひとつに「葬儀の方法」「焼骨の供養の仕方」があります。
先にも述べたように依頼者の多くが親族との関係が無いまたは薄くなってしまっている方がほとんどで、葬儀に誰を呼ぶのか?や焼骨をどのように供養するのか?といった事は必ず確認する必要があります。
依頼者の方には葬儀会社の互助会へ加入されていたり、過去に両親の葬儀で対応の良かった葬儀業者を指定される方もいますが、依頼者の中には「葬儀には誰も呼ばなくていい」「収骨はしなくてもいい」という方も多くいます。
葬儀には誰も呼ばなくて良いという場合は、火葬には当協会のスタッフのみが参加して宗教者も呼ばずに「直葬」という形で火葬を行い、また収骨もしないということであれば焼骨は火葬場に処理を依頼することとになります。
上記のような直葬で宗教者を呼ばず、収骨もせず、収骨をしないということはお骨を納めるお墓や納骨堂なども不要となりますので、一般的にゼロ葬と呼ばれる形での葬儀を施工することになります。
こうしたゼロ葬での葬儀を行っているとよく質問されるのが、「収骨されなかった焼骨はどうなるの?」というご質問です。
まず、大前提として「収骨しない」という方法が選択できるかどうかは自治体によるということです。
名古屋を含めた西日本地域ではもともと部分収骨ですので、収骨しないという選択ができる自治体が多いですが、関東地域をはじめとした東日本ではもともと全収骨が多く、焼骨は全て遺族が持ち帰るという習慣から収骨をしないという選択ができない自治体が多くなります。
上記前提を踏まえたうえで、では、収骨されなかった焼骨はどうなるのか?というと、これまた自治体によって対応が変わります。
名古屋市の場合ですと、収骨されなかった焼骨は八事霊園の敷地内にある「霊灰庫」という残骨の保管庫に納められることとなり、霊灰庫のすぐ傍に建立されている「霊灰碑」にて手を合わせることが可能となっています。
ただ、これはあくまで名古屋市の場合であり、他の自治体の場合ですと残骨を産廃として業者に引き渡したり、斎場が民営化されているようなケースでは運営会社と提携しているお寺に残骨の供養を依頼する場合等、自治体によって収骨されなかった焼骨の取扱いは様々です。
最近は両親のお墓の墓じまいの相談から、墓じまいをした後のご自身が亡くなった後の遺骨の供養方法について相談される方も増えてきています。
ゼロ葬をはじめとした、何も残さない最後を希望される方も増えてきていますが、ゼロ葬を行った場合の遺骨がどのように供養されるのか、はたまた供養されないのか等はゼロ葬を考えるにあたってお住まいの自治体に確認してみると良いかもしれませんね。
死後事務に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。