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2024.11.06
30代、40代といった若い方との死後事務委任契約の話し
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
今年は、秋はどこにいったのか?と思うくらい残暑が続いたような気がしますが、寒いのが苦手な私としては暖冬は歓迎だったりします。(笑)
コロナやインフルエンザといった流行り病に気をつけないといけない時期になりましたね。一時期のような規制はないものの、マスクや手洗いは引き続きしていきましょう。
さてさて、本日は30代や40代といった若年層の方との死後事務委任契約の話について簡単に触れておきたいと思います。
死後事務委任契約というと、身寄りの無い高齢者の方が自身の死後の手続を第三者に行ってもらうために結ぶ契約といったイメージがあるかと思います。
しかし、相談に来られる方は必ずしも高齢者ばかりとは言えず、中には30代や40代といった現役世代の方が契約を希望されるケースがあります。
30代や40代と言えば、人生で一番脂が乗っている時期とも言え、バリバリ働き(死語)、バリバリ遊んで(死語)と一番楽しんでいる時期とも言えるかもしれません。
そうした年代の方から自分が死んだ後のことについての相談を受けるというのは、実際に契約手続をしている私自身としても現実味が無く感じるところではあります。
若い年齢の方が相談に来られる事情としては様々ですが、相談者の中には注意をしなければいけない方も混じっていたりします。
実際に過去に受けた相談の中では、若い女性からの電話相談で死後事務について教えて欲しいという相談がありました。
電話相談ですので顔は見えないのですが、明らかに声が若く電話の周りでは子供の声も聞こえているといった様子で死後事務について相談するような年齢には思えない感じです。
死後事務の電話相談の中では、死後事務委任が必要なのかや他の手段の方が依頼者の希望に沿うのでは?といったことを確認するために個人の状況を色々と聞いていくことになりますが、そうした聴き取りを丁寧に行っていると、段々と死後事務に関する相談から将来への不安や家族間の問題といった相談者が抱えている「悩み」の部分が見えてきます。
場合によっては、生活苦や家族間の不和を原因とした「自殺の衝動」へと繋がっていることもあり、死後事務の相談が、実は自分死んだ後の後始末を頼みたいという相談だったということもあります。
当然、そうした状況下で契約を進めるということはありませんので、「いのちの電話」の番号等、関係する相談先へと誘導したりすることになります。
自殺の後始末の為の死後事務委任はもちろん論外なのですが、実際には若年層との契約を結ぶといった事もあります。
例えば、大病を患ってしまい余命宣告を受けているが親族とは絶縁しているので、死後事務委任契約をお願いしたいといったケース。
例えば、大きな手術をするため万が一に備えてや、海外出張に行く予定があるけれど万が一に備えておきたいといったケースなどもあります。
若い方の場合は当然、ご両親やご兄妹も健在ということも珍しくはないのですが、やはり死後事務の相談に来られる方は複雑な家庭環境が背景にあることもあり、一般の人から見たら不思議に思われるケースもあったりします。
ただ、こうした若い方との契約では、私たち事業者側としても無責任な対応を取ることができません。
健康状況に問題ない若い方との契約となれば、平均寿命から考えて当然契約から50年60年は死後事務委任は発効しないということも考えられます。(死後事務委任契約は依頼者の死亡後に初めて効力が出る契約のため)
そうした長期契約で一番心配なのは、そもそも死後事務受任者たる私たち事業者が存続しているかどうかということです。
一般的な身元保証を中心とした死後事務委任契約の場合は、病院への入院だったり、高齢者施設への入所を控えた高齢者との契約となることが多く、死後事務が発効するまでの契約期間はおおよそ2年から5年程度が平均的なようです。
ですので、5年や長くても10年程度でしたら事業者としても将来的な予測として事業を存続できるかどうかというのはある程度予測が付くかもしれませんが、50年や60年といった期間はもちろんのこと、20年30年といった期間でさえ、社会情勢によっては何が起きるかわからず、事業の継続性を確約することはできません。
そのため、健康な若年層の方から死後事務委任の相談を受けるようなケースでは、まず最初に「あなたの死後事務委任を執行するのは普通に行けな50年以上先のことであり、その時点で当協会はなんらかの事情で事業を停止している可能性も高く、今契約をしても無駄になってしまう可能性が高いですよ」と伝えています。
ただ、そうした懸念事項をお伝えしても契約の意思が固い方の場合は、手術や海外出張に備えての掛け捨ての保険として考えているので、契約費用が無駄になっても構わないので契約をお願いしたいと強く希望される方もいます。
こちらとしても、諸々の不利益を承知の上という事でしたら、契約は行わせて頂くのですが、先にも書いた通り30代や40代の健康な方との契約の場合は、契約内容を履行している将来に現実味を感じることができないのも正直な感想ではあります。
2025年問題や2040年問題といった、超高齢社会の問題はまだまだ続いていくことになりますし、LGBTを代表に家族の多様性が叫ばれる中、それに併せて複雑な家庭環境に悩まされる若い方も増えてくるのではないかと心配しております。
若年層の方が若い内から自分の死後の事で悩む必要のない社会になってもらいたいものですね。
相続・死後事務に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。