ブログ
2025.02.19
賃貸契約の仲介業者の違反行為について
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
寒波の第二弾が襲来して非常に寒い!名古屋は雪がちらつく程度で済んでいますが、隣接する三県の四日市では結構な雪が降っており、すぐ近くなのにこうも天気が変わるものかと驚いています。
仕事柄雪が降っても良い事はないので、降ってくれるなと願う日々ですね。
さてさて、1月から4月頃までは、賃貸関連では入退去や引っ越しシーズンで繁忙期となりますよね。私も20年近く前は賃貸物件の管理会社に勤めていましたので、入退去やリフォームの手配、新規の募集や内覧等にこの時期は大忙しだった記憶があります。
先日、死後事務委任を契約されている利用者の方より、賃貸物件への申し込みの際の「緊急連絡先」になって貰えるのかという問い合わせがありました。
当協会では、死後事務委任契約を結ばれている方の「緊急連絡先」には就任していますので、問題ない旨を伝えて契約手続を進めてもらうことに。
しばらくしてから、再度連絡があり、耳を疑うような報告を受けました。
近年は、民法の改正もあり、賃貸物件契約時には個人の「連帯保証人」ではなく保証会社を利用した家賃の保証契約を賃貸物件と同時に結ぶ事が一般的になっており、身近に連帯保証人を頼めるような人がいない方の場合でも契約がしやすくなっています。
ただ、そうした保証会社を利用する場合であっても、入居者に万が一の事があった場合に管理会社や保証会社が連絡する先として「緊急連絡先」を登録しておくことになります。
「緊急連絡先」は「連帯保証人」とは異なり、入居者本人が家賃を滞納した場合や万が一室内で自殺や孤独死等が起きた場合であっても、入居者に代わって未納家賃の清算や心理的瑕疵物件(事故物件)になってしまったことに対する賠償責任等を負うことはなく、あくまで第一報を知らせる相手となります。
ただ、賃貸物件の管理会社や保証会社としては万が一の際になにがしらの対応を取ってくれる事を期待して緊急連絡として登録しているのであって、連絡をしたとして「はぁ~、そうですか。」で終わられては困る訳です。
ですので、緊急連絡としては、入居者とある程度近い関係である、親や兄弟、子供や親戚といった親族関係がある事が望まれています。
とりあえず、緊急連絡先へと連絡すれば、遺品整理や未納家賃の清算等の対応、またはそうした関係を断るなら断るで、「相続放棄」の有無等が確認できれば、管理会社や保証会社としては次の段階へと進むことができます。
しかし、緊急連絡先として親族関係のない第三者が指定されていると、万が一の事が起きた際に緊急連絡先に連絡したとしても、緊急連絡先となっている方が単なる「知人」でしかなかった場合は、その方には入居者であった故人の財産に対する処分権限が何もないため、管理会社等が連絡しても緊急連絡先となっている方には何も決め事ができないため、次の段階へと進むことができず、結局親族等を再度調査したうえで、今後の対応をどうするのかを確認しなければならず、二度手間となってしまいます。
上記のような理由から、賃貸契約時の保証契約の審査の際には緊急連絡として「世帯が別」の「親族」で「年金生活以外の現役世代の方」を緊急連絡先として記載して申し込むことで、保証会社の審査が通りやすくなると思われます。
今回のご依頼者の場合は、当協会が死後事務委任契約を結んでいますので、万が一の際は当協会にて家賃の清算や遺品整理、原状回復及び建物の明け渡し等の賃貸契約終了に関する手続は可能なのですが、恐らくそうした事情が仲介業者の担当者には上手く伝わらなかったのか、または保証会社の審査申込書にそのような詳細を記載できないためか、「緊急連絡先」を「申込者より年齢の若い親族として記載した方が審査が通りやすいですから、そう記載しましょう」と虚偽申請の提案してきたそうです。
利用者の方は当然一般の方であり、不動産の契約について詳しいわけでもなく、専門の不動産会社の方がそういうのならそうなのかな?と思われたそうです。
ただ、念の為、そのように記載しても良いのかという確認のお電話を当協会へと頂けたので「絶対にダメです」と「そのような形での緊急連絡としての登録はお引き受けできない」旨を伝えさせて頂きました。
仲介業者のこのような提案は、一見申込者の審査を通しやすくする提案のようにも見えますが、重大な違反行為であり、場合によっては犯罪行為にもなるものと考えております。
良く生命保険や医療保険の加入時に「持病はございますか?」との質問を受けることがあると思います。持病があるのに保険契約を結ぶ為に虚偽の申請をすれば、告知義務違反となり最悪保険金が支払われないことになります。
家賃の保証会社との契約においても、当然虚偽の申請をした場合にはこうした対応を取られる可能性があり、万が一入居者が死亡した場合に本来保証会社によって清算されるべき未納家賃等の債務が、虚偽の申請を理由に支払われなくなればその不利益は、賃貸物件の所有者である大家や故人の相続人が負うべきものとなってしまいます。
ただ、故人である入居者は「仲介業者がそのように書けば良いと言ったから書いたのに」と主張したいところですが、入居者自身は既に死亡してしまっているため、そのような主張はできません。
また、仮にそうした事情を知っている第三者がいたとしても、申込書には本人の筆跡で「緊急連絡先」の欄を記載しているため、仲介を担当した担当者が「いや、私はそんな事は言っていません。あくまでご本人様が書かれたものです。」としらばっくれたら、仲介業者の指示のもとでそのような記載をしたということを証明する手立てがなく、全て故人の責任として片付けられてしまう危険があります。
つまり、虚偽記載を勧めてきた仲介業者の担当者は一切の責任を負わず、契約担当者としての自身の売上として契約実績だけあげて、不利益は全て入居希望者へ押し付ける非常に悪質な行為とも言えるわけです。
このような虚偽申請を勧めてくるような担当者は今回の件に限らずいると思われますので、少しでも「そんなことして大丈夫?」と思うような事があれば、契約する前に誰かに相談するようにしましょうね。
相続・死後事務委任契約については名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。