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2025.10.04
死後事務委任契約は仲の悪い兄妹への最後の絶縁状
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。日中はまだまだ暑い日もありますが、風に秋の気配を感じるようになりましたね。
今年の秋刀魚は美味い!といった話をよく聞くのでこの間、定食屋で秋刀魚定食を頼んでみたのですが、身は細いし、脂は乘っておらずパサパサでとても今年の秋刀魚とは思えない物でした。どこか別のお店でリベンジするか自分でスーパーで購入して焼くしかないですかね。
さてさて、本日の話題は死後事務委任契約が仲の悪い兄妹への最後の絶縁状にもなりうるという話しです。
死後事務委任契約を依頼される方には、天涯孤独の身だからという理由だけではなく、仲の悪い兄妹の世話にはなりたくないといった考えから契約を希望される方がかなりいます。
仲の悪い兄妹に対しては当然いい感情は持っていないため、「自分の財産は一銭たりとも兄妹には渡したくない」「自分が死んだ後の葬儀であっても兄妹の世話にはなりたくない」といった内容で相談に来られる方はけっこういたりします。
こうした希望を実現するためには「遺言」や「死後事務委任契約」といった方法で事前に準部をしておくことで対応が可能となるのですが、では、こうした準備をしていないとどうなるのでしょうか?
例えば、兄妹間の仲が非常に悪い方で上記のような希望をもっているけれど何の準備もしていなかった方が賃貸物件である日孤独死したとします。
いつ発見されるかにもよりますが、遺体の損傷等が激しいような場合は警察のDNA鑑定等にまわりますが、その際にDNA鑑定への協力として仲の悪い兄妹へと連絡が入ることもあります。
また、発見が早くDNA鑑定を行わなくても本人確認が取れるような状況であったとしても、死後事務委任契約等を結んでいない以上は、遺体の引き取りについては仲の悪い兄妹へと連絡が入ることになります。
仲の悪い兄妹側としては、役場や警察からの連絡で何十年も音信不通だった兄妹が死んだと知っても、恐らく最初に浮かぶ気持ちが「面倒な事になったな」ということでしょう。
私自身は長年、遺品整理専門の行政書士として孤独死や自死をした故人の遺族からの相談を受けてきていますので、こうした状況での相談をよく受けることになります。
相談内容としては、「遺体の引き取りをしたくないのだが拒否することはできるのか?」「できれば今後関わりあいになりたくないので、役場の人に今後の連絡をしてこないように言ってもいいのでしょうか?」などが多くあります。
兄妹だからといって遺体を引き取る義務まではないため、引き取りたくないのでしたら遺体の引き取りを拒否して、今後の関わりあいも拒否したいということでしたら相続放棄を検討する必要があることを案内したりします。
ですので、仲の悪い兄妹に世話になりたくないと思っているような場合になんの準備をもしていないと、兄妹から遺体の引き取りを拒否されることも珍しくもなく、亡くなった本人としては「見捨てられた」感じがすることになります。
もともと、仲の悪い兄妹でもありますから、見捨てられようがどうしようが関係ないとも言えますが、もともと「お前らの世話になるつもりはなかった」と、そう考えていたということを兄妹へと伝えることができないことで、人によっては、「釈然としない」、「なにか悔しい」と思われる方もいるかと思います。
そうした場合に遺言や死後事務委任契約を作成しておくとどうなるのかというと、そもそも遺体の引き取りについて生前にご本人から死後事務受任者へと依頼されているため、病院等はあえて仲の悪い兄妹等へは連絡せずに、死後事務受任者へと遺体を引き渡すことになります。
死後事務受任者としては、事前に結んだ契約書の内容に従って粛々と火葬や葬儀を行っていくことになり、葬儀等を行うにあたり、兄妹等の承諾等は必要としません。
また、死後事務受任者は業務が完了した時点で相続人へと報告する義務があるため、生前に本人の意思で作成した死後事務委任契約の内容に従って、死後に必要となる手続を全て終えましたという報告を兄妹等の相続人へと行うことになります。
つまり、亡くなった本人が主体的に仲の悪い兄妹の手を借りずに全部の手続きを終える準備をしていたという事を兄妹へと伝えることができるため、上で書いたような「見捨てられた」という感情を持たなくてよくなり、むしろ、「おまえ達の世話にはならん」という強い意志を示すことができるようになります。
このような考えで死後事務委任契約を結ぶのはどうなのか?という否定的な意見はあるかと思いますし、私たちも決して勧めているわけではありません。
ただ、実際問題として仲の悪い兄妹との確執で自分の死んだ後のことについて悩まれている方の相談も多くあるため、死後事務委任契約の効果のひとつとしてお示ししておきます。
相続、死後事務委任契約に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。






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