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2026.01.20
負担付遺言で納骨を断られる?死後事務委任契約とお墓のトラブル対策を名古屋の専門家が解説
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。 年が明け、名古屋でも「10年に一度の最強寒波」が話題になるなど、寒い日が続いていますね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日のテーマは、死後事務において最も重要な確認事項の一つである「お墓(納骨)」についてです。「天国に電話確認はできない」からこそ知っておきたい、実例を交えたトラブル回避術をお伝えします。
死後事務委任契約で必ず確認する「お墓」の希望
死後事務委任契約を結ぶ際、私たちは依頼者の方と以下のような内容を細かく詰めていきます。
葬儀の形式や宗旨・宗派
副葬品の希望
お墓の有無と場所
永代供養の方法
こうした質問を投げかけると、「そこまでは考えていなかった」と、より具体的な準備を始めるきっかけになる方も多くいらっしゃいます。
「負担付遺言」と「死後事務委任契約」の違い
死後の手続きを依頼する方法として、「負担付遺言(ふたんつきいごん)」という手法があります。
負担付遺言とは?
「A氏に200万円を遺贈する代わりに、私の遺骨を●●寺に納骨し、永代供養の手続きをすること」といったように、財産を渡す条件として特定の義務(負担)を課す遺言のことです。
一見便利に見える「負担付遺言」ですが、死後事務委任契約とは決定的な違いがあります。
| 比較項目 | 死後事務委任契約 | 負担付遺言 |
| 性質 | 双方の合意が必要(契約) | 遺言者が一人で行える(単独行為) |
| 受諾の要否 | 事前に受任者の承諾が必要 | 受遺者の承諾なく作成可能 |
| 範囲 | 死後の手続き全般を網羅 | 単発の依頼に向いている |
【注意点】
遺言は「単独行為」であるため、依頼された側(受遺者)が「そんな話は聞いていない!」と困惑するリスクがあります。また、受遺者は財産を受け取らない選択をすれば、負担を拒否することも可能です。
【事例紹介】お寺から納骨を断られた!?想定外のトラブル
亡くなった親友から「財産を譲る代わりに納骨してほしい」と遺言を託された受遺者の方。親友の希望を叶えるべく指定のお寺へ向かいましたが、住職から「第三者からの依頼では納骨できない。家族の許可をもらってきてほしい」と断られてしまったのです。
なぜ納骨(埋蔵)を断られるのか?
お墓の管理には法的なルールがあります。勝手に納骨することはできず、管理者に届け出を行う必要があります。 多くの寺院墓地では、「お墓の承継者(管理者)」の同意が必須となります。たとえ遺言があっても、親族が管理者となっている場合、その方の許可がなければ納骨は進められません。
特に親族と疎遠な方の場合は、連絡がつかなかったり、納骨を拒否されたりするケースが珍しくありません。
納骨を断られたらどうすればいいのか?
もし、遺言で指定された場所への納骨が難しくなった場合、遺言書の記載内容にもよりますが、以下のような対応を検討することになります。
納骨を断念する(財産も受け取らない)
別のお寺や納骨堂を探す(遺言の範囲で柔軟に対応可能か確認)
時間をかけて親族と協議する
いずれの方法も、残された方には大きな負担がかかってしまいます。
天国へ電話確認はできないからこそ「生前確認」を
死後事務の中でも「葬儀」や「お墓」については、費用も手間もかかる大きな項目です。 「将来、本当にそこに納骨できるのか?」を事前に確認しておくことは、残される方への最大の配慮となります。もし、確認段階で希望通りの納骨等ができないと分かった場合は次のような判断もしていかないといけなくなります。
納骨先の変更が必要か?
生前に墓じまいをしておくべきか?
こうした判断は、生前でなければできません。 「天国へ電話連絡はできない!」を合言葉に、一つひとつ確実に準備を進めていきましょう。
相続・死後事務のご相談は「名古屋の死後事務支援協会へ」
「自分の死後、周りに迷惑をかけたくない」「お墓の準備で不安がある」という方は、ぜひ一度ご相談ください。専門家があなたの想いに寄り添い、確実な形にするお手伝いをいたします。
お問い合わせはこちら [リンク:死後事務支援協会 公式サイト]
2025.12.31
子供がいる場合の死後事務委任契約の可否について
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
今年もあっという間に大晦日となってしまいましたね。後半は契約やら大掃除やらに追われていたようでほんとうに12月はあっという間に過ぎていってしまった感じがします。
さて、本年最後のお仕事は、身寄りのある方の死後事務委任契約でした。基本的に死後事務委任契約は身寄りのない方が契約されるケースが多いのですが、近年は様々な事情から身寄りのある方であっても死後事務委任契約を考えるケースが増えてきています。
では、そもそも身寄りのある方は死後事務委任契約を結ぶことはできるのか?という疑問があります。これについては、普段のご相談でも受ける質問ではあるのですが、結論から言えば「契約は可能」です。
死後事務委任契約は、委任者(依頼者)と受任者(死後の手続きを行う人)との契約ですので、委任者と受任者双方で納得できているのでしたら、委任者側に身内がいたとしても契約は問題なくすることは可能です。
ただ、実務上では、公的団体や金融機関等が行っている死後事務委任契約においては、直系卑属(子供や孫)がいる方は契約できないとしているところもあるため、そうした団体へと先に相談されているような場合は、子供がいる場合は死後事務委任契約はできないものと思われてしまっている方もいます。
なぜ、公的団体や金融機関等が行う死後事務委任契約においては、直系卑属がいないことを契約の条件としているのかというと、一番の理由は依頼者(委任者)にお子さんがいる場合はトラブルが起きやすいことが原因にあげられます。
簡単な例で言うなら、死後事務の依頼として葬儀や納骨の依頼を受けており、委任者死亡後に契約書に従って葬儀や納骨を済ませたのに、音信不通だったお子様が後から出てきて遺骨を返せと難癖をつけてきたといったケースですね。
特に直系卑属の場合は、相続人でもあるため依頼者の財産についても権利を有していますし、死後事務委任契約の契約者としての地位も委任者死亡後には相続人として、その地位を引き継いでいることになるため、まったくの無関係とはなりえないため、対応が難しくなってしまう事情があります。
反対に同じく親族といっても疎遠な兄弟姉妹といった方しか相続人としていない場合は、遺言書や契約書をしっかり準備しておくことで、仮に難癖を付けてきたとしても遺言者や契約書を盾に依頼者の意思の実現を強行してしまうことも可能となるため、死後のトラブルの発生を防ぎやすいことになります。
ですので、変にトラブルが起きる可能性がある直系卑属のいる依頼者の場合は、一部の団体や金融機関では依頼を断っているのが現状でもあります。
ただ、最初にも言った通り直系卑属がいる場合であっても委任者と受任者で納得できる状況であれば契約は可能ではあります。
ですので、多くの民間の高齢者等終身サポート事業者と呼ばれる身元保証団体や死後事務を専門に扱う機関においては、直系卑属がいる場合であっても契約自体は可能となっているかと思います。
それでも、直系卑属がいる場合は上記で示したようなトラブルが起きる懸念はあるため、契約前にお子さん方にも契約についての意向を確認してもらう等、事前に根回しが可能な親子関係の方であればお子さんやその他の親族にも、死後事務委任契約を検討していることを伝えてもらうようにしている事業者が多いのではないかと思われます。
ただ、依頼者の中には親子関係が破綻してしまっておりそもそも「ここ何十年と連絡を取っていない」「どこに住んでいるのかわからない」「生きているのかどうかもわからない」といった依頼者もいたりしますので、こうしたケースでは、仮にお子さんのような直系卑属がいた場合であっても連絡自体を取ることができません。
反対に言うなら、お子さんがいても生死不明や音信不通であるため、死後の手続きについて不安があるから死後事務委任契約を第三者と結びたいとなるとも言えます。
このようなケースは珍しくはありませんので、それはそれで事案に対応した遺言書や死後事務委任契約書を準備することになります。事業者としても連絡先がわからないお子さんを探し出してまで事前の確認を取るようにとは言わないかと思います。
ですので、事業者としては普段から連絡を取り合っている親族がいる場合は、後日の紛争を防ぐ意味で事前に契約について親族の方へも伝えておいてもらい、親族関係が破綻してしまっているようなケースでは無理に確認を取ってもらうことまではしないといったケースが多いのではないでしょうか。
一番困るのは、中途半端に関係性が残っている場合で、普段は親の面倒なんて一切見ないくせに、財産だけは相続したいから、遺言書の作成や死後事務委任契約には口を出してくるといったケースです。
事業者としては、後日のトラブルを防ぐ意味でお子様へと確認を取るように勧めることになりますが、お子様が契約について良く思わないような場合は、依頼者も無理に契約を進めることができなくなり、契約手続きが中断してしまったという話しも良くきくところではあります。
当事務所でも、こうしたケースは取り扱いますが、一番大事なのは契約者たるご本人の意思が固まっているかどうかです。お子さんがいたとしても契約を断固として進めたいと考えているのかどうかがはっきりしているのでしたら、それに合わせた準備を事業者としては行っていくことになりますが、当然リスクの増加に応じて手続き費用も上がることになってしまいますので、一番はお子さんも含め親族の了解が取れていることではあります。
お子さんがいる状況で死後事務委任契約を結びたいという場合は、そこに至るまでに様々な経緯や事情があるかと思います。
一言に親子関係と言っても、まったく同じ人生を歩んできている家族は存在しませんので、各依頼者の事情に併せて契約を考えていく必要があるのが死後事務委任契約でもあります。
契約の際は各事業者の方とよく相談して進めてくださいね。
死後事務に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2025.10.04
死後事務委任契約は仲の悪い兄妹への最後の絶縁状
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。日中はまだまだ暑い日もありますが、風に秋の気配を感じるようになりましたね。
今年の秋刀魚は美味い!といった話をよく聞くのでこの間、定食屋で秋刀魚定食を頼んでみたのですが、身は細いし、脂は乘っておらずパサパサでとても今年の秋刀魚とは思えない物でした。どこか別のお店でリベンジするか自分でスーパーで購入して焼くしかないですかね。
さてさて、本日の話題は死後事務委任契約が仲の悪い兄妹への最後の絶縁状にもなりうるという話しです。
死後事務委任契約を依頼される方には、天涯孤独の身だからという理由だけではなく、仲の悪い兄妹の世話にはなりたくないといった考えから契約を希望される方がかなりいます。
仲の悪い兄妹に対しては当然いい感情は持っていないため、「自分の財産は一銭たりとも兄妹には渡したくない」「自分が死んだ後の葬儀であっても兄妹の世話にはなりたくない」といった内容で相談に来られる方はけっこういたりします。
こうした希望を実現するためには「遺言」や「死後事務委任契約」といった方法で事前に準部をしておくことで対応が可能となるのですが、では、こうした準備をしていないとどうなるのでしょうか?
例えば、兄妹間の仲が非常に悪い方で上記のような希望をもっているけれど何の準備もしていなかった方が賃貸物件である日孤独死したとします。
いつ発見されるかにもよりますが、遺体の損傷等が激しいような場合は警察のDNA鑑定等にまわりますが、その際にDNA鑑定への協力として仲の悪い兄妹へと連絡が入ることもあります。
また、発見が早くDNA鑑定を行わなくても本人確認が取れるような状況であったとしても、死後事務委任契約等を結んでいない以上は、遺体の引き取りについては仲の悪い兄妹へと連絡が入ることになります。
仲の悪い兄妹側としては、役場や警察からの連絡で何十年も音信不通だった兄妹が死んだと知っても、恐らく最初に浮かぶ気持ちが「面倒な事になったな」ということでしょう。
私自身は長年、遺品整理専門の行政書士として孤独死や自死をした故人の遺族からの相談を受けてきていますので、こうした状況での相談をよく受けることになります。
相談内容としては、「遺体の引き取りをしたくないのだが拒否することはできるのか?」「できれば今後関わりあいになりたくないので、役場の人に今後の連絡をしてこないように言ってもいいのでしょうか?」などが多くあります。
兄妹だからといって遺体を引き取る義務まではないため、引き取りたくないのでしたら遺体の引き取りを拒否して、今後の関わりあいも拒否したいということでしたら相続放棄を検討する必要があることを案内したりします。
ですので、仲の悪い兄妹に世話になりたくないと思っているような場合になんの準備をもしていないと、兄妹から遺体の引き取りを拒否されることも珍しくもなく、亡くなった本人としては「見捨てられた」感じがすることになります。
もともと、仲の悪い兄妹でもありますから、見捨てられようがどうしようが関係ないとも言えますが、もともと「お前らの世話になるつもりはなかった」と、そう考えていたということを兄妹へと伝えることができないことで、人によっては、「釈然としない」、「なにか悔しい」と思われる方もいるかと思います。
そうした場合に遺言や死後事務委任契約を作成しておくとどうなるのかというと、そもそも遺体の引き取りについて生前にご本人から死後事務受任者へと依頼されているため、病院等はあえて仲の悪い兄妹等へは連絡せずに、死後事務受任者へと遺体を引き渡すことになります。
死後事務受任者としては、事前に結んだ契約書の内容に従って粛々と火葬や葬儀を行っていくことになり、葬儀等を行うにあたり、兄妹等の承諾等は必要としません。
また、死後事務受任者は業務が完了した時点で相続人へと報告する義務があるため、生前に本人の意思で作成した死後事務委任契約の内容に従って、死後に必要となる手続を全て終えましたという報告を兄妹等の相続人へと行うことになります。
つまり、亡くなった本人が主体的に仲の悪い兄妹の手を借りずに全部の手続きを終える準備をしていたという事を兄妹へと伝えることができるため、上で書いたような「見捨てられた」という感情を持たなくてよくなり、むしろ、「おまえ達の世話にはならん」という強い意志を示すことができるようになります。
このような考えで死後事務委任契約を結ぶのはどうなのか?という否定的な意見はあるかと思いますし、私たちも決して勧めているわけではありません。
ただ、実際問題として仲の悪い兄妹との確執で自分の死んだ後のことについて悩まれている方の相談も多くあるため、死後事務委任契約の効果のひとつとしてお示ししておきます。
相続、死後事務委任契約に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2025.09.01
戸籍の広域交付が予約で1ケ月半待ち!?
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の代表の谷です。
9月に入ったというのにまだまだ暑さは和らぎませんね。依然として熱中症の危険性は高いですので日中の屋外での作業にはご注意ください。
さて、先日名古屋で亡くなられた方のご遺族より、故人の死後の手続きを代わりに行って欲しいという相談を受けました。当協会では、ご本人からの生前の死後事務委任の他、ご遺族からの依頼で故人の死後事務の代行も行っています。
特に遠方に住んでいるご親族としては、何日も宿泊して遺品整理や行政機関への届出等を行うのは負担が大きいため、時間の掛かりそうな部分を当協会にて代行させて頂くケースが多くなっています。
今回の依頼では、死後事務の他にも相続手続についてのご相談もあった為、金融機関や証券会社へと提出する際に必要となる戸籍をご遺族の方にお近くの役場窓口で取って頂き送ってもらうように伝えていました。
現在、役場窓口での戸籍発行業務においては、広域交付制度が始まっており、これまで他府県に本籍地がある戸籍の場合は現地へ行ったり郵送等で申請して取り寄せる必要があったのですが、これがお近くの役場窓口で取れるようになっています。
ただ、この制度は代理人では利用することができないため、代理人が委任状を貰って本人に代わって戸籍を取得しようとする場合は、従来通り郵送等で取得するしかありません。
ですので、本人やご遺族がお近くの役場窓口で申請すれば早ければ当日に故人の出生~死亡までの戸籍が取れたりと、代理人が取得するよりも非常に早く必要な戸籍が揃うこともあり、便利な制度となっております。
ですので、ご遺族が日中に役場にいく時間が取れる場合はご遺族に広域交付制度の利用にて戸籍を揃えて頂き、広域交付制度では取れない部分(傍系の戸籍等)だけを専門家が代行で取得するという方法が主流になりつつあります。
今回のご依頼でも上記のように広域交付制度を利用して戸籍を集めてもらうようにお伝えしていたところ、次の日に依頼者の方から電話が掛かってきて、「今、役場で広域交付の申請をしようとしたのですが、広域交付は予約制で10月の中旬まで全て予約で埋まっていると言われたのですが、どうしたらいいでしょうか?」とのことです。
は?予約制?予約が1ケ月半先まで埋まってる?
これまでも、多数の他府県に本籍地が散らばっているような方の場合は、待ち時間が何時間にも及んだり、場合によっては、次の日に取りに行くという対応になったということは聞いたことはありますが、申請するまでに1ケ月半もかかるというのは初めてききました。
窓口で誤交付したというニュースを聞くこともありますし、戸籍等は個人情報の塊のようなものでもありますので、交付に慎重を期するために時間も掛かっているのでしょうが、それでも長過ぎじゃないですかね。
広域交付制度を利用しての戸籍が必要となるケースは相続が一番利用が多いように感じますが、そんなにも時間が掛かっていたら、期間制限のある相続放棄はもちろんのこと、値動きの激しい有価証券等の相続では売却のタイミングを失してしまうことも考えられます。
人口の多い都市部ではそれだけ亡くなられる方も多く、広域交付制度を利用する市民の方も多いため、時間が掛かってしまうのは仕方のないことでしょうが、せめて次の日と遅くても3日以内には取れるようにしてもらいたいものですよね。
今回のご依頼者のケースでは、予約しても1ケ月半かかるということでしたので、通常通り委任状を利用して郵送申請した方がはるかに早く届きそうでしたので、取れる範囲の戸籍だけ送って頂き、あとはこちらに全てお任せ頂くことといたしました。
広域交付制度を利用する場合は一度役場の市民課に電話して待ち時間等を確認してから伺うと、予期せぬ長時間の待機時間でその後の予定を狂わせなくて済むかもしれませんね。ご注意ください。
死後事務や相続のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2025.07.04
死後事務支援を行うのに何か特別な資格がいるのか?
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。名古屋も梅雨明けしたようですが、例年に比べてもかなり早い梅雨明けのようですね、、、、。
水不足にならないと良いのですが、かといって台風やゲリラ豪雨も困りものですから、ほどほどに降ってくれないかな~。
さて、本日のテーマは、身元保証や死後事務委任の仕事を始めるのに何か特別な資格がいるのか?という内容です。
最近、一般の事業者の方から相談が増えているのですが、そうした相談(質問?)の中で増えてきているように感じるのが今回のテーマです。
恐らく、身元保証や死後事務、介護といった分野とは関係のない別の事業から参入しようと考えている方々なのだと推思われます。
では、実際のところ何か特別な資格がなければ身元保証事業や死後事務事業といったことはできないのでしょうか?今回はその点を簡単にご紹介しておきたいと思います。
誰が担える?安心を提供する事業者の要件について
近年、身寄りのない高齢者や単身者の増加とともに、身元保証契約や死後事務委任契約のニーズが高まっています。病院や施設入所の際の保証人、亡くなった後の葬儀手配や行政手続きを担ってくれる人がいない…
そんな不安を抱えた方が、専門の事業者に依頼するケースが増えているのです。では、それらの契約を受ける事業者に、特別な資格は必要なのでしょうか?
身元保証契約とは?
身元保証契約とは、病院への入院や介護施設への入所時に求められる「保証人」や「緊急連絡先」としての役割を、第三者が契約によって担うものです。これにより本人がスムーズに入院・入所できるようになります。
死後事務委任契約とは?
死後事務委任契約は、本人の死後に必要となる葬儀・納骨・役所手続きなどの事務処理を、あらかじめ委任する契約です。誰にも迷惑をかけず、本人が望む形で人生を終えたいというニーズに応える仕組みと言えるでしょう。
弁護士や介護福祉士などの資格は必要?
結論から言うと、これらの契約を受託するにあたって、法律上必須となる資格はありません。
つまり、弁護士や介護福祉士などの国家資格を持たない一般法人・個人でも、適切な体制と倫理観をもっていれば契約を結ぶことができます。
ただし、以下のような点は重要です
契約内容の理解力と法的知識
身元保証契約や死後事務委任契約には、個人情報、財産、医療・福祉に関するデリケートな要素が含まれるため、相談対応から実際の執行手続において相続を中心としてかなり具体的な法律知識が不可欠です。
信頼性と透明性
特に死後事務に関しては、本人の意思を確実に反映するため、契約書の作成や履行において透明性と誠実さが求められます。
体制の整備
例えば、緊急時に対応可能な連絡体制や、死後の事務手続きが滞りなく実行できるような業務フローの設計が必要となります。
資格者が関わるメリット
資格がなくても契約は可能ですが、弁護士や行政書士が契約書の作成や内容チェックを行うことで、より安心できるサービスとなります。また、介護福祉士や看護師と連携している事業者であれば、医療・福祉の現場に即した支援も期待できます。
ですので、事業を行うにあたって、事業者自身が専門の資格を有している必要まではありませんが、事業を遂行していくなかでは必ず専門的な知識が必要とされる場面が出てきますので、事業者自身でそうした人材を抱えていない場合は、外部の専門家と連携しおくことは、こうした事業を行っていくうえでは必須と言えます。
おわりに
近年は、身寄りのない高齢者や単身者の増加をうけて、以前までは一部の事業者や専門家しか知らなかった「身元保証」や「死後事務委任」といった言葉も、メディア等を通して世間に認知されつつあります。
身元保証や死後事務委任の認知が進むにつれて、併せて過去に起きたトラブルや契約の際の注意点についても注目が集っており、依頼する側も事業者の健全性や透明性について心配しているのが実情です。
特に死後事務委任契約などは、契約してから何年、人よっては何十年も先に履行されるもののため、そうした利用者の不安を取り除き、安心して任せてもらえる事業者であると伝えるためには、事業者自身が専門性を有しているか、またはそうした知識を有している専門家がバックアップしてくれる体制であることを示していく必要があります。
結論として、身元保証事業や死後事務委任を受託するにあたって、特別な資格は必要ではありませんが、事業を円滑に進めていくにはそうした知識や専門家との連携は必須となるということです。
2025.07.01
会ったことのない相続人との遺産分割協議はどのように進めていくのかを実際の事例を基にご紹介
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。とうとう7月に入ってしまいましたね。東海地方の梅雨明けはまだですが、西日本は既に梅雨明けして夏本番がきています。梅雨の湿った天気は嫌いですが、梅雨明けが早すぎると水不足も心配になってきますよね。
さて、本日は近年増加していると感じる相続手続についてです。ひと昔前は相続が発生した際に相続人の代表者の方に他の相続人の所在や連絡先を確認すればだいたいは連絡がついたものです。
たまに故人に隠し子(認知した子)がいたりするケースもありますが、これはこれでよくある話しではあります。
ただ、近年は再婚者数の増加もあり、先妻との間の子がいたり、兄弟姉妹間の相続で代襲相続が発生してしまったりすると、住所や連絡先が全くわからない相続人という方がでてきます。
ただ、そうした住所や連絡先がわからない相続人がいるからといって、故人が遺言書等で事前準備をしていない場合は、そうした相続人を無視して相続手続を進めることはできないため、相続人全員を探し出して遺産分割協議を行う必要があります。
今回はそうした住所や連絡先のわからない相続人がいる場合に士業等はどのように遺産分割協議をまとめ、預貯金等の解約手続を進めているのかを実際の事例を基にご紹介していこうかと思います。
相続人代表者との面談
先日、いつも直葬の手配でお世話になっている葬儀社の方より、葬儀が終わったご遺族が相続手続で困られているようなので、相談に乗ってもらいたいという連絡がありました。
さっそく、ご遺族の方へと連絡を取り、面談させて頂いたのですが、故人は再婚者であり先妻との間にお子様がいるとのことです。
相談者から見れば、異母兄妹がいるという状況です。
※故人(被相続人)は父
※相続人は依頼者及び会ったことも無い異母兄妹たち
ただ、異母兄妹がいるという事は知っていても、その異母兄妹とは会ったこともないため、当然、現在の住所や連絡先などもわかりません。
故人の財産としての預貯金を解約しに行こうと銀行へ行ったところ、「遺言書がないのでしたら、異母兄妹を含めた遺産分割協議書の提出又は異母兄弟の署名捺印と印鑑証明書の提出が必要」と言われて、住所も連絡先も知らない異母兄弟をどうやって見つけたらいいのだ?と、八方ふさがりの状況で故人の葬儀を担当してくれたスタッフへと相談されたというのが、当協会へ相談が来た経緯のようです。
通常、故人が遺していた預貯金については故人が死亡した事実を金融機関へと伝えると「口座凍結」の処置がされて、以降、引き落とし等ができなくなります。
この名義人死亡に伴う「口座凍結」を解除するには、故人の遺言書を提示するか相続人全員の遺産分割協議書を提示する必要があります。(銀行が用意した解約書面に相続人全員が署名及び実印で捺印して印鑑証明書を提出する方法もあります)
つまり、銀行側としては故人の財産を誰がどれだけ相続するのかはっきりしない内は解約に応じないということです。
故人が遺言書を残しており、遺言書に預貯金について誰に相続させるか記載されていれば、銀行としては故人が指定した相続人(又は受遺者)から申し出があれば解約払戻し手続きに応じます。
遺言書が無い場合は、法律上は全ての財産を相続人全員で共有している状況となります。この共有の状況のままで、相続人の中の誰かひとりに対して払い戻しをしてしまうと銀行側としても相続トラブルに巻き込まれてしまう恐れがあるため、遺産分割協議を行ったうえで、預貯金を誰が相続するのかを書いた書面(遺産分割協議書)の提出を求めることになります。(銀行側が用意する解約書面に相続人全員の署名捺印もあり)
遺産分割協議書には、間違いなく相続人がその協議内容について同意したと第三者でもわかるように「実印(印鑑証明書と同じ印)」にて捺印をすることになりますので、銀行側は遺産分割協議書と印鑑証明書のセットを提出してもらうことで、相続人全員で遺産分割が整ったということがわかる仕組みです。
ただ、銀行側では、遺産分割協議書に署名捺印している相続人が、相続人であるかどうかは把握できないため、署名捺印している人が相続人であり、かつ相続人全員での遺産分割協議がされていることを確認するために、故人と相続人の戸籍を併せて提出してもらうことで、相続人が誰であるのかを把握します。
必要となる戸籍は故人と相続人の関係によって大きく変わる為に一概には言えませんが、相続手続において戸籍集めは非常に重要な点であり、相続手続は戸籍集めから始まるといっても過言ではありません。
会ったこともない相続人の戸籍はどのように集めるのか?
一般のご家族であれば、たとえ離れて暮らしていたとしても相続に必要な戸籍や印鑑証明書については電話で連絡して相続手続を行う代表者のもとへ郵送で送ってもらえば済む話しです。
ただ、今回の事例のように住所や連絡先が不明な異母兄妹の場合ですとそもそも連絡先がわからないのですから電話を掛けることもできませんし、住んでいる場所がわからないので手紙を送ることもできません。では、どうするのか?
相続手続の実務おいてはこうした事例は決して珍しいものではないため、解決策はあります。
異母兄妹の方が通常の生活をされているのでしたら、お住まいの住所に住民登録をしています。引っ越しをする際にする転出届や転入届をちゃんとしている限りは現住所と住民票上の住所は同一となるはずです。
例外として、学生さんのように親元に住所を残したまま、ひとり暮らししている方や借金から逃げるために住所を移していないといったケースもありますが、、、
ですので、異母兄妹の電話番号がわからなくても、住所がわかれば郵送にて相続手続への協力を打診することができるわけです。
では、なんの手がかりもない異母兄弟の住所をどうやって割り出せばいいのでしょうか?住民票を取得するためには異母兄弟が住んでいる市区町村役場へと申請しなければいけませんし、そもそも異母兄弟といっても第三者に対しては戸籍や住民票は交付してもらえません。
こうした場合に士業が行っている具体的な方法としては下記のような流れとなります。
① 故人の出生~死亡までの戸籍を取得
② 先妻と異母兄妹の本籍地を確認
② 異母兄妹の本籍地にて戸籍と戸籍の附表を取得
※戸籍の附票とは、ある戸籍に記載されている人々の住所の移り変わりを記録した書類です。本籍地の市区町村で管理されており、戸籍が作られた時からの住所の履歴が記載されています。
事例のように先妻との間に異母兄妹がいる場合なら、故人の出生~死亡までの戸籍を揃えることで、戸籍の中に先妻との間にできた子供の情報がでてきます。
先妻と別れた状況が離婚のような場合でしたら、婚姻で作成された故人と先妻の戸籍から離婚を原因として先妻が別の戸籍に移っていることになります。
離婚の際に母親が親権を有しているようなら、子供も母親に従って故人(父親)の戸籍から離脱することになり、離婚した母と子供の戸籍が新たに作成されることになります。
実際に故人が死亡するまでには離婚から相当期間が経過していることも多く、離婚した際は未成年だった子供も結婚して新たな戸籍に移っていることもあるため、そうした情報を故人の出生~死亡までの戸籍の中から順番に辿っていくことで、異母兄妹の最新の戸籍にいきつくことができます。
異母兄妹の現在の戸籍(本籍地)が判明すれば、その市区町村役場に対して異母兄妹の戸籍の附表の交付申請することで、異母兄妹の現住所が判明することになりますので、その住所宛てに郵便物を送ることで相続手続をスタートさせることができるようになるという訳です。
問題になるのは、第三者である異母兄妹が戸籍や戸籍の附表を取得できるのかということですが、相続手続に必要な場合など第三者であっても戸籍等の内容を確認する正当な事由がある場合は、交付を受けることができますので、相続人の所在を確認しなければ相続手続が始められないような場合は、異母兄妹の戸籍であっても申請することで取得することができます。
遺産分割協議の打診
相続人の住所が判明した後は、実際の相続手続に移ることになりますが、まずは異母兄妹である相続人に対して、相続が発生した事と、異母兄妹が相続人になっていることを伝える必要があります。
この辺の手続については各士業事務所毎に手続の進め方は異なりますので、一概には言えませんが、一例として当協会で進める場合をご紹介します。
相続人の確定と住所が判明した後は、依頼を受けた相続人から遺産分割に関する希望の聴き取りを行います。依頼者の希望によっては、法定相続分で分割すれば良いというケースもあれば、異母兄妹には財産を渡したくないから、異母兄妹には相続分の放棄を求めるといった内容になることもあります。
また、相続する財産が現預金だけでなく不動産や株式といった有価証券も混ざっている場合は、たとえ法定相続分で分けようと考えていたとしてもきっちり等分で別けられるとは限らないので、こうした部分のどのようにしていきたいのかを依頼者と打ち合わせを行い、遺産分割協議書の案(下書)を作成します。
もちろん、異母兄妹側がこちらで作成した遺産分割案に同意するとは限りませんので、あくまで「こんな分割案で進めていきたいと考えているのですが、あなた(異母兄妹)のお考えをお聞かせください」といった感じで案内文を添えて発送することになります。
特にこれまで関わりのなかった別れた父や異母兄妹が亡くなったようなケースでは、異母兄妹側としては、特に興味もないことからすんなり同意してもらえることもあれば、面識のない異母兄妹間なら関係がこじれてしまっても問題ないと考えて徹底的に争ってくることもあります。
こればかりは、相続人間の関係や考え方によるところですので、代理で手続を行う士業としてはなんともしがたいところではありますが、なるべくスムーズに相続手続が進むように各士業事務所で工夫されるところでしょう。
相続手続に着手
遺産分割協議書案について異母兄妹が同意してくれるとなれば、正式な遺産分割協議書を再度送付して、異母兄妹の署名と実印での捺印をもらい、印鑑証明書を付けて返送してもらうことになります。
異母兄妹が受け取るべき預貯金等があるのでしたら、併せて解約払戻し手続を代理で行うための委任状を一緒に送ってもらうようにすると、何度も異母兄妹の手を煩わせる必要がなくなります。
異母兄妹が遺産分割案に同意してくれない場合は、異母兄妹の希望を確認したうえで、遺産分割協議書案を作成しなおしたうえで再度発送します。
時には感情の問題から異母兄妹が全く遺産分割協議に応じないということもありますが、こうなってしまった場合は弁護士に依頼して遺産分割調停等に進むことになります。
問題なく遺産分割案に同意してもらえて、印鑑証明書等の必要な書類も送ってもらえたなら、それら一式を携えて銀行にいくことで、銀行側も誰が預貯金を相続するのかが明確になるため、解約払戻しに応じてもらえることになり、晴れて相続手続を完了することができるといった流れとなるわけですね。
今回、相談を受けた事案でも、相続人多数にわたり戸籍の取得や住所の割り出し等にかなり時間を要しましたが、分割案については、もともと財産が預貯金しかなく、また法定相続分での分割提案であったことから、特にもめることもなくすんなりと異母兄妹の方からも同意をもらうことができました。
異母兄妹等が絡む相続手続では、依頼者側が「異母兄妹と電話で話したりしないといけないのでは?」と心配されて、二の足を踏んでいる方も多くいます。
ただ、士業に手続代行を依頼する場合は基本的に連絡のやりとりは士業事務所側で行うことになるため、今回のように異母兄妹側も特に遺産分割について注文をつけてこないような場合でしたら、異母兄妹とは一度も話さず終わってしまうことも珍しくありません。
依頼者側があまり関わりあいたく無いと考えている場合は、異母兄妹側も同じように考えていることも多く、面倒な手続が長引くよりはさっさと終わらせてしまいたいという気持ちもあるのでしょうね。
ですので、今回の事案のように「相続人の所在がわからない」「相続人の連絡先がわからない」「会ったこともない相続人とはなるべく関わりあいたくない」といった事情でお困りのケースでしたら、当協会はもちろん、相続業務を取り扱っている士業事務所へと相談してみることをお勧めします。
相続手続を放置している期間が長引けば長引くほど、その他の相続人との連絡は取り辛くなってきますので、なるべく早めに相談するようにしてくださいね。
相続手続や死後事務のことなら名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2025.06.18
直葬は「寂しい葬儀」ではなく、新しい選択肢へ
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。名古屋は6月なのにうだるような暑さでもう大変。この時期はまだまだ体が暑さに慣れておらず、熱中症になりやすい時期でもありますので、ご注意くださいね。
さてさて、本日は「直葬」について。
当協会では単身者の方の死後事務委任を請け負う関係上「直葬」での葬儀の施工も良く行います。直葬と聞くと宗教的な儀式を行わない何か寂しいイメージがあるように感じるかもしれませんが、近年の直葬は必ずしもそうではありません。
以前までは、直葬で葬儀を行いたいと考えていても、葬儀業者の葬儀プランに載っておらず、葬儀担当者へ相談してはじめて裏メニュー的に受け付けてくれるといった感じでしたが、近年は大手の葬儀社でも「直葬プラン」を表に出してきていたりと直葬が浸透してきているように感じます。
近年増えている直葬とは?
「直葬」という言葉を聞くと、簡略化された葬儀や故人を偲ぶ時間が少ないというイメージを抱く人も多いかもしれません。しかし、近年では直葬が単なる簡素化ではなく、葬儀の選択肢のひとつとして確立しつつあります。
直葬とは、通夜や告別式などの儀式を省略し、火葬のみを行う葬儀スタイルです。親族や親しい友人が集まり、故人を静かに見送るシンプルな形式が特徴です。従来の葬儀に比べて費用や時間の負担が少ないことから、従来の葬儀プランと同様に選ばれるようになってきました。
直葬が増えている背景
- 直送の選択が増えている理由にはいくつかの社会的背景があります。
- 1.費用を抑えたいというニーズ
葬儀の平均費用は約119万円といわれていますが、直葬なら20~30万円程度で済むことが多く、経済的負担を軽減できるため選ぶ人が増えています。 - 2.ライフスタイルの変化
現代では仕事や家庭の事情などで忙しく、大規模な葬儀を準備する時間的余裕がない人も多くいます。そうした状況から、短時間で故人を送る方法として直葬を選ぶケースが増えています。 - 3.核家族化の進行
昔に比べて親族との付き合いが希薄になり、葬儀に参列する人数も減少傾向にあります。そのため、大規模な葬儀を行う必要性が薄れ、少人数でも執り行える直葬が選ばれるようになっています。 - 4.身寄りのない高齢者や疎遠な親族の増加
高齢社会の進行に伴い、身寄りのない高齢者や、親族と疎遠な関係にある人が増えています。そうした場合、従来のように親族が中心となる葬儀を執り行うことが難しくなり、簡素な直葬を選択せざるを得ない状況が生まれています。また、行政による「福祉葬」や「公営葬儀」でも直葬に近い形式が採用されることが多くなっています。 - 5.宗教観の希薄化
昔は葬儀において宗教的な儀式が欠かせないものでした。しかし、近年では宗教的な価値観が希薄になり、形式よりも合理性を重視する傾向が強まっています。特に若い世代では宗教的な儀式に対する関心が薄れ、「故人を偲ぶ気持ちがあれば、儀式にこだわらなくてもよい」と考える人が増えています。そのため、直葬のようなシンプルな葬儀形態が受け入れられるようになっています。 - 6.コロナ禍による影響
コロナ禍では、葬儀の形態が変わりました。感染対策として、大勢が集まる通夜や告別式を避ける傾向が強まり、家族葬を選ぶ人が増えたことも直葬への抵抗感を薄めた要因のひとつと考えられます。
直葬のメリット・デメリット
直葬にはさまざまなメリットがありますが、注意すべき点もあります。
メリット
・経済的負担が少ない
・短時間で葬儀を終えられる(喪主や家族の負担が少ない)
・親しい人だけで静かに送れる
・形式に縛られず自由な形での見送りができる
デメリット
・故人と過ごす時間が短い
・宗教的な儀式を省略するため、後悔することがある
・菩提寺とトラブルになる可能性がある(埋蔵や納骨を拒否される)
・他の親族から直葬で行ったことを責められるといったトラブルがある
直葬は「寂しい」葬儀ではない
直葬と聞くと、病院から直接火葬場に運ばれて火葬されてしまうようなイメージがありますが、それは違います。
日本では、死亡後24時間は火葬することができないため、火葬場に運ばれるまでにご自宅や葬儀会館、遺体安置ホテル等で遺体を保管する時間が生まれます。
直葬の場合も同様で、直葬を行ってくれる葬儀社の遺体安置所や故人の自宅で安置されたうえで火葬場へと運ばれることになるため、この待機時間の間で家族や親族が故人と面会することも可能となります。
当協会でも単身高齢者の方からの死後事務委任契約に基づいて葬儀の手配を行いますが、直葬の場合であっても、生前の故人の意向を確認したうえで、親族やご友人に焼香をしてもらったり、花や写真、応援していたスポーツ選手のユニフォームを飾ったり等を火葬場に運ぶ前に行っていたりします。
もちろん、直葬であるからといって、宗教者を呼んではいけない訳ではありませんので、宗教者を呼んでお勤めをしてもらうこともあれば、戒名をつけてもらうこともあります。
ですので、「直葬=寂しい」というイメージを持つ人もいますが、実際にはそうではなく、直葬は、葬儀業者の用意した葬儀プランといった形式にとらわれずに本人や家族が希望する葬送の方法のひとつということです。
直葬という選択肢を尊重する社会へ
葬儀のあり方は時代とともに変化しており、その選択肢が多様化するのは自然な流れです。直葬は「簡略化」ではなく、故人や遺族にとって最適な方法のひとつになりつつあります。
今後は、直葬に対する理解が深まり、より多くの人が納得のいく形で故人を送ることができる社会になっていくのではないでしょうか。
2025.06.17
日本で遺骨を焼き切ることは可能なのか?
近年、火葬後の遺骨を「焼き切る」という選択肢が話題になることがあります。しかし、実際に遺骨を完全に灰にすることは可能なのでしょうか?この記事では、「焼き切り」の実態と、なぜ日本の火葬場では遺骨が残るのかについて詳しく解説します。
遺骨の焼き切りとは何か?
「焼き切り」とは、火葬炉の温度を通常よりも高く設定し、遺骨が完全に灰化するまで焼却する方法を指すことがあります。しかし、日本の火葬場ではこの方法が一般的ではなく、ほとんどの施設で遺骨が残るように火葬が行われています。
海外では、火葬後に遺骨がほぼ灰になるケースもありますが、日本の火葬場では遺骨を拾う「収骨」という儀式があるため、完全に灰化するまで焼くことは通常行われません。
なぜ日本の火葬場では遺骨が残るのか?
日本の火葬場では、遺族が遺骨を拾う「収骨」の儀式が重要視されています。そのため、火葬炉の温度や焼却時間は、遺骨が適度に残るように調整されています。
主な理由
- 宗教的・文化的な背景
日本では、遺骨を拾い、骨壺に納めることが故人への敬意とされています。そのため、遺骨が完全に灰になるような火葬は一般的ではありません。 - 火葬炉の設計
日本の火葬炉は、遺骨が適度に残るように設計されています。高温で長時間焼却すると、炉自体が損傷する可能性があるため、焼き切りを行うことは難しいのです。 - 法律・自治体の規制
一部の自治体では、遺骨を完全に灰化することを禁止している場合があります。これは、遺骨の供養や管理の観点から、遺族が遺骨を持ち帰ることを前提としているためです。
焼き切りを希望する場合の選択肢
「焼き切り」を希望する場合であっても、日本においては焼き切りは行われていません。ただ、焼き切りを希望する理由が遺骨を持ち帰ることができないといった理由の場合はいくつかの選択肢があります。
- 粉骨処理を行う
火葬後に遺骨を粉砕し、粉骨することで、より細かい灰状にすることが可能です。粉骨業者に依頼すれば、遺骨をパウダー状にすることができます。
焼き切りを希望する理由がお墓を管理維持できないなどの理由なら、粉末状にして場所を取らない形でご自宅の仏壇等で手元供養に付することができます。
近年は、遺骨を手元供養用のアクセサリーに加工してくれる会社なども存在します。 - 散骨を検討する
遺骨を持ち帰らず、海洋散骨や樹木葬などの方法で自然に還すことも選択肢の一つです。 - 収骨せずに焼骨を火葬場で処理してもらう
西日本の地域に多いですが、もともと火葬後の遺骨を部分的にしか持ち帰らない地域においては、事前に火葬場に申請することで焼骨を遺族が骨壺等にいれて持ち帰らなくても、火葬場に全ての焼骨の処理をお願いすることが可能な地域があります。
収骨なしを選択する場合のメリット・デメリット
単身高齢者が増える中、お墓の承継者がいなくなることから事前に墓じまいをされている方も増えてきています。また、将来的にますます単身高齢者が増える事が予想されており、そうした場合にはやはり墓守等が不在のことから、自身が死亡した後の焼骨について悩まれている方も多く、そうした方々にとっては「収骨なし」も選択肢のひとつとなってきています。
まずは、収骨なしを選択した場合のメリット・デメリットについて確認しましょう。
収骨なしのメリット
- 遺族が遺骨を管理する必要がなく、お墓の承継者がいない場合などに有効
- 事前に墓じまいをしておくことで無縁墓になって菩提寺に迷惑をかけることがなくなる
- 散骨や納骨を行わず、供養料やお墓に掛かる費用を減らせる
- 単身高齢者の方であっても事前に死後事務委任契約等を結んでおくことで収骨なしを選択できる
収骨なしのデメリット
- 遺族の意向と合わない場合があるため、自分だけで決めずに事前に他の親族の意向も確認しておくことが重要
- 一部の自治体では収骨を義務付けている場合があるため、必ずしも自分の住んでいる地域で収骨なしを選べるわけではない
- 遺骨を後で必要とする場合に、取り戻せない点に注意が必要
- 火葬場に焼骨の処理を依頼した場合でも、自治体ごとに焼骨の処理の仕方が異なるため、焼骨の行方が気になる場合は、事前に自治体に確認しておく必要がある。(自治体所有の合祀墓に入れられる、自治体提携のお寺で合同供養される、産廃業者へ引き渡される等)
まとめ
日本において「焼き切り」は行われておらず、基本的に収骨するか、収骨せずに火葬場に処理を依頼するかのどちらかとなります。
また、収骨なしを選択したくても、地域においては収骨が義務付けられており、火葬場に焼骨の処理を依頼できない地域も多くあります。
遺骨の取り扱いは故人への最後の敬意を示す大切なプロセスです。収骨しない選択を検討する際は、家族で十分に話し合い、納得のいく形で故人を送り出すことが大切だと言えるでしょう。
2025.02.19
賃貸契約の仲介業者の違反行為について
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
寒波の第二弾が襲来して非常に寒い!名古屋は雪がちらつく程度で済んでいますが、隣接する三県の四日市では結構な雪が降っており、すぐ近くなのにこうも天気が変わるものかと驚いています。
仕事柄雪が降っても良い事はないので、降ってくれるなと願う日々ですね。
さてさて、1月から4月頃までは、賃貸関連では入退去や引っ越しシーズンで繁忙期となりますよね。私も20年近く前は賃貸物件の管理会社に勤めていましたので、入退去やリフォームの手配、新規の募集や内覧等にこの時期は大忙しだった記憶があります。
先日、死後事務委任を契約されている利用者の方より、賃貸物件への申し込みの際の「緊急連絡先」になって貰えるのかという問い合わせがありました。
当協会では、死後事務委任契約を結ばれている方の「緊急連絡先」には就任していますので、問題ない旨を伝えて契約手続を進めてもらうことに。
しばらくしてから、再度連絡があり、耳を疑うような報告を受けました。
近年は、民法の改正もあり、賃貸物件契約時には個人の「連帯保証人」ではなく保証会社を利用した家賃の保証契約を賃貸物件と同時に結ぶ事が一般的になっており、身近に連帯保証人を頼めるような人がいない方の場合でも契約がしやすくなっています。
ただ、そうした保証会社を利用する場合であっても、入居者に万が一の事があった場合に管理会社や保証会社が連絡する先として「緊急連絡先」を登録しておくことになります。
「緊急連絡先」は「連帯保証人」とは異なり、入居者本人が家賃を滞納した場合や万が一室内で自殺や孤独死等が起きた場合であっても、入居者に代わって未納家賃の清算や心理的瑕疵物件(事故物件)になってしまったことに対する賠償責任等を負うことはなく、あくまで第一報を知らせる相手となります。
ただ、賃貸物件の管理会社や保証会社としては万が一の際になにがしらの対応を取ってくれる事を期待して緊急連絡として登録しているのであって、連絡をしたとして「はぁ~、そうですか。」で終わられては困る訳です。
ですので、緊急連絡としては、入居者とある程度近い関係である、親や兄弟、子供や親戚といった親族関係がある事が望まれています。
とりあえず、緊急連絡先へと連絡すれば、遺品整理や未納家賃の清算等の対応、またはそうした関係を断るなら断るで、「相続放棄」の有無等が確認できれば、管理会社や保証会社としては次の段階へと進むことができます。
しかし、緊急連絡先として親族関係のない第三者が指定されていると、万が一の事が起きた際に緊急連絡先に連絡したとしても、緊急連絡先となっている方が単なる「知人」でしかなかった場合は、その方には入居者であった故人の財産に対する処分権限が何もないため、管理会社等が連絡しても緊急連絡先となっている方には何も決め事ができないため、次の段階へと進むことができず、結局親族等を再度調査したうえで、今後の対応をどうするのかを確認しなければならず、二度手間となってしまいます。
上記のような理由から、賃貸契約時の保証契約の審査の際には緊急連絡として「世帯が別」の「親族」で「年金生活以外の現役世代の方」を緊急連絡先として記載して申し込むことで、保証会社の審査が通りやすくなると思われます。
今回のご依頼者の場合は、当協会が死後事務委任契約を結んでいますので、万が一の際は当協会にて家賃の清算や遺品整理、原状回復及び建物の明け渡し等の賃貸契約終了に関する手続は可能なのですが、恐らくそうした事情が仲介業者の担当者には上手く伝わらなかったのか、または保証会社の審査申込書にそのような詳細を記載できないためか、「緊急連絡先」を「申込者より年齢の若い親族として記載した方が審査が通りやすいですから、そう記載しましょう」と虚偽申請の提案してきたそうです。
利用者の方は当然一般の方であり、不動産の契約について詳しいわけでもなく、専門の不動産会社の方がそういうのならそうなのかな?と思われたそうです。
ただ、念の為、そのように記載しても良いのかという確認のお電話を当協会へと頂けたので「絶対にダメです」と「そのような形での緊急連絡としての登録はお引き受けできない」旨を伝えさせて頂きました。
仲介業者のこのような提案は、一見申込者の審査を通しやすくする提案のようにも見えますが、重大な違反行為であり、場合によっては犯罪行為にもなるものと考えております。
良く生命保険や医療保険の加入時に「持病はございますか?」との質問を受けることがあると思います。持病があるのに保険契約を結ぶ為に虚偽の申請をすれば、告知義務違反となり最悪保険金が支払われないことになります。
家賃の保証会社との契約においても、当然虚偽の申請をした場合にはこうした対応を取られる可能性があり、万が一入居者が死亡した場合に本来保証会社によって清算されるべき未納家賃等の債務が、虚偽の申請を理由に支払われなくなればその不利益は、賃貸物件の所有者である大家や故人の相続人が負うべきものとなってしまいます。
ただ、故人である入居者は「仲介業者がそのように書けば良いと言ったから書いたのに」と主張したいところですが、入居者自身は既に死亡してしまっているため、そのような主張はできません。
また、仮にそうした事情を知っている第三者がいたとしても、申込書には本人の筆跡で「緊急連絡先」の欄を記載しているため、仲介を担当した担当者が「いや、私はそんな事は言っていません。あくまでご本人様が書かれたものです。」としらばっくれたら、仲介業者の指示のもとでそのような記載をしたということを証明する手立てがなく、全て故人の責任として片付けられてしまう危険があります。
つまり、虚偽記載を勧めてきた仲介業者の担当者は一切の責任を負わず、契約担当者としての自身の売上として契約実績だけあげて、不利益は全て入居希望者へ押し付ける非常に悪質な行為とも言えるわけです。
このような虚偽申請を勧めてくるような担当者は今回の件に限らずいると思われますので、少しでも「そんなことして大丈夫?」と思うような事があれば、契約する前に誰かに相談するようにしましょうね。
相続・死後事務委任契約については名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2025.02.07
ひとり身の兄弟姉妹の相続に両親の出生~死亡までの戸籍が必要な訳
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
またまた寒波襲来で日本海側は大変なことになっていますね。私も以前、福井市に住んでいた頃に4年に一度の大雪と言われる状況に遭遇し、朝起きたら車が雪山に変身してしまい愕然とした思い出があります。被害が広がらない事を願っています。
さて、本日は死後事務の執行において必要となる戸籍の範囲についての解説となります。実際には死後事務委任契約と一緒に作成することの多い、遺言書における遺言執行者が集めるべき戸籍の範囲となります。
死後事務委任契約を希望される方には「未婚」で「子供がいない」という方も多く、契約を希望される方の多くが70歳前後でもありますので、ご両親も既に亡くなっているケースがほとんどです。
そうした場合に、依頼者の方の相続人となるのは、依頼者の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥や姪)となります。
兄弟姉妹には、相続人に最低限保証される相続分としての「遺留分」はないため、遺言書を作成しておくことで、兄弟姉妹へは財産を残さないという事も可能です。
遺言執行者は、遺言執行者に就任する際に自身が遺言執行者となって相続手続を進めていくことを知らせる「就任通知」を遺言書の写しを添付して相続人や受遺者へと送る義務がありますが、この就任通知は遺言書を作成した結果、1円も財産を貰わない相続人に対しても発送しなければいけません。
つまり、遺言執行者としては遺言書の内容に関わらず、相続人の生死と現住所を戸籍や戸籍の附票にて確認を行い、相続人全員へと就任通知を送らなければいけないことになるわけです。
その相続人の調査において取り寄せる戸籍の範囲が今回のテーマとなります。
兄弟姉妹が相続人となる場合に必要となる戸籍は通常より多くなる
死後事務委任契約の委任者が未婚で子供もいない方の場合、相続人となる方は委任者の兄弟姉妹となります。
ですので、遺言執行者が手続を行うにあたり、まずは相続人が誰なのかを委任者からの聴き取りだけではなく公的な書面で確認する必要があります。
その際に確認するのが「戸籍」となります。
相続で一般的な、親が死亡して子供が相続人となる場合に必要となる戸籍は、「故人の出生~死亡までの戸籍」となります。
これは、故人の相続人が誰であるかを確認するにあたり、故人に子供がいるなら子供が第一順位の相続人となるため、故人が生まれてから死亡するまでの戸籍を取り寄せれば、故人と血縁関係(認知した子供や前妻との間の子供も含む)がある人は全て戸籍に記載されていることになるからです。
例え、亡くなった父親が母親との結婚前に付き合っていた女性との間に子供がいて認知している子供がいたとしても、「認知」したという事実が戸籍に記載されていますし、また、前妻との間に子供がいた場合であっても、前妻との婚姻や前妻との間に子供が生まれた事実は「婚姻」や「出生」として戸籍に記載されています。
ですので、故人の相続人に関して必要な情報は故人の出生~死亡までの戸籍を辿ることで、全て洗い出しができることになり、士業の方々が行う相続人調査とは戸籍を確認して故人と血縁関係がある人の洗い出しということになります。
では、今回の本題ともなる、相続人が兄弟姉妹となる方の相続の手続に必要となる戸籍はどうなるのかというと、上の例からいくと「委任者の出生~死亡までの戸籍」を取り寄せれば良いようにも感じますが実は違います。
まず、兄弟姉妹での相続関係を図で確認してみましょう。下の図をご覧ください。

死後事務委任契約の依頼者を次男のCとした場合の相続人関係図となります。
次男Cは未婚で配偶者も子供もいないため、遺言で自分の財産を子供の将来に使用してくれるよう公益財団法人へ自身の財産を全額遺贈するとしています。
依頼者である次男Cには、兄弟姉妹として長男A(存命)と長女B(死亡のため代襲相続あり)がいますが、両親及び直系の尊属は全員既に死亡しています。
こうした相続人関係において、仮に次男Cが死亡した場合に遺言執行者としては、相続人全員へと就任通知を送る必要があるため、次男Cの相続人を戸籍により確認する必要があります。
では、遺言執行者として故人である次男Cの出生~死亡までの戸籍を取り寄せれば相続人が全員確認できるのかというと、必ずしもそうとは言えません。
次男Cの出生~死亡までの戸籍を取り寄せたとしても、次男Cは両親である甲乙が結婚した後に生まれているため、次男Cの出生~死亡までの戸籍には、両親の婚姻~次男Cが死亡するまでの事情しか記載されていないことになります。
その為、例えば両親が結婚する前に父親甲が不倫相手との間に子供(丁)を作っており、それを認知していたとしてもその事実は婚姻後の戸籍には出てきません。
ただ、父親甲と血縁関係にある(丁)は次男Cと半分だけ血が繋がっている、いわゆる半血の兄妹となるため、次男Cの相続人となり、遺言執行者としては(丁)に対しても就任通知を送る必要があることになります。

別の図で戸籍の記載の流れを確認してみましょう。
上の図は、次男Cの両親である甲乙の出生~死亡までの流れを図示した物となります。
甲乙は、結婚する前はそれぞれの親の戸籍(次男Cから見て祖父母の戸籍)に入っており、結婚をする際に新に甲乙夫婦の戸籍を作ることになります。
一般的に男性の戸籍に女性が入る形を取ることが多いため、このケースで言うと、甲乙の結婚により、甲を筆頭者とする戸籍を新たに作成して、新規に出来た甲の戸籍に乙が入籍してくることになります。
その後、甲乙間に長男A、長女B、次男Cが生まれて、甲の戸籍に「出生」としてそれぞれ入籍することになります。
長男Aと長女Bは結婚をしており、結婚をすることで甲乙と同様に結婚相手との戸籍をそれぞれ新しく作ることになりますので、A及びBは甲の戸籍から出ていくことになります。(除籍)
ただ、次男Cは結婚をしなかったため、甲の戸籍にそのまま残ったままとなります。これは例え甲が死亡したとしても戸籍に生前している人が残っている限りは甲を筆頭者とした戸籍はそのまま残されることになるため、次男Cが生きている限りは甲乙が死亡したとしても次男Cは甲の戸籍に在籍したままとなります。
つまり、次男Cの出生~死亡までの戸籍とは次男Cが在籍している「父甲の婚姻~次男Cの死亡までの戸籍」と同じ意味となります。
ただ、上の図でもわかる通り、父甲の婚姻から次男Cの死亡までの戸籍を取り寄せても、父甲や母乙の婚姻前の事情については判明しません。
ですので、例えば父甲に婚姻前に認知した子がいる場合や母乙が再婚であり、母乙が前夫との間に子供をもうけていたような場合は、甲乙の婚姻前、つまり甲及び乙の出生まで遡って戸籍を確認しておかないと、相続人に漏れがでてしまう可能性があるということです。
ですので、死後事務委任契約において、兄弟姉妹が相続人となる場合に必要となる戸籍の範囲は、第三順位の相続人を全て調査する必要があることから、委任者の両親(父方、母方)それぞれの出生から死亡までの戸籍を取り寄せる必要があることになります。
この戸籍の取り寄せを遺言執行者が行う場合は、現行の制度では父方、母方の戸籍のある自治体へそれぞれ請求する必要があり、父及び母の本籍が遠隔地にあるような場合は郵送で申請することになり非常に時間が掛かることになります。
ただ、死後事務委任契約を行う前に依頼者が直接役場に赴いて「戸籍の広域交付制度」を利用して申請すれば、依頼者のお住まいの自治体の窓口で、父方、母方の直系尊属の戸籍は全て取り寄せることができるため、兄弟姉妹の相続が想定される場合は、事前に依頼者に取り寄せておいてもらい、執行の時までそれを受任者にて保管しておくといった方法を取ると、相続人調査の時間を大幅に短縮することができるようになります。
広域交付制度で取り寄せができるのは、直系血族の戸籍となるため、傍系血族である兄弟姉妹の戸籍までを事前に取り寄せをすることはできませんが、直系の血族の分の戸籍だけでも事前に揃っていれば、依頼者死亡後は依頼者死亡の記載のある戸籍と兄弟姉妹の戸籍を取り寄せをすれば良いだけとなりますので、非常に時間が短縮されることになります。
これから死後事務受任者としての活動を予定されている方は契約時にどこまで戸籍を集めておくべきか悩まれることもあるかと思いますが、戸籍自体には使用期限はないため事前に集められる物を集めておくというのがお勧めです。
相続・死後事務委任契約に関するご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
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