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2023.09.14
名古屋市の敬老パス返却での出来事
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。9月も中旬になろうというのになかなかに残暑が厳しいですね。今年は秋はあるのかな?
さてさて、死後事務支援協会では故人の死後事務を家族からの依頼で行うこともあります。一般的に死後事務委任契約は生前に依頼者本人と契約を結んでおき、依頼者に万が一の事が起きた際は受任者として依頼者(故人)と生前に結んだ死後事務委任契約に基づいて業務を遂行していきます。
ただ、死後事務委任契約を結んでいないと故人の死後事務を第三者ができないという訳ではなく、相続人である故人の親族から委任状等をもらって正式に依頼を受ければ故人の死後事務(葬儀手配、納骨手配、遺品整理等)は問題なく行うことできます。
ですので、私の個人事務所である「第八行政書士事務所」では孤独死された故人の親族からの依頼で故人の遺体引取り、死体検案書(死亡診断書)の取得代行、葬儀の手配や納骨、遺品整理、行政機関への届出等を親族に代行して行うことも良くあります。
真夏の孤独死のようなケースでは警察によってDNA鑑定が行われるケースも多く、警察から親族が連絡を受けてから数週間後に遺体の引取りとなるケースがありますので、事前に死後事務に関する依頼を受けておくことで、親族が名古屋に来られるタイミングで葬儀の手配をしておくことができるようになります。
極端な話し火葬日に名古屋にお越し頂き、火葬中の待ち時間の間に今後の打ち合わせを行い、ご家族は当日中に戻られて、後はこちらで手続きを全て代行するということも可能です。
もちろん、手続きの中には電話回線のように代行するよりもご家族から直接連絡を入れて頂いた方がスムーズに解約手続きが進むという物もありますので、そうした手続きは適宜ご案内させて頂いております。
ですので、当初は3日間程度名古屋に滞在して、役場や遺品整理、金融機関等の手続きをしなければと考えていたご家族の方が、死後事務に関しては全て代行を依頼されて、故人の勤務先やご友人に挨拶だけして1日だけで帰られるということもあったりします。
今回のご相談者の方も同様に遠方に住まわれているご親族の方であり、お仕事の関係でできるだけ手早く必要なことだけを済ませて戻りたいという方でしたので、基本的に全てこちらで代行する形でご依頼頂き手続きを進めて参りました。
遺体引取りの手配、葬儀手配、納骨手配、役場への届出、葬祭費の請求、健康保険等の資格喪失手続き、敬老手帳や敬老パスの返還、遺品整理の手配、公共料金の停止連絡、クレジットカード会社や生命保険協会への契約問い合わせ、NTTやNHKの解約手続き、そして金融機関への相続手続等々を依頼に基づいて一気に進めていきます。
そうした手続きの中で特に大事なのが故人の生活されていたお部屋の遺品整理。故人が孤独死されていた様なケースでは警察の方でもある程度の貴重品は遺体を引き上げる時に一緒に保管してくれますが、あくまですぐに見つかる範囲の貴重品だけですので、相続手続に必要な全ての物を見つけておいてもらえる訳ではありません。
ですので、死後事務や相続手続に必要となる各種書類関係を遺品整理の際に再度士業目線で確認しながら回収していきます。
今回のケースでは、役場の福祉課へ故人の死亡の届出を行った際に敬老パスの発行がされているとお聞きしたため、敬老パスがどこかに隠れていないかと探していたところ、なんとキッチンの台所に残されていました。
その他にも生命保険証券や合併前の銀行の通帳等、実際に契約が生きているのかどうか怪しい資料であっても一旦持ち帰って契約の有無を確認します。(保険関係は相続人から連絡してもらいます)
名古屋市では、65歳以上の方に対して市バスや地下鉄などを無料(発行時に負担金は有り)で乗車できる「敬老パス」を発行しているのですが、利用者が亡くなった際は敬老手帳等と共に福祉課へと返却する必要があります。
今回も敬老パスが見つかったので返却しようと福祉課へ持っていったところ、ICカードのチャージ金額が5,000円ほど残っているので、受け取ることができないと言われてしまったのです。
これは名古屋市のホーページなどには記載されていないのですが、敬老パスには2万円を上限に電子マネーをチャージでき、利用者が死亡した際などに返還する時にはチャージ残高を220円以下にしておかないと返還には応じてくれなかったりします。
ですので、窓口では「相続人の方でコンビニ等で利用して頂き、チャージ金額を220円以下にしてからお持ちください」と言われてしまうのですが、相続人が名古屋に住んでいる方でしたら問題ないのでしょうが、遠方に住んでいる相続人の場合は困ってしまいますよね。
チャージ金額が上限の2万円近く入っているのでしたらまだしも、500円程度の場合ですとわざわざ遠方に住む相続人に郵送して、相続人がコンビニ等で数百円だけの買い物をして改めて名古屋市の担当部署へ郵送で送るとなると、結構な手間です。
もともと敬老パス自体は返還しなかったとしても罰則等はなく、遺品整理等で見つからなかった場合は紛失したという形で処理されますので、仮に手元に残っていたとしても返還の手間を考えれば相続人によっては返還せずにそのままにしてしまうケースもあると思われます。
敬老パスについている交通系ICカード「manaca」はmanaca単体でも発行されおり、名古屋市及び近郊では定期券などの機能も含めて幅広く利用されています。
manacaにも電子マネーとして2万円を上限にチャージすることができるのですが、こちらは各地下鉄の駅長室などに持参すれば、現金で払戻しを受けることができます。
ですので、相続人や相続人から依頼を受けた士業等が委任状と戸籍関係の書類を持参すれば、その場でチャージ金額やデポジット料金などを精算して現金で返してもらうことができます。
敬老パスにチャージされた金額は返金してもらえず、manacaにチャージされた金額はその場で即返金。相続や死後事務の手続きを行っているとなんでこんなにも対応が違うの?と思わされる事も多いですが、敬老パスの返還の場合も、後日、相続人の指定口座へ振込みで返還などの対応をして貰えないものでしょうかね。
コンビニや自動販売機でかざすだけで支払うことができる電子マネーは非常に便利で高齢者の利用も増えています。しかし、今回のケースのように返還手続きが面倒となればチャージ金額もろとも処分してしまっているケースも少なからずあると思われ、全体で見ればかなりの電子マネーが闇へと消えていってしまっているのではないでしょうか。
追記(令和5年10月20日)
上記の記事を読まれた方より貴重な情報のご提供を頂きましたので、参考に載せておきます。
上記の記事では、ICカード内のチャージ金額が220円以下でないと敬老パスの受け取りを拒否されることがあり、地下鉄等での対応とは異なり現金での返金は行われていないと実際の窓口で私が経験した対応を記載しています。
情報の提供をして頂いた方は、自分も同じ境遇であり、ICカードにもチャージ金額を入れていることから実際の対応がどのようにされるのかをご自身のお住まいの地区の担当部署へ確認にいきその結果をお知らせくださいました。
その際の回答としては、記事記載のように220円以下でなければ受け取らないという訳ではなく、220円の手数料が掛かってもよければ現金での払い戻しを行うというものだったそうです。
つまり、「相続人に0円にして持ってきてもらう」か「220円の手数料をかけて現金で払い戻す」かの選択肢があるとのことでした。
同じ名古屋市内で区役所によって対応が異なるのか?と疑問に思うところですが、こういった対応もあると知ることができれば次回からは「220円の手数料を支払えば現金での返金対応もありますよね?」と強気に行くことができますし、相続人の方への案内の仕方も変わってきます。
情報提供頂き誠にありがとうございます!