ブログ
2023.12.05
相続放棄を考えていたのに、、、、
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。寒くなりましたね!お鍋が恋しくなる時期でもありますが、カセットコンロでの事故も増える時期ですのでお気をつけください。
さてさて、今回は孤独死という形で発見された故人の親族の方からのご相談の話しです。故人は名古屋に住んでいらした方なのですがお一人暮らしのため、一般的に言うところの孤独死の状況で発見されました。
ご相談頂いたご親族の方との関係は良好ではあったものの、お互いに遠方で生活していることもあり、日常的な行き来はなかったとのことです。
ご相談に来られた当初は、「本人がどういった生活をしていたかわからないし、財産状況も良くわからず、面倒な手続きをする位なら相続放棄も考えています」といった感じで、賃貸物件での孤独死対応やその後のもろもろの手続きを考えたら相続放棄をしてしまった方がスッキリしていいのではないかというお考えのようでした。
ただ、お話をよくよく聞いてみると、亡くなったお部屋は市営住宅であり、借金があるような話しは聞いたことはない。定年後もタクシーの運転手として働いていたようだ。と、いたって堅実な生活をされていたご様子。
相続放棄には3ヶ月の熟慮期間もあるので、一度一緒にお部屋を確認してみてからもう一度判断されてみてはいかがですか?と提案して、一緒に故人のお部屋の確認にいくことになりました。
今回は孤独死の状況での発見ではありますが、市営住宅の場合は一般の賃貸住宅のケースとは異なり高額な原状回復費を請求されることはありません。
ですので、故人の預貯金が遺品整理や死亡後の光熱費等を支払える程度に残っているのでしたらあえて相続放棄をする必要は無い状況とも言えます。
もちろん、長年離れて暮らしていたことから、誰かの連帯保証人になっている事なども考えられ、そうした情報は事前に本人から聞かされていないとご家族にはわかりようもありませんので、そうした万が一に備えて相続放棄をするという考え方はあります。
とにもかくにも、故人ののお部屋を見て見ないことには判断がつきませんので、ご家族と一緒に室内の調査に取り掛かりました。
まず、多重債務に陥っているような方の場合は玄関ポストや集合ポストに赤や黄色の目立つ封筒で弁護士事務所や債権回収会社からの通知が届いていたりします。裁判所から通知が来ていれば既に訴訟にまでなっていることもあるでしょう。
とりあえず、こうした債務の存在を示す通知等は全く届いていませんでした。せいぜいガスや電気の使用量を知らせる通知だけです。
室内も男性の一人暮らしと考えれば綺麗な状況で、多少散らかってはいますが、ゴミ屋敷などにはなっていませんし、ある程度、自炊をしていた痕跡もあります。
さっそく、ご家族の方と一緒に相続や今後の役場の手続きで必要になる書類などがないかを確認していきます。財布やスマホなどのある程度の貴重品は遺体発見時に警察の方で事前に回収してくれていますので、警察では探しきれなかった部分や警察が貴重品とは判断しなかったような箇所を重点的に探していきます。
机や押し入れ、タンスの中などを探していき、見つかったのが銀行の通帳と保険証書、クレジットカードやその他介護保険証などの今後役場に返却する必要のある物が多数といったところです。
その場で全ての内容を確認することはできませんので、必要と思われる資料はいったん当協会へ持ち帰らせて頂き、各機関へと問い合わせを行っていきます。
生命保険等は親族や受取人からの問い合わせにしか答えてくれませんので、そうした部分はご家族にもご協力を頂きながら、故人の財産状況を確認しつつ、役場等の行政機関への手続きも同時進行で進めていくことになります。
室内で見つかった銀行の通帳をATMで記帳をしてもらい、ある程度の預貯金の存在が確認できたので恐らく借金等はないだろうとの判断。
借金の有無について信用情報機関へ問い合わせをして消費者金融や銀行等から借り入れが無いかを確認するといった方法もありますが、室内の状況や通帳の記載情報などから、今回はそこまでの調査必要ないとのご家族の判断です。
遺品整理などを行う費用も故人の預貯金で賄えるとなった為、相続放棄ではなく通常の相続を行う方向で決めて、遺品整理やその後の相続手続きに舵を切ることに。
遺品整理も含めて相続手続きについても全て、当協会にご依頼頂けることとなったため、行政機関への届出やクレジットカードの解約、NTTやNHK等の故人が生前に利用していたサービスの解約手続きを進めていきます。
併せて、各金融機関に対して残高証明等の発行手続きを行い、財産目録の作成や遺産分割協議書の作成などを進めていき、無事全ての手続きを終えることができました。
結果的に言えば、故人はかなり堅実な性格だったようで、定期預金にかなりの額が積み立てられており、何も知らずに相続放棄を選択していたらとんでもないことになっていたところです。
しかし、仲が悪くなくても離れて暮らしているとどうしても故人の生活状況を事細かに知ることはできず、まして故人の財産状況などは親しく付き合っている家族ですら知らないことが多いのですから、面倒な事を避けるために相続放棄を選択してしまうということもありえる話しです。
死後事務支援協会では、ご本人からの生前の死後事務委任契約に限らず、相続人の方からのご依頼でも故人の生活状況の確認や財産調査などを通して、死後の手続きに関する支援を行っておりますので、「離れて暮らしていた親族が亡くなり、何から手を付けたらよいのかわからない」といった場合はご相談くださいね。