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2021.09.06

死後事務を依頼していた姉としていなかった弟、遺された家族の苦悩

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。9月に入っていっきに涼しくなった感がありますね。食欲の秋が来る~って感じですが、この時期の楽しみのサンマが高い!いつからサンマは高級魚になってしまったのか、、、。

さてさて、本日は死後の手続きのご相談について。当協会で行っている死後事務委任契約は、ご本人様より依頼を頂いて、「自分に万が一の事があったら打ち合わせ通り、後のことはよろしく頼む!」という感じで、ご本人様より生前に依頼を受けて行うものとなります。

これとは別に、故人の死後事務を家族から依頼を受けて行うという手続きも当協会ではサポートしています。何が違うかと言えば、依頼者が「亡くなった本人」か「家族」かの違いがあります。

確かに死後事務委任契約は亡くなったご本人と事前に結んでおくものですが、事前に死後事務委任契約を結んでいなかったからといって、死後事務の手続きを第三者ができないわけではありません。

故人の権利義務や故人の死後の手続きを行うべき家族から委任を受ければ、私たちのような士業は家族の代理人として活動することができますので、ご本人から生前に依頼を受けて行う死後事務委任契約となんら変わらないサポートが可能です。

もともと、死後事務や相続手続きは家族や相続人が行ってきたものですが、近年の超高齢社会の影響などから身近な人に迷惑をかけないようにと、注目を集めてきたのが死後事務委任契約となります。

ですので、本来、手続きを行うご家族や相続人の方の協力があれば、私たちのような士業は通常の相続業務と同様に死後事務のサポートも行うことが可能なわけですね。

今回のご相談は、そうした家族の方からの死後事務のサポートに関するご相談です。

故人は名古屋市内に在住していた方ですが、相続人となられるご兄妹は遠方に住んでおり、年齢などの関係からも気軽に名古屋へ来られる状況ではありません。そうした中でインターネットで当協会の情報をご覧になり、相談のお電話を頂いたという経緯です。

葬儀の関連で名古屋に来られるタイミングで、面談を行うことになり、ご相談者以外の相続人がいる待ち合わせ場所で打ち合わせをすることとなりました。

その際に聞いた話しなのですが、今回亡くなった弟さんとは別に数年前にお姉さまが亡くなったそうです。お姉さまもお一人身の方だったようですが、事前に死後事務に関する手続きを第三者へと依頼してあったとのこと。

ですので、お姉さまが亡くなった時は、葬儀から相続手続きまで全ての死後事務を相続人以外の第三者が行ってくれていたため、ご相談者の方達は必要な書類を提出したり、署名捺印する程度くらいの関与しかしていません。

そうしたちょっとした手続きへの協力だけで、預貯金の払戻し金が指定の口座へ入金され、お姉さまが所有していた不動産の名義は相続人名義へと変更され、当然役場関係の手続きも全て終えられており、非常に手間いらずの状態でお姉さまの死後事務と相続手続きを終えたそうです。

そんな経緯から、今回の相続人の中には「相続手続き何するものぞ」とばかりに、相続や死後事務の手続きは非常に簡単なものといったイメージを持たれている方もいらっしゃいました。

しかし、それはお姉さまが事前に死後事務を信頼できる方へと依頼してあったからこそであり、一般的に死後事務や相続手続きは難解でメンドクサイものです。でなければ、週刊誌などで相続や死後事務関連の特集があんなにも組まれたりしませんよね。

そして今回直面した弟さんの相続と死後事務の手続き。ご相談者の方はわざわざ相談の電話を入れてきている訳ですから、相続や死後事務手続きが簡単にはすまないだろうと思っていらっしいます。

しかし、相続人の方の中には上で述べたお姉さまの時のイメージが残っているのか、私が伺った際に「何を依頼するの~、自分達でやれるでしょう~、お姉さんの時はすぐ終わったじゃないの~」と、楽観的に考えている方が何名かいらっしゃいます。

もちろん、ご家族の方々で手続きできるのなら問題ありませんし、私たちが出る幕ではないのですが、電話相談を受けた際に何点か気になる点がありましたので、依頼をされるかどうかは別に、「とりあえず、今後の手続きと流れを確認してみませんか?」とご提案。

葬儀以降に発生する手続き、役場での手続き、葬祭費の請求、未支給年金の受け取りの可否、公共料金の支払いや各種契約の解約、遺品整理に賃貸物件の明渡しと、ひとつひとつ確認していきます。

そうした中、打ち合わせ前に事前に故人の室内の状況を確認していたご相談者の方からカメラに収めた室内の状況を見せてもらうと、悪い予感が的中です。

室内の状況はいわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれる状況で、天井に届きそうなくらいのゴミの山。トイレやお風呂なども使用できない状況で汚物も散乱し、明らかに通常の退去費用では収まらないケースです。

もちろん、部屋がゴミ屋敷で原状回復費用が高額になると予想される場合であっても、それを上回る相続財産があれば問題ありません。

しかし、室内から探し出した通帳を見ると残高はそれほど多くはありません。記帳するか残高証明を取得してみないと正確なことはいえませんが、遺品整理と原状回復の費用にはまったく足りない状況と予想されます。

亡くなった弟さんの日頃の生活状況を聞いてみると、最近はあまり親交は無かったようですが、昔は消費者金融からの借入も頻繁に繰り返していたようで、場合によっては借金についても心配しないといけない状況です。

その他、賃貸物件の契約状況やお姉さまが亡くなった際の相続状況なども確認していくうちに、「本当に相続されますか?」という根本的な問題へと立ち戻ることとなりました。

私が訪問した段階では、相続もするし、死後事務もやらないといけない、難しい部分は専門家に依頼しようという感じでしたが、状況を整理していき、今後の必要となる手続きや予算、そして残った遺産の状況を確認していったところ、相続人の方々の考えは「これは相続したら大変なことになるのでは?」という認識へと変わっていきました。

幸い相談の電話も早かったため、故人の財産には遺品整理も含めて何も手を付けていない状況ですので、相続放棄を選択肢に入れることも可能です。

ご家族が実際に相続放棄するのか、敢えて相続して手続きを進めていくのかはご家族の判断に任せることになりますが、ただ単に相続して死後事務を行っていくというだけでは、予想外の債務を負う危険性を知って頂けたことは今後の大きな判断材料にして頂けるかと思います。

本来は死後事務を受任していく立場ではありますが、相続人のことを考えれば依頼内容と正反対とも言える「相続放棄」を提案させて頂くこともあります。

今回のケースは、同じ家族の相続で死後の準備をしっかりしていたお姉さまと、まったく準備しておらず突然に亡くなってしまった弟様のケースで、死後の準備の大切さをまざまざと見せつけるものとなりました。

今回のケースでもわかる通り、離れて暮らす家族にとっては、本人がどういった生活をしており、どのような財産や負債を持っているのかは全くわからないのが普通です。

今回のお姉さまのようにしっかりと死後事務委任契約を第三者と契約しておくのが理想ではありますが、そうでなくても、最低限、銀行の口座や負債の有無など相続人となられる方が判断に迷わないようにメモを残しておくと死後の手続きをする方にとっては大きな手助けとなります。

最近は本屋さんへいけば、エンディングノートのように死後の手続きに必要な事項をまとめた冊子も沢山売っていますので、そうした物を活用すると、何を書いておけば死後の手続きに役立つのかを簡単に整理することができます。

相続や死後の手続き、死後事務委任のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

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