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2021.10.01

成年後見人は死後事務を行ってはくれない?

おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。

緊急事態宣言も全面解除され、コロナ患者も減少してきて、やっとコロナ迷宮の出口に光が差してきた感じですね。ここで落とし穴に落ちないようにする為にも基本的な感染対策は続けていきましょう!

さてさて、死後事務委任契約についてですが。死後事務のご相談を受けている際にこんな質問を受けることがあります。「将来、認知症になって成年後見人がついたら死後の手続きはその人が全部やってくれるんですよね?」

さて、どうなんでしょう?

最近よく耳にする「成年後見人」、判断能力の衰えてきた高齢者の方の財産管理や身上監護を行う方となります。これは、家族がなる場合や士業のような専門家がなることも多いですが、成年後見人の選ばれ方によって大きく変わることとなります。

既に、認知症等で判断能力が失われてしまっている方の場合は、家庭裁判所によって「法定後見人」という方が選ばれます。

これは、親族などから申し出によって、家庭裁判所にて、ご本人にとって最適な方を後見人として選任するタイプですね。後見人には家族がなることもあれば第三者の専門家がなることもあります。

もうひとつが、「任意後見人」。こちらは、ご本人が元気なうちに、自分が判断能力を失った時に備えて予め、自分で自分の事を託せる方を選んでおく方法です。

ですので、任意後見人も家族がなる場合や専門家がなる場合、どちらもあることは法定後見人と一緒ですが、自分が信頼する方を事前に決めておくことができる部分が法定後見人とは大きく違うところとなります。

では、本題に戻って成年後見人はご本人(成年被後見人)が亡くなった場合に、葬儀や遺品整理、行政機関への届出などはできるのでしょうか?

これは、法定後見人、任意後見人ともに死亡届のように一部できる業務はありますが、一般的に死後事務として望まれる大部分については、「出来ない」という答えとなります。

正確に言うなら、「死後事務は成年後見人の業務ではない」というのが正しい表現となるでしょうか。

成年後見人の業務は、ご本人の身上監護や財産管理が業務範囲です。端的に言えば、成年後見人が成年後見人として活動できる期間は、本人が存命中の間だけです。

つまり、ご本人が亡くなった段階で、成年後見人としての基本的な業務は終了してしまうため、成年後見人としては死後の手続きを行うことはできないこととなります。

成年後見人の一般的なイメージとしては、高齢者の方のお困りごとを幅広くサポートするというイメージがあるかと思います。

そうしたイメージの中には、高齢者が亡くなった後の葬儀や埋納骨、遺品整理といった、亡くなった後に行わないといけない手続き全般もサポートしてもらえるんだと思われている方がけっこういます。

どうして、こうしたイメージがついてしまっているかというと、成年後見人に家族がなっている場合は当然、家族が家族として、死後の手続きをおこなったりしますし、専門家がなった場合でも、家族がいない方の死後の手続きを放置しておくわけにはいかないとして、業務範囲外であっても、関係機関と連絡しあってなんとか手続きをしてきたという部分もあったりするからと思われます。

しかし、先ほども述べたように、死後の手続きは基本的には成年後見人の業務ではないため、家族以外で死後の手続きまでやってくれている成年後見人はあくまで例外的な対処となります。

では、成年後見人は一切、死後事務はできないのか?というとそうとも言えません。先ほどあげた、ふたつの成年後見人のうち、自分で将来成年後見人になってもらう方を事前に決めておく「任意後見人」のケースでしたら、任意後見契約を結ぶ際に、「死後事務委任契約」も一緒に結んでおけば、任意後見人として活動していた方が、死後の手続きも引き続き行ってくれることとなります。

これは、任意後見人が死後事務を行うことができるというわけではなく、任意後見人の方もご本人が亡くなった段階で任意後見人の業務が終了することは、法定後見人と変わりありません。

ただ、事前に「死後事務委任契約」を任意後見人の方と結んでいることで、任意後見人の方が、任意後見終了後、新たに「死後事務受任者」に就任して、死後事務受任者として活動することができるようになるということです。

なんで、いちいちそんなメンドクサイことをするんだろう?と思われるかもしれませんが、ご家族が死後の手続きを行う分には、何か問題があってもご家族間の問題ということになります。

しかし、第三者が就任することの多い「死後事務委任契約」では、権利関係を曖昧にしたまま行ってしまうと大きなトラブルへと発展してしまいます。

例えば、親戚が亡くなったと聞いて尋ねてみたら、縁もゆかりもない第三者が勝手に葬儀をあげて、遺骨を菩提寺とは関係ないお寺に埋葬していた、なんて聞いたらどう思われますでしょうか?

普通に考えれば「赤の他人が、なんで勝手な事をしているんだ!!」と、関係者の方々は当然、激怒することでしょう。たとえ、それが裁判所で選任された法定後見人であったとしてでもです。

しかし、そうした死後の手続きがご本人の意思に基づいて行われていたというなら、話しは変わってきます。もちろん、ご家族やご親戚の想いをないがしろにしていい訳ではありませんが、大事なのはあくまで「本人がどうしたいか」です。

自分の死後にこうして欲しいというのは、言ってみれば本人の最後の希望でもあります。皆さんが良くご存じの「遺言書」もそうですよね。

遺言書は主に財産関係に関する本人の最後の希望であり、これは法律で定められている「法定相続分」などよりも優先して、その意思の実現が図られるよう法律で保護されたものでもあります。

これと同じように、遺言書では書けない死後の希望を記載しておくのが「死後事務委任契約」であり、こちらも本人の最後の希望を叶える強い効力を持つ書面となります。

こうした本人の意思を確認することができる書面としては、最近は「エンディングノート」のような、死後の手続きに必要なことをまとめておく書籍や冊子も多数販売されています。

もちろん、こうした書籍等を利用するのも有効な方法ではありますが、エンディングノートはご自身が記載するだけの物でもありますから、あくまで「メモ」以上の効果はありません。(法的な拘束力などは生じない)

死後事務委任契約は、事前に選んだ信頼できる方と結ぶ「委任契約(準委任)」であり、契約である以上はそこに法律的な効果が発生します。

つまり、死後事務受任者となった方は、勝手には契約を放棄することはできないこととなり、エンディングノート等より、はるかに強い実現効果が望めることとなります。

当然、そうした法的効果を発揮させるために、誰が何をどういった方法でと、細かに依頼内容や報酬が決められることとなりますので、依頼した側、依頼を受ける側の権利義務が明確となります。

そうした、本人の意思を実現するための、正式な書面があることで、たとえ第三者であっても本人から正式な依頼を受けたという事で、ご親族との考えと異なっていたとしても、何憚ることなく業務を遂行することが可能となるわけです。

話しが長くなりましたが、まとめると

死後の手続きは、基本的に成年後見人は行うことはできない。
ただし、事前に死後事務委任契約を結んでおくことで、その意思を実現してもうらうことは可能となる。

※法定後見人の場合は、本人の判断能力が失われた後で裁判所にて後見人を選任するため、法定後見人と事前に死後事務委任契約を結んでおくということは難しいこととなります。

そうした場合は、死後事務委任契約だけを信頼できる方へとお願いしておくことで、法定後見人の業務が終了した段階で、死後の手続きからは、事前にお願いしておいた方が、死後事務受任者として手続きを進めていくということも可能となります。

いずれにしても、死後の手続きで不安や心配がある場合は、一度ご相談くださいね。

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2021.09.23

遺品整理で1,000万円をドブに捨てられないために

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。すっかり秋めいてきましたね。コロナの感染者数も落ちてきたようで月末には緊急事態宣言も解除の見込みとのこと。秋の行楽シーズンも控えていますが引き続き基本的な感染対策は行っていきましょう!

さてさて、本日は死後事務とも関連の深い「遺品整理」でのお話しになります。ここ数日連日のようにゴミ処理施設から多額の現金が見つかったというニュースが出ていました。

gooニュース

令和3年9月21日
gooニュース

岐阜新聞

令和3年9月22日
岐阜新聞WEB

読売

令和3年9月22日
讀賣新聞オンライン

なんでこんなにもゴミ処理施設から大金が発見されるのか!?については、私の個人事務所である遺品整理専門第八行政書士事務所の「第八ブログ」に大元の原因を記載してあるので、興味のある方はそちらをご確認ください。

今回は原因の追及ではなく、対策に焦点を当てていきたいと思います。

タンス預金がゴミとして処分されている!?

ゴミ処理施設で発見される多額の現金の多くが、遺品整理時に発見されずにゴミ処理施設へと運ばれ、その後持ち主不明となってしまい発見者であるゴミ処理施設の所有となったり、ゴミ処理施設から市町村等へ寄付されたりしています。

この多額の現金が、遺品整理の現場で出てきた家財の中に紛れていたのでしたら、本来ならそれは相続人へと渡るべきお金だったのは間違いありません。

でも、実際は遺品整理の際のゴミと一緒にゴミ処理施設へと運ばれてしまい、まったく関係のない第三者の物となっているわけです。

こんな不合理な結果となってしまう大きな要因のひとつが「タンス預金」です!

タンス預金といっても、家具のタンスに限った話しではなく、いろんあ所に隠してあるお金という意味でのタンス預金ですね。

私も遺品整理専門としてこれまで何千件もの遺品整理を行っていますが、隠す人は本当に奇想天外の場所に隠していたりしますので、「これは普通みつけられないだろう、、、」というケースも何件も経験しました。

タンスの中に衣類に包んで隠しているとか、家具の下に放り込んで隠してあるとか、雑多な日用品に紛れて金貨が残っていたなどは、整理する業者が正しい知識と捜索方法を持っていれば、問題なく見つけることが可能ですので、それほどやっかいではありません。

問題なのは、普通の遺品整理では確認しないような場所、例えば天井裏、畳の下、トイレタンクの底、ユニットバスの点検口の奥などに隠しているような場合。

家財整理をするだけの遺品整理業者では、わざわざそんな場所までは時間の無駄となってしまいますので、依頼者からあえて探して欲しいとの要望でも出ない限りは探すことはありません。

そうした、隠す本人が絶対に見つからないように隠しているような財産というのは本当に見つけるのは難しいもので、特に隠した本人が隠したことを忘れてしまっているようなケースでは発見は困難なものとなります。

私自身も何度か、「え、こんなところに、、、」と予想外の場所で大金を見つけたことはありますが、中には隠した本人も忘れているんじゃないの?と思われるケースも確かにありました。

そうしたケース、特に隠した本人も忘れている、または伝える前に高齢で認知症になってしまったなどの場合では、当然家族も「そんなお金があるなんて知らなかった!」状態ですので、お金が出てきた事を伝えると驚くやら、喜ぶやらで相続人間で緊急会議が始まったりします(笑)

しかし、隠していた大金が見つかれば相続人も笑い話しで済ますことができますが、最初のニュースのように、相続人も知らない内にゴミとして処分され、あげく全く関係のない第三者の物となってしまっては、泣くに泣けませんよね。

もちろん、当の相続人の方々は最初から多額のお金なんて無いと思っていますので、ニュースで多額の現金が出てきたと見たとしても、「自分達が依頼した現場から出たかも?」とは露程も思わないことでしょうから、残念がることすらできない状況です。

悲劇を防ぐ方法はとっても簡単

こうした悲劇を防ぐ方法はとっても簡単です。自分が隠す程大事にしている財産を渡したい相手に渡せる準備をしておけばいいだけです。

何も「遺言書」や「死後事務委任」、「死因贈与」といった専門的な方法でなくても、単に「あそこにお金を置いてあるからなんかあったらそこから費用を出してね」と家族や渡したい相手に伝えておくだけでもいいのです。

実際、私が去年行った遺品整理では、甥子さんが「見たことはないのですが、叔父はあそこに葬儀費用程度のお金は置いておくから、何かあればそのお金使って欲しいと言っていました」と、実際の隠してある場所は見たことはないのですが、口頭で聞いた内容を私に伝えて、私が実際にそのタンス預金を発見したということもあります。

それだけでも十分に捜索の端緒になったりするものですから、「伝えておく」というのがいかに大事なことかがわかりますよね。

もちろん、「事前に伝えておくのはちょっと、、、」や「変に期待させると自由に使えなくなるので、自分が死んでから見つけてもらいたい」という要望もあるでしょうから、生前にはっきりと伝えるのを避けたいなら、後から分かるように書面に残しておく方法もあります。

最近は書店にいけば「エンディングノート」といって、自分の死後の要望や財産状況など相続発生時に必要となる情報を綺麗にまとめている冊子も沢山の種類が売っています。

そうしたエンディングノート等を活用して、必要な人へと大事な情報を伝わるようにしておくと、遺品整理や財産調査をする家族や相続人の負担を大きく減らすこともできます。

もし、財産の分け方や死後の手続きに自分なりの強い希望があるという場合なら、エンディングノートには法的な強制力はありませんので、法的効果のある「遺言書」や「死後事務委任契約書」を事前に作成しておくことをお勧めします。

エンディングノートなどは、室内に置いてあっても事前に書いた事を伝えておかないと、結局家族に気づかれずに処分されてしまうこともありますが、遺言書を公正証書や法務局での保管制度を利用して作成しておけば原紙は公的機関にて保管されることとなりますので、遺品整理で見つけられなくても、後から原紙を確認することも可能となります。

大事なお金を渡すべき相手に届くように自分にあった方法で準備をしておけば、上のニュースみたいに「ゴミ処理施設で発見!」なんて悲劇は回避できます。

準備をしておきたいけど、どんな方法が自分に合っているのかわからないという方は、いつでもご相談に応じていますので、ご連絡くださいね。

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2021.09.06

死後事務を依頼していた姉としていなかった弟、遺された家族の苦悩

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。9月に入っていっきに涼しくなった感がありますね。食欲の秋が来る~って感じですが、この時期の楽しみのサンマが高い!いつからサンマは高級魚になってしまったのか、、、。

さてさて、本日は死後の手続きのご相談について。当協会で行っている死後事務委任契約は、ご本人様より依頼を頂いて、「自分に万が一の事があったら打ち合わせ通り、後のことはよろしく頼む!」という感じで、ご本人様より生前に依頼を受けて行うものとなります。

これとは別に、故人の死後事務を家族から依頼を受けて行うという手続きも当協会ではサポートしています。何が違うかと言えば、依頼者が「亡くなった本人」か「家族」かの違いがあります。

確かに死後事務委任契約は亡くなったご本人と事前に結んでおくものですが、事前に死後事務委任契約を結んでいなかったからといって、死後事務の手続きを第三者ができないわけではありません。

故人の権利義務や故人の死後の手続きを行うべき家族から委任を受ければ、私たちのような士業は家族の代理人として活動することができますので、ご本人から生前に依頼を受けて行う死後事務委任契約となんら変わらないサポートが可能です。

もともと、死後事務や相続手続きは家族や相続人が行ってきたものですが、近年の超高齢社会の影響などから身近な人に迷惑をかけないようにと、注目を集めてきたのが死後事務委任契約となります。

ですので、本来、手続きを行うご家族や相続人の方の協力があれば、私たちのような士業は通常の相続業務と同様に死後事務のサポートも行うことが可能なわけですね。

今回のご相談は、そうした家族の方からの死後事務のサポートに関するご相談です。

故人は名古屋市内に在住していた方ですが、相続人となられるご兄妹は遠方に住んでおり、年齢などの関係からも気軽に名古屋へ来られる状況ではありません。そうした中でインターネットで当協会の情報をご覧になり、相談のお電話を頂いたという経緯です。

葬儀の関連で名古屋に来られるタイミングで、面談を行うことになり、ご相談者以外の相続人がいる待ち合わせ場所で打ち合わせをすることとなりました。

その際に聞いた話しなのですが、今回亡くなった弟さんとは別に数年前にお姉さまが亡くなったそうです。お姉さまもお一人身の方だったようですが、事前に死後事務に関する手続きを第三者へと依頼してあったとのこと。

ですので、お姉さまが亡くなった時は、葬儀から相続手続きまで全ての死後事務を相続人以外の第三者が行ってくれていたため、ご相談者の方達は必要な書類を提出したり、署名捺印する程度くらいの関与しかしていません。

そうしたちょっとした手続きへの協力だけで、預貯金の払戻し金が指定の口座へ入金され、お姉さまが所有していた不動産の名義は相続人名義へと変更され、当然役場関係の手続きも全て終えられており、非常に手間いらずの状態でお姉さまの死後事務と相続手続きを終えたそうです。

そんな経緯から、今回の相続人の中には「相続手続き何するものぞ」とばかりに、相続や死後事務の手続きは非常に簡単なものといったイメージを持たれている方もいらっしゃいました。

しかし、それはお姉さまが事前に死後事務を信頼できる方へと依頼してあったからこそであり、一般的に死後事務や相続手続きは難解でメンドクサイものです。でなければ、週刊誌などで相続や死後事務関連の特集があんなにも組まれたりしませんよね。

そして今回直面した弟さんの相続と死後事務の手続き。ご相談者の方はわざわざ相談の電話を入れてきている訳ですから、相続や死後事務手続きが簡単にはすまないだろうと思っていらっしいます。

しかし、相続人の方の中には上で述べたお姉さまの時のイメージが残っているのか、私が伺った際に「何を依頼するの~、自分達でやれるでしょう~、お姉さんの時はすぐ終わったじゃないの~」と、楽観的に考えている方が何名かいらっしゃいます。

もちろん、ご家族の方々で手続きできるのなら問題ありませんし、私たちが出る幕ではないのですが、電話相談を受けた際に何点か気になる点がありましたので、依頼をされるかどうかは別に、「とりあえず、今後の手続きと流れを確認してみませんか?」とご提案。

葬儀以降に発生する手続き、役場での手続き、葬祭費の請求、未支給年金の受け取りの可否、公共料金の支払いや各種契約の解約、遺品整理に賃貸物件の明渡しと、ひとつひとつ確認していきます。

そうした中、打ち合わせ前に事前に故人の室内の状況を確認していたご相談者の方からカメラに収めた室内の状況を見せてもらうと、悪い予感が的中です。

室内の状況はいわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれる状況で、天井に届きそうなくらいのゴミの山。トイレやお風呂なども使用できない状況で汚物も散乱し、明らかに通常の退去費用では収まらないケースです。

もちろん、部屋がゴミ屋敷で原状回復費用が高額になると予想される場合であっても、それを上回る相続財産があれば問題ありません。

しかし、室内から探し出した通帳を見ると残高はそれほど多くはありません。記帳するか残高証明を取得してみないと正確なことはいえませんが、遺品整理と原状回復の費用にはまったく足りない状況と予想されます。

亡くなった弟さんの日頃の生活状況を聞いてみると、最近はあまり親交は無かったようですが、昔は消費者金融からの借入も頻繁に繰り返していたようで、場合によっては借金についても心配しないといけない状況です。

その他、賃貸物件の契約状況やお姉さまが亡くなった際の相続状況なども確認していくうちに、「本当に相続されますか?」という根本的な問題へと立ち戻ることとなりました。

私が訪問した段階では、相続もするし、死後事務もやらないといけない、難しい部分は専門家に依頼しようという感じでしたが、状況を整理していき、今後の必要となる手続きや予算、そして残った遺産の状況を確認していったところ、相続人の方々の考えは「これは相続したら大変なことになるのでは?」という認識へと変わっていきました。

幸い相談の電話も早かったため、故人の財産には遺品整理も含めて何も手を付けていない状況ですので、相続放棄を選択肢に入れることも可能です。

ご家族が実際に相続放棄するのか、敢えて相続して手続きを進めていくのかはご家族の判断に任せることになりますが、ただ単に相続して死後事務を行っていくというだけでは、予想外の債務を負う危険性を知って頂けたことは今後の大きな判断材料にして頂けるかと思います。

本来は死後事務を受任していく立場ではありますが、相続人のことを考えれば依頼内容と正反対とも言える「相続放棄」を提案させて頂くこともあります。

今回のケースは、同じ家族の相続で死後の準備をしっかりしていたお姉さまと、まったく準備しておらず突然に亡くなってしまった弟様のケースで、死後の準備の大切さをまざまざと見せつけるものとなりました。

今回のケースでもわかる通り、離れて暮らす家族にとっては、本人がどういった生活をしており、どのような財産や負債を持っているのかは全くわからないのが普通です。

今回のお姉さまのようにしっかりと死後事務委任契約を第三者と契約しておくのが理想ではありますが、そうでなくても、最低限、銀行の口座や負債の有無など相続人となられる方が判断に迷わないようにメモを残しておくと死後の手続きをする方にとっては大きな手助けとなります。

最近は本屋さんへいけば、エンディングノートのように死後の手続きに必要な事項をまとめた冊子も沢山売っていますので、そうした物を活用すると、何を書いておけば死後の手続きに役立つのかを簡単に整理することができます。

相続や死後の手続き、死後事務委任のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

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2021.08.23

家族や親戚に知らせずに葬儀をあげることは可能か?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

早い地域だと今週から新学期が開始する学校もあるのですね。8月いっぱいは夏休みかと思っていましたが、この感染が拡大する中での新学期開始は少々心配になります。

小児への感染も増加しているようですので、まずは自己防衛の徹底で家族を守る行動をとっていきましょう。

さてさて、本日も死後事務委任に関するお話しです。先日、所属する士業の団体の勉強会に葬儀業者の代表を招いての勉強会が行われましたので参加してきました。

いろいろと興味深いお話しもあり大変参考になったのですが、その中のお話しで近年の葬儀の際の会葬者の人数のお話しがありました。

もう何年も前から「家族葬」という言葉を聞くようになり、コロナ禍で会葬者の多い葬儀が出来ない状況も合わさって、ここ数年の葬儀の様相はガラッと変わっているそうです。

2017年データーでも3割弱は会葬者20人未満の葬儀だったようで、コロナ禍の状況を考えると今の葬儀は本当に身近な親族だけになっていると思われます。

こうした葬儀の会葬者が減る中で、では反対にどこまで会葬者を減らすことができるのか?と考えたことはありますでしょうか?

最近はゼロ葬という言葉もあるくらいで、もともとの遺骨を持ち帰らないという意味から、葬儀へかける費用や負担を限りなく少なくするという意味にも使用されてきています。

死後事務委任契約のご依頼者の中には、家族や親族がいたとしても「葬儀には誰も呼ばないで欲しい」「家族には知らせずに葬儀を行って欲しい」「家族や親戚には葬儀や納骨が終わってから知らせて欲しい」という希望を持たれている方がけっこういます。

上でいう「葬儀」とは、宗教的儀式の葬儀だけではなく、宗教的儀式を行わない「直葬」なども含んでいるのですが、直葬のような場合であっても、火葬場へ親族が来ることは別段問題はありませんので、そうした火葬場へも来ないようにする為にあえて、死亡通知を葬儀や納骨後に指定される方もいらっしゃいます。

これには様々な理由があり、
①親族や親戚との折り合いが悪い
②相続人として甥や姪がいるが、疎遠なため葬儀に呼ばれても困るだろうと考えてあえて知らせない
③親族や親戚とは良好な関係だが、遠方に住んでおり高齢の体に負担を掛けてまで来てもらわなくてよい

など、親族間の不仲から相手の事を思いやってあえて葬儀には来なくてよいとする内容まで様々です。

では、実際のところ家族や親戚に内緒で葬儀から火葬、埋納骨まで行うことは可能なのでしょうか?結論から言うと「可能」です。

実際に私たちのような死後事務を支援する団体では、依頼者と結んだ「死後事務委任契約」に基づいて、葬儀や納骨などを行っていきますが、契約にあたって、葬儀のプランや誰に通知して誰を呼ぶのか、または誰も呼ばずに葬儀を実施するのかなどを細かく打ち合わせを行い、それを契約書としてまとめます。

そうした契約書の内容に「葬儀は直葬」「親族や知人へは納骨後に通知」などの要望が盛り込まれている場合は、死後事務受任者としては、契約書に記載された通りに死後事務を執行していきますので、依頼者に万が一の事があった場合は親族や親戚には知らせずに葬儀から埋納骨まで終わらせることもあります。

いや、そうは言っても依頼者が死んだらまずは家族へ連絡が入るでしょ!?」と思われる方も多いのではないでしょうか。

どのような形で亡くなったかにもよりますが、一般的な病気で入院、その後に死亡という流れの場合では、家族へ死亡連絡がいかないということは珍しくありません。

そもそも病院が連絡する相手は誰なのか?というと、依頼者本人が入院する際に入院申込書などに記載した連絡先に病院は連絡します。

病院が患者の家族や親戚の連絡先を当然に知っている訳でありませんので、患者本人が申込書へ記載した連絡先しか病院は知り得ない訳です。

そうした場合に、その連絡先に私たちのような死後事務支援を行う団体の名前が記載されている場合は、病院は家族以外であってもそこしか連絡先がありませんので、患者が死亡した事、患者の遺体の引取り、未払いの治療費の請求などは、入院申込書へ記載されている「身元保証人」や「身元引受人」「入院治療費の支払い者」等へなされることとなります。

つまり、患者本人が亡くなった場合であっても、入院申込書への記載内容によっては、たとえ家族であっても本人の死亡を知らないまま、患者が希望した身元引受人等へ遺体が引渡されることとなります。

そのようなケースですと、そのまま葬儀や火葬、埋納骨と死後事務委任契約書の内容に従って粛々と進められていきますので、依頼者からどのタイミングで家族や親戚に通知をして欲しいという希望がなされているかによって、家族や親戚が依頼者の死亡を知るタイミングは前後することとなります。

依頼者によっては、「誰にも一切通知しないで欲しい」という希望を持たれている方もいますので、そうした場合は、死後事務受任者としては誰にも通知を行うことなく死後事務の執行を終わることもあります。

ただし、依頼者の方に相続人がいる場合は、例え遺言書で「相続人へは一切財産を渡さない」としていた場合であっても、遺言執行者としては相続人へ財産目録等を整えて通知する義務がありますので、死後事務受任者としては通知しなくても、遺言執行者としては通知するということはあります。

この場合であっても、遺言執行者が通知するタイミングは故人の財産をある程度調査した後になるのが普通ですので、依頼者の方が誰にも通知しなくて良いとしていた場合は、葬儀や埋納骨が終了した後に通知がなされるケースがほとんどでしょう。

では、本題に戻って「会葬者はどこまで減らせるのか」というと、実際には喪主だけで十分という結論となります。この喪主も必ずしも親族である必要はありませんので、第三者の死後事務受任者が喪主を務めるのでしたら、親族、親戚等は誰も参加せずに葬儀、火葬、埋納骨まで終えることは可能となります。

死後事務委任契約は基本的には家族や親戚の意向ではなく、本人の希望を大前提で進めていく契約となり、家族や親戚が例え反対の考えを持っていたとしても、契約書の効力によって本人の希望が優先されるのが「死後事務委任契約」となります。

死後事務委任契約は契約書の名前の通り、死後の事務を委任する契約である為、契約の効力が発効した段階では、依頼者本人は死亡しています。

つまり、何か問題が起きた場合であっても後からその内容を本人に確認するということはできませんので、死後事務委任契約書を作る際は事前の打ち合わせが非常に重要となってきます。

トラブルなく死後事務を第三者へ依頼したい場合は死後事務を専門に扱う士業へご相談くださいね。

自分の死後についての強い希望があるようでしたら、死後事務委任契約をご検討ください。ご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

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2021.08.22

死後事務委任契約と米寿のお祝い?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

オリンピックも終わり再び世間はコロナの話題一色となってきましたね。私のところにもワクチン接種の案内が届き幸い掛かりつけの病院で接種が可能でしたので来週にも一回目を接収を行ってきます。

この仕事はどうしても高齢者の方々との打ち合わせが多くなりますので、まずは2回の接種を無事に終えたいと思います。

さてさて、本日は死後事務委任契約の依頼者の方へ行っている安否確認とその際のちょっとした小話についてです。

死後事務支援協会にて死後事務のご依頼を頂いている方へは定期的に安否確認を行っており、依頼者の希望する方法での安否確認を行っております。

今月契約された方は皆さんお若くそのうち3人は全て50代の現役で働かれている方々です。別段持病があるわけでもなく、死後事務を考えなければいけないような差し迫った事情がある方々ではないのですが、コロナ禍ということと、ワクチン接種を予定していることから万が一に備えてという方々です。

そうした若い方々でしたら、死後事務のご依頼を頂いている期間の安否確認は携帯やスマホなどからSMSを利用したメッセージのやりとりで行うことも簡単にできます。

ただ、高齢者の方の中には、そうした機器の操作に不慣れな方は当然おおくいらっしゃいますので、そうした方々へは電話などでの安否確認を実施しているところです。

そうした安否確認を実施している高齢者の方の中に県外にお住まいの方で、今年88歳の米寿を迎えられた方がおり、せっかくでしたので安否確認の電話を誕生日に合わせて入れさせて頂きました。

その方には毎月安否確認の電話入れていますので、日頃からあれやこれや世間話しに花を咲かせているところではありますが、「米寿ですね!」とお祝いを伝えたところ、「よくま~ここまで生きたものだわ」とおっしゃいます。

その方は子供の頃から原因不明の体調不良に悩まされていたのですが、現在は原因も判明し対処も行ったことから日常生活には支障がない状況にまで回復しています。

ただ、原因が判明した際に病院のドクターから言われたのが「あんたこれまで良く生きてたな!」との一言。なかなか辛辣な言葉にも聞こえますが、実際にそれくらい危険な状況を綱渡りで過ごしてきたようなもので、そうした過去の出来事を思い出して漏れ出た言葉が、先の「よくま~ここまで生きたものだわ」に滲み出ていたかに思います。

体調不良の原因は解消しても、それでも88歳の米寿を迎えた方でもありますので、コロナに限らずこの真夏の暑さも大変危険でもありますので、「熱中症などにも気を付けて」と伝えると「あんたも若いからっていって注意を怠ったらあかんよ!今のご時世なにがあるかわからんに」と反対に心配されてしまいました(笑)

医者の不養生ではありませんが、コロナでは若い方も亡くなっていますので、ちょっとした気の緩みでどうなってしまうか分からないご時世でもありますから、死後事務を担う者として、まずは自分の健康を第一に仕事を進めていかないといけないなと、改めて考えさせられる先達からのお言葉です。

8月も終わろうとしていますが、まだまだ暑い時期が続きます。コロナもそうですが、高齢者の方は熱中症も大敵となりますので、無理せずエアコン等の空調を利用して体に負担のないようにお過ごしくださいね。

死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。

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2021.08.05

コロナワクチン接種に備えて死後事務委任契約?

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。オリンピックも折り返しとなり、日本人選手の活躍に心が躍りますね。全力を出し切れる競技になってもらいたいと願っています。

さてさて、オリンピックの裏で暗躍するコロナウイルス。関東では第5波と緊急事態宣言の再発出といまだ予断をゆるさない状況が続いています。

医療機関及び医療従事者の皆様もおかげでワクチン接種も進んでいるところですが、長年の積み重ねのあるインフルエンザのワクチンと違って、緊急対応的に使用が認められたワクチンでもあるため、副反応が怖いといった反応もありますよね。

副反応の症状は様々ですが、発熱や腕が腫れるといった軽い症状なら問題はありませんが、ワクチンとの因果関係は不明なものの、接種した後に亡くなった人がいるという情報を聞くとどうしても「万が一があったら、、、」と不安になるのは仕方ありません。

私自身も先週のワクチン接種の案内が名古屋市より郵送で届きましたので、予約開始時期がきましたら予約をしてワクチン接種に臨みたいと思ってはいます。

しかし、私はこれまでインフルエンザにも罹ったことがなく、インフルエンザの予防接種も受けたことがありません。そうした予防接種未経験者の為、コロナワクチンの予防接種ではどういった副反応が起きるのかや、または初めての予防接種で激しい副反応が出たりするのではないかと心配をしていたりします。

こうした心配は私だけではなく、実際に死後事務委任契約の準備を進めている方との面談の中でもチラホラと同じような心配を耳にすることがあります。

死後事務委任契約の依頼者の多くは、緊急時にすぐに動ける親族がいないケースがほとんどです。これは、家族仲が悪いといったケースだけではなく、単に親族が誰もいなかったり、または親族が遠方に住んでいてすぐには駆け付けられないといった様々なケースがございます。

そうした状況下で、コロナワクチンを接種し、もし万が一があったらどうしよう?という心配から始まり、ワクチン接収に限らず、病気や事故で突然死んでしまったら、私の死後の手続きはいったい誰が行ってくれるの?という、これまであまり考えなかった、または無意識に避けてきた問題にコロナワクチンの接種という問題を機会に改めて考え直される方々がいます。

少し前まではコロナワクチンの接種対象が高齢者となっていましたので、死後事務委任契約が完了した高齢者の方などは、「これでワクチン接種で何か起きても安心だわ」と冗談めかしておっしゃっていました。

しかし、最近はワクチン接種の対象も40代~50代位の方へも対象が拡がってきており、比較的若い方の死後事務委任契約では、これからワクチン接収を受けるという方もいらっしゃいます。

死後事務支援協会で行っている死後事務委任契約では、遺言書と死後事務委任契約を公正証書で作成するのを基本としています。

ですので、死後事務支援協会での聴き取りや遺言者や死後事務委任契約書の原案の作成を行った後には、公証人へと文案を渡し、公正証書の下書きを行って頂いた上で、公証役場へと赴き実際に公正証書の作成となります。

そうした公正証書が出来上がる一連の流れの中で、死後事務支援協会との打ち合わせが終わった後に、実際に公証役場へ赴くまでに1週間~2週間程、空きの時間ができます。(公証人の下書きと、日程調整のため)

では、この1週間~2週間程の空き時間の間に「万が一の事」が起きたらどうなるのでしょうか。例えば、この空き時間の間にちょうどコロナワクチンの接種の予定がある方などです。

実際に現在死後事務委任契約の準備を進めている方の中には、この空き時間の間にコロナワクチンの接種を予定している方がいらっしゃいます。

依頼者の方はコロナワクチン接収に備えて死後事務委任契約の準備を始めた訳ではありませんが、コロナワクチンの接種を目前に控えた状態で、「もし、公正証書が出来上がる前にワクチンの副反応で万が一があったら、、、」と考えてしまう訳ですね。

せっかくここまで準備してきたのに、1週間程のタイミングのズレで、遺言書と死後事務委任契約書を公正証書で作り上げることができなかったとしたら。

仮定の問題として、公正証書で遺言書や死後事務委任契約書を作成する前に、万が一コロナワクチンの副反応等で依頼者が亡くなってしまったとしたら、どうなるのでしょうか。

基本的に、遺言書や死後事務委任契約書は作成された段階で効果を発揮します。反対に言うなら、作成されない限りはいくら「私はこうしたい!」と周りに伝えてあったとしても、それはあくまで本人の希望であり、確実な法的効果が及ぶものではありません。(死後事務委任は口頭で成立する可能性はありますが、、)

つまり、遺言書で遺言執行者に指定されている方も、死後事務委任契約書で死後事務受任者として指定されている方も、遺言書と死後事務委任契約書が作成されない限りはあくまで「候補者」や「予定者」であり、作成されてはじめて、遺言書や死後事務を執行する権限を手にいれることとなります。

簡潔に言うなら、遺言書や死後事務委任契約書が作成される前においては、遺言執行者や死後事務受任者になる予定の者は何もできない。ということになります。

当然それでは困る!というケースもあるでしょうから、これの対処としては公正証書以外での書面で準備しておくということです。

遺言書も死後事務委任契約書も公正証書でなければダメというものではありません。ですので、「自筆証書遺言」と「一般契約書での死後事務委任契約書」でしたら、即日でも作成は可能ですので、コロナワクチンで万が一の事があったら心配という方は、この方法で準備しておくと良いかもしれません。

つまり、公正証書ができるまでは、自筆証書遺言と一般契約書の死後事務委任契約書で対処し、公正証書が出来上がったら、そちらに差し替えるという流れですね。

自筆証書遺言も一般契約書での死後事務委任契約書も正式な書類ですので、当然その書類に書かれている「遺言執行者」や「死後事務受任者」は、公正証書で作成した場合と変わらない手続きをすることができます。

ただし、自筆証書遺言の為、家庭裁判所の検認手続きを経る必要があったり、公正証書程の信用力がないという面はあります。

この方法は、何も公正証書を作成する前提での話しではなく、これからコロナワクチンを接種する方で同じような心配をされている方にも有効な方法です。

公正証書遺言を作成するほどの事はないが、万が一に備えておきたいといった場合でも、とりあえず、「自筆証書遺言」と「一般契約書の死後事務委任契約書」のこの2点だけを準備しておけば、私たちのような士業は依頼者の為に活動ができるようになりますので、ご心配をされているような場合はご相談くださいね。

急な手術や入院の万が一に備えたい方へ

コロナワクチンに限らず、急な手術や入院の際の万が一に備えておきたいとは誰しもが考えることです。

そうした緊急時に財産だけではなく、自分の死後の手続きについても併せて準備しておきたいとお考えの場合は、死後事務支援協会にて対応いたしますのでご相談ください。費用等は「
実例3」をご参照ください。

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2021.07.29

死後事務費用の払い方(死後事務受任者は預貯金を解約できる!?)

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。梅雨明け後は連日の猛暑日で体が溶けそうですね。オリンピックの選手たちもこの暑い中大変かと思いますが、熱中症にはお気をつけください。

さてさて、今回は死後事務委任契約を執行する際のお金の話し。先日、死後事務委任契約のご依頼を受けた方からこんな素朴な疑問を投げかけられました。

ご依頼者「銀行に金は残しておくから、そこから死後事務に掛かる経費や報酬を支払ってもらうのはええんだけれども、キャッシュカードを預けて暗証番号を伝えておけばええのか?」

私「いえいえい、キャッシュカードも暗証番号も預けて頂く必要はなく、万が一の際は私たちが〇〇さんの預貯金の払戻し手続きを取りますので、払い戻されたお金から費用や報酬の支払いに充てさせて頂きます」

ご依頼者「そうはいっても、家族でもない人間が他人の預貯金の解約なんてできへんだろ?」

といった、死後事務委任契約に掛かる費用を依頼者の所有する預貯金の口座を解約し、払戻しのされた金額より経費等を支払うという、士業にとっては一般的な金融機関の相続手続きに関する疑問です。

士業にとっては日常業務であったとしても、一般の方からしたら「他人の口座を家族でもない人間がどうして解約できるの?」という疑問は当然にありますよね。

もともと、死後事務委任契約を執行する場合の費用の支払い方法としては、

①預託金から支払う方法
葬儀費用や納骨、遺品整理といった費用を死後事務を実行する人(死後事務受任者)へと事前に預けておき、その中から掛かった経費を支払ってもうら方法

②相続人に清算してもらう方法
死後事務に掛かった費用を最終的に依頼者の相続人に支払ってもらう方法

③信託銀行を利用する方法
信託銀行に予めお金を預けておき、死後事務受任者が領収証等の支払いを証明する書類等を提出して、掛かった費用を清算する方法

④依頼者の預貯金口座より支払いを行う方法
依頼者の方の預貯金口座を解約し残っているお金から支払う方法

細かく上げればその他の方法もありますが、死後事務委任契約を執行した場合の費用の支払い方法として上の方法が主な物になるかと思われます。

①~④の方法はそれぞれメリットデメリットがありますが、私たち死後事務支援協会では基本的には④の依頼者の預貯金口座から清算させて頂く「遺産清算方式」にて行っております。

遺産清算方式の場合は、当然、上のご相談者のように「親族でもない他人(死後事務受任者)が、故人の預貯金を解約できるのか?」といった疑問を持たれることなります。

では、死後事務受任者は死後事務委任契約を受けている事を理由に故人の預貯金を解約できるのか?と言えば、答えは「出来ません」となります。

死後事務受任者が預貯金を解約できないのに、どうやって故人の預貯金から死後事務に掛かった費用を支払うのか?というと、実はここで「遺言執行者」というもうひとつ立場がでてきます。

言葉を整理してみると、
死後事務受任者・・・死後事務委任契約によって依頼者より死後の手続きの依頼を受けた者

遺言執行者・・・遺言書にて遺言の内容を実現する者として遺言者から遺言書中に指定された者

つまり、死後事務受任者と遺言執行者は別々の立場で別々の権限を持っている者となります。

別々の立場と別々の権限を持っているからといって、別々の人間が行わないといけないという訳ではありませんから、
実際には遺言執行者兼死後事務受任者となることも問題ありません。

私たち死後事務支援協会で死後事務委任契約を結んで頂く場合も「遺言書」を作成して頂き、その遺言の遺言執行者として死後事務支援協会を指定して頂いております。

恐らく、ここでまた混乱してくると思いますので、「遺言書」と「死後事務委任契約書」の違いを簡単におさらいしておきます。

「遺言書」は主に自分が亡くなった場合の財産の行方を決めておく書面となります。財産以外の身分事項等についても決めておくことはできますが、法律で定められた「遺言事項」以外には遺言書としての法的保護は及びません。

つまり、葬儀の方法や散骨の希望などを書いておいたとしても、それは遺言事項にはなっていないため、法的な保護は及ばず、あくまで故人の「お願い」となってしまうわけです。

極端な話し、遺言書に葬儀の方法等の希望が書いてあったとしても、それを見た家族がその希望を叶えるかどうかは、家族次第ということになります。

では、そうした遺言書に記載しても確実な効果が見込めない希望を実現するにはどうしたらいいのか?そこで効果を発揮するのが「死後事務委任契約書」というわけですね。

死後事務委任契約は、死後事務を実行する死後事務受任者の承諾を得て締結される契約ですので、死後事務受任者となった者は、勝手に死後事務委任契約に反す行為を行ったり、死後事務受任者に就任することを正当な理由なく拒否することはできません。

ですので、葬儀の方法や散骨の希望など、遺言書に記載しても法的な保護が及ばない内容も、死後事務委任契約書に記載することで、死後事務受任者となった者は「契約内容」を実現する義務が発生することになり、遺言書に記載しておくよりも強い実現性があることになります。

まとめると、死後事務委任契約書を作成された際に死後事務を実現する者が「死後事務受任者」であり、遺言書を作成した際に遺言書の内容を実現する者が「遺言執行者」となるわけです。

これで、死後事務委任契約書と遺言書のふたつの書面とそれぞれの内容を実現する受任者、執行者のふたつの立場があることがお分かりいただけるかと思います。

本題に戻って、故人の預貯金は「死後事務受任者」には解約払戻しはできないことに対する解決策は、「遺言執行者」が遺言執行者の立場で故人の預貯金の払い戻し手続きを行えばいいということになります。

死後事務受任者は故人の預貯金の解約はできないのに、遺言執行者はなんでできるの?という疑問は当然ありますが、答えは簡単明瞭。法律で遺言執行者は預貯金の解約の申し入れをすることができると定められているからです!

無駄に長くなってしまいましたが、結論を書くと死後事務委任契約に掛かる費用の支払いを故人の預貯金から行おうと考えた場合、死後事務委任契約だけでは不可能だが、死後事務委任契約と併せて遺言書を作成して、遺言執行者を定めておくことで、遺言執行者から死後事務に掛かった経費を支払ってもらうように準備することができるようになるということです。

反対に死後事務委任契約書だけの場合は、故人の預貯金口座を死後事務受任者が解約することはできませんので、「預託金」等で予め死後事務に掛かる費用を預かっておかないと、死後事務に掛かる費用を支払えなくなってしまうことになるということです。

こうした部分は多分に相続や法律知識の必要となるところでもありますので、死後事務委任契約をお考えの場合は専門の士業または死後事務支援協会へご相談くださいね。

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2021.07.12

遠方に住んでいる相続人からの死後事務代行のご依頼

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。梅雨明けも近いとあって夜中の気温も高いままですね。

高齢者の方は夜間のトイレを嫌がって寝る前に水分を摂ることを控えてしまう傾向にありますが、寝る前の一杯の水が熱中症を防ぐことに繋がることもありますので、冷房も効果的に活用して熱中症にならないよう対策していってください。

特にひとり暮らしの高齢者は熱中症になっても誰にも気づいてもらえず亡くなってしまうケースがこの季節は急増しますので厳重注意です!

さて、先日そんなおひとり暮らしの方が孤独死したご家族からご相談頂いた案件があります。九州地区にお住まいの方から愛知県で暮らしていたおひとり暮らしの兄弟が孤独死状態で見つかったとのこと。

現在は警察にてDNA鑑定中だが、鑑定が出た後の死後事務を丸っと任せることはできないか?というご相談です。依頼内容としては、

・DNA鑑定が終了した遺体の警察または葬儀業者からの引取り
・死体検案書の取得
・葬儀の代行(喪主の代行)
・遺骨の郵送手配
・各種行政手続き
・遺品整理
・財産整理と財産目録の作成
・遺産整理業務 等々

もちろん大丈夫です。

死後事務支援協会では通常依頼者本人との「死後事務委任契約書」に基づいて、依頼者の死後の発生する上記の内容のような死後事務を家族に代わって代行しておりますが、家族からの依頼でももちろん手続きは可能です。

本来、死後事務というものは家族が行うべきものを、近年の単身者や未婚者の増加を背景に疎遠な親族関係から、死後の手続きを行ってくれる家族がいない方が増えてきた為、家族に代わって死後事務を行う死後事務委任契約の需要が増えてきました。

そうした方々の死後に発生する手続きを親族以外の方が故人の遺志を尊重した形で行えるように整えたのが「死後事務委任契約書」であります。

ですので、死後事務を行う意思のあるご家族がいるなら、当然ご家族が行えば良く、第三者が手を出す必要はありません。

ただ、このコロナ禍で県を跨いでの移動が憚られる中、高齢の親族が慣れない土地で死後事務を何週間にも渡って行うのは体力的にも精神的にも非常にハードなのは間違いありません。

場合によっては、死後事務を行っている親族が倒れてしまうということにもなりかねませんので、そうした場合は私たちのような死後事務の専門家にご依頼頂ければ、ご家族に代わって必要な死後事務を全てご家族に代わって行うことが可能です。

私たちからすれば、もともと相続人がいない場合を想定した上で、依頼者本人が亡くなった後の手続きを法律上瑕疵の無い形で進めていくのが普段の業務となりますから、むしろ正式な権限を持っている相続人からご依頼頂けるのでしたら、普段の業務よりもトラブルなくかつスピーディーに手続きを進めることが可能となりますので、仕事としてはやりやすいくらいです。

コロナで長距離の移動が難しい、高齢で体力的に手続きが不安だ、疎遠な親族だったからなるべく簡便に手続きをすませてしまいたい。

といった、なるべく親族に負担の少ない形で死後事務を行っていきたいとお考えでしたらいつでもご相談ください。

死後事務、相続、遺品整理専門の士業がご相談に応じております。

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2021.07.10

自筆証書遺言の検認と銀行での手続き

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。

今日の名古屋は久々の快晴です。来週は梅雨明けも期待できるとのことで、待ち遠しい限りです。しかし、梅雨が明けたら明けたで今度は熱中症の危険も一気に高まってきますので、おひとり暮らしの方は特に注意してくださいね。

さて、先日来より死後事務を進めてきました緊急依頼で受任した案件についてです。依頼者の方は受任してから1月程で亡くなった為、事前の準備は完璧とまではいかなかった案件です。

しかし、そうしたケースは死後事務委任を行っていく中では珍しくはないもので、出来うる限りの対応を求められるのもまた事実です。

この案件は依頼者の方から連絡をもらった段階では既に依頼者にて大半の整理を進めていたこともあり、死後事務についてはそれほど煩雑な手続きはなく、通常のご依頼と同じ流れで進めることができました。

ですので、葬儀や遺品整理、行政手続きといった内容は数週間で全て終わっていました。(携帯料金や介護費用の還付金等はもう少し時間が掛かりますが、、、)

そうなってくると、後は費用の清算ということになります。清算にあてる費用は基本的に故人の遺産からとなります。死後事務委任契約では「預託金」として予め清算等に必要な金銭を預かるという方法を採られている事務所もありますが、当社団では原則預託金は預かりませんので、清算に必要な金銭は遺言執行者として故人の預貯金の払戻し手続きをした上で支払うこととなります。

しかし、金融機関での預貯金の払戻し手続きは通帳と印鑑を持っていけば応じてもらえるような簡単なものではなく、銀行所定の用紙に必要事項を記入し、故人と相続人の戸籍を集め、かつ手続きする人間が解約する権限を持っているのかどうかの審査を経て初めて解約に応じてもらえるものとなり、実際に解約金の払戻しを受けるまでにはけっこうな時間が必要となります。

特に今回のご依頼のような「自筆証書遺言」のケースでは、公正証書遺言や自筆証書遺言の保管制度を使用しているケースとは異なり、「家庭裁判所の検認手続き」という段階を踏まないと、銀行での受付はしてもらえません。

家庭裁判所での検認手続きとは、遺言書を発見した人や保管していた人などが、自筆証書遺言を家庭裁判所へと持っていき、家庭裁判所にて遺言書がどのような形で保管されて、どういった経緯で発見され、そして発見された遺言書はどういった物だったかを記録しておき、後々の遺言書の改ざんなどに備えておく手続きとなります。

この検認手続きを終えると、遺言書に「検認済み」の用紙を合綴されて返却されますので、これでようやく銀行などで手続きが可能となるわけですね。

ただ、この検認手続きを家庭裁判所に申請するのにも故人や相続人の戸籍を集めないといけませんし、特に死後事務委任契約を依頼される方の場合は、直系の相続人がおらず、相続人が兄妹姉妹となるケースも多く、戸籍を集めるのも一番時間が掛かる場合がほとんどです。

今回のご依頼でもそうした戸籍を集めて、家庭裁判所の検認も無事終わり、後は金融機関で預貯金の払戻しを行うという段階になったのですが、ここでひとつ不安があります。

今回の緊急依頼では、依頼者の方の体力的な面から公正証書作成が間に合わないかもしれないと危惧して自筆証書遺言を作成して頂きました。

結果的にはこれが功を奏した形ではあったのですが、心配なのは自筆証書遺言に訂正が入っていることです。自筆証書遺言は文字通り、全文を自筆で書いて頂くことが基本となりますが、その分手軽に作成することが可能となります。

ただ、専門の公証人等が作成する公正証書遺言とは異なり、書き方を間違えたり、自筆証書遺言の要件を欠いていたりすると遺言自体が無効となってしまう危険もあるため、自筆証書遺言の作成にはそうした危険もあることを認識した上で作成する必要があります。

この自筆証書遺言を作成する上での危険のひとつが、書き間違えた際の訂正の方法です。自筆証書遺言を作成するケースでは、当然遺言の内容を書き間違えるということもあります。

書き間違えたなら書き直せばいいのですが、基本的に遺言書は鉛筆などの訂正の容易な筆記用具ではなぐ、訂正の難しいボールペンなどで作成されますので、消しゴムで消して書き直しということができません。

ですので、書き間違えがあった場合に一番良いのが、遺言書を最初から作り直すということです。つまり、書き間違えたなら、訂正するのではなく、最初から新しい用紙に書き直すということです。

なぜそのような手間をかけるのかというと、自筆証書遺言のケースではその訂正の仕方も全て法律で規定されており、訂正の方法を間違えてしまうと、その訂正は無かった物(書き間違えた内容が正規の内容になる)として扱われてしまうからです。

訂正箇所が軽微な間違いならいいのですが、遺贈する金額だったり、遺贈する相手の名前だったりを間違てしまうと大きなトラブルのもととなってしまう訳ですね。

そして今回のご依頼の際に作成して頂いた自筆証書遺言には訂正が入っています。ここまで散々言ってきたのに書き直ししなかったの?と思われるかもしれませんが、重篤な病の方の場合は一度書いた遺言書の内容を再度書き直し頂く体力が無いケースもあるのです。

認知機能には全く問題がなくても、体力的な面で自筆証書遺言を何度も書き直すことはできない、そういったケースがあります。

本来こうしたケースでは公証人の先生に病院へ出張してもらい公正証書遺言を作成してもらうのですが、コロナ禍で公証人が病院に入る許可がでなかったため、公正証書遺言を作成することができず、自筆証書遺言を作成するしかなかった訳です。

なんとか書いてもらった自筆証書遺言。できるだけ負担が無いように、事前の希望の聴き取りを行いなるべく簡潔で文章量を少なくした遺言書の原案を作成してはあったのですが、依頼者にとっては初めて作成する遺言書でもありましたので、一部書き間違えがありました。

しかし、書き直しをする程の体力的な余裕もないため、書き間違えた場所を訂正する方法で対応したのですが、震える手で訂正を行うため、文言を記載する場所が微妙にズレてしまっていたりします。

厳密に見たら訂正方法が間違っているとも取れますが、本人の意思はしっかりとわかるという内容でもあり、また、これ以上、訂正に訂正を重ねてしまうと余計に遺言書の内容が分からなくなってしまうため、訂正はそれ以上行わないことにしました。

実際問題として、訂正箇所は遺言執行者に関する部分でしたので、訂正が無効となっても家庭裁判所で遺言執行者の選任申請を改めてすれば良い部分でもあったという理由もあります。

そうはいっても、金融機関で「訂正無効!」とされてしまうと、再度遺言執行者の選任手続きなどで時間が掛かってしまうことになりますので、なるべく訂正した箇所を問題視されないように資料を整えて金融機関に持ち込みをいたしました。

結果、手続きを申請した金融機関は特に問い合わせをされる事もなく、全ての金融機関で問題なく解約に応じてくれてましたのでほっと一安心です。

ここで大事なのは家庭裁判所での検認手続きが無事終わったとしても、検認自体に遺言書の有効、無効を判定する機能は無いということです。

簡単に言えば、家庭裁判所で検認手続きが終わったからといって「この自筆証書遺言は有効な遺言書!」と認められる訳ではないということですね。

最終的にこの遺言書を有効な遺言書として扱うかどうかは金融機関毎の判断に任せられるわけで、場合によっては、この金融機関では解約に応じてくれたけど、あっちの金融機関では応じてくれなかったという事態にもなったわけです。

こうした心配をしない為にも公正証書遺言での作成をお勧めするところではありますが、緊急依頼ではそうもいってはいられません。

死後事務支援協会では、病気や手術で急いで死後事務の準備を整えておかなければいけないといった「緊急依頼」にも応じておりますので、万が一の時はご相談くださいね。専門士業が駆けつけて対応いたします。

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2021.06.01

ギリギリ間に合った遺言と死後事務委任契約

おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の代表の谷です。6月に入り衣替えのシーズンとなりましたね。

普段から遺品整理の現場で作業着を着ていることも多い私ですが、やはり暑い時期にネクタイを締めるのは辛いものがありますので、今月からはノーネクタイでいきたいと思います。

さてさて、本日は死後事務委任契約書作成のお話しですが、コロナ禍においてこれまでは出来たのに、コロナ禍では出来なくなってしまった手続きというものがいくつかあります。その中で私たちの業務に関係してくるのが「遺言書」と「死後事務委任契約書」の作成です。

もちろん、遺言書や死後事務委任契約書が作成できなくなった訳ではなく、コロナ前とコロナ禍で出来なくなった、またはし辛くなった業務があるということです。

それはなにかというと、病院内での公正証書遺言や死後事務委任契約書の作成です。ご存知の通り、現在病院では病院内でのコロナ感染を防ぐために、多くの病院で面会禁止となっています。

ですので、重度の症状の方などでは一度入院してしまったら次に家族と会えるのは「お骨」になってからと言われるほど、感染対策としては徹底されている部分があります。

これは、多数の入院患者を抱える病院内でクラスターでも発生しようものならその被害は甚大な物となってしまうため、仕方のないことでもあります。

しかし、私たちのような遺言書や死後事務委任に携わる者からすると、この対策は依頼者にとって非常に難しい選択を迫ることになりかねないケースだとも考えています。

何故か?というと、遺言書や死後事務委任契約書という物は生前にご本人の最後の希望を記しておく非常に重要な書類となります。

遺言書で言えば、遺言者の方の財産を誰にどのように渡すのかという意思表示が含まれますし、死後事務委任契約書で言えば、万が一自分に何かあった場合には、葬儀や遺骨をどうして欲しい、または遺品整理や自宅の処分をこのようにして欲しいといった、依頼者の最後の希望が書かれている書類となる訳です。

極端な話し、遺言書にしても死後事務委任契約書にしても、本人の「最後の意思表示」と言えるものであり、特に遺言書は法律で定められた通りの要件に従って作成しなければ、「無効」(遺言は無かったものとされる)となってしまう大変重要な書類でもあります。

ですので、多くの専門家が遺言書は無効になる危険性が少ない「公正証書」で作成しましょうと口をすっぱくして言うところではあるのですが、これが現在病院内で作成できなくなっています。

コロナ前であれば、例え重篤の方であっても自分の意思を表明できる程度の能力が残っていれば、公証人の先生が病室まで出張して「公正証書遺言」を作成してくれました。

これは例え、手が動かない、言葉が離せないといった症状がある方でも、公証人の代筆や筆談といった方法でもって作成することができましたので、ある意味最後の意思表示をする機会が平等に与えられているとも言えます。

しかし、この最後の意思表示をする機会がコロナ禍での病院では失われてしまっているのが実情でもあります。

先日ある、肝臓がんを患っている方から緊急のご連絡を頂きました。年齢はまだ60代の方で本来なら第二人生をこれから謳歌していてもおかしくないような方です。

ご相談内容としては、死後事務を託したいという内容ですので、それだけなら普段のご依頼内容と変わりありません。しかし、この方には残された時間が少ない。

ご相談者いわく、医者も既に手の打ちようがない状態で、もって1ヶ月位だろうという病状らしく、実際に面談させて頂い際はお腹には腹水がかなり溜まっているような状況でした。

通常、死後事務委任契約を結ぶ際はご本人様から希望内容の聴き取りや費用の概算、実際の契約書の下書き等を確認して頂く為に何回か面談をさせて頂きながら作成を進めていきます。

しかし、お電話で最初のご相談を頂いた段階で、この方は緊急性が高いことが分かっていましたので、通常通りの手続きでは、間に合わない可能性があります。

そうした場合は、公証人役場に相談すると可能な限り早く公正証書の作成の準備に入って頂けるのですが、この方の場合は既に入院が目前に迫っている状況でもありました。

上でも述べた通り、コロナ前でしたらそうした場合でも入院病棟に公証人の先生が来て頂けて手続きを進めることができたのですが、今回は入院予定先の病院に確認したところ「病棟への入室は一切禁止」とされてしまい、公証人の先生に来て頂くことができません。

病棟に入る前のロビーなどでの作成も検討したのですが、こちらも特別な許可がなければ不可とされてしまい、実質病院内での公正証書の作成は出来ないこととなってしまいました。

では、どうするのか?というと、まずは本人の意思を公正証書以外の書面で残すことが必要です。遺言や死後事務委任契約書という書面は、公正証書でなければ効果がでないという訳ではありません。

むしろ、自筆で書かれる「自筆証書遺言」や一般契約書で作成される死後事務委任契約書の方がその利用率は高いかと思われます。(ただし、遺言書が無効になったり、不明確な死後事務内容になったりする恐れ有り)

公正証書を作成する予定であっても、公正証書を作るまでには印鑑証明書や戸籍の取得、証人2人の確保、公証人の先生との日程調整と、作ろうと思っても即日作成できる物ではありません。

しかし、そうした準備をしている間に体調が悪化して亡くなってしまっては、せっかくのご本人の意思を実現することができなくなってしまうため、公正証書の作成が間に合わなかった場合の保険として自筆証書遺言と一般契約書での死後事務委任契約書を作成しておくことが非常に大事となります。

今回の方も入院は腹水を抜く為の一時的な物であったので退院してから、または入院中でも外出許可を取っての公正証書遺言の作成を目指し、万が一に備えて面談させて頂いた際に自筆証書遺言と死後事務委任契約書の作成を行うという方法で対応しました。

幸いご本人様の遺言や依頼したい死後事務の内容は明確に決まっていましたので、自筆証書遺言と死後事務委任契約書の作成は無事終わりました。

しかし、後はご本人さんの体調の良い日に公正証書の作成をと段取りをしていたのですが、入院先の病院から死亡の連絡が入るという結果に。

残念ながら公正証書での作成には至りませんでしが、念の為にと作成しておいた遺言書と死後事務委任契約書が保険としての効果を発揮する形になった事例となります。

今回の方は自分の病状を正確に把握しており、それに向けてご自身がどうしたいのかをかなり明確にされていましたので、公正証書にする事は叶いませんでしたが、自筆証書遺言や死後事務委任契約書はすぐに準備することができました。

もし、これが入院した後に病院からのご相談の連絡となっていたら、コロナ禍では対応できなかったかもしれません。

ワクチン接収が進めば、こうした病院の厳格な感染対策も緩和されると思われますが、まだまだ予断を許さない状況でもありますので、心配な事があれば専門家の方へなるべく早い段階で相談するようにして頂ければと思います。

死後事務委任のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ。

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お問い合わせ

死後事務支援協会
名古屋市熱田区六番二丁目9-23-604

TEL 052-653-3117
FAX 052-653-3216

お知らせ

2024.11.06

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年12月1日

12月度無料相談会のお知らせ

2024.10.07

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年11月3日

11月度無料相談会のお知らせ

2024.09.02

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年10月6日

10月度無料相談会のお知らせ

2024.08.05

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年9月1日

9月度無料相談会のお知らせ

2024.07.08

毎月第一日曜日に名古屋市の円頓寺商店街にて無料相談会を実施しております。死後事務に関する相談をはじめ、相続や不動産、税金などのご相談がございましたら是非ご利用ください。次回開催 令和6年8月4日

8月度無料相談会のお知らせ
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