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死後事務
2023.03.07
増える死後事務委任に関する相談
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
3月に入り暖かい日が続くようになりましたね。死後事務委任を始めとした毎月恒例の無料相談会で協力頂いている税理士が花粉症で目と鼻を辛そうにしているのを見ると春がきたのだと実感しますね。
さてさて、2023年に入りコロナの影響もだいぶ少なくなってきたように感じます。マスクの着用も自己判断に任せられることとなり、昨年までの外出規制のような感じはもはやなくなってきていますよね。
私たちの協会で毎月第一日曜日に行っている無料相談会でも昨年まではコロナの影響か相談者ゼロという日も度々ありましたが、今年に入ってからは相談者の数も増えてきており、毎月沢山の方に無料相談を利用して頂く日が続いています。
毎月開催の無料相談会では、死後事務に限らず相続や税務、不動産登記などの相談についても提携の税理士及び司法書士等の専門家にて相談に応じております。
相談に来られる方の中には具体的な相談をされる方もいれば、死後事務に関するふんわりとした疑問を聞きに来られる方もいますし、自分の事ではないけれど友人や親戚に関する相談にお見えになる方もいます。
コロナ禍においては電話相談やネット面談なども増えていましたが、やはり直接顔を合わせてお話しを聞けると相談者がどういった事を心配しているのかといったことにも気づきやすくなり、具体的なアドバイスもしやすくなるなと感じています。
死後事務に関する不安や相談がございましたら死後事務支援協会開催の無料相談会をご利用くださいね~。ご来店お待ちしております。
2022.10.20
喰い(悔い)残しがない人生を
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
ドリフの仲本さんが交通事故亡くなられてしまいましたね。8時だよ全員集合をリアルタイムでみていた世代としては悲しい限りです。ご冥福を心よりお祈りいたします。
さて、仲本さんの例に限らず、人の人生何がおきるかはわかりません。そうした場合に備えて利用が進んでいるのが死後事務委任契約ではありますが、先日、当協会をご利用頂いている方が亡くなられました。
もともと病院からのご連絡でかなり慌てて死後事務委任契約を結んだ依頼者の方ではありましたが、当初病院側が予想していた状況とは異なり、お医者さんもびっくりする位、退院されてからは落ち着いた生活が続いており、定期的な安否確認で訪問するとヘルパーさんらと楽しくお話しされていたのを思い出します。
生前のある日のこと、家賃の振込の手伝いに伺った際に依頼者の方が「名古屋のプレミアム商品券」を購入したと嬉しそうに話されていました。
コロナ禍での消費活性化を目当てに名古屋市が発行していたお得な商品券(1万円の購入で1万3千円分の商品券)ですよね。
退院されてからは、おひとりでの外出は難しくほぼご自宅で療養されている状況でしたので、「何か欲しいものでもあるの?」と尋ねたところ「最後に喰い残しが無いようにこれで寿司やメロンを買って来てもらうんだ」と嬉しそうに話されていました。
正直なところ、病状も進んでおりましたのでご本人さんも年を越せるかどうかという感じでいつも生活されていましたので、食べたい物を食べるという楽しみを見つけてくれたことが嬉しかったです。
しかし、そんな話しをしていた矢先に訪問看護の方より緊急入院をされたという連絡が入りました。
病院に確認の電話をしたところ、かなり危ない状況とのことでしたが、幸いそこから持ち直して他の施設へ移るという話しが出る位までに回復されたので、施設入所の契約手続きをを行うために病院へ伺うと、先日のプレミアム商品券が手荷物のカバンから出てきました。
かなりの枚数を使用されていたので、「好きなもの食べれた?」と聞いてみると、「あと少し残ってる」とのことです。移転先の施設では施設のスタッフの方が希望するものを購入してきてくれるという話しでしたので、楽しみにしていると笑顔でおっしゃていました。
プレミアム商品券もまだまだ残っていましたので、使い切るくらい好きな物を食べようねと話して、その日はお別れしたのですが、入所施設へ移る直前になって体調が悪化して移転は中止。そのまま病院で看取りを行うことに決まりました。
ちょうどコロナの第7波が勢いを増してきていたこともあり、病棟へ入ることもできず状況を見守っていましたが、残念ながらお亡くなりになったとの連絡を受けることになりました。
病院から引き揚げてきた手荷物には未使用のプレミアム商品券が数冊残っていましたが、他に使い切る寸前の束もありましたので、ご依頼者の方が好きな物を食べて過ごしてくれていたことを願うばかりです。
私もこの方のように最後は美味しい物を食べて喰い(悔い)残しのない人生を歩めたらと思わずにはいられませんでした。
死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2022.10.19
相続人がいる場合の死後事務委任契約
おはようございます。死後事務支援協会の代表の谷です。もう10月も後半戦に入ろうとしていますね。秋も深まってきた感がありますが、この時期は気温の寒暖差が激しいので体調管理には気を付けましょう。
さてさて、本日は家族や相続人がいる場合の死後事務委任契約のご利用について少しご紹介したいと思います。
ご存知の方も多いかと思いますが、「死後事務委任契約」とは自分の死後の手続きを他の誰かに生前に(準)委任契約を結んで依頼しておくものとなります。
簡単な例を挙げて言えば、自分が死んだら葬儀は〇〇葬儀社で行って、遺骨は〇〇寺に永代供養してもらい、遺品整理や公共料金の停止連絡もお願いね~。
といった、本人の希望を契約書に記載しておき、依頼を受けた方がそれを本人が亡くなった後に契約書に基づいて実行していくということですね。
え?それって家族がやるんじゃないの?と思われるでしょうが、必ずしも家族がいるとは限りませんよね。少子高齢化が増々進む日本では、自分の死後の手続きをしてくれるお子様やご兄妹がいない方というのは珍しくなくなってきています。
そうした、様々な事情により、自分の死後の手続きを第三者に依頼して誰にも迷惑をかけないように予め準備しておきたいという方が利用し始めているのが「死後事務委任契約」となります。
では、反対に相続人や親族がいると「死後事務委任契約」は結ぶことはできないのでしょうか?
結論から言うと、相続人やその他の親族がいる場合であっても「死後事務委任契約」は結ぶことは可能です。
しかし、本来、相続人や親族が行う故人の死後の手続きを第三者が行う上での注意点やトラブルの発生については、充分理解したうえで利用する必要があります。
例えば、自分の死後の葬儀や納骨を死後事務委任契約によって依頼しておきたいと考えた場合、葬儀業者や納骨先のお寺等を契約で決めておけばそれで準備万端とはいきません。
葬儀を挙げる場合は基本的にお近くの葬儀業者を利用するケースが一般的かと思われます。病院や施設で亡くなった際に、葬儀社に依頼して遺体を搬送して頂き、24時間保管後に葬儀の実施となります。
では、葬儀業者側として親族以外の第三者が故人の葬儀の依頼をしてきた場合に、葬儀を受けてくれるのでしょうか?
これは、葬儀社毎の判断によりますが、親族以外の第三者からの依頼は受けないとするところもあれば、公正証書で死後事務委任契約等の権限を証明する書類があれば受けるという葬儀社もあります。
一番確実なのは、死後事務委任契約を締結する前に葬儀社に依頼者と共に生前見積りを取りにいき、「私に万が一の事があればこの人から連絡がくるからよろしく!」と伝えておいてもらうことですね。
そうすれば、葬儀社側でも生前のご本人の意思確認が取れていますので、いざというときは非常にスムーズにご本人の希望通りの葬儀を挙げることができます。
反対に、そうした準備をしていない場合だと、葬儀を挙げた後に故人の親族から「なんで赤の他人が勝手に葬儀を挙げているんだ!(怒)」というクレームが葬儀業者に入る可能性もありますので葬儀業者としても慎重になる部分ではあります。
これ以外にも、相続人がいるが為にトラブルの原因となるケースがあります。一般的に死後事務委任契約を締結するようなケースですと、死後事務委任契約以外にも「遺言書」を作成しているケースが多いかと思われます。
まったくの天涯孤独の方の場合は、身近な友人や友人の子ども、お世話になった施設や公益財団や自治体等へ寄付するというケースがあるかと思います。
では、相続人がいる場合は上記のような寄付をすることはできないのか?というと、そういう訳ではなく、自分の財産を最終的にどのように処分するかどうかは本人の自由ですので、遺言書には自由に寄付先を指定しおくことはできます。
ただ、実の子ども等には「遺留分」という、法律上最低限保証される相続分という物がありますので、そちらを主張されれば、遺留分については取り戻される可能性があるというだけです。
故人の兄妹や甥姪には上記の「遺留分」は発生しませんので、相続人が兄妹や甥姪しかいないという方の場合は、遺言書で自由に財産処分が可能です。
しかし、実のお子さんがいる場合に、全部の財産をお世話になった施設や公益団体に寄付するというケースでは、寄付を実行した後にお子様方より「遺留分侵害額請求」として、遺留分を取り戻す請求がなされると、寄付された側が返還手続きなどを行うこととなりますので、よかれと思った寄付が却って迷惑をかけてしまうということもゼロではありません。
もし、遺留分を有する相続人がいる場合に遺留分を侵害するような遺贈寄付を考えているようなケースは、事前に寄付先とも相談した上で、遺言書の内容を考えておく方より安全かと思われます。
実際に先月に亡くなったご依頼者のケースでも、遺留分を有するお子様方へ当協会より遺言書の写しと現時点での財産目録を郵送したところ、お子様方へ一切財産を残さないという遺言の内容だったため、問い合わせの連絡が入りました。
「生前に本人には相当な迷惑を掛けられたから、ある程度の金銭は相続人へと渡して欲しい!」というご相談です。
もちろん事情はわかります。しかし、遺言執行者や死後事務受任者として出来るのは、遺言書と死後事務委任契約書に書かれていることだけのため、権限外の事はできません。
ですので、遺言書に相続人以外の公益財団等へ全財産を寄付するという記載があれば、遺言執行者としてはそれを忠実に実行するのが職務となるため、「それはできません」とお答えすることしかできないことになります。
今回のご依頼のケースでは、もともと清算型遺言という形をとっており、「自分が死んだら、葬儀費用や遺品整理、未払いの治療費や公共料金等、死後の手続きも含めて全ての債務を支払ったうえで、残額があれば、〇〇財団へ寄付して欲しい」という遺言の内容でした。
このケースですと、死後の手続きも含めて、故人が負っている全ての債務を清算した上で、余りがあれば希望の寄付先へ遺贈するという内容になります。
もともと葬儀や遺品整理等を含めた費用を清算するとギリギリの預貯金しか残っていなかったこともあり、財産目録で死亡時の財産とこれから発生する費用等をご説明して、残金の概算をご説明したところ、敢えて法的手続きしてまでも取り戻すほどの物ではないという判断に至ったようです。
しかし、今回のケースとは異なり多少面倒であっても取り戻すだけの資産があるようなケースでは、遺留分の請求を行うことも当然予想されます。
遺言、死後事務を利用する場合は、相続人が誰もいない場合よりも、相続人がいるケースの方がより注意が必要となることを知っておいてください。そうでないと思わぬ形で遺贈先などへ迷惑を掛けてしまうことになってしまうかもしれません。
遺言・死後事務のご相談は死後事務支援協会までお気軽にお問合せくださいね。
2022.05.23
名古屋市の市営住宅の遺品整理から退去立ち合いまで全て代行したお話し。
おはようございます。名古屋市の死後事務支援協会代表の谷です。
5月も後半戦に入り夏日もちらほらと出てきましたね。そろそろ熱中症対策として暑さに体を慣らしていかないといけない時期にもなりました。
今回は,私の個人事務所で行った遺品整理から死後事務代行までしてきたお話しをご紹介したいと思います。
主に名古屋市の市営住宅で亡くなった方向けの情報になりますが,真夏の時期になると高齢者の方を中心に市営住宅では孤独死で亡くなる方が増加します。
そんな時に家族や親戚が市営住宅の退去手続きをどのように行い,どれくらいの費用が掛かるのかの参考になるかと思い掲載させて頂きます。(この内容は第八ブログで紹介済みの物となります)
今回のご依頼者の方は当初は葬儀をあげた地元でも有名な葬儀業者さんへと遺品整理や相続に関するご相談をされていました。
しかし,葬儀業者や葬儀業者から紹介されたはずの遺品整理業者等からの電話連絡はいっこうに来ず,故人が生活されていた名古屋市の市営住宅の退去を急ぎたかった事情もありインターネットで当事務所を見つけてご連絡頂いた次第です。
当事務所を見つけて頂いたきっかけが「入居者の死亡に優しい?市営住宅」という同じく私が過去に掲載しましたブログを見てとのことで,今回の一連の経緯も他の方の参考になればと思い書かせて頂くことにいたしました。
ご依頼者の状況としては次のような形です。
・故人は未婚で配偶者やお子様はいない
・兄弟姉妹もいない
・近くにお住まいの親戚のみが手続できる状況
故人は,おひとり暮らしで持病もあったため,死後事務や葬送支援も行ってくれる身元保証会社と契約を進めていたところ,急な体調の悪化により,十分な準備もできないまま亡くなられてしまったとのことです。
仮に生前に身元保証会社などの死後事務を行ってくれる会社と契約できていれば,亡くなった後の対応は「死後事務委任契約書」や「遺言書」といった書面に従って依頼先の会社が行ってくれたはずなのですが,今回は契約が間に合いませんでした。
今回のご依頼者でもあるご親戚の方としては,本人が生前にそうした準備を整えて,本人の意思に基づいて依頼先の会社が万が一の際は対応してくれると考えていたため,まさか自分達がこの後の対応をしなくてはならないとは考えてもおらず,降って沸いた死後事務や相続手続きにどうしたらいいのか?と困惑する一方だったとのことです。
私が初回相談で訪問させて頂いた時が葬儀を終えてすぐの段階で,これから役場への手続き等を進めていかなければいけないという状況でした。
亡くなった際にする届け出には期限制限付きの届け出もある
誰かが亡くなった場合に行わないといけない行政機関への届け出のいくつかには,亡くなってから7日以内や14日以内に届出をしなければいけないという「期間制限」が存在します。
代表的な物で言えば
・死亡届(7日以内)
・健康保険の資格喪失手続き(14日以内)
・年金の受給停止手続き(14日以内)
などでしょうか。
他にも葬祭費や未支給年金の申請などは2年以内などにしなければいけないなどもありますので,こつこつ支払ってきた年金や葬祭費などの給付金は忘れずに申請して受取りをしておきたいところですね。
こうした期限付きのある届出などを優先的に行い,その他の時間的に余裕のある届出や申請などは相続手続きなどと併せて行っていくと,失敗は少なくなります。
今回は初回面談ではありましたが,手続きの期限もありましたので行政機関への届け出や相続手続きに必要となる委任状をその場で書いて頂き,さっそく手続きを開始することにいたしました。
行政機関への届け出では介護保険証や名古屋では敬老パスなどいくつか返却しなければいけない物もありますが,全てが揃っているということは稀ですので,まずは届出を行い,遺品整理の際にそうした返却物を見つけて後日改めて持っていくという方法でも大丈夫です。
ただ,何を返却したらいいのかは何度も手続きをしている私たちのような専門家でもなければ難しく,事前に役場に聞いておかなかれば分からないと思いますので,もしご家族で手続きを進める場合は,遺品整理を行う前に一度確認にいくことをお勧めします。
行政機関への届け出の後は遺品整理を開始!
行政機関への届け出が終わったら次は遺品整理です。
今回のご依頼では,故人は名古屋市の市営住宅にお住まいでしたので,市営住宅を管轄する住宅供給公社へと退去の連絡を入れる必要があります。
本来は親族や相続人の方が行うところではありますが,お仕事の関係もあり今回は私の方で全て代行することになります。
当然,住宅供給公社側としても,まったくの第三者からの申し出を安易に受付はしてくれませんが,死亡診断書や退去に関する内容をまとめた委任状等を揃えて申し出をすれば問題なく代理人でも手続きは可能です。
なぜ最初に住宅供給公社へ連絡を入れるのか?遺品整理が終わった後に退去の連絡してもいいのでは?と思われるかもしれませんが,それにはちゃんとした理由があります。
市営住宅に限らず一般的な賃貸物件でもそうですが,賃貸借契約の解除は退去の申し出をして即日退去とはなりません。
一般的には,退去の連絡から1ヶ月後などが最短の退去日となり,それまでは日割り家賃が発生するケースがほとんどでしょう。
ですので,市営住宅の場合でもまずは「退去連絡」を行い,退去日が確定したらそれまでの間に部屋の整理(遺品整理)を行うという流れの方が,遺品整理を先にしてしまってから退去連絡をする場合に比べて無駄な家賃や光熱費を支払わなくてすむので経済的な訳ですね。
また,市営住宅の場合は一般の賃貸物件とは異なり,退去の際に取り外さないといけない設備があったりしますので,これを事前に確認しておくという意味でも先に退去連絡をしておくということに大きな意味が出てきます。
特に市営住宅では,
・お風呂の浴槽や風呂釜(バランス釜)
・カーテンレール
・網戸
・ガスコンロ
などは,入居時に入居者が設置しているケースも多く,退去の際に「お風呂は設備でしょ~」と残しておくと,実は取り外しておかないといけなかったとなり,無駄な原状回復費用を支払うことになってしまうので要注意ですね。
ここまで,準備してから実際の遺品整理開始といきたいところですが,実はもう一点大事なポイントがあります。
名古屋市の市営住宅の管理は住宅供給公社が行っていますが,実際の現地の運営は自治会に委ねられているケースが多くあります。
これが何を意味するかというと,実際の遺品整理を行う際に,「エレベーターの使用許可」「共有部分への作業車両の乗り入れ許可」「車止めの開錠依頼」「その他の住民への掲示案内の必要の有無」「作業にあたっての注意点(養生箇所等)」などは,住宅供給公社ではなく,現地の自治会長さんに確認しなければいけないということです。
以前は,住宅供給公社に自治会長の名前と連絡先を聞いたら電話番号を教えてくれましたが,最近は個人情報の観点からも教えてもらえない事も多く,自治会長の名前とお住まいの部屋番号のみ教えてもらい,後は実際に訪問して確認するという事も多くなりました。
中には日中働きに出ていらっしゃる自治会長さんもいたりしますので,なかなかお会いすることができず難儀することもあります。(´;ω;`)
こうして,退去の申し出から事前確認,自治会長の許可・確認等を経て,実際の遺品整理の実施となります。
遺品整理の際も最初に記載した通り,役場への返却物を探したり,その他の財産,保険,契約関係を示す書類など貴重品の捜索を行いながら遺品整理を進めていきます。
私がいつも口をすっぱくして言っていることでもありますが,おひとり暮らしの方の遺品整理など,どのような生活をしてどういった資産や負債をお持ちだったかを確認するのは遺品整理の時が一番のチャンスです。
むしろ,遺品整理のタイミングを逃してしまうと確認したいと思った時には既に部屋はもぬけの殻であり,必要な書類などは全て処分されてしまった後ということになりかねません。
ですので,おひとり暮らしの方や離れて暮らしていた家族の遺品整理などをする際は,部屋から荷物を出す前に全て確認して,貴重品や財産関係を示す書類を探しだしておくようにしましょう。(家族で捜索が難しい場合は私たちのような専門家へご依頼ください)
遺品整理の際に知っていると後から助かるワンポイント!
遺品整理の際に注意して頂きたいのが,銀行の通帳や保険証券,株式関係の書類などは一般の方でも大事そうな書類と思い扱いは慎重になるかと思います。
それ以外にも次のような事にも注意を払ってください。
公共料金の明細を確保しておく
遺品整理後は電気やガス,水道といったライフラインの停止連絡をすることになります。その連絡の際に契約者情報を確認されるのですが,この時に公共料金の明細が手元にあると,「お客様番号」や「契約者番号」などを明細から確認することができて,契約者情報の確認が非常にスムーズに行えます。
万が一こうした書類が手元になくても,故人の住所や電話番号などからも検索はできますが,少し待たされることになりますので,他にも解約の連絡を入れないといけないところが沢山あるようば場合は結構やきもきとするものです。
電話(NTT)・インターネット回線の確認
最近は固定電話を契約されている方も減ってきてはいますが,まだまだお部屋に固定電話がある方も多いかと思われます。
当然,固定電話があるということはNTTやその他の電話事業者と契約していることになりますので,こちらも解約手続きが必要となります。
また,室内にインターネットを行う機器(モデム)などがある場合,そうした機器はレンタル扱いになっているケースもあり解約時に返却しないといけないことがありますので,間違って遺品整理の際に捨ててしまわないように注意しましょう。
通常レンタル機器には「レンタル機器」「解約時返却要」などレンタル品とわかるように目立つシールが貼ってあることも多いですが,今回のご依頼者のお部屋のように何も貼っていないケースもあります。
そうした場合は解約の連絡とともに返却物の確認をした上で,処分するのか返却するのかを決めるのが良いですね。
さっきも言った通り,一度遺品整理で処分してしまうと取り戻すことはまずできませんのでご注意ください。
隠れ金融資産に注意
今回のケースではそうした事はありませんでしたが,遺品整理の際には隠れ金融資産にもご注意ください。
生命保険や医療保険などは基本的に証書が発効されてご自宅で保管されているケースも多く,遺品整理の際に見つけることは容易です。
しかし,最近はネットバンクやネット証券などのネットの中でしか確認できない銀行やFXや仮想通貨などパソコンやスマホで決済している金融商品などが多数あります。
こうしたデジタル遺品・デジタル資産に分類される品は,室内の遺品整理をしただけでは見つけることが非常に難しく,パソコンやスマホ,それらのメールの内容などを確認してはじめて気づくということもあります。
ただ最近はパソコンやスマホに暗証番号や生態認証などのロックを掛けておくのが普通でもあり,室内に遺されていたパソコンやスマホから情報を確認しようとしてもロックが外せなく断念したということも珍しくはありません。
高齢者の方などは暗証番号などを忘れた際の予備として鉛筆書きのメモとして残しているケースも多く,そうしたメモはパソコンやスマホの箱や取扱説明書などに書かれているケースも多くありますので,スマホの空き箱などを見つけた際は必ず説明書なども確認するようにしてくださいね。
名古屋市営住宅は入居者死亡の際は敷金内清算のルールあり!
本題から外れて長くなってしまいましたが,上記の点などにも注意を払って頂き遺品整理を進めてください。こうした一連の流れをクリアして最終的に行うのが,大家や管理会社などとの退去立ち合いですね。
今回は貸主が名古屋市住宅供給公社となりますので,公社の担当者の方との退去立ち合いとなります。
ただ,名古屋市の市営住宅の場合は,入居者が亡くなった場合は敷金内で清算するということになっており,敷金の返金もありませんが追い金もありませんので予想外な支出という心配はしなくて済みます。
これって非常にありがたいことでもあるのですが,市営住宅には高齢者の方も多く生活されており,高齢者がお部屋で亡くなることも珍しくはありません。
私も過去に数百件と市営住宅で遺品整理を行っていますが,中には夏場の孤独死(孤立死)で室内が大変な状況になっているケースも沢山ありました。
そうした孤独死(孤立死)で発見が遅れたようなケースでは,一般的な賃貸物件では高額な原状回復費用を家主側から請求されて相続人が相続放棄に追い込まれてしまうことも珍しくはなく,家族や相続人とっては非常に負担の大きい問題となります。
その点,名古屋市の市営住宅では上でも書いた通り,入居者死亡の場合は敷金内での清算となります。
これは,一般的な賃貸物件でトラブルとなる孤独死(孤立死)で発見が遅れたようなケースも同様で,入居者側の親族としては室内の残置物を撤去して鍵を返せば退去手続きとしては終了となります。(名古屋市営住宅の退去明細の実例の一部)
遺品整理の現場で高額な原状回復費用を請求されている遺族の方を沢山みてきた私からすると,超高齢社会の日本では,これは本当に大切なことと実感するところですね。
事前確認もしっかりしてあったことから退去立ち合いも無事終了となりました。唯一,公社の人が退去立ち合いの日程をど忘れてしていたようで30分程待ちぼうけしたことがあれと言えばあれですが,,,,
名古屋市営住宅での退去手続きや遺品整理の際の注意点を少しだけご紹介させて頂きました。
実際の遺品整理では,現場毎に注意点や作業方法も変わってきますので,もし家族での遺品整理や財産調査に不安を感じましたらご相談くださいね。
遺品整理・死後事務専門の行政書士がお手伝いに参ります!
2022.02.18
名古屋市が身寄りない13人火葬せず 遺体を最長3年超保管していた件について
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の谷です。2月も中旬だというのに寒い!外で現場作業をしている身を切る寒さに震えます。皆さんも外出時は暖かい恰好でマスクを忘れずに!
さてさて、昨日のニュースを見ていたらこんな記事がありました。一般の方からすると、かなりショッキングな事件かもしれません。(令和4年2月18日(金)ヤフーニュースより抜粋)
名古屋市が身寄りのない遺体13人分を火葬せずにずっと葬儀業者の保冷施設で保管していたという内容ですね。
この件に関しては、私も知り合いの葬儀業者の方から以前にそうした長期保管されている遺体があるということは聞いていたので知っていました。
身寄りのないご遺体は本来は墓地埋葬法に従って市町村側にて民生葬などで火葬がされ、市と提携している合葬墓等にて供養されるのが一般的です。
しかし、中には今回の件のように長期間火葬もされずにずっと葬儀業者さんの保冷施設で安置されたままになっているご遺体もあったりします。
なんでこんな事が起きてしまうのかというと、市町村側ではこうした身寄りのないご遺体がでた場合は、戸籍調査などを行い親族関係を調査し、親族が見つかった場合は遺体の引取りを打診します。
しかし、親族がいたとしても故人と親族との仲が悪かったりしたり、叔父と甥姪の関係のように疎遠な関係ということもあります。
私が行う遺品整理の孤独死のようなケースでもそうですが、あるひ突然「あなたの叔父さんが孤独死されていたので、遺体を引き取り、大家さんと遺品整理の話し合いをしてください」と電話が掛かってきたらどうでしょうか?
正直なところ、何十年も会ったこともないような叔父が亡くなったと言われても、「はぁ~、そうですか、、、え!私が引き取らないといけないんですか!しかも大家さんと原状回復の話し合いをしてお金を支払えって嘘でしょ!?」となるのではないでしょうか。
遺品整理のご相談を受けているとこうした相談は珍しくなく孤独死が増加する夏場では特にこうした相談が増えることとなります。
そうした案件の中には、「会ったこともない叔父のために私たちが大金を払うなんて、とてもじゃないができません。相続放棄します!」となり、せっかく市町村側で親族が見つけたとしても、遺体の引取りを断られてしまうこともあります。
このように遺体の引取りをしてくれる親族を調査したり、引取りを打診した後に断られたり、いったんは引取りを了承したけど、親族間でトラブルになってしまい遺体の引取りが保留になってしまったりすると、今回のように長期間遺体を安置することに繋がるのかもしれませんね。
今回も名古屋市の担当職員の方が処分を受けてしまったようですが、遺体を火葬してしまうのは結構重い判断かと思われます。
私たちが死後事務委任契約を結んで依頼者の葬儀を実施する際でも、各種契約書にてしっかりと取り決めを行い、本人の意思であることを明確にしているから安心して行えるわけです。
そうした事前の準備もない孤独死や突然死のようなケースでの身寄りのないご遺体を火葬するとなるとやはり、「後から親族が出てきてクレームを付けられるんじゃないか?」と心配になりますよね。
遺体を火葬すれば当然生前の状況は確認できませんし、合葬墓に入れられてしまえば故人の遺骨だけを後から選り分けて回収することもできなくなるわけで、親族から「せめて遺骨だけでも還して欲しい!」と言われてもできないのですから。
人は死ぬ時はひとりで死んでいきます。しかし死んだ後の手続きはひとりではできません。必ず誰かの手を借りることになります。
当協会にご相談に来られる方の中にも家族や親族との仲は良好だか、自分の死後の手続きで負担をかけたくないと考えて死後事務委任契約を結ばれる方もいます。
超高齢者社会の日本では、身寄りのない方はもちろん、家族や親戚がいても第三者に敢えて自分の死後の手続きを依頼することを考える時代になったのだと感じます。
自分の死後の手続きで不安を感じている方はまずはご相談ください。死後事務支援協会では死後事務専門の士業がご相談に応じております。
2022.02.08
葬儀の生前契約と死後事務委任
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。寒い日が続きますね。名古屋でも久々の雪が降り、今年の冬は寒さが長引いている気がします。コロナに混じって花粉症のシーズンも始まりマスクが手放せなくなりますね。
さて、先日下のようなニュースが報道されました。
身よりのない状態で死亡された方が誰にも引き取られず、葬儀等を自治体が行った件数が増加しているというニュースですね。
身よりがないといってもその状況は様々で、独身でお子さんもおらず、親や兄妹も先に亡くなってしまっているという方から、兄妹や親戚はいるが、仲が悪く絶縁してしまっているといった方などもいます。
こうした方々のケースでは、生前にきちんと準備をしていないと上記のニュースのように身寄りがなく遺体の引取りもされない方となってしまうわけです。
もちろん、身寄りがない方が亡くなった場合であっても、遺体が放置されるということはなく、自治体などで火葬を行い、提携の合葬墓等に入れられることになりますが、果たしてそれが故人の望んだ最後だったのか?といわれるとそれは亡くなった本人にしかわからないことです。
ただ、ひとつ確実に言えることは、もし自分の最後について叶えたい希望があるなら、それは自分自身で準備をしっかりとしておかないと叶えられないということです。
また、敢えて叶えたい希望はなくても、「他人に迷惑をかけない最後にしたい」と考えている方も多くいますが、これも同じ事です。
「自治体が火葬を行い、合葬墓に入れてくれるならそれでいい」と考えていたとしても、自治体としても、火葬~納骨までの間に、故人の親族調査などを行い、親族がいる場合は遺体の引取りの有無を確認し、その間の遺体の保管などもしている訳ですから大変な手間と労力が掛かっている訳です。
こうした実情から、近年は葬儀業者さんにおいても「生前予約」「事前契約」など本人が生前に希望する葬儀の方法やプランを指定しておき、万が一の際には葬儀業者さんが契約に基づき葬儀を実施するというおひとり様に寄り添ったプランも出てきています。
当協会でもおひとり様の方や葬儀業者さんより「葬儀の生前契約をするから喪主になってくれないか?」という相談を受けます。
葬儀の生前契約では、葬儀業者さんにおいて支払いまで生前に終えてしまうケースと、契約だけ事前に行っておき、支払いについては家族やその他の方に行ってもらうというケースなど、葬儀社独自のサービスがあります。
当協会では死後事務支援として「喪主の代行」はもちろん行っております。しかし、相談者の多く、特に葬儀業者さんにおいてはどうしても「葬儀」だけに目がいってしまっているケースがあります。
葬儀の生前契約を考えている方の多くが、ニュースのような身寄りのない方となります。なにも準備しておかなければ、ニュースのように自治体によって火葬が行われてしまうため、そうならない為に自分の意思で葬儀業者さんへと相談に来られた方でしょう。
葬儀の生前契約を検討されている方の多くが身寄りのない方や家族や親戚がいても疎遠な関係、または家族や親戚間の仲は良好だが、お互いに高齢で離れて暮らしているため自分の葬儀の為に負担をかけたくないといった方も最近は増えています。
こうした方々にとっての死後の手続きは果たして「葬儀」だけなのでしょうか?葬儀については葬儀業者さんと生前契約を済ませてあるから問題ないかもしれません。
では、葬儀以外の手続きの準備はされていますか?人が亡くなった場合に行わないといけない手続きは想像以上にあります。
火葬にあたっての「死亡届」はもちろん、
健康保険や年金の死亡届
各種保険証や敬老パスの返却などを含む行政手続き
住んでいた自宅が賃貸なら、遺品整理と賃貸契約の終了手続き
自宅が持ち家なら、自宅をどうするのか?誰かに譲るのか?解体や売却するのか?
公共料金や医療費の清算や解約は誰がおこなうのか?
自分の財産はどうするのか?
相続税等の申告が必要な場合は誰に頼むのか?等々
その方の生活状況や財産状況によって、亡くなった後の手続きは大きく変わってきます。
こうした手続きはどうしても事前の準備から外れてしまいがちです。
もし自分に何かあった場合は葬儀は誰が行ってくれるのだろう?という心配はおひとり様なら誰しも抱える悩みです。
ただ、そうした悩みについては「葬儀業者」さんという心強い相談先があるので、葬儀については比較的相談しやすい状況になっています。
しかし、葬儀以外の手続きについては、「そもそもどういった手続きが必要なのかがわからない」「いろんな手続きが必要なことは知っているが誰に相談したらいいのかがわからない」と相談先や事前の準備の方法が明確ではないためどうしても意識から外れてしまいがちです。
もし、葬儀業者さんにてこうした相談者の方が見えられましたら一言「葬儀以外の準備は大丈夫ですか?」と声を掛けて頂けると、「実はそれも相談したかったんだよ!」とご相談者の方の隠れた悩みを聞き出すことができるかもしれません。
死後事務支援協会では、専門士業のもと喪主の代行をはじめとした死後に必要となる手続きの支援を行っております。
葬儀の生前契約のご相談者の中にそうした心配事をお持ちの方がいらっしゃいましたら、当協会へご連絡ください。
ご相談者の方の生活状況に合わせた死後事務支援についてご提案させて頂きます。
2022.01.21
配偶者の相続手続き~自身の死後事務委任契約へ
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
気づいたら1月ももう後半戦ですね。今年は新年から忙しく動いていたためブログを書いている余裕がありませんでした。(💦)改めまして、本年もよろしくお願いいたします。
終息したかと思われるコロナもオミクロン株の急拡大で余談をゆるさない状況です。蔓延防止措置も発令されていますが、まずは自己防衛が大切ですね。
さて、今回は障がいのあるお子さんを抱えていらっしゃるご両親と死後事務委任契約についてとなります。
一般的に死後事務委任契約を検討される方は、おひとり暮らしの方が多いのですが、中にはこういった障がい者を抱えているご両親というケースもあるよということを知ってもらいたいと思います。
私がが最初にその方を訪問したきっかけは、奥様の相続手続きと死後事務のサポートで伺いました。死後事務委任契約は生前にご本人様から依頼を頂いて、死後事務を行う家族がいなくても手続きが進むように準備しておく方法です。
反対に言えば、死後事務を行うご家族がいらっしゃるなら死後務委任契約を結ぶ必要はないとも言えるのですが、近年の超高齢社会では、死後事務を行いたくても年齢や病気、体力的な問題など様々な事情から家族が行えないケースもあります。
そうした死後事務、主に役場への届け出や年金手続き、公共料金の契約関係の切り替え、名義変更などを相続手続きとまとめてサポートするのは死後事務を専門に扱う士業の得意とするところでもあります。
ですので、今回の方もそうしたサポートを含めて相続手続きを進めていく予定だったのですが、訪問した際にご家庭には障がいを抱えているお子様がいっらしゃるとお聞きしました。
障がいといっても重度のものではなく、以前は普通に日常生活を送っていた方ではありますので生まれながらの障がい者という訳ではありません。
ただ、病気になられてからはご自宅から出かけることもなく、日常の生活もご両親に頼る形となっていました。これまでは奥さんと一緒に介護をされていたようですが、その奥様も亡くなりご主人に掛かる負担が一気に増加してしまったのが現状です。
そうした中で相続手続きや死後事務の件で頻繁にご自宅へ伺い、ご本人の体調などもお聴きするのですが、ご主人も80歳を超える高齢でもあり、決して体調が良いとは言えない状況。
お会いする度に疲労が濃くなっているのが分かります。普通なら地域の社会福祉協議会なども参加してその方のサポートをするところなのですが、お話しを聞くとお子さんの介護で手がいっぱいで、ご自身の介護保険の申請などは一切行っていないとのこと。
つまり、地域高齢者のセーフティーネットとも言える社会福祉協議会(名古屋では、いきいき支援センターとも言います)が現状を正確に把握していない可能性もあります。
このままでは、ご主人の命も危ぶまれる状況でしたので、社会福祉協議や保健センターなどへも連絡を行い、ご主人とお子様の現状の把握と対策を依頼しました。
とりあえずの危機は脱したかと思われますが、奥様の相続手続きを通して家族関係や親戚関係を確認したところ、ご主人に万が一の事があった場合に、死後事務を行ってくれる方がいないことが判明します。
本来ならお子さんがその役を担うところですが、お子様も障がいを抱えており、到底そうした手続きが出来る状況ではありません。
しかし、この状況で奥様の相続手続きが終わったので、はい、お終い。とする訳にはいきません。
なぜななら、この状況でご主人に何かあった場合、ご主人の死後事務を行う人がいないのはもちろんのことですが、残されるお子さんも放置されてしまうことになります。
もちろん社会福祉協議会をはじめ行政も動いてくれていますが、ご主人が亡くなってしまった後に障がいを抱えているお子さんがひとりで生活するのは難しく、やはりどこかの施設等へ入所することが予想されます。
そうした場合に問題となるのが「費用(お金)」です。
幸いご両親にはそれなりの蓄えもありますので、ご主人に万が一の事があった場合でもその財産をお子さんへ適切に相続させることができれば、より良い環境でお子さんに過ごしてもらうことができます。
しかし、現状のままではそうした対策が何もなされていないため、ご本人のこと、残されるお子さんのこと、どちらも心配が尽きない状況でした。
では、どのように対策するのか?今回の方は非常に家族関係がシンプルであり、ご主人に万が一のことがあった場合でも相続人はお子さんしかいない状況です。
極端な話し、何も対策しておかなくても財産はお子さんへと相続されます。しかし、法律上はお子さんが相続することとなっても、実態上は、誰かが銀行の払い戻しや自宅の名義変更などをしないといけません。
これに関してはご本人に遺言書の中で遺言執行者を指定してもらえば解決できます。
また、本題のご主人様自身の死後事務についても、死後事務委任契約を締結することで、お子様に何か判断させることもなく、ご本人の意思に基づいて事前に、葬儀の方法や納骨の場所、その他各種手続きについて決めておくことができます。
このように、お子様への財産移転は「遺言」で、ご自身の死後事務については「死後事務委任契約」によって準備しておくことで、障がいをお持ちのお子さんの負担を大きく減らすことができます。
この方の場合は、これ以外にも日常生活のサポートをするために見守り契約なども締結させて頂き、お子さんの入院手続きやご本人の介護保険申請のサポートなどを行っております。
障がいをお持ちの方の親なき後の問題は深刻ではありますが、事前の準備を通して対策できる部分もあります。悩まれた場合は地域の社会福祉協議会や保健センターなどへ相談してください。おひとりで悩まれるよりきっといい解決策が見つかるはずです。
もちろん、私たちでお手伝いできることがあれば、お気軽にご相談ください。
死後事務委任契約は、契約して即発動する契約ではありません。5年、10年と長い付き合いとなることを予定した契約となりますので、日常生活のちょっとしたことから相談できる体制を作っておくことで、信頼関係の構築にも繋がります。
長い付き合いとなる死後事務委任契約ではなにより信頼関係が一番大事な部分となります。
最後になりましたが、本年も死後事務支援協会では、ご依頼者の方に安心して任せて頂ける対応を心掛けてまいります。
死後事務のご相談がございましたらお気軽にご連絡くださいね。
2021.09.23
遺品整理で1,000万円をドブに捨てられないために
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。すっかり秋めいてきましたね。コロナの感染者数も落ちてきたようで月末には緊急事態宣言も解除の見込みとのこと。秋の行楽シーズンも控えていますが引き続き基本的な感染対策は行っていきましょう!
さてさて、本日は死後事務とも関連の深い「遺品整理」でのお話しになります。ここ数日連日のようにゴミ処理施設から多額の現金が見つかったというニュースが出ていました。
令和3年9月21日
gooニュース
令和3年9月22日
岐阜新聞WEB
令和3年9月22日
讀賣新聞オンライン
なんでこんなにもゴミ処理施設から大金が発見されるのか!?については、私の個人事務所である遺品整理専門第八行政書士事務所の「第八ブログ」に大元の原因を記載してあるので、興味のある方はそちらをご確認ください。
今回は原因の追及ではなく、対策に焦点を当てていきたいと思います。
タンス預金がゴミとして処分されている!?
ゴミ処理施設で発見される多額の現金の多くが、遺品整理時に発見されずにゴミ処理施設へと運ばれ、その後持ち主不明となってしまい発見者であるゴミ処理施設の所有となったり、ゴミ処理施設から市町村等へ寄付されたりしています。
この多額の現金が、遺品整理の現場で出てきた家財の中に紛れていたのでしたら、本来ならそれは相続人へと渡るべきお金だったのは間違いありません。
でも、実際は遺品整理の際のゴミと一緒にゴミ処理施設へと運ばれてしまい、まったく関係のない第三者の物となっているわけです。
こんな不合理な結果となってしまう大きな要因のひとつが「タンス預金」です!
タンス預金といっても、家具のタンスに限った話しではなく、いろんあ所に隠してあるお金という意味でのタンス預金ですね。
私も遺品整理専門としてこれまで何千件もの遺品整理を行っていますが、隠す人は本当に奇想天外の場所に隠していたりしますので、「これは普通みつけられないだろう、、、」というケースも何件も経験しました。
タンスの中に衣類に包んで隠しているとか、家具の下に放り込んで隠してあるとか、雑多な日用品に紛れて金貨が残っていたなどは、整理する業者が正しい知識と捜索方法を持っていれば、問題なく見つけることが可能ですので、それほどやっかいではありません。
問題なのは、普通の遺品整理では確認しないような場所、例えば天井裏、畳の下、トイレタンクの底、ユニットバスの点検口の奥などに隠しているような場合。
家財整理をするだけの遺品整理業者では、わざわざそんな場所までは時間の無駄となってしまいますので、依頼者からあえて探して欲しいとの要望でも出ない限りは探すことはありません。
そうした、隠す本人が絶対に見つからないように隠しているような財産というのは本当に見つけるのは難しいもので、特に隠した本人が隠したことを忘れてしまっているようなケースでは発見は困難なものとなります。
私自身も何度か、「え、こんなところに、、、」と予想外の場所で大金を見つけたことはありますが、中には隠した本人も忘れているんじゃないの?と思われるケースも確かにありました。
そうしたケース、特に隠した本人も忘れている、または伝える前に高齢で認知症になってしまったなどの場合では、当然家族も「そんなお金があるなんて知らなかった!」状態ですので、お金が出てきた事を伝えると驚くやら、喜ぶやらで相続人間で緊急会議が始まったりします(笑)
しかし、隠していた大金が見つかれば相続人も笑い話しで済ますことができますが、最初のニュースのように、相続人も知らない内にゴミとして処分され、あげく全く関係のない第三者の物となってしまっては、泣くに泣けませんよね。
もちろん、当の相続人の方々は最初から多額のお金なんて無いと思っていますので、ニュースで多額の現金が出てきたと見たとしても、「自分達が依頼した現場から出たかも?」とは露程も思わないことでしょうから、残念がることすらできない状況です。
悲劇を防ぐ方法はとっても簡単
こうした悲劇を防ぐ方法はとっても簡単です。自分が隠す程大事にしている財産を渡したい相手に渡せる準備をしておけばいいだけです。
何も「遺言書」や「死後事務委任」、「死因贈与」といった専門的な方法でなくても、単に「あそこにお金を置いてあるからなんかあったらそこから費用を出してね」と家族や渡したい相手に伝えておくだけでもいいのです。
実際、私が去年行った遺品整理では、甥子さんが「見たことはないのですが、叔父はあそこに葬儀費用程度のお金は置いておくから、何かあればそのお金使って欲しいと言っていました」と、実際の隠してある場所は見たことはないのですが、口頭で聞いた内容を私に伝えて、私が実際にそのタンス預金を発見したということもあります。
それだけでも十分に捜索の端緒になったりするものですから、「伝えておく」というのがいかに大事なことかがわかりますよね。
もちろん、「事前に伝えておくのはちょっと、、、」や「変に期待させると自由に使えなくなるので、自分が死んでから見つけてもらいたい」という要望もあるでしょうから、生前にはっきりと伝えるのを避けたいなら、後から分かるように書面に残しておく方法もあります。
最近は書店にいけば「エンディングノート」といって、自分の死後の要望や財産状況など相続発生時に必要となる情報を綺麗にまとめている冊子も沢山の種類が売っています。
そうしたエンディングノート等を活用して、必要な人へと大事な情報を伝わるようにしておくと、遺品整理や財産調査をする家族や相続人の負担を大きく減らすこともできます。
もし、財産の分け方や死後の手続きに自分なりの強い希望があるという場合なら、エンディングノートには法的な強制力はありませんので、法的効果のある「遺言書」や「死後事務委任契約書」を事前に作成しておくことをお勧めします。
エンディングノートなどは、室内に置いてあっても事前に書いた事を伝えておかないと、結局家族に気づかれずに処分されてしまうこともありますが、遺言書を公正証書や法務局での保管制度を利用して作成しておけば原紙は公的機関にて保管されることとなりますので、遺品整理で見つけられなくても、後から原紙を確認することも可能となります。
大事なお金を渡すべき相手に届くように自分にあった方法で準備をしておけば、上のニュースみたいに「ゴミ処理施設で発見!」なんて悲劇は回避できます。
準備をしておきたいけど、どんな方法が自分に合っているのかわからないという方は、いつでもご相談に応じていますので、ご連絡くださいね。
2021.09.06
死後事務を依頼していた姉としていなかった弟、遺された家族の苦悩
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。9月に入っていっきに涼しくなった感がありますね。食欲の秋が来る~って感じですが、この時期の楽しみのサンマが高い!いつからサンマは高級魚になってしまったのか、、、。
さてさて、本日は死後の手続きのご相談について。当協会で行っている死後事務委任契約は、ご本人様より依頼を頂いて、「自分に万が一の事があったら打ち合わせ通り、後のことはよろしく頼む!」という感じで、ご本人様より生前に依頼を受けて行うものとなります。
これとは別に、故人の死後事務を家族から依頼を受けて行うという手続きも当協会ではサポートしています。何が違うかと言えば、依頼者が「亡くなった本人」か「家族」かの違いがあります。
確かに死後事務委任契約は亡くなったご本人と事前に結んでおくものですが、事前に死後事務委任契約を結んでいなかったからといって、死後事務の手続きを第三者ができないわけではありません。
故人の権利義務や故人の死後の手続きを行うべき家族から委任を受ければ、私たちのような士業は家族の代理人として活動することができますので、ご本人から生前に依頼を受けて行う死後事務委任契約となんら変わらないサポートが可能です。
もともと、死後事務や相続手続きは家族や相続人が行ってきたものですが、近年の超高齢社会の影響などから身近な人に迷惑をかけないようにと、注目を集めてきたのが死後事務委任契約となります。
ですので、本来、手続きを行うご家族や相続人の方の協力があれば、私たちのような士業は通常の相続業務と同様に死後事務のサポートも行うことが可能なわけですね。
今回のご相談は、そうした家族の方からの死後事務のサポートに関するご相談です。
故人は名古屋市内に在住していた方ですが、相続人となられるご兄妹は遠方に住んでおり、年齢などの関係からも気軽に名古屋へ来られる状況ではありません。そうした中でインターネットで当協会の情報をご覧になり、相談のお電話を頂いたという経緯です。
葬儀の関連で名古屋に来られるタイミングで、面談を行うことになり、ご相談者以外の相続人がいる待ち合わせ場所で打ち合わせをすることとなりました。
その際に聞いた話しなのですが、今回亡くなった弟さんとは別に数年前にお姉さまが亡くなったそうです。お姉さまもお一人身の方だったようですが、事前に死後事務に関する手続きを第三者へと依頼してあったとのこと。
ですので、お姉さまが亡くなった時は、葬儀から相続手続きまで全ての死後事務を相続人以外の第三者が行ってくれていたため、ご相談者の方達は必要な書類を提出したり、署名捺印する程度くらいの関与しかしていません。
そうしたちょっとした手続きへの協力だけで、預貯金の払戻し金が指定の口座へ入金され、お姉さまが所有していた不動産の名義は相続人名義へと変更され、当然役場関係の手続きも全て終えられており、非常に手間いらずの状態でお姉さまの死後事務と相続手続きを終えたそうです。
そんな経緯から、今回の相続人の中には「相続手続き何するものぞ」とばかりに、相続や死後事務の手続きは非常に簡単なものといったイメージを持たれている方もいらっしゃいました。
しかし、それはお姉さまが事前に死後事務を信頼できる方へと依頼してあったからこそであり、一般的に死後事務や相続手続きは難解でメンドクサイものです。でなければ、週刊誌などで相続や死後事務関連の特集があんなにも組まれたりしませんよね。
そして今回直面した弟さんの相続と死後事務の手続き。ご相談者の方はわざわざ相談の電話を入れてきている訳ですから、相続や死後事務手続きが簡単にはすまないだろうと思っていらっしいます。
しかし、相続人の方の中には上で述べたお姉さまの時のイメージが残っているのか、私が伺った際に「何を依頼するの~、自分達でやれるでしょう~、お姉さんの時はすぐ終わったじゃないの~」と、楽観的に考えている方が何名かいらっしゃいます。
もちろん、ご家族の方々で手続きできるのなら問題ありませんし、私たちが出る幕ではないのですが、電話相談を受けた際に何点か気になる点がありましたので、依頼をされるかどうかは別に、「とりあえず、今後の手続きと流れを確認してみませんか?」とご提案。
葬儀以降に発生する手続き、役場での手続き、葬祭費の請求、未支給年金の受け取りの可否、公共料金の支払いや各種契約の解約、遺品整理に賃貸物件の明渡しと、ひとつひとつ確認していきます。
そうした中、打ち合わせ前に事前に故人の室内の状況を確認していたご相談者の方からカメラに収めた室内の状況を見せてもらうと、悪い予感が的中です。
室内の状況はいわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれる状況で、天井に届きそうなくらいのゴミの山。トイレやお風呂なども使用できない状況で汚物も散乱し、明らかに通常の退去費用では収まらないケースです。
もちろん、部屋がゴミ屋敷で原状回復費用が高額になると予想される場合であっても、それを上回る相続財産があれば問題ありません。
しかし、室内から探し出した通帳を見ると残高はそれほど多くはありません。記帳するか残高証明を取得してみないと正確なことはいえませんが、遺品整理と原状回復の費用にはまったく足りない状況と予想されます。
亡くなった弟さんの日頃の生活状況を聞いてみると、最近はあまり親交は無かったようですが、昔は消費者金融からの借入も頻繁に繰り返していたようで、場合によっては借金についても心配しないといけない状況です。
その他、賃貸物件の契約状況やお姉さまが亡くなった際の相続状況なども確認していくうちに、「本当に相続されますか?」という根本的な問題へと立ち戻ることとなりました。
私が訪問した段階では、相続もするし、死後事務もやらないといけない、難しい部分は専門家に依頼しようという感じでしたが、状況を整理していき、今後の必要となる手続きや予算、そして残った遺産の状況を確認していったところ、相続人の方々の考えは「これは相続したら大変なことになるのでは?」という認識へと変わっていきました。
幸い相談の電話も早かったため、故人の財産には遺品整理も含めて何も手を付けていない状況ですので、相続放棄を選択肢に入れることも可能です。
ご家族が実際に相続放棄するのか、敢えて相続して手続きを進めていくのかはご家族の判断に任せることになりますが、ただ単に相続して死後事務を行っていくというだけでは、予想外の債務を負う危険性を知って頂けたことは今後の大きな判断材料にして頂けるかと思います。
本来は死後事務を受任していく立場ではありますが、相続人のことを考えれば依頼内容と正反対とも言える「相続放棄」を提案させて頂くこともあります。
今回のケースは、同じ家族の相続で死後の準備をしっかりしていたお姉さまと、まったく準備しておらず突然に亡くなってしまった弟様のケースで、死後の準備の大切さをまざまざと見せつけるものとなりました。
今回のケースでもわかる通り、離れて暮らす家族にとっては、本人がどういった生活をしており、どのような財産や負債を持っているのかは全くわからないのが普通です。
今回のお姉さまのようにしっかりと死後事務委任契約を第三者と契約しておくのが理想ではありますが、そうでなくても、最低限、銀行の口座や負債の有無など相続人となられる方が判断に迷わないようにメモを残しておくと死後の手続きをする方にとっては大きな手助けとなります。
最近は本屋さんへいけば、エンディングノートのように死後の手続きに必要な事項をまとめた冊子も沢山売っていますので、そうした物を活用すると、何を書いておけば死後の手続きに役立つのかを簡単に整理することができます。
相続や死後の手続き、死後事務委任のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2021.08.23
家族や親戚に知らせずに葬儀をあげることは可能か?
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
早い地域だと今週から新学期が開始する学校もあるのですね。8月いっぱいは夏休みかと思っていましたが、この感染が拡大する中での新学期開始は少々心配になります。
小児への感染も増加しているようですので、まずは自己防衛の徹底で家族を守る行動をとっていきましょう。
さてさて、本日も死後事務委任に関するお話しです。先日、所属する士業の団体の勉強会に葬儀業者の代表を招いての勉強会が行われましたので参加してきました。
いろいろと興味深いお話しもあり大変参考になったのですが、その中のお話しで近年の葬儀の際の会葬者の人数のお話しがありました。
もう何年も前から「家族葬」という言葉を聞くようになり、コロナ禍で会葬者の多い葬儀が出来ない状況も合わさって、ここ数年の葬儀の様相はガラッと変わっているそうです。
2017年データーでも3割弱は会葬者20人未満の葬儀だったようで、コロナ禍の状況を考えると今の葬儀は本当に身近な親族だけになっていると思われます。
こうした葬儀の会葬者が減る中で、では反対にどこまで会葬者を減らすことができるのか?と考えたことはありますでしょうか?
最近はゼロ葬という言葉もあるくらいで、もともとの遺骨を持ち帰らないという意味から、葬儀へかける費用や負担を限りなく少なくするという意味にも使用されてきています。
死後事務委任契約のご依頼者の中には、家族や親族がいたとしても「葬儀には誰も呼ばないで欲しい」「家族には知らせずに葬儀を行って欲しい」「家族や親戚には葬儀や納骨が終わってから知らせて欲しい」という希望を持たれている方がけっこういます。
上でいう「葬儀」とは、宗教的儀式の葬儀だけではなく、宗教的儀式を行わない「直葬」なども含んでいるのですが、直葬のような場合であっても、火葬場へ親族が来ることは別段問題はありませんので、そうした火葬場へも来ないようにする為にあえて、死亡通知を葬儀や納骨後に指定される方もいらっしゃいます。
これには様々な理由があり、
①親族や親戚との折り合いが悪い
②相続人として甥や姪がいるが、疎遠なため葬儀に呼ばれても困るだろうと考えてあえて知らせない
③親族や親戚とは良好な関係だが、遠方に住んでおり高齢の体に負担を掛けてまで来てもらわなくてよい
など、親族間の不仲から相手の事を思いやってあえて葬儀には来なくてよいとする内容まで様々です。
では、実際のところ家族や親戚に内緒で葬儀から火葬、埋納骨まで行うことは可能なのでしょうか?結論から言うと「可能」です。
実際に私たちのような死後事務を支援する団体では、依頼者と結んだ「死後事務委任契約」に基づいて、葬儀や納骨などを行っていきますが、契約にあたって、葬儀のプランや誰に通知して誰を呼ぶのか、または誰も呼ばずに葬儀を実施するのかなどを細かく打ち合わせを行い、それを契約書としてまとめます。
そうした契約書の内容に「葬儀は直葬」「親族や知人へは納骨後に通知」などの要望が盛り込まれている場合は、死後事務受任者としては、契約書に記載された通りに死後事務を執行していきますので、依頼者に万が一の事があった場合は親族や親戚には知らせずに葬儀から埋納骨まで終わらせることもあります。
「いや、そうは言っても依頼者が死んだらまずは家族へ連絡が入るでしょ!?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
どのような形で亡くなったかにもよりますが、一般的な病気で入院、その後に死亡という流れの場合では、家族へ死亡連絡がいかないということは珍しくありません。
そもそも病院が連絡する相手は誰なのか?というと、依頼者本人が入院する際に入院申込書などに記載した連絡先に病院は連絡します。
病院が患者の家族や親戚の連絡先を当然に知っている訳でありませんので、患者本人が申込書へ記載した連絡先しか病院は知り得ない訳です。
そうした場合に、その連絡先に私たちのような死後事務支援を行う団体の名前が記載されている場合は、病院は家族以外であってもそこしか連絡先がありませんので、患者が死亡した事、患者の遺体の引取り、未払いの治療費の請求などは、入院申込書へ記載されている「身元保証人」や「身元引受人」「入院治療費の支払い者」等へなされることとなります。
つまり、患者本人が亡くなった場合であっても、入院申込書への記載内容によっては、たとえ家族であっても本人の死亡を知らないまま、患者が希望した身元引受人等へ遺体が引渡されることとなります。
そのようなケースですと、そのまま葬儀や火葬、埋納骨と死後事務委任契約書の内容に従って粛々と進められていきますので、依頼者からどのタイミングで家族や親戚に通知をして欲しいという希望がなされているかによって、家族や親戚が依頼者の死亡を知るタイミングは前後することとなります。
依頼者によっては、「誰にも一切通知しないで欲しい」という希望を持たれている方もいますので、そうした場合は、死後事務受任者としては誰にも通知を行うことなく死後事務の執行を終わることもあります。
ただし、依頼者の方に相続人がいる場合は、例え遺言書で「相続人へは一切財産を渡さない」としていた場合であっても、遺言執行者としては相続人へ財産目録等を整えて通知する義務がありますので、死後事務受任者としては通知しなくても、遺言執行者としては通知するということはあります。
この場合であっても、遺言執行者が通知するタイミングは故人の財産をある程度調査した後になるのが普通ですので、依頼者の方が誰にも通知しなくて良いとしていた場合は、葬儀や埋納骨が終了した後に通知がなされるケースがほとんどでしょう。
では、本題に戻って「会葬者はどこまで減らせるのか」というと、実際には喪主だけで十分という結論となります。この喪主も必ずしも親族である必要はありませんので、第三者の死後事務受任者が喪主を務めるのでしたら、親族、親戚等は誰も参加せずに葬儀、火葬、埋納骨まで終えることは可能となります。
死後事務委任契約は基本的には家族や親戚の意向ではなく、本人の希望を大前提で進めていく契約となり、家族や親戚が例え反対の考えを持っていたとしても、契約書の効力によって本人の希望が優先されるのが「死後事務委任契約」となります。
死後事務委任契約は契約書の名前の通り、死後の事務を委任する契約である為、契約の効力が発効した段階では、依頼者本人は死亡しています。
つまり、何か問題が起きた場合であっても後からその内容を本人に確認するということはできませんので、死後事務委任契約書を作る際は事前の打ち合わせが非常に重要となってきます。
トラブルなく死後事務を第三者へ依頼したい場合は死後事務を専門に扱う士業へご相談くださいね。
自分の死後についての強い希望があるようでしたら、死後事務委任契約をご検討ください。ご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2021.08.22
死後事務委任契約と米寿のお祝い?
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
オリンピックも終わり再び世間はコロナの話題一色となってきましたね。私のところにもワクチン接種の案内が届き幸い掛かりつけの病院で接種が可能でしたので来週にも一回目を接収を行ってきます。
この仕事はどうしても高齢者の方々との打ち合わせが多くなりますので、まずは2回の接種を無事に終えたいと思います。
さてさて、本日は死後事務委任契約の依頼者の方へ行っている安否確認とその際のちょっとした小話についてです。
死後事務支援協会にて死後事務のご依頼を頂いている方へは定期的に安否確認を行っており、依頼者の希望する方法での安否確認を行っております。
今月契約された方は皆さんお若くそのうち3人は全て50代の現役で働かれている方々です。別段持病があるわけでもなく、死後事務を考えなければいけないような差し迫った事情がある方々ではないのですが、コロナ禍ということと、ワクチン接種を予定していることから万が一に備えてという方々です。
そうした若い方々でしたら、死後事務のご依頼を頂いている期間の安否確認は携帯やスマホなどからSMSを利用したメッセージのやりとりで行うことも簡単にできます。
ただ、高齢者の方の中には、そうした機器の操作に不慣れな方は当然おおくいらっしゃいますので、そうした方々へは電話などでの安否確認を実施しているところです。
そうした安否確認を実施している高齢者の方の中に県外にお住まいの方で、今年88歳の米寿を迎えられた方がおり、せっかくでしたので安否確認の電話を誕生日に合わせて入れさせて頂きました。
その方には毎月安否確認の電話入れていますので、日頃からあれやこれや世間話しに花を咲かせているところではありますが、「米寿ですね!」とお祝いを伝えたところ、「よくま~ここまで生きたものだわ」とおっしゃいます。
その方は子供の頃から原因不明の体調不良に悩まされていたのですが、現在は原因も判明し対処も行ったことから日常生活には支障がない状況にまで回復しています。
ただ、原因が判明した際に病院のドクターから言われたのが「あんたこれまで良く生きてたな!」との一言。なかなか辛辣な言葉にも聞こえますが、実際にそれくらい危険な状況を綱渡りで過ごしてきたようなもので、そうした過去の出来事を思い出して漏れ出た言葉が、先の「よくま~ここまで生きたものだわ」に滲み出ていたかに思います。
体調不良の原因は解消しても、それでも88歳の米寿を迎えた方でもありますので、コロナに限らずこの真夏の暑さも大変危険でもありますので、「熱中症などにも気を付けて」と伝えると「あんたも若いからっていって注意を怠ったらあかんよ!今のご時世なにがあるかわからんに」と反対に心配されてしまいました(笑)
医者の不養生ではありませんが、コロナでは若い方も亡くなっていますので、ちょっとした気の緩みでどうなってしまうか分からないご時世でもありますから、死後事務を担う者として、まずは自分の健康を第一に仕事を進めていかないといけないなと、改めて考えさせられる先達からのお言葉です。
8月も終わろうとしていますが、まだまだ暑い時期が続きます。コロナもそうですが、高齢者の方は熱中症も大敵となりますので、無理せずエアコン等の空調を利用して体に負担のないようにお過ごしくださいね。
死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2021.05.10
夫婦や兄妹で死後事務委任契約を結び、片方が存命の場合は死後事務を発効させない契約形態について
お久しぶりです。死後事務支援協会代表の谷です。コロナが依然として猛威を振るっておりなかなか前のようなノーマスクでの生活やみんなで楽しく会食といったことが難しい状況で今年のG・Wも終わりましたね。
海外に比べればまだマシともいえる日本の状況ではありますが、ワクチン接種までなんとか罹らない、うつさないように徹底した感染対策をしていきましょう。これは国や市町村の対策だけではなく、もう自衛するしかないことですので、まずは自分の感染対策を徹底的にですね!
さて、そんなコロナの心配が続く中ではありますが、先日ご契約した死後事務委任契約の事例が今後は増えてくるかもしれないと考えてちょっとご紹介をしておこうかと思います。
一般的に死後事務委任契約というと、「身寄りの無い方が信頼できる第三者に自分の死後の手続きをあらかじめ委任しておく」というイメージです。
そうした場合にすぐに思いつくのが、「単身者」「独身者」「おひとり様」といった、おひとり暮らしをされており、身近な親族が近くにいないといった方々かと思われます。
しかし、実際の死後事務委任契約では、「天涯孤独」という方は稀で、親族はいるけれど疎遠だったり、仲が悪かったり、音信不通だったりと、事情は様々ですが本来死後事務を執り行うべき方がいるけれど、頼りにすることができないので、第三者に死後事務を託すというケースが多くあります。
さらに今回ご紹介するのが、ご夫婦で死後事務委任契約を結んでおくケースです。
ご夫婦で死後事務委任契約を結んでおくと聞くと、夫婦の一方がもう一方の死後事務委任を行うようにも聞こえますが、実際には夫婦がそれぞれ、第三者と死後事務委任契約を結ぶということです。
少し分かり辛いと思いますので、下の図を参照してください。
上の図のように、まずは夫婦で死後事務委任契約をそれぞれ、信頼する第三者と結びます。
その後、ご主人様が亡くなったとすると、いまだ奥さんはご健在ですのでわざわざ第三者が手続きを行わなくても、奥さんが葬儀の手配やその後の手続きご自身の判断で行うことが可能です。
その奥さんも亡くなった場合には、死後事務を行うご親戚等がいないということで、ここではじめて最初に結んだ死後事務委任契約が効力を発揮して、信頼する第三者が死後事務に着手するという流れです。
上のようなケースはどういった場合に利用するのか?
例えば、夫婦ふたりで生活されているけれどお子様もなく、死後事務を託せるような親戚もいないといったような場合です。
なぜ、夫婦ふたりが揃って死後事務委任契約を結ぶのか?
夫婦ふたりで生活している段階では、片方が亡くなっても、生存配偶者にて死後の手続きは可能です。だったら、配偶者が亡くなった段階で死後事務委任契約を結べは、契約するのは1契約だけで、費用も抑えられるんじゃないの?という疑問が出てきます。
もちろん、その通りなのですが、わざわざ夫婦ふたりが事前に死後事務委任契約を結んでおくには訳があります。例えば、配偶者が亡くなった段階で生存配偶者が新たな契約を結べる状況とは限らないということ。
つまり、片方の配偶者が亡くなった段階で死後事務委任契約を結ぼうと考えていたとしても、その段階では生存配偶者も認知症等で新たに契約を結ぶことができる状況ではなくなってしまっていることもあるということです。
昨今は平均寿命も延びて元気な高齢者も沢山いらっしゃいますが、将来の事はやはりわかりません。ですので、万が一に備えて元気なうちに死後事務委任契約を夫婦がそれぞれ結んでおき、例え配偶者が亡くなった段階で認知症等で自分の意思能力が無くなってしまっていたような場合でも安心して過ごせるように準備しておくということですね。
どういった契約形態になるの?
先にも述べた通り、夫婦ふたりでまずは死後事務委任契約を結んで頂き、どちらが先に亡くなっても大丈夫な状況を準備します。
その際に、死後事務委任契約書に、生存配偶者にて死後事務が執り行える場合は先に亡くなった方の死後事務委任契約は無効となる文言を入れておきます。
そうすることによって、先に亡くなった方の死後事務委任契約書は無効となりますので、作成費用等は無駄になってしまいますが、故人と第三者の間で結んだ死後事務委任契約書は効力を発揮せず、生存配偶者の判断で葬儀などを実施することができ、また、契約をたてに第三者が無理やり死後事務を執行するといったことも防ぐことができます。(当然第三者に報酬等を支払う必要もありません)
無効になる死後事務委任契約はあくまで、故人と第三者で結んだ死後事務委任契約ですので、生存配偶者の死後事務委任契約まで無効になるわけではありません。
ですので、その後、生存配偶者が亡くなった段階では依然として有効な死後事務委任契約書となりますので、最後に亡くなった方の死後事務委任契約は信頼する第三者の手によって問題なく執行してもらえるということになります。
少し迂遠な方法にも思えますが、夫婦そろって80歳を超えるような高齢のご夫婦のような場合では、どちらが先に亡くなるかわからないし、ひとりになってからでは対策を考えられるほど、元気ではないかもしれないといった心配があります。
そうした場合には保険という意味でもこうした方法を元気なうちに準備しておくというのも有効な選択肢のひとつとなり得ます。長生きできる社会になったからこそ必要となる備えかもしれませんね。
死後事務に関するご相談は死後事務支援協会までどうぞ~。
2021.01.31
愛知の身元保証を行うNPO法人の敗訴判決について
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。来週は立春ですね!寒いのが苦手な私としては春が待ち遠しい限りです。暖かくなるまでもう少しの辛抱です。コロナも含めて風邪などひかないように注意していきましょうね。
さてさて、昨日ネットのニュースを見ていたらこんなニュースが目に入りました。
「死後全額贈与の契約無効 身元保証の愛知のNPO敗訴」(日本経済新聞)
愛知県の安城市にて活動をしている身元保証を行っているNPO団体が、利用者との間で結んでいた死後に不動産を除く全財産を全額贈与するという契約を裁判所が公序良俗違反であるとして、全額贈与するとした契約は無効としたというものです。
また、判決の中ではNPO団体と市や社会福祉協議会との癒着の構造も認定しており、身元保証関連のトラブルにおいてもなかなかに根深い問題を含んでいるような内容にも見えます。
判決理由の中では「契約は不必要で内容も不明確。死後事務処理の費用は50万円ほどなのに、預金全額を受け取るというのは対価性を欠き、暴利と言わざるを得ない」とかなり強い口調で批判しています。
よっぽど、NPO団体側にて不正が行われたと思わせる事情があったのかと推察されますが、私的自治や契約自由の原則があるなかでここまで強く裁判所が批判するというのは珍しいのではないでしょうか。
ただ、死後事務支援協会においても、死後事務委任契約を通して身元保証を行うこともありますので、他人事ではありません。
もちろん、今回の事件のような契約内容が不分明で暴利をむさぼっているなどと言われるようなことは行っておりませんが、死後事務委任契約の特性上どうしてもトラブルが起きた時点では依頼者であるご本人は亡くなっていることとなり、本人の意思を再度確認するということはできません。
ですので、説明責任の重要性と契約の透明性の確保はなによりも大事と強く思い知らされるニュースでもありました。人の振り見て我が振り直せではありませんが、今一度注意喚起をするとともにご利用者の方にご満足いただける死後事務支援を行ってまいりたいと思います。
ご自分の死後の葬儀や遺品整理、各種手続きにて不安をお持ちの場合は死後事務支援協会までお気軽にご相談くださいね。