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死後事務委任契約
2023.03.07
増える死後事務委任に関する相談
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
3月に入り暖かい日が続くようになりましたね。死後事務委任を始めとした毎月恒例の無料相談会で協力頂いている税理士が花粉症で目と鼻を辛そうにしているのを見ると春がきたのだと実感しますね。
さてさて、2023年に入りコロナの影響もだいぶ少なくなってきたように感じます。マスクの着用も自己判断に任せられることとなり、昨年までの外出規制のような感じはもはやなくなってきていますよね。
私たちの協会で毎月第一日曜日に行っている無料相談会でも昨年まではコロナの影響か相談者ゼロという日も度々ありましたが、今年に入ってからは相談者の数も増えてきており、毎月沢山の方に無料相談を利用して頂く日が続いています。
毎月開催の無料相談会では、死後事務に限らず相続や税務、不動産登記などの相談についても提携の税理士及び司法書士等の専門家にて相談に応じております。
相談に来られる方の中には具体的な相談をされる方もいれば、死後事務に関するふんわりとした疑問を聞きに来られる方もいますし、自分の事ではないけれど友人や親戚に関する相談にお見えになる方もいます。
コロナ禍においては電話相談やネット面談なども増えていましたが、やはり直接顔を合わせてお話しを聞けると相談者がどういった事を心配しているのかといったことにも気づきやすくなり、具体的なアドバイスもしやすくなるなと感じています。
死後事務に関する不安や相談がございましたら死後事務支援協会開催の無料相談会をご利用くださいね~。ご来店お待ちしております。
2023.01.23
相続人のいない遺産647億円が国庫入り。増える「おひとり様財産」の国庫帰属
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
明日からは10年に一度の大寒波襲来とのことで今年の冬将軍はかなり苛烈な様ですね。厳しい冷え込みが予想される地域では、水道管が破裂してしまう可能性もありますので、チョロチョロと水を出し続けたり、給湯器の水抜きをしておくなど対策が必要となります。
給湯器はコロナが始まった当初に比べれば商品の入荷は増えてきている傾向にありますが、機種によってはまだまだすぐに交換できるという状況でもないようですのでご注意ください。
さて、本日は相続人のいない方の財産が国庫に帰属するというお話しです。今日ののヤフーニュースで下記のような記事が出ておりました。
何も準備しないと財産は国庫へ帰属?
647億円!!金額の大きさにびっくりされた方も多いかもしれません。この金額は預貯金だけではなく不動産などの資産も含んだ金額となりますので、東京の一等地に不動産を持っていた方に相続人が誰もいないといったケースでは金額が大きくなるのも必然かもしれませんね。
こうした相続人が誰もいないとして国庫へ帰属する金額というのは多少の前後はありますが、右肩上がりで年々増加傾向となっています。記事にもあるように10年前と比べて倍近くの金額に増加しているとなるとこれはもはや社会問題とも言えます。
この問題の背景にあるのは、おひとり様やおふたり様と呼ばれる方の増加にあります。ご存知の通り、現在の日本は少子高齢化が極まり、年々出生率も低くなってきている状況です。
また、ライフスタイルの多様化から、おひとり様と呼ばれる方や結婚をしても子どもを作らないと決めている夫婦の増加などもあり、ますます相続人のいない財産が増えている状況でもあります。
相続財産は呼んで字の如く、相続される財産でもありますので、相続人となるべき人がいなければ相続財産は宙に浮いてしまうことになります。
誰も相続人がいないからといって、銀行や不動産を管理している不動産会社等が、勝手に自分達の資産として回収するなんてことは出来ませんので、宙に浮いてしまっている財産は最終的には国庫へ帰属するということになります。
当然、個人の財産を国のものとする為には相続財産管理人という専門家のもとで相続人の調査や相続人を受け取るべき特別縁故者などがいないかを時間をかけて調査したうえで、最終的に誰にも渡すことができなかった財産が国庫へと帰属することになりますので、手間も時間もお金も掛かる作業でもあります。
相続人勘違いしていませんか?
相続人がいないこと以外にも相続財産が国庫へ帰属してしまう問題のひとつとして考えられるのが、相続人の勘違いがあります。
相続人となるべき人は左図の「相続人関係図」で示されている方々となり、相続順位に従って相続していくことになります。
ここで注意して欲しいのが、相続人の中に「おじ・おば」「いとこ」が入っていないということ。
甥や姪は相続人になる為、勘違いされている方も多いのですが、「おじ・おば」、「いとこ」の方は相続人とはなりません。
もし、こうした方へ財産を渡したい場合には遺言書を事前に作成しておく必要があります。
勘違いから発生する思わぬ負担
おじやおば、いとこの方が相続人になると勘違いしていて発生する問題もあります。以前のブログでも少しご紹介しましたが、故人に上図で示したような法定相続人と呼ばれる相続人となるべき人がいない場合でも、故人の死後の手続きを「おじ・おば・「いとこ」といった方々が行うというケースがあります。
例えば、今後ますます増加が予想される一人っ子の方が未婚でお子さんがいない状況で亡くなると、第一順位の相続人となるお子さんや孫などの直系卑属はいませんし、高齢で亡くなれば当然両親等の直系尊属もいないことでしょう。
また、一人っ子ということであれば兄弟姉妹もいないことになりますので、第3順位の相続人に該当する方もいないことになり、「相続人不存在」の状況となります。
こうした方々が残した財産が国庫へ帰属することになるのですが、ただ、法定相続人はいなくても「おじ・おば」「いとこ」といった方はいるかもしれません。
実際に私がお手伝いした案件でも、法定相続人はいないけれども近くに住んでいた「いとこ」の方が故人の生前の支援や亡くなった後の死後事務の手続きを担っており、自分達ではできない範囲の手続きのご依頼を頂いてお手伝いしたことがあります。
ただ、上でも述べたとおり、「いとこ」の方は相続人とはなりませんので、例え故人が銀行に預貯金を残していたとしても、それを「いとこ」の方が相続することはできません。
相続ができないのですから、故人が亡くなった後に必要となる、葬儀や納骨、未払いの医療費や各種光熱費の支払い、故人が生活していた賃貸物件の遺品整理や解約手続きなど、諸々に発生する費用は全て「いとこ」の方が自腹で負担しなくてはならなくなってしまいます。
もちろん、故人の方にまとまった財産があるようでしたら、相続財産が国庫へ帰属する前に手続きを行っている相続財産管理人へと「特別縁故者」として申し出を行い、掛かった経費を回収するということも出来ないことはありません。
ただ、相続財産管理人を家庭裁判所へ選任して貰う場合でも数十万~100万近くの予納金を納める必要がありますので、故人の預貯金がこれ以下となるとそもそも申請損になってしまう恐れもあります。
そうなってしまうと、「いとこ」の方としては、もはや故人の預貯金から立替て支払った費用を回収するということはできず、費用はすべて自腹で支払うということになってしまうかもしれません。
法定相続人ではないから、死後の手続きも一切行わないということはもちろん言えます。しかし、生前から親しく付き合っていた経緯もあれば、なかなか見て見ぬふりはできませんよね。
遺言や死後事務委任契約で不測の事態を回避する
こうした相続人のいない方が死後の手続きを予め相続人や相続人以外の方へ頼んでおくのが「死後事務委任契約」となります。
「死後事務委任契約」と聞くと、何か難しい法律用語のように感じて士業のような専門家でしか扱えない業務にも感じますが、実際には一般の方でも行うことができます。
むしろ、家族や親戚の方が日常的に行っている、葬儀や納骨、遺品整理、未払いの医療費や光熱費の支払いといった死後に必要な手続は全て死後事務です。
ですので、士業等が行っている死後事務委任契約というのは、死後事務を行う家族や親戚がいない方に対して家族等に代わって死後事務を行っているに過ぎません。
これまで誰かが亡くなったなら家族が当たり前の様に行ってきた手続きが「死後事務」である以上、家族や親戚が死後事務を行えないなんて事にはなりませんよね。(地理的要因や手続きの煩雑さ等はありますが、、、)
私たち士業が行う「死後事務委任契約」というのは、家族や親戚でもない第三者が故人の死後の手続きを行うにあたって後々トラブルが発生しないように体裁を整えるという意味合いが非常に強いものです。
ですので、こうした家族でも無い第三者が死後事務を行う為に準備する「死後事務委任契約書」というのは、「おじ・おば」「いとこ」といった本来相続人とはならない親戚の方でも予め本人(故人)と契約しておくことで利用することは可能です。
ただ、死後事務委任契約だけですと故人の預貯金等の財産は依然として払戻しを受けることはできませんので、故人の財産を使用して故人の死後事務を実行するには「遺言書」を準備しておく必要があります。
遺言書の活用で死後事務費用を賄う
遺言書はご存知の通り、自分の財産を誰に渡したいのかを書いておく書面であり、その指定方法に法的強制力が与えられるものです。(遺言書には財産以外の事も掛けますがここでは割愛)
ですので、上の事例のように「いとこ」の方が自分の死後に必要な手続きをしてくれるとわかっているのでしたら、遺言書で自分の財産をいとこの方へ遺贈するとしておけば、いとこの方は遺言書等をもって金融機関で故人の預貯金の払い戻しを受けることが可能となります。
ここで感のいい人は気づくかもしれません。「あれ、遺言書だけで預貯金の払い戻しを受けられるなら、死後事務委任契約書なんていらなくない?」と。
まさにその通りであり、遺言書だけで故人の財産を死後事務を執行する方へ渡すことは可能ですので、敢えて死後事務委任契約書なんて難しい書類を作る必要はありません。
死後事務委任契約書は親族でもない第三者の方へ死後の手続きを依頼するような際に、お金だけ持っていかれ、死後の手続きを行わないというケースを防ぐ意味で作成されるものとなります。
ただ、親族間の場合であっても死後事務委任契約書を作成することで、「何を」「どこまでの範囲で」「どういった方法」で行うのかという具体的な希望を整理できるようになりますので、そういった意味では作成する意義もあるかと思います。
親族間での死後事務委任の場合でしたら、死後事務委任契約書でなくとも「エンディングノート」などを活用して、本人の希望を整理するという方法もありますので依頼する側と依頼を受ける側の状況に応じて使い分ければ良いかと思われます。
いずれにしても、相続人のいない方が自分の財産を有効に活用して欲しいと願ったり、自分の死後の事で親戚などに迷惑を掛けたくないとお考えでしたら、事前に準備は必須となりますね。
遺言・死後事務のご相談は随時受け付けておりますので、依頼の有無に関わらず相談事があればお問い合わせフォームにてお送りください。
ご相談お待ちしております~。
2022.10.20
喰い(悔い)残しがない人生を
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
ドリフの仲本さんが交通事故亡くなられてしまいましたね。8時だよ全員集合をリアルタイムでみていた世代としては悲しい限りです。ご冥福を心よりお祈りいたします。
さて、仲本さんの例に限らず、人の人生何がおきるかはわかりません。そうした場合に備えて利用が進んでいるのが死後事務委任契約ではありますが、先日、当協会をご利用頂いている方が亡くなられました。
もともと病院からのご連絡でかなり慌てて死後事務委任契約を結んだ依頼者の方ではありましたが、当初病院側が予想していた状況とは異なり、お医者さんもびっくりする位、退院されてからは落ち着いた生活が続いており、定期的な安否確認で訪問するとヘルパーさんらと楽しくお話しされていたのを思い出します。
生前のある日のこと、家賃の振込の手伝いに伺った際に依頼者の方が「名古屋のプレミアム商品券」を購入したと嬉しそうに話されていました。
コロナ禍での消費活性化を目当てに名古屋市が発行していたお得な商品券(1万円の購入で1万3千円分の商品券)ですよね。
退院されてからは、おひとりでの外出は難しくほぼご自宅で療養されている状況でしたので、「何か欲しいものでもあるの?」と尋ねたところ「最後に喰い残しが無いようにこれで寿司やメロンを買って来てもらうんだ」と嬉しそうに話されていました。
正直なところ、病状も進んでおりましたのでご本人さんも年を越せるかどうかという感じでいつも生活されていましたので、食べたい物を食べるという楽しみを見つけてくれたことが嬉しかったです。
しかし、そんな話しをしていた矢先に訪問看護の方より緊急入院をされたという連絡が入りました。
病院に確認の電話をしたところ、かなり危ない状況とのことでしたが、幸いそこから持ち直して他の施設へ移るという話しが出る位までに回復されたので、施設入所の契約手続きをを行うために病院へ伺うと、先日のプレミアム商品券が手荷物のカバンから出てきました。
かなりの枚数を使用されていたので、「好きなもの食べれた?」と聞いてみると、「あと少し残ってる」とのことです。移転先の施設では施設のスタッフの方が希望するものを購入してきてくれるという話しでしたので、楽しみにしていると笑顔でおっしゃていました。
プレミアム商品券もまだまだ残っていましたので、使い切るくらい好きな物を食べようねと話して、その日はお別れしたのですが、入所施設へ移る直前になって体調が悪化して移転は中止。そのまま病院で看取りを行うことに決まりました。
ちょうどコロナの第7波が勢いを増してきていたこともあり、病棟へ入ることもできず状況を見守っていましたが、残念ながらお亡くなりになったとの連絡を受けることになりました。
病院から引き揚げてきた手荷物には未使用のプレミアム商品券が数冊残っていましたが、他に使い切る寸前の束もありましたので、ご依頼者の方が好きな物を食べて過ごしてくれていたことを願うばかりです。
私もこの方のように最後は美味しい物を食べて喰い(悔い)残しのない人生を歩めたらと思わずにはいられませんでした。
死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2022.10.19
相続人がいる場合の死後事務委任契約
おはようございます。死後事務支援協会の代表の谷です。もう10月も後半戦に入ろうとしていますね。秋も深まってきた感がありますが、この時期は気温の寒暖差が激しいので体調管理には気を付けましょう。
さてさて、本日は家族や相続人がいる場合の死後事務委任契約のご利用について少しご紹介したいと思います。
ご存知の方も多いかと思いますが、「死後事務委任契約」とは自分の死後の手続きを他の誰かに生前に(準)委任契約を結んで依頼しておくものとなります。
簡単な例を挙げて言えば、自分が死んだら葬儀は〇〇葬儀社で行って、遺骨は〇〇寺に永代供養してもらい、遺品整理や公共料金の停止連絡もお願いね~。
といった、本人の希望を契約書に記載しておき、依頼を受けた方がそれを本人が亡くなった後に契約書に基づいて実行していくということですね。
え?それって家族がやるんじゃないの?と思われるでしょうが、必ずしも家族がいるとは限りませんよね。少子高齢化が増々進む日本では、自分の死後の手続きをしてくれるお子様やご兄妹がいない方というのは珍しくなくなってきています。
そうした、様々な事情により、自分の死後の手続きを第三者に依頼して誰にも迷惑をかけないように予め準備しておきたいという方が利用し始めているのが「死後事務委任契約」となります。
では、反対に相続人や親族がいると「死後事務委任契約」は結ぶことはできないのでしょうか?
結論から言うと、相続人やその他の親族がいる場合であっても「死後事務委任契約」は結ぶことは可能です。
しかし、本来、相続人や親族が行う故人の死後の手続きを第三者が行う上での注意点やトラブルの発生については、充分理解したうえで利用する必要があります。
例えば、自分の死後の葬儀や納骨を死後事務委任契約によって依頼しておきたいと考えた場合、葬儀業者や納骨先のお寺等を契約で決めておけばそれで準備万端とはいきません。
葬儀を挙げる場合は基本的にお近くの葬儀業者を利用するケースが一般的かと思われます。病院や施設で亡くなった際に、葬儀社に依頼して遺体を搬送して頂き、24時間保管後に葬儀の実施となります。
では、葬儀業者側として親族以外の第三者が故人の葬儀の依頼をしてきた場合に、葬儀を受けてくれるのでしょうか?
これは、葬儀社毎の判断によりますが、親族以外の第三者からの依頼は受けないとするところもあれば、公正証書で死後事務委任契約等の権限を証明する書類があれば受けるという葬儀社もあります。
一番確実なのは、死後事務委任契約を締結する前に葬儀社に依頼者と共に生前見積りを取りにいき、「私に万が一の事があればこの人から連絡がくるからよろしく!」と伝えておいてもらうことですね。
そうすれば、葬儀社側でも生前のご本人の意思確認が取れていますので、いざというときは非常にスムーズにご本人の希望通りの葬儀を挙げることができます。
反対に、そうした準備をしていない場合だと、葬儀を挙げた後に故人の親族から「なんで赤の他人が勝手に葬儀を挙げているんだ!(怒)」というクレームが葬儀業者に入る可能性もありますので葬儀業者としても慎重になる部分ではあります。
これ以外にも、相続人がいるが為にトラブルの原因となるケースがあります。一般的に死後事務委任契約を締結するようなケースですと、死後事務委任契約以外にも「遺言書」を作成しているケースが多いかと思われます。
まったくの天涯孤独の方の場合は、身近な友人や友人の子ども、お世話になった施設や公益財団や自治体等へ寄付するというケースがあるかと思います。
では、相続人がいる場合は上記のような寄付をすることはできないのか?というと、そういう訳ではなく、自分の財産を最終的にどのように処分するかどうかは本人の自由ですので、遺言書には自由に寄付先を指定しおくことはできます。
ただ、実の子ども等には「遺留分」という、法律上最低限保証される相続分という物がありますので、そちらを主張されれば、遺留分については取り戻される可能性があるというだけです。
故人の兄妹や甥姪には上記の「遺留分」は発生しませんので、相続人が兄妹や甥姪しかいないという方の場合は、遺言書で自由に財産処分が可能です。
しかし、実のお子さんがいる場合に、全部の財産をお世話になった施設や公益団体に寄付するというケースでは、寄付を実行した後にお子様方より「遺留分侵害額請求」として、遺留分を取り戻す請求がなされると、寄付された側が返還手続きなどを行うこととなりますので、よかれと思った寄付が却って迷惑をかけてしまうということもゼロではありません。
もし、遺留分を有する相続人がいる場合に遺留分を侵害するような遺贈寄付を考えているようなケースは、事前に寄付先とも相談した上で、遺言書の内容を考えておく方より安全かと思われます。
実際に先月に亡くなったご依頼者のケースでも、遺留分を有するお子様方へ当協会より遺言書の写しと現時点での財産目録を郵送したところ、お子様方へ一切財産を残さないという遺言の内容だったため、問い合わせの連絡が入りました。
「生前に本人には相当な迷惑を掛けられたから、ある程度の金銭は相続人へと渡して欲しい!」というご相談です。
もちろん事情はわかります。しかし、遺言執行者や死後事務受任者として出来るのは、遺言書と死後事務委任契約書に書かれていることだけのため、権限外の事はできません。
ですので、遺言書に相続人以外の公益財団等へ全財産を寄付するという記載があれば、遺言執行者としてはそれを忠実に実行するのが職務となるため、「それはできません」とお答えすることしかできないことになります。
今回のご依頼のケースでは、もともと清算型遺言という形をとっており、「自分が死んだら、葬儀費用や遺品整理、未払いの治療費や公共料金等、死後の手続きも含めて全ての債務を支払ったうえで、残額があれば、〇〇財団へ寄付して欲しい」という遺言の内容でした。
このケースですと、死後の手続きも含めて、故人が負っている全ての債務を清算した上で、余りがあれば希望の寄付先へ遺贈するという内容になります。
もともと葬儀や遺品整理等を含めた費用を清算するとギリギリの預貯金しか残っていなかったこともあり、財産目録で死亡時の財産とこれから発生する費用等をご説明して、残金の概算をご説明したところ、敢えて法的手続きしてまでも取り戻すほどの物ではないという判断に至ったようです。
しかし、今回のケースとは異なり多少面倒であっても取り戻すだけの資産があるようなケースでは、遺留分の請求を行うことも当然予想されます。
遺言、死後事務を利用する場合は、相続人が誰もいない場合よりも、相続人がいるケースの方がより注意が必要となることを知っておいてください。そうでないと思わぬ形で遺贈先などへ迷惑を掛けてしまうことになってしまうかもしれません。
遺言・死後事務のご相談は死後事務支援協会までお気軽にお問合せくださいね。
2022.02.18
名古屋市が身寄りない13人火葬せず 遺体を最長3年超保管していた件について
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会の谷です。2月も中旬だというのに寒い!外で現場作業をしている身を切る寒さに震えます。皆さんも外出時は暖かい恰好でマスクを忘れずに!
さてさて、昨日のニュースを見ていたらこんな記事がありました。一般の方からすると、かなりショッキングな事件かもしれません。(令和4年2月18日(金)ヤフーニュースより抜粋)
名古屋市が身寄りのない遺体13人分を火葬せずにずっと葬儀業者の保冷施設で保管していたという内容ですね。
この件に関しては、私も知り合いの葬儀業者の方から以前にそうした長期保管されている遺体があるということは聞いていたので知っていました。
身寄りのないご遺体は本来は墓地埋葬法に従って市町村側にて民生葬などで火葬がされ、市と提携している合葬墓等にて供養されるのが一般的です。
しかし、中には今回の件のように長期間火葬もされずにずっと葬儀業者さんの保冷施設で安置されたままになっているご遺体もあったりします。
なんでこんな事が起きてしまうのかというと、市町村側ではこうした身寄りのないご遺体がでた場合は、戸籍調査などを行い親族関係を調査し、親族が見つかった場合は遺体の引取りを打診します。
しかし、親族がいたとしても故人と親族との仲が悪かったりしたり、叔父と甥姪の関係のように疎遠な関係ということもあります。
私が行う遺品整理の孤独死のようなケースでもそうですが、あるひ突然「あなたの叔父さんが孤独死されていたので、遺体を引き取り、大家さんと遺品整理の話し合いをしてください」と電話が掛かってきたらどうでしょうか?
正直なところ、何十年も会ったこともないような叔父が亡くなったと言われても、「はぁ~、そうですか、、、え!私が引き取らないといけないんですか!しかも大家さんと原状回復の話し合いをしてお金を支払えって嘘でしょ!?」となるのではないでしょうか。
遺品整理のご相談を受けているとこうした相談は珍しくなく孤独死が増加する夏場では特にこうした相談が増えることとなります。
そうした案件の中には、「会ったこともない叔父のために私たちが大金を払うなんて、とてもじゃないができません。相続放棄します!」となり、せっかく市町村側で親族が見つけたとしても、遺体の引取りを断られてしまうこともあります。
このように遺体の引取りをしてくれる親族を調査したり、引取りを打診した後に断られたり、いったんは引取りを了承したけど、親族間でトラブルになってしまい遺体の引取りが保留になってしまったりすると、今回のように長期間遺体を安置することに繋がるのかもしれませんね。
今回も名古屋市の担当職員の方が処分を受けてしまったようですが、遺体を火葬してしまうのは結構重い判断かと思われます。
私たちが死後事務委任契約を結んで依頼者の葬儀を実施する際でも、各種契約書にてしっかりと取り決めを行い、本人の意思であることを明確にしているから安心して行えるわけです。
そうした事前の準備もない孤独死や突然死のようなケースでの身寄りのないご遺体を火葬するとなるとやはり、「後から親族が出てきてクレームを付けられるんじゃないか?」と心配になりますよね。
遺体を火葬すれば当然生前の状況は確認できませんし、合葬墓に入れられてしまえば故人の遺骨だけを後から選り分けて回収することもできなくなるわけで、親族から「せめて遺骨だけでも還して欲しい!」と言われてもできないのですから。
人は死ぬ時はひとりで死んでいきます。しかし死んだ後の手続きはひとりではできません。必ず誰かの手を借りることになります。
当協会にご相談に来られる方の中にも家族や親族との仲は良好だか、自分の死後の手続きで負担をかけたくないと考えて死後事務委任契約を結ばれる方もいます。
超高齢者社会の日本では、身寄りのない方はもちろん、家族や親戚がいても第三者に敢えて自分の死後の手続きを依頼することを考える時代になったのだと感じます。
自分の死後の手続きで不安を感じている方はまずはご相談ください。死後事務支援協会では死後事務専門の士業がご相談に応じております。
2022.01.28
自筆証書遺言+死後事務委任契約で万が一に備える
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
オミクロン株の勢いが止まらないですね。私が担当している高齢者の中には持病のためにコロナワクチンを接種できない方もおり、感染力の強いオミクロン株に非常に強い危機感を持たれています。
そのため本来受診しないといけない定期の診察にも感染を恐れて病院へいけないということが続いており、非常に憂慮すべき事態となっています。感染は今週から来週位がピークのようですのでより一層の感染対策を心掛けていきましょうね。
さて、今回は死後事務委任の契約形態についてのお話しです。
先日こういったご質問を頂きました。
「自分はひとり身のため、遺言や死後事務委任契約で万が一に備えておきたいと考えているが、公正証書で遺言や死後事務委任契約を作成したら、内容を気軽に書き換えられないのではないか?」というご質問です。
どうしてこういう心配をされるのかというと、遺言や死後事務委任契約というものは相続が発生してはじめて効果が発生する性質があるからです。
もっと端的に言うなら「死んだら効果が出る書面(契約)」、「生きてる間はなんらの効果もない書面(契約)」ということです。
ですので、最近は終活などで身近になってきた「遺言書」、これも遺言を書かれた方が死なない限りはあくまで希望を書いてある書面でしかなく、なんらの効果も発揮しないものです。
反対に言うなら、なんらの効果も発揮していない書面であるので、生きてる間は何度でも自由につく直しができるということでもあります。
死後事務委任契約も基本的には契約当事者間で合意するなら何度でも作り直しは可能となります。
ただ、何度でも作り直しは可能といっても、どういった形態で遺言書や死後事務委任契約書を作成したかによって、作り直しやすさが変わります。
どういうことかと言うと、一般的に利用される遺言書としては、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類があります。
公正証書遺言は、公証人役場というところで、公証人の面前で証人2人とともに自分の遺言の希望を述べて、それを聞き取った公証人が公正証書遺言という形で遺言書を作成するというものです。
公正証書遺言は、「公証人が作成する」「証人2人がいる」などの要件から、公証人や証人への報酬や作成に関する時間がかかるため、一度作ると何度も気軽に作り直しができるというものではありません。
もちろん、費用と手間を考えなければ何度でも作り直しは可能ですが、頻繁につくり直すということは、まだ遺言に関する内容が固まっていないということでもありますので、そうした場合は別の形態で準備しておいた方が良いこともあります。
それが2つ目の「自筆証書遺言」です。自筆証書遺言の特徴は「自分ひとりだけで作成できる」「証人はいらない」「掛かる費用もなし」と非常にリーズナブルにしかも思い立ったその日にでも作成できるというお手軽さが特徴です。
極端な話し、紙と鉛筆、印鑑と遺言を作成する方の「やる気」さえあればすぐに作成できます。
これまで私たち士業は遺言書と言えば「公正証書遺言」と言ってきました。これは、自筆証書遺言は作成の容易さの反面、無効な遺言も多いという問題を抱えていたからです。
公正証書遺言は公証人というプロが作成し、かつ証人2人を伴って作成しますので、基本的には遺言が無効になることはありません。(遺言者が認知症だったということで裁判で争われるケースはありますが)
しかし、自筆証書遺言は、誰の関与も必要としないことから、有効な遺言とされるには厳格な要件が法律で定められています。
遺言書の原案(下書き)を弁護士や行政書士などの専門家に依頼した上で作成するならいいのですが、ご自身だけで作成しようとすると、「あいまいな内容」「日付や印鑑といった要件の不備」「保管場所の問題」といった、公正証書遺言では発生しないトラブルが出てきます。
ですので、こうしたトラブルを避けるためにも士業の先生方は「遺言は公正証書」でと口を酸っぱくしていってきたのですが、この点については一部制度が改正され、法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度が始まりました。(公証人役場と法務局は別物です)
法務局での自筆証書保管制度については下の法務省のページをご覧ください。
「自筆証書遺言書保管制度(法務省)」
自筆証書保管制度によって何が変わるのかというと、まず、自筆証書遺言が方式違背で無効になることがなくなります。
保管制度を利用する際はご自身が法務局に赴いて、自分の遺言書であることを伝えて保管の申請を行いますが、その際に自筆証遺言が有効となる形式的な確認をしてもらうことができます。
例えば、印鑑が押されていなかったり、日付の記載が無かったり、記載方法(自書してないなど)が間違っているような場合は教えてもらえるということですね。つまり、第三者のチェックが入るということです。
注意点としては、第三者がチェックしてくれるといっても、チェック内容は自筆証書遺言として有効であるかどうかの形式面のチェックであって、記載されている遺言の具体的な内容や文言の使い方まではチェックされないということです。
ですので、専門家から見るこの遺言だと後々親族間でトラブルになりそうな内容であっても、自筆証書遺言としての体裁が整っていれば、保管制度の利用に問題はなく敢えて指摘はされないということです。
次に、「検認手続きがいらない」。これまでは自筆証書遺言を遺族等が見つけた場合は、見つけた遺言書はまず「家庭裁判所」で「検認」という手続きを行う必要がありました。
この検認手続きを経ていないと預貯金の解約手続きなどが行えないのですが、検認は申請してから実際に完了するまでに各種書類を整えた上で1ヶ月程時間がかかりますので、結構面倒なものです。
こうした遺言を執行する上でも検認手続きがいらない「公正証書遺言」が便利ではあったのですが、この点についても法務局での保管制度を利用することで、検認手続きは不要となります。
また、これまで自筆証書遺言は自宅などで保管されているケースが多かったのですが、自宅保管などの場合は、「遺言書を見つけてもらえない」「誰かが遺言書を破棄したり、改ざん、隠匿する恐れがある」など、保管の方法にも問題がありました。
しかし、法務局での保管制度を利用することでこの心配もなくなります。
最後に保管制度の利用料金が安い!
遺言書1通の保管手数料は3,900円という安さで公正証書遺言に比べて非常に使いやすい値段設定です。
長くなってしまいましたが、公正証書遺言、自筆証書遺言の保管制度、これはどちらが優れているというものではなく、遺言書を作成される方の状況に応じて作成しやすくなった(選択肢が増えた)ということです。
例えば、高齢の寝たきりの方であっても意思表示さえできれば、公証人が病院まで出張して遺言書を作成してくれます。
こうした制度は、自筆証書の保管制度ではありませんので、この点をみれば寝たきりの方や自書できない方にとっては、公正証書遺言が選択肢となります。
しかし、まだまだ元気で、いますぐどうこうなる心配はないけれど、万が一に備えて遺言書を作っておきたいという方にとっては、今後何十年と続く人生の中で、遺言書の内容を書き換えたいと思うこともあるはずです。
そうした場合は、費用も手間もかかる公正証書遺言よりも、自分で作成できて利用料も安い保管制度の方が、作り直しが気軽にできるという面では利便性が高くなります。
同じことが「死後事務委任契約書」にも言えます。
残念ながら死後事務委任契約書には遺言書の保管制度のような、契約書を公的機関で預かってくれるという制度はありません。
しかし、死後事務委任契約書は必ず「公正証書」で作成しないといけないというものではなく、一般的な契約書であっても有効に成立するものです。
つまり、死後事務委任契約書においても、公正証書遺言と保管制度の関係と同じで、高齢になり生活様式も大きく変わることはないという段階であれば、公正証書で死後事務委任契約書を作成し、まだまだ元気だけど、突発的な事故や病気などは予測できないから、万が一の備えだけはしておきたいというなら、一般契約書で死後事務委任契約書を作成すればよいということになります。
一般契約書での死後事務委任契約書であれば、死後事務を依頼される委任者と、死後事務を頼まれる受任者の合意があればいつでも作り直しが可能ですので、公正証書で作成する場合に比べて作り直しは容易となります。
最初のご相談内容に戻りますが、遺言や死後事務委任を検討されている方が50代、60代と若い方で、念のために準備だけしておきたいとい場合なら、公正証書で作成するのではなく、自筆証書遺言(法務局保管制度)+一般契約書での死後事務委任契約書にしておくと、作り直しや解約などはしやすいでしょうね。
公正証書遺言、自筆証書遺言、公正証書での死後事務委任契約書、一般契約書での死後事務委任契約書では、内容が正確で有効に成立している限りは効果に違いはありません。(実務面では、公正証書での死後事務委任契約書の方が一般契約書での死後事務委任契約書よりも信頼度は高いように感じますが、、、)
公正証書や保管制度はあくまで選択肢です。利用される方の希望や状況に応じて上手に使い分けることが大事ですね。
当協会のご契約者にも持病の無い健康な40代や50代といったご依頼者の方もいます。そうした若い方々の中には、最初から全て公正証書で作成する方もいれば、最初は自筆証書遺言+一般契約書の死後事務委任契約書で備えて、一定年齢になったら公正証書で作成し直すという考えの方もいます。
万が一に備えて準備はしておきたいけれど、どんな方法が自分に合っているのかわからない。そんな場合は是非ご相談ください。一緒に考えていきましょう!
死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ。ご連絡お待ちしておりま~す。
2021.09.06
死後事務を依頼していた姉としていなかった弟、遺された家族の苦悩
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。9月に入っていっきに涼しくなった感がありますね。食欲の秋が来る~って感じですが、この時期の楽しみのサンマが高い!いつからサンマは高級魚になってしまったのか、、、。
さてさて、本日は死後の手続きのご相談について。当協会で行っている死後事務委任契約は、ご本人様より依頼を頂いて、「自分に万が一の事があったら打ち合わせ通り、後のことはよろしく頼む!」という感じで、ご本人様より生前に依頼を受けて行うものとなります。
これとは別に、故人の死後事務を家族から依頼を受けて行うという手続きも当協会ではサポートしています。何が違うかと言えば、依頼者が「亡くなった本人」か「家族」かの違いがあります。
確かに死後事務委任契約は亡くなったご本人と事前に結んでおくものですが、事前に死後事務委任契約を結んでいなかったからといって、死後事務の手続きを第三者ができないわけではありません。
故人の権利義務や故人の死後の手続きを行うべき家族から委任を受ければ、私たちのような士業は家族の代理人として活動することができますので、ご本人から生前に依頼を受けて行う死後事務委任契約となんら変わらないサポートが可能です。
もともと、死後事務や相続手続きは家族や相続人が行ってきたものですが、近年の超高齢社会の影響などから身近な人に迷惑をかけないようにと、注目を集めてきたのが死後事務委任契約となります。
ですので、本来、手続きを行うご家族や相続人の方の協力があれば、私たちのような士業は通常の相続業務と同様に死後事務のサポートも行うことが可能なわけですね。
今回のご相談は、そうした家族の方からの死後事務のサポートに関するご相談です。
故人は名古屋市内に在住していた方ですが、相続人となられるご兄妹は遠方に住んでおり、年齢などの関係からも気軽に名古屋へ来られる状況ではありません。そうした中でインターネットで当協会の情報をご覧になり、相談のお電話を頂いたという経緯です。
葬儀の関連で名古屋に来られるタイミングで、面談を行うことになり、ご相談者以外の相続人がいる待ち合わせ場所で打ち合わせをすることとなりました。
その際に聞いた話しなのですが、今回亡くなった弟さんとは別に数年前にお姉さまが亡くなったそうです。お姉さまもお一人身の方だったようですが、事前に死後事務に関する手続きを第三者へと依頼してあったとのこと。
ですので、お姉さまが亡くなった時は、葬儀から相続手続きまで全ての死後事務を相続人以外の第三者が行ってくれていたため、ご相談者の方達は必要な書類を提出したり、署名捺印する程度くらいの関与しかしていません。
そうしたちょっとした手続きへの協力だけで、預貯金の払戻し金が指定の口座へ入金され、お姉さまが所有していた不動産の名義は相続人名義へと変更され、当然役場関係の手続きも全て終えられており、非常に手間いらずの状態でお姉さまの死後事務と相続手続きを終えたそうです。
そんな経緯から、今回の相続人の中には「相続手続き何するものぞ」とばかりに、相続や死後事務の手続きは非常に簡単なものといったイメージを持たれている方もいらっしゃいました。
しかし、それはお姉さまが事前に死後事務を信頼できる方へと依頼してあったからこそであり、一般的に死後事務や相続手続きは難解でメンドクサイものです。でなければ、週刊誌などで相続や死後事務関連の特集があんなにも組まれたりしませんよね。
そして今回直面した弟さんの相続と死後事務の手続き。ご相談者の方はわざわざ相談の電話を入れてきている訳ですから、相続や死後事務手続きが簡単にはすまないだろうと思っていらっしいます。
しかし、相続人の方の中には上で述べたお姉さまの時のイメージが残っているのか、私が伺った際に「何を依頼するの~、自分達でやれるでしょう~、お姉さんの時はすぐ終わったじゃないの~」と、楽観的に考えている方が何名かいらっしゃいます。
もちろん、ご家族の方々で手続きできるのなら問題ありませんし、私たちが出る幕ではないのですが、電話相談を受けた際に何点か気になる点がありましたので、依頼をされるかどうかは別に、「とりあえず、今後の手続きと流れを確認してみませんか?」とご提案。
葬儀以降に発生する手続き、役場での手続き、葬祭費の請求、未支給年金の受け取りの可否、公共料金の支払いや各種契約の解約、遺品整理に賃貸物件の明渡しと、ひとつひとつ確認していきます。
そうした中、打ち合わせ前に事前に故人の室内の状況を確認していたご相談者の方からカメラに収めた室内の状況を見せてもらうと、悪い予感が的中です。
室内の状況はいわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれる状況で、天井に届きそうなくらいのゴミの山。トイレやお風呂なども使用できない状況で汚物も散乱し、明らかに通常の退去費用では収まらないケースです。
もちろん、部屋がゴミ屋敷で原状回復費用が高額になると予想される場合であっても、それを上回る相続財産があれば問題ありません。
しかし、室内から探し出した通帳を見ると残高はそれほど多くはありません。記帳するか残高証明を取得してみないと正確なことはいえませんが、遺品整理と原状回復の費用にはまったく足りない状況と予想されます。
亡くなった弟さんの日頃の生活状況を聞いてみると、最近はあまり親交は無かったようですが、昔は消費者金融からの借入も頻繁に繰り返していたようで、場合によっては借金についても心配しないといけない状況です。
その他、賃貸物件の契約状況やお姉さまが亡くなった際の相続状況なども確認していくうちに、「本当に相続されますか?」という根本的な問題へと立ち戻ることとなりました。
私が訪問した段階では、相続もするし、死後事務もやらないといけない、難しい部分は専門家に依頼しようという感じでしたが、状況を整理していき、今後の必要となる手続きや予算、そして残った遺産の状況を確認していったところ、相続人の方々の考えは「これは相続したら大変なことになるのでは?」という認識へと変わっていきました。
幸い相談の電話も早かったため、故人の財産には遺品整理も含めて何も手を付けていない状況ですので、相続放棄を選択肢に入れることも可能です。
ご家族が実際に相続放棄するのか、敢えて相続して手続きを進めていくのかはご家族の判断に任せることになりますが、ただ単に相続して死後事務を行っていくというだけでは、予想外の債務を負う危険性を知って頂けたことは今後の大きな判断材料にして頂けるかと思います。
本来は死後事務を受任していく立場ではありますが、相続人のことを考えれば依頼内容と正反対とも言える「相続放棄」を提案させて頂くこともあります。
今回のケースは、同じ家族の相続で死後の準備をしっかりしていたお姉さまと、まったく準備しておらず突然に亡くなってしまった弟様のケースで、死後の準備の大切さをまざまざと見せつけるものとなりました。
今回のケースでもわかる通り、離れて暮らす家族にとっては、本人がどういった生活をしており、どのような財産や負債を持っているのかは全くわからないのが普通です。
今回のお姉さまのようにしっかりと死後事務委任契約を第三者と契約しておくのが理想ではありますが、そうでなくても、最低限、銀行の口座や負債の有無など相続人となられる方が判断に迷わないようにメモを残しておくと死後の手続きをする方にとっては大きな手助けとなります。
最近は本屋さんへいけば、エンディングノートのように死後の手続きに必要な事項をまとめた冊子も沢山売っていますので、そうした物を活用すると、何を書いておけば死後の手続きに役立つのかを簡単に整理することができます。
相続や死後の手続き、死後事務委任のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2021.08.23
家族や親戚に知らせずに葬儀をあげることは可能か?
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
早い地域だと今週から新学期が開始する学校もあるのですね。8月いっぱいは夏休みかと思っていましたが、この感染が拡大する中での新学期開始は少々心配になります。
小児への感染も増加しているようですので、まずは自己防衛の徹底で家族を守る行動をとっていきましょう。
さてさて、本日も死後事務委任に関するお話しです。先日、所属する士業の団体の勉強会に葬儀業者の代表を招いての勉強会が行われましたので参加してきました。
いろいろと興味深いお話しもあり大変参考になったのですが、その中のお話しで近年の葬儀の際の会葬者の人数のお話しがありました。
もう何年も前から「家族葬」という言葉を聞くようになり、コロナ禍で会葬者の多い葬儀が出来ない状況も合わさって、ここ数年の葬儀の様相はガラッと変わっているそうです。
2017年データーでも3割弱は会葬者20人未満の葬儀だったようで、コロナ禍の状況を考えると今の葬儀は本当に身近な親族だけになっていると思われます。
こうした葬儀の会葬者が減る中で、では反対にどこまで会葬者を減らすことができるのか?と考えたことはありますでしょうか?
最近はゼロ葬という言葉もあるくらいで、もともとの遺骨を持ち帰らないという意味から、葬儀へかける費用や負担を限りなく少なくするという意味にも使用されてきています。
死後事務委任契約のご依頼者の中には、家族や親族がいたとしても「葬儀には誰も呼ばないで欲しい」「家族には知らせずに葬儀を行って欲しい」「家族や親戚には葬儀や納骨が終わってから知らせて欲しい」という希望を持たれている方がけっこういます。
上でいう「葬儀」とは、宗教的儀式の葬儀だけではなく、宗教的儀式を行わない「直葬」なども含んでいるのですが、直葬のような場合であっても、火葬場へ親族が来ることは別段問題はありませんので、そうした火葬場へも来ないようにする為にあえて、死亡通知を葬儀や納骨後に指定される方もいらっしゃいます。
これには様々な理由があり、
①親族や親戚との折り合いが悪い
②相続人として甥や姪がいるが、疎遠なため葬儀に呼ばれても困るだろうと考えてあえて知らせない
③親族や親戚とは良好な関係だが、遠方に住んでおり高齢の体に負担を掛けてまで来てもらわなくてよい
など、親族間の不仲から相手の事を思いやってあえて葬儀には来なくてよいとする内容まで様々です。
では、実際のところ家族や親戚に内緒で葬儀から火葬、埋納骨まで行うことは可能なのでしょうか?結論から言うと「可能」です。
実際に私たちのような死後事務を支援する団体では、依頼者と結んだ「死後事務委任契約」に基づいて、葬儀や納骨などを行っていきますが、契約にあたって、葬儀のプランや誰に通知して誰を呼ぶのか、または誰も呼ばずに葬儀を実施するのかなどを細かく打ち合わせを行い、それを契約書としてまとめます。
そうした契約書の内容に「葬儀は直葬」「親族や知人へは納骨後に通知」などの要望が盛り込まれている場合は、死後事務受任者としては、契約書に記載された通りに死後事務を執行していきますので、依頼者に万が一の事があった場合は親族や親戚には知らせずに葬儀から埋納骨まで終わらせることもあります。
「いや、そうは言っても依頼者が死んだらまずは家族へ連絡が入るでしょ!?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
どのような形で亡くなったかにもよりますが、一般的な病気で入院、その後に死亡という流れの場合では、家族へ死亡連絡がいかないということは珍しくありません。
そもそも病院が連絡する相手は誰なのか?というと、依頼者本人が入院する際に入院申込書などに記載した連絡先に病院は連絡します。
病院が患者の家族や親戚の連絡先を当然に知っている訳でありませんので、患者本人が申込書へ記載した連絡先しか病院は知り得ない訳です。
そうした場合に、その連絡先に私たちのような死後事務支援を行う団体の名前が記載されている場合は、病院は家族以外であってもそこしか連絡先がありませんので、患者が死亡した事、患者の遺体の引取り、未払いの治療費の請求などは、入院申込書へ記載されている「身元保証人」や「身元引受人」「入院治療費の支払い者」等へなされることとなります。
つまり、患者本人が亡くなった場合であっても、入院申込書への記載内容によっては、たとえ家族であっても本人の死亡を知らないまま、患者が希望した身元引受人等へ遺体が引渡されることとなります。
そのようなケースですと、そのまま葬儀や火葬、埋納骨と死後事務委任契約書の内容に従って粛々と進められていきますので、依頼者からどのタイミングで家族や親戚に通知をして欲しいという希望がなされているかによって、家族や親戚が依頼者の死亡を知るタイミングは前後することとなります。
依頼者によっては、「誰にも一切通知しないで欲しい」という希望を持たれている方もいますので、そうした場合は、死後事務受任者としては誰にも通知を行うことなく死後事務の執行を終わることもあります。
ただし、依頼者の方に相続人がいる場合は、例え遺言書で「相続人へは一切財産を渡さない」としていた場合であっても、遺言執行者としては相続人へ財産目録等を整えて通知する義務がありますので、死後事務受任者としては通知しなくても、遺言執行者としては通知するということはあります。
この場合であっても、遺言執行者が通知するタイミングは故人の財産をある程度調査した後になるのが普通ですので、依頼者の方が誰にも通知しなくて良いとしていた場合は、葬儀や埋納骨が終了した後に通知がなされるケースがほとんどでしょう。
では、本題に戻って「会葬者はどこまで減らせるのか」というと、実際には喪主だけで十分という結論となります。この喪主も必ずしも親族である必要はありませんので、第三者の死後事務受任者が喪主を務めるのでしたら、親族、親戚等は誰も参加せずに葬儀、火葬、埋納骨まで終えることは可能となります。
死後事務委任契約は基本的には家族や親戚の意向ではなく、本人の希望を大前提で進めていく契約となり、家族や親戚が例え反対の考えを持っていたとしても、契約書の効力によって本人の希望が優先されるのが「死後事務委任契約」となります。
死後事務委任契約は契約書の名前の通り、死後の事務を委任する契約である為、契約の効力が発効した段階では、依頼者本人は死亡しています。
つまり、何か問題が起きた場合であっても後からその内容を本人に確認するということはできませんので、死後事務委任契約書を作る際は事前の打ち合わせが非常に重要となってきます。
トラブルなく死後事務を第三者へ依頼したい場合は死後事務を専門に扱う士業へご相談くださいね。
自分の死後についての強い希望があるようでしたら、死後事務委任契約をご検討ください。ご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2021.08.05
コロナワクチン接種に備えて死後事務委任契約?
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。オリンピックも折り返しとなり、日本人選手の活躍に心が躍りますね。全力を出し切れる競技になってもらいたいと願っています。
さてさて、オリンピックの裏で暗躍するコロナウイルス。関東では第5波と緊急事態宣言の再発出といまだ予断をゆるさない状況が続いています。
医療機関及び医療従事者の皆様もおかげでワクチン接種も進んでいるところですが、長年の積み重ねのあるインフルエンザのワクチンと違って、緊急対応的に使用が認められたワクチンでもあるため、副反応が怖いといった反応もありますよね。
副反応の症状は様々ですが、発熱や腕が腫れるといった軽い症状なら問題はありませんが、ワクチンとの因果関係は不明なものの、接種した後に亡くなった人がいるという情報を聞くとどうしても「万が一があったら、、、」と不安になるのは仕方ありません。
私自身も先週のワクチン接種の案内が名古屋市より郵送で届きましたので、予約開始時期がきましたら予約をしてワクチン接種に臨みたいと思ってはいます。
しかし、私はこれまでインフルエンザにも罹ったことがなく、インフルエンザの予防接種も受けたことがありません。そうした予防接種未経験者の為、コロナワクチンの予防接種ではどういった副反応が起きるのかや、または初めての予防接種で激しい副反応が出たりするのではないかと心配をしていたりします。
こうした心配は私だけではなく、実際に死後事務委任契約の準備を進めている方との面談の中でもチラホラと同じような心配を耳にすることがあります。
死後事務委任契約の依頼者の多くは、緊急時にすぐに動ける親族がいないケースがほとんどです。これは、家族仲が悪いといったケースだけではなく、単に親族が誰もいなかったり、または親族が遠方に住んでいてすぐには駆け付けられないといった様々なケースがございます。
そうした状況下で、コロナワクチンを接種し、もし万が一があったらどうしよう?という心配から始まり、ワクチン接収に限らず、病気や事故で突然死んでしまったら、私の死後の手続きはいったい誰が行ってくれるの?という、これまであまり考えなかった、または無意識に避けてきた問題にコロナワクチンの接種という問題を機会に改めて考え直される方々がいます。
少し前まではコロナワクチンの接種対象が高齢者となっていましたので、死後事務委任契約が完了した高齢者の方などは、「これでワクチン接種で何か起きても安心だわ」と冗談めかしておっしゃっていました。
しかし、最近はワクチン接種の対象も40代~50代位の方へも対象が拡がってきており、比較的若い方の死後事務委任契約では、これからワクチン接収を受けるという方もいらっしゃいます。
死後事務支援協会で行っている死後事務委任契約では、遺言書と死後事務委任契約を公正証書で作成するのを基本としています。
ですので、死後事務支援協会での聴き取りや遺言者や死後事務委任契約書の原案の作成を行った後には、公証人へと文案を渡し、公正証書の下書きを行って頂いた上で、公証役場へと赴き実際に公正証書の作成となります。
そうした公正証書が出来上がる一連の流れの中で、死後事務支援協会との打ち合わせが終わった後に、実際に公証役場へ赴くまでに1週間~2週間程、空きの時間ができます。(公証人の下書きと、日程調整のため)
では、この1週間~2週間程の空き時間の間に「万が一の事」が起きたらどうなるのでしょうか。例えば、この空き時間の間にちょうどコロナワクチンの接種の予定がある方などです。
実際に現在死後事務委任契約の準備を進めている方の中には、この空き時間の間にコロナワクチンの接種を予定している方がいらっしゃいます。
依頼者の方はコロナワクチン接収に備えて死後事務委任契約の準備を始めた訳ではありませんが、コロナワクチンの接種を目前に控えた状態で、「もし、公正証書が出来上がる前にワクチンの副反応で万が一があったら、、、」と考えてしまう訳ですね。
せっかくここまで準備してきたのに、1週間程のタイミングのズレで、遺言書と死後事務委任契約書を公正証書で作り上げることができなかったとしたら。
仮定の問題として、公正証書で遺言書や死後事務委任契約書を作成する前に、万が一コロナワクチンの副反応等で依頼者が亡くなってしまったとしたら、どうなるのでしょうか。
基本的に、遺言書や死後事務委任契約書は作成された段階で効果を発揮します。反対に言うなら、作成されない限りはいくら「私はこうしたい!」と周りに伝えてあったとしても、それはあくまで本人の希望であり、確実な法的効果が及ぶものではありません。(死後事務委任は口頭で成立する可能性はありますが、、)
つまり、遺言書で遺言執行者に指定されている方も、死後事務委任契約書で死後事務受任者として指定されている方も、遺言書と死後事務委任契約書が作成されない限りはあくまで「候補者」や「予定者」であり、作成されてはじめて、遺言書や死後事務を執行する権限を手にいれることとなります。
簡潔に言うなら、遺言書や死後事務委任契約書が作成される前においては、遺言執行者や死後事務受任者になる予定の者は何もできない。ということになります。
当然それでは困る!というケースもあるでしょうから、これの対処としては公正証書以外での書面で準備しておくということです。
遺言書も死後事務委任契約書も公正証書でなければダメというものではありません。ですので、「自筆証書遺言」と「一般契約書での死後事務委任契約書」でしたら、即日でも作成は可能ですので、コロナワクチンで万が一の事があったら心配という方は、この方法で準備しておくと良いかもしれません。
つまり、公正証書ができるまでは、自筆証書遺言と一般契約書の死後事務委任契約書で対処し、公正証書が出来上がったら、そちらに差し替えるという流れですね。
自筆証書遺言も一般契約書での死後事務委任契約書も正式な書類ですので、当然その書類に書かれている「遺言執行者」や「死後事務受任者」は、公正証書で作成した場合と変わらない手続きをすることができます。
ただし、自筆証書遺言の為、家庭裁判所の検認手続きを経る必要があったり、公正証書程の信用力がないという面はあります。
この方法は、何も公正証書を作成する前提での話しではなく、これからコロナワクチンを接種する方で同じような心配をされている方にも有効な方法です。
公正証書遺言を作成するほどの事はないが、万が一に備えておきたいといった場合でも、とりあえず、「自筆証書遺言」と「一般契約書の死後事務委任契約書」のこの2点だけを準備しておけば、私たちのような士業は依頼者の為に活動ができるようになりますので、ご心配をされているような場合はご相談くださいね。
急な手術や入院の万が一に備えたい方へ
コロナワクチンに限らず、急な手術や入院の際の万が一に備えておきたいとは誰しもが考えることです。
そうした緊急時に財産だけではなく、自分の死後の手続きについても併せて準備しておきたいとお考えの場合は、死後事務支援協会にて対応いたしますのでご相談ください。費用等は「実例3」をご参照ください。
2021.05.10
夫婦や兄妹で死後事務委任契約を結び、片方が存命の場合は死後事務を発効させない契約形態について
お久しぶりです。死後事務支援協会代表の谷です。コロナが依然として猛威を振るっておりなかなか前のようなノーマスクでの生活やみんなで楽しく会食といったことが難しい状況で今年のG・Wも終わりましたね。
海外に比べればまだマシともいえる日本の状況ではありますが、ワクチン接種までなんとか罹らない、うつさないように徹底した感染対策をしていきましょう。これは国や市町村の対策だけではなく、もう自衛するしかないことですので、まずは自分の感染対策を徹底的にですね!
さて、そんなコロナの心配が続く中ではありますが、先日ご契約した死後事務委任契約の事例が今後は増えてくるかもしれないと考えてちょっとご紹介をしておこうかと思います。
一般的に死後事務委任契約というと、「身寄りの無い方が信頼できる第三者に自分の死後の手続きをあらかじめ委任しておく」というイメージです。
そうした場合にすぐに思いつくのが、「単身者」「独身者」「おひとり様」といった、おひとり暮らしをされており、身近な親族が近くにいないといった方々かと思われます。
しかし、実際の死後事務委任契約では、「天涯孤独」という方は稀で、親族はいるけれど疎遠だったり、仲が悪かったり、音信不通だったりと、事情は様々ですが本来死後事務を執り行うべき方がいるけれど、頼りにすることができないので、第三者に死後事務を託すというケースが多くあります。
さらに今回ご紹介するのが、ご夫婦で死後事務委任契約を結んでおくケースです。
ご夫婦で死後事務委任契約を結んでおくと聞くと、夫婦の一方がもう一方の死後事務委任を行うようにも聞こえますが、実際には夫婦がそれぞれ、第三者と死後事務委任契約を結ぶということです。
少し分かり辛いと思いますので、下の図を参照してください。
上の図のように、まずは夫婦で死後事務委任契約をそれぞれ、信頼する第三者と結びます。
その後、ご主人様が亡くなったとすると、いまだ奥さんはご健在ですのでわざわざ第三者が手続きを行わなくても、奥さんが葬儀の手配やその後の手続きご自身の判断で行うことが可能です。
その奥さんも亡くなった場合には、死後事務を行うご親戚等がいないということで、ここではじめて最初に結んだ死後事務委任契約が効力を発揮して、信頼する第三者が死後事務に着手するという流れです。
上のようなケースはどういった場合に利用するのか?
例えば、夫婦ふたりで生活されているけれどお子様もなく、死後事務を託せるような親戚もいないといったような場合です。
なぜ、夫婦ふたりが揃って死後事務委任契約を結ぶのか?
夫婦ふたりで生活している段階では、片方が亡くなっても、生存配偶者にて死後の手続きは可能です。だったら、配偶者が亡くなった段階で死後事務委任契約を結べは、契約するのは1契約だけで、費用も抑えられるんじゃないの?という疑問が出てきます。
もちろん、その通りなのですが、わざわざ夫婦ふたりが事前に死後事務委任契約を結んでおくには訳があります。例えば、配偶者が亡くなった段階で生存配偶者が新たな契約を結べる状況とは限らないということ。
つまり、片方の配偶者が亡くなった段階で死後事務委任契約を結ぼうと考えていたとしても、その段階では生存配偶者も認知症等で新たに契約を結ぶことができる状況ではなくなってしまっていることもあるということです。
昨今は平均寿命も延びて元気な高齢者も沢山いらっしゃいますが、将来の事はやはりわかりません。ですので、万が一に備えて元気なうちに死後事務委任契約を夫婦がそれぞれ結んでおき、例え配偶者が亡くなった段階で認知症等で自分の意思能力が無くなってしまっていたような場合でも安心して過ごせるように準備しておくということですね。
どういった契約形態になるの?
先にも述べた通り、夫婦ふたりでまずは死後事務委任契約を結んで頂き、どちらが先に亡くなっても大丈夫な状況を準備します。
その際に、死後事務委任契約書に、生存配偶者にて死後事務が執り行える場合は先に亡くなった方の死後事務委任契約は無効となる文言を入れておきます。
そうすることによって、先に亡くなった方の死後事務委任契約書は無効となりますので、作成費用等は無駄になってしまいますが、故人と第三者の間で結んだ死後事務委任契約書は効力を発揮せず、生存配偶者の判断で葬儀などを実施することができ、また、契約をたてに第三者が無理やり死後事務を執行するといったことも防ぐことができます。(当然第三者に報酬等を支払う必要もありません)
無効になる死後事務委任契約はあくまで、故人と第三者で結んだ死後事務委任契約ですので、生存配偶者の死後事務委任契約まで無効になるわけではありません。
ですので、その後、生存配偶者が亡くなった段階では依然として有効な死後事務委任契約書となりますので、最後に亡くなった方の死後事務委任契約は信頼する第三者の手によって問題なく執行してもらえるということになります。
少し迂遠な方法にも思えますが、夫婦そろって80歳を超えるような高齢のご夫婦のような場合では、どちらが先に亡くなるかわからないし、ひとりになってからでは対策を考えられるほど、元気ではないかもしれないといった心配があります。
そうした場合には保険という意味でもこうした方法を元気なうちに準備しておくというのも有効な選択肢のひとつとなり得ます。長生きできる社会になったからこそ必要となる備えかもしれませんね。
死後事務に関するご相談は死後事務支援協会までどうぞ~。
2021.03.24
アサヒサンクリーン様にて遺品整理・死後事務の勉強会講師を務めてまいりました。
おはようございます。一般社団法人死後事務支援協会代表の谷です。
春爛漫といった感じで桜が咲き誇っていますね。いまだコロナの終息はみえておりませんが、日本人としては桜をみると気分が癒されます。来年はマスクなしで花見ができると最高ですね!
さてさて、コロナ禍ということもあり最近はセミナーや勉強会なども自粛につぐ自粛でしたが、名古屋では緊急事態宣言も解除されて、ぼちぼちと各所で勉強会などが開催されはじめています。
私も先日久々に講師を務めてまいりました。今回は訪問入浴・訪問介護で人気のアサヒサンクリーン様にお呼び頂き、ケアマネージャ向けの遺品整理と死後事務委任契約についての勉強会の講師となります。
当初は愛知県のケアマネージャだけで勉強会を実施する予定でしたが、コロナ禍ということもあり、ZOOMで勉強会を実施することになりました。
普段は皆さんの顔を見ながら話していますので、ZOOMで講師を務めるというのは初めての経験です。大勢の人の前で話すのはそれはそれで緊張しますから、ZOOMもありかな?と思い資料作成をして下書きを担当の方にお渡ししたところ、何故か愛知県以外のケアマネさんも参加する全国研修に、、、、。
なんでも下書きを責任者の方に確認してもらったところ、せっかくZOOMで行うなら他の地域の方にも見てもらおうという事になったようです。(緊張で私のガラスのハートがピンチです。。。。)
とはいえ、せっかくZOOMという便利なシステムもあることですし、私自身の負担は何も変わりませんので喜んでZOOMでの勉強会を実施させて頂きました。
勉強会の内容としては主に下記のような内容となります。
・遺品整理の際の注意点と遺品整理業界で問題になっている事柄などの裏話し的な話し。
・おひとり様問題に強い効果を発揮する死後事務委任契約の概要と実際の事例を通した死後事務委任契約の運用方法について。
このブログでも度々書かせて頂いていますが、遺品整理業界は遺品整理を始めるだけならなんら資格のいらない誰でも始めることができる仕事の反面、そうした参入障壁の低さからトラブルも多発しています。
今回の勉強会では、そうしたトラブルが起きる原因や実際の事例、また遺品整理を行う際の注意点などを私の経験した内容を基にお話しさせて頂きました。
また、後半では、単身者が増加するなかで問題になってくる死後の事務手続き問題とそれを解決する死後事務委任契約の概要の説明と死後事務委任契約の契約から執行までの流れを実際の事例をもとに説明させて頂きました。
なにぶん人前で話すのが苦手な性分なため、聞きづらい部分もあったかと思いますが、今回の勉強会を通してケアマネージャさん達の何か参考になる部分があったら嬉しい限りです。
最後は勉強会に参加された方々記念撮影をして本日の勉強会は終了です。お疲れ様でした~。