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2023.06.05
子供がいる方の死後事務委任契約の利用方法について
おはようございます。死後事務支援協会代表の谷です。
先日の大雨は酷かったですね。名古屋では交通機関に影響があった程度で済みましたが、近隣の豊橋や浜松あたりでは大変な状況になっているようで心配です。梅雨入りして今後も雨が多い日が続きますが、これ以上の被害が出ない事を祈っております。
さてさて、本日のテーマは「子供がいる方の死後事務委任契約の利用について」です。
一般的に死後事務委任契約を利用される方は、天涯孤独で親や兄妹を先に亡くされて身近な親族が誰もおらず自分の葬儀や遺品整理について心配されている方が利用するといったイメージが強いかと思います。
実際には必ずしも天涯孤独の方ばかりの利用ではなく、親や兄妹がいる方、親や兄妹はいないけれど頼れる親族がいる方、場合によってはお子様がいる方でも死後事務委任契約を結ばれる方もいます。
死後事務委任契約はもともと死後事務委任契約単体で契約することは少なく、死後事務委任契約が広まってきた背景には身元保証会社等が行ってきた身元保証契約と一緒に契約される事が多くありました。
身元保証契約と一緒に契約される場合には死後事務委任契約といった名称ではなく「葬送支援」等のように読み替えられていたりもします。
高齢者施設等への入所をする際に身元保証会社と契約する方は基本的には、自身の身元保証人になってくれる方がいない、またはいても過度な負担をかけたくないため身元保証会社へと自信の身元保証を行ってもらうのですが、身元保証人がいない方は、結局は自己の葬儀等を行う人もいないことがほとんどですので、葬送支援のように死後事務を身元保証会社のような第三者へと依頼することになります。
こうした背景から、死後事務委任契約を利用される方は、自己の死後事務を行ってくれる親族等がいないおひとり様のイメージが強くありますが、近年頂く相談の中には必ずしもおひとり様ではない方からの相談が含まれています。
以前から、親族間の仲が疎遠だったり、家族に迷惑を掛けたくないからという理由で、家族や親戚がいるのに死後事務委任契約を検討される方はいらっしゃいました。
理由は様々で、「過去の相続トラブルで兄妹と険悪な関係になってしまった」「甥や姪はいるけれど何十年も会っていないため、万が一の際に相続放棄をされて放置されてしまわないか心配」「立派な息子や娘はいるけれど海外で生活しており、負担をかけたくない」など、利用を検討する方の事情は様々です。
中でも最近良く寄せられる相談が「自分には子どもがいるが死後事務委任契約を結ぶことはできるでしょうか?」というものです。
こうした相談は、上で挙げたようにお子さんが海外で生活しているとか、子供との関係が断絶してしまっているといった事情ではなく、ごくごく普通の家族で仲も悪いわけではないというケースもあったりします。
一見死後事務を利用する必要のない方々のように思えるのに何故死後事務委任契約を検討しているのでしょうか?その理由も気になるところですが、そもそも相続人としてお子さんがいる方は死後事務委任契約を利用できるのか?というところから見ていきたいと思います。
お子さんがいる方でも死後事務委任契約を結ぶことはできる
結論から先に言うと、死後事務委任契約はお子さんがいる方でも契約することは可能です。法律で直系卑属(子、孫等)がいる人は死後事務委任契約をする事は出来ないなどの定めはありません。
しかし、直系卑属や尊属がいる方の場合は相続問題や死後のトラブルが発生する可能性も高くなるため、直系卑属等がいる方とは死後事務委任契約を結ばないとしている事業者もいます。
例えば、当協会がある名古屋市では社会福祉協議会にて下記のような死後事務委任契約のサービスを提供しています。
「名古屋市あんしんエンディングサポート事業」とは、あらかじめ預託金をお預かりし、本事業の利用者が亡くなったときに、葬儀・納骨 及び家財処分、行政官公庁等への届出などを行う事業です。名古屋市からの委託により、 社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会(以下「本会」)が実施しています。(「名古屋市あんしんエンディングサポート事業パンフレットより抜粋)
上記の説明のとおり、一般的に死後事務委任契約と呼ばれる内容を名古屋市に居住する65歳以上のひとり暮らしの方に提供するサービスとなるのですが、「利用できる対象は?」を見て頂くとわかるとおり、原則直系卑属がいないことが条件となっています。
この他にも地域の信用金庫などが提供している死後事務委任契約などでは直系卑属がいる方とは契約ができないといったケースもあり、サービス提供事業者としては、直系卑属の有無は契約を結ぶ上で非常に重要な条件となっていたりします。
死後事務委任のサービス提供事業者が、直系卑属等の親族の有無を契約の条件にしている事情には、直系に限らず親族がいる場合は故人の葬儀等を第三者が行うことについて本人(故人)の意思とは別の考えを持たれていることもあり、直系卑属であるお子さんともなれば当然そうしたトラブルが増える可能性が高くなることが考えられるからです。
また、直系血族には「遺留分」といった法律上最低限度認められる相続財産についての取り分があることから、直系血族が遺留分の請求を行ってきた場合に遺言執行に支障をきたす恐れがあります。
遺留分の請求をする以上は、直系血族が本人(故人)の考え方とは違う考えをしているということでもありますから、当然死後事務の執行にも支障をきたす可能性が高くなってきます。
こうした事情があるため、公的機関等が行う死後事務サービスでは直系血族がいる方との契約をしないものと思われます。(直系ではなく、兄妹のような傍系血族には遺留分は認められていないため、有効な遺言書が作成されていれば、遺留分を心配する必要がなくなるため、傍系血族は契約の条件になっていないと思われる。)
お子さんがいる方の死後事務委任契約について考えて欲しいこと
上記のように、事業者の判断でお子さんがいる方との死後事務委任契約を結ばないとしているケースはありますが、死後事務委任契約を結ぶにあたり、お子さんがいる方との契約を禁止している法律がある訳ではありません。
当協会では、基本的にお子さんの有無を契約の条件にはしていないため、ご本人の意思がしっかりとした物であるならお子さんがいる方であったとしても、死後事務委任契約の受任者として活動をしております。
そうした事情から、お子さんがいる方からの相談も増えてきているのですが、最近多い相談の中に自分の子供達に迷惑をかけたくないからという相談があります。
私個人の考えとしては、何か過去のトラブルで親子間の関係が悪化しているといった事情がないのでしたら最後位は子供に迷惑をかけてもバチはあたらないと思っているのですが、親としてはやはり自分の事で子供に負担をかけたくないと思われている親御さんも多くいらっしゃいます。
ただ、死後事務委任契約を結ぶにあたって注意して欲しいことがあります。死後事務委任契約とは、依頼者と受任者との「契約」であり、依頼を受ける「受任者」は死後事務委任契約書の内容に縛られてしまうということ。
死後事務委任契約の基本的な契約条項として、「委任者が死亡しても契約は終わらない」「相続人は自由に契約の解除ができない」といった項目があります。
これは、当事者が死亡したことによって委任契約は当然には終了しないということを契約条項としても盛り込むとともに、相続人であっても委任者(故人)と受任者との契約は自由に解除することはできないということを定めています。
これは、委任者である故人の最後の意思を実現するために必要な項目であり、例えば故人が自分の葬儀や納骨方法について強い希望があったような場合に、家族が勝手にその葬儀の方法や納骨先を変更してしまうような事を許さないといった効果があります。
ただ、これは反対に言えば、たとえ家族であっても故人(委任者)と受任者との契約には口を挟むことはできないことを意味しており、また受任者側も契約書に記載されている内容と異なった方法での執行を許されないことを意味しています。
つまり、家族がいる方が死後事務委任契約を結ぶということは、依頼した死後事務の内容によっては家族の関わりを一切拒否してしまいかねない恐れがあるということです。
ですので、過去のトラブル等でお子さんとの関係が既に切れてしまっているような方なら問題にはならないかもしれませんが、親子間の関係が良好でなんのトラブルもない方が、お子さんの負担軽減だけを目的に死後事務委任契約を結んでしまうと、最後の最後でお子さんの関わりを拒否してしまい、親心から結んだ死後事務委任契約がお子さんとの関係にヒビを入れてしまう結果になってしまうかもしれません。
何が最悪かというと、そうしたお子さんとの関係にヒビを入れてしまったということについて本人は既に故人となっており、気付いてあげることができないということです。
死後事務委任契約はおひとり様がますます増えると予想される日本ではより利用が増えてくる非常に便利な契約ではありますが、必ずしも万人向けの契約ではありません。
死後事務委任契約は公序良俗に反しない限り自由に契約内容を決められる契約でもありますので、お子さんがいる方が死後事務委任契約の利用を検討する場合は、専門家とも相談したうえで上記のような最悪な結果を招かないような契約内容にするようにしておきましょう。
それ、死後事務委任契約でなくても大丈夫ですよ。
死後事務委任を検討されている方からの相談では、上でも書いたように家族に負担を掛けたくないからという理由が多いのですが、よくよく話しを聞いてみると敢えて死後事務委任契約を結ばなくても心配事は解決できるという事もたくさんあります。
例えば、お子さんが遠方に住んでいるので出来る限り自分達(親)で準備をしておきたい。といったケースでは、事前に死後事務委任契約を結んでおいて、お子さんの関与がなくても死後事務が進むように段取りをしておこうといった希望があります。
しかし、死後事務委任契約で実現する内容の多くが故人のお子さんからの依頼でも問題なく実行できるものであり、敢えて生前に死後事務委任契約といった形で契約をしておかなくても、遠方にお住まいのお子さんから士業等の専門家に電話やメールで死後事務に相当する依頼の代行依頼を貰えば、生前に死後事務委任契約を結んでいたのと同じ結果にすることも難しくはありません。
つまり、生前に本人の意思で死後事務を執行するのか、お子さんの意思で死後事務の執行をするかの違いでしかなく、むしろお子さんがいる方の場合でしたら、お子さんの意思も尊重できるように後者の方法で死後事務を実行した方が良い場合もあります。
相続手続きでお子さんが負担に感じるのは、財産として何があって、どんな手続きをする必要があり、またその手続きを誰に依頼したら良いのかが分からないのが負担に感じるのであって、事前にエンディングノート等で詳細をわかりやすくまとめておき、「万が一の手続きは〇〇先生に依頼すること」としておくだけで解決できることも少なくありません。
もちろん、そうした単純な案件ばかりではないでしょうから全部が全部簡単な解決方法は出てこないかもしれませんが、少なくとも死後事務委任契約しか手段が無いといったことはありませんので、相続手続きや終活といった内容に詳しい専門家等とも相談して沢山の選択肢の中ら自分に合った方法を見つけてみてください。
相続や死後事務に関する相談でしたら死後事務支援協会までご連絡くださいね。ご相談お待ちしておりま~す。
2023.05.23
ゼロ葬の相談について
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
5月も終わろうとしており、そろそろ本格的な夏が来る予感!がしていますね。体が暑さに慣れていないうちは急な気温の上昇に体がついていけず高齢者の方にとっては、それこそ命取りとなってしまいますので、適度な水分補給とエアコン等も利用して夏へ備えていきましょう。
さてさて、死後事務支援協会では毎月第一日曜日に士業事務所にて無料相談会を実施していますが、席数の関係から予約をお勧めしております。
前回の無料相談会でも予約で席が満席となってしまっていたのですが、そのご相談者の中に電話予約の際に「ゼロ葬についてお聞きしたい」という方がいらっしゃいました。
なんでも現在は夫婦ふたりで元気に楽しく過ごしているが、将来的にはおひとり様となるため、そろそろそうした情報も集めておかないといけないのではと感じてのご相談のようです。
なんでゼロ葬を?と聞くと、自分達の子供には仏壇や墓守などの負担をかけたくないので、ゼロ葬を考えているとのことでした。
ゼロ葬とは、宗教学者の島田巳氏の「0葬-あっさり死ぬ」(2014年出版)が元になった言葉で、火葬後に遺族が遺骨を引き取らない葬儀のことを指しています。
近年ではお墓を残さない、仏壇を必要としないなどの意味も含めて、自分の死後に家族の負担をゼロにしておく意味も含まれてきているなと感じているところです。
今回のご相談では、本来のゼロ葬でもある「遺骨を収骨せずに終わりたい」というご相談でした。なんでも当協会の過去のブログ「火葬後の遺骨を持ち帰らない(収骨しない)という選択」をご覧になっての相談のようです。
一般的には火葬後の焼骨は骨壺に入れて親族が持ち帰ったうえでお墓等へ埋葬したりしますが、名古屋市はもともと関東圏のように全収骨(全ての焼骨を骨壺に入れて持ち帰る)ではなく、部分収骨(焼骨の一部だけを持ち帰る)のため、もともと親族が持ち帰らない部分の焼骨は斎場にて処理されていました。
焼骨の一部を斎場にて処理してくれるのなら焼骨全部を斎場にて処理してもらうことも可能な訳で、おひとり様問題が顕在化してきた近年では斎場に依頼して焼骨を持ち帰らないとするゼロ葬の依頼も少しずつ増えてきているようです。
過去のブログでは名古屋市の斎場のひとつである「八事斎場」を例に紹介させて頂いておりましたが、ご相談者のお住まいの地域でもそうした焼骨を持ち帰らないとする「ゼロ葬」は可能なのか?というご相談です。
名古屋市近郊は基本的に部分収骨なため、ゼロ葬も可能かと思われるのですが、念のため確認しておこうと相談者のお住まいの地域の斎場を管轄する部署へと問い合わせをしてみました。
相談者のお住まいの地域には火葬場(斎場)はふたつあり、ひとつは自治体が運営する斎場で、もうひとつが外部に委託している斎場となっています。
自治体の斎場担当者に「ゼロ葬」は可能か?と聞いたところ、火葬前に申請してくれば可能という回答で名古屋市とやり方は同じようでした。
ついでに「火葬後の焼骨はどうなるのか?」と聞いてみたところ、何故か急に言葉を濁し始めてはっきりとは答えず、最終的には火葬後の焼骨は専門業者に引取りをしてもらうとのこと。
引き取られた後の焼骨がどうなるのかを聞いてみると、「引渡した後のことはわからない」とのことで、正直それで大丈夫なのか?と思いましたね。
一時期、遺灰から貴金属を抽出するために残骨を売却する自治体の話しが話題になったこともありましたので、もしかしたらそうした話題に発展してしまうのを恐れて明確な回答を避けられていたのかもしれません。
もうひとつの斎場も、ゼロ葬は同じく可能で、こちらは焼骨後の残骨を石川県の大本山總持寺祖院にて供養しているとのことでした。(全国残骨灰精霊供養)
相談者の方が心配していたゼロ葬についてはどちらの斎場でも可能のようでしたが、担当者の反応を考えるとゼロ葬であっても遺骨をしっかりと供養してくれる斎場を勧めたくなりますよね。
実際の相談会でのお話しでもこうした話題に触れつつ、依頼者の方が心配されていた地元の斎場でのゼロ葬については問題なく可能であることをお伝えさせて頂きました。
しかし、ゼロ葬を利用するにあたって、親として子どもに負担をかけたくないと考えているのと同様に子供としても両親をしっかり供養したいと思っていることにも忘れないで欲しいと注意点も述べさせて頂きました。
海洋散骨などでは良く聞かれる話しではありますが、親心から遺骨を海に撒いてもらい子供のお墓の負担を減らしておこうと考え実行したところ、家族としてどこに手を合わせれば良いのかわからなくて困ったという話しもちらほらと聞いたりします。
ゼロ葬は、日本人として染みついたお墓や仏壇に手を合わせて亡くなった家族に想いを馳せるという機会を奪ってしまう可能性もありますので、ご家族の負担を減らしたいと考えてゼロ葬を検討されている方は遺されるご家族ともしっかりとお話しをしたうえで利用するかどうかを決めてくださいね。
死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ。
2023.03.07
増える死後事務委任に関する相談
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
3月に入り暖かい日が続くようになりましたね。死後事務委任を始めとした毎月恒例の無料相談会で協力頂いている税理士が花粉症で目と鼻を辛そうにしているのを見ると春がきたのだと実感しますね。
さてさて、2023年に入りコロナの影響もだいぶ少なくなってきたように感じます。マスクの着用も自己判断に任せられることとなり、昨年までの外出規制のような感じはもはやなくなってきていますよね。
私たちの協会で毎月第一日曜日に行っている無料相談会でも昨年まではコロナの影響か相談者ゼロという日も度々ありましたが、今年に入ってからは相談者の数も増えてきており、毎月沢山の方に無料相談を利用して頂く日が続いています。
毎月開催の無料相談会では、死後事務に限らず相続や税務、不動産登記などの相談についても提携の税理士及び司法書士等の専門家にて相談に応じております。
相談に来られる方の中には具体的な相談をされる方もいれば、死後事務に関するふんわりとした疑問を聞きに来られる方もいますし、自分の事ではないけれど友人や親戚に関する相談にお見えになる方もいます。
コロナ禍においては電話相談やネット面談なども増えていましたが、やはり直接顔を合わせてお話しを聞けると相談者がどういった事を心配しているのかといったことにも気づきやすくなり、具体的なアドバイスもしやすくなるなと感じています。
死後事務に関する不安や相談がございましたら死後事務支援協会開催の無料相談会をご利用くださいね~。ご来店お待ちしております。
2023.01.23
相続人のいない遺産647億円が国庫入り。増える「おひとり様財産」の国庫帰属
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
明日からは10年に一度の大寒波襲来とのことで今年の冬将軍はかなり苛烈な様ですね。厳しい冷え込みが予想される地域では、水道管が破裂してしまう可能性もありますので、チョロチョロと水を出し続けたり、給湯器の水抜きをしておくなど対策が必要となります。
給湯器はコロナが始まった当初に比べれば商品の入荷は増えてきている傾向にありますが、機種によってはまだまだすぐに交換できるという状況でもないようですのでご注意ください。
さて、本日は相続人のいない方の財産が国庫に帰属するというお話しです。今日ののヤフーニュースで下記のような記事が出ておりました。

何も準備しないと財産は国庫へ帰属?
647億円!!金額の大きさにびっくりされた方も多いかもしれません。この金額は預貯金だけではなく不動産などの資産も含んだ金額となりますので、東京の一等地に不動産を持っていた方に相続人が誰もいないといったケースでは金額が大きくなるのも必然かもしれませんね。
こうした相続人が誰もいないとして国庫へ帰属する金額というのは多少の前後はありますが、右肩上がりで年々増加傾向となっています。記事にもあるように10年前と比べて倍近くの金額に増加しているとなるとこれはもはや社会問題とも言えます。
この問題の背景にあるのは、おひとり様やおふたり様と呼ばれる方の増加にあります。ご存知の通り、現在の日本は少子高齢化が極まり、年々出生率も低くなってきている状況です。
また、ライフスタイルの多様化から、おひとり様と呼ばれる方や結婚をしても子どもを作らないと決めている夫婦の増加などもあり、ますます相続人のいない財産が増えている状況でもあります。
相続財産は呼んで字の如く、相続される財産でもありますので、相続人となるべき人がいなければ相続財産は宙に浮いてしまうことになります。
誰も相続人がいないからといって、銀行や不動産を管理している不動産会社等が、勝手に自分達の資産として回収するなんてことは出来ませんので、宙に浮いてしまっている財産は最終的には国庫へ帰属するということになります。
当然、個人の財産を国のものとする為には相続財産管理人という専門家のもとで相続人の調査や相続人を受け取るべき特別縁故者などがいないかを時間をかけて調査したうえで、最終的に誰にも渡すことができなかった財産が国庫へと帰属することになりますので、手間も時間もお金も掛かる作業でもあります。
相続人勘違いしていませんか?

相続人関係図
相続人がいないこと以外にも相続財産が国庫へ帰属してしまう問題のひとつとして考えられるのが、相続人の勘違いがあります。
相続人となるべき人は左図の「相続人関係図」で示されている方々となり、相続順位に従って相続していくことになります。
ここで注意して欲しいのが、相続人の中に「おじ・おば」「いとこ」が入っていないということ。
甥や姪は相続人になる為、勘違いされている方も多いのですが、「おじ・おば」、「いとこ」の方は相続人とはなりません。
もし、こうした方へ財産を渡したい場合には遺言書を事前に作成しておく必要があります。
勘違いから発生する思わぬ負担
おじやおば、いとこの方が相続人になると勘違いしていて発生する問題もあります。以前のブログでも少しご紹介しましたが、故人に上図で示したような法定相続人と呼ばれる相続人となるべき人がいない場合でも、故人の死後の手続きを「おじ・おば・「いとこ」といった方々が行うというケースがあります。
例えば、今後ますます増加が予想される一人っ子の方が未婚でお子さんがいない状況で亡くなると、第一順位の相続人となるお子さんや孫などの直系卑属はいませんし、高齢で亡くなれば当然両親等の直系尊属もいないことでしょう。
また、一人っ子ということであれば兄弟姉妹もいないことになりますので、第3順位の相続人に該当する方もいないことになり、「相続人不存在」の状況となります。
こうした方々が残した財産が国庫へ帰属することになるのですが、ただ、法定相続人はいなくても「おじ・おば」「いとこ」といった方はいるかもしれません。
実際に私がお手伝いした案件でも、法定相続人はいないけれども近くに住んでいた「いとこ」の方が故人の生前の支援や亡くなった後の死後事務の手続きを担っており、自分達ではできない範囲の手続きのご依頼を頂いてお手伝いしたことがあります。
ただ、上でも述べたとおり、「いとこ」の方は相続人とはなりませんので、例え故人が銀行に預貯金を残していたとしても、それを「いとこ」の方が相続することはできません。
相続ができないのですから、故人が亡くなった後に必要となる、葬儀や納骨、未払いの医療費や各種光熱費の支払い、故人が生活していた賃貸物件の遺品整理や解約手続きなど、諸々に発生する費用は全て「いとこ」の方が自腹で負担しなくてはならなくなってしまいます。
もちろん、故人の方にまとまった財産があるようでしたら、相続財産が国庫へ帰属する前に手続きを行っている相続財産管理人へと「特別縁故者」として申し出を行い、掛かった経費を回収するということも出来ないことはありません。
ただ、相続財産管理人を家庭裁判所へ選任して貰う場合でも数十万~100万近くの予納金を納める必要がありますので、故人の預貯金がこれ以下となるとそもそも申請損になってしまう恐れもあります。
そうなってしまうと、「いとこ」の方としては、もはや故人の預貯金から立替て支払った費用を回収するということはできず、費用はすべて自腹で支払うということになってしまうかもしれません。
法定相続人ではないから、死後の手続きも一切行わないということはもちろん言えます。しかし、生前から親しく付き合っていた経緯もあれば、なかなか見て見ぬふりはできませんよね。
遺言や死後事務委任契約で不測の事態を回避する
こうした相続人のいない方が死後の手続きを予め相続人や相続人以外の方へ頼んでおくのが「死後事務委任契約」となります。
「死後事務委任契約」と聞くと、何か難しい法律用語のように感じて士業のような専門家でしか扱えない業務にも感じますが、実際には一般の方でも行うことができます。
むしろ、家族や親戚の方が日常的に行っている、葬儀や納骨、遺品整理、未払いの医療費や光熱費の支払いといった死後に必要な手続は全て死後事務です。
ですので、士業等が行っている死後事務委任契約というのは、死後事務を行う家族や親戚がいない方に対して家族等に代わって死後事務を行っているに過ぎません。
これまで誰かが亡くなったなら家族が当たり前の様に行ってきた手続きが「死後事務」である以上、家族や親戚が死後事務を行えないなんて事にはなりませんよね。(地理的要因や手続きの煩雑さ等はありますが、、、)
私たち士業が行う「死後事務委任契約」というのは、家族や親戚でもない第三者が故人の死後の手続きを行うにあたって後々トラブルが発生しないように体裁を整えるという意味合いが非常に強いものです。
ですので、こうした家族でも無い第三者が死後事務を行う為に準備する「死後事務委任契約書」というのは、「おじ・おば」「いとこ」といった本来相続人とはならない親戚の方でも予め本人(故人)と契約しておくことで利用することは可能です。
ただ、死後事務委任契約だけですと故人の預貯金等の財産は依然として払戻しを受けることはできませんので、故人の財産を使用して故人の死後事務を実行するには「遺言書」を準備しておく必要があります。
遺言書の活用で死後事務費用を賄う
遺言書はご存知の通り、自分の財産を誰に渡したいのかを書いておく書面であり、その指定方法に法的強制力が与えられるものです。(遺言書には財産以外の事も掛けますがここでは割愛)
ですので、上の事例のように「いとこ」の方が自分の死後に必要な手続きをしてくれるとわかっているのでしたら、遺言書で自分の財産をいとこの方へ遺贈するとしておけば、いとこの方は遺言書等をもって金融機関で故人の預貯金の払い戻しを受けることが可能となります。
ここで感のいい人は気づくかもしれません。「あれ、遺言書だけで預貯金の払い戻しを受けられるなら、死後事務委任契約書なんていらなくない?」と。
まさにその通りであり、遺言書だけで故人の財産を死後事務を執行する方へ渡すことは可能ですので、敢えて死後事務委任契約書なんて難しい書類を作る必要はありません。
死後事務委任契約書は親族でもない第三者の方へ死後の手続きを依頼するような際に、お金だけ持っていかれ、死後の手続きを行わないというケースを防ぐ意味で作成されるものとなります。
ただ、親族間の場合であっても死後事務委任契約書を作成することで、「何を」「どこまでの範囲で」「どういった方法」で行うのかという具体的な希望を整理できるようになりますので、そういった意味では作成する意義もあるかと思います。
親族間での死後事務委任の場合でしたら、死後事務委任契約書でなくとも「エンディングノート」などを活用して、本人の希望を整理するという方法もありますので依頼する側と依頼を受ける側の状況に応じて使い分ければ良いかと思われます。
いずれにしても、相続人のいない方が自分の財産を有効に活用して欲しいと願ったり、自分の死後の事で親戚などに迷惑を掛けたくないとお考えでしたら、事前に準備は必須となりますね。
遺言・死後事務のご相談は随時受け付けておりますので、依頼の有無に関わらず相談事があればお問い合わせフォームにてお送りください。
ご相談お待ちしております~。
2023.01.02
死後事務に対する興味深い意見を頂きました!
新しい年がはじまりましたね。皆様本年もよろしくお願いいたします。死後事務支援協会代表の谷です。
名古屋圏は年末年始も非常に天気に恵まれ穏やかな年始めとなりました。明日くらいからまた強い寒気が来るようですので雪が降る地域の皆様はお気をつけくださいね。
さて、死後事務支援協会の本年最初のブログの内容は、年始に頂いた死後事務に関する意見を紹介させていただこうかと思います。
内容的には死後事務委任なんて必要ない!というもので、私たちの存在意義を否定するものでもありますが、そうした考えを持っている方も当然いて然るべきだなと思い出させてくれるご意見でもありました。
近年はネットや週刊誌でも「終活」の話題で持ち切りで、ひと昔前のように人の死に強い忌避感を持つということは無くなったかもしれません。
いえ、無くなったというのは少々言い過ぎですね、「老い」や「死」「相続」という話題に対して忌避感が薄まった、または高齢者自らが積極的に関わっていこうという方が増えたというべきかもしれません。
もちろん、いまでも親の立場からしたら自分の死後の事を話されたら気分は悪いでしょうし、子供達としてもそうした話題については触れ辛いものなのは変わりません。
ただ、そうした中であっても、相続トラブルが起きないようにとご自身で準備される方や相続人等のいない方は、自分の死後に他人に迷惑をかけないように準備されている方が増えてきているのもまた事実です。
日本社会としても少子高齢化が極まり、単身世帯や子どものいない夫婦(最近ではおふたり様なんて呼ばれたりもしますが)も今後増加することでしょう。
そうした社会の状況や要請に応じて広まってきたのが各種終活関連業務であり「死後事務委任」という制度でもあります。
死後事務委任を利用するかどうかは当然、それを必要する方が決めればいいことであり誰かに強制されるものではありません。
しかし、死後事務委任に限らず葬儀や相続といった人の「死」に関連した仕事というのは、「困っている人の状況を利用したビジネス」と思われてしまう場面もございます。
終活ブームともいえる昨今において、どちらかというと家族や他人に迷惑をかけないように準備するという意味での終活は推奨されている雰囲気があります。
これは日本人の気質として「立つ鳥跡を濁さず」の精神が終活ともマッチした結果と思われ、当協会へご依頼頂く方の多くが同じような事を契約時にはお話しされます。
ただ、そうした考えとは真逆の事を考えている人がいるのも当然で、別にどちらが良い悪いというものではありません。近年の終活礼賛の雰囲気のなかで終活に対して批判的な意見というのはなかなか聴けないものでもあります。
以下に、死後事務や終活全体に対して反対の意見を新年に頂きましたので、過熱する終活ブームに対してもう一度、「終活って何?」「本当に依頼者のためになってるの?」「ビジネスとしてだけで考えていない?」と考えさせて頂くものとなりました。
死後事務をはじめとして終活関連業務に携わる方の年始めの話題には非常に良い内容かとも思いますのでご紹介いたします。
※下記の内容は率直な意見をお伝えするために、当協会へ届いた原文をそのまま掲載しております。個別の相談内容ではなく、また終活等の業務を行う人達全体へのメッセージと判断し掲載させて頂くことにいたしました。
(以下、本文)
死後の準備をしていないと多大な迷惑がかかる?
それがどうした?大いにかければいい。
死んだらいなくなる。ただそれだけ。死んだ自分には関係ない。
葬儀などただの慣習。何の意味もない。
好きに生きて好きに死ぬ。
他人に迷惑がかかる迷惑をかけるなとか言ってる奴らが
日本の陰湿で足を引っ張る社会を作ってると気付けよ。
(ここまでが本文)
こういった意見もあるんだなと思わせる内容ですよね。恐らく終活を考えて実際の準備をされている方にとっては全く反対の考えになっているのかと思われます。
先にも述べました通り、終活や死後事務委任というのは強制されるものではございません。必要に応じて、それぞれの方に適した方法を選択すれば良いと私は考えています。
一口に終活といっても、「遺言」「死後事務委任」「エンディングノート」「家族信託」「身元保証」「葬送支援」等と多岐に渡り、全部が全部必要となる訳でありません。
私たち死後事務支援協会としては、死後事務委任をはじめ依頼者の方の状況に合わせて必要と思われる方法を適切にご提案していくことを使命と考え今年も業務に邁進していく所存でございます。
改めて、本年も死後事務支援協会をどうぞよろしくお願いいたします。
2022.10.20
喰い(悔い)残しがない人生を
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。
ドリフの仲本さんが交通事故亡くなられてしまいましたね。8時だよ全員集合をリアルタイムでみていた世代としては悲しい限りです。ご冥福を心よりお祈りいたします。
さて、仲本さんの例に限らず、人の人生何がおきるかはわかりません。そうした場合に備えて利用が進んでいるのが死後事務委任契約ではありますが、先日、当協会をご利用頂いている方が亡くなられました。
もともと病院からのご連絡でかなり慌てて死後事務委任契約を結んだ依頼者の方ではありましたが、当初病院側が予想していた状況とは異なり、お医者さんもびっくりする位、退院されてからは落ち着いた生活が続いており、定期的な安否確認で訪問するとヘルパーさんらと楽しくお話しされていたのを思い出します。
生前のある日のこと、家賃の振込の手伝いに伺った際に依頼者の方が「名古屋のプレミアム商品券」を購入したと嬉しそうに話されていました。
コロナ禍での消費活性化を目当てに名古屋市が発行していたお得な商品券(1万円の購入で1万3千円分の商品券)ですよね。
退院されてからは、おひとりでの外出は難しくほぼご自宅で療養されている状況でしたので、「何か欲しいものでもあるの?」と尋ねたところ「最後に喰い残しが無いようにこれで寿司やメロンを買って来てもらうんだ」と嬉しそうに話されていました。
正直なところ、病状も進んでおりましたのでご本人さんも年を越せるかどうかという感じでいつも生活されていましたので、食べたい物を食べるという楽しみを見つけてくれたことが嬉しかったです。
しかし、そんな話しをしていた矢先に訪問看護の方より緊急入院をされたという連絡が入りました。
病院に確認の電話をしたところ、かなり危ない状況とのことでしたが、幸いそこから持ち直して他の施設へ移るという話しが出る位までに回復されたので、施設入所の契約手続きをを行うために病院へ伺うと、先日のプレミアム商品券が手荷物のカバンから出てきました。
かなりの枚数を使用されていたので、「好きなもの食べれた?」と聞いてみると、「あと少し残ってる」とのことです。移転先の施設では施設のスタッフの方が希望するものを購入してきてくれるという話しでしたので、楽しみにしていると笑顔でおっしゃていました。
プレミアム商品券もまだまだ残っていましたので、使い切るくらい好きな物を食べようねと話して、その日はお別れしたのですが、入所施設へ移る直前になって体調が悪化して移転は中止。そのまま病院で看取りを行うことに決まりました。
ちょうどコロナの第7波が勢いを増してきていたこともあり、病棟へ入ることもできず状況を見守っていましたが、残念ながらお亡くなりになったとの連絡を受けることになりました。
病院から引き揚げてきた手荷物には未使用のプレミアム商品券が数冊残っていましたが、他に使い切る寸前の束もありましたので、ご依頼者の方が好きな物を食べて過ごしてくれていたことを願うばかりです。
私もこの方のように最後は美味しい物を食べて喰い(悔い)残しのない人生を歩めたらと思わずにはいられませんでした。
死後事務のご相談は名古屋の死後事務支援協会までどうぞ~。
2022.10.19
相続人がいる場合の死後事務委任契約
おはようございます。死後事務支援協会の代表の谷です。もう10月も後半戦に入ろうとしていますね。秋も深まってきた感がありますが、この時期は気温の寒暖差が激しいので体調管理には気を付けましょう。
さてさて、本日は家族や相続人がいる場合の死後事務委任契約のご利用について少しご紹介したいと思います。
ご存知の方も多いかと思いますが、「死後事務委任契約」とは自分の死後の手続きを他の誰かに生前に(準)委任契約を結んで依頼しておくものとなります。
簡単な例を挙げて言えば、自分が死んだら葬儀は〇〇葬儀社で行って、遺骨は〇〇寺に永代供養してもらい、遺品整理や公共料金の停止連絡もお願いね~。
といった、本人の希望を契約書に記載しておき、依頼を受けた方がそれを本人が亡くなった後に契約書に基づいて実行していくということですね。
え?それって家族がやるんじゃないの?と思われるでしょうが、必ずしも家族がいるとは限りませんよね。少子高齢化が増々進む日本では、自分の死後の手続きをしてくれるお子様やご兄妹がいない方というのは珍しくなくなってきています。
そうした、様々な事情により、自分の死後の手続きを第三者に依頼して誰にも迷惑をかけないように予め準備しておきたいという方が利用し始めているのが「死後事務委任契約」となります。
では、反対に相続人や親族がいると「死後事務委任契約」は結ぶことはできないのでしょうか?
結論から言うと、相続人やその他の親族がいる場合であっても「死後事務委任契約」は結ぶことは可能です。
しかし、本来、相続人や親族が行う故人の死後の手続きを第三者が行う上での注意点やトラブルの発生については、充分理解したうえで利用する必要があります。
例えば、自分の死後の葬儀や納骨を死後事務委任契約によって依頼しておきたいと考えた場合、葬儀業者や納骨先のお寺等を契約で決めておけばそれで準備万端とはいきません。
葬儀を挙げる場合は基本的にお近くの葬儀業者を利用するケースが一般的かと思われます。病院や施設で亡くなった際に、葬儀社に依頼して遺体を搬送して頂き、24時間保管後に葬儀の実施となります。
では、葬儀業者側として親族以外の第三者が故人の葬儀の依頼をしてきた場合に、葬儀を受けてくれるのでしょうか?
これは、葬儀社毎の判断によりますが、親族以外の第三者からの依頼は受けないとするところもあれば、公正証書で死後事務委任契約等の権限を証明する書類があれば受けるという葬儀社もあります。
一番確実なのは、死後事務委任契約を締結する前に葬儀社に依頼者と共に生前見積りを取りにいき、「私に万が一の事があればこの人から連絡がくるからよろしく!」と伝えておいてもらうことですね。
そうすれば、葬儀社側でも生前のご本人の意思確認が取れていますので、いざというときは非常にスムーズにご本人の希望通りの葬儀を挙げることができます。
反対に、そうした準備をしていない場合だと、葬儀を挙げた後に故人の親族から「なんで赤の他人が勝手に葬儀を挙げているんだ!(怒)」というクレームが葬儀業者に入る可能性もありますので葬儀業者としても慎重になる部分ではあります。
これ以外にも、相続人がいるが為にトラブルの原因となるケースがあります。一般的に死後事務委任契約を締結するようなケースですと、死後事務委任契約以外にも「遺言書」を作成しているケースが多いかと思われます。
まったくの天涯孤独の方の場合は、身近な友人や友人の子ども、お世話になった施設や公益財団や自治体等へ寄付するというケースがあるかと思います。
では、相続人がいる場合は上記のような寄付をすることはできないのか?というと、そういう訳ではなく、自分の財産を最終的にどのように処分するかどうかは本人の自由ですので、遺言書には自由に寄付先を指定しおくことはできます。
ただ、実の子ども等には「遺留分」という、法律上最低限保証される相続分という物がありますので、そちらを主張されれば、遺留分については取り戻される可能性があるというだけです。
故人の兄妹や甥姪には上記の「遺留分」は発生しませんので、相続人が兄妹や甥姪しかいないという方の場合は、遺言書で自由に財産処分が可能です。
しかし、実のお子さんがいる場合に、全部の財産をお世話になった施設や公益団体に寄付するというケースでは、寄付を実行した後にお子様方より「遺留分侵害額請求」として、遺留分を取り戻す請求がなされると、寄付された側が返還手続きなどを行うこととなりますので、よかれと思った寄付が却って迷惑をかけてしまうということもゼロではありません。
もし、遺留分を有する相続人がいる場合に遺留分を侵害するような遺贈寄付を考えているようなケースは、事前に寄付先とも相談した上で、遺言書の内容を考えておく方より安全かと思われます。
実際に先月に亡くなったご依頼者のケースでも、遺留分を有するお子様方へ当協会より遺言書の写しと現時点での財産目録を郵送したところ、お子様方へ一切財産を残さないという遺言の内容だったため、問い合わせの連絡が入りました。
「生前に本人には相当な迷惑を掛けられたから、ある程度の金銭は相続人へと渡して欲しい!」というご相談です。
もちろん事情はわかります。しかし、遺言執行者や死後事務受任者として出来るのは、遺言書と死後事務委任契約書に書かれていることだけのため、権限外の事はできません。
ですので、遺言書に相続人以外の公益財団等へ全財産を寄付するという記載があれば、遺言執行者としてはそれを忠実に実行するのが職務となるため、「それはできません」とお答えすることしかできないことになります。
今回のご依頼のケースでは、もともと清算型遺言という形をとっており、「自分が死んだら、葬儀費用や遺品整理、未払いの治療費や公共料金等、死後の手続きも含めて全ての債務を支払ったうえで、残額があれば、〇〇財団へ寄付して欲しい」という遺言の内容でした。
このケースですと、死後の手続きも含めて、故人が負っている全ての債務を清算した上で、余りがあれば希望の寄付先へ遺贈するという内容になります。
もともと葬儀や遺品整理等を含めた費用を清算するとギリギリの預貯金しか残っていなかったこともあり、財産目録で死亡時の財産とこれから発生する費用等をご説明して、残金の概算をご説明したところ、敢えて法的手続きしてまでも取り戻すほどの物ではないという判断に至ったようです。
しかし、今回のケースとは異なり多少面倒であっても取り戻すだけの資産があるようなケースでは、遺留分の請求を行うことも当然予想されます。
遺言、死後事務を利用する場合は、相続人が誰もいない場合よりも、相続人がいるケースの方がより注意が必要となることを知っておいてください。そうでないと思わぬ形で遺贈先などへ迷惑を掛けてしまうことになってしまうかもしれません。
遺言・死後事務のご相談は死後事務支援協会までお気軽にお問合せくださいね。
2022.08.30
増える相続人からの死後事務依頼
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。8月も終わろうしておりだいぶ涼しくなった感じでしょうか?急に涼しくなったりすると夏バテならぬ秋バテになる方もいるようですのでご注意を。
さてさて,本日は死後事務のお話しであっても純然たる死後事務委任契約のお話しではなく,相続人の方からの死後事務のご相談が増えているというお話しです。
死後事務委任契約とは,生前にご本人から自分の死後に頼みたいことを予め契約で取りまとめておき,依頼を受けた方(死後事務受任者)は,依頼者が亡くなった後に契約書に従って故人の希望を叶えていくという内容の契約を指します。
これに対して,相続人からの死後事務依頼とは,故人の死後に発生する諸々の手続きを第三者に依頼することを言い,一般の方の感覚からするとそれって「相続手続きのことでは?」と思われるかもしれませんね。
大きく括ると,「相続人からの死後事務依頼」は「相続手続き」に含まれていると考えられます。ただ,今回は「ああ,こんな事も依頼することができるんだ!」ということを知って頂きたく,あえて分けて考えてみました。
事例をひとつ挙げてみましょう。
疎遠な親族が遠方で亡くなったが,故人の生活状況がまったく不明で何をしたらいいかわからない。
最近増えている相談が主にこういった状況のケースです。
少子高齢化が極まり,おひとり様と呼ばれる方も珍しくなくなりましたよね。そうした方々増えると必然的におひとり世帯の方が亡くなるケースが増える訳です。
おひとり世帯の方が亡くなった場合は配偶者やお子様もいないことから,身近な親族が相続手続きに駆り出される訳ですが,必ずしも付き合いの濃い方ばかりではありませんし,付き合いがあった場合であっても居住地域が離れていると物理的,経済的になかなかそうした手続きを行うことが難しいということもありますよね。
ただ,そうは言ってもご遺体を放置をしておく訳にはいきませんし,警察や自治体からは遺体の引取りの打診が来たりしますので,さてどうしたものか?となる訳です。
一般的に相続発生後に必要となる主な手続きとしては下記のような物があります。
➀遺体の引取り
②葬儀・納骨
③役場への各種届け出(死亡届・介護保険・年金・免許証等の返却)
④遺品整理
⑤賃貸物件の解約・原状回復等の明渡し
⑥NHK・NTT他各種公共料金の清算・解約
⑦携帯・ネット等の各種契約の清算・解約
⑧相続人・相続財産の調査
⑨相続手続き(預貯金の解約・遺族年金等の支給申請・相続税の申告等)
実際には,項目毎にそれぞれ細かな手続き等がありますので,費やす労力や費用は結構大変なものとなります。ここらへんは一度でも相続手続きを経験したことがある方でしたらよりお分かりになるのではないでしょうか。
これまでは,➀~⑦くらいまでを親族で行い,専門的な知識が必要となる⑧~⑨を専門の士業に依頼するというケースが多かったと思われます。これが一般的な「相続手続き」と呼ばれるケースですね。
これに対して,➀~⑦の部分も親族以外の士業などの専門家に依頼するのが「相続人からの死後事務依頼」となります。
最初に挙げた例題のように,親族と疎遠だったおひとり様が亡くなるケースでは,例え親族に連絡がいったとしても,故人がどのような生活をしていたかが全くわからないということも珍しくはありません。
これは別段,誰が悪いという訳でもなく時代的にそうなってきてしまっているというだけの話しで今後こうしたケースはますます増加していくことが予想されます。
当然,親族とはいえ故人とは疎遠だった場合では,連絡をもらった親族としても何をどうしたらいいのか?と困惑する訳ですよね。
そうした事を見込んで,故人が生前に親族に迷惑を掛けないようにと準備するのが「死後事務委任契約」ですが,まだまだ利用者は少なく全てのおひとり様が自分の死後の事を見据えて準備万端としているケースは少なく,予期せぬ形で親族にお鉢が回ってきてしまうケースの方が多いでしょう。
こうしたケースでは,ある日突然,警察や役場より故人の死亡を告げられますので,心の準備や手続きの予習などもできず,いきなり故人の手続き全部を丸投げされてしまうことになります。
故人が比較的近くに住んでいるのでしたらまだしも,離れた地域の場合でしたら,手続きのために仕事を休んだり,休日を潰して高い交通費や宿泊費を負担して手続きに奔走しなければいけなくなります。
行政手続きなどは郵送でのやりとも可能ですが,遺体の引取りや遺品整理は必ず誰かが物理的に行動をしないといけません。
もちろん,家族の代わりに動いてくれる葬儀業者や遺品整理業者もいますが,それであっても基本的にはそれぞれ別個に契約を依頼して手続きの代行を依頼することになります。
近年は情報過多の時代でもありネットで葬儀や遺品整理を代行してくれる業者を検索すると膨大な数の業者が検索にヒットして,その中から信頼できる業者を選定し,打ち合わせをそれぞれで行うだけで一苦労ですよね。
そうした状況下で増えてきているのが,今回のテーマでもある「相続人からの死後事務依頼」という訳です。
当協会では,本人からの死後事務委任契約以外でも相続人からの死後事務のご相談もお受けしております。多くのご相談が上記のような,「疎遠な親族」「遠方に住んでいる」「手続きが分からない」「故人の財産状況がわからず不安」「まとめて依頼したい」などでお困りのケースです。
相続や死後事務専門の士業が上記で挙げた➀~⑨までの業務を一括で受任して手続きを行いますので,親族としては,沢山の業者と何度も打ち合わせをする必要もなければ,遠方まで足を運ぶ必要もありません。
特に高齢者のおひとり様が亡くなったケースではご兄妹に連絡が入るケースが多いですが,当然連絡を受けたご兄妹も似たような年齢となっていますので,行きたくても行けないという状況で無理に高齢の身に鞭打って出かける必要もなくなります。
こうした利便性から,これまでの相続手続きとは異なり,死亡直後からの手続きを全てご依頼頂くというケースの需要が増えてきているのだと思われます。
もちろん,上記で挙げたような➀~⑨までの手続き全ての内容のご依頼ではなく,葬儀や納骨は親族で行うから,遺品整理と行政手続きだけやって欲しいといった依頼もあります。
要は家族や親族で出来ない部分を依頼するという事なのですが,相続手続き以外の葬儀や納骨といったこれまで親族が行うことが当たり前とされてきた部分も親族以外が行えるのだということを知って頂きたく今回ご紹介させて頂きました。
財産的な相続手続きはもちろん,葬儀や納骨,遺品整理といったこれまで親族が行ってきた内容であっても士業などの専門家に依頼できるんだということを知って頂ければと思います。
相続や死後事務にお困りの際は死後事務支援協会へご相談くださいね~。
2022.05.23
名古屋市の市営住宅の遺品整理から退去立ち合いまで全て代行したお話し。
おはようございます。名古屋市の死後事務支援協会代表の谷です。
5月も後半戦に入り夏日もちらほらと出てきましたね。そろそろ熱中症対策として暑さに体を慣らしていかないといけない時期にもなりました。
今回は,私の個人事務所で行った遺品整理から死後事務代行までしてきたお話しをご紹介したいと思います。
主に名古屋市の市営住宅で亡くなった方向けの情報になりますが,真夏の時期になると高齢者の方を中心に市営住宅では孤独死で亡くなる方が増加します。
そんな時に家族や親戚が市営住宅の退去手続きをどのように行い,どれくらいの費用が掛かるのかの参考になるかと思い掲載させて頂きます。(この内容は第八ブログで紹介済みの物となります)
今回のご依頼者の方は当初は葬儀をあげた地元でも有名な葬儀業者さんへと遺品整理や相続に関するご相談をされていました。
しかし,葬儀業者や葬儀業者から紹介されたはずの遺品整理業者等からの電話連絡はいっこうに来ず,故人が生活されていた名古屋市の市営住宅の退去を急ぎたかった事情もありインターネットで当事務所を見つけてご連絡頂いた次第です。
当事務所を見つけて頂いたきっかけが「入居者の死亡に優しい?市営住宅」という同じく私が過去に掲載しましたブログを見てとのことで,今回の一連の経緯も他の方の参考になればと思い書かせて頂くことにいたしました。
ご依頼者の状況としては次のような形です。
・故人は未婚で配偶者やお子様はいない
・兄弟姉妹もいない
・近くにお住まいの親戚のみが手続できる状況
故人は,おひとり暮らしで持病もあったため,死後事務や葬送支援も行ってくれる身元保証会社と契約を進めていたところ,急な体調の悪化により,十分な準備もできないまま亡くなられてしまったとのことです。
仮に生前に身元保証会社などの死後事務を行ってくれる会社と契約できていれば,亡くなった後の対応は「死後事務委任契約書」や「遺言書」といった書面に従って依頼先の会社が行ってくれたはずなのですが,今回は契約が間に合いませんでした。
今回のご依頼者でもあるご親戚の方としては,本人が生前にそうした準備を整えて,本人の意思に基づいて依頼先の会社が万が一の際は対応してくれると考えていたため,まさか自分達がこの後の対応をしなくてはならないとは考えてもおらず,降って沸いた死後事務や相続手続きにどうしたらいいのか?と困惑する一方だったとのことです。
私が初回相談で訪問させて頂いた時が葬儀を終えてすぐの段階で,これから役場への手続き等を進めていかなければいけないという状況でした。
亡くなった際にする届け出には期限制限付きの届け出もある
誰かが亡くなった場合に行わないといけない行政機関への届け出のいくつかには,亡くなってから7日以内や14日以内に届出をしなければいけないという「期間制限」が存在します。
代表的な物で言えば
・死亡届(7日以内)
・健康保険の資格喪失手続き(14日以内)
・年金の受給停止手続き(14日以内)
などでしょうか。
他にも葬祭費や未支給年金の申請などは2年以内などにしなければいけないなどもありますので,こつこつ支払ってきた年金や葬祭費などの給付金は忘れずに申請して受取りをしておきたいところですね。
こうした期限付きのある届出などを優先的に行い,その他の時間的に余裕のある届出や申請などは相続手続きなどと併せて行っていくと,失敗は少なくなります。
今回は初回面談ではありましたが,手続きの期限もありましたので行政機関への届け出や相続手続きに必要となる委任状をその場で書いて頂き,さっそく手続きを開始することにいたしました。
行政機関への届け出では介護保険証や名古屋では敬老パスなどいくつか返却しなければいけない物もありますが,全てが揃っているということは稀ですので,まずは届出を行い,遺品整理の際にそうした返却物を見つけて後日改めて持っていくという方法でも大丈夫です。
ただ,何を返却したらいいのかは何度も手続きをしている私たちのような専門家でもなければ難しく,事前に役場に聞いておかなかれば分からないと思いますので,もしご家族で手続きを進める場合は,遺品整理を行う前に一度確認にいくことをお勧めします。
行政機関への届け出の後は遺品整理を開始!
行政機関への届け出が終わったら次は遺品整理です。
今回のご依頼では,故人は名古屋市の市営住宅にお住まいでしたので,市営住宅を管轄する住宅供給公社へと退去の連絡を入れる必要があります。
本来は親族や相続人の方が行うところではありますが,お仕事の関係もあり今回は私の方で全て代行することになります。
当然,住宅供給公社側としても,まったくの第三者からの申し出を安易に受付はしてくれませんが,死亡診断書や退去に関する内容をまとめた委任状等を揃えて申し出をすれば問題なく代理人でも手続きは可能です。
なぜ最初に住宅供給公社へ連絡を入れるのか?遺品整理が終わった後に退去の連絡してもいいのでは?と思われるかもしれませんが,それにはちゃんとした理由があります。
市営住宅に限らず一般的な賃貸物件でもそうですが,賃貸借契約の解除は退去の申し出をして即日退去とはなりません。
一般的には,退去の連絡から1ヶ月後などが最短の退去日となり,それまでは日割り家賃が発生するケースがほとんどでしょう。
ですので,市営住宅の場合でもまずは「退去連絡」を行い,退去日が確定したらそれまでの間に部屋の整理(遺品整理)を行うという流れの方が,遺品整理を先にしてしまってから退去連絡をする場合に比べて無駄な家賃や光熱費を支払わなくてすむので経済的な訳ですね。
また,市営住宅の場合は一般の賃貸物件とは異なり,退去の際に取り外さないといけない設備があったりしますので,これを事前に確認しておくという意味でも先に退去連絡をしておくということに大きな意味が出てきます。
特に市営住宅では,
・お風呂の浴槽や風呂釜(バランス釜)
・カーテンレール
・網戸
・ガスコンロ
などは,入居時に入居者が設置しているケースも多く,退去の際に「お風呂は設備でしょ~」と残しておくと,実は取り外しておかないといけなかったとなり,無駄な原状回復費用を支払うことになってしまうので要注意ですね。
ここまで,準備してから実際の遺品整理開始といきたいところですが,実はもう一点大事なポイントがあります。
名古屋市の市営住宅の管理は住宅供給公社が行っていますが,実際の現地の運営は自治会に委ねられているケースが多くあります。
これが何を意味するかというと,実際の遺品整理を行う際に,「エレベーターの使用許可」「共有部分への作業車両の乗り入れ許可」「車止めの開錠依頼」「その他の住民への掲示案内の必要の有無」「作業にあたっての注意点(養生箇所等)」などは,住宅供給公社ではなく,現地の自治会長さんに確認しなければいけないということです。
以前は,住宅供給公社に自治会長の名前と連絡先を聞いたら電話番号を教えてくれましたが,最近は個人情報の観点からも教えてもらえない事も多く,自治会長の名前とお住まいの部屋番号のみ教えてもらい,後は実際に訪問して確認するという事も多くなりました。
中には日中働きに出ていらっしゃる自治会長さんもいたりしますので,なかなかお会いすることができず難儀することもあります。(´;ω;`)
こうして,退去の申し出から事前確認,自治会長の許可・確認等を経て,実際の遺品整理の実施となります。
遺品整理の際も最初に記載した通り,役場への返却物を探したり,その他の財産,保険,契約関係を示す書類など貴重品の捜索を行いながら遺品整理を進めていきます。
私がいつも口をすっぱくして言っていることでもありますが,おひとり暮らしの方の遺品整理など,どのような生活をしてどういった資産や負債をお持ちだったかを確認するのは遺品整理の時が一番のチャンスです。
むしろ,遺品整理のタイミングを逃してしまうと確認したいと思った時には既に部屋はもぬけの殻であり,必要な書類などは全て処分されてしまった後ということになりかねません。
ですので,おひとり暮らしの方や離れて暮らしていた家族の遺品整理などをする際は,部屋から荷物を出す前に全て確認して,貴重品や財産関係を示す書類を探しだしておくようにしましょう。(家族で捜索が難しい場合は私たちのような専門家へご依頼ください)
遺品整理の際に知っていると後から助かるワンポイント!
遺品整理の際に注意して頂きたいのが,銀行の通帳や保険証券,株式関係の書類などは一般の方でも大事そうな書類と思い扱いは慎重になるかと思います。
それ以外にも次のような事にも注意を払ってください。
公共料金の明細を確保しておく
遺品整理後は電気やガス,水道といったライフラインの停止連絡をすることになります。その連絡の際に契約者情報を確認されるのですが,この時に公共料金の明細が手元にあると,「お客様番号」や「契約者番号」などを明細から確認することができて,契約者情報の確認が非常にスムーズに行えます。
万が一こうした書類が手元になくても,故人の住所や電話番号などからも検索はできますが,少し待たされることになりますので,他にも解約の連絡を入れないといけないところが沢山あるようば場合は結構やきもきとするものです。
電話(NTT)・インターネット回線の確認
最近は固定電話を契約されている方も減ってきてはいますが,まだまだお部屋に固定電話がある方も多いかと思われます。
当然,固定電話があるということはNTTやその他の電話事業者と契約していることになりますので,こちらも解約手続きが必要となります。
また,室内にインターネットを行う機器(モデム)などがある場合,そうした機器はレンタル扱いになっているケースもあり解約時に返却しないといけないことがありますので,間違って遺品整理の際に捨ててしまわないように注意しましょう。
通常レンタル機器には「レンタル機器」「解約時返却要」などレンタル品とわかるように目立つシールが貼ってあることも多いですが,今回のご依頼者のお部屋のように何も貼っていないケースもあります。
そうした場合は解約の連絡とともに返却物の確認をした上で,処分するのか返却するのかを決めるのが良いですね。
さっきも言った通り,一度遺品整理で処分してしまうと取り戻すことはまずできませんのでご注意ください。
隠れ金融資産に注意
今回のケースではそうした事はありませんでしたが,遺品整理の際には隠れ金融資産にもご注意ください。
生命保険や医療保険などは基本的に証書が発効されてご自宅で保管されているケースも多く,遺品整理の際に見つけることは容易です。
しかし,最近はネットバンクやネット証券などのネットの中でしか確認できない銀行やFXや仮想通貨などパソコンやスマホで決済している金融商品などが多数あります。
こうしたデジタル遺品・デジタル資産に分類される品は,室内の遺品整理をしただけでは見つけることが非常に難しく,パソコンやスマホ,それらのメールの内容などを確認してはじめて気づくということもあります。
ただ最近はパソコンやスマホに暗証番号や生態認証などのロックを掛けておくのが普通でもあり,室内に遺されていたパソコンやスマホから情報を確認しようとしてもロックが外せなく断念したということも珍しくはありません。
高齢者の方などは暗証番号などを忘れた際の予備として鉛筆書きのメモとして残しているケースも多く,そうしたメモはパソコンやスマホの箱や取扱説明書などに書かれているケースも多くありますので,スマホの空き箱などを見つけた際は必ず説明書なども確認するようにしてくださいね。
名古屋市営住宅は入居者死亡の際は敷金内清算のルールあり!
本題から外れて長くなってしまいましたが,上記の点などにも注意を払って頂き遺品整理を進めてください。こうした一連の流れをクリアして最終的に行うのが,大家や管理会社などとの退去立ち合いですね。
今回は貸主が名古屋市住宅供給公社となりますので,公社の担当者の方との退去立ち合いとなります。
ただ,名古屋市の市営住宅の場合は,入居者が亡くなった場合は敷金内で清算するということになっており,敷金の返金もありませんが追い金もありませんので予想外な支出という心配はしなくて済みます。
これって非常にありがたいことでもあるのですが,市営住宅には高齢者の方も多く生活されており,高齢者がお部屋で亡くなることも珍しくはありません。
私も過去に数百件と市営住宅で遺品整理を行っていますが,中には夏場の孤独死(孤立死)で室内が大変な状況になっているケースも沢山ありました。
そうした孤独死(孤立死)で発見が遅れたようなケースでは,一般的な賃貸物件では高額な原状回復費用を家主側から請求されて相続人が相続放棄に追い込まれてしまうことも珍しくはなく,家族や相続人とっては非常に負担の大きい問題となります。
その点,名古屋市の市営住宅では上でも書いた通り,入居者死亡の場合は敷金内での清算となります。
これは,一般的な賃貸物件でトラブルとなる孤独死(孤立死)で発見が遅れたようなケースも同様で,入居者側の親族としては室内の残置物を撤去して鍵を返せば退去手続きとしては終了となります。(名古屋市営住宅の退去明細の実例の一部)

遺品整理の現場で高額な原状回復費用を請求されている遺族の方を沢山みてきた私からすると,超高齢社会の日本では,これは本当に大切なことと実感するところですね。
事前確認もしっかりしてあったことから退去立ち合いも無事終了となりました。唯一,公社の人が退去立ち合いの日程をど忘れてしていたようで30分程待ちぼうけしたことがあれと言えばあれですが,,,,
名古屋市営住宅での退去手続きや遺品整理の際の注意点を少しだけご紹介させて頂きました。
実際の遺品整理では,現場毎に注意点や作業方法も変わってきますので,もし家族での遺品整理や財産調査に不安を感じましたらご相談くださいね。
遺品整理・死後事務専門の行政書士がお手伝いに参ります!
2022.05.05
今後増加が予想される遠方のご家族より葬儀と死後の手続きの全てを依頼されるケース
おはようございます。名古屋の死後事務支援協会代表の谷です。久々のブログとなりますが,既にG・Wも終わろうとしていますね。今年はコロナの圧力が和らいで観光に出かける方も多いでしょうが,事故やケガには十分お気をつけください。
そんな中,私の方は2月の後半から集中した個人事務所の「第八行政書士事務所」への依頼や死後事務支援協会への依頼をせっせとこなし,連休前にやっとこひと段落ついたところです。久々に休みが取れましたのでこの機会にブログの更新をと思った次第です。(けっして更新をサボっていた訳ではありません💦)
今回ご依頼頂いた案件でこんなケースがありました。
遠方にお住まいのご家族の方より,ひとり暮らしをされていた親族の死後事務をお願いしたいというものです。
ひと口に死後事務の代行といっても
・葬儀~納骨までの代行
・行政機期間への手続き代行
・公共料金等の未払い債務の清算代行
・遺品整理・家財整理・財産調査の代行
・一般的な相続手続きの代行
等々,いろいろとやらないといけない事が多くあります。
詳しくご事情をおうかがいしてみると,故人様とご依頼者との関係は次のような形です。
・故人は未婚で子どもや配偶者はいない
・相続人は故人の兄弟姉妹となるが全員高齢で直接動けない。
・依頼者は故人の姪にあたるが,高齢の両親の傍を離れるわけにはいかない
・依頼者の住所と故人の住所とではかなり離れており,手続きの為に何泊も家をあけられない
・故人は賃貸物件で生活していたが,部屋の明渡しや車の処分など自分達だけでは到底無理
・故人と相続人は疎遠だった訳ではないが,財産状況までは把握しておらず借金がないか不安
といったような状況です。
少子高齢化が極まっている日本では今後も増えそうな状況ですよね。
今回のご依頼,ご相談は葬儀のために2日程,現地へ行くのでその間に可能な限りの手続きと今後の予定を立てたいという内容です。
なかなかに大変なミッションにも見えますが,やることはいつも通りです。
まずは,依頼者の方がお越しになられた際にすぐに葬儀へと移れるように葬儀業者の手配をして,遺体の引取りと火葬の日程決めをしておきます。
もちろん,事前に葬儀費用などはお伝えしてご了解を取ったうえで,葬儀業者さんがいろいろと手を尽くしてくれました。
依頼者の方が滞在できる時間には限りがありますので,葬儀は朝一番で行って頂き,午後は役場への手続きに同行します。(基本的に死後の手続きは代行でも可能ですが,依頼者の希望で滞在時にできなかった部分のみ代行で行うこととなりました)
行政機関への手続きが終われば次は,故人のお住まいだった賃貸物件の状況確認と遺品整理にかかる見積りの作成です。
こちらは,遺品整理専門の行政書士である私の得意分野でもありますので,私自身が見積りを作成し同時に室内の貴重品関係も捜索していきます。
本格的な捜索は遺品整理当日に行いますが,とりあえずの貴重品として
・金融機関の通帳
・保険関係の書類
・賃貸物件の契約書
・遺留金
・借金関係の手紙など
・その他の貴金属や契約書類
などを見つけられる範囲で依頼者立ち合いのもとで捜索します。
仲の良い兄弟姉妹であっても,離れて暮らしていると相手の資産状況などは分からないのが普通です。今回は幸いなことに借金などを示す資料もなく,見つけた預貯金の通帳にもそれなりの額が残っていたことから借金の心配はしなくて済みそうです。
保険関係の書類なども同時に引き上げて,初日は終了。次の日は携帯電話の解約や保険の申請手続きなど親族でなければ手続きが難しい手続きの同行などで2日目はサポート業務となります。
なんとか依頼者の滞在する二日間で期限制限のある手続きは全て行い,後は一般的な相続手続きと併せて行っていく死後事務だけとすることができました。
依頼者の方はご自宅へ帰らないとなりませんが,賃貸物件の鍵や預貯金の通帳などはそのままこちらで預からせて頂き,士業として相続手続きを進めていきます。
遺品整理の見積りの際には借金も心配していましたが,実際に遺品整理を行った際に詳しく室内に遺されていた資料などを確認するに預貯金や保険なども併せるとそれなりの資産があることが判明しました。
遺品整理や退去に伴う原状回復費用など,葬儀以外にも出費がかさむ状況でもありますので,なんとか故人の資産だけで死後事務や相続に必要な費用を賄えそうだと,これには相続人の方々もほっと一安心といったご様子でした。
私が良く言っていることでもありますが,離れて暮らしている家族にとっては「遺品整理」の時が故人の財産状況を把握する一番のタイミングでもあります。
遺品整理を疎かにしてしまうと,見つけられるはずの資産を見落としてしまったり,気づけたはずの借金に気づけなかったりと,その後の相続人の生活にも大きな影響が出てきてしまいます。
プラスの財産を見落としてしまうのも問題ですが,借金の方が大きい場合には,相続発生から3ヶ月以内に「相続放棄」の検討もしなければならず,こちらの方がより大きな問題となります。
こうした部分は日頃から相続手続きを行っている士業が得意とするところでもあり,死後事務支援協会では遺品整理,相続専門の士業が遺品整理や財産調査も行いますので,安心してお任せいただけます。
室内の財産調査後に遺品整理を実施して,家主(管理会社)への引き渡しも無事完了。事前に合意書を取り交わすことで,原状回復でのトラブルや未払い家賃等で揉めることもなく,すんなり終了となりました。
後は金融機関の相続手続きとなりますが,今回は遺言書がありませんでしたので相続人間での遺産分割協議を作成して,金融機関への解約払戻しはこちらで全て代行申請して終わりとなります。
相続人同士が仲が良いと遺産分割協議もすんなりと終了しますので,銀行関係の手続きもスムーズに終了させることができます。
今回のご依頼は,一般的に「死後事務委任契約」と言われる,依頼者(故人)が生前に自分に万が一の事が起きた場合に信頼できる第三者に予め死後事務を託しておくという「死後事務委任契約」とはちょっと事情が異なります。
依頼者が亡くなられたご本人からの生前の依頼ではなく,故人の親族からの手続き代行であり,どちらかというと「相続手続き」に近いかもしれません。
死後事務,相続手続きと明確な区分けがある訳でありませんが,これまでは葬儀や納骨,遺品整理といった財産以外の部分の手続きは家族や親族が行い,銀行や株式,不動産の名義変更などの財産的な部分は士業などの専門家が対応するというイメージがあるかと思われます。
しかし,これからの時代は最初にも書きましたが,未婚のおひとり暮らしの方がますます増加して,相続人が兄弟姉妹となるケースが各段に増えてきます。
当然,兄弟姉妹の誰かが亡くなった場合は兄妹も似たような年齢になっており,必ずしも死後事務や相続手続きが行えるとは限りません。
死後事務委任契約は,ご本人が亡くなる前に依頼するものではありますが,同じ業務を相続人からのご依頼で行うことももちろん可能です。
遠方に住んでいて土地勘がなく葬儀や遺品整理などの全ての死後事務を誰かに行ってもらいたいという場合は,死後事務支援協会へご連絡くださいね。
相続・死後事務専門の士業が全力でサポートいたします!





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